かすみ「侑先輩のくちびるはかすみんのです!」
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「わあい!ほっぺのおねえちゃんまたきてくれたのー!」
かすみ「かすみんはほっぺのおねえちゃんじゃないです。かすみんおねえちゃんでふ───」
「わあ!やっぱりほっぺもちもちー」
かすみ「ほ、ほひゃあ…!いはふらははふぇふぇふふぉー!」
「きゃははは!」
侑「あはは、かすみちゃんはちっちゃい子にモテモテだねえ」
かすみ「ふええ…。かすみんのほっぺが伸びちゃいますぅ…」
侑「大丈夫。おもちみたいなかすみちゃんも可愛いよ」
かすみ「もう侑先輩、最近褒め方が雑ですよ」
侑「本当に可愛いのになあ」 侑「かすみちゃん!」
侑「練習中ほとんど姿を見かけないと思ったら──」オデコピトッ
侑「うわっつ、すごい熱だ! 」
しずく「と、とりあえず保健室まで運びましょう!」
侑「そうだね。私がかすみちゃんをおぶっていくよ」
璃奈「かすみちゃんの着替えと荷物は、私としずくちゃんで運ぶ」
侑「ありがとう。他の皆は先に帰ってて!」 ───
──保健室──
かすみ「……………」
かすみ「………んん……うーん…」
かすみ「……あれ?かすみん、なんでベッドの上に?」
しずく「かすみさん!」
かすみ「わあっ!しず子!?りな子まで!」
璃奈「良かった。急に倒れるからびっくりしたんだよ」
かすみ「え!?かすみん倒れたの!?」
しずく「うん、練習終わってすぐにふらっ、て」
かすみ「ええ…。私、どれくらい寝てた?」
璃奈「1時間くらいかな…?顔色はさっきより良いみたいだから、もう心配なさそうだけど」
かすみ「そっか…。うん、今はなんともない」
かすみ「2人ともありがとう。それとごめんね。迷惑かけて…」 しずく「気にしないで。たぶん、疲れてたんだよ」
璃奈「お礼は侑さんにも。かすみちゃんをここまで運んだの、あの人だから」
かすみ「うええっ!///本当に…!?」
しずく「うん。っていうか、また顔赤くなってるけど、本当に大丈夫?」
かすみ「だ、大丈夫だと思うけど…。──侑先輩は?」
璃奈「職員室へ同好会の活動日誌を提出しに行ってるよ」
璃奈「私たちは、かすみちゃんが目を覚ますまで見てあげて、って頼まれたんだ」
かすみ「そうなんだ。ううっ、恥ずかしいところ見られちゃったなあ」
かすみ「しず子は帰らなくて大丈夫?おうち遠いでしょ?」
しずく「安心して。かすみさんの無事を確認したし、もう帰るところ」
璃奈「私も侑さんが戻ってきたら帰るつもり。今日、久しぶりにお父さんとお母さんが家にいるから」
かすみ「うう…。本当にありがとうね…」 しずく「先に帰る代わりと言ったらなんだけど、かすみさんにこれあげるね」
かすみ「わっ、レモンあめじゃん!さすがしず子!かすみんの好みを分かってるうぅ!」
しずく「元は演劇部で喉痛めないように買ったものだけどね。はい、璃奈さんにも」
璃奈「ありがとう」
しずく「かすみさんに大袋ごとあげるから、戻ってきたら侑さんにも分けてあげて」
かすみ「うん!侑先輩も喜んでくれるよ!」
しずく「ふふっ、お大事にね。それじゃあ、また明日」 ───
かすみ「うーん、やっぱり美味しいなあレモンあめ」カラコロ
璃奈「倒れた時の真っ赤な顔が嘘みたい」カラコロ
かすみ「たぶん知恵熱みたいなものかなあ。今日は頭の中ずっともやもやしてて、それで頑張らなきゃ!って張り切っちゃったから」
璃奈「かすみちゃんでも、知恵熱出すことあるんだね」
かすみ「ちょっとりな子ぉ、それどういう意味?」
璃奈「いつも元気いっぱいだから、あまり悩んだりするイメージが湧かなくて」
かすみ「かすみんだって悩むことくらいあるよぉ」
璃奈「──もしかして、侑さんのこと?」
かすみ「え゛っ!?なんで分かるの!?」 璃奈「練習中もちらちら見てたし──」
璃奈「侑さんがかすみちゃんを運んだって話したら、リアクション大きかったから」
璃奈「たぶん、しずくちゃんも分かってたと思う」
かすみ「ううっ…バレバレだったのかあ」
璃奈「かすみちゃんは分かりやすいよ。私の表情よりずっと」
かすみ「自分でネタにしていくんだ…」
璃奈「ごめん、ちょっと絡みづらかったかも。璃奈ちゃんボード『反省』」
かすみ「ああっ!気にしないでよ!りな子はかすみんを元気付けようとしてくれたんでしょ!嬉しいよ!」
璃奈「ありがとう。良かったら、話してほしい」
璃奈「かすみちゃんの悩み」
かすみ「──ううっ…///笑わないでね」
りな子に全てを打ち明けてみた。
昨日、侑先輩と成り行きでキスしたこと。
その日の夜に、夢の中でキスしたこと。
そしてその夢が正夢になりそうで、ドキドキして練習に集中できなかったこと。
とにかく昨日から今日までのことを全部。 璃奈「──つまり、かすみちゃんは侑さんが好きってこと?」
かすみ「わ゛あ゛あ゛っ!なんでそんなあっさりまとめちゃうの!」
璃奈「違う?」
かすみ「ちが……わないけど///」
璃奈「知恵熱じゃなくて、恋の病だったね」
かすみ「う、うう…///」
かすみ「で、でも!侑先輩にその気はなさそうだし…」
かすみ「もう夢は正夢じゃなくなっちゃったし…」
かすみ「はぁ……」
璃奈「───」
璃奈「私は、かすみちゃんの気持ちを、そのまま侑さんに伝えたらいいと思う」
かすみ「ええっ!」 かすみ「で、でも、こんなに思い詰めちゃうかすみん、きっと可愛くないよ…」
璃奈「そんなことない」
璃奈「私、羨ましいんだ」
璃奈「かすみちゃんが素直に思いを伝えられるところ」
璃奈「そういうかすみちゃんはとても可愛いと思うし、魅力的」
璃奈「侑さんもきっと──そんなかすみちゃんだから、照れずにキスしてくれたんだと思う」
璃奈「いつものかすみちゃんらしく、ぶつかってみたらいい」
かすみ「りな子……」
璃奈「もし砕けてしまっても、その時は私としずくちゃんで思いっきり慰めるから」
璃奈「だから、『ファイト』!」 かすみ「───うん、ありがとう」
かすみ「えへへ、ちょっとメランコリックかすみんになってた!」
かすみ「私は私らしく、かすみんはかすみんらしくが1番だよね!」
璃奈「いつものかすみちゃんになって良かった」
璃奈「メランコリックも可愛いけど、私はそっちのかすみちゃんのが好き」
かすみ「ふっふっふ〜、りな子〜。かすみんは侑先輩が好きだから、その気持ちには答えられないの〜」
璃奈「ライクとラブの違うのに」
璃奈「でも、かすみちゃんは友達としてもラブかも」
かすみ「ありがとう!そういうりな子も可愛いYO!」
璃奈「なんだかその言い方、侑さんに似てる」
璃奈「かすみちゃんは、好きな人に似るタイプだね」
かすみ「こういうかすみんも可愛いよね〜?」
璃奈「うん。璃奈ちゃんボード『ラブラブ』!」 ───
ガララ…
侑「遅くなってごめーん!職員室行ったら、担任の先生に捕まっちゃってさ」
璃奈「侑さん、おかえりなさい。かすみちゃん、元気になったよ」
かすみ「侑せんぱーい♡かすみんを保健室に運んでくれたんですよね!ありがとうございますぅ♡」
侑「あはは、良かった。いつものかすみちゃんだ」
璃奈「侑さんも戻ってきたし、私は帰るね。また明日」
侑「ありがとね、璃奈ちゃん」
かすみ「ばいばーい、りな子ー!」 ───
かすみ「ごめんなさい…。かすみんが倒れたせいで、ステージの話し合いの時間無くなっちゃって…」
侑「気にしないで。それはまた今度、まとまった時間があるときにしよう」
侑「それより体は本当に大丈夫?」
かすみ「はい!今はもうびっくりするくらい気分が良いですよ♡」
かすみ「侑先輩とも保健室で2人きりですし♡」
侑「そ、そうだね///」
かすみ「おやおや〜、なんか顔が赤くありませんか〜?」
かすみ「まあ可愛いかすみんと一緒なら、仕方ないですよね〜♡」
侑「こ、こら!あまり先輩をあまりからかっちゃダメだよ!」
侑「もう…心配だから、せっかく家まで送っていってあげようかな、と思ったのに。どうしよっかなー?」
かすみ「わ゛あ゛あ゛!すみません!心配してくれてありがとうございますぅ!」
かすみ「かすみん、侑先輩と一緒に帰りたいですぅ!」 侑「よしよし、いつものかすみちゃんだ」
かすみ「どういう意味ですか?」
侑「可愛いって意味」
かすみ「もう〜!からかってるのはどっちですか〜!その可愛いは違いますぅ!」ポカポカ
侑「いててて…。あはは、本当に元気になったみたいで良かった」
──う゛う゛っ……いつもの可愛いかすみんで行ったつもりが、いつもの侑先輩で反撃された…。
けど、少しだけ違和感があったかも。
かすみんをちょっと子供扱いして適当に可愛いと言ってくるのは、ここ最近の通りだけど──
いつもはもっと私の扱いに慣れてるというか、余裕のある感じなのに。
照れ隠ししたり、拗ねたり、あまり見たことのない先輩だった。
かすみんが疲れてるから、そう見えるのかな?
うーん、考えても仕方ない!
それよりも先輩が一緒に帰ってくれるなんて、千載一遇のチャンス!
絶対ものにしなきゃ! ──帰り道──
かすみ「えへへ、侑先輩と帰るなんて初めてかもしれませんね♡」
侑「そうだねえ。かすみちゃんとは方向違うから」
かすみ「こっちの街並みも素敵だと思いません?ほら、あの街灯とか」
侑「本当。夏服だとちょっぴり肌寒い季節になってきたから、白熱灯の光が温かいね」
かすみ「くふふ、寒いなら、かすみんがくっついてあげますよお♡」
侑「本当?なら……そうしてもらおうかな?」
かすみ「わーい!えい!♡」
ダキッ
かすみ「えへへ♡侑先輩の腕、温かいです♡」
侑「かすみちゃんだって温かいよ」
かすみ「当然です!だって、侑先輩とくっついてるんですから♡」
侑「そうだね。ドキドキで体が熱くなっちゃう」
かすみ「え?ドキドキしてくれるんですか?」
侑「う…うん///」ホッペカキカキ ──あれ?なんかこの反応も、なんだかいつもの先輩らしくない。
普段なら、逆にこっちが照れさせられるような返しをしてくるのに。
こんな照れた顔を見せる侑先輩珍しい。
大胆かな、と思ったけど、いつものかすみんらしく、くっついてみて良かった♡
これ、 なんだかいい雰囲気じゃない?
大好きな先輩と一緒に帰るなんて、王道中の王道シチュエーション!
かすみん、今すっごく青春してる!
──学校を出てきた頃は、おひさまが沈みかけて薄暗い空だったのに、
今はすっかりお月様がお空にのぼってる。
今日は満月で綺麗だなあ。
かすみんと侑先輩を照らしてくれるなんて、本当にロマンチック。
──あ、赤信号だ。
侑「かすみちゃん、ちょっとだけ手を離してもらっていい?」
かすみ「はい。どうしたんですか?」
侑「リップクリーム。赤信号のうちに塗っちゃおうと思って」
かすみ「この頃、乾燥してきましたもんねえ。どうぞ〜」 ………───。
リップを塗る侑先輩を、つい見つめてしまう。
スクールアイドルじゃないし、普段のお出かけでもお化粧しない人だから──
たまに見せる女の子らしさが、新鮮で可愛い。
くちびるをぱっぱっと鳴らして、クリームを馴染ませる仕草がちょっと色っぽくて、ドキッとしちゃう。
今はきっと、すごくぷるぷるなんだろうなあ。
────。
侑先輩と──キスしたい。
───ダメ。
今のこの時間だって十分幸せじゃん。一緒に帰れてるんだよ?
焦ることない。
でも──
ゆっくりしてたら侑先輩のこのくちびるが、いつか誰かに取られちゃう。
いや、もう誰かのものかも……。
────気になる……。 侑「かすみちゃん、信号変わったよ」
かすみ「え?ああっ、すみません!考え事してました!」
侑「ふふっ。離れないように、もう一度私にくっついて?」
かすみ「はい♡」
かすみ「あっ、その前に──」ガサゴソ
かすみ「じゃーん!先輩にレモンあめあげまーす!学校でしず子がくれたんですよお」
侑「わっ!ありがとうかすみちゃん!」
かすみ「はい、あーん、ってしてください♡」
侑「えっ?」
かすみ「かすみんがぽいっ、とおくちに入れてあげますよ♡はい、あーん」
侑「あ、あーん…///」
コロン かすみ「えへへ、どうですか?」
侑「かすみちゃんがドキドキさせてくるから、味がよく分からないな///」カラコロ
かすみ「え?」
侑「うそうそ!とっても美味しいよ」
かすみ「なら、良かったです♡涼しくなってくると、お口も喉も乾燥しちゃいますからね〜」
かすみ「今日のかすみんじゃないですけど、侑先輩も体調に気をつけてくださいね♡」
侑「うん。かすみちゃんは優しいね」
かすみ「でへへ〜♡じゃあ、もう一度温まるためにくっつきましょう♡」ダキッ
侑「離れないように、でしょ?もう…///」 ───閑静な住宅街──
侑「あっ、かすみちゃんのお家が見えてきたね」
かすみ「そうですね…」
侑「かすみちゃんがさっきくれたレモンあめも、ちょうど溶けたところだよ」
かすみ「そうですね…」
侑「……かすみちゃん?なんかぼーっとしてない?」
かすみ「わ!すみません!また考え事してて!」
侑「悩み事があるなら聞くよ?」
かすみ「だ、大丈夫です!これは……そう!どうやったらかすみんがもーっと可愛くなれるかなーって!」
侑「そっか。こんな時でもかすみちゃんは頑張り屋さんだね」
侑「だけど、無理してまた倒れたらダメだよ?」
かすみ「えへへ、心配してくれてありがとうございまーす♡」 危ない危ない。いつものかすみんで乗り切った。
けど───
核心的なことは何も言えないまま、ここまで帰ってきてしまった。
この赤信号が変わったら、侑先輩とお別れ。
2人きりの時間ともバイバイ。
今度いつ、こんな夢のようなシチュエーションが来る?
少しだけ肌寒くて澄んだ空気。
綺麗にかがやくお月様。
これだけならまた来るかもしれないけど…
同じ今日は、きっと二度と来ない!
今こそ頑張るんだよかすみん!
可愛い可愛いいつものかすみんなら行けるよ!
侑先輩に──思いを伝えるんだよ!
───よし! かすみ「侑先輩!」
侑「なに?」
かすみ「先輩って、キスしたことありますか?」
侑「──昨日、かすみちゃんとしたけど?」
かすみ「そうじゃなくて、くちです!まうすとぅまうす、です!」
侑「そ、そっちかー」
侑「恥ずかしいんだけど、まだ無いんだ。もう高校2年生なのにね」
かすみ「そんなことないですよお!かすみんだってまだですから!」
侑「なら私たち、仲間だね!」
かすみ「ですね〜♡」 かすみ「───」
かすみ「───でも…」
かすみ「それならかすみんと一緒に──」
かすみ「おくち同士でキスしたことある仲間に、なってくれませんか?」
侑「…………かすみちゃん?」
かすみ「私は───なりたい!」
「私、侑先輩が大好きです!」
「先輩のファーストキス……かすみんにください!」 言っちゃった…。
告白……しちゃった。
心臓がすっごくドキドキしてる…。
怖くて思わず目を閉じちゃう。
どんな言葉が返ってくるのか不安で、侑先輩の顔を見られない。
さっきまでの勇気は──
自信満々でキュートないつものかすみんはどうしたの? ──まだ侑先輩からの返事は無い。
今、どんなことを思っているのかな?
驚かせちゃったよね…。
こんなかすみん、初めてだもん…。
もし振られるなら、すぱっ!と振ってくれたほうが…
ああ、けど先輩のくちびるだけでも……
──なんて、そんな欲張りなかすみん可愛くない。
やっぱり私は、侑先輩にとってただの一スクールアイドルで──
ただのこうは───
ちゅう…
────────!!
え?
私のくちびるに──
柔らかい感触が押し当てられた。 少しだけ目を開けると、すぐそこに侑先輩の顔があった。
目を閉じて、私のくちびるに自分のを重ねてくれている。
かすみん、先輩とキスしちゃってる…!
…………。
何が起きたのかを理解した私は、もう一度目を閉じる。
ああ…。
夢でした時と違う。
ゆっくりと、時間をかけて、包み込んでくれる。
これが…私と侑先輩のファーストキス。
レモンあめと、先輩がさっきしていたリップ──これは、はちみつの香りかな?
2つが混ざりあった、はちみつレモンの味。
はじめてのキスは甘酸っぱいって言うけど、本当だったんだ。
静かに、私たちの唇が離れる。
長かったような、短かったようなひととき。
「えへへ。これで私たち、仲間だね」
にかっ、と侑先輩がはにかむ。
大好きな人とキスをしたという実感が、徐々に湧いてきて顔を熱くなる。 かすみ「ゆう…せんぱい…」
侑「かすみちゃんの気持ち、知ってたよ」
かすみ「えっ!?」
侑「璃奈ちゃんと保健室で話してるの、外で聞いてたんだ」
侑「先生に捕まったのは本当だけど、戻ってきたら、なんだか入っていきづらい雰囲気だったから…」
かすみ「そんな…かすみん恥ずかしいです……///」
侑「盗み聞きみたいな真似してごめんね」
侑「バレバレだったかもしれないけど──」
侑「今日はずっと、かすみちゃんにドキドキしてたんだよ?」
かすみ「ふぇっ?」 侑「私も…昨晩夢を見たんだ」
侑「今と同じ景色の中、かすみちゃんに告白されて、キスをする夢」
かすみ「侑先輩も…。ていうかそれ…正夢じゃないですか!」
侑「ううん、ちょっと違う」
侑「その夢では、かすみちゃんの方から私にしてくれたんだ」
かすみ「う゛っ…夢の中のかすみん、大胆ですね…」
侑「あはは。だからさ──」
侑「その夢を、正夢にしてくれないかな?」
かすみ「──それって……」
侑「かすみちゃんから、私にキスして?」
かすみ「うぇええっ…!!///」 かすみ「──そ、そんな…!かすみんそんなの無理です…!昨日のほっぺでさえ恥ずかしかったのに…!!」
侑「ううん、して欲しい」
かすみ「そりゃかすみんだってもっとしたいですけど…!うう…///」
かすみ「侑先輩は…本当にかすみんのこと、好きなんですか?」
侑「好きじゃなかったら、キスだってしないし、こんなこと言わないよ」
かすみ「確かにかすみんは可愛いから、好きになるのも無理はないですけどっ──」
かすみ「ちゃんと…侑先輩の気持ちを──先輩の言葉で聞きたいです…」
侑「───」
侑「───ちょっと恥ずかしいんだけどね」 侑「私は先輩だから、かすみちゃんの前ではずっと余裕ぶってたんだ」
侑「かすみちゃんがいつでも安心して甘えられる──頼りたいって思ってもらえるような、かっこいい先輩でいなきゃ、って」
侑「かすみちゃんもきっと、そんな先輩としての私が好きなんだろう、って」
侑「けど、夢の中でかすみちゃんとキスをして──」
侑「保健室の前で、かすみちゃんの純粋な想いを聞いて──」
侑「スクールアイドルや後輩じゃなくて、1人の女の子として意識しちゃってた」
侑「私、かすみちゃんに恋しちゃったんだ」
侑「今日もずっと先輩らしくいようと思ったけど、なんかいつもの調子じゃなくてさ──」
侑「かすみちゃんの可愛さや甘えてくる仕草に、今までに無いくらい心が揺さぶられてた」
侑「気づいたら私、かすみちゃんにとって、一人の女の子になりたいって思った」
侑「こうして家まで送るのだって、心配だったのももちろんあるけど──」
侑「かすみちゃんと、もっと一緒に居たくて」
侑「普段はしないリップもしてみたり──」
侑「今日、もしかしたら夢みたいにキスできないかな、とか淡い期待しちゃってさ」
かすみ「ゆう…先輩……」
侑「あ、あはは…。変だよね、私」
侑「こんな小さなきっかけで、かすみちゃんを好きになって…、らしくない事までしちゃって…」
かすみ「───」
かすみ「───かわいい」
侑「え?」 || ̄ ̄ ̄ ̄| ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄|| キキーッ
|| ̄ ̄ ̄ ̄|│ ̄ ̄ │□□ │ ̄ ̄ ̄│□□□――||
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...从cι˘σ ᴗ σ˘* ...从cι˘σ ᴗ σ˘*
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...从cι˘σ ᴗ σ˘* ...从cι˘σ ᴗ σ˘* ...从cι˘σ ᴗ σ˘*
...从cι˘σ ᴗ σ˘* かすみ「侑先輩、すっごく可愛いです!かすみんに負けないくらい可愛いです!」
侑「そ、そんなことないよ…!かすみちゃんのほうがずっと可愛いって!」
かすみ「いいえ、かすみん嬉しくてトキメいちゃいました!」
かすみ「ほら、顔を近づけてかすみんの目をよく見てください!」
かすみ「今、目が♡になってますよ」
侑「え?ほんと───」
ちゅっ
侑「───っ///」
かすみ「えへへ、これで正夢になりましたね♡」
侑「ふ、ふいうちなんて反則だよ…かすみちゃん」
かすみ「かすみんだって、いきなり侑先輩にキスされたので、おあいこです♡」
侑「もう…かすみちゃんったら」 かすみ「理由なんて関係ありません」
かすみ「侑先輩に好きになってもらえて、かすみん幸せです!」
かすみ「───」
かすみ「だから───」
かすみ「もう一度、侑先輩にキスしていいですか?」
かすみ「せっかく想いを確かめあったんですもん」
かすみ「もっともーっと…したいです」
侑「もう恥ずかしくない?」
かすみ「はい。侑先輩の気持ちを聞いたら──」
かすみ「恥ずかしさよりも、かすみんの気持ちをいっぱい伝えたいって気持ちのが、大きくなっちゃいました」
侑「──分かった。来て」
侑「………ん」
──あっ…。
侑先輩が目を閉じて、くちびるをほんのりつんととがらせる。
私の気持ちを、受け止めようとしてくれてる。
月明かりしかない夜の中でもわかるくらい、ほっぺが赤くなって可愛い。
こんな表情、きっとかすみんしか知らないよね?
今の侑先輩は、かすみんだけの女の子ですよ。 ちゅむ…
侑先輩の顔をそっと手で包んで、キスをした。
さっきの重ねるだけのキスとは違う。
唇で甘噛みするように、はむはむする。
柔らかくて、温かくて、好きって気持ちが溢れてくる。
夢に見るほど求めた、幸せな時間。
家でも練習しちゃうくらい、したかったもん。
もう侑先輩の味を、感触を、夢のように忘れたくないもん。 侑先輩も返すように、私のくちびるをはむはむしてくる。
かすみんの一方通行じゃない。
求めるようなキスに、 心がきゅうっ、と初めての感覚に締め付けられた。
侑先輩のこの気持ちを──
私を好きになってくれた気持ちを、大事にしたい。
先輩にとって、一番素敵な女の子でいたい。
大好き──大好きです、侑先輩。 お互い名残惜しげにくちびるを離す。
時間を忘れるほどキスをしたいけど、侑先輩はおうちに帰らなくちゃ。
「ありがとう、かすみちゃん」
「大好き」
最後にぎゅっ、と抱きしめてくれた。
かすみんもぎゅっ、と抱き返す。
これまでも侑先輩とくっついたことは何度もあったけど──
今が一番、温かかった。
私のことを大切に思ってくれていることが、ハグの強さから伝わってきて──
ちょっと泣きそうになっちゃう。
「かすみんも、大好きです」
涙をこらえて、そう返した。
気がついてみれば私たち、ずっとこの住宅街の中でこうしていたんだ。
あまりに静かすぎて、世界にはかすみんと侑先輩しか居ないように感じたし──
私の目には、ずっと侑先輩しか映っていなかった。 視界の端に、緑の光が──ちょうど青信号みたい。
お別れの時間。
「バイバイかすみちゃん、また明日ね」
「はい、また明日です。侑先輩」
横断歩道を渡り、少し歩いたところで玄関の前に着く。
歩いてきた道を振り返って見てみると、侑先輩の背中が遠くに小さく見えた。
聞こえるわけないけれど、ぽつりと呟く。
「明日もいっぱい、キスしましょうね♡」
────────
─────
── ────
──ゃん…
───…ちゃん…すみちゃん……!
────かすみちゃん!
侑「かすみちゃん!!」
かすみ「わ゛あ゛あ゛っ!な、なんですか!?」
侑「良かったあ。起きてくれた」
侑「かすみちゃんが居眠りなんて珍しいね」
かすみ「えっ!?ご、ごめんなさい!かすみんつかれてたのかな?」
侑「今は昨日できなかった話し合いの最中だよ。ちゃんと起きててね」
かすみ「はい…」
侑「まだ眠いなら、私が目の覚めるおまじないしてあげよっか?」
かすみ「おまじない?」
かすみ「そんな〜、かすみんはわがままプリンセスなので、おはようのキスくらいしてもらわないと──」
ちゅっ
侑「どう?目、覚めた?」
かすみ「はい…///」
かすみ「───えへへ♡」
侑「どうしたの?」
「かすみんの夢も、正夢になっちゃいました♡」
おわり とてもよかったです
うまく言えないけど信号の表現が好きでした いいもん見させてもらった
ありがとう
構成がきれいで、描写も丁寧だなと思いました。あと侑なら本当にこう言いそうって感じの台詞だった全編
乙! 前にもゆうかす書いてくれた人かな?
心が最高に幸せになったよありがとう 丁寧な心理描写がとても良き……
素晴らしいゆうかすをありがとうございました!!!!! ■ このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています