【SS】愛「スクールアイドル部か…また面白そうなことになってきたねぇ…」
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ーー10月頃
侑「スクールアイドル部…?」
栞子「はい…スクールアイドル部がある限り、スクールアイドル同好会の活動は認めないと言われてしまいまして…」
栞子「部を設立したランジュは理事長の娘で、私の幼馴染なんです……。最高のスタッフと環境を整えた部で、同好会でできなかったことをさせてあげるから、同好会を捨ててこい、と言っていまして…」
かすみ「なんですかそれ…理事長の娘だからって好き放題やりすぎですよ…」
栞子「すみません…私の力及ばず…」
彼方「栞子ちゃんが謝ることじゃないよ…」
璃奈「つまり…ニジガクのスクールアイドルとして活動を続けるには、部に入るのが条件……」 栞子「私は…ランジュを放っておくわけにはいきません…ですからとりあえずスクールアイドル部に入ろうかと思っています。部内から同好会の手助けすることもできるかと思いますので…」
せつ菜「…なるほど、わかりました」
栞子「部に移ればすぐに練習もできるかと思いますので、皆さんも一度考えてみてください…」
愛・しずく・歩夢「…」 ーー
愛「スクールアイドル部か…また面白そうなことになってきたねぇ…」
しずく「えぇ…そうですね」
愛「歩夢はどうする気?」
歩夢「私は侑ちゃんがどっちに行くか、それで決めるよ」
愛「…相変わらずゆうゆ一筋だねぇ」
しずく「愛さんは部に移るつもりですか?」
愛「もちろん…また面白そうなこと思いついちゃったからね…!」
しずく「…あなたも変わりませんね」
愛「ふふっ…」 歩夢「しずくちゃんはどうするつもり?」
しずく「私は同好会に残りますよ」
愛「へぇ〜意外」
歩夢「てっきり部に移ってかすみちゃんのこと曇らせるつもりだと思ってたよ」
しずく「…“まだ“早いです」
歩夢「え?」
しずく「私が見たいのは最高に曇ったかすみさんの顔ですから…!」 ーー数日後
侑「みんなは…どうしたいか決まった?」
一同「「……」」シーン
愛「はーい」ヒョイ
愛「アタシ、部に行くよ」
彼方「…え?…本気?」
愛「本気だよ、だってこのままだと練習もできないでしょ?」
かすみ「確かにそうですけど…」
愛「アタシは練習だけでもしておきたいし、何にもしらないまま部を否定するのは嫌だからさ」
侑「……じゃあ、部に行くのは愛ちゃんってことで…」
果林「…私も行くわ」 一同「「えっ?」」ザワッ
エマ「…嘘だよね?果林ちゃん…」
果林「私が目指しているのはスクールアイドルのトップ。お友達を作りに同好会に入ったわけじゃないもの…」
かすみ「……何でですか……今までみんなで頑張ってきたって言うのに…酷いですよ…」グスッ
果林「何でもかんでも一緒っていうのは違うと思う。私たちは仲間でありライバル同士、だからお互いを高め合う関係でいたいわ」
しずく「……」 ーースクールアイドル部
ランジュ「いらっしゃい!歓迎するわ!愛!」
愛「よろしくね〜!」
ランジュ「果林も入ってくれるって聞いたけどまだ来てないの?」
愛「うん、ちょっと用事があるから遅れるってさ」
ランジュ「そう、わかったわ」
愛「いきなりなんだけどさ、愛さんランジュに聞きたいことあるんだけどいい?」
ランジュ「無問題ラ!何でも聞いてちょうだい!」
愛「…ねえ、ランジュは同好会のみんなを部に入れたいの?」
ランジュ「えぇ!仲間は多い方が楽しいもの!だからこそ最高の環境を用意したのよ!」
愛「…ふーん」 ランジュ「…だからなぜ同好会の子たちがこないのか理解できないわ。どうすれば来てくれるのかしら?」
愛「…そんなの簡単だよ」
ランジュ「…?」
愛「みんなが部に入らざるを得ない状況を作るだけ、簡単でしょ?」ニコッ
ランジュ「なるほど!確かにその手があるわね!」
ランジュ「じゃあこんなのはどうかしら!監視委員会を作るの!同好会が活動してるのを見かけたら監視委員会が妨害を…」
愛「…あのさ」
愛「…それ本気で言ってる?」 ランジュ「もちろん本気よ!何か文句があるの!?」
愛「監視委員なんてアニメや漫画みたいなことしたってムダだよ」
愛「活動の妨害なんてしたところで所詮ただの嫌がらせ…むしろみんなは部に対する反発意識を強めて部に入ろうとなんてしなくなる」
愛「…もしかしてそんな事もわからないの?」クスッ
ランジュ「何よそれっ…!じゃあ愛にはもっと良い考えがあるって言うの!?」
愛「…もちろんあるよ」
ランジュ「何よ、教えなさいよ…」
愛「…ねえ、知ってる?」ニヤッ ーー翌日
侑「みんな、集まってくれてありがとう」
かすみ「急にどうしたんですか…?」
侑「私、昨日ずっと考えてたの…」
侑「私、やっぱりみんなと一緒に同好会を続けたい!このまま止まってちゃダメだって、前に進まなきゃって思ったの!」
せつ菜「侑さん…!」
歩夢「…」
侑「それに私は、みんなの1番近くで、それを応援したい!」
侑「みんなはどうかな…?」
せつ菜「もちろんですよ!私が今こうしてスクールアイドルでいられるのも、侑さんのおかげなんですから!」
璃奈「うん、私も続けたい!」
かすみ「こうなったら部をギャフンと言わせちゃいましょうよ!」 しずく「……」フフッ
歩夢「…そうだね」
彼方・エマ「…」
侑「みんな…!」
せつ菜「こうなったら、まず先のことを考えなくてはいけませんね。練習は外でできるとおもいますが、校内でのライブの許可は下りないと思いますし…」
かすみ「それならゲリラライブなんてどうですか?」
侑「ゲリラライブ?」
かすみ「場所も時間も告知しないでいきなりライブを始めるんです!これなら許可なんていりませんし、かすみんたちのやり方で同好会の魅力を伝えられるはずです!」
璃奈「たしかに、これなら味方や応援してくれる人も増えるはず」 しずく「いい考えだと思います!」
侑「目標があれば練習も頑張れるしね!」
せつ菜「よーし!それじゃあみんなで頑張りま…」
エマ「みんな!」
侑「どうしたの?エマさん?」
エマ「…私、部に行くことにしたの」
一同「「えっ…?」」ザワッ
璃奈「そ、そんな…」
彼方「…ごめんね、彼方ちゃんも部に行こうと思ってるんだ…」
せつ菜「か、彼方さんまで…?ど、どうしてですか…?」 彼方「……き、興味を持ったんだよねぇ〜…部がどんな感じなのか…さ…」
エマ「…わ、私も…」
かすみ「…サイテーです」ボソッ
かすみ「エマ先輩と彼方先輩まで裏切るんですか!?」
エマ・彼方「…‼」ビクッ
かすみ「それになんで今なんですか!?せっかくみんなで頑張ろうってなってたのに!!自分勝手にも程があります!!」
彼方「…」プルプル
エマ「…彼方ちゃん!」 しずく「かすみさん!言い過ぎだよ!!」
かすみ「…でも!!」
エマ「…ごめんね、今言うべきことじゃなかったよね」
エマ「でももう決めたことなんだ……本当にごめんね…」
せつ菜「…どうして、ですか…?」 ーー数日後、スクールアイドル部
彼方「はぁ、はぁ」ゼーッゼーッ
エマ「こ、これが部の練習…」ハーッハーッ
果林「プロの考える練習メニューってすごいのね…」
愛「もうついていくのに精一杯だよ〜」ハァ
ランジュ「何?もう息が上がってるの?まだ半分も終わってないわよ!」
栞子「全く、昔からやることに隙がないですね…」
…
彼方「…!」ハッ
彼方「彼方ちゃん今日シフト入ってたんだ…!ごめん、今日は帰る!」バッ ーーバイト先のスーパー
ガチャッ
彼方「お、おはようございま〜す」
パート「あら、時間ギリギリじゃない!準備もあるんだから早くしてちょうだい!」
彼方「あはは〜…すみませ〜ん、急ぎます〜」
…………
………
……
… 彼方(はぁ〜っ……)
彼方(やっぱり…同好会にいるべきだったのかな…)
客「おいっ!」
彼方「え?」
客「聞いてんのか!?ボケーっとしやがって!」
彼方「す、すみません…どうかされましたか?」
客「さっきお前のレジで半額の商品買ったのに値引きされてないじゃないか!」
彼方「ほ、本当ですか!申し訳ございません…すぐに打ち直させていただきます…」ペコッ
客「時間ないんだから早くしてくれ!」チッ
彼方(…何やってるんだろ、私) ーー夜、近江家
ガチャッ
彼方「た、ただいま〜…」
遥「おかえり!お姉ちゃん!」
彼方「…?お母さんは?」
遥「あれ?聞いてなかった?今日は夜勤だって言ってたよ?」
彼方「…‼」ハッ
彼方「そ、そっか…今日は彼方ちゃんがご飯作る日だっけ…」 彼方「ご、ごめんね〜…すぐ作るから待っててね〜…」アハハ
遥「…大丈夫?お姉ちゃん?」
彼方「え…?」
遥「なんかすごく無理してるように見えるよ…?」
彼方「…ほ、本当に大丈夫だよ」
遥「私もお手伝いするから、一緒にご飯作ろう?」
彼方「…」グスッ
彼方「…ありがとう、遥ちゃん」 ーー数日後、同好会の練習休憩中
しずく「…それにしても、彼方さんとエマさんが部に行くとは」
歩夢「どうしてだろう…2人とも同好会に残るって言いそうなのに…」
しずく「…愛さんからは何か聞いてませんか?」
歩夢「ううん…何も…」
しずく「何か関係あるんでしょうか…今回に関しては何も聞いてませんし…」
歩夢「…しずくちゃんはこれからどうする気なの?」
しずく「私は次にやることは決めてます」
歩夢「え?」
しずく「もうすでに手は打ってあるんです…」ニヤッ
歩夢「そ、それって…」
歩夢「かすみちゃんの髪留め…?」 ーー練習終了後
かすみ「…な、ない」
かすみ「しず子から貰った髪留め…どこいったの…」
かすみ「練習技に着替える前、確かにここに入れたはずなのに…」
かすみ「もしかして…盗まれた…?」
かすみ「ど、どうしよう…」
璃奈「かすみちゃん」
かすみ「…⁉」ビクッ
かすみ「ど、どうしたの?りな子?」
璃奈「…びっくりしすぎ」
璃奈「もうみんな帰っちゃうのに姿が見えなかったから、どうしたのかと思って」 かすみ「あ、ごめん、もう大丈夫だから一緒に帰ろ!」
璃奈「うん」
スタスタ
かすみ「…」
璃奈「…どうしたの?」
かすみ「うぇっ!?い、いや何でもない!」
かすみ「そ、それよりりな子、怪我、早く治って良かったね!」アセアセ
璃奈「う、うん」
璃奈(…かすみちゃん、何か焦ってるような)
璃奈「…あれ?あそこにいるのって…しずくちゃん…?」
かすみ「…!?」 スタスタ
トントン
璃奈「まだ帰ってなかったの……」
璃奈「…?」
璃奈「…しずくちゃん、泣いてるの?」
かすみ「…どうしたの?しず子?」
しずく「…‼」ギロッ
しずく「最低だよ!!かすみさん!!」
かすみ「…え?」
しずく「私のかばんにこんなもの入れるなんて!!」バッ
かすみ「…‼」
かすみ「こ、これっ……」
かすみ「しず子から貰った髪留め…?」 璃奈「ボ、ボロボロになってる…」
かすみ「な、なんでこんなっ…」
しずく「それを聞きたいのは私の方だよ…」
しずく「私があげたものをボロボロにして返すって…そんなに私のことが嫌いなの…?」ウルウル
かすみ「ち、違う!私がそんなことするわけ…」
しずく「言い訳しないでよ!!」
かすみ「違うってば!気づいたら無くなってて…」
しずく「…そんなに私が嫌いなら、いなくなればいいよね」フッ
かすみ「…えっ?」 しずく「…私、同好会やめる」
かすみ「…何言ってんの、しず子…?」
璃奈「…」
しずく「私、部に行く」
かすみ「…ぅ、うそ…だよね…?」
しずく「…本気だよ」
かすみ「な…なんで…!?」
しずく「…かすみさんが悪いんでしょ」
かすみ「うぐっ……い、行かないでよしず子………しず子にまで裏切られたら……私……ぅう…」 しずく「ごめんかすみさん、もう、決めたから」
かすみ「……ひぐっ、………ぅ…うぅ……な…なんでぇ……わたし……なんにも…してないのにぃ……」ボロボロ
しずく(……♡)ゾクゾク
しずく「…じゃあね、かすみさん」
かすみ「な…なんでぇ…しず子ぉ………」ボロボロ
璃奈「…」
璃奈(…何が目的なの?しずくちゃん…?」 ーー数日後、スクールアイドル部
ランジュ「しずくも入ってくれてだいぶ賑やかになってきたわね!」
愛「そうだね!それにしてもすごいよ、しずく!まだ入ってから数日しか経ってないのに練習についてこれるなんて!」
しずく「いえ、正直ついていくだけで精一杯ですよ」ニコッ
彼方「…」ヨロヨロ
エマ「…大丈夫?彼方ちゃん…?」
果林「最近やつれてきてるんじゃない…?ちゃんと寝てるの?」
彼方「う、うん…だいじょうぶだよ〜」
彼方「…そろそろバイトの時間だ」
彼方「ごめん…今日も帰るね〜…」
栞子「…」
ランジュ「お疲れ様、彼方!」
愛「頑張ってね〜!カナちゃん!」
彼方「う、うん…ばいば〜い」
ガラガラ ーー学校玄関
彼方(…はぁ…そろそろこの生活にも慣れるかと思ってたけど全然だな…)
彼方(…いけない、急がないと!)
ガチャッ(ロッカーを開ける)
ザァァァァッ
彼方(……⁉)ビクッ
彼方(なに、この紙…)
彼方(…手紙?)
彼方(…えっ) ーー翌日、スクールアイドル部
ガラガラ
エマ「あ、遅かったね、果林ちゃん」
果林「え、えぇ…ちょっと補習で…」
ランジュ「あら、彼方は一緒じゃないの?」
果林「…?ええ、今日は会ってすらないわね」
栞子「学校には来ているんでしょうか」
プルルルルル
しずく「私の携帯ですね…」
しずく「…侑さんから?」
ピッ
しずく「もしもし、どうかしましたか?」 しずく「…⁉」
しずく「う、うそ…ですよね…?」
しずく「…」プルプル
エマ「…どうしたの?」
ガチャッ
しずく「……そんな」ガタッ
果林「一体何があったの…?」
しずく「…か、か…彼方さんが…」
「亡くなったそうです…」 ーー病院
遥「…おねぇ…ちゃん………おねぇちゃん…ぅ…うううう………」グスッ
…
璃奈「…部のみんなが来たよ」
果林「病室には…?」
侑「……遥ちゃんとお母さんだけ」
栞子「…なぜ…死因は何だったのですか…?」
歩夢「……自殺だって」
しずく「…じ、じさ…つ?」
侑「…具合が悪いっていって学校を休んでたらしい…それで……学校が終わって……遥ちゃんが帰ったら……部屋で…彼方さんが………」グスッ
愛「……どうして」 かすみ「…はははっ」
かすみ「はははははっ!!これもみんなスクールアイドル部のせいですよ!!!!」
一同「「!?」」
かすみ「どうせ辛いメニューでも与えて彼方先輩を追い込んだんですよ!!!!違うんですか!?!?」
せつ菜「か、かすみさん!!」
果林「違うわ!確かに練習は厳しかったけれど、自殺に追い込むほどのものじゃ無かったわよ!」
エマ「…」
かすみ「じ、じゃあ……なんで死んじゃったんですか……死ぬ必要なんて…なかったじゃないですか……」グスッ ランジュ「…そうよ、何で自殺なんてするのよ…」
エマ「…‼」
グッ(胸ぐらを掴む)
ランジュ「……ウグッ‼」
エマ「…ふざけないでよ!!!!」
エマ「全部…全部あなたのせいでしょ!!!!」
ギュウウウウッ
果林「やめて!エマ!」グイッ
パッ
ランジュ「…ハァッハァッ……な、何するのよ!」
璃奈「な、何があったの、エマさん?」
エマ「…」
エマ「……私と彼方ちゃん…脅されて部に入ったの」
一同「「!?」」
栞子「ど、どういうこと…ですか…?」 ーー1週間ほど前
ランジュ『よく来てくれたわね、2人とも』
彼方『なぁ〜に〜、話って』
ランジュ『あなたたち、部に入る気はない?』
ランジュ『最高の設備やプロのスタッフを用意してるの、レベルアップするには素晴らしい環境よ!』
エマ『…悪いけど、私は入らないよ』
彼方『彼方ちゃんも同好会にいたいからお断りかな〜』
ランジュ『…今の活動できない状況でも?』
エマ『うん、私は侑ちゃんたちと頑張りたいから』
ランジュ『…そう』
ランジュ『そういえば…』
ランジュ『…彼方は特待生、エマは留学生なのよね?』 エマ『…だったら何?』
ランジュ『突然取り消されたら困っちゃうわよね〜?』ニコッ
エマ・彼方『!?』
ランジュ『だって留学を取り消されたらエマはスイスに帰らなくちゃならないし、特待生を取り消されたら彼方はスクールアイドルなんて続けられなくなっちゃうものね?』
彼方『ほ…本気で言ってるの…?』
ランジュ『まあ、同好会を捨てて部に来るのであれば…話は別よ?』
ランジュ『よく考えることね…』
エマ『なんて卑怯な…』
ランジュ『あと、このことを誰かに話でもしたら…わかるわよね?』
…………
………
……
… せつ菜「…なんですかそれ」
栞子「今の話、本当ですか、ランジュ?」
ランジュ「な、何よ…仮に本当だとして、彼方が死んだのと何の関係があるのよ…」
ランジュ「私が殺したみたいな言い方しないで!!」
エマ「…もう許せない!」バッ
果林「やめて!エマ!」ガシッ
エマ「…離して、離してよ!果林ちゃん!」ポロポロ
栞子「…ランジュ…今日は帰ってください。この話はまた今度聞きます…」
ランジュ「い、言われなくても帰るわよ…!」
一同「「……」」 ーー数日後
しずく「あっ、歩夢さん…」
歩夢「ごめんね、遅くなって…」
しずく「いえっ…」
歩夢「…しずくちゃん、大丈夫?」
しずく「…はい。以前に比べればだいぶ落ち着きました…」
歩夢「…そっか。それで…話って…?」
しずく「……もう愛さんに関わるの、やめませんか?」
歩夢「……!」
しずく「私…考えたんです…彼方さんのこと…」
しずく「彼方さんの性格からして、部の練習が辛いから自殺なんて…あり得ないと思うんです…」
歩夢「確かに…遥ちゃんやお家のためにあんなにアルバイト頑張ってたくらいだし…」
しずく「恐らくですが…愛さんが何かしたんですよ…」
歩夢「……」 しずく「確証はないです…でも…こんなことするのは愛さんしかいないと思います…」
しずく「私は…誰かが死ぬなんて思ってもみなかった…」
歩夢「私もだよ…」
しずく「正直…怖いです…」
しずく「私はかすみさんを曇らせたいがために、結果だけを考えて軽い気持ちで行動してきました…」
しずく「でも私が今までしてきた行動は、下手すれば命を奪っていたかもしれない…彼方さんが亡くなって初めて実感したんです…」
歩夢「…実は私も、もう辞めたいと思ってたんだ」
歩夢「私がいくら侑ちゃんのことを縛りつけたとしても、侑ちゃんは必ず前に進もうとする…」
歩夢「…だからもう諦めたの」 しずく「歩夢さん…」
歩夢「…でも、私たちが人を傷つけた罪は消えない…」
しずく「分かっています…私はいずれ罪を償う気でいますから…」
歩夢「…そっか…そうだね」
しずく「…とりあえず、愛さんとは距離を置きましょう」
しずく「…明日にでも、同好会に戻るつもりでいます」
歩夢「…わかった、また一から頑張ろうね」
しずく「…はい」
???「………」 ーー同日、駅のホーム
かすみ(しず子とは喧嘩したままだし…)
かすみ(彼方先輩は死んじゃうし…)
かすみ(どうしてこうなっちゃったんだろう)
かすみ(ああ…私、何のために生きてるのかな…)
「まもなく電車が通過いたします…危ないですから…」
かすみ(もう…消えちゃってもいいかな…)
ブオーン
ドサッ
グチャッ
ゴォーーーーーーーーーッ 嘘だろ…もうかすみんが死ぬとか…もうここから怒涛の全滅END確定じゃん… ーー夜、せつ菜の家
プルルルルル
せつ菜「ん?」
せつ菜「歩夢さんから…?珍しいですね…」
ピッ
せつ菜「もしもし?」
歩夢『せ、せつ菜ちゃん!?ねえ、まだあの話…聞いてない?』
せつ菜「ん…?あの話…?何のことですか?」
歩夢『い、いい?落ち着いて聞いてね…?』
せつ菜「…は、はい」
歩夢『か、かすみちゃんが…電車に轢かれて…亡くなったらしいの…』プルプル せつ菜「え…?」
せつ菜「な、何言ってるんですか…!変な冗談やめてくださいよ…!」ブルブル
歩夢『……冗談に…聞こえる?』
せつ菜「い…いえ…っ…」
せつ菜「な…なん…なんで…ですか…」ポロポロ
歩夢『詳しいことはまだわからないみたい…』
せつ菜「………」ポロポロ
歩夢『…それともう一つ聞きたいことがあってかけたの…』
歩夢『…今、侑ちゃんと一緒じゃない?』 せつ菜「…えっ?」
せつ菜「いえ…一緒じゃないですよ…」グスッ
歩夢『…そう』
せつ菜「…何でですか?」
歩夢『………』
歩夢『…侑ちゃんがまだ…家に帰ってないみたいなの…』 ーー翌朝、公園
せつ菜「…おはようございます」
璃奈「…おはよう」
璃奈「…ごめんね、朝早く呼んで」
せつ菜「…いえ」
璃奈「…侑さんのこと、何かわかった?」
せつ菜「…まだ家に帰ってないそうです」
璃奈「そんな…」
せつ菜「……」
せつ菜「彼方さんに続いてかすみさんや侑さんまで……どうして……」
璃奈「…ねぇ」
璃奈「…やっぱりおかしいと思わない?」
せつ菜「……えぇ」
璃奈「私は…彼方さんもかすみちゃんも簡単に自殺する様には思えないし…侑さんも何も言わずにいなくなったりしないと思う…」
せつ菜「…私もそう思います」 せつ菜「…歩夢さんのことは注意深く見ていましたが…恐らく何もしていなかったはずです…」
せつ菜「それに、昨日電話をしましたが…歩夢さんも声が震えていたので…関わっているようには思えませんでした…」
璃奈「…私はしずくちゃんのことは見てたけど、直接的には何もしてないはず…」
せつ菜「…直接的には?」
璃奈「…うん、かすみちゃんを傷つけてた……でも…自殺に追い込むほどではなかったと…思う…」
せつ菜「となると…」
璃奈「…」コクリ
璃奈「怪しいのは…愛さん…」
???「なるほどね」
せつ菜・璃奈「!?」ビクッ
…………
………
……
… ーー
(ごめんね彼方ちゃん、私…彼方ちゃんのこと守ってあげられなかった…)
(でももう寂しくないよ…)
(だって私も…)
(すぐにそっちに行くから…) ーー同日、スクールアイドル部
栞子「以前の話の続きをしましょう」
ランジュ「何よ…話すことなんて何もないわ…」
栞子「いえ、あります」
栞子「彼方さんとエマさんを部に入れるのにどうして脅したのですか?」
ランジュ「脅してないわ!ただそういうこともできるってアピールしただけよ!直接言ったわけじゃないわ!」
栞子「手段をチラつかせるのは脅しているのと同じです」
ランジュ「…っ!」
栞子「…それに、何か隠してますよね?」
ランジュ「な、なんのこと…」
栞子「ランジュとは長い付き合いなんです、何かあることくらいわかります」
栞子「それに、あなたはいつも滅茶苦茶なことはしますが、悪意があってのこういうことはしません」
ランジュ「……」
栞子「何があったのですか?」 ーー愛が部に入った頃…
愛『…ねえ、知ってる?』ニヤッ
愛『カナちゃんは家族のために必死で勉強して特待生を維持してるんだ』
愛『それとエマっち、見ての通り留学生だから留学取り消しになんてなったら大変だろうな〜』
ランジュ『それが部と何の関係があるのよ…』
愛『え?分からない?』
愛『これをチラつかせて脅すんだよ』
ランジュ『なるほど…』
愛『どう?これなら確実に入ってくれると思うよ?』 …………
………
……
…
栞子「…愛さんが?」
ランジュ「…ええ、そうよ」
栞子「…本当ですか?」
ランジュ「本当よ!ランジュが今まで嘘ついたことある!?」
栞子「いえ…すみません、あまりに信じ難い話だったので…」
栞子「それにしても…なぜ愛さんのことを隠していたのですか?」
栞子「口約束だけであれば、言ってしまっても良かったはずです。そうすればあの時、エマさんへの誤解を解くことができたのに…」
ランジュ「…無理なのよ」
栞子「…え?」
ランジュ「…私も愛に脅されてるの」 …………
………
……
…
ランジュ『まあ、同好会を捨てて部に来るのであれば…話は別よ?』
ランジュ『よく考えることね…』
エマ『なんて卑怯な…』
ランジュ『あと、このことを誰かに話でもしたら…わかるわよね?』
……
ランジュ『ちょっとこれ…!何で撮ってるのよ!』
愛『そんなのもちろん、ランジュを脅すために決まってるでしょ?』
ランジュ『どういうことよ!』
愛『いい?これはランジュが独断でやったこと、私には関係ない』
ランジュ『待ちなさいよ!私1人に押し付けようとして、あなたも共犯じゃない!』
愛『いーや違うね』 ランジュ『許せない…!ママに言いつけてやるんだから!』
愛『じゃあアタシはこの映像を部や同好会のメンバー、いや学校中のみんなに見せるけどいい?』
愛『証拠もないただの言葉と、この映像だったらどっちを信じるかなぁ?』ニヤァッ
ランジュ『…!?』
ランジュ『…わかったわ…愛と関係があったことは言わない…これで満足?』
愛『そうそう、それでいいんだよ』ニコッ
…………
………
……
… 栞子「…そんなことが」
ランジュ「…まさか彼方が死んでしまうなんて思わなくて…」
栞子「なぜ私には話してくれたのですか?」
ランジュ「…長い付き合いだから…栞子は信じてくれると思った…それだけよ」
ランジュ「どうせ周りのみんなは信じてくれないわ、エマの反応を見ればわかる。それに映像もあるんだもの…」
栞子「…」
栞子「…やっぱり正直に言いましょう」
ランジュ「……えっ?」
栞子「私はランジュのことを信じます!だから、一緒に説明しましょう!」
ランジュ「…嫌よ」 栞子「どうしてですか!?このままだとランジュが彼方さんを自殺に追い込んだ犯人にされてしまいますよ?」
ランジュ「それでもいいわ!だから本当のことを言うのだけは嫌!」
栞子「どうしてそんなに頑固なのですか?私を信じてください!」
ランジュ「ぃゃ…」ブルブル
ランジュ(栞子のことは信じてるわ…)
ランジュ(でも…)
愛『ちなみにもしバレるようなことがあれば…』
愛『…容赦なく殺すからね?』 栞子「ほら、行きますよランジュ」
ランジュ「嫌って言ってるでしょ…」
栞子「もうっ…」グイッ
ランジュ「…!?」ビクッ
ランジュ「…やめて!!」
ドンッ
栞子「うっ…」ゴツン
…… ランジュ「…しまった!テーブルの角に!」
ランジュ「…大丈夫!?栞子!!」
栞子「…」
ランジュ「…」サワサワ
ランジュ(…良かった、気絶してるだけ…)
ランジュ(このまま置いておくわけにはいかないわね…)
ランジュ(とりあえず…ソファに寝かせて…と…)
ランジュ「もう1度愛と話さないと…」 まだ見ている人がいるかわかりませんが、長いので続きは明日書きます ーー同日、同好会部室
愛「…よし、こんなもんかな…」
ガラガラ
愛「…ん?」
???「ここ、同好会の部室だけど」
???「スクールアイドル部の人間が何をしてるの?」
愛「ああ、誰かと思ったら」
愛「カリンか」
愛「カリンの方こそ、同好会の部室に何の用?」
果林「同好会に用は無いわ、私はあなたを探してたのよ」 愛「ふーん、アタシを?何で?」
果林「…ねえ愛、あなた、侑がどこに消えたか知ってるわよね?」
愛「…何のことかな?」
果林「…とぼけなくていいわよ」
果林「私見たのよ、愛が侑のロッカーに手紙を入れてるのをね」
愛「…どうしてそれを?」
果林「…だって私が部に入ったの、あなたの監視のためだもの…」 愛「…!?」
果林「だから侑が見る前に中身を覗かせてもらったわ」
果林「『秘密の相談がしたいから、誰にも言わずこの手紙を持って20時に私の家に来て欲しい』だったかしら?」
愛「…そうだね」
果林「嫌がらせの手紙かと思って見ただけだったから実際に行ったわけではないけれど……今の状況じゃ話は別よね?」
果林「電話やメールだともし公になった時、バレる可能性がある。だから自ら処分できる手紙を選んだ、あってるかしら?」
愛「…」 果林「…侑はどこなの?」ゴクリ
愛「…」
果林「…このまま何も言わないのであれば、私がこのことを警察に伝えるけれど」
愛「……」ハァッ
愛「……もういないよ」
果林「……えっ?」
愛「だってもう死んじゃったから」ニヤァッ ーー昨日20時頃、愛の家
ピンポーン
愛『おっ、来てくれてありがとーゆうゆ!』
侑『全然、それよりこんな時間に来ちゃってご家族に迷惑じゃない…?』
愛『今日はみんな用事があって出掛けてるんだ、それにお店も休みだし心配しなくていいよ』
侑『そっか、お邪魔します!』
……
侑『ところで、相談って?』
愛『うん』
愛『ゆうゆはさ…』
愛『もし仮に今まで起きた事件の犯人が同好会のメンバーだって分かったら…どうする?』 侑『え…なんでそんな…』
愛『いや…こんな事件が同好会の中で続いてるのって…やっぱり犯人は近くにいるのかなって思っちゃってさ…』
愛『だからどうしても…ゆうゆの意見を聞いてみたくて…』
侑『…そっか』
侑『私は…その子の力になってあげたい…かな』
愛「…どういう意味?』
侑『あ、もちろん!協力するって意味じゃ無いよ?』
侑『きっと何か理由があってのことだと思うし、辛いことや苦しいことがたくさんあったんだと思う…』
侑『だから、その子が更生できるように…仲間として協力する…かな…?』
愛『なるほどね』 侑『まあ私は…同好会のメンバーが犯人だなんて思ってないけどね』
愛『やっぱり分かり合えないみたいだね』ボソッ
侑『え?』
愛『ううん、何でも!それよりお腹空いてない?』
愛『お店も休みだし、愛さんがもんじゃご馳走しちゃうよーっ!』
侑『ほんと!?やったー!』
……
愛『はいっ、いっちょあがり!』
侑『うわぁ〜っ!美味しそう!』
侑『いっただっきま〜す!』
パクッ
愛『どう?』
侑『すっごく美味しい!』 愛『そう…』
愛「それならよかった…』ニヤッ
侑『………ん?』
侑『…ぅ…うっぐ……』
愛『…どうしたの?』
侑『ご……ごめん……なんか…変な味がしたような…』
愛『…え!ごめんごめん!飲み物持ってくるね』
侑『……う…うん』
愛『はいっ…これ飲んで!』バンッ
侑『…ぁ…ありがとう……』 ゴクゴクゴク
侑『……⁉』ドタッ
侑『…か……カッ…ハァ……』
侑『………ぅっぐぅぅぅぅ……ガハァ……』
侑『……な………な…に……これ…?』
愛『あぁーっごめーん!』
愛『…これ、硫酸だったみたい!』ニコッ 侑『は………⁉』
侑『………ぅ……ヴォエェェェ』
侑『……ぃ…いたぃ……全身が…い…いた…い……』
愛『…綺麗事ばっか並べちゃって』
侑『……な……なん…で……こん…な……こと…』
愛『…ごめんね、恨むなら…』
愛『…私を裏切った歩夢を恨んでね』ニヤッ
…………
………
……
… 果林「…本当に…何を考えてるの?」ブルブル
愛「…別に理由なんてないよ」
果林「…だったら…だったら何でこんなこと!」
愛「…楽しいから」
果林「…は?」
愛「…楽しいからに決まってるじゃん!」ニヤァッ
果林「…狂ってるわ」
愛「ふふっ…ありがとう…!」
果林「…でも…もう無駄よ」
果林「…今、電話で璃奈ちゃんたちに繋いでるわ!」 愛「…ふーん」
果林「だから…もう諦めて自首しなさい」
果林「今ならまだ引き返して罪を償えるわ……」
愛「…」
果林「お願いよ…もうこんなことはやめて…」
愛「…嫌だね」
果林「どうして…」
愛「もう“3人も”殺してるんだから、何人殺ったって一緒だよ」
果林「……ぇ?」ゾワッ
果林「い、今…なんて…?」 ーー数日前
彼方(なに、この紙…)
彼方(…えっ?)
彼方(ネットの…書き込み…?)
『遥ちゃんの姉知ってる人おる?』
『虹ヶ咲とかいう無名の高校のスクールアイドルらしいぞ』
『この間SIFの開催に失敗して東雲と藤黄に泥塗ってたよな』
『うわぁww妹に迷惑かける姉とか恥ずかしくないのかなwww』
『なんかずーっと寝てるらしいよ、やる気ないんかな?』
『噂によると遥ちゃんの家貧乏なんだって』
『本当に遥ちゃんのこと思ってるならスクールアイドルなんてやるなよww余計金かかるだろwww』 彼方『な、に……これ……』
彼方『は…はははっ……』
彼方『やっぱり…私なんて…いない方が…幸せなのかな…』
ペラッ
『死亡保険金』
彼方『…』
彼方『…あぁ…その手があったか』
彼方(このまま部にいても辛いだけだし、バイトや家事にも支障がでちゃう……でも同好会に戻れば特待生は取り消し……どっちにしろお母さんや遥ちゃんに迷惑だよね……)
彼方(ごめんね…みんな…)
彼方(幸せになってね…遥ちゃん…) ーー同じく数日前
『まもなく電車が通過いたします…危ないですから…』
かすみ(もう…消えちゃってもいいかな…)
かすみ(…なーんて、かすみんらしくないですよね…)
かすみ(…ちゃんとしず子に謝って誤解を解かないと…)
かすみ(…それで、同好会に戻ってきてもらうんだ!)
ブオーン
かすみ(よしっ!元気出せ、私!) 愛『…』
ドンッ
かすみ『えっ…?』
ドサッ
ゴォーーーーーーーーーッ
かすみ『…なん…で?』
グチャッ
ゴォーーーーーーーーーッ
愛『裏切った罰だよ、しずく』
…………
………
……
… 愛「…そう、カナちゃんを自殺に追い込んだのも、かすみんを殺したのも私」
果林「…そ…んな」ガタガタ
愛「…こうなった以上、カリンも生かしてはおけないよねぇ…」バッ
果林「…ぐ…ぐぅ…」ガシッ
愛「…へぇ…抵抗するんだ」
果林「…こんなところで…死ぬわけには…」
愛「…」サッ
バリバリバリバリッ‼ 果林「…カッ…ハァッ!!」ガタッ
愛「へぇ……やっぱすごいねぇ…コレ」
果林「……スタン…ガン…?」
愛「…」フフッ
グサッ
果林「……グフゥッ…カハアッ…」
愛「あーあ、もうおしまい?」
愛「もう少し楽しめるかと思ったのに」
ガラガラッ‼
???「……」フーッフーッ
愛「…ん?」 愛「…誰かと思えば…しずくじゃん」
しずく「…絶対に許さない!あなただけは…絶対に…!!」
愛「ふーん…聞いてたんだ……」
愛「そんなに玩具を壊されたのが気に入らなかった?」
しずく「黙ってください!!」
しずく「なぜ…殺したんですか…!!」
愛「2人が私から逃げようとしたせいだよ…」
愛「裏切り者には罰が必要でしょ?」ニコッ しずく「…」グッ
しずく「……かすみさんを!返せぇぇぇっ!!」ダッ
ガシッ
しずく「…⁉」
グサッ
しずく「…ガハァッ……」ドサッ
愛「…アタシに勝てるわけないでしょ?何考えてんの?」 しずく「……グッ…ガァッッ……」
愛「怒りに任せて飛びかかるなんてらしくないね…」
しずく「…グッ……ウゥッ……」
愛「……そんじゃ、アタシはやることがあるか……」
グサッ
愛「ら……」
しずく「……フッ」ニヤッ
愛「……カハッ‼」
ボタボタ
ドサッ
愛「…いつ…から後ろに……」
歩夢「よくも侑ちゃんを…!」 愛「……な…なる…ほど……しずくは…おとりってことか……!」
愛「……フッ……歩夢たち…が…裏切る…から…悪いんだ…よ…」ハァハァ
歩夢「…だから殺すだなんて…どうかしてる!」
愛「………ふっ…はははははっ!!!」
愛「……最っ高…だったよ……ゆうゆの死に…‼」
歩夢「…黙って!!」
グサッ‼
愛「…グァァァァァァァッ‼」
愛「……クッ!」
ポチッ 愛「……」ピクピク
ガラガラ
せつ菜「果林さん!!」
璃奈「……えっ?」
璃奈「…な……なに?…これ?」ブルブル
せつ菜「……み…な……さん…?」
歩夢「璃奈ちゃんに…せつ菜ちゃん…」
せつ菜「……これ…どういう…こと…ですか?」 歩夢「……2人はどうしてここに?」
璃奈「…か…果林さんと…愛さんが…話し…てるのを…電話で聞いてて……変な声が…聞こ…えて…」ブルブル
歩夢「…そっか」
歩夢「…安心して2人とも、殺したりしないよ」
せつ菜「……歩夢さんが…殺したんですか…?しずくさんと…愛さんを…?」
璃奈「…3人は…仲間じゃ…なかったの…?」
歩夢「…私としずくちゃんね、愛ちゃんの危険性に気づいて距離を置こうとしたの」
歩夢「…でもバレちゃったみたい」 せつ菜・璃奈「…」
歩夢「…そのせいで…侑ちゃんとかすみちゃんが殺されちゃったんだ」
歩夢「…愛ちゃんを野放しにしてはおけない、…だから私としずくちゃんで協力して殺したの…」
璃奈「…そんな」
………
パチパチ
………
パチパチパチパチ
せつ菜「……?」
せつ菜「……待ってください、なんだか焦げ臭くないですか…?」
璃奈「…えっ?」 璃奈「…確かに…言われてみれば」
せつ菜「……」キョロキョロ
せつ菜「……ほらあそこ!燃えてます!」ハッ
璃奈「本当だ…!」
璃奈「火が小さすぎて気づかなかった…!」
メラメラメラメラ‼
せつ菜「なんだか凄い勢いで燃えてきてませんか…!?」
せつ菜「というよりどうして…!燃えるようなものなんてこの部室には無かったはずです…!」 璃奈「…‼」ハッ
璃奈「もしかして…!」バッ‼
璃奈「…愛さんの手に…スイッチ…!」
歩夢「多分、前に火事を起こした時の発火装置だ…」
歩夢「…どうりで落ち着いてると思ったら、学校ごと全部消すつもりだったんだね」
せつ菜「とんだ置き土産ですね……」
璃奈「とりあえず逃げよう!話はあとで!」
せつ菜「ええ!歩夢さんも!」
歩夢「…私はいいよ」 璃奈「なんで…!?このままここにいたら死んじゃう!」
歩夢「…こんなことしちゃって…もう戻れないよ」
歩夢「…それに、しずくちゃんや侑ちゃんが死んじゃってるのに…私だけのうのうと生きてなんてられない」
せつ菜「歩夢さん…」
歩夢「…私たち3人、みんなに…特にせつ菜ちゃんと璃奈ちゃんには迷惑かけちゃったから」
歩夢「…それだけは謝らせて、ごめんね」
璃奈「そんなのもういいから!早く逃げよう!」
歩夢「…ほら、火が近くまで来てる、早く行った方がいいよ」
せつ菜「…どうしても来てくれないつもりですか?」
歩夢「…うん」 璃奈「嫌だよ!歩夢さん!」
歩夢「…」
歩夢「…仕方ないね」
グサッ
歩夢「……グフッ」
せつ菜「歩夢さん…!?」
璃奈「なんで…!?」
歩夢「…ほら…これで…分かったでしょ…?」
歩夢「…ぐっ……早く…早く逃げて」 せつ菜「…」ギュウウッ
せつ菜「…もう間に合いません…逃げましょう」
璃奈「…でも!」
せつ菜「このままでは私たちも死んでしまいます…!」
璃奈「……」グッ
せつ菜「…すみません」
璃奈「ごめんなさい…歩夢さん…」
歩夢「……」ニコッ
タッタッタッ
歩夢(侑ちゃんがいない世界なんて意味ないよ…)
歩夢(侑ちゃん…私もすぐ…そっちに行くね…) ーー同じ頃
ランジュ「この階段も使えない…」
ランジュ「何なのよ…愛は見つからないし…」
ランジュ「それにこんな時に火事だなんて…おかしいわこの学校…!」
???「やっと見つけた…」
ランジュ「…!?」ビクッ
ランジュ「…なによ、ビックリさせないでよ」
ランジュ「…アナタも逃げ遅れたの?」
ランジュ「…ちょうど良かった!一緒に逃げましょうよ!まだ反対側が…」 グサッ
ランジュ「…ングッ」
ポタポタ
ドサッ
ランジュ「…カハァッ……な……なにするのよ……エマ!」
エマ「…何って、復讐だよ」
ランジュ「…ふく…しゅう…?」
ランジュ「…⁉」ハッ
ランジュ「…まって…違う…のよ……あれには…誤解が……」
エマ「うるさい…!」 グサッ
ランジュ「…ガハァ……グッ……ウウウウッ……」
エマ「…こうなったのも全部アナタのせいだから」
エマ「…私ももう戻れない」
エマ「…一緒に死にましょう」
ランジュ「……本当に…違う…の…」
ランジュ「………に…」
グタッ
エマ「…」ハァ
エマ(……これで……いいんだよね…)
…………
………
……
… ーー虹ヶ咲学園で発生した原因不明の大火事により、学校は全焼。スクールアイドル同好会の部室で、上原歩夢、宮下愛、桜坂しずく、朝香果林、学校内の廊下で、エマ・ヴェルデ、鍾嵐珠、スクールアイドル部の部室で三船栞子の遺体が見つかったと後日発表された…
ーー1ヶ月後
せつ菜「…どうですか、体調は」
璃奈「…もう大丈夫、だいぶ落ち着いたよ」
せつ菜「…そうですか…よかったです」
璃奈「…あのことは…言ったの?」
せつ菜「…え?」
璃奈「…愛さんが…犯人ってこと」
せつ菜「…言えるわけありません。もし言ってしまったら…お店や…ご家族は…」
璃奈「…知らない方が幸せなこともあるよ」
せつ菜「…ええ」 璃奈「…せつ菜さんは、これからどうするの?」
せつ菜「…とりあえず」
せつ菜「もうスクールアイドルなんて辞めます」
璃奈「…」
せつ菜「辛いことを思い出すだけですし、元はと言えば私が同好会を始めたのが原因ですから」
せつ菜「…もう…見たくも…ありません」
璃奈「…そっか」
せつ菜「…璃奈さんは?」
璃奈「…私もやめる」
璃奈「それに…」
せつ菜「…?」
璃奈「…もう誰も信じない」 ーー15年後
娘「ただいま…」
せつ菜「おかえりなさい」
娘「…昨日のテストです」サッ
せつ菜「どれどれ…」
せつ菜「……85点?」
せつ菜「小学校のテストで100点が取れないってどういうこと!?あなたまさか遊んでばっかりだったんじゃないでしょうね!!」
娘「…‼」ビクッ
せつ菜「どうなの!?答えなさい!!」
娘「…」ビクビク せつ菜「そう…答えないならいいです」
せつ菜「…もうスマホも没収します」
スタスタ
娘「…⁉」
娘「…ま、待って!ごめんなさい!」
ガチャッ
せつ菜「隠したって無駄です」
サーッ(引き出しを開ける)
せつ菜「…雑誌?」
せつ菜「……⁉」ビクッ
せつ菜「…スクール…アイドル…?」 せつ菜「…なんで…こんなもの…」
娘「ごめんなさい…お友達に教えてもらったの…」
せつ菜「……」
娘「あ、あのね!凄くかっこいいんだよ!私も高校生になったらスクールアイドルを…」
ビリビリビリビリビリ
娘「えっ…?」
ビリビリビリビリビリビリビリビリビリビリ‼ せつ菜「いい!?もう2度とこんな本読んじゃいけません!!それにスクールアイドルを見るのも禁止!!ましてやスクールアイドルになろうなんて絶対に考えるんじゃありません!!わかった!?」
娘「…ご…ごめんなさい」ブルブル
せつ菜「…ハーッハーッ」
せつ菜「……もしまたスクールアイドルになんて興味を持ったら」
せつ菜「絶対に許しません…!」 ーーIT企業
カタカタカタカタカタ
璃奈「…」フーッ
上司「…天王寺、どうだ進み具合は」
璃奈「…はい、順調です」
上司「…なぁ、今度転職する社員の送別会があるんだ、たまにはそういう集まりにも…」
璃奈「いえ、結構です…私…人付き合いとか要らないので」
上司「…そ、そうか」
上司「いつも遅くまで残って…仕事熱心なのはいいが…子供は大丈夫なのか…?まだ…小学生なんだろ?」 璃奈「食事はお金を置いてきてるので大丈夫です、それに…時々私の友達が様子を見に来てくれてるので問題ありません」
上司「…そうか、わかった…」
……
同僚A「ねぇ、天王寺さん、娘さんの授業参観とか全く行かないんだって…」
同僚B「旦那さんとも離婚するって話だろ…?このままで大丈夫なのか…?」
同僚A「それに、私の友達の子が天王寺さんの娘さんと同じ学校らしいんだけど…娘さん、全く感情表現できないんだって…」
同僚B「…アイツも全く感情表現できないみたいだし…心配だな…」 >>113
小学校のテストで85点とったら良い方じゃない? ……
璃奈(…全部聞こえてる)
璃奈(…人の心配なんかしてくれちゃって、余計なお世話)
璃奈(…人と繋がるなんてどうせ無意味だよ)
璃奈(…だって)
璃奈(人なんて信用したところで…どうせ…裏切られるんだから) 途中しずくとかが簡単に退場し過ぎな気がした
けど楽しめました
おつでした 乙…これ生き残ったせつ菜と璃奈も結局幸せになれてないの辛すぎる… 乙
やはり毒親に育てられた子は毒親になるんだね
あとなんでりなりーは結婚して子ども作ったの >>125
世間体もあるし、親の勧めで見合いとかさせられたんじゃない? >>125
没にした報われエンドの名残りなんです… シリーズもこれで完結かな
どんどん取り返しつかなくなっちゃったけど結構楽しめたわ乙 このりなりーなんで結婚してるの?
親が決めたから仕方なくかな? ■ このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています