愛「『攻略してほしい女がいる』……?」璃奈『無理なら絶対に返信しないように』
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愛「面白いじゃん、愛さんに落とせない女の子なんていないよ!」ポチッ
璃奈「愛さんなら、そう言ってくれると思ってた」
愛「りなりー! 何ですぐ近くにいるのに、わざわざLINEしたの?」
璃奈「こっちの方が、カッコいいと思ったから」
愛「確かに……。これから何かが始まる! って感じはしたけどー」
璃奈「うん。それで、LINEで送った通り、愛さんには、これからある女の子たちを攻略してほしい」 果林「でも、エマが『失敗しても良い』、『頑張るな』って言ってくれて、リラックスできたわ」
エマ「うふふ、役に立てたなら良かった」ニコニコ
エマ「果林ちゃんはそういうとこも含めて素敵なんだから。自分らしくしていれば良いんだよ」
エマ「時には甘えることも忘れずにね?」
果林「……ええ」
姫乃(あんな果林さん、初めて見た。エマさんの前だと、あんなに子どもっぽく……)
姫乃(……私は、果林さんをきちんと見てあげられていなかったようですね)
姫乃(エマさんはあんなに信頼されて、ちゃんと本当の果林さんを大事にしている……)
姫乃(……悔しいですけど、完敗です)
――
―――― 姫乃「もちろん、果林さんを諦めたわけではありません」
姫乃「ただ、私はまだ果林さんの……いえ、誰かを愛せる器ではなかった」
姫乃「もっと私自身が成長して、相手の全てを受け入れられるようにならなくては。相手が、私に全てを見せてくれるような人間にならなくては。そう、思いました」
愛「姫乃……!」
姫乃「いつか、絶対にもう一度果林さんに告白します。そして、今度はちゃんと好きになってもらいます!」
愛「そっか! 応援してるからね!」
姫乃「はい!」
果林編 完 果林編完結です。
話の流れとしては
一章 かすみ編〜ハルカカナタ編
二章 しずく編〜果林編
のイメージなので、次から最終章入ります。 すみません、>>332と>>333の間にこれが入ります。
※※※
しずく「遅いですね、果林さん」
璃奈「もうすぐ出番なのに……」
エマ「スマホは置きっぱなしだし……」
侑「まさか、迷子?」
かすみ「えぇ? 子どもじゃあるまいし、そんなはずあるわけ……」
侑・歩夢・せつ菜「「「あるかも」」」
かすみ「あるんですか!?」
エマ「探さなきゃ!」
愛「……ここは、手分けして探そう。そっちの方が早く見つかると思う」
せつ菜「そうですね! 行きましょう!」
タッタッタッ
※※※ 乙です!流れ的に姫乃はどうなったの台詞の前が愛なのは誤字かな?
りなりーが不穏な事言ってるのが気になる… >>346
レスありがとうございます。
そこは果林を攻略したことによって、姫乃に何か影響が出たんじゃないかと愛さんが気付いた場面なので、愛さんで合ってますね。 同じ出来事でも、さっぱりした前向きな性格だと隙間ができにくかったり
できても大きくなりにくい感じなのかな。溜め込むタイプだとその逆で 原作でも確か無かったNTR展開だ
まあ憧れは理解から一番ほど遠い感情ってセリフがあるくらいだしね
バディ枠のりなりーが”ラスボス”なのかな?
ゆうぽむは愛さんが落としたら間違いなくどっちかの隙間が広がるよなぁ レスありがとうございます。
本日分投下していきます。 ※※※
せつ菜「スクールアイドル同好会、夏合宿出発です!」
「「「おー!」」」
〜
かすみ「もぅ、てっきり海辺の別荘とかに泊まるのかと」
せつ菜「そんな無駄遣いは出来ませんっ」
せつ菜「それに、合宿ならここで十分です!」
せつ菜「研修施設ですから、一通りの宿泊施設は揃ってますし!」
侑「布団もばっちり!」ガラガラ
歩夢「だね」
しずく「素敵な合宿になりそうじゃないですか」
璃奈「璃奈ちゃんボード『わくわくっ』」
せつ菜「練習は明日からにして、今日のところは晩ごはんにしましょう!」 ※※※
侑「はぁ〜、食べ過ぎちゃった」
歩夢「そういえば、小学校の頃の林間学校でも二人でお皿洗ったよね」
侑「ああ、カレー作ったときだっけ?」
歩夢「違うよぉ、それは中学の時でしょ?」
侑「あ、そっか」
侑「って、いっつも一緒にやってるね」
歩夢「えへっ。だね!」
歩夢「……これからも、ずぅっと一緒にいたりして……」
侑「そうだねぇ。よろしく頼みますよ、歩夢おばあさん」
歩夢「もーう、侑ちゃんったらぁ」
歩夢・侑「「うふふっ」」 ※※※
合宿場寝室
ワイワイガヤガヤ
歩夢「あれ? 侑ちゃん、どこ行っちゃったのかなあ?」スマホトリダシー
歩夢「……もうっ、スマホ置きっぱなし」
せつ菜「かすみさんたちも、しばらく姿が見えないですね」
せつ菜「明日の練習に備えて、みんな休まなくてはならないのに……」
歩夢「私、ちょっと見てくるね」
せつ菜「私も探してきます」
愛「ほーい……」
愛(愛さんも探しに行くか……。って、スマホの充電ほぼ0だし)
愛(充電しとこ) ※※※
音楽室
侑「皆、すごいな」
侑「自分のやりたいこと、しっかり分かってて」
侑「……私も、何か」ピアノニムカウ
〜♪(CHASE!)
侑「……」
せつ菜「――音楽室の使用許可は取ったんですか?」
侑「うわぁ!?」
せつ菜「うふふっ、冗談ですよ」
侑「もう、脅かさないでよ〜」
せつ菜「ピアノ、随分上手になりましたね」
侑「ううん、まだまだだよ」
侑「いっぱい練習したら、もっと上手くなるかな?」
せつ菜「私も、歌やダンスを何度も練習しました」
侑「何度も……か」
せつ菜「……」ニコッ
侑「やっぱり、何事も練習あるのみだね」
せつ菜「ですねっ!」 せつ菜「……前に生徒会室で話したの、覚えてますか?」
侑「うん」
せつ菜「私が今、スクールアイドルを出来ているのは、あの時の侑さんのおかげです」
侑「え?」
せつ菜「侑さんの言葉が無かったら、きっと大好きを叫べないまま、自分を押し殺して生きていました」
せつ菜「……だから、私の大好きを受け止めてくれて、ありがとう」
侑「別にそんな! ……ただ私は、せつ菜ちゃんの歌が聞きたくて」
せつ菜「ふふっ」
侑「せつ菜ちゃんや皆の歌を聞くと、元気がもらえるんだよね!」
侑「ダイバーフェスの時も、すっごく感動しちゃって」
侑「周りで応援する人たちの熱意に包まれて、私、夢中でステージを見て!」
侑「で、気がついたら、あっという間に終わってた」ニヘラッ
せつ菜「……!」
せつ菜「侑さんからは、そんな風に見えてるんですね!」
侑「え?」
せつ菜「私たちに見えるのは、ステージからの景色だけですから」
侑「そっか……」 せつ菜「あの、いつか侑さんの大好きが見つかったら、今度は私に応援させてくださいっ!」
侑「私の?」
せつ菜「はい!」
せつ菜「侑さん自身の、大好きを」
〜
侑「夜の学校って、何か不思議な感じ」
せつ菜「ほんとにその通りで」ツマヅキー
せつ菜「うわぁ!?」
侑「へ?」ダキッ
愛「やっぱりスマホ持ってくるべきだったか―、ゆうゆが見つかったのかもわからないし」
愛「……!」
愛(あれは、ゆうゆと……せっつー? 何で抱き合って……)チラッ
愛「!」
愛(少し離れてるけど、歩夢もいる……!) ※※※
合宿終了前
愛「せっつーさ、合宿の時ゆうゆのこと、どこで見つけたの?」
せつ菜「音楽室です! 侑さんは最近、音楽科転科のために、ピアノの練習をしているんですよ!」
愛「へえ、そうなんだ! ゆうゆも頑張ってるんだねー!」
せつ菜「はい!」
せつ菜「本当に……侑さんのおかげで、私はここまで来れたんです」
愛(……せっつー)
愛「ねえ、せっつー。今、全力でスクールアイドルやれてる?」
せつ菜「もちろん! あの時、侑さんが私に勇気をくれましたから!」ペカー
愛「……そう」
せつ菜「もう自分の大好きを抑えなくていいと」
愛(……違うよせっつー)
せつ菜「皆が違う大好きを持っているのなら、皆がそれぞれ違うアイドルになれば良いと」
愛(それはね、ゆうゆじゃなくて……)
せつ菜「私は、私の大好きを信じて良いんだって」
愛(――愛さんとの思い出だよ) せつ菜「だから私、侑さんのことが、大好きなんです!」
愛(!)
愛(……)
愛「それは……とっても素敵なことだね」ニコッ ※※※
合宿終了後
璃奈「愛さん、今回の攻略対象は歩夢さんだよ」
愛「……そう」
璃奈「?」
璃奈「……!」ピコピコ
璃奈「……やっと……」
愛「? どした?」
璃奈「いや、何でも無い」
璃奈「……ねえ愛さん。今、好きな人はいる?」
愛「な、なになにいきなり!? りなりーも遂に恋バナしたいお年頃なの?」
璃奈「ううん。特に意味はないんだけどね」
愛「好きな人……ちょっと前までは自覚無かったんだけどね」
愛「アタシ、せっつーのこの好きなのかなって思い始めた」 自分だけが覚えてるの切なくてめっちゃいいな、神のみ読んでみようかなと思ったけどもしかして原作にはそういう展開ない? >>361
あるにはありますが、主人公がヒロインを攻略していかないと殺されるためいやいややってるのと、演技だと割り切ってやってるので展開は全然違いますね。
ただかなりの名作なので、是非読んでほしいです。 璃奈「……そう」
璃奈「教えてくれて、ありがとう」
愛「うん。始めは攻略した時のドキドキを引きずってるだけだと思ってたんだけどね」
愛「せっつーの笑顔を見てたら安心したり、ドキドキしたり……気が付けば、いつも目で追ってた」
璃奈「そうなんだ」
愛「りなりーは?」
璃奈「?」
愛「りなりーは、好きな子いないの?」
璃奈「私は……」
璃奈「――皆が好き、かな」 >>362
なるほどありがとうございます
どうでもいいけどググったら主人公が男でびっくりした自分にびっくりした ※※※
数日後
侑「歩夢の様子がおかしい?」
愛「うん。合宿の時から元気ないなあって」
侑「……」
侑「やっぱ、愛ちゃんも気付いてたのか」
愛「何かあったの?」
侑「べ、別に、何も無かったよ?」
――――
――
歩夢「私だけの侑ちゃんでいて?」
――
――――
侑(昨日の夜、私は歩夢に押し倒された。歩夢の思いをぶつけられて、私はちゃんと返事をしてあげられなかった……)
愛「何で過去形なの?」
侑「……!」
愛「何かあった。そういう顔だね?」
侑「……うぅっ」 >>364
自分も某スレで「ふたなり注意」に違和感を覚えた自分にびっくりしたので、ラ板はほどほどに…… 〜
愛「なるほどねー。歩夢も大胆だなあ」
侑「ちょっとびっくりしちゃったけど、その、なんていうか……嬉しかった」
愛「?」
侑「スクールアイドルを始めてからね、歩夢が同好会の皆やファンの子たちとどんどん仲良くなっていって……」
侑「私から、離れていってる気がしてたんだ」
愛(いや、歩夢はずっとゆうゆにべったりだったような……幼馴染の感覚って分からない)
侑「でも、歩夢はまだこんなにも私のことを強く思ってくれてるんだなって」
愛「……なるほどね」
侑「でも、私にも夢があって。歩夢にはきちんと説明したかったんだけど、聞いてもらえなかったよ」ニガワライ
愛「そっか。ゆうゆも歩夢のこと好きなんだ?」
侑「そ、そういう好きではないと思うんだけど……」
侑「……ううん。こうやってずっと誤魔化してきたのが良くなかったんだよね。私、歩夢のこと好きなんだと思う」
愛「……そう、なんだ」 これはすんなり解決しそうだけど、意外とこじれるのか ※※※
翌日
愛「歩夢ー!」
歩夢「あ、愛ちゃん。どうしたの?」
愛「ううん、特に用事はないんだけどね! 歩夢と最近おしゃべりしてなかったからさー」
歩夢「確かに、最近は皆スクールアイドルフェスティバルに向けて、各自の準備が忙しいみたいだからね」
愛「そうなんだよ! 歩夢はどんなステージにするの?」
歩夢「ええっと……。実はまだ、ちゃんと決まってないんだ。それに……」
愛「?」
歩夢「私、スクールアイドル続けていけるのかなって」
愛「どうして?」
歩夢「ええっと……」
愛「……。ゆうゆのこと?」
歩夢「え? ち、違うよ……?」
愛「最近のゆうゆ、せっつーと仲良いもんね」 歩夢「うぅっ、流石愛ちゃんだなあ……。私の気持ちにも、気付いてたの?」
愛(ずっと知ってたよ。同好会にいて気付かないわけがないって。それにしても、二人ともちょっと聞いたらすぐに喋ってくれるあたり、流石幼馴染だなあ……反応も全く同じだし……)
愛「んー、実はそんなによく分かってないんだよね。歩夢のこと、もっと知りたい。だからーー」
愛(ごめんねゆうゆ、アタシは卑怯者だ。歩夢の気持ちも、ゆうゆの気持ちもちゃんと確認した)
愛(愛さんね、ゆうゆが歩夢のこと好きだって聞いて、嬉しかったんだ)
愛(それは、せっつーとゆうゆが両思いじゃなかったからじゃない)
愛(だって、ゆうゆの気持ちが歩夢に向いていたところで、せっつーの大好きは変わらない。自分の大好きを信じてって言ったのは、このアタシなんだから)
愛(そう、これで心置きなく歩夢を攻略できるって思って、とっても嬉しくなった)
愛(だからね、ゆうゆ……)
愛「今度、愛さんとデートしようよ!」
歩夢「ええ!?」
愛(これはね、愛さんの細やかな抵抗だよ) ※※※
上原家
歩夢「ど、どうしよう。つい勢いでOKしちゃったけど……」
歩夢「デートって言っても、愛ちゃんとしては普通に遊びに誘ってくれただけかもしれないし……」
歩夢「私だけ勝手に意識してたら、恥ずかしいよね?」
歩夢「でも、良いのかな? 侑ちゃん以外の子と二人きりで遊びに行くだなんて……」
――――
――
侑「せつ菜ちゃーん!」
侑「私、ときめいちゃった!」
侑「大好きだよ!」
せつ菜「侑さん、最近かなりピアノ上達したんですよ」
――
――――
歩夢「……」
歩夢「侑ちゃんは、関係ないか」 前回に続いてガチNTR展開だった。不安になってる時を狙うのは定石だからね ※※※
せつ菜「愛さんとの思い出ですか?」
璃奈「うん」
せつ菜「そうですね。私のライブを見に来てくれたこととか……」
璃奈「その時は私も一緒に行ってた」
せつ菜「そうですよね。愛さんと璃奈さんはいつも一緒にいますし……」
璃奈「そうでもない。他には?」
せつ菜「うーん……。あ、愛さんと璃奈さんからのお願いで、私が彼方さんを連れてもんじゃ宮下に行ったこともありましたね!」
璃奈「あの時は、ありがとう」
せつ菜「いえいえこちらこそ。私だけでは、彼方さんと遥さんの問題を解決できなかったでしょうし」
せつ菜「それよりも、どうしてこんなこと聞くんですか?」
璃奈「……」
璃奈「もっと、愛さんのことが知りたくて」
せつ菜「ふふっ、本当に仲が良いんですね!」
璃奈「……うん」
せつ菜「そういえば、他にも……」 むちゃくちゃ好きな展開になってきたけど読解力がなくて愛さんの今の心境に自信がねえ ※※※
歩夢「愛ちゃーん!」フリフリ
愛「歩夢!」
歩夢「ごめんね、待った?」
愛「全然!」
歩夢「なら良かった」ニコッ
愛「じゃ、行こっか」
歩夢「うん!」
〜
歩夢「それでね……」
愛「あっはっは!」
歩夢(……楽しい。愛ちゃんは優しいし、とっても面白い)
歩夢(愛ちゃんみたいな子とのデートって、どんなのだろう、私なんかが楽しめるのかなって心配だったけど……)
歩夢(最初はまさかの駄菓子屋めぐり。その後はゲームセンターでシューティングゲームをやって……)
歩夢(最後は大きな公園のベンチでお話するだけ。とっても普通で、まるで男の子みたいな遊び方。でも)
歩夢(愛ちゃんはその一つ一つを、すごく楽しくしてくれる。私の話をよく聞いてくれるし、ずっと笑顔。それに)
愛「歩夢は本当に可愛いね。一生懸命話してるの見てると、とっても愛おしくなっちゃう。愛さん、歩夢の笑顔好きだなあ」ニコニコ
歩夢(いっぱい可愛いとか、好きって言ってくれる……)カァ
愛「ねえ歩夢、この後まだ時間ある?」
歩夢「え? うん、大丈夫だよ」
愛「よしじゃあ次は、夏と言えばのアレをやろう!」
歩夢「アレ?」 ※※※
侑「あー、何か久しぶりに一人で休日過ごしたなあ」
侑「ピアノ弾いてると、時間があっという間に過ぎちゃうんだよね……」
侑「コンビニでお菓子でも買ってこよ」スクッ
〜
コンビニ
侑「……! あれは」
愛「どれが良いかなー?」
歩夢「私、線香花火入ってるのが良いな!」
侑(歩夢と……愛ちゃん!?)
愛「ううむ……ロケット花火も捨てがたい」
歩夢「もうっ、愛ちゃんったら」
愛「あはは!」
侑(歩夢……あんな楽しそうに……)
愛「……」チラッ
侑「!」
侑(今、愛ちゃんと目が合った……! だけど、どうして声をかけてこないの?)
愛「じゃあ、これにしよっか!」
歩夢「うん!」
侑「!」サッ
侑(……何で隠れちゃったんだろう……)
愛「……」 ※※※
パチパチッ
歩夢「……綺麗だね」
愛「ほんと、綺麗だね」
歩夢「昔、侑ちゃんともこの公園で花火したなあ……」
歩夢「……!」
歩夢「ご、ごめんね? 今は愛ちゃんとのデート中なのに」
愛「いいよ」ニコニコ
愛「それより、歩夢もちゃんとデートだって思ってくれてたんだ?」
歩夢「……うん///」
愛「良かった」
愛「今日ずっとね、愛さんだけ意識してたら恥ずかしいなって思ってたんだ」
歩夢「……愛ちゃんも?」
愛「その言い方は、歩夢もそうなの?」
歩夢「うん」
愛・歩夢「ふふっ」 愛「デートプランもね、ホントは色々考えてたんだ。でも、最終的にはなんにも決めないで来ちゃった」
愛「アタシなら、どんな所に行っても歩夢を楽しませる自信があったから」ニコッ
歩夢「すごいね……」
歩夢「でも、本当に楽しかった。久しぶりにこんなに笑ったかもしれない」
愛「愛さんは、楽しいの天才だからね!」
歩夢「うふふっ、間違いないね」
愛「ねえねえ歩夢」
歩夢「なに?」
愛「愛さんの花火消えちゃったから、歩夢の花火の火分けてほしいな」
歩夢「……いいよ」
愛「へへ、花火同士がキスしてるみたい」
歩夢「そ、そうだね」
愛「歩夢」
歩夢「うん?」
愛「愛さんたちもキス、してみよっか?」
歩夢「……いいよ」
愛「目、閉じて?」
歩夢「うん……」プルプル
歩夢「……?」
愛「やーめた」
歩夢「!?」
歩夢「あ、愛ちゃん?」 久しぶりにこんなに笑ったって、心から笑えないような精神的な負担をずっと感じてたのかな。それとも愛さんが凄すぎるだけか 愛「歩夢、震えてんじゃん。アタシ、嫌がってる女の子に強引に迫るのは趣味じゃないから」
愛「それに、こういう時につけ込むような卑怯な真似、どんなに自分を騙そうとしても、愛さんにはやっぱり出来ないよ」
歩夢「ま、待って愛ちゃん! 今のはその、緊張しちゃっただけで」
愛「嘘つかないの。まだ諦められないんでしょ? ゆうゆのこと」
歩夢「……!」
愛「歩夢、これ見て」スマホトリダシー
歩夢「?」
歩夢「……『攻略してほしい女がいる』……?」
愛「にわかには信じがたいだろうけど、アタシとりなりーはね、恋愛を使って、女の子の心に出来た隙間を埋めていってるの。今回は、歩夢の番だった」
歩夢「なに、それ?」
愛「でもね、この間ある女の子が、自力で隙間を埋められたんだ。まあ、その子は強い子だったから、元々隙間なんて出来てなかったんだけど」
歩夢「意味が、分からないよ」
愛「要は、愛さんは歩夢を騙そうとしてたってこと。でも今は、心の底から歩夢を応援してる」
愛「歩夢なら絶対に大丈夫だから、ゆうゆに自分の気持ち、ちゃんとぶつけてみなよ。そして、ゆうゆの気持ちもちゃんと聞いてあげて?」
歩夢「む、無理だよ……。だって侑ちゃんにはせつ菜ちゃんが」
愛「それはきっと誤解だよ。ゆうゆの大好きは、まだせっつーに向いてない」
歩夢「嘘!」
愛「本当だよ」
愛「……ね? ゆうゆ?」
歩夢「!」
ガサッ 侑「やっぱり気付いてたんだね……」
歩夢「侑ちゃん……!」
愛「うん、本当は見せつけてやろうって思ってたんだけどね」
愛「やっぱり、歩夢とゆうゆは二人一緒じゃなきゃ」ニコッ
侑「愛ちゃん……」
侑「歩夢!」クルッ
歩夢「こ、来ないで!」
侑「嫌だ」ザッザッ
歩夢「私、せつ菜ちゃんに嫉妬して、侑ちゃんを困らせて! 愛ちゃんや、同好会の皆にも心配かけちゃった! 私は、侑ちゃんの隣にいる資格なんて!」
侑「聞こえない」ザッザッ
歩夢「やだやだ! こんな私」
ダキッ
侑「それ以上言わないで」
歩夢「やだぁ……離してよぉ……」グスッ
侑「絶対に離さない。私はずっと、歩夢の側にいる」
歩夢「侑、ちゃん」
侑「不安な思いさせてごめんね。もっと早く言葉にするべきだったんだ」ナデナデ
歩夢「……」
侑「私が一番最初に歩夢のことを可愛いと思ったんだからね?」
歩夢「……!」
侑「愛してるよ、歩夢」
歩夢「……私も……愛してる……」
チュッ
愛(まったく……。ゆうゆは強すぎるよ) ※※※
璃奈「……お疲れ様」
愛「ありがと。今回は愛さんが攻略した訳じゃないけどね」
璃奈「一応きちんと攻略は完了してる。あまり好ましくはないけど、条件を満たせば誰でも攻略可能なのは確実になった」
愛「そだね。あれ以降ゆうゆと歩夢が練習中もイチャつくようになったのは勘弁してほしいけど……」
璃奈「皆が幸せそうで何より」
璃奈「……ねえ、愛さん」
愛「ん?」
璃奈「本当に、お疲れ様」
愛「う、うん? ありがとう?」
璃奈「条件は整った。何かやり残したことはない?」
愛「……何言ってるの?」
璃奈「愛さんは知らなくていいこと。どうせ……」
愛「?」
璃奈「……何でもない」
愛「……りなりー?」 ※※※
愛「やりのこしたこと……か」
愛「せっつー……」
愛「……でも、せっつーは、アタシのこと覚えてないんだもんね」
せつ菜「私がどうかしましたか?」
愛「!? せっつー!?」
せつ菜「はい! 優木せつ菜ですっ!」ペカー
愛「……その、ゆうゆのことは」
せつ菜「? 侑さんが何か?」
愛「ああいや、最近歩夢とゆうゆ、付き合い始めたじゃない?」
せつ菜「おめでたいですよね!」
愛「?」
愛「その、えっと……。せっつーは、ゆうゆのこと好きだったんだよね?」
せつ菜「はい、今も大好きです!」
愛「……」
愛「悔しくないの?」
せつ菜「? どうしてですか?」 愛「好きな人に、恋人が出来たんだよ?」
せつ菜「……そりゃあ、私は侑さんのことは大好きですが……」
せつ菜「侑さんはずっと歩夢さんのことが好きでしたし、歩夢さんも侑さんが好きでした。侑さんは今とっても幸せそうです」
せつ菜「私は侑さんが幸せなら、それで構いませんよ?」
愛「……!」
愛「せっつー、たくましいね……」
せつ菜「たくましくなくては、トップアイドルにはなれませんからっ!」
愛「ああ……」
愛(そうだよ、これが優木せつ菜……! 私が大好きな女の子……!)
愛(でも……)
愛(私にそれを伝える資格は……もう、ない)
愛(もっと上手くやれたはずなのに、色んな人を傷つけた)
せつ菜「愛さん?」ノゾキコミ
愛「うわっ!?」アトズサリ
せつ菜「大丈夫ですか?」
愛「だ、大丈夫だよ! あはは!」
せつ菜「?」
せつ菜「まあいいです。さ、皆待ってますよ! 部室に行きましょう!」
愛「……うん」 ※※※
休憩中
かすみ「うー! もうかすみん限界ですぅ!」
しずく「今日の練習はハードだったもんね。はい、タオル」
かすみ「しず子、すきすき〜�v
しずく「うふふっ」ニコニコ
果林「エマ、私の水筒取ってちょうだい」
エマ「はいどうぞ〜!」
果林「ありがとう」ゴクゴク
果林「……って、これエマのじゃない!」
エマ「えへへ。間接キス、しちゃったね?」
果林「〜〜っ///」 彼方「遥ちゃん、東雲の練習が休みだからって、こっちの練習にまで参加して……無理しちゃだめだよー?」
遥「大丈夫だよお姉ちゃん! それより、今日はおうちで使ってる枕持ってきたけど」
彼方「ほんと!? ……うーん、でも今日は……」
ペタンッ
彼方「遥ちゃんの膝枕がいいなぁ」
遥「お姉ちゃんったら」ニコニコ
侑「歩夢! さっきのダンス、すごく良かったよ!」
歩夢「ほんと?」
侑「うん! 特にサビの入り! ときめいちゃった!」ギュッ
歩夢「もうっ、侑ちゃん。みんなの前だよ?///」
侑「照れてる歩夢も可愛いよ!」
歩夢「えへへ」 愛「……何これ」
璃奈「みんな、仲良くなって嬉しい」
愛「ええ……」
愛「そういえば、せっつーは?」
璃奈「さっきお手洗いに行ったよ?」
愛「そっか」
侑「ねえねえ愛ちゃん」
愛「ん? どしたん?」
侑「せつ菜ちゃんには、もう告白したの?」
愛「え、いや……。やっぱり出来ないよ……」
愛(そういえば、歩夢との一件を納得させるために、ゆうゆには愛さんがせっつーのこと好きなの話したんだよね……)
愛(支障が無いと見たのか、りなりーも歩夢に攻略の件をバラした以外、二人の記憶はいじらなかったみたいだし……) かすみ「え!? 愛先輩、せつ菜先輩のこと好きだったんですか!?」
しずく「まあ」
エマ「素敵〜!」
果林「ふふっ、愛も隅に置けないわね?」
彼方「すやぴ」
遥「お姉ちゃん起きて! 大ニュースだよ!」ペシペシ
彼方「んにゃ?」
璃奈「……」
侑「あっ……」
歩夢「侑ちゃん、声おっきいよ……」
侑「ごめんごめん」
愛「……はぁ……」
愛「……そうだよ、アタシはせっつーのことが好き。でも告白はしない」
エマ「どうして!?」
愛「愛さんには……無理なんだよ」
愛「皆には何言ってるかわからないと思うけど、アタシには勇気も資格も無いんだ」
歩夢「何言ってるの?」 愛「?」
歩夢「自分の気持ちに正直になった方がいいって、言わなきゃ何も伝わらないって、私に教えてくれたのは愛ちゃんだよ?」
侑「そうだよ! このままだと絶対後悔する!」
果林「弱いところは武器にしていかなくちゃ。それもあなたの魅力の一つなのよ?」
しずく「もしも勇気が出ないのなら、理想の自分を演じれば良いんです! 愛さんが一番好きになれる自分で勝負してみましょうよ!」
遥「頑固になってたら、前には進めませんからね」ニコッ
彼方「ある程度、自分を許してあげなきゃね」
エマ「たまには甘えてみるのも大事だよ〜!」
かすみ「かすみんも皆も、ずっと世界一楽しそうに笑う愛先輩を見てました! 愛先輩なら大丈夫です! 自信を持ってください!」
愛「……!」
愛「みんな……!」 愛(ゆうゆと歩夢は分かるけど……。皆、私の言ったことを覚えて……)
愛(……そっか。仮に私との思い出が無くなっても、絶望から立ち直れた事実は変わらないんだ)
愛(だったら、私たちの行動にも意味があったのかもね……りなりー)チラッ
愛(……? りなりー?)
璃奈「……」
璃奈「……」セヲムケタチスクムリナリー
侑「行ってきなよ愛ちゃん! 善は急げだよ!」
愛「……うん!」
愛「ちゃんとせっつーに愛を伝えてくるよ! 愛だけに!」 ※※※
タッタッタッ
愛「せっつー!」
せつ菜「愛さん?」
愛「アタシ! その!」ハァハァ
せつ菜「お、落ち着いてください! どうしたんですか!?」
愛「……ふぅ」
愛「アタシね、同好会に入る前は、運動部の助っ人なんて言いながら、やりたいことも見つからずにふらふらしてた」
せつ菜「?」
愛「何かに打ち込みたい気持ちはあったんだけど、どれもいまいち魅力的に思えなかったんだ」
愛「でも! せっつーのライブを見て、変われた」
せつ菜「……ありがとうございます。学校だったとはいえ、突発的にやったライブでしたが」
愛「違うよ、同好会のお披露目ライブの時」
せつ菜「!?」
せつ菜「あれも、見に来てくれていたんですか?」
愛「うん。約束、したから……」
――――
――
せつ菜「今度のライブは、試しに一人で出てみようと思います」
せつ菜「私のことが大好きなら……、見に来て、くれますよね?///」
――
―――― せつ菜「約束?」
愛「そう。愛さんの大事な人との約束だよ」
せつ菜「……そうなんですか」
愛「同好会に入って、みんなと仲良くなって、どんどん同好会が好きになっていった」
愛「それと一緒にね」
愛「ある人に、すっごくドキドキするようになっていったんだ。今まで感じたことが無いような、でも、何だかとっても懐かしい気持ち」
せつ菜「愛さん……」
愛「みんなが背中を押してくれた。アタシに、勇気をくれた……!」
愛「だから、愛さんの"大好き"を、全力でぶつけるね」
愛「――愛さんは、優木せつ菜が大好きなんだ!」
せつ菜「……」
せつ菜「愛さん……」
せつ菜「――ごめんなさい」
愛「……ありがとうっ!」
愛編 完 愛編完結です。更新中のレスのおかげで筆がかなり進みました。
お察しの方も多いでしょうが、次回ラスボス編で全編完結となります。 乙でした。続きが気になって最後まで起きててしまった。愛さんこれはすごく辛いな
記憶があれば付き合えてただろうけど、そもそも攻略してなければそういう風にもなってないのかな
最後のりなりー編も楽しみにしてます イチャイチャ見せつけられ過ぎて心の隙間めちゃくちゃ大きそう 愛さん的には自分の大好きをぶつけられた時点で目的は果たしてるので、心の隙間は埋まってます。分かりづらい表現ですみません…… 仕事休みで書き溜めも結構あるので、最終回は昼頃から投下していきます ※※※璃奈編※※※
侑「璃奈ちゃん、今日も練習来なかったね……」
かすみ「LINEもずっと未読無視です……」
果林「これでもう3日連続……。夏休みで学校も無いから、全く状況がわからないわ」
しずく「愛さんが毎日家まで行っているようですが……」
愛「全く反応なし。声も聞かせてくれないよ……」
せつ菜「そうなんですか……」
エマ「ライブの時みたいに、皆で行ってみるのはどうかな?」
彼方「うん。折角ここまで一緒に頑張ってきたんだもん、ほっとけないよ」
愛「……いや」
「「「?」」」
愛「みんな、ここは愛さんに任せてくれないかな?」
愛「どうしても、愛さんが連れ戻したいんだ」
歩夢「愛ちゃん……」
果林「……策があるのね?」 愛「そんなのないよ。でも、愛さんがやらなきゃいけない気がするんだ」
侑「……わかった。みんな、愛ちゃんを信じよう? きっと、愛ちゃんならやってくれるよ」
エマ「そうだね。何だか、愛ちゃんになら任せられる気がする」
しずく「不思議です。愛さんだったら何とかしてくれる。何故かその確信があるんです」
かすみ「……ここは、愛先輩に手柄を譲ってあげますっ」
彼方「頼んだよ愛ちゃん」
愛「うん! 任せて!」 ※※※
璃奈(……)
璃奈(私、本当に馬鹿だ)
璃奈(今でもまだ、あの時愛さんを送り出したのを後悔してる)
璃奈(もっと早く記憶を操作していれば。そんなことをまだ思ってる)
璃奈(そんなことしたって、愛さんは私のものになんかならないのに)
ピンポーン
璃奈(……)
愛「りなりー! お願い、顔だけでも見せて!」
ドンドン
璃奈(愛さん、今日も来てくれたんだ)
璃奈(こんな私のために……いや)
璃奈(愛さんは、誰にでもこうだった)
璃奈(かすみちゃんの時も、せつ菜さんの時も……誰がどんな悩みを持っていたって、絶対に解決しちゃう)
璃奈(……自分さえ攻略しちゃったんだから、もう無敵だよね) ドンドン
愛「りなりー! りなりーってば!」
璃奈(……)
璃奈(いっそ、私のこと、嫌いになってほしい)
ガチャ
愛「……!」
愛「りなりー……? 入るよ……?」
愛「お邪魔します……」
愛(……りなりーの部屋。攻略中何度も来て、報告したり、アドバイスをもらったりした)
愛(何だろう、今日はすっごく重たく見える)
璃奈「……部屋には入ってこないで」
愛「! りな」
璃奈「今から、本当のことを全部話す。私がどんなに汚い人間なのか、どんなに残酷で、卑怯で、最低な人間なのか」
愛「……りなりー」
璃奈「ちゃんと話すから。私がどんな気持ちだったのか。だから、最後まで黙って聞いていてほしい」 ――――――
――――
――
【かすみ編】
璃奈「……すごい。愛さん、中須さんと一瞬で打ち解けちゃった」
璃奈「仕方がないとはいえ、すぐに可愛いなんて言っちゃって……」ムスッ
ガチャ
愛「おーっすりなりー!」
璃奈「愛さん」
愛「取り敢えず、かすかすとは接触できたよ! 多分友達にもなれると思う!」
璃奈(……友達になるのは目的じゃないんだけど……)
愛「あ、そうそう。心の隙間を埋めるって、具体的には何すればいーの?」
璃奈(心の隙間センサーは、単純に脳波や心拍数で相手の感情の高低を計るだけのもの……)
璃奈(実は心の隙間なんて存在しない。いや、本当に落ち込んでる子はいるんだろうけど)
璃奈(もちろん、その中に悪いものもいない。こんな設定を簡単に信じちゃうなんて、やっぱり愛さんはお人好しすぎる)
璃奈(でも、具体的なゴールは確かに設定してなかった。確か、あの漫画では……) 璃奈「……キス」
愛「!?」
璃奈「人間の心の隙間を埋めるのに1番てっとり早いのは、愛情で頭がいっぱいになった瞬間に、心と身体に大きな衝撃を与えること。だから、キスが最適」
愛「そ、そうなんだ」
璃奈(……辛いけど、キスならギリギリ私が我慢できる範囲かも) ※※※
璃奈(愛さん、中須さんと二人でアイドルやるの……)
璃奈(必要以上に仲良くなられたら、後で記憶を操作するのが面倒になる)
璃奈(何より、後から辛いのは愛さんだよ……)
璃奈「流石に最初から心の隙間を埋めるような機械はまだ作れてなかったけど……」
愛「す、すごいねりなりー! ……でも、それって悲しいことだよね」
璃奈(……! それを、愛さんが言うんだ)
愛「おっけ! 任しといて!」タッタッタッ
璃奈「……愛さんの、馬鹿」
※※※
璃奈「ライブの日程が決まった?」
愛「うん! だから、りなりーにも音響として協力してほしいんだ!」
璃奈「それは良いけど……。攻略の手順は?」
愛「実はまだ見えてない……でも、少しずつ心を開いてくれてると思う!」
璃奈「……そう」
愛「あ、まずい! かすみんとの練習の時間だ!」
タッタッタッ
璃奈「いってらっしゃい」ヒラヒラ ※※※
かすみライブ当日
愛「折角お客さんが来てくれてるんだよ? 皆に見せてあげて、私の最高のスクールアイドル、世界一可愛いかすみんを! りなりー!」
璃奈「おーけー」
〜♪(Poppin'Up!)
璃奈(……中須さん、すごい)
※※※
璃奈(……やっぱり、愛さんが他の子とキスしてるの見るのは辛い……)
璃奈「お疲れ様」ムスッ
愛「かすみんは私のこと、忘れちゃうんだよね……」
璃奈(……そうだよ。忘れられるのは、とても辛いんだから)
璃奈「……。でも」
璃奈「きっとかすみちゃんの埋められた心の中には、愛さんがいる……。と思う」
璃奈(……これは私の願望。そうであって欲しいという、ただの妄想なんだ)
愛「……そっか!」
璃奈(だから、そんなに嬉しそうにしないで。期待させないで) ※※※
【せつ菜編】
璃奈「次は、生徒会長」
愛「急に難易度上がってない!? いや、かすみんがチョロかったってわけじゃないんだけど」
璃奈(流石の愛さんでも、あの真面目な生徒会長を攻略するのは困難なはず。次こそは……)
璃奈「私のシュミレーションだと、ほぼ全員チョロいはずだから大丈夫。一人とんでもないのがいるけど」
璃奈「爆発した時1番危ないのは間違いない。死人が出るかも」
璃奈(全部でまかせ。こう言った方が、愛さんは一生懸命やってくれる) ※※※
璃奈「いきなり顔近づけちゃ駄目。生徒会長、怖がってたと思う」
愛「ま、普通に考えたらそっか。んー、でもあの感じは……」
璃奈「?」
璃奈(もう何か掴んだの?)
※※※
モニター(盗撮は犯罪です)
愛『かいちょーはさ! ……スクールアイドル、好き?』
菜々『……! 私は――』
菜々『そんなもの、興味ありません』
璃奈(……会長、無理してる顔だ)
璃奈(スクールアイドルって言葉に、やけに反応してるように見える)
璃奈(……! そういえば)
璃奈(この間、買い物中に拾ったチラシ……!)カサッ
璃奈(……なるほど。生徒会長と優木せつ菜は……) ※※※
愛「……ねえ、りなりー」
璃奈「何?」
愛「既に攻略した子と接触するのって、アリ?」
璃奈「ナシ」
璃奈(つい反射で言ってしまったけど、これって会わせた方が私の目的に近づくかも……)
璃奈(まあ、今更撤回しても不自然か。今度それも試してみよう)
愛「そーだよねー。かすみんに聞いたら、同好会がどうなってるのかわかりそうなんだけど」
璃奈「じゃあ、私が聞いてみる。同じ学年だし、話せないわけじゃない。記憶もすぐ消せるし」
璃奈(……それに、記憶操作の効き具合も確認しておきたい) ※※※
かすみ「かすみんって呼んでよ!」
璃奈「……。かすみさん」
かすみ「か、す、み、ん!」
璃奈「……。かすみちゃん」
璃奈(私、今どんな顔してるんだろう。かすみちゃん、気持ち悪がってないかな?)
かすみ「う〜ん。まあ、いっか。あなた誰?」
璃奈「情報処理学科1年の、天王寺璃奈」
かすみ「ふーん、顔は可愛い……。いやいや、かすみんほどじゃないけど〜。何の用? りな子」
璃奈「り、りな子?」
かすみ「かすみんは〜、呼ばれ方もだけど、呼び方も可愛くしたいの」
璃奈「そうなんだ」ソワソワ
璃奈(あだ名つけてくれたの、二人目。嬉しい)
璃奈(……そう、二人目)
かすみ「かすみんはアイドルとして、ファンの表情の全てを読み取れるんだから!」 ※※※
璃奈「かすみちゃん、良い子だった」
愛「うんうん! もう一回攻略したいくらい!」
璃奈(愛さん……)
璃奈「……」ムスッ
愛「りなりー?」
璃奈(愛さんだって、前はもっと私の気持ち分かってくれてたのに)
※※※
愛『優木……、せつ菜?』
璃奈(やっぱり、生徒会長と優木せつ菜は同一人物だった)
せつ菜『ひぃんっ!』
愛『次は〜』
璃奈(……)グシャッ
璃奈(愛さん、攻略楽しんでるよね……)
チュッ
せつ菜『私の大好きも、ぶつけておきますね///』
璃奈(愛さん、何やってるの……) ※※※
【エマ編】
璃奈(この調子じゃ、目的は達成されない)
璃奈(あの漫画も主人公は最後まで上手くやれてたけど、あれはあくまで漫画の世界。愛さんはやっぱり異常)
璃奈(……ここは、展開を変えたほうが良いかも)
璃奈「スクールアイドル同好会に入ろう」
愛「ん!?」
璃奈(過去の攻略対象者と繋がる。そうすれば、自分が忘れられていることで、愛さんもある程度はショックを受けるかもしれない)
璃奈(予想通りかすみちゃんも参加してるし、操作で愛さんに置換したしずくちゃんも戻ってきた)
璃奈(嬉しい誤算だったのが、侑さんの加入。せつ菜さんの復活ライブ後、彼女に強い関心を抱いていた人物……)
璃奈(人間関係に敏感な愛さんなら、この方法できっと……) ※※※
璃奈「大丈夫。愛さんとのイベントは、他の記憶と齟齬がないように、別の誰かとの思い出として、分割して置換されてる。せつ菜さんの『ある方』は愛さんじゃない」ボソボソッ
愛「……そう、なんだ……」ボソッ
璃奈(……!)
〜
エマ「璃奈ちゃん、同好会はどう?」
璃奈「楽しい」
エマ「ん?」
璃奈(普段あんまり運動しないから不安だったけど、確かに同好会は楽しい)
璃奈(愛さんも早速みんなと仲良くなったみたいだし、このまま関係を深くしてもらって……)
璃奈(――壊す) ※※※
〜♪📳
璃奈「……今日入れてもらった、同好会のLINEグループだ」
かすみちゃん『明日のランニング、朝9時にレインボー公園に集合ですよー!』
璃奈「……」
璃奈「こういう時って、早く返事した方が良いのかな?」
璃奈「……まともに人とLINEなんかしたことないから、どうすれば良いのか……」
璃奈「最初だし、明るめにいった方が良いよね……?」
自分『ラジャーv(・・)』
自分『😺😸😼YEAAAA!!』
自分『😸OK』
璃奈「……」
璃奈「……変な子だって思われてないかな?」
彼方さん『おっけー』
璃奈「……!」
璃奈「こ、こんな軽い感じで良かったんだ……」
璃奈「うぅっ……」 ※※※
〜♪📳
璃奈「……愛さんからだ」
愛『今日少し朝早く出たら、エマっちと仲良くなれたよ!』
璃奈「……じゃあ、次の攻略対象はエマさんにしよう」
※※※
愛「頼られないと納得いかないのがエマっちの悩み?」
璃奈「ううん。多分、エマさんは人一倍責任感が強いんだと思う」
璃奈「自分の身近で何か悪いことが起きた時、例え自分に落ち度が無くても、責任を感じてしまう……」
璃奈「そんな感じじゃないかな」
璃奈(そんなこと知るわけない。エマさんも強い人だから、きっと悩みなんて無いよ) ※※※
璃奈(愛さん、エマさんを順調に攻略してる……)
璃奈(このセンサーは所詮その時の感情の起伏を読み取るだけのもの。悩みがあるかどうかすら分からない人の悩みを見つけ出して、それを解決しちゃうなんて……)
璃奈(……それにしても愛さん、エマさんと仲良くなりすぎ)ムスッ
璃奈(今後の作戦を考えると良いことなんだけど、流石に釘をさしておかないと、私の腹の虫がおさまらない)
璃奈『タ ー ゲ ッ ト と 必 要 以 上 に 仲 良 く な ら な い よ う に』
璃奈「……何やってるんだろ。ブレちゃ駄目だよ、私」
※※※
璃奈「攻略、出来てない」
愛「……?」
璃奈(ここで終わりにしても良いんだけど、これだと忘れられた後、愛さんが受けるダメージが少ない)
璃奈(もっと思い出を作らせなきゃ)
※※※
『〜♪(サイコーハート)』
璃奈(愛さんのライブ……生で見たかったな)
璃奈(エマさんの中の愛さんは、エマさんがよく食堂で一緒にいる朝香果林さんという人にしてみた)
璃奈(まさか同好会に入部してくるなんて。いや、練習には時々来てたし、想定内かな) 何かWi-Fiが勝手に切り替わりまくってますが、同一人物なので気にしないでください ――
――――
――――――
(回想終わり)
愛「りなりー……?」
璃奈「全然話が読めない? そうだよね。愛さんには絶対に分からないよ」
璃奈「今から、もっと分からない話をするから」
(回想開始)
――――――
――――
――
今日子「今日ゲーセン寄ってかない? 欲しいぬいぐるみがあるんだよぉ〜」
璃奈「……」
璃奈「あ、あのっ」
璃奈(……しゃべらなきゃ)
璃奈「……」
璃奈「……ぁ……」
璃奈(……やっぱり、私には無理だ)
クルッ
璃奈「……何でもない」 ※※※
璃奈(思いを伝えることって、難しい)
璃奈(私の場合は特にそう)
璃奈(『友達になりたい』。そんな一言を言うのにも、ハードルがある)
璃奈(……)ゲーセンクーポンカサッ
「どーしたの?」
璃奈「!?」
璃奈(……赤いリボン……上級生?)
璃奈(……怖い)
「怖くないよー? なんかキミ、元気なさそうだったからさー!」
璃奈「?」
「お、ジョイポリの割引券じゃん! ここって楽しいよね!」
璃奈「……」クーポンサシアゲ
璃奈「お友達と行ってください」
「うーん……」
「じゃ、一緒に行こっか!」ニコッ
璃奈「え?」
「さあ! レッツゴー!」ニギッ
璃奈(はじめて、人と繋がることが出来た) ※※※
璃奈(その時私の手を引っ張ってくれたのが、愛さんだった)
愛「天王寺璃奈だから、りなりー!」
璃奈「りなりー?」
愛「そう! 可愛いニックネームでしょ?」
璃奈「……」ソワソワ
愛「あはっ、そんなに嬉しいの?」
璃奈「……!」
璃奈(私の気持ちがわかるの……?)
愛「気に入ってくれたなら良かった! よろしくね、りなりー!」
璃奈「友達ができたの初めて、嬉しい。あだ名も初めて付けてもらえた……」
璃奈「……よろしく。愛さん」モジモジ
愛「!」
愛「かっわいいなぁもう!」ナデナデ
璃奈「……///」
璃奈(私が愛さんのことを好きになるのに、時間はかからなかった) ※※※
天王寺家
璃奈「……ただいま」
璃奈(何度目かわからない、誰もいない空間への挨拶。不気味なほど綺麗な玄関には、今日も私の靴しか無い)
璃奈(……でも)
璃奈(初めて友達と遊んだ。初めてプリクラを撮った。初めて連絡先を交換した。初めて、あんなに楽しい時間を過ごした)
璃奈「……嬉しい」
璃奈(……折角連絡先を交換したんだし、何か送っても良いのかな?)
璃奈「『よろしく』……」
璃奈「……」プルプル
璃奈「……駄目だ。また今度挑戦しよう」 続きがきてた。漫画っていうのが元ネタの作品のことかな ※※※
愛「記憶を操作するスイッチ!?」
璃奈「うん」
愛「そんなの作ったの!? すごいよりなりー!」
璃奈「でも、理論上消したり操作したり出来るってだけ。実際に試したわけじゃないから、本当に出来るとは限らない」
愛「それでもすごいよ! 具体的にはどういうことが出来るの?」
璃奈「短期間の記憶を消すことと、誰かとの思い出を他の誰かとの思い出として置換できる」
璃奈「置換する対象は、記憶に大きく齟齬が出ない程度の身近な人間なら可能。同じ学校や職場なら大丈夫だけど、顔や名前すら知らない人は無理。相手に知られている必要はない」
璃奈「でも、使う相手が大きく感情を乱した時にしか使えないし、経験してない記憶は植え付けられないから、まだ改善が必要」
愛「いやいや十分オーバーテクノロジーだって!」
愛「でも、何のために作ったの?」
璃奈「……特に、意味はない」
璃奈(この記憶操作装置は、私が私自身に、経験したことがない記憶を追加するために作り始めた。それは)
璃奈(ーー両親との思い出)
璃奈(私の両親は、二人ともかなり忙しい。最後に顔を見てから、もう既に何週間も経っている)
璃奈(たとえ実際に会えなくてもいい。昔動物園に連れて行ってもらったとか、家族で今日の出来事を話題にしながら食卓を囲んだとか、そういう思い出が欲しかった) ※※※
璃奈(愛さんと私は、ほとんど毎日一緒に過ごした。愛さんは時々運動部の助っ人に行っちゃうけど、一日一回は、必ず私に会いに来てくれた)
璃奈「バスケ部の試合?」
愛「そう! ただの練習試合ではあるんだけどね、ほら、うちって部員数多いじゃん? だから1軍2軍3軍をそれぞれ違う学校主催の練習試合に参加させるらしいんだ」
璃奈「すごい……流石虹ヶ咲」
愛「うんうん。それでね、3軍が怪我人続出で人数足りないかもしれないらしくて、愛さんが助っ人で参加することになったの」
璃奈「そうなんだ」
愛「だからね、りなりーも今度応援に来てよ!」
璃奈「……いいの?」
愛「いいに決まってるでしょ! 友達なんだから」ニコッ
璃奈「……うん」カァ ※※※
バスケ練習試合会場
璃奈(すごい、愛さんは人数合わせの助っ人って言ってたのに、ほとんど愛さんが得点してる……)
璃奈(……カッコいい)ギュッ
〜
璃奈(試合が終わった。愛さんは練習試合だから勝敗は関係ないって言ってたけど……すごい大差で勝ってる)
璃奈(差し入れで作ったはちみつレモン、食べてくれるかな……?)
ドンッ
グシャッ
璃奈「!」
モブ「どこ見て歩いてんのよ?」
璃奈「ご、ごめんなさい……あぁ……」
璃奈(はちみつレモンが……) モブ「? その制服、あんたも虹ヶ咲なの?」
璃奈「……うん」
璃奈(この子、同級生だ。でも、多分違うクラス……)
モブ「何でこんな暗い子がここにいるわけ?」
璃奈「えっと……愛さんを、応援しにきた……」
モブ「愛先輩を? ああ、あんた最近愛先輩に付きまとってるっていう」
璃奈「……ちがっ」
モブ「何が違うの? 愛先輩、絶対迷惑してるよ?」
璃奈「……」
璃奈(否定出来なかった。確かに愛さんと私じゃ住む世界が違いすぎる)
璃奈(愛さんの気持ちだって、私には分からない。本当はこの子の言うとおり、迷惑してるのかも)
モブ「ほら、さっさとそれ片付けて帰りなよ。ここはあんたの来る場所じゃない」
璃奈「……うん。ごめんなさい」
璃奈(何を浮かれてたんだろう私。こんな私が友達なんて作って良いわけが無かったんだ)モクモク
愛「あれ? どうしたん?」 璃奈「……!」
モブ「あ、愛先輩!」
愛「ああこの間話しかけてくれた一年の」
モブ「覚えててくれたんですかぁ? 嬉しい〜!」
愛「もちろん! 今日は応援に来てくれたんだ!」
モブ「はい! 私、愛先輩の大ファンですから!」
愛「そっかそっか!」ニコニコ
愛「……あれ、りなりー?」チラッ
璃奈「……」タッタッタッ ※※※
タッタッタッ
璃奈(愛さんはやっぱり誰にでも優しい。現場を見ていたわけじゃないから仕方がないけど、あんな子にもキラキラした笑顔を向けちゃう)
璃奈(私には愛さんしかいないけど、愛さんはそうじゃない。そんなことにさえ、今まで気が付かなかった)
璃奈(毎日私に会いに来て、本当は無理してたんじゃないのかな? 他の友達との約束を断ったり、お店の手伝いが出来なかったり……)
璃奈(……苦しい。愛さんのことが大好きだから、私が愛さんの足を引っ張ってるんじゃないかって、すごく不安になる)
璃奈(いっそ愛さんのことなんて忘れられたら……)
カコッ
璃奈「……!」
璃奈(記憶操作装置……バッグに入れたままだったんだ)
璃奈(これを使えば、愛さんのことを忘れられる……)
璃奈(折角試合に呼んでくれたのに、私は何も言わずに帰ってきた。きっと愛さんも怒ってる) 璃奈(使えば、私はまた一人に……)
璃奈(幼)『お母さん見て! これ幼稚園で作ったの!』
璃奈ママ『ごめんね璃奈、お母さん疲れてるの』
璃奈(幼)『……』
璃奈(小)『どうして? 今週は動物園に行くって……!』
璃奈パパ『急に連絡が入ったんだ。仕方がないだろう』
璃奈(小)『……うん』
璃奈(中)『……ただいま』
シーン
『食費です。 母』🖊
璃奈(中)『……』
璃奈(中)『……笑えない。怒れない。泣けない』
璃奈(中)『私がそんな表情を向ける相手は……いない』
璃奈(……元に戻るだけ。独りには慣れてる) 璃奈「さようなら、愛さん……」カチャッ
「りなりー!」タッタッタッ
璃奈「!? 愛さん?」
璃奈(追ってきたの? どうして?)
愛「それ……記憶操作装置?」
璃奈「うん」
愛「それで、何をする気?」
璃奈「……私の中の、愛さんに関する記憶を消す」
愛「!? どうしてそんなこと!」
璃奈「私、愛さんのこと信じられない。どうしていきなり私なんかに声かけたんだろうって。どうして私なんかに優しくしてくれるんだろうって」
璃奈「今まで、誰もそんな人はいなかった。親さえも」
愛「りなりー……」
璃奈「いつか裏切られるんじゃないか、どうせ期待だけさせて最後は離れていくんだろうな、そんなことをずっと考えちゃう」
璃奈「……だから私は、愛さんのことが怖くてたまらない。忘れたいの。もう、顔も見たくない」 愛「……じゃあ」スッ
ソウチパシッ
璃奈「!? 返して」
愛「返さないよ。この装置は、愛さんが使う」
璃奈「!? そ、それはまだ実験もしてな」
愛「あれ? りなりー心配してくれるんだ?」
璃奈「……!」
愛「そんなに愛さんと離れたいなら、はじめからアタシに向かって使えば良かったじゃん。愛さんの中からりなりーを消せば、それで解決するでしょ?」
璃奈「そ、それは……」
愛「りなりーは優しい子だね。さっきの子が言ったこと、気にしてるんでしょ?」
璃奈「!」
モブ『りなりー? 愛先輩、あの子と知り合いなんですか?』
愛『友達だけど?』
モブ『……!』
モブ『あ、あんな子と仲良くしてたら、愛先輩まで暗くなっちゃいますよ! 無理に付き合う必要なんて無いですって!』
愛『……うるさいよ』
モブ『!?』
モブ『愛、先輩?』
愛『りなりーは、私の大事な友達! 無理なんてしてない! アタシはアタシが一緒にいたいから、あの子と友達になったんだ!』
モブ『……ご、ごめんなさい、私……』
愛『……』クルッ
タッタッタッ
モブ『あ、愛先輩!』 愛「ごめんねりなりー、不安な思いさせちゃって。だけど、愛さんはりなりーの側にいるよ。ずっと一緒にいたいんだ」
璃奈「愛さん……?」
愛「一目惚れ……ってわけじゃないんだけどさ、愛さんね、はんぺんの世話をしてるりなりーを、ずっと教室の窓から眺めてた」
璃奈「!」
愛「気付いてなかったでしょ? そしたらあの日ね、一人でボーッと立ってるりなりーを見つけて。初めて近くで見て、『ああ、やっぱり可愛いな』って」
愛「思い切って話しかけてみて、りなりーが持ってた割引券にかこつけて、強引に遊びに連れてって」
愛「緊張したなあ。結果的にちゃんと仲良くなれたんだけどね」
璃奈「愛さん……」
愛「愛さんね、りなりーのこと好きだよ。友達としてじゃなく、一人の女の子として」
璃奈「……!」
愛「だからね、りなりーがアタシのこと信用できないなら、この気持ちが本物だって証明してみせる」
璃奈「愛さん、何言って」 ■ このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています