かすみ「どうしてデートにベンチコート着てきちゃうんですかっ」
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―待ち合わせ場所―
かすみ(せつ菜先輩、まだでしょうか)ソワソワ
せつ菜「お待たせしました!!」
かすみ「あっ、もう! デートに遅刻なんて――」クルッ
せつ菜「すみません! 準備に手間取ってしまって」
かすみ「・・・・・・なんですか、その恰好は」ワナワナ
せつ菜「え? どこかおかしいですか?」
かすみ「今日は初デートですよ?! どうしてベンチコート着てきちゃうんですか!」
せつ菜「寒かったので」
かすみ「全然可愛くないですっ」ムスッ せつ菜「かすみさんは寒くありませんか?」
かすみ「こんなミニスカート穿いてて寒くないワケありません!」
せつ菜「カゼ引きますよ?」
かすみ「我慢してるの! すっごく我慢してるの!」
せつ菜「・・・・・・貸しましょうか?」
かすみ「要りません! というか近付かないでください」プイッ
せつ菜「えっ」シュン
かすみ「それ、早く脱いでください」ジトー
せつ菜「えっ」///
かすみ「まさか裸ですか?」ジーッ
せつ菜「違います! ちゃんと着ています!」///
かすみ「それならいいじゃないですか」 せつ菜「こんな街中で脱ぐなんて恥ずかしいです」モジモジ
かすみ「スポーツ選手もベンチコート着たままプレイしませんよね?」
せつ菜「はい」
かすみ「デートはいつでも本番なので、それは脱いで下さい」
せつ菜「一理ありますね」
ヌギヌギ
かすみ「・・・・・・どうして制服なんですか」ワナワナ
せつ菜「デートに行くと相談したら、この服が一番良いと」
かすみ「話しちゃったんですか?!」
せつ菜「果林さんだけですよ?」
かすみ「まあ、それなら・・・・・・って、ダメですよ!」
せつ菜「なぜですか?」
かすみ「かすみん達はアイドルなんですよ? アイドルは恋愛しちゃダメなんですっ」
せつ菜「それ、人権侵害ですよ」
かすみ「気持ちの問題です」 せつ菜「・・・・・・私、帰りますね」シュン
かすみ「えっ」ビクッ
せつ菜「スクールアイドルのかすみさんに手を出してしまい、申し訳ありませんでした」ウルッ
かすみ「あわわわっ。だから言ったじゃないですか、バレないようにしましょうって」
せつ菜「・・・・・・すみません。かすみさんにダサいと思われたくない一心で頼ってしまいました」
かすみ「ベンチコートよりもデートに相応しくない服なんてありませんよ」
せつ菜「すみません」シュン
かすみ「話してしまった事は仕方ありません。あとで宿題を手伝って、口止めしましょう」
せつ菜「3年生の宿題が私達に理解できるでしょうか」
かすみ「適当に教えておけばいいんですよ。悪いのは宿題をやらない果林先輩なんですから」 かすみ「それよりもデートを楽しみましょう」
せつ菜「はい」モジモジ
かすみ「どうしたんですか?」
せつ菜「私、デートなんて初めてで」
かすみ「しお子みたいなこと言ってないで、早く行きますよ」
スッ
せつ菜「・・・・・・」
ニギッ
かすみ「どうしてですか」ハァ
せつ菜「かすみさんこそどうしたんですか?」 デートで他の女の子の名前を出しちゃだめだよかすみん かすみ「これだと握手ですよ」
せつ菜「違うんですか? 手を出されたのでてっきり」
かすみ「こうするんですっ」ニヤリ
ギュッ
せつ菜「あっ」///
かすみ「ふふーん。これが恋人繋ぎです」
せつ菜「なんだか、ゾワゾワします」
かすみ「せつ菜先輩の手は冷たいですね」
せつ菜「そうですか? 体はポカポカしているのにおかしいですね」
かすみ「さっきまでベンチコート着てたからですよ」
―映画館―
せつ菜「あっ、私ちょうど観たい映画があったんですよ!」
かすみ「そうだと思ってプランに入れてみました〜」
せつ菜「さすがかすみさんです!!」
かすみ「ふふん」
せつ菜「それでは早速チケットを買いに行きましょう!」
かすみ「前売り券も準備済みです」スッ
せつ菜「カッコイイです!」キラキラ
かすみ「それほどでもあります」ニマニマ せつ菜「あれ? タイトルが違っていますよ」
かすみ「合ってますけど?」
せつ菜「観るのは鬼滅○刃ですよね?」
かすみ「どうしてですか!」
せつ菜「ポケモ○ですか?」
かすみ「違いますよ! 観るのはラブロマンスです!」
せつ菜「・・・・・・それ、面白いですか?」
かすみ「カップルの間では、すごく人気なんですよ?」
せつ菜「あっ! それなら、かすみさんはそれを観ていてください」
かすみ「・・・・・・は?」 せつ菜「私は自分のチケットを買ってきますから」ニコニコ
かすみ「どうしてですか!!」
せつ菜「えっ?」
かすみ「えっ? じゃないですよ! デート中のカップルが別々の映画みるとかありえません!」
せつ菜「それならかすみさんも一緒に観ませんか?」
かすみ「嫌です。それは1人か友達を誘ってください」プイッ
せつ菜「でも、休日はなるべくかすみさんと一緒にいたいので」シュン
かすみ「も、もう! そんな甘い言葉では騙されませんからね」テレテレ
せつ菜「それなら、今日はかすみさんオススメの映画を観ます。来週は私に付き合ってください」
かすみ「それならいいですよ」
せつ菜「ありがとうございます!!」ペカー
―映画終了後―
かすみ「うぅ、良いお話でしたぁ」ウルウル
せつ菜「ええ。本当に」ウルウル
かすみ「ラスト、しっかりと結婚できて良かったです」フキフキ
せつ菜「やっぱり、ああいうプロポーズには憧れますよね」
かすみ「え? せつ菜先輩にロマンチックが分かるんですか?」
せつ菜「私だって女の子ですよ?」
かすみ「てっきり、指輪なんてどれも一緒、とか言ってアルミホイルで自作したりするのかと」
せつ菜「私の事を男子小学生だと思っていませんか?」
かすみ「そっ、そんなワケないじゃないですか」
せつ菜「私がプロポーズするとしたら、手料理にこっそりと忍ばせておいて食べた瞬間に気付く、というサプライズにしたいですね」
かすみ「・・・・・・それ、大丈夫ですか?」 せつ菜「私達は、まだ女子高生ですよ? 結婚する頃には忘れていると思いますよ」ニッコリ
かすみ「というか、それまで付き合ってる前提なんですね」
せつ菜「・・・・・・別れるんですか?」シュン
かすみ「ち、違いますよ!」
かすみ「ですが、せつ菜先輩ってよく告白されてますよね?」チラッ
せつ菜「ああ、その事ですか」ニコニコ
かすみ「まあ、かすみんも同じくらいラブレターとか貰いますけどね」アセアセ
せつ菜「他の誰に言い寄られても関係ありません。私が好きなのは、かすみさんだけですから」キリッ
かすみ「・・・・・・そんなの反則です」ボソッ
―おしゃれなカフェ―
せつ菜「ここの料理もおいしいですね」モグモグ
かすみ「ですよね! この日の為に頑張って探した甲斐があります」ニコニコ
せつ菜「ありがとうございます。でも、少し落ち着きませんね」
かすみ「そうですか?」
せつ菜「私には静か過ぎるからでしょうか」
コトッ
かすみ「それならそろそろ出ましょうか」
せつ菜「すみません。本当に食事するだけになってしまって」ガタッ
かすみ「どこ行くんですか?」
せつ菜「え? お会計ですよね?」
かすみ「すみません。チェックお願いします」
店員「少々お待ちください」
かすみ「ここはテーブルで支払う方式ですよ」
せつ菜「アニメで見た事があります!」
店員「失礼いたします」スッ
かすみ「ありがとうございまぁーす」 せつ菜「わっ、私も払いますよ!」ゴソゴソ
かすみ「いいですよ。ここに来たかったのは私ですから」
せつ菜「いえ! 自分で食べた分くらいは払わせてください」
かすみ「だから――」
バリバリバリバリッ
かすみ「なんでですか!」
せつ菜「え?」バリバリバリ
かすみ「ここは私が払いますから、そのバリバリするの止めてくださいっ」ムスッ
せつ菜「かすみさんがそこまで言うなら」ゴソゴソ
―お台場・海辺ー
せつ菜「今日は楽しかったです!」
かすみ「満足してくれたなら私も嬉しいです」
せつ菜「みなさんと遊ぶのも楽しいですけど、こうやって2人で遊ぶのはまた違って良かったです」
かすみ「遊びじゃなくてデートですっ」ムスッ
せつ菜「??」キョトン
かすみ「もう・・・・・・」シュン
せつ菜「夕日が綺麗ですね」ジーッ
かすみ「そうですね」ムスー
ビューッ
かすみ「・・・・・・」ブルッ
せつ菜「少し冷えてきましたね」
かすみ「これくらいなんともないですよ」
バサッ
せつ菜「このベンチコート、すっごく大きくて――」
かすみ「だからそれは」
かすみを後ろから抱きしめ、自身も一緒にベンチコートの中へと収まった。
せつ菜「2人くらいなら余裕で入れます」
かすみ「どうして、ですか・・・・・・」
せつ菜「温かいですか?」
かすみ「熱いくらいですよ」
せつ菜「どうして俯いているんですか?」
かすみ「・・・・・・知りません」ボソッ
―帰り道―
せつ菜「キスしたいです」
かすみ「・・・・・・」
せつ菜「キスしたいです!!」
かすみ「聞こえてますよ!」
せつ菜「させてください!」
かすみ「デリカシー! ムード!」
せつ菜「・・・・・・キスする前の呪文ですか?」
かすみ「せつ菜先輩の好きなアニメでも、キスさせてくれって言ってからする主人公がいますか?!」
せつ菜「・・・・・・転んだ拍子にキスするのは難易度が高いですが頑張ります!!」
かすみ「それはただのセクハラです」ジトー
せつ菜「すみません。デートするのは初めてで、キスするのも初めてで」シュン
かすみ「それは私もですよ」
せつ菜「でも、今日のかすみさんのエスコートは完璧でした。それに比べて私は・・・・・・」ウツムキ かすみ「キスって、もっと雰囲気が大切だと思うんですよね」
せつ菜「雰囲気、ですか」
かすみ「こんな道の端じゃなくて、夕暮れの公園とか2人っきりの観覧車の中でとか」
せつ菜「・・・・・・もしかして、さきほど夕日を見ていた時がチャンスだったのでは?」
かすみ「・・・・・・」コクン
せつ菜「はあぁあああー」
かすみ「そんなにしたかったですか?」
せつ菜「はい・・・・・・」
かすみ「別に焦らなくてもいいじゃないですか」ニッコリ
せつ菜「それもそうですね」スクッ
かすみ「まだ初デートですよ? これから何回もする予定ですから、キスのチャンスくらいありますよ」
せつ菜「はい!!」
―後日・昼休み―
せつ菜「私のデートプランではダメですか?」
果林「ダメね」
歩夢「これってデートじゃないよね?」
しずく「デートでアニメショップに行く必要性を教えてください」
愛「お昼は愛さんの家で食べてってよ。割引券あげるからさー」
せつ菜「それではどうすればいいのでしょう」
果林「映画でポケ○ンや鬼滅○刃を観るのは止めなさい」
せつ菜「それではエヴ○に変更しますね」カキカキ
果林「やめなさい」
せつ菜「かすみさんは、アニメ映画でも良いって言ってくれましたけど」
歩夢「かすみちゃん、優しいからね」
せつ菜「もしかして気を遣わせてしまったのでしょうか」アセアセ
愛「ジョイポリは? 1日遊べるっしょ」
せつ菜「それです!」カキカキ
愛「それで、お昼は愛さんのもんじゃ焼きを――」
しずく「かすみさんなら、可愛いパンケーキとか好きなんじゃないですか?」
せつ菜「それも採用です!!」カキカキ 歩夢「あとはキスしたいんだっけ?」
せつ菜「はい!!」
歩夢「ハッキリ言うと押す事だね」キリッ
せつ菜「押す?」
果林「たしかに、かすみちゃんは押しに弱そうよね」フフッ
歩夢「最悪、押し倒してもいいよ」
果林「それなら私がお家デートの極意を教えてあげるわ」
せつ菜「お家デート! 聞いた事があります!」カキカキ
歩夢「いい? 押すんだよ? 押し倒して足を絡めればイチコロだからね?」
愛「あの、愛さんのもんじゃを」
しずく「次も楽しい話が聞けそうですね」ニンマリ
―数日後・かすみの部屋―
ビュオォー
せつ菜「はぁー、今日は一段と寒いですね」ブルブル
かすみ「今日のデートは中止でも良かったんですよ? こんな嵐の日にまで無理しなくても」
せつ菜「すみません。どうしてもかすみさんに会いたかったので」
かすみ「・・・・・・ありがとうございます」
せつ菜「それに、お家デートなるものもしてみたかったですから」ニコニコ
かすみ「今日はベンチコートじゃないんですね」
せつ菜「新調しました!」バッ
かすみ「そのダッフルコート、よく似合ってて可愛いです」
せつ菜「!!」パアァ
かすみ「真っ黒なのがせつ菜先輩らしいですけど」
せつ菜「上のボタンまで止めると口元まで隠せるので、アサシンっぽくないですか?!」
かすみ「ただの怪しい人ですよ」フフッ
せつ菜「カッコイイですよね!!」ペカー
かすみ「それも、その、果林先輩のオススメですか?」
せつ菜「いえ、Amaz○Nのオススメです」
かすみ「そうですか」ホッ かすみ「お家デートと言っても、かすみんの部屋にせつ菜先輩が喜びそうな物はありませんけど」キョロキョロ
せつ菜「ダラダラしましょう!!」
かすみ「ダラダラですか?」
せつ菜「お菓子を食べながらお喋りしたり、一緒にテレビを観たり、眠くなったらお昼寝したりするらしいです」
かすみ「ああ、果林先輩からの受け売りですか」ハァ
せつ菜「ダメですか?」チラッ
かすみ「いいですよ。そういうのもたまには楽しいと思いますし」
せつ菜「!!」パアァ せつ菜「私、かすみさんのコッペパンが食べたいです!」
かすみ「今日もですか? いつも一緒に食べてるじゃないですか」
せつ菜「かすみさんの家で食べる、かすみさんのコッペパン。なんだか良くありませんか?」
かすみ「そうですか?」
せつ菜「はい!」
かすみ「ストックがまだありますから、少し待っていてください」
せつ菜「はい!」
かすみ「信用してないワケじゃないですけど、かすみんの部屋を荒さないでくださいね?」
せつ菜「・・・・・・」
かすみ「返事してくださいっ」
せつ菜「ベッドの下くらいはいいですか?」
かすみ「ダメです!」
バンッ せつ菜「おおっ!」キラキラ
かすみ「せっかくなので、色々持って来ました」
せつ菜「このジャムもかすみさんが作ったんですか?」
かすみ「はい。甘さ控えめにしているので、すこぉしくらい食べ過ぎても大丈夫ですよ」ニコッ
せつ菜「いただきます」
かすみ「好きなだけ召し上がってください」
モグモグ
せつ菜「そういえば、今日のかすみさん、ちょっとテンション低くありませんか?」
かすみ「そうですか?」
せつ菜「ちょっと緊張している? ような」ジーッ
かすみ「恋人が自分の部屋に来れば、誰だって緊張しますよ」
せつ菜「肩の力を抜けるようにマッサージしてあげましょうか?」
かすみ「え、ええっ。いいですよ〜」
せつ菜「遠慮しないでください。コッペパンを食べ終わったら揉みほぐしてあげます!」
かすみ「マッサージとかいって変なところ触ったら、嫌いになっちゃいますからね?」
せつ菜「前から思っていましたけど、かすみさんは私の事を誤解しています」
―かすみのベッド―
グッグッ
かすみ「んっ」
せつ菜「・・・・・・」
かすみ「はぁ、気持ちぃです〜」
せつ菜「・・・・・・」
かすみ「なんだか眠くなってきちゃいました」
「・・・・・・」
かすみ「あの、なにか話してくれませんか?」
せつ菜「・・・・・・」
かすみ「せつ菜先輩?」
ピトッ
かすみ「!!」
せつ菜(押し倒すとは、これでいいのでしょうか)
かすみ「先輩ッ! かすみんに何するつもりですか!」///
せつ菜「・・・・・・何をすればいいのでしょうか?」
かすみ「・・・・・・はぁ?」
せつ菜「実はですね――」
―翌日・部室―
かすみ「歩夢先輩、お話があります」
歩夢「どうしたの?」キョトン
かすみ「せつ菜先輩に変なこと吹き込むのは止めてください」
歩夢「変なこと?」
かすみ「その、あれですよ。えっと、かすみんなんて押し倒せばいいとかなんとか」モジモジ
歩夢「もう、せつ菜ちゃんってば」フフッ
かすみ「笑い事じゃありません」ハァ
歩夢「それで?」
かすみ「・・・・・・なんですか?」
歩夢「押し倒されたの?」
かすみ「・・・・・・教えません」プイッ
歩夢「ざーんねん♪」
かすみ「あと、せつ菜先輩と私の事は絶対に秘密ですからねっ?」
歩夢「分かってるよ」ニッコリ
―同日・学食―
果林「あら、失敗したのね」
せつ菜「はい・・・・・・」シュン
しずく「ですが、恋人を家から追い出すなんて酷いですね」
せつ菜「い、いえ! 無防備な背中にいきなりくっつかれれば、怒るのも当然だと思います」ウツムキ
愛「かすかすも恥ずかしかっただけっしょ?」
せつ菜「私、嫌われてしまったのかもしれません」ウルッ
愛「そんな事ないって!」バシバシッ
せつ菜「でも、あれから一度も話していませんし」
果林「昨日の今日じゃない。大丈夫よ」
しずく「元気出してくださいっ」
果林「次はヘタらないようにしないとね」
しずく「すみません。私がもっと濡れ場に詳しければ教えられる事もあったのですが・・・・・・」
せつ菜「そんな! みなさんは本当に頼りになります!!」ガタッ
果林「とにかく元気出しなさい。それがあなたの長所でしょ」
せつ菜「はい!!」
―放課後・部室―
ガラッ
「あっ」
せつ菜「こ、こんにちは」
かすみ「は、はぁ。こんにちは、です」ペコリ
せつ菜「今日はいい天気ですね」
かすみ「・・・・・・なんですか。昨日の事を気にしてるんですか?」ジトー
せつ菜「申し訳ありませんでした!!」ドゲザ
かすみ「ちょっ?! やめてください!」
せつ菜「ベッドの上でリラックスするかすみさんが可愛くて、つい抱きついてしまいました!!」
かすみ「分かりましたから! そんな大きな声で説明しないでください!」
せつ菜「もう二度としないと誓うので嫌いにならないでください!!」
かすみ「分かりました! 元から怒ってないので顔を上げてください」
せつ菜「本当ですか?!」パアァ
ガラッ
果林「今日もラブラブね」
歩夢「ふふっ、廊下まで聞こえてたよ」
しずく「なるほど。かすみさんの方が強い立場ですか・・・・・・ふむ」
愛「ちぃーす。同好会の様子、見に来たよー」
かすみ「なんですか? 愛先輩も果林先輩もスパイですか?」ジーッ
果林「たまに遊びに来るくらい良いじゃない」
せつ菜「そうですよ! 果林さんは私の先生です!!」
かすみ「まあ、それは聞いていますけど」チラッ
歩夢「私はデートプラン担当だよ」
しずく「私は演出担当です」
愛「アタシはせっつーの友達として意見を出す役かなー」
かすみ「どうしてみんな知ってるんですか?!」
せつ菜「みんなじゃありません。4人だけです」
かすみ「みんなですよ?! この4人が知っているという事は」チラッ
果林「私は誰にも話していないわよ?」
歩夢「疑われるなんて心外だなー」
愛「愛さん、そんなに口軽くないのに・・・・・・」シュン
しずく「璃奈さんにしか話していません」
かすみ「ほらー」
せつ菜「璃奈さんを入れても5人だけです」 経験談からのアドバイスはあてにしすぎてはいけないなw
ガバッ
彼方「彼方ちゃんも知ってるよ」
ガラッ
エマ「部室であんなにソワソワしてたら誰でも気付くよ〜」
璃奈「2人とも初々しくて可愛い、好き(きゅん)」
ミア「日本人は奥ゆかしいと聞いていたけど、この2人はまるで子ども、KindergartenChildrenのようだね」ハハッ
かすみ「せつ菜先輩! 来てください!」グイッ
せつ菜「かすみさん? いったいどこに」
かすみ「いいから来てください!」
タッタッタッ
シーン
―屋上―
かすみ「はぁー」
せつ菜「すみません。私の知らない間に大事になってしまっていました」
かすみ「もう、無理です」シュン
せつ菜「かすみ、さん?」
かすみ「せつ菜先輩、お別れしましょう」
せつ菜「えっ」 かすみ「すぐ近くのみんなにも隠せないんです。ファンの人達もきっと勘付いているはずです」
せつ菜「え、で、でも、わたし、かすみさんの事が好きで、大好きで」
ヒューッ ブォオオオッ
かすみ「かすみんだって好きですよ」ボソッ
せつ菜「それなら――」
かすみ「でも、スクールアイドルの事も同じくらい好きなんです!」
せつ菜「・・・・・・」
かすみ「せっかく頑張って続けてるんです。こんな所で辞めたくありませんっ」
せつ菜「・・・・・・」
かすみ「せつ菜先輩もスクールアイドルを続けたいですよね?」
かすみ「ファンになってくれた人達をガッカリさせたくないですよね?」
せつ菜「はい・・・・・・」
かすみ「せつ菜先輩は悪くない、と思います」
かすみ「これは私のワガママです。だから――」
かすみ「お別れ、しましょう」
せつ菜「・・・・・・」
ウルッ かすみ「ごめんなさい」ボソッ
せつ菜「・・・・・・」グッ
かすみ「さようなら」クルッ
せつ菜「かすみさん!」
ガシッ
かすみ「なんですか?」
せつ菜「こっち向いてください」
かすみ「嫌です」
せつ菜「まだっ! 私の大好きが伝えきれてません!!」
かすみ「・・・・・・もういいですよ。毎日”大好き”と言ってくれてた事、本当はすごく嬉しかったです」ボソッ
せつ菜「そんな言葉では足りません!」
かすみ「は、早くしないと練習が始まっちゃいますよ」 せつ菜「かすみさん!」グイッ
かすみ「きゃっ?!」
かすみの右腕を引っ張り、無理やり身体を引き寄せる。
かすみ「な、なんですか! もう!」
そして、両方の手首を強めに握った。
かすみ「放してください!」ジタバタ
せつ菜「大好きです、かすみさん」
スッ
かすみ「せ――――」
真っ赤になってしまった瞳は、一度見開いてからゆっくりと閉じられた。
大好きな人の温もりを、感触を、味を、想いをより強く感じる為に。 かすみ「ぷはっ」
せつ菜「私の大好き、伝わりましたか?」
かすみ「もぉ〜っ」ウツムキ
せつ菜「私、なにか間違った事をしてしまいましたか?」アセアセ
かすみ「どうしてですか・・・・・・こんな・・・・・・」プルプル
せつ菜「すみません!!」ペコリ
かすみ「こんな事されたらお別れなんて出来ないじゃないですかぁ−っ!」
その場に膝から崩れ落ちたかすみ。目から溢れる大好きが、足元にいくつもの跡を作っていく。
せつ菜「私達のこと、みなさんに話しましょう」
ギュッ
バンッ
璃奈「その必要は無い」
かすみ「りな子?!」ビクッ
愛「2人ともサイコー!」グッ
せつ菜「どういう事ですか?」キョトン
愛「全部撮影済み、ってコト」ニンマリ
かすみ「盗撮じゃないですか!」
璃奈「せつ菜さん、いいよね?」
せつ菜「いや、さすがに盗撮を容認するワケには――」
璃奈「こんなに強い繋がりを持った2人を引き離すなんて鬼畜の所業(ゾゾゾッ)」
璃奈「これを説得材料に、ファンのみんなにも理解してもらう」
せつ菜「つまり・・・・・・?」
璃奈「かすみさんとお付き合いを続けられる。スクールアイドルを辞めなくても」
せつ菜「許可します!!」
かすみ「せつ菜先輩ッ!」
せつ菜「私はかすみさんと別れたくありません!!」
かすみ「・・・・・・もう」///
璃奈「今のも撮った?」ヒソヒソ
愛「バッチリ」ヒソヒソ
璃奈「さっそく編集しないと(ワクワク)」
愛「もしもし? そっちの方も撤収してーって」
『はーい。みんな、撤収だよー』
『了解です』
ブォオオオオンッ
ブォオオオオンッ
ブォオオオオンッ
かすみ「なんですか、あの黒い群れは」ジーッ
せつ菜「ドローンでは?」
かすみ「・・・・・・まさか」ビクッ
―翌日・虹ヶ咲学園―
ザワザワザワ
「号外でーす! 優木せつ菜ちゃんに恋人が発覚しました!」
―数日後・部室―
かすみ「・・・・・・」ボーッ
璃奈「再生数とグッド評価、まだまだ伸びてる(にっこりん)」
彼方「24時間で200万再生だっけ? すごいねー」
璃奈「虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会の公式アカウントからのアップロードだから信憑性も高い(キラーン)」
エマ「スイスの妹達も見てるかな〜」
璃奈「私達の宣伝にもなって一石二鳥(きりり)」
彼方「さすが璃奈ちゃんだー」
ナデナデ
璃奈「(テレテレ)」 かすみ「ねえ、りな子」ボソッ
璃奈「どうしたの? 魂の抜けた人形みたいな顔してるけど」
かすみ「せつ菜先輩とかすみんの大スペタクルな動画の――」
彼方「寝不足?」
かすみ「こんなの寝不足にもなりますよっ」ガタッ
エマ「すっごく素敵な動画だったよ?」
璃奈「完徹して作った(キラリン)」
かすみ「違います! それの関連動画ですよ!」
璃奈「これの事?」
カチッ
―【独占】話題の2人が馴れ初めを語る―
Q.2人はいつから付き合い始めたんですか?
「えぇー? そんなの恥ずかしいですよぉ」
”そこをなんとか、お願いします”
「もう、しょうがないですねぇ。かすみん達は〜、付き合い始めて1ヶ月のホヤホヤカップルなんです♪」
Q.どちらから告白を?
「せつ菜先輩からですぅ〜」
Q.どんなシチュエーションでしたか?
(場面転換)
せつ菜「好きです! 付き合ってください!」ペコリ
「そ、そんな! かすみんはアイドルなんです! せつ菜先輩の事は好きですけど恋愛なんて出来ませんよぉ」
せつ菜「でも、この大好きな気持ちは、もう抑えられないんです!」
「ん―。でもでもぉ、ファンの皆さんを裏切ることなんて、かすみんには出来ません」
せつ菜「・・・・・・本当にお願いします。なんでもしますから付き合ってください!!」ドゲザ
「せつ菜先輩?! 分かりました! 分かりましたから止めてくださーいっ」
―部室―
彼方「へぇー、こういう告白だったんだねー」
かすみ「よく見てください! これどう見てもかすみんじゃありません!」
エマ「そう言われれば・・・・・・」ジーッ
璃奈「・・・・・・」
しずく「そうですか? 上手く出来たと思いますけど」
かすみ「出たなー! 偽かすみんのしず子!」ビシッ
せつ菜「何度見ても良い動画ですね」ウルウル
かすみ「元凶ッ!!」クルッ
せつ菜「え?」 しずく「それが、かすみさんには気に入ってもらえなかったみたいです」
せつ菜「どうしてですか?!」ガタッ
かすみ「それよりも、どうして勝手に話しちゃうんですか?!」
せつ菜「教えてほしいと頼まれたので」
かすみ「少しは疑ってください! 私達は仲間でライバルなんですよ?!」
せつ菜「一生の思い出だから動画にして残しておいた方がいいと――」
かすみ「こんなの恥ずかし過ぎますっ」ムスッ
せつ菜「しずくさんと璃奈さんに言われました」
かすみ「すごい演者とすごいプログラマーによる悪魔のコンビじゃないですか!!」
しずく「そんなに褒めないでよ」
かすみ「悪魔だって言ってるじゃん!」
璃奈「2人の為になら天使にも悪魔にも成れる(むんっ☆)」
せつ菜「カッコイイです!!」キラキラ 璃奈「それに私達だけじゃない」
バンッ
ミア「So! ボク達も手伝ってあげたのさ。もっと感謝してほしいね」
ランジュ「スクールアイドル部のプロ達が全力でバックアップしたんだから、これからもっともっと伸びるわよ」
栞子「百合カップルに関わるのは初めてです」
かすみ「もうやだぁ〜」ウルウル
せつ菜「なにがですか?」キョトン
かすみ「かすみんは、もっとみんなに隠れながらコソコソと清純なお付き合いがしたかったんですぅ〜」
せつ菜「でも、こんなにもたくさんの人にお祝いされて、応援されて、嬉しくありませんか?」
かすみ「それは・・・・・・」フキフキ せつ菜「私は嬉しいです! かすみさんの恋人もスクールアイドルも続けられるなんて最高です!!」
かすみ「声が大きいですよ」テレテレ
しずく「熱い抱擁を交わした2人は、その勢いのまま、部室に新設されたベッドルームへと消えていくのだった」
かすみ「しず子ォッ!!」
せつ菜「学園内で、その、え、え、エッチな事は禁止されています!!」///
かすみ「せつ菜先輩は純粋なんですから真に受けちゃうでしょ!」
彼方「あの、それ、彼方ちゃんのバイト代で作ったお昼寝スペースなんだけど・・・・・・」ソワソワ
エマ「大丈夫だよ」
エマ「今あの子が作ってるかすみちゃんとせつ菜ちゃんのデュエット曲が完成すれば、西武ドームくらいは埋められるから」
彼方「・・・・・・ウハウハだねぇ」
璃奈「部費も潤う、知名度も上がる、みんな幸せ(にっこりん)」
歩夢「ねえ、あなた――」
歩夢「女の子同士の恋愛って、すごく素敵だよね♡」
おわり
―後日談―
かすみ「どうしてですか?!」
せつ菜「え? ベンチコートは置いてきましたよ?」
かすみ「いやいやいや!」
「ねえ、あの2人って」ヒソヒソ
「本当だ、やばーい」ヒソヒソ
「ねえ、どうしよ、どうしよ」ヒソヒソ
せつ菜「気のせいですかね? 視線を感じる気がします」
かすみ「・・・・・・」
「あ、あのっ!」
せつ菜「はい?」
「優木せつ菜ちゃん、ですよね?」
せつ菜「はい!! 優木せつ菜です!」キリッ
「きゃっ♡ ファンです! 握手してください!」
せつ菜「ありがとうございます!!」
ギュッ
「きゃーっ!!」
かすみ「・・・・・・」ジーッ 「あっ」チラッ
かすみ「・・・・・・」ムスッ
「あ、あの」
かすみ「なんですかぁ〜?」
「私、お二人のこと応援してますからっ」///
かすみ「・・・・・・ありがとうございます」プイッ
「かすみんもファンです! 握手してください」ペコリ
かすみ「次からは、先にかすみんと握手してくださいねぇ」
「きゃーっ♪」
チョンチョン
かすみ「ん?」クルッ
せつ菜「・・・・・・」ジーッ
かすみ「どうしたんですかぁ?」ニッコリ
せつ菜「ファンの人達を大切にする事も大事ですが、一番大切な人を放っておくのはどうかと思います」ウツムキ
かすみ「それ、せつ菜先輩が言いますか?」
せつ菜「??」キョトン
かすみ「ファンの人達にバレたのはせつ菜先輩のせいですよっ」
せつ菜「な、なに言ってるんですか?」 せつ菜「普段着、可愛い、ミニスカート。今日は完璧なコーディネートのはずです!!」
かすみ「今度は誰に唆されたんですか?」ジトー
せつ菜「自分で考えました!」
かすみ「もう果林先輩を頼ってください」ハァ
せつ菜「どうしてですか?!」
かすみ「どうして? それは私のセリフですっ」
かすみ「どうしてですか! どうしてステージ衣装でデートに来ちゃうんですかっ!」
おわり 最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
タイトルにSSを付けるのを忘れてました。連投規制に遭ったので途中休憩しました。すみません。
前回に予告を適当に書いたら意外とモチベが上がったので今回もやります。
興味の無い方は見ない方がいいです。 米 以下から転載禁止
侑「歩夢? またあゆぴょん見たいなー」ニコニコ
歩夢「えー」
果林「あら、いいわね」
歩夢「もう、果林さんまで」モジモジ
果林「でも、あゆぱんだも捨て難いわ」
歩夢「果林さんっ!」///
侑「え? あゆぱんだ?」
歩夢「なんでもないよ」アセアセ
果林「ごめんなさい。あの事は2人だけの秘密だったわね」フフッ
侑「あゆぱんだ! 私も見てみたい!」キラキラ
歩夢「絶対にダメ!」
侑「えっ」ビクッ 果林「そうよ。あゆぱんだは私だけのものなんだから」
ギュッ
侑「・・・・・・」
歩夢「あの、果林さん・・・・・・?」モジモジ
果林「あっ。ごめんなさい」
果林「こほん」
果林「”歩夢”は、私だけのものよ」キリッ
―朝・待ち合わせ場所―
侑「っていう夢みてね」
侑「おかしいよね。私達、付き合いたてホヤホヤのカップルなのに」テレテレ
歩夢「・・・・・・そうだね」
侑「ほら、早く行こうよ」ニッコリ
スッ
歩夢「・・・・・・」
侑「歩夢?」キョトン
歩夢「ううん。なんでもない」フルフル
侑の腕にそっと腕を絡めた。
侑「えへへ」
歩夢「・・・・・・」
侑「待ってよ! 歩夢は私の恋人でしょ! それなら――」
歩夢「違うよ・・・・・・」ボソッ
侑「え? 今なんて」ビクッ
歩夢「私ね、本当は果林さんと付き合ってるの」ウルッ
侑「・・・・・・は?」
―――
果林「はぁ〜い」
果林「歩夢とパンダは私のモノよ」キリッ
―――
侑「私と歩夢は10年来の幼馴染で、ずっと一緒にいて、これからも――」ブツブツ
―――
果林「歩夢が待ち続けた10年間。あなたは想像できる?」
―――
果林「さあ、歩夢。今ここで決めてちょうだい」
侑「歩夢・・・・・・」
歩夢「・・・・・・」ウツムキ
果林「私と侑、どちらとの関係を続けるの?」
歩夢「・・・・・・私は――」 本編も面白かったし次作楽しみだわ早めにお願いします! 次回予告で思い出したけど、あゆぽんSSの人か
次回作も楽しみにしてる >>36
自分が死んでいることに気がついてないだけやぞ @cメ*˶˘ ᴗ ˘˵リ 少し不穏だけど楽しみな次回予告だね! ■ このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています