せつ菜「少女漫画もいいですね!!!」
■ このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています
──歩夢の部屋──
せつ菜「歩夢さん、次の巻を取っていただいていいですか?」
歩夢「はい。この漫画はこの巻で終わりだよ」
せつ菜「ありがとうございます!!」
歩夢「ふふっ。せつ菜ちゃんが楽しそうで嬉しいよ」
せつ菜「ええ。私、今まで『ヂャンプ』や『マガヂン』ばかりだったので、こういう少女漫画って初めてなんですよ!」
歩夢「そうなんだ。小さい頃もあんまり?」
せつ菜「私の家は漫画禁止なので、読む機会が無かったですね」
せつ菜「『ちゃを』や『りぼむ』とか、本屋で並ぶ漫画雑誌を見て憧れはあったのですが」
せつ菜「この歳になる頃には、興味が少年漫画やラノベに移ってまして…」
せつ菜「お小遣いも有限ですから、少女漫画に使うお金が無かったんです」
せつ菜「けど、こういうのも滾りますね!」
歩夢「たぎる?」
せつ菜「いじめられてる主人公の女の子を庇う男の子!最高にかっこいいじゃないですか!!」 歩夢「ああ、分かるなあ。ピンチの時に助けにきてくれるって良いよね」
歩夢「私も小さい頃、よくいじめられたけど、そのたびに侑ちゃんが助けてくれたんだ」
せつ菜「なんですかそれ!リアルこの漫画じゃないですか!」
せつ菜「歩夢さん!侑さんのそういうの、もっとおしえてください!」
歩夢「え、ええ?漫画は良いの?」
せつ菜「うう…。漫画は読みたい…。けど、そちらもすごく気になります…」
せつ菜「私にとっても、侑さんはヒーローですから」
せつ菜「そんな彼女の武勇伝を聞いて、もっとあの人を大好きになりたいんです!」
歩夢「えへへ、なんか恥ずかしいな…。例えば小学生の時の給食でね──」 ──────
歩夢(うう…。もうおなかいっぱいでたべられないよ…)
歩夢(でも、ごはんのこすのよくないよね…)
歩夢(きゅうしょくのじかんももうすこしでおわっちゃう…)
「あー!あゆむちゃんがごはんのこそうとしてるー!」
歩夢「え!?」 「いーけないんだーいけないんだ!せんせーにいってやろー」
歩夢「や、やめてよ…。いま、たべようとしてたよ…」
「でもあと5ふんでたべれるわけないじゃん!」
「まだこーんなにのこってるのに」
歩夢「うう…」ジワ… 「やっぱりのこすきじゃん!おはしすかすかしてるじゃん!」
歩夢(ほんとうにこれいじょうは…むりだよ…)
歩夢(おなかにいれたら…もどしちゃう…)
「やーいやーい!あゆむちゃんはわるいこだー!」
歩夢「や、やめ──」
侑「やめろ!」 歩夢「──ゆうちゃん!」
「ゆうちゃんか。わるいこにわるいっていってなにがわるいんだよお」
侑「だめ!あゆむはわるいこじゃない!」
侑「もうたべられないのにむりしたら、おなかこわしちゃうでしょ!」
侑「あゆむがごはんをのこさなきゃいいんだよね」
「へっ。でもたべれるわけないじゃん!」
侑「そんなことない!」
侑「あゆむ。そのごはん、ぜんぶわたしにちょうだい」
歩夢「え?でも…わたしのたべかけ…」
侑「そんなのきにしないよ!」
侑「いくぞー!おりゃあああ!」パクパクパク! 「うわあ、きたなーい。ひとのたべかけをたべるなんて!」
侑「きたなくなんかない!」
パクパクパク!
カラカラン…
侑「ごちそうさま!」
侑「どうだ!もうあゆむをわるくなんていわせないよ!」
「う…うう、うわああああん!!」ピュー!
歩夢「ゆ、ゆうちゃん…」グスッ
侑「こわかったね。もうだいじょうぶだよ」ナデナデ
歩夢「ありがとう…。うっ…っ…」
歩夢「う…わああああん!」 ───
せつ菜「なんですか…それ。…侑さんかっこよすぎます…」グスッ
せつ菜「私…歩夢さんに感情移入して…思わず涙が…ううっ…」
歩夢「も、もう…!大げさだよ」っティッシュ
せつ菜「あ…ありがとうございます…。鼻もかんでいいですか?」
歩夢「いいよ。はい」っティッシュ
せつ菜「──ちーん」
歩夢「ふふっ、なんか照れちゃうな。こんな話でここまで泣かれると」
せつ菜「私、さらに昔の侑さんに興味が湧きました!もっとそういうのください!」
歩夢「え、ええ…。うーん、だったらあとは…」 ─────
歩夢(うう…おといれいきたい…)ソワソワ
歩夢(でも、じゅぎょうちゅうにてをあげるのはずかしい…)
歩夢(まだおわるまで20ぷんもある…)
歩夢(うう…だめ…も、もう…もれちゃう…)ソワソワ
歩夢(あ、ああ…も、もう……あっ…)ソワソワ
侑「せんせーい!といれ!」
歩夢(…!) ──先生はトイレじゃないですよ。
──どうぞ、高咲さん。今度はちゃんと休み時間のあいだにね。
侑「あゆむちゃんもつれてっていいですか!ひとりでといれするのこわいです!」
──しょうがないわね。いいですよ。
歩夢(ゆうちゃん…)
侑「ありがとうせんせー!いこうあゆむっ!」
歩夢「う…うん!」 ───
侑「よしっ!あゆむ…まにあった───あっ…」
ジョボボボ……
歩夢「う…うう……うっ…みないでゆうちゃん……」ビチャビチャ……
侑「……ごめん、あゆむ…。わたしがもっとはやくきづけば…」
歩夢「ちがうの!わたしが…!」
侑「そんなことない!あゆむはがんばったんだよ…!」
歩夢「ゆ、ゆうちゃん…。ごめんなさい…」
歩夢「わたし…きたないよ…ひっく…」グスッ 侑「そんなことないよ。がんばったあゆむはきれいだよ」
侑「ほけんしついこう。ね?」
侑「このことはわたしとあゆむだけのひみつ」
歩夢「う…うん…///ありがとう…うぅ…」
侑「ほらもうなかないの。あゆむはつよいこだよ」
歩夢「うん…」 ───
せつ菜「なんていいお話なんですか…。私もティッシュがびちゃびちゃです…」ダバー
歩夢「も、もう…!ほんとにおおげさだよお」っティッシュ×2
せつ菜「ううっ…。でも、良いんですか?ふたりだけの秘密なのでは…?」
歩夢「さすがにもう失効だよ」
歩夢「私もこうやって誰かに話せるくらい、昔のことだから」 せつ菜「本当に…。侑さんは昔から素敵な人だったんですね」
歩夢「なんかあの子が褒められてると、私も嬉しくなっちゃうよ」
歩夢「もうここまで来たら、思いっきりせつ菜ちゃんのこと泣かせちゃおうかな?」
せつ菜「そ、その言い方はなんだか語弊を生みますよ!」
せつ菜「でも、そうですね。私の涙腺VS歩夢さんの昔話」
せつ菜「これは熱い戦いになりそうです!!!」
せつ菜「かかってきてください!歩夢さん!」
歩夢「行くよ!せつ菜ちゃん!!」 ────
「うえはらさんさー。たかしくんとなかよくするのやめてくれない?」
歩夢「え?」
「こっちのあけみがたかしくんのことすきなんだよ」
「けど、たかしくんがうえはらさんのことがすきっていって、あけみショックうけちゃったんだよ」
歩夢「え…?でもそんなの…わたしにかんけい──」
「あるんだよ!」 「え?なに?あけみがきずついてなんともおもわないわけ?」
「うっわうえはらさんつめたー」
「あけみにあやまんなよー」
歩夢「そんな…わたし…べつにたかしくんのこと…すきってわけじゃ」
「は?あけみのすきなたかしくんをバカにするの?」 歩夢「ちがうよ…!そんなつもりじゃ…」
「ほんとつめたいひとだねー、うえはらさん」
「なんでたかしくんがこんなやつを」
歩夢「や…やめてよ…うぅ…」グスッ
「なけばいいとおもってるの?ひきょうものだね」
『ひきょーもの!ひきょーもの!』
『ひきょーもの!ひきょーもの!』
歩夢「い…いや…。やめて…」 侑「やめろ!なにしてるんだ!」
「たかさきさんじゃん。じゃましないでくれる?」
侑「いやだ!あゆむをいじめるなんてゆるさない!」
歩夢「ゆうちゃん…」
「なんでこんなこをそこまでかばうの?」
「このこがあけみいじめてるんだよ」
侑「あゆむがそんなことするわけない!」
侑「わたしのたいせつなあゆむを、きずつけないで!」 「じゃああけみのきもちはどうなるの!たかしくんがすきなんだよ!」
侑「それならあけみちゃんががんばればいい!」
侑「がんばってたかしくんにすきになってもらえばいい!」
侑「あゆむにやつあたりするなんて、そっちがひきょうものだ!」
「ちっ…」
「はあ…もういこいこ…」
「たかさきさん、ほうかごたいいくかんうらね」 ───
侑「だいじょうぶ?あゆむ?」
歩夢「う…、うわああああん!」ダキッ
歩夢「こわかったよぉ…ゆうちゃぁん…うあああん…!」
侑「よしよし。あゆむはつよいよ」ナデナデ
歩夢「うわああああん…!」
侑「もう…ほんとになきむしなんだから…」
侑「そんなになかれると…わたしまでなけてきちゃうじゃん…」
侑「うっ…うう…」
侑「うわああああんっ!」
侑「ごめんね!わたし…もっとはやくきてあげれば…うわああん!」
歩夢「ううん…。わたし…ひっく…うれしかったよお…!」
歩夢「ゆうちゃん……ありがとう…!」
侑「あゆむぅ…あゆむぅ…!」ギュゥッ
──── せつ菜「うわああああん!」
せつ菜「なんなんですか!超王道の遅れてやってくるヒーローじゃないですかああ!!! 」
せつ菜「強すぎる!強すぎますよ歩夢さん!!」
歩夢「せつ菜ちゃん、まだ話の途中なのに泣くの早いよ…」
せつ菜「だって…だってぇ!こんなのずるいですっ!!」
歩夢「もう…この先を話したらせつ菜ちゃんどうなっちゃうの…」 ───
「たかさきさんさー、さっきはよくもつまんないことしてくれたね」
「そんなにうえはらさんがだいじ?」
侑「あたりまえだよ!あゆむはたいせつなともだちだ!」
「でもさー、あけみだってあたしらのともだちなわけ」
「ともだちがなかされてるのにだまってられないんだよ」
侑「でも、それであゆむをきずつけていいりゆうにならないよ!」
「たかさきさんみたいなひとなんていうかしってる?」
「うざいっていうんだよ!!」
パァン! 侑「いたっ!なにするの!いたいよ!」
「うるさいよ!あたしらのじゃましないで!」
パァン!パアン!
侑「や、やめ!やめて!」
「だいたいなんなのあんたのそのかみ。みどりにしちゃっておかしい」
「ほんとほんと。かっこつけてんの?」
侑「う、うるさい!」
「こんなへんなこがいっしょじゃ、うえはらさんもかわいそー」
『かーわいそお!かーわいそお!』
『かーわいそお!かーわいそお!』
侑「そ、そんな…そんなわけ…ない…」
侑「ううっ……だれか…たすけて…」
パァン!パァン!
侑「やめて…やめてよ…ううっ…や──」
歩夢「やめて!」 侑「あ…あゆむ…!」
歩夢「ゆうちゃんをぶたないで!」
「うえはらさんなんでここにいんの?うざ」
歩夢「わたしだけじゃないよ!」
「──なにしてんだよ…おまえら。なんであけみちゃんもそこにいるの」
「た、たかしくん!?なんで!?」
「あゆむちゃんがきてっていうからきてみたら──」
「なんでたかさきさん、そんなぼろぼろなんだよ…」 「ち、ちがうのたかしくん!これあけみがやらせたんじゃなくて…!」
「みそこなったよ!おまえら!」
「……!」
「おれのすきなあゆむちゃんのたかさきさんをきずつけるなんて」
「おまえらとはもうぜっこうだ!」
「たかしくん…!うっ…うわぁあああああん!」ピュー!
「これでいい?あゆむちゃん?」
歩夢「うん。たかしくん、ありがとう」
「いいっていいって。おれ、ほけんのせんせいよんでくるから!」
「あゆむちゃんは、たかさきさんのそばにいてやって!」
歩夢「うん…!」 ────
歩夢「ゆうちゃん…ごめん…」
歩夢「わたしのせいだよね……」
侑「あゆむ…。あゆむっ…!」ダキッ
侑「いいんだよ…。あゆむはなにもわるくないんだよ…」
歩夢「だって……ゆうちゃんがこんなに…ボロボロに…っ…」グスッ
侑「もう…なんであゆむがないてんの」
歩夢「ごめんね…。わたし、っ…よわいから…うっ…ひっく…ゆうちゃんをまもれなく…っ…て…」
侑「そんなのきにすることないよ…。わたしたちともだちじゃん」
侑「あゆむはたかしくんをよんできてくれたじゃん」
侑「それでわたしはたすけられたよ」
侑「だから、もうなかないで」
歩夢「うん…」
侑「あとでわたしからも、たかしくんにおれいをいわないとね」
歩夢「うん…」 歩夢「ゆうちゃん…」
侑「…ん?」
歩夢「……すき」
侑「ん…。わたしも」
歩夢「………」ギュッ
侑「…!…。……」ギュッ
侑「あゆむ…」
歩夢「…なあに?」
侑「わたし…へんじゃないよね…」グスッ
歩夢「ゆうちゃん?」
侑「あゆむといっしょにいても…いいよね?」
歩夢「あたりまえだよ…。ずっといっしょにいてほしい」
歩夢「わたし、ゆうちゃんがいなくなったらやだ…」
侑「よかった…」
侑「これからも…あゆむのとなりにいさせて」
歩夢「うん…」 ─────
せつ菜「─────」
歩夢「せつ菜ちゃん?せつ菜ちゃーん!」
せつ菜「歩夢さん。私、涙枯れました」
せつ菜「私の負けです」
歩夢「えへへ。勝っちゃった」
せつ菜「あ、あはは。いやあ…私、いろいろ完敗ですよ」
歩夢「そんな…私は全然すごくないよ。侑ちゃんがすごいだけで…」
せつ菜「いいえ──」
せつ菜「歩夢さんがいたからこそ、侑さんも強くなれたのだと思います」
せつ菜「間違いなく、あなたの力があったからですよ」
歩夢「そっか。自分じゃあまり自信が湧かないけど──」
歩夢「せつ菜ちゃんがそういうなら、きっとそうなんだろうね!」
せつ菜「はい!歩夢さんは素晴らしい人です!!」 ──夜──
歩夢「電気消すよー」
せつ菜「はい、どうぞ」
カチッ ブツン…
せつ菜「ふふ、歩夢さんの家にお泊まりなんてドキドキです」
歩夢「えへへ、私も侑ちゃん以外の人と一緒のベッドで寝るの初めてだよ」
せつ菜「そうなんですか?2人目に私を選んでくれるなんて光栄です」
歩夢「もう…せつ菜ちゃんは本当に大袈裟なんだから」 ──
せつ菜「歩夢さん…」
歩夢「なあに?」
せつ菜「今だから言えるんですけどね」
せつ菜「──私、侑さんに恋をしていたんだと思います」
歩夢「えっ…!?」
せつ菜「いや、恋というのは語弊がありますね」
せつ菜「あの人の人柄に、惚れていました」
せつ菜「そんな惚れこんだ人の傍にいたい、って思ったこともある」
せつ菜「だから、ひょっとしたら恋だったのかもしれません」
せつ菜「けど、敵わないなあ、って思ったんです」
せつ菜「歩夢さんというこんなにも素敵な人が、侑さんの隣にいるのなら、私に出来ることは──」
せつ菜「あの人が聞きたいという私の歌を歌い、大好きを応援することだけだ、って」
歩夢「せつ菜ちゃん…」 せつ菜「ふっ、そんな顔しないでください」
せつ菜「私は今、あの人をヒーローだと思っています」
せつ菜「そして私も、あの人にとってのヒーローになりたい」
せつ菜「もし侑さんがつまずいて転んでしまった時には──」
せつ菜「あの人が立ち上がれるよう、私にも協力させてください」
せつ菜「歩夢さんにとって大切な人は、私にとってもそうだから」
歩夢「──うん」
歩夢「ありがとう、せつ菜ちゃん」
歩夢「──大好き」ギュッ
せつ菜「うわっ…歩夢さん!いきなり腕にしがみつかないでください!びっくりしてしまいます!」
歩夢「ごめんね。ただ──」
歩夢「せつ菜ちゃんと仲良くなれて、本当に良かったなって」
せつ菜「もう歩夢さんってば」
せつ菜「私も───大好きです」 ──今、あのひとを守るのはあなただけじゃない。
──一人じゃ守れない時は、私も力になります。
──歩夢さんには、侑さんだけじゃなく、
──私というヒーローもいるんですから。
──これからも、ずっとよろしくお願いします。
おわり @cメ*˶ˆ ᴗ ˆ˵リ /⁄*イ`^ᗜ^リ
とても良いSSを読んだ オリキャラには死ぬか、地獄の苦しみしかない人生を送って欲しいわ。
ゆうぽむ最高〜とか侑ちゃんやっぱイケメン〜とは思ったけど正直上に書いてるやつの印象が強くなっちゃった。 ■ このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています