海未「目を合わせた相手の全てを思い通りに出来る力を手に入れた」
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私の名前は園田海未。ごく普通の高校生である。
海未「ある一点を除けば、ですがね」
海未は半分にやけながらにしてそう呟いた。
ことり「海未ちゃぁ〜ん。かえろっ♪」
海未「えぇ」
そう言いながら教室の隅から駆け寄ってくるいかにも女の子した女の子。彼女は南ことり。私の幼馴染だ。おそらく彼女は私に惚れている。
海未「はい。確か今日は寄り道をするのですよね?」
と私はことりに投げかけると
ことり「うん♪帰り道に新しくできたクレープ屋さんにいってみたいんだぁ〜」
と、なんとも言い表し難いおっとりポワポワした甘い声でそう返ってきた。 絵里「言っておくけど。色々裏で手を回していたのも、策を練ってあなた達を出し抜こうとしたのも」
絵里「どれも全部、あなた達との直接対決から逃げたいからやった事じゃないのよ」
海未「………」
絵里「あなた達を殺ろうと思えばいつでも殺れた。それも苦労をする事なくね。でもそうしなかったのは」
穂乃果「………」
絵里「まだ私の中にあなた達への慈悲の心があったからなのかもしれないわ。でも、もうそれはない」
そう二人に言い捨てた後、絵里は曜に目配せを送る。
そして絵里と曜が何かをしようとした、その瞬間。 海未「な、なななななにが起こっているのですかぁーー!?」
ベキベキと物凄い破壊音を立てながら大地に亀裂が入る。
穂乃果「さっきは二人を同時に相手したからいけなかったんだ」
絵里「………」
穂乃果が触れた地面に亀裂が入り、その亀裂は一直線にどこまでも、どこまでも伸びて行く。
穂乃果「二人の相性が良いって言うんなら。分断しちゃえばいいんだ!」
この破壊は大地に亀裂を入れるなんて生温いものではない。
絵里と曜、海未と穂乃果。その二人の間を境目にして、大地が。世界が真っ二つに分断される。 曜「なんて破壊力…これが穂乃果ちゃんのチカラ……!」
その間にあるのはまるで断崖。そしてどこまでも続く絶壁。
穂乃果「海未ちゃん」
海未「本当に無茶をしますね、あなたは」
穂乃果「えへへ」
海未「でも穂乃果らしい。絵里の事は任せてください」
穂乃果「やっぱ分かってるね」
海未「何年あなたの幼馴染をやっていると思っているのですか?」
穂乃果「ふふふ。曜ちゃんは任せて」
海未「そのつもりです」
そう会話を終えた二人は合わせていた目を離す。
そして見据えるは絵里と曜。今、二人の最後の戦いが。否、最初の戦いが始まる。 曜「ほっ!」
先陣を切ったのは曜だった。
穂乃果「くっ!」
先程の絵里との合わせ技で使った水の弾丸。凍りついてこそいないものの無数の水の弾丸が穂乃果の身体へ浴びせられていく。
穂乃果「またそれ?」
穂乃果はそう言いながら急所を護るようにして飛んでくる弾丸を破壊していくが、全てを捌き切れる訳では無い。
穂乃果「うぅ…」
先程までは絵里が冷気で凍結させられる様に、数と威力を調整して放っていた。絵里による凍結があって初めて完成されるように調整していた。 曜「ほらほらぁ!」
しかし今はその必要はない。
自分の放った弾丸だけで完結させれば良い。
絵里が凍結させた時よりは一発一発の鋭さも、重みも無いかもしれないが、速さと数はその比ではない。
穂乃果「戦いを楽しむと言ってる割には随分つまらない戦い方をするね」
そう強がっている穂乃果だが。多方多量での攻めに弱い穂乃果に為す術はない。
曜「今の穂乃果ちゃんにはこれで十分だよ。既にボロボロの死にかけだしね」
穂乃果(またくらいながら捨て身の特攻をする?これ以上傷が増えない内に決着をつければ!) 曜「さっきの瞬間移動をするのは辞めたほうがいいよ」
穂乃果「されたらまずいってだけじゃなくて?」
曜「そう思うなら試してみれば?」
余裕な表情の曜。その表情が物語っているように穂乃果は瞬間移動を出来ないでいる。
穂乃果「うぅ…」
無数に穂乃果へと降り注ぐ弾丸は全て同じ大きさというわけではなく、大小様々。
穂乃果の身体の急所へと迫る弾丸は大きな物になっている。少しでも身を護る手を止めれば穂乃果の肉体は一溜りもない。
だが、何もしなくとも穂乃果の身体はじわじわと削られていく。 穂乃果「ほんっとつまらないね。曜ちゃんにはがっかりだよ」
曜「………」
穂乃果「穂乃果、もっと楽しい戦いが出来ると思ってたのにな〜」
曜「………」
穂乃果「あーあ、どうせなら絵里ちゃんと戦う事にすれば良かったな〜」
曜「分かりやすい挑発だね〜」
穂乃果(流石にこれじゃ苦しいかな……)
曜「いいよ、その挑発乗ってあげる!」
穂乃果へ向けて雨の様に降っていた弾丸が止まる、そして曜が身体の前で穂乃果へ向けて手を構えると。
穂乃果「なっ!」
曜の身体からおぞましいほどの水の奔流が渦巻く。
まるで山頂から滝壺へと流れて落ちる大滝かのように止めどなく水が溢れ出る。 曜「はああああああーーーー!」
上下左右、人三人くらいなら優に飲み込んでしまいそうな圧倒的な物量の水の奔流が、すまじい威力、すさまじい速さで穂乃果を襲う。
穂乃果「まさか、こんな簡単に釣れるとは思わなかったよ。曜ちゃんが単純脳細胞で助かった!」
穂乃果の身体がランセルノプト放射光の蒼白い淡い輝きに包まれる。
穂乃果へ向けて放たれる水の奔流、それに穂乃果の右手が触れ。
散乱。
穂乃果「曜ちゃん。あなたの敗因は下らない挑発に乗り、自分のチカラを過信した事だよ!」
穂乃果が曜へ向けて能力″チカラ″を使おうとしたその瞬間。
穂乃果「……ん?」 弾けた大量の水が穂乃果の身体へと纏わりついて行く。
穂乃果「えっ……!」
曜「ふっふっふ。くだらない挑発に乗って自分の能力″チカラ″を過信しすぎたのは穂乃果ちゃんの方なんじゃなーい?」
穂乃果「あっ…かっ……」
穂乃果の能力により爆ぜた大量の水は穂乃果のいる地点へと集まり始める。
そして球体となりその身体を包み込む。
穂乃果「ごぼぁ……」
穂乃果は何もない地上で溺れてしまったのだ。
曜「一丁上がり、っと。ま…こんなもんかな。途中邪魔が入ったりはしたけど十分楽しめたよ」
曜「心残りがあるとすればもっと万全な状態の穂乃果ちゃんと戦ってみたかったってところかな」 その時、絵里の目が光る。
絵里「でかしたわ、曜!」
海未との戦いを放り投げ、絵里が両者を分つ断崖絶壁へと滑り込む。
凍らせた床を利用し物凄い速度で。
曜「ん、んん〜?」
不思議そうにその絵里へと目を向ける曜だったがあるものに気付く。
穂乃果が作り出した断崖へ氷の橋がかかっている。その橋を渡り絶壁を飛び込え水に囲われた穂乃果を凍り付かせようとしているのだ。
高坂穂乃果に完全なるトドメを。 しかし、それをみすみす取り逃がす海未では無い。
滑り込む絵里の目前には既に海未の足が迫り来るっていた。
絵里「なっ!」
戦慄の右ハイキック。
海未「せやっ!」
絵里「ごばぁぁぁぁ!」
まるで空間を真っ二つに切り裂いているかのような鋭い上段回し蹴りが絵里の顔面を捉える。
絵里「いったああああ!お婆さまにもぶたれた事ないのに!」
その勢いで絵里の身体は後方へと吹き飛び、硬い氷の床へと身体を打ち付ける。
海未「氷を滑れば私よりも早く動けると思いましたか?」
絵里「………」 海未「私が幼き日から鍛え上げ得意としてきた究極の移動法、超神速の″縮地″」
海未「並の人間が超えられるほどヤワな代物じゃありませんよ」
曜「あはははは!何やってんの絵里さん!」
一仕事終えた余裕からだろうか、その状況を見て曜はゲラゲラと笑い転げている。
曜「あーおかしい」
海未「絵里、あなたの相手は私ですよ」
海未は振り返らない。信じているからだ。穂乃果ならやり遂げてくれる、と。そう信じている。
その瞬間、穂乃果を覆っている水の球体が破裂する。
そして、曜の目の前へと瞬間移動。
曜「えっ!?」 穂乃果「穂乃果の右手には壊せないものなんてないんだよ!」
穂乃果の右手が曜の身体へと、触れる。
穂乃果「もう昔みたいに身体と、能力を壊すなんて真似はしないよ。でもちょっとの間」
曜(あちゃー。ちょっと油断したなー)
穂乃果「眠っててね」
そう言いった穂乃果の身体が輝きに包まれる。
曜「はぁ…これだけはやりたくなかったんだけどなぁ」
穂乃果「へっ?」
その瞬間、曜の身体が爆発する。 否、それは爆発したのでは無い。まるで曜の身体を中心に物凄い爆発が起きた様に見えたその衝撃の正体は。
穂乃果「がはぁっ……」
曜の身体に存在する無数の穴という穴から大量の水が物凄い圧力で放出されたのだ。
その凄まじい威力と物量故に曜の身体が爆発したかの様に見えたのである。
その大放出をゼロ距離で受けた穂乃果は一溜りもない。
穂乃果の身体は思いきり吹き飛ばされ、地面へと叩きつけられる。
穂乃果「ごめ……海…未ちゃ………」
曜「肉を切らせて骨を断つー、ってね」 だがこれは曜にとっても最後の奥の手。
そんな無茶な大放出を行った曜の身体も無事であるはずはない。
曜「ははは、これじゃ骨を絶たせて骨を断つ…だね………」
海未「穂乃果ぁぁーーー!!」
曜「後は…頼んだよ……絵里ちゃん………」
絵里「曜…あなたって人は最後の最後まで……」
絵里(でも、よくやってくれたわ。これだけの水があれば)
辺り一帯は曜の身体から放出された大量の水により水気で満ちている。まるで学校全体が水没してしまったかの様に。 そして、絵里の身体から大量の冷気が溢れ出す。
海未「なっ!?」
絵里の身体から漏れ出る極冬の冷気が曜の放出した水と合わさり、目にも移らぬ速度で世界を凍結していく。
絵里「私以外の動くモノは全て″認められないわ″」
絵里「ここは私が創り出した、私のための、私だけの世界」
絵里「絵里治帝国(えりちキングダム)」
静かだ。
まるで時間でも止められてしまったかのように静かだ。
絵里の冷気に当てられた部分は全てが止まってしまっているかの様に見えた。
白一辺倒。穢れ一つとない白銀の世界。自分以外のものが活動をする事は許さない、と。
そう言わんばかりに全てが静止させられてしまっている。
そんな世界に。 絵里「名前をつけようか。″Snow halation″」
絵里「ふふふ、なーんてね」
そんな絶望的な状況を見せられているにも関わらず海未が歩みを止める事は決してない。
恐怖に。否、寒さに震える身体に鞭を打つ。
海未「うおおおおおおおお!」
そう雄叫びを上げ、海未は絵里へ向かって一直線に走り出す。
海未(いくら絵里の冷気が凄まじくとも!全てを凍りつかせるまでには時間差″タイムラグ″が生じるはずです!)
海未「絵里ィィィイイイ!」 絵里「……ッ」ブルッ
絵里(この状況に置かれても尚これほどまでのプレッシャー…なんて強い精神力の持ち主なの!?)
海未の気迫に押されて絵里の身体がブルリと震え上がる。
海未「あなたが全てを凍りつかせる前に倒し切ってみせますよぉぉーーー!」
絵里「寝言は寝てから言いなさい海未ッ!今の私のチカラは一人間が扱えるレベルを遥かに凌駕しているわ!」
絵里「これはもう自然災害。世界が私の冷気に飲み込まれるのは自然の摂理なのよぉぉ!」
絵里の言う通り急速に世界が静止へと近づいている。全てを凍てつかせるのも時間の問題だ。
しかし。
海未「そこです!」
それでも海未はまだ諦めてはいなかった。
海未の狙いは己の肉体へと極冬の冷気が降り注ぐその瞬間に地面を蹴り上げ、飛び上がりその勢いで絵里の元へ辿り着くと言うものだが。 海未「ぐあああああっ!」
飛び上がるために地面を蹴り付けたその瞬間。
先の穂乃果との戦いで身体に食い込んだ瓦礫がさらに奥へ奥へと食い込んで行く。
海未「くっ……」
海未の足はもつれ、身体は勢いを失う。
極冬の冷気に包まれた凍てつく大地へとその身が失墜しようとしている。
海未自身も氷の大地の一部分へと成り下がろうとしているのだ。
絵里「あっはははは!私の勝ちよ海未ィ!あんたの豪運もこれまでのようねぇ!」
今の海未の身体は走り込んでいた先程とは違い止まってしまっている。
その運動をやめた海未の身体を極冬の冷気が蝕んで行く。
海未「うあああああああああああああ!」
曜から浴びた海未の身体に付着する大量の水分が徐々に徐々に凍りついて行く。
絵里「穂乃果との戦いで負傷していなければあるいは私に膝を着かせる事が出来たかもしれないわ」
海未「ううううううううう!」
絵里「でも、全て私の計画通りなのよ海未ィィィイイイイ!」
絵里(勝った……!)
しかし、海未の身体が地氷の大地に取り込まれる事も無ければ凍りつく事もない。
突如、背後から吹き荒れる謎の突風により海未の身体は押し上げられた。
絵里「なにィィィイイイ!」
にこ「にこを忘れんじゃないわよ、ポンコツ」
にこはずっと。ただ地面に這いつくばって、くたばっていたのではない。
眠っていたのだ。自分の出番を今か今かと待ちわびながら。
破壊された肉体と能力″チカラ″を修復されながら。
眠っていたのだ。
海未(あなたは本当に頼りになりますね、にこ)
にこの手から放たれたその突風が海未を絵里へ急接近させる。
そしてその風の圧力が、海未の身体に纏まりつく水気を、冷気を!
全て吹き飛ばしていく。
海未「うおおおおおおおおおお!」
にこ(それで良いのよ、海未。あんたにしみったれたツラなんて似合わないわ)
絵里「そんな…私はッ!私はあああああああああああああああああ!」
バチン。と鋭い音が辺り一体へと響き渡る。
絵里「ぐああああああああああああ!」 もう何度振るわれたか分からない海未の鉄拳が絵里の顔を捉える。
そして絵里の身体は宙へと舞い吹き飛ばされた。
海未「はぁ…はぁ……やり…ましたね………」
風が収まり海未を宙へと留まらせていたものがなくなる。
海未「ん?」
海未の身体はそのまま地面へと叩きつけられる。
海未「ふんごおおおおおおおおおお!」
思いきり鼻頭を地面へと打ち付けた海未は、意味不明な叫び声を上げながらのたうちまわっていた。
海未「にこッ!あなたはなぜ!いつもいつもこう手荒なのd」
海未「ひぃぃぃぃぃぃぃぃぃ!」 再び海未の頭上を再び突風が吹き荒れる。
それも先ほどの様な生温い風ではない。初めて海未がにこと相対した時のあの暴風の様な衝撃が吹き荒れる。
絵里「がああああああああああああああ!」
吹き飛ばされた絵里の身体に追い討ちをかける様にしてにこが放った暴風の衝撃が直撃する。
にこ「あんたはいつもいつも余計な事をグチグチと考えすぎなのよ」
にこ「風に吹かれて。全て忘れてきなさい」
にこにより放たれた暴風は曜の放出した大量の水と絵里の冷気が合わさり創り出した極冬の大地を絵里の身体ごと。
全てを吹き飛ばしたのだ。 そしてしばらく吹き荒れた後に、にこが放った暴風は過ぎ去った。
そこにあるのは絵里が創り出した偽りの静装などではなく、正真正銘の平穏だった。
その場は眩い太陽の日照りと。まるで極寒の冬が凄ぎ去り、春が来たかの様な暖かな陽気に包まれていた。
海未「終わった……」
人はみな夢をみる。
そして神に憧れる。
故に人々は禁足のチカラに手を出してしまうのだ。しかしそれに手を出したが最後。
その者に夢や希望なんて華やかな物は残されていない。
そのチカラは強大すぎるが故に人の扱える範疇を超えている。チカラを手にした者は例外なく深い深い闇へと飲み込まれてしまう。
それが摂理だ。
海未がそれに飲み込まれなかったのは。幼き頃から稽古を積み、鍛え上げてきた黄金の精神力があったからなのかもしれない。 〜 エピローグ 〜
絵里「海〜未♡」
海未「ひゃっ」
絵里が海未の背後から耳元へと囁く様に吐息混じりの声で呼びかける。
絵里「ひゃっ。ですって」
海未「か、からかわないでください!」
絵里「もう、相変わらず可愛いのね。そんなに可愛いとチュウしちゃうわよ?」
海未「ち、近いですよ絵里!私は良いとは一言も言ってn」
絵里「あだぁぁぁ!」
海未「ひっ!」
その瞬間、何者かの平手が絵里の顔面を捉える。 絵里「何するのよ!お婆さまにもぶたれた事ないのに!」
にこ「あんたが下らない事やってんのが悪いのよ。海未は今日にこが家でご馳走する事になってんの」
絵里「はぁ!?聞いてないわよ!」
にこ「借りてくわよ」
海未「あ、ちょっ。にこぉ!?」
にこが海未の手を引っ張り強引に連れ去ろうとするも。
海未の身体はピクリとも動かなかった。
にこ「え?」
璃奈「海未さんは今日、私の家に来て一緒に遊ぶの」
海未「り、璃奈ぁ!?」 にこ「はぁー!?あに阿保な事いってんのよ!?」
璃奈「私、今日は家に誰もいなくて寂しい。だから海未さんが来てくれるって、約束した」
海未(そう言えばそんな約束もした様な……でもそれって今日でしたっけ………)
璃奈「だから、海未さんは私が借りてく。こればっかりはにこさんでも、譲れない」
にこ「良い度胸してんじゃない、璃n」
曜「邪魔だよー!」
にこ「ほげぇぇぇ!」
そこに現れた曜が何かを言いかけたにこを弾き飛ばした。
璃奈「むぅ」 曜「じゃあ行くよ、海未ちゃん!」
海未「ど、どこへですか……?」
曜「えぇ〜!?忘れちゃったのーー!?」
海未「え、えぇと」
曜「も〜!この前海未ちゃんの登山に付き合った代わりに私の高飛び込みの練習にも付き合うって約束したでしょ〜?」
海未「しかしそれh」
曜「ほらほら!」
曜はそう言いながら海未へと何かを投げ渡す。
海未「わわっ!?」
曜「ちゃーんと水着も用意したんだから!ほら行くであります!」 曜「全速前進〜」
しずく曜「ヨーソローーー!」
曜「へ?」
しずく「ではありません!」
しずく「今日は私が海未先輩に演劇の稽古に付き合ってもらうんです!」
そう言いながらしずくが海未の腕へとしがみつく。
海未「し、しずく…近いですよ!」
しずく「えぇ〜?私は近い方がいいですよ〜?」
海未「し、しかしですね……」
しずく「次回の舞台で私は『普段は冷静沈着で何でも出来るカッコよくてクールな先輩。でも恋になると途端に無頓着で大の鈍感でウブ。そんな先輩に恋をする無垢な後輩』という役を演じる事になったんです」 しずく「その練習に付き合ってくれると言ったのは海未先輩じゃないですか!これもその練習の一環ですよ」
海未「私にも…こ、心の準備というものが……」
しずく「そうです!その表情です!モジモジと照れてるその表情がたまらないんです!」
海未「なっ!?私は照れてなどいません!」
しずく(強がって見栄を貼っちゃうところも可愛いなぁ)
しずく「それに海未先輩?」
海未「はい……?」
しずく「その…海未先輩が望むなら……台本以上のこ・と」
海未「へっ?」
しずく「しちゃっても良いんですよ?」
しずく(きゃー///言ってしまいました……///) 海未「は、破廉恥ですぅぅぅ!」
ことり「はぁ〜い、そこまでっ!」
しずく「げっ。ことりさん」
ことり「海未ちゅんはあくまでもぴゅあぴゅあなの!変な事を吹き込んじゃめっ!」
海未(ほっ。助かった)
穂乃果「も〜!海未ちゃんばっかずるいよー!」
海未「え?」
穂乃果「ことりちゃ〜ん!穂乃果にもかまってよ〜〜!」
ことり「えへへ〜穂乃果ちゃんの事も大好きだよ〜」ナデナデ
穂乃果「くぅ〜ん、それそれぇ!」
海未(くっ…ことりめぇ。あんなに穂乃果に密着して!ずるいですよ!じゃなくて破廉恥ですよ!) 彼方「隙有りっ!」
そう言って乱入してきた彼方が海未の背後から抱きつく。
海未「うわぁ!?」
彼方「海未ちゃ〜ん?彼方ちゃんが迎えに来てあげたぞ〜」
ことり「は?」
彼方「今日″も″いっぱい気持ちいいお昼寝しようね〜」
しずく「は?」
彼方「また良いお昼寝スポット見つけてきたんだ〜。今日は彼方ちゃんがお膝枕してあげる番だね〜」 絵里「今日は私が海未とお出かけする約束したのよ!亜里沙だって楽しみにしてるんだから!」
にこ「それを言ったらウチのチビ共だって海未が来るのを楽しみにしてんのよ!」
璃奈「今日は、私。絶対渡さない!」
曜「海未ちゃんは私が頂いていくであります!」
しずく「私ですよ!」
ことり「ことり!」
彼方「彼方ちゃん!」
穂乃果「モテモテだねぇ〜」
海未(違うんです!私は本当は……!)
絵里にこ璃奈曜しずくことり彼方「海未(ちゃん先輩さん)!」
海未「は、はひぃ!?」 花陽「た、たたたたたたたたたたた大変ですぅぅぅぅぅ!」
絵里「花陽っ!?」
曜「どうかしたのー?」
花陽「そ、それが……」
にこ「それが?」
花陽「大変が大変で大変に大変なんですぅ!」
ことり「かよちゃん一回落ち着こっ?」
彼方「は〜い。しんこきゅ〜」
花陽「スー…ハァー……スー…ハァーー」
花陽「………」
全員「………」
花陽「スー…」
にこ「もういいわ!」 花陽「じ、事件です!」
そう花陽が言った瞬間。全員の目の色が変わった。
絵里「はぁ…物騒な世の中ね」
にこ「あんたが言えた事じゃないけどね」
絵里「うるさいわね」
曜「さっさと終わらせて海未ちゃんとプール行こっと」
璃奈「抜け駆けはさせない」
彼方「一番乗りは彼方ちゃんが頂いていくぜ」
しずく「あ、私海未さんに変身して行こっと」
絵里「私がエスコートするわ」
にこ「オイ」 穂乃果「穂乃果も行こーっと」
海未「さて、私も向かうとしますか」
ことり「海未ちゃん!」
海未「はい?」
ことり「ことりとかよちゃんは能力?がないから待ってる事しか出来ないけど。ちゃんと無事に帰ってきてね?」
花陽「花陽とも約束…だよ?」
海未「ええ。無事に帰ってきますよ。だから安心して待っていてください」
ことり「うんっ♪」
海未「それにしても…ふふふ」
花陽「……どうしたの?」
海未「物騒な世の中だというのにみんなはいつも通りでなんだが可笑しくなってしまいますね」
ことり「でもそこが頼りになるところだよねっ」
海未「そうですね」
海未(私…やっと分かりましたよ。なぜ自分がこの能力″チカラ″を手にしたのかを)
海未「それは……」 ──────────
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海未(出来ました……!これは傑作ですよぉぉぉぉぉ!しかしまだまだ拙い部分はあります。なので)
海未(物語の構成やセリフ回りは文学性に富んだ花丸に。バトルシーンの熱はせつ菜に。女の子同士の友情は梨子、そして幼馴染の愛は歩夢に話を聞き改修しましょう)
海未(そしてあかりに持ち込んで絵をつけてもらうのです!)
海未(そうすれば…夢の印税生活!行く行くはTVアニメ化!)
海未(うおおおおお!忙しくなってきましたよぉぉぉぉぉ!)カリカリカリ
穂乃果(今日は一段と酷い……)
ことり(ンミチャーの頭の中を覗いてみたいなぁ……)
海未ちゃんの妄想はまだまだ続く。 エリチ凍らせて殺すとかエグイなと思ったらえりちキングダムってw
しばらくにこはどうなったのかなと思って読んでたけど最後に見せ場があって感心した
他のキャラも気になるけど園田先生は十分満足してそうかな
最後までテンポよく盛り上がってすごい面白かったよ。おつでした ■ このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています