璃奈「重ねてきたら」愛「ここにいたの」
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りな「なんで!?やだっ!!!」
母「ごめんね……お父さんもその日はちゃんと休める予定だったんだけど……」
りな「うそつき!!!!」
母「ほら…わがまま言わないで……来週は絶対みんなで行けるようにするから、ね?」
りな「もういかない!!!せんしゅうだっていけるっていってたのにあそびにいけなかったもん!!!おとうさんもおかあさんも!りなよりおしごとのほうがすきなんでしょ!?」
母「そんなことない!!お母さんもお父さんも璃奈ちゃんが一番大切で……」
りな「もういい!!」 ──────
────
──
─
りな「♪」ニコニコ
母「璃奈ちゃん、次は何乗りたい?」
りな「えっとね……あ!あれ!」
母「あれは……身長制限とか大丈夫?」
父「璃奈はちっちゃいからなぁ、ダメって言われるかも」
りな「え〜?」
母「ふふっ、もし乗れなくても、璃奈ちゃんが大きくなったらまた来ればいいんだから、がっかりしないで?」
りな「うんっ!」
りな「あ!じゃああれ!!あれはのれる?」
母「どうかしら?行ってみましょ!」
りな「うん!」 ──────
────
──
─
母「………」
母「ほら、帰るわよ?」
りな「………やっ……」
母「もう……わがまま言わないの」
りな「やだっ!!」
母「困ったわね……」
りな「……じゃあつぎ、つぎはいつこれる?」
父「はは、もう次の話か……」
母「大丈夫、またすぐに来られるわよ」
りな「……すぐって……いつ……」
母「疲れて眠いんでしょ?ほら、おいで?」
りな「……ん……」
母「よい……しょっ……ふふっ、まったくしょうがないんだから」
りな「……すぅ……すぅ……」
母「また、来ましょうね」
父「ああ」 ◇◇◇◇◇◇◇◇◇
祖母「はいお待たせ、今日は炒飯だよ」
あい「ありがとーおばーちゃん!」
あい「いっただっきまーす!」
あい「♪」モグモグモグ
祖母「お香香食べるかい?」
あい「きゅーり?」
祖母「たくあん」
あい「たべるぅ!」
祖母「少し待ってねぇ」
あい「ん〜♪」モグモグ ──────
────
──
─
祖母「じゃあ、ばあちゃんここで座ってるから、遊び終わったら戻っといで」
あい「うん!わかった!」
「あ!あいちゃーん!おにごっこしよー!」
あい「いいよー!……あれ?……ちょっと待っててー!」
「……………」
あい「こんちは!!」
「わっ!?びっくりした……こんにちは」ニコッ
あい「いっしょにおにごっこしよーよ!」
「……ごめんね、私、うんどうするとすぐつかれちゃうの。だから……」
あい「そっかー」
あい「じゃあ、あいもやすむ!」
「え?みんなとあそぶんでしょ?いってきなよ」
あい「いーの!きょうはおねーちゃんとおしゃべりする!」
「あはは、うん、いいよ」
「……あいちゃんっていうの?」
あい「え!?なんでわかるの!?」
「うーん……ふふ、ちょーのーりょく?(ほんとはじぶんでいってたんだけど)」
あい「すっごぉい!!そうだよ、みやしたあいっていうの!おねーちゃんは?」
「わたし?」
「みさとだよ」 ◇◇◇◇◇◇◇◇◇
「んしょ……んしょ……」
「そっちはできた?」
りな「ううん、もうちょっと」
「わあ!すごい!りなちゃんつくるのじょうず!」
りな「えへ、そうかな?」
「うん!」
りな「そっちもじょうずだよ!」
「でしょ?あははっ」
⠀ ⠀
⠀ ⠀
「お迎え来たよ〜」
「あ、はーい!りなちゃんまたね!ばいばい!」
りな「うん!ばいばい」
りな「………」
りな「………」
りな「……よいしょ……」 ──────
────
「おぉ、それはお城かな?」
りな「あっせんせー!」
「よくできてるね〜、あはは、手が砂だらけだ」
「暗くなってきたからそろそろ中入ろうか、手洗っておいで」
りな「はーい」
⠀ ⠀
⠀ ⠀
⠀ ⠀
⠀ ⠀
──────
────
「璃奈ちゃーん、お迎えきたよー」
りな「はーい!」
母「遅くなってごめんね」
りな「ううん!へーき」
母「いつもすみません……」
「いえいえ、お気になさらないでください」
りな「せんせーばいばーい!」
「はーいまた明日〜気をつけて帰ってね〜」 母「シートベルト締めた?」
りな「うん」
母「よし、じゃあ帰………」
りな「……?どうしたの?」
母「……」
母「今日は、夜ご飯、お店で食べて行こうか?」
りな「ほんと!?」
りな「あ!でもおとうさんは?」
母「……また遅くなるって」
りな「……そうなの……?」
母「うん……」
母「何か食べたいものある?」
りな「なんでもいいの?」
母「いいわよ〜」
りな「じゃあ、えっとね〜……」
母「ふふっ」 ◇◇◇◇◇◇◇◇◇
あい「た〜りら〜りら〜♪」
祖母「なんか良いことでもあったかい?」
あい「うん!きょうはね、またおねーちゃんとあえるんだ!」
祖母「おねーちゃん?」
あい「そ!みさとおねーちゃん!」
祖母「みさと……っていうと川本さんとこの子かねぇ」
あい「おねーちゃんのことしってるの?」
祖母「ああ、あんまし見かけんかったけどねぇ……そうかい、あの子も出歩いても良いようになったんかねぇ……?」
あい「?」
祖母「愛ちゃん、その子と仲良くしてあげなね」
あい「うんっ!」 ──────
────
──
─
あい「おねーちゃぁん!!」
みさと「あ!あいちゃん」
あい「きょうはなにする?」
みさと「そうだなー、あいちゃんはなにしたい?」
あい「ブランコ!……あっ、でもおねーちゃんは……」
みさと「だいじょーぶ!いこ!おしてあげる!」
あい「ほんと!?」
──────
────
みさと「それっ!」
あい「やっほー!」
みさと「よいしょっ!」
あい「ふー!」
みさと「よっ!」
あい「あははは!」 ──────
────
みさと「………はぁ……はっ………ちょっと……っ…きゅうけい………」
あい「おねーちゃん?わ!?すごいあせ!!だいじょーぶ!?」
みさと「だいじょうぶ、だいじょうぶ……はぁ……」
あい「おねーちゃん………」 ──────
────
──
─
あい「おねーえちゃん!おじゃましまーす」
みさと「あ……あいちゃん………いらっしゃ…こほっこほっ」
あい「おねーちゃん!うごいたらだめっ!」
みさと「へいきへいき……」
あい「でも……」
みさと「………」
みさと「あいちゃん、ごめんね。あそんであげられなくて……」
あい「んーん、いいよ」
みさと「………」
みさと「……私ね、がっこうだとぜんぜんうんどうさせてもらえないの……」
あい「……そう、なんだ……」
みさと「……たいいくもずっとけんがくだし、かえっても家にいなさいっていわれるし……」
みさと「だから前みたいに、たまにこっそり家からでてきちゃうの」
みさと「でもお母さんにみつかっちゃったから、もうまえみたいにおそとであそべないかも」
みさと「ごめんね……」
あい「………」
みさと「……せっかくあいちゃんがあそんでくれるのに……やっぱりうんどうしないほうがいいのかな……」
みさと「もっといろんなことしたいのに……」
あい「…………」 ──────
────
あい「………」
祖母「どうしたんだい?………美里ちゃんのこと?」
あい「!」
あい「なんでわかるの?」
祖母「愛ちゃんのことならなんでもわかるさ」
祖母「話してみな。ばあちゃんが聞いたげる」
あい「………」
あい「あのね、おねーちゃんがね……」
──────
────
祖母「そうかい……」
あい「……おばーちゃんはどうすればいいとおもう?」
祖母「愛ちゃんは、どうしたい?」
あい「……おねーちゃんが……おねーちゃんがたのしいっておもえること、いっぱいさせてあげたい」
あい「でも……でも……あいはなんにもしてあげられないの……」ポロポロ
祖母「そんなことないさ。愛ちゃんにもできることがきっとある」
あい「ほんと……?」
祖母「おねーちゃんが今はまだできなくても、代わりに愛ちゃんができることはある」
あい「かわりに?」
祖母「そうさ、そこから先は愛ちゃんが自分で考えな。よーく考えるんだよ、そうすれば、未知なる道がきっと開ける。みちだけに、ね」
あい「??」
祖母「ははっ、愛ちゃんには今度ダジャレを教えようかね」
あい「だじゃれ??」
祖母「ばあちゃんがボケないようにやってる頭の体操さ」 ──────
────
あい「……おねーちゃんのために……あいができること……」
──────
────
──
─
あい「あのねあのね!」
みさと「どーしたの?」
あい「あい、おねーちゃんのためにがんばるよ!」
みさと「私の、ために?」
あい「おねーちゃんは、いまはすぐつかれちゃうかもだけど、ぜったいいろんなことできるようになる!!」
あい「それまであいがかわりにいろんなことして、あれはたのしかったー、あれはおもしろかったー、あれはあんまりだったー、っておしえてあげる!」
あい「そしたら、おねーちゃんはたのしいことだけいっぱいできるよ!」
みさと「あいちゃん……」
みさと「うん!わかった、いっぱい聞かせてね」 あい「やくそくね!」
みさと「うん!あ、じゃあ、指切りしよ?」
あい「ゆびきり?」
みさと「うん、ほら、こうやって……」
あい「………」
みさと「?愛ちゃん?」
あい「ゆび、いっぽんだけ?」
みさと「え?」
あい「ぜんぶ、ゆび、5ほんとも、ぜんぶくっつけよっ?そしたら、そしたらね、やくそく、ぜったいわすれないからっ!」
みさと「うーん、じゃあ、こうしない?」スッ…
みさと「ほら」
あい「……あっ!ハイタッチ!」
あい「えへへっ!」
みさと「ふふっ♪」
パチンッ♪
それから、おねーちゃんにはいろんな話をしたんだ
おばーちゃんが作ってくれた料理のこと、新しくできた友達のこと、道端に咲いてた綺麗な花のこと………
おねーちゃんはいつも、アタシの話を嬉しそうに聞いてくれるんだ ◇◇◇◇◇◇◇◇◇
prrr! prrr!
父「はいもしもし」
りな『おとうさん!』
父「おお!璃〜奈〜!」
りな『げんき?』
父「おっ、元気だよ」
父「電話掛けられるなんてすごいなぁ」
りな『お母さんにやってもらった』
父「そっか」
父「そっちは今何時だっけ?」
りな『なんじ?』
りな『──うん』
りな『よるの10じだって、おとうさんは?』
父「こっち?あー、8時、昨日の朝かな」
りな『きのうにいるの?』
父「そうだよー、遠くにいると時計がずれるんだ」
りな『へんなの〜』
父「あはは」
父「それで?今日はどうした?璃奈〜?」
りな『えっと、あのね』
父「?」
りな『こんどのね、にちよう、かえってくる?』
父「!」
父「……あー………そっか、今週だったね。水族館」
りな『うん………』 父「………」
父「ごめん!!璃奈!」
父「帰れないかもしれない」
りな『………』
りな『ん、わかった……』
父「ごめんな」
りな『ううん、いいよ!がまんする!』
りな『あ!まえにおくってくれたチョコ、またたべたい』
父「チョコか、わかった!また送るよ」
りな『……じゃあ、ね。おしごと、がんばってね』
父「うん、ありがとう。おやすみ」 ◇◇◇◇◇◇◇◇◇
祖母「ほれ、じっとしてな、気をつけだよ」
愛「………」ピシッ
祖母「………」カキカキ
祖母「ほい、できた」
愛「これなーに?はしらにらくがきしちゃぁだめなんだよ?」
祖母「らくがきじゃないよ、これは愛ちゃんの成長記録さ」
愛「せーちょーきろく?」
祖母「そうさ?ここに毎年愛ちゃんの身長を書き込んで、愛ちゃんの背がどれくらい伸びたか一目でわかるようにするんだよ」
愛「へー!おもしろそー!」
祖母「ふふふ、今後が楽しみだねぇ」
愛「えへへ、おねーちゃんにおいつけるかな?」
祖母「そのためには、いっぱい食べていっぱい寝なきゃだね」
愛「はーい!」
愛「もーっとおっきくなって、そしたらおねーちゃんとおんなじクラスになるの♪」
祖母「………美里ちゃんは今年から中学じゃなかったかい?」
愛「…………えっ………?」
愛「………」
愛「………」
愛「………」
愛「……やぁ…だぁぁ………!」
祖母「……ほらほら、もう小学生になったんだから、泣かない泣かない」
愛「っ……ぐすっ……」 ──────
────
──
─
美里「……」パチパチ…パチ
愛「それなーに?」
美里「え?ああ、そろばんだよ」
愛「そろばん?」
美里「えっと、ものをかぞえるのに使うどうぐ、かな」
美里「やってみる?」
愛「うん!」
──────
────
愛「………」
愛「わかんなぁい……」
美里「こっちのひとつある方が『5』で」
愛「わかんないもぉん……うぇぇん……」
美里「……あぁ……よしよし、まだ早かったかな」
美里「ゆっくり覚えればいいからね」
愛「……っ……」グスン… ◇◇◇◇◇◇◇◇◇
りな「おかーさーん、これなに?」
母「ああそれね、お父さんから璃奈ちゃんに入学祝いのプレゼント、って」
母「まったく……パソコンなんてまだ使えないのに……ね?」
りな「これで、なにするの?」
母「たしか、いくつかゲームソフトを入れてあるって言ってたような」
りな「ゲーム!?」
りな「やるっ!」ムンッ
母「ふふっ、そう?じゃあ今度お父さんにやり方聞いとくね」
りな「うん!」 ◇◇◇◇◇◇◇◇◇
祖母「……ひどい嵐だねぇ」
あい「いてきまーす!」
祖母「!」
祖母「これ愛ちゃん、どこ行くの」
あい「おねーちゃんのところ!」
祖母「こんな天気で外へ出たらいけないよ、戻っといで」
あい「えー?やだ!」
ゴロゴロゴロ………ピシャーン!!
あい「わっ!!」
祖母「ほら、雷様も怒っとる」
あい「こっ、こわくないもん!いくもん!おねーちゃんまってるもん!!」
あい「………きのう……たんじょーびだったのに………おとーさんもおかーさんもおみせのことばっかりだったから……」
祖母「……!」
あい「でもきょうは、おねーちゃんがおいわいしてくれるっていった!だからいくのっ!!」
祖母「って言ってもねぇ……」
あい「いーくーのーーっ!!!」
祖母「……どうしたもんかねぇ……」
祖母「……ああ、そうだ、愛ちゃん」
祖母「どうしても行くんなら、その前に少し、ばあちゃんの昔話を聞いとくれよ」
あい「……?」 祖母「おばあちゃんが子どもんときの話だけんどね……」
祖母「近くに住んでた子が、山ん中に秘密基地を作っててねぇ、いっつもそこで遊んどったんだよ」
愛「……」
祖母「……それで、雨も風も強い、ちょうど今日みたいな嵐の日、」
祖母「その子は秘密基地のことが心配で、様子を見に親に黙って1人で山に行ったんだ」
祖母「そのあとすぐ、その子の親が気付いて、その子を探しに出て、それを知った大人たちもみんなで探したんだけど、どこにもいない」
あい「………」
祖母「みんなで山中探してもなかなか見つからなかった。でも嵐が少し落ち着いてきたとき、その子がひょっこり帰ってきたんだよ」
祖母「親がその子に、どこにいってたのかって聞いてみたら……」
祖母「『雷様に見つかって、雲の上に連れて行かれた』と言うんだよ」
あい「……!!」
祖母「そこで雷様は、『儂が見ているところでひとりで出歩くような悪い子は……こうだっ!!』と言って、」
祖母「その子のおへそをとっちまったって言うんだよ……!」
あい「……っ!!………ぅ……」プルプル
祖母「そんで、その子の親が本当かどうかその子のお腹を見てみたら………」
あい「……」ゴクリッ…
祖母「……本当におへそがなくなっちまってたんだよ……!!」
あい「ひゃ………っ!!」
あい「………」
祖母「愛ちゃんはどうかねぇ……」
あい「!!!」
あい「ゃぁ………!」ブワッ
あい「うえぇぇおばぁぁちゃぁ……!!!」ウルウル
祖母「おお、よしよし、今日は家でばあちゃんと2回目のお祝いをしよう、ね?」
祖母「おねえちゃんのところへは、また今度行こう」
あい「……っ……ぐすっ………ぅん……」 ◇◇◇◇◇◇◇◇◇
「おなじクラスだったねー!」「しょーがっこうでもいっしょだね!」「よかった〜、おなじクラスにしってる子いて」「わたしも!」
璃奈「………」
璃奈「………」
「……ねーねー!」
璃奈「…!」
「だれといっしょのほいくえん?」
璃奈「だれともいっしょじゃないよ……みんな、はじめてあった」
「そっか!」
「あっちでみんなでおはなししてるの、いこ!」 「おーい!」フリフリ
璃奈「!」
璃奈「うんっ!」 ──────
────
──
─
「璃〜奈ちゃん!休みじかんなにする?」
璃奈「としょしつ行こうかな」
「じゃあ私も行く〜」
「あ!じゃあ私も」
璃奈「いいよ!行こっ!」
「なんかかりる?」
「うーん…」
「マンガとか入れてくれないかなぁ、そしたらかりてくのに」
璃奈「どんなマンガよむの?」
「え?えーっとぉ……たとえば……ほら、さいきん、はやってるやつ!」
璃奈「ああ、あれ?」
「そうそれ!」
「……え、どれ………」
「あれはあれだよ!ね?」
璃奈「うんっ」
璃奈「ふふふっ」 ──────
────
──
─
母「璃奈ちゃん、あのね」
母「お母さん、これから少しお仕事が忙しくなっちゃうかもしれなくて……」
璃奈「……そうなの?」
母「ええ、だから……璃奈ちゃんをお家でひとりにさせちゃうことも、これから増えると思うの……」
璃奈「………」
母「ごめんね……」
璃奈「………」
璃奈「ううん、だいじょうぶだよ。もう7才だもん」
璃奈「ひとりでおるすばんできるよ!」
母「璃奈ちゃんは本当にいい子ね……」ナデナデ
璃奈「えへへ」
璃奈「お母さんもがんばってね!」
母「!!」
母「そうね!頑張るわ!!」 ◇◇◇◇◇◇◇◇◇
愛「ねーねー」
愛「ゆうえんちはー?」
母「おばあちゃんは?連れてって貰えば良いじゃない」
愛「まえいったけど、おばーちゃんあんまりビューッてなるやつのれなかったもん」
愛「つまんなーい」
愛「おかーさんもーー、いーこーうーよー」
母「はいはい、そのうちね」ポンポン
愛「………」
愛「むぅぅ………」 ◇◇◇◇◇◇◇◇◇
璃奈「……」カチカチッ
璃奈「……んー……」カチッ
璃奈「あっ!」
璃奈「……む……このゲームむずかしい………」
⠀ ⠀
⠀ ⠀
⠀ ⠀
──────
────
──
─
⠀ ⠀
⠀ ⠀
⠀ ⠀
⠀ ⠀
テレビ『───、────………!』
璃奈「………っ」
璃奈「……」パリポリモグモグ…
⠀ ⠀
⠀ ⠀
テレビ『───、────!!!!』
⠀ ⠀
⠀ ⠀
璃奈「わっ……」 ──────
────
──
─
「昨日のさ〜」
「テレビ?みたみた!璃奈ちゃんは?」
璃奈「みたよ!」
「ちょー怖かったぁ〜」
「え〜そう?」
璃奈「びっくりはしたね」
「えー?怖かったよー?」
「え〜?」
「じゃあこの前のスペシャルのやつは?あのときの白目のやつが1番やばかったよね?」
「あのときのあんまり覚えてなーい」
「なんでよ!」
璃奈「ふっ、あははっ!」 ◇◇◇◇◇◇◇◇◇
愛「!!!」ドタドタドタ
愛「おばーちゃん!!!」
祖母「!」
祖母「どしたね、そんな急いで」
愛「おねーちゃんが!!タイヘンなの!!!びょーいんいったって!!にゅーいんだって!」
愛「どしよ……どぉしよぉ………!」
祖母「ほら落ち着いて、病院っていつものとこかい?」
愛「うん……」
祖母「じゃ、ばあちゃんと行こうか」
愛「うん……!」 祖母「あ、いたいた」
愛「おねーちゃん!!」
美里「あ、愛ちゃん、おばあちゃんもきてくれたんだ」
愛「おねーちゃんだいじょーぶなの!?いたい??!」
美里「へ?」
美里「……ああ」
美里「だいじょうぶだよ、なんともないよ」
愛「……ほんと?」
美里「うん、たまにこうやって、びょういんでしらべてもらうの」
美里「ほらみて、げんきだよ」ニコッ
祖母「良かったねぇ、なんともなくて」
愛「……」
愛「……うぅ」
美里「しんぱいしてきてくれたの?ありがとう愛ちゃん」
愛「……っ…よかった……」
愛「よかったぁ……っ…」ポロポロ
美里「ふふ、もう、なかないで?こっちおいで」
愛「………」
愛「………」トテトテトテ
愛「……おねーちゃん……」ギュッ…
美里「よしよし」ナデナデ 愛「………」
愛「おねーちゃん、つぎ、いつあそべる?」
美里「……うーん……」
愛「………」
美里「……らいしゅう?」
愛「………」
愛「やだぁ…!」ブワッ
美里「わわっ」
愛「やぁぁだぁ……やだやだぁ……」ウルウル
美里「もー、なかないのっ」
愛「だっ…てぇ………」
美里「ね、げんき出して?泣いちゃうからかなしくなっちゃうんだよ?」
美里「愛ちゃんが泣いてると、私もかなしくなっちゃう」
美里「おばあちゃんだって、しんぱいでかなしくなっちゃうよ?」
祖母「そうだねぇ……」
愛「!」
愛「………」
愛「………」
愛「………」 美里「………」コチョコチョコチョ
愛「あひひっ!ひひゃっ、やぁ!」
愛「もうっ!しんけんになやんでるのっ!」
美里「……ふっ、あははははっ」
愛「ねーえ!わらわないの!」
美里「ふふふ、ごめんね」
美里「でも、泣いてるよりおこってる顔のがいいかな」
愛「そーなの?」
美里「うん。でもできればやっぱり笑っててくれるのがいちばん♪」
美里「愛ちゃんが笑っててくれれば、みんなげんきになれるもの」
愛「……げんき……?」
美里「うん。愛ちゃんがげんきで、それで、みんなで楽しくえがおですごせたら、それがいちばんなの」
美里「だから愛ちゃんには笑っててほしいな」
愛「……あいがわらってたら、おねーちゃん、げんきでいられる?」
美里「うんっ」
愛「そっか!うん、わかった!もうなかない!」
愛「えへへ!♪」
美里「ふふっ」
美里「……」コチョコチョコチョ
愛「あひひひっひゃあぁっ」
愛「もうっ!もうっ!おねーちゃん!!」
祖母「ふふふ」 ◇◇◇◇◇◇◇◇◇
璃奈「またしゅっちょー?」
父「うん、今度は3ヶ月くらいかな」
璃奈「ことしもしゅっちょー多いの?きょねんも多かったね」
父「………ごめんな、先週末もどこにも連れて行けなかったのに、また……」
璃奈「ううん!お父さんと、あとお母さんも、おしごとがんばるから、私もがんばるの」
父「……そっか」
璃奈「おみやげ、楽しみにしてるね!」
父「お、いっぱい買ってくるよ」
璃奈「いつ行っちゃうの?」
父「明後日の朝には行くよ」
璃奈「そうなんだ」
璃奈「きをつけてね!」
父「うん、ありがとう」ナデナデ ──────
────
──
─
テレビ『───?、────!!』
璃奈「あっ………おぉ!」
璃奈「〜♪」
──────
────
璃奈「……んーと……」
⠀ ⠀
璃奈「……アール、これだ」カチッ
璃奈「アイ、エヌ、エー」
璃奈「……んー……」カチッ
璃奈「!」
璃奈「……り、な……?」
璃奈「……できた?」
璃奈「(じょうずにパソコンつかえるようになったら、ほめてくれるかな……)」
璃奈「(がんばる!)」ムンッ ──────
────
──
─
「璃〜奈ちゃんっ!どうだった?」
璃奈「こくごがちょっとダメだったかな」
「みしてみして!」パッ
「あたしも!」
璃奈「あっ!」
「え〜ぜんぜんダメじゃないじゃん、あ!さんすう全部Aだ!Aいっぱいだぁ」
「すごーい!あたしなんかCついちゃった」
「帰ったらママに怒られる〜」
「あたしも〜……璃奈ちゃんはほめられるんだろーなー」
「いいなぁ〜」
璃奈「あはは……」 ──────
────
テレビ『───、────!!』
璃奈「ふふっ…」
璃奈「………」
璃奈「…………」
璃奈「(おなか、すいた……)」
〈冷蔵庫にお弁当があるから温めて食べてね
お菓子も買ってあるから好きなの食べていいからね
あったかくしてちゃんとベッドでねてね
おやすみ、いつもごめんね〉
⠀ ⠀
⠀ ⠀
璃奈「………いただきます」
璃奈「………」パク
璃奈「………」モグモグ
璃奈「………」
璃奈「(………今ごろみんなは、お父さんと、お母さんと、いっしょにごはん食べてるのかな)」パク
璃奈「(……せいせきのこととか、怒られてるのかな、おしゃべりしてるのかな)」モグモグ
璃奈「(………お父さん……)」
璃奈「(………お母さん……)」
璃奈「………」ホロ...
璃奈「………」ポロポロ
璃奈「……っ……ひっ……っ、……ぅ」ポロポロ
『お父さんと、あとお母さんも、おしごとがんばるから、私もがんばるの』
璃奈「…」フキフキ
璃奈「……っ…がんばら……っ……なきゃ……」ポロポロ ◇◇◇◇◇◇◇◇◇
愛「せーのっ!」
愛「「いーち!」」
愛「「にーのっ!」」
愛「「さんっ!」」グルッ
「「「「「「「1!」」」」」」」
「「「「「「「2!」」」」」」」
「「「「「「「3!」」」」」」」
「「「「「「「4!」」」」」」」
「「「「「「「5!」」」」」」」
「「「「「「「6!」」」」」」」
「「「「「「「な………」」」」」」」
「あー引っかかった……」
「だれだよ……」「またー?」
「さっきから10回もとべてないじゃん」
「………」
「2組なんか、この前80回とんだって」
「ゼッタイかてないじゃん」
「もううんどうかいまで1週間もないし、むりだね」
「(ごめんなさい………)」 愛「………」
愛「ごめーん!みんな!ちょっと回すのはやかったかも!」
愛「次もうすこしゆっくり回すね!」
愛「はいもう一回!せーのっ!」
──────
────
愛「ふぅ……おつかれー、つかれたね」
「あ、うん……」
「ごめんね、わたしのせいで……」
愛「?」
愛「だれのせいとかじゃないよ!」
愛「うんどーかい、だれかくる?」
「えっ?………お父さんとお母さんが……」
愛「……!」
愛「そっか!じゃあ良いとこみせなくちゃ!」
「……でも……」
「わたしうんどう苦手だし、体力ないし、むずかしいよ……」
愛「むずかしいからもえるんじゃん!!」
「!」
愛「あ、ねーねー、アタシととっくんしない?」
「とっくん?」
愛「うんっ!」
愛「本番まで、毎日なわとびするの!」
愛「アタシもいっしょにやるからさ」
「………」
「……わかった、やってみる」
愛「うんうんっ」 ◇◇◇◇◇◇◇◇◇
「今日の体育もまたリレーの練習だって」
「えー?また?」
「運動会近いからね〜、にしてもそろそろ飽きるよね〜」
「はぁ〜、私遅いからリレーとか出たくないんだけど」
「親にも見られたくないし」
「私もー」
「ねー」
璃奈「………」
「璃奈ちゃん?」
璃奈「えっ?、あ、うん、そうだね」
「どうかした?」
璃奈「……ううん、なんでもない」 ◇◇◇◇◇◇◇◇◇
『次は徒競走です。出場する生徒は集合してください。』
愛「……ふぅーーっ……よしっ」
愛「……あっ!」
愛「おばーーちゃーーーん!!!」フリフリフリ
祖母「……♪」フリフリ
愛「………」
愛「(おばーちゃんだけ、か……)」
愛「………」
愛「っ!……だめだめっ」フルフル
愛「(おばーちゃんに良いとこみせなくっちゃ!!)」 ──────
────
祖母「おつかれさまぁ、愛ちゃん」
祖母「ほら、たんと召し上がれ」
愛「わぁ!おにぎりいっぱい!」
愛「いっただっきまぁーす」
愛「ん〜〜〜、おいし」モチャモチャ
祖母「愛ちゃん、徒競走速かったねぇ」
愛「えへへ〜、そうでしょー?」
愛「あ、そうだ」
愛「午後の長なわ、ちゃんとみててねっ」
愛「ゼッタイゆーしょーするの!」
祖母「長縄?ああ、そういや最近ずっと友達と練習してたって話してたね」
祖母「愛ちゃんはたしか回す役だったね、頑張って」
愛「うん!」 ──────
────
──
─
愛『………97、98、99、100!』
愛『やったぁー!』
『はぁっ……はぁっ……』
愛『すごいじゃん!体力ついたね!』
『うん、ありがとう愛ちゃん』
愛『あ、でもちょっとだけいい?』
『うん?』
愛『長なわだとね、地面になわがつくとき、ちょっとなわがはねるんだ』
『うん』
愛『それでね、だからもう少しだけ高くとぶと引っかかりにくいと思うよ』
『そっか、うん、わかった』
愛『ふふ、もうちょっとで本番だね』
『そうだね』
『さいきん、愛ちゃんのおかげで、ちょっとだけ自信ついたの』
『ありがと!』
愛『えへへ、うんっ!』
愛「……よしっ!!!」 『──、──。制限時間は5分です。制限時間を過ぎても、跳んでいる途中なら引っかかるまで跳び続けることができます。』
『カウント係の人は、担当のクラスが跳び終わったら、本部まで報告に来てください。』
「それでは始めまーーす!」
「よーーーいっ」
パァンッッッ
愛「いくよー!」
愛「せーのっ!」
愛「「いーち!」」
愛「「にーのっ!」」
愛「「さんっ!」」グルッ
「「「「「「「1!」」」」」」」
「「「「「「「2!」」」」」」」
「「「「「「「3!」」」」」」」
「「「「「「「4!」」」」」」」
「「「「「「「5!」」」」」」」
「「「「「「「6!」」」」」」」
「「「「「「「な………」」」」」」」
愛「……ドンマイドンマイ!」
愛「次行くよー!」 「「「「「「「18!」」」」」」」
「「「「「「「19!」」」」」」」
「「「「「「「20!」」」」」」」
「「「「「「「21!」」」」」」」
「「「「「「「22!」」」」」」」
「「「「「「「23!」」」」」」」
「「「「「「「にじゅ………」」」」」」」
「「「「「「「6!」」」」」」」
「「「「「「「7!」」」」」」」
「「「「「「「8!」」」」」」」
「「「「「「「きゅ………」」」」」」」
「「「「「「「1!」」」」」」」
「「「「「「「2!」」」」」」」
「「「「「「「さ………」」」」」」」
愛「っ!」
「あっ………ごめんなさい……」 愛「……あ、……気」
「気にしないで」ポンッ
「!!」
「1人のせいじゃないよ」
「なんか、愛ちゃんと、れんしゅう?ずっとしてたでしょ?」
「昨日のクラスれんしゅうじゃ53回もとべたもん」
「だいじょーぶだいじょーぶ!」
「……みんな……!」
「ばしょ交代する?そことびづらくない?」
「ううん、へいき!」
愛「……ふふっ!」
愛「そっち回すじゅんびできてるー?」
「いいよ〜!」
「あと多分次……ラストチャンス〜!」
愛「!!!」
愛「……!」チラッ
「……!」チラッ
愛「……!」コクッ
「……!」コクッ
愛「そんじゃあ……」
愛「いくよっ!みんな!!!」
「「「「「「「おーーー!!!!!」」」」」」」 ──────
────
「……マジかぁ……」
「……ウソでしょ……」
「くやしーー……」
「おしかったぁ……」
「2位かぁーー……」
「まさか……ねぇ……?」
「うん……」
「………」
「………」
「………」
「1組に負けるとは……」
愛「…………ぃぃぃぃい」
愛「やっっったぁぁあーーー!!!!」
「やったぁぁあーー!!」
「あははははっ!!」
「やっほぉぉおーー!!」
「やった!やったよ!愛ちゃん!」
愛「うん!うん!やったね!!」
愛「いぇーーいっ!」
「いぇーいっ!」
パチンッ♪ ──────
────
祖母「優勝おめでとう、愛ちゃん」
愛「うんっ!ありがと!」
愛「やっぱり、みんなとがんばっていっぱいうんどうするのって、」
愛「すっごくたのしいね!!」
祖母「ふふ、そうだねぇ」
祖母「そうだ、帰る前にお姉ちゃんのとこに寄ってくかい?話したいこともあるだろうし」
愛「!いくっ」
祖母「ああ、でも今日はもう暗くなるから、少しだけだね」
愛「えー」
祖母「ふふふ」 ◇◇◇◇◇◇◇◇◇
『1時より午後の部が始まります。生徒の皆さんは10分前には入場門に集合するようにしてください。お昼ご飯をしっかり食べて、後半戦も赤組白組ともに全力で頑張りましょう!』
⠀ ⠀
⠀ ⠀
⠀ ⠀
⠀ ⠀
⠀ ⠀
璃奈「………」
璃奈「………」パク
璃奈「………」モグモグ
璃奈「………」
璃奈「………」パク
璃奈「………」モグモグ
璃奈「………」
璃奈「………」パク
璃奈「………」モグモグ
璃奈「(おいしい)」
璃奈「………」
璃奈「………」チラッ
「徒競走惜しかったねぇ」
「もうちょっとだったな」
「あーあ、あの子と一緒じゃなかったら1番取れたのにな」 「お母さんお弁当作りすぎ〜」
「おじいちゃんとおばあちゃん、おばさん達も来るんだから、これくらいなくちゃ」
「も〜呼びすぎだよ……」
「赤組大丈夫か?お前リレーのアンカーなんだろ?責任重大だな」
「うちのクラスははやい子多いしいけるでしょ」
「あんた玉入れの玉全然入ってなかったじゃないの」
「勝ったからいいのー、ねぇ水筒空になっちゃったから入れて?」
「はいはい」
「組体操ちゃんとみててね!!」
「1番上登るんでしょ、ちゃんと撮っとくわよ」
「怪我とか気をつけてよ?」
「だいじょぶだいじょぶ!」
璃奈「………」
璃奈「………」パク
璃奈「………」モグモグ
──────
────
──
─ ◇◇◇◇◇◇◇◇◇
愛「タッチ!はい次鬼ね!」
「はぁっ…はぁっ……あいちゃん足はやーい……」
愛「へへっ!」
愛「ふぅ……どっかにかくれてよーかな」
愛「ん?」
「………ぐすっ……」
愛「こんにちは!」
「………」
愛「どーしたの?」
「……おかぁしゃん……みちゅかんない……」
愛「まいご、かぁ……」
愛「よし!おねえちゃんといっしょにさがそっ!」
「………うん」
愛「よーし、じゃあしゅっぱ〜つ!」ギュッ 愛「こうえんの中で、はぐれちゃったの?」テクテク
「うん……」トコトコ
愛「ここ、よくくるの?」
「うん。ひろくてゆうぐいっぱいだから、たまにつぇてきてもらうの」
「まぇは、おとぉしゃんもいっしょだった」
愛「そっか」
愛「………いいな」
「?」
愛「どこまでお母さんといっしょだったかおぼえてる?」
「……おかぁしゃん、おといれいった」
「それで、おそとでまってたの。そしたらちょーちょさんがとんでたから」
愛「おいかけたの?」
「うん!はねがおっきくてね、きれーだった!」
愛「あはは……そっかそっかぁ」
愛「このこうえんのトイレなら、向こうのほうかな」
愛「いってみよー!」
「うんっ」 ──────
────
愛「このへんかな〜……?」
「!!!おかあしゃん!!」
愛「いた?!」
「うん!あそこ!」
愛「そっか!よかった!!」
愛「ほら、もうだいじょうぶでしょ?」
「うん!あぃがとおねーちゃん!」
愛「どういたしまして♪じゃあねー!」
「ばいばーい!」
「おかーしゃん!」
「あっ!!………良かった………もう、どこ行ってたの?」
「ちょーちょさん!」
「蝶々?……もう、ダメじゃない……勝手にどっか行ったら」 「おねーちゃんがつぇてきてくえた!」
「おねーちゃーん」フリフリ
「お姉ちゃん?……あ」ペコッ
愛「!」ペコッ…
「もう、すっごく心配したのよ……?……でも良かった、無事で……」ナデナデ
「えへへ」
愛「………」
愛「………」
愛「………」
もし、アタシがいなくなったら、おかーさんは……しんぱいしてくれるかな ◇◇◇◇◇◇◇◇◇
「どーせまた沖縄行くんでしょ?」
「へへーん!夏休みは沖縄っしょ!」
璃奈「去年も行ってたね」
「うん!ちゃんとお土産買ってくるから!」
「来年も沖縄か〜このカネモチめ〜」
「来年はねー、北海道!」
「ずるい〜あたしなんかそこら辺の温泉とかだし!」
「璃奈ちゃんも家族旅行どっか行くの?行くんでしょ?」
「えっ?」
「なに〜〜?璃奈ちゃんもか!」
璃奈「………」
「………璃奈ちゃん?」
璃奈「え?えっと、どうかな……あはは……」
「あーやーしーいー!」
璃奈「そんなこと……ないよ……」 ──────
────
璃奈「……ただいま………」
璃奈「………」
璃奈「………」
璃奈「……」
⠀ ⠀
⠀ ⠀
⠀ ⠀
⠀ ⠀
エレベーターを降りてから通路を進み、玄関を開けると、電気がついたままの明るい空間が広がる。
⠀ ⠀
⠀ ⠀
私がいつ帰ってきても明るい家が迎えてくれるようにって、お父さんもお母さんも、電気を消さないでおいてくれるの。
⠀ ⠀
⠀ ⠀
2人の暖かい気持ちを映したような、優しい光。
⠀ ⠀
⠀ ⠀
なのに、
⠀ ⠀
⠀ ⠀
どうして、私はこの光を冷たく感じちゃうんだろう。
そしていつからか、自分の部屋の明かりだけ、
消えていることが多くなっていった。 ◇◇◇◇◇◇◇◇◇
愛「おわったー!しゅくだいおわりー!」
美里「え、もう終わったの?」
愛「うん!」
美里「ちょっと見せて」
愛「はいっ」
美里「………」
美里「……愛ちゃん、算数得意なんだ」
美里「すごいね!」
愛「えへへ!おねーちゃんがそろばん教えてくれたからね」
美里「ふふ、そっか♪」
美里「じゃあ愛ちゃんは将来理系かな?」
愛「……りけー?」
美里「うん」
愛「おねーちゃんは、あたしがりけーだとうれしい?」
美里「うーん、どうかな」
愛「うれしい?」
美里「うれしい、かな。頭よさそうだし」
愛「そっかー」 ◇◇◇◇◇◇◇◇◇
璃奈「……」カタカタ
璃奈「……」
璃奈「……」カタカタ…カタッ…ターン
璃奈「……?」
璃奈「……」カタ…カタカタ
璃奈「……」
璃奈「……」
璃奈「……」カタカタッ
璃奈「……」
璃奈「……」
璃奈「……」カタカタ
璃奈「……」
璃奈「………はぁ………」ゴロン
璃奈「………」
璃奈「………」ポチポチ
──────
お母さん:今日も夜中まで帰れなくなっちゃったからカップ麺かなにか食べてて
お母さん:ごめんね
──────
璃奈「………」 ──────
────
──
─
「え……そんなに……?」
「場合によっては、もっとかかるかもしれない」
「ねぇ……最近帰ってこない日も多くなってるし、少しは休んだら?」
「……それはお互い様だよ」
「……海外の研究なんて……海外に任せておけばいいじゃない……」
「そういう訳にはいかないよ。次の実証実験で僕の論文が使われてんだから行かなきゃ。それに実用まで持ってければ世界中の人が──「知らないわよそんなの……!」
「またそうやって研究につきっきりで……そのために璃奈ちゃんが寂しい思いして……!!それでっ、それで璃奈ちゃんが喜ぶと思う?!」
「だからそれはお互い様だって……!」
「仕事と璃奈ちゃんとどっちが大事なのよ!?!?」
「璃奈に決まってるだろ!!!」
「……っ………!」
「…………」
「…………」
「璃奈が1番大事だよ。当たり前だよそんなの」
「だったら!」
「でも僕は……璃奈のためだけに仕事してるわけじゃないんだ」
「キミも、そうなんだろう」
「……………」
「……………」
「ごめんなさい……少し……気が立ってたわ……」
「……」 ──────
璃奈「…………」
お父さんもお母さんも、たくさんの人のためにお仕事頑張ってるんだ
⠀ ⠀
だから、私も頑張らなきゃ、
我慢、しなくちゃ。
⠀
もっと一緒にいたいなんて、わがまま言っちゃだめなんだ ──────
────
──
─
「また同じクラスだねー」
「そうだね、あ!璃奈ちゃんもだ」
璃奈「ほんとだ」
「私たち、えんがあるね!」
「たしかに!」
璃奈「そうだね」
「………」
「璃奈ちゃん?」
璃奈「え」
「他のクラスがよかった?」
璃奈「え、なんで」
「だってなんか……そんな顔してたから」
璃奈「?また同じクラスでとってもうれしいよ」
「……でも……今…」
「もー、璃奈ちゃんがうれしいって言ってくれてんだからいいでしょ!ねー?」
璃奈「うん」
璃奈「今年もよろしくね」
「うん、よろしくね!」
「……よろしく……うん、よろしく!」 ──────
────
──
─
『───、────!!!』
璃奈「……」
璃奈「……」
璃奈「……」
『───、────!?』
璃奈「……」
璃奈「……」
璃奈「……」
『───、────』
璃奈「……」
璃奈「……」
璃奈「……」
『───、────!!』 璃奈「……」
璃奈「……」
璃奈「……」
『───、────!?』
璃奈「……」
璃奈「……」
璃奈「……」
『───、────』
璃奈「……」
璃奈「……」
璃奈「……」
璃奈「……」ピッ
『』
この番組、毎週楽しみにしてたのに
欠かさずみてたはずなのに
みていても笑わなくなったのは、いつからだろう ──────
────
──
─
「昨日のさー」
「あ!テレビ?みたみた!」
「ゲストが出てきたときびっくりしちゃった!」
「あの人いつの間にふっかつしたのかって、ね?」
璃奈「え、なに」
「あれ?昨日テレビみてない?」
璃奈「えっと」
璃奈「うん、みのがしちゃった」
「そうなの!?昨日すごかったんだよ!」
璃奈「そうなんだ」 ──────
────
──
─
「はい、おみやげ!いやー涼しくていいねー北海道は」
「ありがとっ、い〜な〜北海道……」
「璃奈ちゃんも、はいこれっ!」
璃奈「ありがと」
「…?」
璃奈「楽しかったの」
「え、う、うん」
「……璃奈ちゃん、そのおかし、きらいだった?」
璃奈「え、どうして」
「いや……えっと……」
「なんか怒ってる?」
璃奈「ううん、怒ってないよ」
「………ほんとに?」
璃奈「怒ることなんて、ないよ」
「そっか…………」 ──────
────
──
─
「────、でさ〜」
「うんうん」
璃奈「……」
「……」
「璃奈ちゃん?聞いてる?」
璃奈「聞いてるよ」
「そう?なんか考えてたみたいだけど?」
璃奈「べつに、そんなことないよ。ちゃんと聞いてたよ」
「……」
「話が面白くなかったんでしょー?」
「あ!何を〜!」
⠀ ⠀
璃奈「……?」 ──────
────
──
─
「おはよー!」
「おはよー……あ!その服!」
「へへっ、いいでしょ?この前言ってたやつ買ってもらっちゃった!」
「よく買えたね?すぐ売り切れになったんでしょ?」
「最近またにゅうかしたみたいだよ?たまたまお店行ったら買えちゃった♪またなくなるかもだし買いに行ってみたら?」
「私には、にあわないよ……///」
「そんなこと言って〜まんざらでもなさそうじゃ〜ん?」
「うっさいな……///」
「ゆるふわ系いけると思うよ〜!」
璃奈「かわいいね」
「ありがと〜、これね、色違いもいくつかあってさ、璃奈ちゃんにもにあいそうな色とかあったよ」
璃奈「私には、にあわないよ」
「え?そ、そうかな、えっと…………ごめんね変なこと言って」
璃奈「変なことって」
「……変っていうか……こう言う服ってあんまり好きじゃなかったかな……」
璃奈「ううん、そういう服、あんまり着たことないから」
「そう、なんだね……」 ──────
────
──
─
「ねぇ……嫌われ、ちゃったのかな……」
「……だれに?」
「……璃奈ちゃん」
「………そうかもね……」
「なんでだろう?」
「知らないよ……」
「………」
「……私、あやまってみる」
「……そう」
「それで、なんで嫌われちゃったかちゃんと聞きたい」
「話してくれなかったら?」
「……話してくれるよ、これまでずっとなかよくしてくれてたんだもん」
「………」 ──────
────
──
─
「……ごめんね、ウザかったよね……」
「許してあげてよ璃奈ちゃん、ちょっとくらいじまんさせてあげてもいいじゃん?」
璃奈「………」
璃奈「……なんの……話……」
「……」
「ずっと前からあたしらと話しててもぜんぜんたのしそうじゃなかったし……」
「他のみんなにも素っ気無いし……」
「でもね、なんで嫌われちゃったのか分からなかったの。ごめんね、謝るから……ねぇ、ちゃんと教えてよ………」
「私、最近璃奈ちゃんが何考えてるかわかんなくなっちゃった……」
「どうして、笑ってくれなくなっちゃったの?」
璃奈「…………」
璃奈「……笑って……ない………?」 璃奈「そっ…」
璃奈「そんなことない、みんなとお話しするの、すっごく楽しいよ」
璃奈「きらってなんかない、きらいなんて思ったことない、ほんとだよ」
「………」
「………どうして……」
「なんでっ……言ってくれないの……っ……?」
「なんでっ………うぅ………」ポロポロ
「…………」
「この子は、この子は璃奈ちゃんのこと信じてたのにっ!」
「この子があやまることなんてないのに!!それでもあやまってあげたのに!!」
「たのしくないならそう言えばいいじゃん!!」
「どうしてうそつくの!?ひどいよ!!!」
「言いたいことがあるなら言いなよっ!!!」
璃奈「………」
璃奈「…………そんな、の、言いたい、こと、なんて、ない…よ……」
「………」
「………」 「わたしたちと話してて、ほんとに楽しい?」
璃奈「うん」
「おもしろい?」
璃奈「うん」
「じゃあ、笑ってよ」
璃奈「………」
璃奈「………」
璃奈「……」
璃奈「…」
「………」
「………」
「うそつき」 私が笑わないから、みんなが笑ってくれなくなっちゃった
⠀ ⠀
⠀ ⠀
笑わなきゃ、でも
どうすればいいのか、思い出せないの
私は、どうやって笑っていたんだろう
私は、どうやって怒っていたんだろう
こんなに痛くて苦しいのに、どうして涙が出てこないんだろう
その日、家に帰った後、
私はただ、
鏡に映るうそつきの顔を、ずっと眺めていた ──────
────
──
─
璃奈「……おはよう」
「………」
「…………おはよ」
璃奈「………」
璃奈「あ、あの……」
「行こ」「あ、うん……」
璃奈「………」
璃奈「………」 ──────
────
──
─
「知ってる?この前あの子が泣いてたのって璃奈ちゃんのせいなんだって」
「そうだったんだぁ」
「ケンカ?」
「そうみたい」
「そういえばいっつも怒ってるよね」
「怒ってるっていうか、無表情?」
「でもいつも一緒にいたよね?あの子たち」
「嫌いなのに付き合わされてイライラしてたんじゃない?」
「あー、それはあるかもね」
「でも、きらいなんて思ったことないとか言ってたらしーよ?」
「何でうそつくんだろうね?」
「もしかしてしょっちゅうウソついてたりするの?」
「さぁ……?」
「何考えてるかわかんないよね」
「感情ないんじゃない?」
「え、怖……」 ──────
────
──
─
璃奈「………」トボトボ
「あ、真顔女」スタスタ
璃奈「!」
「聞こえるでしょw?」「あははっ」スタスタ
璃奈「………」
璃奈「………」
『怖い』『気持ち悪い』『不気味』『つまんない』『お面みたい』『近づきたくない』『ロボット』『かわいそう』『みたくない』『うそつき』
『うそつき』『わたしの友達を『うそつき』 『泣かせた』 『うそつき』『ゆるさない』『うそつき』 『うそつき』『うそつき』そつき』
『うそつき』『うそつ『うそ『うそつき』『うそつき』
『うそつき』『うそつ『うそつき』 『うそつき』
『うそつき』『う『うそつき』 『うそつき』『うそつき』
『うそつき』『うそつき』『うそつき』 『うそ『うそつき』 『うそつき』
『うそつき』つき』 『うそつき』『うそつき』
『うそつき』 ──────
────
──
─
母「はいもしもし、天王寺ですが」
『あ、良かった。おはようございます。私、璃奈さんの担任の……』
母「ああ、お世話になっております……それで今日は何か……?」
『本日は璃奈さんは欠席、でよろしいんですかね……?』
母「えっ……?いえ、璃奈からは何も……」
『そうでしたか……いえ、璃奈さん今日学校に来ていないんですよ』
母「本当ですか!?」
『親御さんからも本人からも連絡がないので、お宅へお電話差し上げたんですが、留守電になるばかりで……』
母「わかりました……携帯を持たせてあるので、かけてみます」
『よろしくお願いします。万が一ということもあるので、何かあればまたすぐにご連絡ください』
母「はい、ありがとうございます。失礼します」
母「………」
母「………」
母「……璃奈ちゃん………!」 母「………」prrr……
母「………」prrr……
母「………」prrr……
母「………」
母「!」
母「璃奈ちゃん!?璃奈ちゃん今どこ!?」
『………』
母「璃奈ちゃん……?」
『………』
『……家に、いるよ』
母「!……よかった………」
母「どうしたの?熱出ちゃった?頭痛い?」
『……平気』
『でも……』
『……今日、休みたい』
母「………」
母「……うん、わかった。今日は家でゆっくりしてていいわ」
『…………ごめん、なさい』
母「いいのよ。璃奈ちゃんは頑張り屋さんだから、たまにはそういう日があっても誰も怒らないわ。でも、今度から休みたい時はちゃんとお母さんに言うのよ?」
『……うん』
母「……じゃあね、璃奈ちゃん」
『……うん』
⠀ ⠀
⠀ ⠀
母「………」
母「……はぁぁ……よかった………」 学校、休んじゃった
ごめんなさい
心配、かけちゃった
ごめんなさい
お父さんとお母さんみたいに、私もがんばるって言ったのに
がんばれなかった
やっぱり、私はうそつきなんだ
うそつきで、ごめんなさい ◇◇◇◇◇◇◇◇◇
愛「おばーちゃん?もう動いていい?」
祖母「もうちょっと……よし」
愛「ふぅ」
愛「これ毎年書かなきゃダメ?」
祖母「そらそうだよ、愛ちゃんの成長記録だからねぇ」
祖母「この柱を見るたんびに、愛ちゃんは大きくなったねぇ……って思うんだよ」
愛「なんかハズい……」
祖母「ここが小学校に入学したときのだ、こんときはまだまだばあちゃんより背が低かったのにねぇ……6年でずいぶん伸びたもんだ」
愛「も、もういいじゃん///」
祖母「そうかい?……じゃあ、制服の写真を」
愛「入学式の前も撮ったじゃん!」
祖母「あら、そうだったかい……」
祖母「入学式はどうだった?」
愛「うーん………あ!聞いて!もう友達できたんだ〜!」
祖母「そら良かったねぇ、さすが愛ちゃんだ」
祖母「………にしても、まったく、こんな祝いの日にも休めないなんてねぇ………」
愛「………」
愛「……いーよ別に、おばーちゃんがいてくれれば十分十分♪」
愛「ほらなんか、甘いもの食べ行こ?おごるよ」
祖母「何を言ってんだい、中学生が奢るなんてなぁまだまだ早いよ」 ◇◇◇◇◇◇◇◇◇
「算数理科は相変わらず素晴らしい理解度ですね。学力調査も全国上位に入ってますよ」
母「そうですか」
「……ただ、文系科目の方はあまり芳しくないですね……璃奈さんは、成績が極端と言いますか……」
璃奈「………」
「お母様は中学受験など考えていらっしゃいますか?」
母「中学受験、ですか」
母「……璃奈ちゃん、どこかいきたい中学はある?」
璃奈「……特にない、です」
「では、進学はそのまま持ち上がりということで……」
母「……」
母「どこか、理系が得意なことを活かせるようなところはありませんか?」
「………そうですねぇ………少々お待ちください」
「………あ、あった……近い場所ですと、ここですかね。資料どうぞ」
母「あ、どうも」
「これは内部進学後の高等部の話になりますが、情報処理学科という全国でもレベルの高い理系の学科がありまして」
「璃奈さんの学力なら十分狙えると思いますよ。もちろん、多少は文系科目の成績も上げていかなければいけませんが」
母「………わかりました、ありがとうございます」
「はい、宜しければご検討ください」
璃奈「………」 ──────
────
璃奈「……お母さんは、その中学に行って欲しいの?」
母「え?……ああ……そういうわけじゃなくてね」
母「せっかく璃奈ちゃんには得意なことがあるんだから、どうせ勉強するなら得意なものの方がいいかなって思って」
母「………」
母「璃奈ちゃんが決めることよね、ごめんね、お節介だっわね……」
璃奈「………」
璃奈「………ううん、そんなこと、ないよ」
璃奈「………」
璃奈「………」
璃奈「………」
璃奈「……うん、いいよ」
璃奈「その中学、行く」 ◇◇◇◇◇◇◇◇◇
美里「もう友達できたの?」
愛「うん、おもしろそーな子いっぱいいるんだよ〜!」
愛「ずっとダンスやってた子でしょ?乗馬が趣味の子でしょ?あとあと、論文読むのが好きな子とか!」
美里「あはは、随分個性的だね」
愛「でしょでしょ?でも、面白いけどみんないい子なんだ♪」
美里「ふふ、愛ちゃんがいい子だから、友達もいい子なのね」
愛「あはは、そうかな?」
美里「そうよ」 ◇◇◇◇◇◇◇◇◇
「はー、ひま」
「なんか涼しくなったね」
「なんかやろー」「なにする?」
「あ、トランプあるよ」「うぇーいやろやろ」
「日当たりいいとこでやろ」
「どこ?あの机?」「あれ、だれの机?」
「さぁ」「真顔でしょ」「あー」
「休み時間いっつもいないね」
「前図書室いるのみたよ」
「なんかべんきょーしてたよ」
「うえーまじめ〜」
「しばらく戻ってこないっしょ」「使っちゃえ」
──────
璃奈「………」カキカキ
璃奈「………」
璃奈「………」
璃奈「(……休み時間は、図書室に行って)」
璃奈「(放課後も、塾に行って)」
璃奈「(べんきょうのこといっぱい考えてれば……)」
璃奈「………」
璃奈「(………さみしくない、さみしくない)」
璃奈「(……さみしく、ない)」
璃奈「………」
璃奈「………」カキカキ ◇◇◇◇◇◇◇◇◇
「はーい、HR始めるから席ついてー」
「今日は………あいつらまた欠席かぁ」
愛「………」
──────
────
「そこの席の人よく休んでんね」
「まー不良だからね」
愛「知ってんの?」
「あ、うん。小学校同じだったけど、その頃からよくサボってたよ」
「今も他のクラスの子とつるんで夜とかでも遊んでるみたい」
「へー、この学校にもそういうのいるんだ」
「ねー」
愛「……ふーん」
「なんか親が厳しいらしくてさー、嫌になってグれたっぽいよ?よく親の文句言ってたし」
愛「親の………」
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