エマ「おはよう果林ちゃん、朝ですよ〜」果林「ん、う〜ん……」
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朝 寮 果林の部屋
エマ「ほらほら起きて、学校に行かなくちゃ」
果林「ん〜……」ゴロン
エマ「ふぅ、相変わらず寝起きが悪いんだから」ガシッ
エマ「起きなさ〜い!!」バサッ
果林「ふぁ……?」パチクリ
果林「え、エマ……?」
エマ「ふふふっ、目が覚めた?」
果林「寒いじゃないの……毛布返して……」ギュッ
エマ「彼方ちゃんじゃないんだから、いつまでも寝てちゃダーメ」
エマ「早く起きないと置いて行っちゃうよ」
果林「わかったわ、今起きるわよ……」モゾモゾ 果林「ふあぁ〜」ムクリ
果林「あ〜」
果林「……」ボーッ
エマ「今朝ご飯の支度するからその間に着替えて待っててね」
果林「うん……」
果林「着替え、着替え……」フラフラ
エマ「果林ちゃ〜ん、ご飯出来たよ〜」
エマ「着替え終わった?」
果林「えぇ、終わったわ」
エマ「ん?ちょっと果林ちゃん靴下履いてないよ」
果林「あら、道理で足がスースーする訳だわ」
エマ「もう、いつまで寝ぼけてるの。シャキッとして」グイッ
果林「ごめんなさい、朝はどうしても苦手で……」
エマ「まったく、困った果林ちゃんだな。あはは」 エマ「さ、早く食べて学校に行こう」
果林「悪いわねいつも、朝ご飯まで用意してもらって」
エマ「もう慣れたよ、果林ちゃんを起こしに来るのはわたしの日課になっちゃった」
果林「あなたに甘えてばかりもいられないのはわかっているんだけどね」
果林「―あむっ、このハムおいしいわね」
エマ「でしょ、故郷から送ってもらった手作りのハムだよ」
エマ「あ、故郷で思い出したんだけど」
エマ「果林ちゃんに言っておかなきゃいけない事があって」
果林「なに?どうしたの?」モグモグ
エマ「あのね……」
エマ「―来週、故郷に里帰りするんだ」
果林「…………え?」ポロッ エマ「あ、果林ちゃんハム落ちたよ」ヒョイ
果林「里帰りって、どれくらい?」
エマ「1週間、お父さんの誕生日でさ。毎年家族の誕生日には皆集まる事になってるから」
エマ「せっかく帰るし、向こうで少しのんびりしようかと思ってさ」
果林「そ、そう……それはおめでたい事ね」
果林「……」
エマ「わたしがいない間、ひとりで起きられる?」
果林「ちょ、ちょっとエマ。それは流石にバカにし過ぎよ」
果林「さっきも言ったでしょ、いつまでも甘えてばかりもいられないって。これはちょうどいい機会だわ」
果林「あなたが里帰りしてる間に私ひとりで起きて学校に行ってみせるわよ」
エマ「そっかぁ、わたしもいつまでも一緒にはいられないからそうしてもらえると助かるな」
エマ「それじゃ試しに明日は起こしに来ないようにするね」
果林「ふふ、エマが安心して里帰り出来るようになるわ」
次の日 朝
エマ「果林ちゃん起きて〜!!遅刻しちゃうよ〜!!」ユサユサ
果林「あ……?」パチクリ 果林ちゃんエマちゃんに着替えも手伝ってもらってなかったっけ 寮は朝は食堂だぞ、たぶん
今だと食堂でスマホ認証とかやるんだろうな エマ「心配して様子を見に行ったら案の定眠っててさ、わたしが起こさなかったらあのまま寝てたよ」
彼方「そのまま放っておけばいいのに、エマちゃんは人がいいねぇ」
彼方「寝過ごして遅刻にでもなった方が果林ちゃんも身に染みてわかると思うけど」
エマ「ん〜やっぱりわたしは果林ちゃんの事放っておけないよ」
彼方「やれやれ、こりゃどっちもどっちだ」
彼方「ところで、来週スイスに里帰りするんだって?」
エマ「うん、1週間故郷に帰るよ。おみやげ楽しみにしててね」
彼方「その割りには浮かない顔だねぇ」
彼方「さては……果林ちゃんの事だな」
エマ「あはは、彼方ちゃんにはなんでもお見通しだね」
エマ「正直果林ちゃんひとりじゃ心配」
エマ「ね、わたしがいない間代わりに果林ちゃんを起こしてくれないかな?」
彼方「ん〜……まぁ気が向いたら様子を見に行ってあげるよ」
エマ「ありがとう‼頼りにしてるね彼方ちゃん」ニコッ >>10
さっきからエマの口調ぐちゃぐちゃじゃねぇか…… 数日後
エマ「それじゃ、行ってくるね」
果林「えぇ、いってらっしゃい」
果林「スイスのご家族によろしく伝えてね」
エマ「うん、帰って来たらお話たくさん聞かせてあげるからね」
果林「楽しみにしてるわ、気をつけて」ニコッ
エマ「ばいばい果林ちゃん」フリフリ
果林「―エマ……」
果林「やっぱり私、あなたがいないと……」
果林「はぁ……行ってしまったのは仕方ないわね。1週間、なんとか頑張らなくちゃ」トボトボ
彼方「……ふぅむ」ジーッ
彼方「エマちゃんの手前笑顔で見送ったものの不安は拭えない、と言ったところか」
彼方「こりゃ彼方ちゃんだけじゃ荷が重いかもしれないねぇ」
彼方「同好会の皆にも相談してみようかな……」 歩夢「エマさんが里帰りしてる間に私達で果林さんを起こしに行く?」
彼方「うん、果林ちゃんも頑張って起きるとは言ってるみたいだけどエマちゃんが起こしに行かなかったら遅刻すれすれまで寝ていたらしい」
愛「あちゃ〜カリンは寝起き悪いからなぁ、中々起きないんだよね」
しずく「いつも起こしてくれるエマさんがいないとなると確かに心配ですね」
彼方「とりあえず初日は私が様子を見に行ってみるからさ、もしダメそうだったら皆も協力してよ」
せつ菜「もちろん‼果林さんは大切な同好会の仲間ですからね‼」
璃奈「私も朝寝ている人を起こしてみたかった、やってみたい」
かすみ「寝てるって事は〜あんな事やこんな事が出来ちゃうって訳ですよね〜」ニヤニヤ
彼方「ははは、まぁほどほどにね」
彼方「では、エマちゃんがいない間私達で頑張ろ〜」 朝 寮 果林の部屋
彼方「ふぁ〜ねむ……こりゃ早起きして来た分果林ちゃんにはお昼寝に付き合ってもらわないといけないな」
彼方「さて、まずは挨拶代わりにチャイムを」ピンポーン
彼方「……」ピンポーン
彼方「むぅ、あまり鳴らすと他の娘達に迷惑だからこの辺にしとこう」
彼方「仕方ない、エマちゃんから預かった奥の手を使うか」スッ カチャリ
彼方「合鍵を持ってるなんて実質同棲してるようなもんだよね、もう一緒に住めばいいのに」
彼方「お邪魔しま〜す……」ガチャッ
彼方「静かだなぁ、まだ寝てるのかな」
彼方「お〜い果林ちゃん、―ん?」
果林「すぅ……すぅ……」
彼方「あらまぁ幸せそうな寝顔だこと、私もベッドに入ってご一緒したいもんだ」
彼方「―こりゃひとりで起きるのは無理そうだねぇ」
彼方「やっぱり様子を見に来て正解だったよ」 彼方「ほれ果林ちゃん、起きなさい」チョイチョイ
果林「う、う〜ん……」パシッ
彼方「ほう、それが起こしに来た人に対する態度ですかそうですか」
彼方「えいっ」ヒッペガシー
果林「きゃっ!?」ゴロン
果林「な、なになになに!?なんなの一体」キョロキョロ
果林「彼方……?なんであなたがここに?」
彼方「ご挨拶だね、果林ちゃんの様子を見に来てあげたのさ」
果林「え?え?え?」
彼方「まぁ訳がわからないのも無理はないね」
彼方「とりあえず、グッドモーニング♪」 果林「―そう……エマが私の事を心配して」
彼方「素晴らしい親友を持って羨ましい限りだよ」
果林「わ、私は自分で起きようと思っていたわ」
果林「目覚ましだってちゃんとセットして」チラッ
果林「あら、知らない内に止めてたみたい」
彼方「やれやれ……エマちゃんが心配にもなる訳だよなぁ」
彼方「今日は私が朝ご飯を作ってあげよう、朝から彼方ちゃんの手料理を食べられる事に感謝したまえ」
果林「うぅ……ごめんなさい」
彼方「とりあえず顔洗っておいで、口元にヨダレがくっついてるよ」
彼方「カリスマ読モの正体見たり、ってか〜」ニヤリ
果林「や、やだわもうっ」カァァ 果林「ふぅ、さっぱりした」フキフキ
フワ〜ン
果林「いい匂い……お味噌汁かしら」
果林「彼方、すまないわね」
彼方「お、いつもの果林ちゃんのご登場だ。今出来たところだよ」コトッ
果林「これは……?」
彼方「しじみのお味噌汁、これでぱっちり目が覚めるよ〜」
彼方「二日酔いの朝にもぴったり」
果林「私、別にお酒を飲んだ訳じゃないんだけれど……」
彼方「それじゃ、召し上がれ」
果林「いただきます」ズズッ
果林「―あぁ、体に染み渡るわぁ〜ホッとする」
果林「流石は彼方ね、このお味噌汁絶品だわ」
彼方「料亭にも負けない味と自負しております」
果林「本当、朝から贅沢をした気分」ズズッ
果林「―おいしい……おかわりもらえるかしら?」
彼方「はいよ〜おかわり一丁」 果林「はぁ……ごちそうさま」
彼方「お粗末様、目は覚めたかな」
果林「あなたにベッドからひっくり返された時点で覚めてたわよ」
彼方「ふふ、あれくらいやらないと起きないかなと思ってねぇ」
果林「彼方って意外と大胆なのね……」
彼方「明日から大丈夫かな?」
果林「だ、大丈夫だと思うわ……多分」
彼方「なんだい自分の事でしょ、しっかりしなよ」
彼方「いつまでもそんなんだと、他の娘も起こしに来るよ」
果林「え?彼方だけじゃないの?」
彼方「そうだよ、果林ちゃんが早くひとりで起きられるようにならないと皆が毎日起こしに」
果林「そ、それは流石に申し訳ないわ‼わかった、明日からは目覚ましを2個に増やすわ」
彼方「それで効果があればいいけど……ま、頑張りな」
果林「えぇ、私も努力してみるわ!!」 2日目
愛「カリンの部屋に来るの久し振りだなぁ」
愛「まぁこんな朝早くから来たのは初めてだけど」
愛「カナちゃんによるとチャイムを鳴らしても起きて来ないみたいだからこの合鍵で」カチャリ
愛「おーっす、おっはーカリ〜ン」
果林「ぐぅ〜……ぐぅ〜……」
愛「うわっ、なんかメッチャ深い眠りっぽい。大丈夫〜カリン」
果林「―はっ……!?」パチッ
果林「あ、愛……?今度はあなたなの?」
愛「そうだよ、今日は愛さんが来てあげたよん♪」
果林「そんな……私起きてたのに」
愛「いやいや、ぐっすり眠ってたじゃんよ」
果林「違うの、さっき1度起きて」
愛「―あ〜わかった、カリン2度寝したんだよきっと」
果林「2度寝……?」
愛「1度起きたから気が抜けたんでしょ、そんでボーっとしてる内に眠くなってまた寝たと」
果林「そ、そうかもしれないわ」
愛「よっしゃ‼名探偵愛さんの推理は今日も冴え渡るぅ♪」
果林「なにが名探偵よ……ふわぁ」クシクシ 果林「あ〜……」ボーッ
果林「ん……ううん……」ウトウト
愛「おっといけない、このままじゃ3度寝になっちゃう」
愛「カーテン閉めっぱなしじゃーん、太陽の光を浴びれば目が覚める」
愛「あ〜さひがさんさんおはよ〜さ〜ん♪」シャーッ
果林「ま、眩しい……」
愛「さ、まずはベッドから降りてシャンとしようか」
果林「う〜ん……あぁ〜」ノビー
果林「さっき私が起きた時はまだ薄暗くてカーテンは開けなかったわ、太陽の光を浴びるといいのね」
愛「カーテンを開ける、つまり体を動かす。体を動かすと血が巡ってシャキッとしてくるからね」
果林「確かに愛の言う通りね……せっかく1度は起きれたのに悔しいわ……」
愛「はは、でも頑張ったじゃん。惜しかったね」ポンッ 愛「ほーらカリン、ばあちゃんの特製ぬか漬け持って来たよ〜」
果林「わぁ、私愛の家のぬか漬け大好き♪」
果林「嬉しいわぁ、これだけでご飯が食べられるのよね」
愛「あたしもこのぬか漬けがあればご飯を無限に食べられちゃうね」
果林「さっそくいただくわね」パクッ
果林「―うんうん、塩分控えめで体に優しい味だわ」ポリポリ
愛「本当はもっとしょっぱいんだけどカリンはカロリーにうるさいからね」
愛「ばあちゃんにお願いして味を調整してもらったんだ」
果林「そうだったの、わざわざそこまでしてもらって。今度おばあ様になにかお礼しないとね」
果林「もちろん、あなたにもね。愛が来てくれて正直助かったわ。ありがとう」
愛「なんのなんの、たまにはこうやってカリンを起こすのも面白いね」
愛「エマっちが帰って来てもまた起こしに来よっかな〜」
果林「残念ね、その頃にはもうひとりで起きられるようになってるわよ」
愛「あははっ、そうなるように頑張ってね。愛さんも応援してるから‼」 3日目
かすみ「ぬっふっふっふ……いよいよ私の出番」
かすみ「かわいいかすみんとは別のタイプだけど果林先輩もまた私のライバル」
かすみ「堂々と寝込みを襲えるなんて2度とないチャンス」カチャリ
かすみ「目が覚めたらびっくりする果林先輩の顔が目に浮かぶなぁ、いしししっ」
果林「うん……むにゃ……」
かすみ「寝てる寝てる。そりゃ当然、だって本来起こしに来る時間より30分早いんだもん」
かすみ「ちゃんとかすみんが起こしてあげますよぉ」ニヤリ
かすみ「顔にいたずら書きをしてからね♪」キュポン
かすみ「それそれそれ〜」カキカキカキ かすみ「果林先輩、朝ですよぉ。起きてくださぁ〜い」
果林「ん……?」
果林「あら、かすみちゃん……」
かすみ「おはようございます♪」
果林「なによ、随分早く来たのね。別にあなたが来なくても起きられたのに」クシクシ
かすみ「どうしても果林先輩を起こしてあげたくて来ちゃいました」
果林「そう、ありがとう。優しいわねかすみちゃんは」ニコッ
かすみ「うっ……!!」チクリ
かすみ「か、顔を洗ってきたらどうです?私朝ご飯の準備してますから」
果林「そうね、行ってくるわ」
果林「ん?なんか顔が変な感じ……」
かすみ「どきっ!?」
かすみ「……」カチャカチャ
果林「きゃーっ‼な、なによこれぇ!?」
かすみ「!?」ビクッ
果林「かすみちゃん!!これって!!」ガシッ
かすみ「あわわ……そ、それはですねぇ〜」
果林「―これ、パンダよね。すっごくかわいいわ‼」
かすみ「ほへ?」
果林「顔見たらかわいいパンダの顔になってて、パンダになったのかと思ったわ」
かすみ「あ、あの〜果林先輩?」
かすみ「それ……私のいたずらなんですけど」
果林「え?いたずらなの?」
果林「あ、あぁいたずらなのね。あぁ〜」
果林「まぁパンダがかわいいから許してあげるわ」
かすみ「えぇ〜っ?」
かすみ(かすみん渾身のいたずらが……) かすみ(怒られると思ったけど、寝起きで頭が回転してなかったのかなぁ)
かすみ(まさか逆に喜ばれるなんて)
かすみ(ん〜なんか負けた気分……)
果林「ふぅ、パンダの顔を落とすのは名残惜しかったけどそのまま学校に行く訳にも行かないからね」
果林「まったくもう、いたずらもほどほどにしなさい♪」
果林「おいしそうなコッペパンね、食べていい?」
かすみ「ど、どうぞ」
果林「―ん〜おいしい、かすみちゃんのコッペパンはいつ食べてもおいしいわね」
かすみ「あのぅ……怒ってないんですかぁ?」
果林「落書きの事?かわいいものじゃない、ちゃんと水で流せるように水性ペンで描いたみたいだし」
果林「こんな事で怒るほど子供じゃないわよ」
果林「かすみちゃんらしい起こし方である意味安心したわ、うふふ」
かすみ「うぅ……やっぱり果林先輩には敵いませんね」
果林「そうよ、もっと私が驚くようないたずらでもやってみなさい」
果林「じゃないと、お姉さんがいたずらしちゃうわよ」ズイッ
かすみ「ひゃあっ!?ごめんなさ〜いもういたずらしませ〜ん」カァァ
果林「ふふっ、赤くなっちゃってかわいい♪」 すいません、今日はここまで。続きはまた明日投稿します ええな
起きれるようになって寂しくなるエマちゃんも見たいけど果たしてどうなるか 4日目
しずく「ここで合ってるのかな?」
しずく「―うん……間違いない、ここだ」
しずく「勝手に人の部屋に入るのは気が引けるけど、とりあえず様子を見てみよう」カチャリ
しずく「お邪魔しま〜す……」
しずく「果林さん、果林さん……」
果林「すぅ……すぅ……」
しずく「気持ち良さそうに寝てる、なんだか起こすのがかわいそうだなぁ」
しずく「……」ジーッ
しずく(果林さんの寝顔ってすごくキレイ、元々整った顔立ちだから寝てても美人……)
しずく「まるで眠れる森の美女だね、くすっ」
しずく「―眠れる姫に私から目覚めの口づけを」スッ
しずく「なんて、ね」
果林「―あ」パチッ
しずく「は?」
しずく「〜〜〜〜!!」カァァ
果林「〜〜〜〜!!」カァァ しずく「ごごごごめんなさいごめんなさい‼今演劇で王子様役をやってて」
しずく「果林さんの寝顔に見とれてつい女優魂が騒ぎ……」
果林「びっくりした……いきなり目の前にしずくちゃんの顔があるんだもの」
果林「本当にキスされるのかと思ったわ」
しずく「すみません……普通に起こそうと思ってたんですけど」
果林「いいのよ、おかげで目が覚めたわ」
果林「あなた家が遠いのにわざわざ来てもらって申し訳ないわね」
しずく「今日は演劇部の朝練があるので、果林さんの所に回ってからでも十分間に合いますから」
果林「演劇部に同好会としずくちゃんも大変ね」
しずく「いえ、好きな事をやっているので大変とは思いません」
果林「なにかをする為に早起き、私もあなたを見習わないとね」
果林「起こしてくれたお礼に演劇の練習に付き合ってあげましょうか?」
果林「なんならさっきの続きを」ニヤニヤ
しずく「ふえぇっ!?い、いやいいですって‼十分イメージトレーニング出来ましたから」アタフタ
果林「あらそう、残念ね♪」 しずく「私からは紅茶を用意させてもらいました」カチャ
果林「ん〜いい香り……これはセイロンかしら」
しずく「はい、その中でも最高級とされるディンブラのセイロン紅茶です」
果林「ディンブラ……これは中々飲めないわね」
しずく「父が買ってきてくれたんです、家にまだあるので遠慮せずにどうぞ」
果林「それじゃ」コクッ
果林「―はぁ〜華やかな香りが口の中にまで広がる……最高級たる由縁よね」
しずく「おいしいですよね、私も紅茶が大好きなんです」
果林「しずくちゃんはいかにも都会のお嬢様って感じだから似合うわね」
しずく「そんな……果林さんの方こそよくお似合いですよ、大人の女性って感じで」
果林「紅茶もおいしいけど、こうやってしずくちゃんとお茶を飲めるなんて嬉しいわ。うふふ」
しずく「そうですね、今度地元の紅茶がおいしい喫茶店に案内します。2人で行きましょう」
果林「あら、それはデートのお誘いと受け取って構わないのかしら?」
しずく「構いませんよ、精一杯エスコートさせてもらいます」
果林「それは楽しみね」コクッ
果林「―ふぅ、ごちそうさま。今日はありがとう、朝練頑張ってね」
しずく「はい、また学校で会いましょう」 5日目
璃奈「今日は私、果林さんの為に取っておきの目覚めし装置を用意してきた」
璃奈「これを使えば果林さんも飛び起きる事間違いなし」
璃奈「お邪魔します」カチャリ
璃奈「果林さんは……いたいた」
果林「ん……うんん……」ゴロン
璃奈「なんか装置を使わなくても起こせそう」
璃奈「果林さん、起きて起きて」ユサユサ
果林「う〜ん……」
璃奈「む、意外と手強い……こうなったら装置を使うしか」
璃奈「……」
璃奈(こうやって誰かを起こすの、いつ振りだろう)
璃奈(せっかくだからこのまま……)
璃奈「ねぇねぇ、起きてよ〜起きてってば〜」ポコポコ
果林「ふぇ……?」
果林「璃奈ちゃん……」
璃奈「えへへ、おはようお母さん」
果林「お母さん?」
璃奈「はわわっ、口が滑った。璃奈ちゃんボード『照れ隠し』」サッ
果林「?」ボーッ 果林「璃奈ちゃんまで来てもらって悪いわね、あなたも朝弱いんじゃなかったの?」
璃奈「うん、だから他人事とは思えなくて起こしに来たの。私も起きる事が出来たし一石二鳥」
璃奈「本当はこの装置で起こそうかと思ったんだけど」スッ
果林「なにその機械……なにやら恐ろしい雰囲気がするわね」
璃奈「これはあの彼方さんも飛び起きたほどの性能を誇る目覚まし装置だよ、璃奈ちゃんボード『どやどやぁ』」
果林「そんな物を私に使えと言うの……」
璃奈「いざと言う時はこれを使うといいよ」
璃奈「目覚まし機能の他に不審者が近づくとアラームがなるから防犯にもバッチリ」
果林「た、多機能なのね……」
グゥ〜
果林「ん?」
璃奈「―お腹空いた……今日は装置の最終点検をしていたから朝ご飯はまだなの」
果林「そう、それじゃ私と一緒に朝ご飯作ってみる?」
璃奈「うん‼よろしくお願いします♪」 璃奈「えーいっ」トローッ
果林「卵はすぐ火が通るからね、タイミングよくひっくり返すのよ」
璃奈「う、うん」
果林「―今よ、ひっくり返して」
璃奈「それっ」クルンッ ジューッ
果林「いいわねぇ上手よ、キレイに焼けてる」
璃奈「ふふっ、料理って楽しいね」
璃奈「完成、璃奈ちゃんボードオムライス」
果林「顔の絵をケチャップで描いたのね、かわいくて食べるのがもったいないわ」
璃奈「いただきま〜す、あむあむ……」
果林「せ、せっかく描いたのに……」
璃奈「写真は撮ったから大丈夫だよ」
璃奈「このオムライス、すごくおいしい。果林さんも食べてみて」
果林「崩すのはもったいないけど……いただきます」パクッ
果林「―うん、確かにおいしいわ。上出来よ璃奈ちゃん」
璃奈「先生がよかったんだよ」
果林「生徒の技量も重要よ、あなたには料理の才能があるわね」
璃奈「本当?だったらまた料理教えて欲しいな」
果林「えぇ、今度はもっと凝った料理に挑戦してみましょうか」
璃奈「うん♪果林さんと料理するの楽しみだなぁ〜♪」 6日目
せつ菜「ふふふ……やっと私の番が来ましたね」
せつ菜「この日の為に料理の腕を磨いてきた甲斐がありました」
せつ菜「私の朝ご飯で果林さんを朝から幸せな気分にしてみせます‼」
ビーッ‼ビーッ‼ビーッ‼
『危険‼危険‼あなたに身の危険が迫っています‼』ビーッ‼ビーッ‼ビーッ‼
果林「ひゃあっ!?な、何事!?」ガバッ
果林「これは璃奈ちゃんが置いて行った目覚まし装置……」
『厳重警戒!!厳重警戒!!危険人物接近中‼』
果林「危険人物……?誰が来てるって言うのよ」
果林「誰かいるの?」ソーッ
せつ菜「あ、果林さん。おはようございます‼」ペカーッ
果林「せ、せつ菜だったの……」
果林「その手に持っている鍋は」チラッ
せつ菜「これは昨日の夜私が心を込めて作った果林さんの朝ご飯です」
オドロオドロ……
果林「うぷっ……蓋が閉まっていても強烈な存在感……装置が反応していたのはこれだったのね」
せつ菜「装置?」キョトン
果林「な、なんでもないわ」
果林「私、今日はおかげで起きられたから大丈夫よ。ここまで来てもらったけど申し訳ないわね」
せつ菜「そうですか、ではせめて朝ご飯の仕度だけでも」
果林「い、いいってそんな……」
せつ菜「遠慮なさらずに、お邪魔しますね」スタスタ
果林「あ……」 せつ菜「るるる〜るる〜♪」グツグツ
果林「……」
果林(つい家にあげてしまったわ、お鍋も火にかけられちゃったしもう逃げられない……)
果林(せっかく作ってくれたみたいだけど、せつ菜の料理は……)
果林「はぁ〜」
せつ菜「お腹空いたでしょう、もうすぐ温まりますからね」
果林「お腹が空いてため息をついた訳じゃないんだけどね……」
果林(せめて食べられる味でありますように)
せつ菜「お待たせしました、『ジャクリシチュー』でございます」コトッ
果林「ジャクリシチュー……?初めて聞いた」
果林「な、中々個性的な見た目ね……シチューなのに紫色で……」
せつ菜「あるゲームのレシピを参考にして作りました、味も結構面白いですよ」
果林「普通面白い味とか言わないものだけど」
果林「……」チラッ
せつ菜「どうしました?冷めない内に召し上がれ♪」ニコニコ
果林「なんて屈託のない笑顔なの、そんな顔で言われたら食べない訳にいかないじゃない……」
果林「ふぅ……い、いただきます」パクッ
果林「!?!?!?」ビックゥ
果林「うっ……!!」
果林「な、なにこれ……ぐふっ」バタン
せつ菜「おや、どうしました果林さん。大丈夫ですか?」 せつ菜「果林さん、果林さ〜ん」
果林「―はっ!?」パチッ
果林「わ、私は一体……」
せつ菜「ジャクリシチューのあまりのおいしさに失神していたんですよ」
果林「そうなの……そうじゃないんだけど好意的に受け取ってもらえたならよかったわ」
果林(やっぱりせつ菜の料理は強烈ね、今度璃奈ちゃんと一緒に教えてあげないと)
果林「私、もうお腹いっぱい。あとはせつ菜が食べて」
せつ菜「そうですか、ならいただきます!!」
せつ菜「あむあむぱくぱく……」
果林「すご……あなた、なんともないの?」
せつ菜「なにがですか?我ながら会心の出来だと思いますが」
果林「そ、そう……味覚までずれているのね」ボソッ
せつ菜「はい?」
果林「なんでもないの、こっちの話」
果林「ま、なにはともあれ起こしに来てくれてありがとね。気持ちだけ受け取っておくわ」
せつ菜「気持ちだけと言わずこのシチューの残りも受け取ってくださいよ」ズイッ
果林「えぇ……?私お腹いっぱいだって」
せつ菜「じゃあ今夜の晩ご飯にでもどうぞ」
果林「いや、あのねせつ菜」
せつ菜「おっと、そろそろ学校に行かないと。果林さんも行きますよ‼」
果林「ちょ、せつ菜ってば〜」 7日目
歩夢「最後は私、果林さんも段々とひとりで起きられるようになってるみたいだけど」
歩夢「最終的にどうなったか彼方さんから確認するように言われたからなぁ」
歩夢「さてと、今日は起きられたのかな」
歩夢「とりあえずチャイムを鳴らして」ピンポーン
ガチャ
歩夢「あ、果林さんおはよ―ひっ!?」
果林「……あら、歩夢。おはよう……」ズーン
歩夢「か、果林さん?どうしたのその顔……」
果林「ちょっと色々あってね……おかげで目がぱっちり」
歩夢「ぱっちりというかなんだか危ない表情に……」
歩夢「とりあえず朝ご飯作らせてもらうね」
果林「えぇ……お願い、今はなにもしたくないわ」
歩夢(な、なにがあったんだろう……)
歩夢「それじゃ、お邪魔します」 歩夢「うわ、なにこの匂い……」
果林「昨日せつ菜が来てシチューを持って来てくれたんだけど正直私の口には合わなくて」
歩夢「あぁ……コンロにかかっているお鍋、せつ菜ちゃんの料理なんだ」
歩夢「せつ菜ちゃん、悪気があって作ってる訳じゃないからね」
果林「そうなのよ、だからこそタチが悪いと言うか」
果林「それの匂いと璃奈ちゃんからもらった目覚まし装置に起こされてね」
歩夢「目覚まし装置?」
果林「ほら、あれよ」
果林「ベッドにもなにか仕込んだみたいで目覚ましの音と一緒にベッドが膨らみ始めてね」
歩夢「それでベッドから落ちた、と。あれなら彼方さんも目が覚めるね」
歩夢「まぁ、なにはともあれ少しづつひとりで起きられるようになってきたね」
果林「そうね、これも皆のおかげだわ」
歩夢「じゃあ私、ささっと朝ご飯作っちゃうね」 歩夢「果林さん、朝ご飯用意出来たよ」
果林「ありがとう。あら、サラダじゃないの」
歩夢「あまり食欲がなさそうだったから軽めのサラダをね」
歩夢「一応パスタも混ぜてみたの」
果林「気が利いてるわね、あなたはいいお嫁さんになれるわ」
歩夢「そ、そんな……恥ずかしいよ」
果林「このドレッシングも手作り?大したものね」モグモグ
歩夢「簡単に作っただけ、そんなに褒めないでもう」
歩夢「―今日エマさんが帰ってくるね」
果林「そうね、なんだか1週間があっと言う間だったわ」
果林「私も、エマに自信を持って言えそう。もうひとりでも起きられるって」
歩夢「それはそれでエマさん寂しがるかもしれないよ」
果林「そ、そうかしら」
歩夢「エマさんもあぁ見えて果林さんを起こすの楽しみにしてるみたいだからね」
果林「お互いにそれが日常になっていたからね」
果林「ごちそうさま、最後に話を聞いてもらえてよかったわ」
歩夢「私も果林さんがちゃんとひとりで起きられるようになったって胸を張って彼方さんに言えるよ」
果林「後片付けは私がやるから」
歩夢「わかった、終わるまで待ってるね」 夕方
エマ「果林ちゃん、ただいま〜」
果林「お帰りなさい、家族団らんの時間はどうだった?」
エマ「うん、久し振りに家族に会えて楽しかったよ。お父さんにプレゼントも渡せたし」
果林「そう、それはなによりね」
エマ「果林ちゃんは大丈夫だった?」
果林「えぇ、同好会の皆に助けてもらいながらひとりで起きられるようになったわよ」
エマ「わぁ、すご〜い。本当に起きられるようになったんだぁ」
エマ「よかったね果林ちゃん、他の皆にも感謝しないとね」
果林「皆には朝早くに来てもらったからね、本当ありがたいわ」
果林「エマも疲れたでしょう、今日はゆっくり休んで明日は私の所に来なくてもいいからね」
エマ「すごい自信だね、本当に大丈夫?」
果林「平気よ、少しは信用しなさい」
エマ「わかった、また明日ね」
果林「また明日、さようなら」
果林「……」
果林「ふふふっ、生まれ変わった私をエマに見てもらわないとね」
果林「明日はなんとしても早起きしないといけないわ、今日は早く寝ないと」 次の日 早朝 エマの部屋
エマ「すぅ……すぅ……」
果林「エマ、起きなさい。朝よ」
エマ「ん……ううん……」
エマ「ふぇ……?果林ちゃん?」
果林「おはようエマ、いい朝ね」ニコッ
エマ「どうしてここに……」
果林「忘れたの?なにかあった時の為にお互いの部屋の合鍵を渡したじゃない」
エマ「あぁ、そうだっけ」
エマ「ふぁ〜」クシクシ
果林「顔洗って着替えなさい、今朝ご飯の仕度をしているからね」
エマ「いつもと逆になったね、まさかわたしが果林ちゃんに起こしてもらうなんて」
果林「ふふ、たまには人を起こすのもいいものね」
果林「まだ時間があるから髪を結んであげるわ」スッ
エマ「わぁ、ありがとう果林ちゃん」
エマ「こうして髪を結んでもらうと小さい頃を思い出すなぁ」
エマ「今はわたしひとりだから自分でやるしかないからね」
果林「私でよければいつでもやってあげるわよ」
エマ「果林ちゃんなんだかお母さんみたい」
果林「いつもあなたに甘えているからね、今日は私をお母さんだと思って甘えていいわよ」
エマ「えへへ、お母さ〜ん。なんちゃって♪」ポフン
果林「うふふ、かわいいわねエマ♪」ナデナデ 果林「エマ、朝ご飯出来たわよ」
エマ「うわぁ、ご飯にお味噌汁に焼き魚……純和風のご飯だね」
果林「スイスにいる間和食なんて食べていなかったでしょうからこれで日本の味を思い出して」
エマ「嬉しいなぁ、日本の和食が恋しかったんだよね〜」
エマ「いただきま〜す、―はむっ」
エマ「う〜ん、やっぱり日本のお米はおいしいなぁ」
エマ「この焼き魚も香ばしくてご飯が進むし」
エマ「お味噌汁も優しい味、果林ちゃんの気持ちが伝わってくるよ」
エマ「おいしい〜ぱくぱくぱく……」
果林「いい食べっぷりね、私も作った甲斐があったわ」
エマ「果林ちゃんのご飯なら毎日食べたいなぁ」
果林「あら、それじゃこれから毎日作りに来ようかしらね」クスッ エマ「ごちそうさまでした、とてもおいしかったよ♪」
果林「御粗末様でした、エマにはいつもこんな苦労をかけていたのね」
エマ「苦労だなんて、私は果林ちゃんを起こすの楽しくやっていたんだよ」
果林「それはわかるわ、私もエマを起こして朝ご飯を作るの楽しかったもの」
果林「ねぇエマ、私考えたんだけど」
果林「私もたまに起きられない時もあるかもしれないから」
果林「これからは交代で、お互いに起こしてみない?」
エマ「それいいね〜わたしも果林ちゃんに甘えたいし」
果林「でしょ?やっぱり私もエマに起こしてもらわないと1日が始まらないわ」
果林「と言う訳でエマ、これからもよろしくね」
エマ「うん、よろしくね果林ちゃん」
エマ「じゃ、一緒に学校行こうか」ギュッ
果林「えぇ、行きましょ」ギュッ 彼方「―へぇ、お互いに交代で起こし合うとね」
彼方「前から思ってたんだけどさ、そこまでするならもういっその事果林ちゃんと相部屋にすればいいんじゃないかな」
彼方「ていうか結婚しなよ、スピーチは任せておくれ」
エマ「け、結婚だなんてっ‼なに言ってるの彼方ちゃん‼」ヤンヤン
エマ「確かにわたしは果林ちゃんの事大好きだし毎日一緒にいたいと思ってるけどぉ、結婚はまだ早いって言うか……」
エマ「あーこんな事なら果林ちゃんも故郷に連れて行って家族に紹介すればよかったなぁ」
彼方「おいおい、誰もそこまでは言ってないよ〜」
エマ「はっ!?ごめんね、つい……」カァァ
彼方「ごちそうさま、とろけそうなほど甘いのろけで胸やけしそうだ」
エマ「はうぅ……」
彼方「ま、今回の事で少なからず果林ちゃんが成長したからよかったじゃない」
彼方「エマちゃんとの絆も深まった事だしね」ニヤニヤ
エマ「もう、彼方ちゃんには敵わないなぁ」
エマ「私がいない間、果林ちゃんの様子を見てくれてありがとう」
彼方「お礼なら私だけじゃなく他の娘達にも」
エマ「わかってる、今度大きなケーキ作って皆に持って行くね」
彼方「それは楽しみだ。ではでは、これからも果林ちゃんと末永くお幸せに」フリフリ
エマ「うん、ありがとう彼方ちゃん」フリフリ
エマ「―明日は私が果林ちゃんを起こす番」
エマ「朝ご飯なに作ろっかな〜ふふふっ♪」 これで終わりになります、長くなりましたが最後まで読んでいただきありがとうございました。 >>59
せめて茸以外で言ってたらまだ聞き入れてもらえたろうな 乙!
最後エマちゃんを起こす夢を見てるのかと思って身構えてたわ ■ このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています