果南「さ〜さ〜の〜は〜さ〜らさら〜♪」
■ このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています
7月6日 部室
果南「の〜き〜ば〜に〜ゆ〜れ〜るぅ♪」カサカサ
果南「お〜ほしさ〜ま〜き〜らきら〜♪」
果南「き〜んぎ〜んす〜なごぉ♪」カサカサ
果南「―うふふ、だいぶいい感じ」
真姫「あ〜あ、今日は雨降りねぇ」ガラッ
真姫「ヴェェ!?な、なによこれ」ビクッ
真姫「この飾り付け、あなたがやったの?」
果南「やぁ真姫ちゃん。どう、キレイでしょ」
真姫「キレイって言うかなんて言うか……意味わかんない」
果南「はは、そっかそっか〜」
果南「ヒント、明日はなんの日かわかるかなん?」
真姫「明日?明日は7月7日……」
真姫「七夕ね」
果南「そう、明日は七夕だからここも飾り付けをして気分を盛り上げようと思ってね」
真姫「竹まで用意して、よくここまで持って来たわね」
果南「部屋に入るくらいのちょうどいい竹を見つけるのに苦労してさ、大変だったよ」
真姫「勝手にこんな事して……怒られても知らないわよ」
果南「大丈夫大丈夫、なにか言われたらハグして説得するから」
真姫「なにそれ……」 果南「真姫ちゃんが来てくれてよかった」
果南「もう少し飾り付けをしたいから一緒に手伝ってくれないかな」
真姫「なんで私がそんな事……練習しましょうよ、なにしに来たと思ってるの」
果南「練習ならいつでも出来るじゃない、七夕は1年に1度しかないんだよ」
果南「ねぇ〜お願〜い」ハグゥ
真姫「ああんもう‼わかったわよ‼」
真姫「やるわよ、やればいいんでしょ。だから早く離れて」
果南「サンキュー真姫ちゃん、助かるよ」
果南「この細い紙をくるっとやって輪っかにしてね」カサカサ
果南「それを繋げて壁に飾るから」
真姫「こんな事するの、小学生の時以来ね」カサカサ
果南「懐かしいでしょ、真姫ちゃん上手だねぇ」
真姫「こ、これくらい誰だって出来るでしょう。バカにしないで」
果南「いやいや、すごくキレイな輪っかになってるよ。流石真姫ちゃん」
真姫「……そんなに褒めたってなにも出ないわよ」 果南「七夕と言えば織姫と彦星が1年に1度会える日だよね」
果南「真姫ちゃんは織姫と彦星の話、知ってる?」
真姫「機織りの織姫と牛飼いの彦星の話ね、もちろん知ってるわ」
真姫「神様の計らいで結ばれた2人だけど、あまりにも仲良くなりすぎたせいで互いの仕事を疎かにしてしまって」
真姫「神様から天の川を挟んで離れ離れにされて会えなくなったのよね」
果南「そうそう、だけどそれじゃかわいそうだって事になって1年に1度、7月7日に会えるようになったんだよね」
真姫「それも雨が降ると会えないって言うんだから神様も意地悪よね」
真姫「天の川の水かさが増して渡れないってのがなんだか妙に現実的だし」
果南「なにか不思議な力で渡れたらいいんだけどそう都合よくはいかないみたいだね」
果南「明日の七夕も天気予報では雨なんだよなぁ」
果南「織姫と彦星、会えないのかな……」
真姫「そうね……雨がやめばいいんだけど」 果南「2人でやったら結構作れたね、ラストスパートをかけて飾っていこう」
真姫「果南ってこういう事するタイプだったのね、なんだか意外だわ」
果南「こういう季節の行事は好きな方だよ、七夕の夜は晴れていれば星空もキレイに見えるし」
真姫「星空?あなた天体観測をするの?」
果南「変……かな?星を見るのが好きなんだ」
真姫「いえ、変じゃないわ」
真姫「……実は私も、天体観測が趣味なの」
果南「へぇ‼真姫ちゃんも星を見るのが好きなんだ」
果南「私の周りに同じ趣味の人がいなくて少し寂しかったんだよねぇ〜」
果南「なんな嬉しいなぁ〜えへへ」ニヘラ
真姫「な、なにニヤけてるのよ……」
真姫「―好きな星座とか、あるの?」
果南「うん、私はオリオン座とカシオペヤ座が好き」
果南「真姫ちゃんは?」
真姫「私は……特に好きな星座はないわ」
真姫「ただ星空を見るのが、好き」
果南「―そっか、きっとこれからお気に入りの星が見つかるよ」 果南「真姫ちゃんも天体観測が好きだったなんてねぇ」
果南「そうだ、よかったら明日一緒に天の川を見に行かない?」
真姫「天の川?天の川ってこの辺じゃ見られないでしょ」
真姫「高い山のてっぺんにでも登らないと無理よ」
果南「だから早めに出発して山に登ってさ」
真姫「なに言ってるのよ!?あなたは体力があるからいいかもしれないけど私は山登りなんかしないからね」
真姫「大体、明日は雨が降るんじゃないの?」
果南「これを見てごらん」ピラッ
真姫「ん?短冊?なになに……」
真姫「『明日晴れますように』?なにこれ、こんなお願いしたの?遠足じゃあるまいし」
果南「こんな事とはなにさ、明日晴れれば真姫ちゃんと星を見に行けるし織姫と彦星も会えるでしょ」
真姫「織姫と彦星の事まで考えていたのね……」 果南「あ、でももう願い事書いちゃったから織姫と彦星の事はお願い出来ないや」
真姫「晴れれば2人も会えるでしょ」
真姫「―仕方ないわね」サラサラ
真姫「『織姫と彦星が会えますように』これでいい?」
果南「お、悪いね真姫ちゃん。なにか他にお願い事があったんじゃないの?」
真姫「私は別にお願い事とかないからいいのよ」
真姫「だったら果南の言う通り明日晴れて織姫と彦星が会えた方がいいじゃない」
果南「うん、ありがとね真姫ちゃん」ニコッ
真姫「こんな事でお礼なんて言わなくてもいいわよ……」 果南「短冊を下げて、と」カサカサ
果南「どーか明日晴れますように」パンパン
真姫「なに拍手してるのよ、神社じゃないのよ」
果南「ちょっとした願掛けみたいなものだよ」
真姫「結局今日は飾り付けだけで終わっちゃったわね」
果南「その分明日練習しよう、私張り切っちゃうから」
真姫「ほどほどにしてよね……」
果南「はいはい、それじゃ帰ろっか」
真姫「あら、私の傘がない」
果南「およ?誰か間違えて持ってっちゃったのかな」
真姫「お気に入りの傘だったのに、誰よ持って行ったのは」
果南「なら私の傘に入る?」
真姫「そ、それだと相合い傘になっちゃう……」モジモジ
果南「私と相合い傘するの、嫌?」
真姫「嫌じゃないけど……まぁ濡れるよりはマシかしらね」
真姫「悪いわね、入れてもらうわ」
果南「はいよ、いらっしゃ〜い」バサッ 帰り道
果南「たまにはこうやって相合い傘もいいもんだねぇ」
真姫「うぅ……恥ずかしくなってきた」カァァ
果南「なに離れてるのさ、濡れちゃうよ」グイッ
真姫「きゃっ!?急に引っ張らないでってばぁ」
果南「おっと、ごめんごめん」
真姫(ち、近い……雨の匂いに混じって果南の香りが……)ドキドキ
果南「明日は晴れるといいな」
果南「真姫ちゃんと星を見るの、楽しみにしてるね」
真姫「えぇ、そうね……雨降らないといいわね」
真姫「今日は降ってよかったかもしれない、けど……」ボソッ
果南「んあ?なんか言った?」
真姫「な、なんでもないわよ‼」カァァ 真姫の家
真姫「……」ジーッ
『明日の天気は雨、降水確率は1日を通して90%でしょう。突然の大雨に注意してください』
真姫「……やっぱり明日も雨じゃないのよ」
真姫「せっかく果南に誘ってもらったけど雨が降ったら天体観測は無理よね」
真姫「雨降ったらなにをするのかしら……」
真姫「……」
真姫「……せめて七夕気分を味わえるようになにか料理でも作って行こうかしらね」
真姫「果南……食べてくれるかしら」
真姫「……よし」
真姫「―こんなものかしらね」
真姫「あとは明日天気がどうなるか、ね」チラッ
ザーッ……
真姫「これはそう簡単にやみそうにないわね」
真姫「あ、そうだ」シュッシュッ
真姫「ティッシュを丸めて……顔を書いて」キュッキュッキュ〜
真姫「―出来た、てるてる坊主」
真姫「どこまで効果があるかわからないけど」スッ
真姫「せめて果南と楽しい時間が過ごせますように」
真姫「さて、そろそろ寝ましょ」 7月7日
ザーッ……
真姫「やれやれ、結局雨はやまないままね」
果南「―雨、やめ〜!!」
真姫「ん?果南の声?なに大声を出しているのかしら」
真姫「ちょっとうるさいわよ、なにやってる訳?」ガラッ
果南「やめーっ!!」グワッ
真姫「ヴェェ!?なによいきなりぃ!?」
果南「あ、真姫ちゃん」
真姫「廊下にまで響く声でなに騒いでるのよ」
果南「いや〜今夜までに雨やまないかなぁって思ってさ」
果南「穂乃果ちゃんが雨をやませたって噂を聞いてね、私も真似してみたの」
真姫「そんな事が出来るのは穂乃果だけよ……」
真姫「天気なんてそう簡単に変わらないんだからもうやめなさいよ」
真姫「今日は練習するって言ったでしょ」
果南「そうだった、しょうがない。とりあえず練習しようか」
果南「―ところで、なにぶら下げてるの?」
果南「あ、てるてる坊主だ。かわいい〜」
果南「真姫ちゃんも雨やませたいんじゃないか〜」ニヤニヤ
真姫「う、うるさいわね‼念の為よ念の為!!」プイッ 練習後
真姫「はぁ、疲れた……果南との練習はハードね」
果南「ふぅ〜今日は私も疲れたな」
果南「じめじめと蒸し暑いから嫌な感じだよ」
真姫「こんな日でも熱中症になるかもしれないんだから水分補給はちゃんとしなさいよ」
真姫「ほら、ポカリ」スッ
果南「サンキュー、今日はここまでにしようか」
真姫「やっと終わりね、あぁ〜」チラッ
真姫「あら、雨やんだんじゃないの?」
果南「え?どれどれ」ガラッ
果南「おぉ〜晴れまではいかないけど確かに雨やんでるね」
果南「これは星を見られるチャンスがあるかも、にしししし」
真姫「でも、雨がやんでもこの曇り空じゃ」
果南「遠くの空晴れてる、その内こっちの方も晴れるかもよ」ユビサシ
果南「よーし、晴れろ〜晴れろ〜」
真姫「ちょ、窓が開いてるんだからやめなさいよ恥ずかしい」ガシッ
果南「真姫ちゃんも一緒にやってよ〜」
真姫「やらないわよ‼」 果南「ふふーん♪」ニヤニヤ
果南「見なよ真姫ちゃん、この晴れ渡る空を」ドヤァ
真姫「なに得意気な顔してるのよ……たまたま晴れただけでしょ」
果南「いや、私のお祈りと真姫ちゃんのてるてる坊主が効いたんだよ」
果南「これで今夜は星が見られるね〜」
真姫「わからないわよ、夜になったらまた降るのかも」
果南「こーら、そんな事言わないの」
果南「こうなると思って天体望遠鏡を持って来たんだ、じゃーん」バッ
真姫「随分立派な望遠鏡ね、これはいい物だわ」
果南「わかる?ダイビングの仕事で稼いだお金をコツコツ貯めて買ったんだよ」
果南「一応雨がやまなかった時の為に部屋の中で使えるプラネタリウムも持って来たの」スッ
真姫「準備がいいわね……」
真姫「私も……ね、持って来たのよ」ボソッ
果南「なにを?」
真姫「べ、別に大した物じゃないわ」
果南「そう、それじゃ今の内に出掛けようか」
真姫「どこに行くの?」
果南「ここからそう遠くない場所にいい穴場スポットがあるんだよ」パチッ 真姫「どこまで行くのよ、だんだん暗くなってきたわよ」
果南「もう少しもう少し、着く頃にはちょうど星が見えると思うよ」
真姫「こんなに歩くなら練習なんてするんじゃなかったわ……」
果南「でも私について来てるんだから真姫ちゃんも体力あるよ」
真姫「もう限界寸前だけどね……」フラフラ
果南「さ、着いたよ」
真姫「わぁ……遠くの街が一望出来る」
真姫「心なしか空も近い気がするわね」
果南「ちょっとした山だからね、あまり知られていないから人も来なくて静かだよ」
果南「あ、ほら真姫ちゃん見て。一番星」
真姫「本当だ、これから他の星も光るのね」
果南「いいタイミングで来られたね、もっと星が見られるまで休憩しようか」
真姫「そうね、もうクタクタだわ……」ペタン グゥ〜
真姫「なに今の音、まさか」チラッ
果南「あはは……失礼、お腹空いちゃった」
果南「軽くつまめるお菓子持って来たけど食べる?」ガサゴソ
真姫「あ、それなら」
真姫「よかったら、これ……」スッ
果南「サンドイッチ?真姫ちゃんが作ったの?」
真姫「他に誰が作るって言うのよ、私に決まってるでしょ」
果南「へぇ〜星の形してる、面白いねぇ」マジマジ
果南「中身はなにかなん?いただきま〜す」パクッ
果南「―ん〜これはメンチカツだ、メンチカツまで星の形だなんてすごいこだわりようだね」
真姫「お、おいしい……?」
果南「うんうん、こんなおいしいサンドイッチ食べたの初めて。とってもおいしいよ♪」ニコッ
真姫「そ、そう。まぁ当然おいしいに決まってるけどね」
真姫「―ふふふっ」 真姫「だんだん星が見えるようになってきたわね」
果南「いいね、今のところ雨が降る様子もないしこのまま星を見たいな」
果南「あ、ほら真姫ちゃん。織姫と彦星が見えるよ」ユビサシ
真姫「こと座のベガとわし座のアルタイルね」
果南「そしてベガの下にあるはくちょう座のデネブも合わせた3つの星を繋げると」
果南「あれが夏の大三角だよ」
真姫「ふふ、それくらい知ってるわよ」
果南「はは、真姫ちゃんには簡単過ぎたね」
果南「私は冬の星空が好きなんだけど夏の星空もいいね」
果南「私の望遠鏡で天の川見えるかなぁ」スッ
真姫「その望遠鏡は性能がいいから見えるかもね」
果南「おっ、織姫と彦星発見。て事はこの間にある光の粒が天の川かぁ」
果南「真姫ちゃんも見てごらん」
真姫「そ、それじゃ」スッ
真姫「わぁ……星に手が届きそう」
真姫「天の川……見えた、キレイ〜」
果南「織姫と彦星、会えたかなぁ」
真姫「会えたでしょ、すごく眩しく輝いているわ。まるで喜んでいるみたい」
果南「今頃2人で1年振りの再会を楽しんでいるんだろうね」 果南「はぁ……やっぱり星はいいなぁ」ゴロン
真姫「ちょっと、いくら夏とはいえそんな所に寝転がると風邪引くわよ」
果南「風邪を引くほどヤワな鍛え方はしてないよ」
果南「真姫ちゃんも寝転がってみなよ、最高だよ」グイッ
真姫「ひゃっ!?」バタッ
真姫「痛いわね、もぉ〜」
果南「ほら見て、星空の大パノラマだ」
真姫「……ふわぁ〜」
真姫「こんなキレイな星空を見たのは初めてかもしれないわ」
果南「私も長い事星を見てきたけどこんなに澄みきった空は初めてだよ」
果南「これも短冊にお願いしたおかげだね」
真姫「―ねぇ、短冊には晴れるようにお願いしてたけど、本当のお願い事ってなんだったの?」
果南「ん〜?なんだったかな、忘れちゃったなぁ」 果南「でもこうして真姫ちゃんと一緒に七夕を過ごして星を見ているから私はこれだけで満足かなん」
真姫「な、なによそれ……」
果南「真姫ちゃんのお願い事は?」
真姫「……昨日も言った通り別に願い事なんてないわよ」
真姫「私は今の現状にそれなりに満足してるし……」
真姫「だから、あなたと天体観測が出来ただけで……」
真姫「う、嬉しいわ」カァァ
果南「ま……真姫ちゃ〜ん」ジーンッ
果南「かわいいなぁ真姫ちゃんは!!ハグしてあげる♪」ムンギュー
真姫「ヴェェ!?ちょ、果南!!苦しいってば、離しなさいよ〜!!」 果南「このまま星を見ながら真姫ちゃんと寝ちゃおうかなぁ」
真姫「冗談やめてよね、眠くなってきたならそろそろ帰りましょ」ムクリ
果南「そうだね、あまり遅くなると親に心配かけちゃうし。―よっと」シュタッ
果南「織姫、彦星、今年は会えてよかったね。私達に感謝しなよ」
果南「また来年も真姫ちゃんと見に来るから」
真姫「え?来年もここに来るの?」
果南「そうだよ、また真姫ちゃんと星を見たいな」
真姫「……」
真姫「そ、その……」
真姫「ら、来年と言わず……」モジモジ
真姫「今年の冬も、見に行かない?」
真姫「果南の好きな冬の星空……私も見たいわ」
果南「真姫ちゃん……」
果南「―うん、冬になったらまた一緒に行こう」
真姫「ふふ、約束よ」
果南「約束する、これは短冊に書かなくても叶いそうだね」
真姫「あなたが忘れなければね」
果南「ありゃ、痛いとこ突かれたなぁ。あはは」
果南「―忘れないよ」
果南「真姫ちゃんと見た今日の天の川も、これから見る冬の星空も」
果南「きっと私は忘れられないと思う」
果南「七夕は1年に1度きりだけど」
果南「私と真姫ちゃんはずっと一緒だよ」ニコッ
真姫「えぇ、そうね」
真姫「私も、あなたと星を見るの楽しみにしているわ」
真姫「これからもよろしく、果南」ニコッ 終わりです。今日は七夕なので共通の趣味を持つ2人に七夕を過ごしてもらいました。支援、最後まで読んでいただきありがとうございました。 ゆったりして綺麗な時間が感じられて良かった
やっぱかなまきはポテンシャルあるよね 天体観測コンビか……!
綺麗な光景が目に浮かぶお話でとても良かった ■ このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています