千歌「璃奈ちゃん、帰ろう」璃奈「帰らない」
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千歌「へっ?どうしたの?練習は終わったけどまだなにか学校に用事でもあるの?」
璃奈「なにも用事はないけど帰らない、私ずっとここにいる」
千歌「ここにいるって……なにも用事がないなら家に帰らないと」
璃奈「いやだ、もうおうちになんて帰りたくない」
璃奈「それだったら皆の匂いの残ってる部室にいた方がいい」
千歌「璃奈ちゃん……どうしたの一体?」
璃奈「だって今日は『あの日』なのに」ポツリ
璃奈「約束……したのに……」
千歌「璃奈ちゃん……?」 千歌「なにかあったの?私でよければ話を聞くよ?」
璃奈「……」
璃奈「―千歌さん、今日はなんの日だかわかる?」
千歌「えっ?今日?えーと今日は6月21日……あっ」
千歌「今日は父の日だね」
璃奈「そう、今日は父の日。私、お父さんとお母さんと約束したの」
璃奈「今日は3人で過ごそうって、皆でご飯食べようって」
璃奈「お父さんもお母さんもお仕事を早く切り上げて帰るって約束したのに」
璃奈「『急に仕事が入ったからしばらく帰れない』って言われて」
璃奈「私、久し振りにお父さんとお母さんに会えると思ってすごく楽しみにしてたの」
璃奈「それなのに約束を破られて結局今日も私はひとりぼっち……」
璃奈「どうせ帰っても私ひとりならおうちになんて帰らない方がいい、よけい惨めな思いをするだけ」
璃奈「だから、私はおうちに帰らない」 千歌「お仕事なら仕方ないんじゃないかな、忙しい時は家に帰れない事だってあるよ」
璃奈「そう言ってほぼ毎日おうちに帰って来ないんだよ、仕方ないじゃもう済まされないよ」
璃奈「千歌さんにはいつもひとりでいる私の気持ちなんてわからないよね」
千歌「そりゃあ、私の家にはお父さんやお姉ちゃん達がいてお母さんもたまに帰って来るから璃奈ちゃんみたいにひとりぼっちになんてなった事はないけど」
千歌「だからってここでふてくされててもなにもいい事はないよ」
璃奈「……!!」
璃奈「そんな事……!!わかってるよぉ!!」ウルウル
璃奈「でも私は寂しいの‼お父さんとお母さんと一緒にいたいの‼もうおうちでひとりぼっちはいやなのぉ!!」ポロポロ
璃奈「ううぅ……ぐすっ、ひっぐ……」
千歌「ご、ごめん璃奈ちゃん。私そんなつもりじゃ」
千歌「あぁ泣かないで、いい子だから」ギュウッ
璃奈「うっ……!!うわぁ〜ん!!」
千歌「大丈夫大丈夫、私がいるよ」ナデナデ
千歌(それにしても参ったなぁ〜これからどうしよう……) 璃奈「うぅ……ふうぅ……」
璃奈「……」
璃奈「千歌さんごめんなさい、もう大丈夫」グシグシ
千歌「落ち着いた?」
璃奈「うん、少しは……」
璃奈「でも、私やっぱりおうちには……」
千歌「いーや璃奈ちゃん、家に帰ろう」
璃奈「どうして?おうちに帰ったって私ひとりなのに」
千歌「ひとりじゃないよ、私と一緒に帰ろう」ガシッ
璃奈「ちょ、千歌さん。離してよぉ」
千歌「離さない‼ほら行くよ〜」グイッ
璃奈「わ、わ、わあぁ……ああ〜」ズルズル
千歌の家
千歌「たっだいま〜」ガラッ
璃奈「お、お邪魔……します」
千歌ママ「おかえりなさ〜い千歌ちゃん」
千歌「あ、お母さん。帰って来てたんだ」
千歌ママ「えぇ、今日は父の日ですもの。皆でお父さんの労をねぎらってあげないとね」チラッ
千歌ママ「お友達?」
千歌「後輩の璃奈ちゃん、璃奈ちゃんも一緒にご飯食べていってもらうから」
璃奈「えっ?」
千歌ママ「あらあら、それじゃ志満ちゃんに言ってもう1人分用意しないとね」
千歌ママ「璃奈ちゃん、ゆっくりして行ってね」ニコッ
璃奈「え、えっと……」
璃奈「よ、よろしく……お願いしま、す?」 千歌「私の部屋、ちょっと散らかってるけど気にしないで休んで。今お茶持って来るからね」
璃奈「千歌さん、一体どういうつもり?千歌さんの家に来るなんて聞いていないよ」
千歌「そりゃ言ってないもん」
璃奈「な、なにそれ……」
千歌「今日はここが璃奈ちゃんの家、そして私達が家族。なにも遠慮しないで甘えていいんだよ」
璃奈「ちょ、ちょっと待って。理解が追い付かない、璃奈ちゃんボード『???』」
千歌「だから、家にひとりでいるのが嫌だって言うなら今日は私の家にいればいい」
千歌「そうすれば璃奈ちゃんはひとりぼっちにはならない‼でしょ?」
璃奈「わかるようなわからないような……」
璃奈「―やっぱり、わからない」
千歌「あはは、わからなくたっていいよ」
千歌「それじゃ私、お茶持って来るね」スタスタ
璃奈「あ、千歌さん」
璃奈「―行っちゃった……」
璃奈「千歌さん、なにを考えているんだろう。あの人の考えは本当読めない……」 千歌「璃奈ちゃんお待たせ〜」
千歌「うちのお茶は旅館をやっているからお客さんに出すのに最高級の茶葉を使っているんだよ」トポトポ
千歌「あとはなんと言ってもみかん‼私みかんが大好きなんだ、とっても甘くておいしいよ」
璃奈「お茶……私、こういう急須で淹れたお茶って飲んだ事ない」
璃奈「いつも、ペットボトルのジュースとかお茶だから」
千歌「急須で淹れたお茶もおいしいから飲んでごらん」
千歌「熱いから気を付けてね」
璃奈「―ふぅ〜ふぅ〜ずずっ」
璃奈「あちゅっ!!」シロクロ
千歌「大丈夫?火傷しなかった?」
璃奈「うん、大丈夫……」ズズッ
璃奈「このお茶、すごく甘い……こんなおいしいお茶飲んだの初めて」
千歌「それはよかった、みかんも食べてみて」
璃奈「い、いただきます」ムキムキ パクッ
璃奈「―みかんも甘い……おいしい」
千歌「でしょ〜?みかんもこだわりの逸品を厳選して買ってるからね」
千歌「もひとつどうぞ」スッ
璃奈「う、うん……これはやめられなくなるかも」ムキムキパクパク 千歌「さってと」スッ
璃奈「千歌さん、なにをするの?」
千歌「父の日のプレゼントにお父さんになにか買ってあげようかと思ったんだけどお小遣いが足りなくて……」
千歌「定番だけど感謝の手紙でも書こうかなって思ってさ」
璃奈「手紙……プレゼント、か」
千歌「璃奈ちゃんもお父さんになにかあげたら?きっと喜ぶよ」
璃奈「プレゼントなんて……どうせお父さんにはしばらく会えないのに」
璃奈「そんなの、意味ないよ……」
千歌「ま〜たそんな事言う〜違うよ璃奈ちゃん」
千歌「今日は会えなくても、今度会った時に渡せばいい。父の日じゃなくたっていいじゃないの」
千歌「璃奈ちゃんからプレゼントを貰えばお父さんも嬉しいと思うよ」
璃奈「そうなの、かな……?」
千歌「そうなの、そうに決まってるの」
璃奈「すごい自信だね、どこにそんな根拠があるんだか」
千歌「とにかく、一緒になにか作ろう。ね?」
璃奈「……」
璃奈「わかった……ちょっと、考えてみる」 千歌「『お父さんへ。拝啓、本日はお日柄もよく今日この日を迎えられた事を大変喜ばしく思う所存』」サラサラ
璃奈「な、なんか随分かしこまった文章だね。本当にその言葉使いで合ってるの?」
千歌「わかんない、こうしたらかっこいいかなって」
璃奈「はぁ……お父さんに伝わるといいね」
璃奈「それは書道で使う筆?筆なんかで書くの?」
千歌「いつもは使わないけど今日は父の日だから特別に、私書道が得意なの」
千歌「手紙なんてありきたりな物だからせめて自分の得意な事でワンポイント付けようかなってさ」
璃奈「ふぅん、得意な事……ね」
璃奈「私の……得意な事……」
璃奈「……」
璃奈「―そうだ、私も」ガサゴソ
璃奈「私も得意な事、あった」 璃奈「……」カキカキ
千歌「お、璃奈ちゃんのそれはお父さんの似顔絵かな?」
璃奈「うん、私はボードによく顔の絵を描くから」カキカキ
璃奈「お父さんとお母さんと私、せめて絵の中では3人でいたいなって」
千歌「いいねいいね〜しかもすっごく上手、璃奈ちゃん絵の才能あるよ」
璃奈「あ、ありがとう」カァァ
千歌「この調子で頑張ろう、私も璃奈ちゃんに負けない手紙を書くぞ〜」サラサラ
璃奈「……出来た」
千歌「私も書けた‼お父さん感動でむせび泣く事間違いなし」
璃奈「どんな内容なんだろう、気になる……」
千歌「それは内緒、人に見られるのはちょっぴり恥ずかしいのだ」
璃奈「まぁ私の絵も千歌さんには見せられないけど……」
千歌「お父さんに渡してからのお楽しみにしようか」
美渡「おーい千歌、夕飯出来たぞ〜」
千歌「あ、はーい今行きまーす!!」
千歌「ご飯出来たみたい、行こう璃奈ちゃん」
璃奈「う、うん」
璃奈(初めての人のおうちで食べるご飯、なんだか緊張してきた……) 千歌ママ「あ、来たわね〜璃奈ちゃんはここに座ってちょうだい」ポンポン
璃奈「お母さんの隣……そんな所に座っていいんですか?」
千歌ママ「いいのよ、こっちの方がおかず取りやすいし」
千歌ママ「さ、どうぞ」
璃奈「し、失礼……しましゅ」スッ
璃奈「あ、噛んじゃった……」カァァ
志満「うふふ、璃奈ちゃんはかわいいわねぇ」
美渡「ほんとほんと、千歌も赤ん坊の頃はあのくらいかわいかったのにな〜」
千歌「なぁにそれ、今はかわいくないって言いたいの?」
美渡「よくわかってんじゃないの」ニヤニヤ
千歌「もぉ〜美渡姉〜」プンスカ
千歌ママ「こらこら2人共、璃奈ちゃんの前よ。今日くらい姉妹ケンカはやめなさい」
千歌・美渡「「は〜い……」」
璃奈「……」ジーッ
璃奈(今までこんな光景見た事なかった、これが姉妹、なんだ……)
璃奈(いいな……羨ましい、な) 千歌ママ「あ、璃奈ちゃん、そこにお父さんが座るからこっちに詰めて」グッ
璃奈「ひゃっ、お母さんとくっついちゃった」ドキッ
千歌パパ「……」スッ
璃奈(私、千歌さんのお父さんとお母さんに挟まれて……なんでこんな状況に)
志満「それじゃお父さんも来た事だし、父の日のお祝いと、今日はもう1人家族が増えたを祝して。いただきます」
皆「いただきま〜す」
璃奈「家族が増えた……?それってもしかして」
千歌ママ「そう、あなたの事よ璃奈ちゃん。私とお父さんを自分の親だと思っていっぱい甘えてね」
璃奈「そ、そんな事急に言われても」アタフタ
千歌ママ「この煮物、お父さんが腕を振るって作ってくれたのよ」
千歌ママ「はい、あ〜ん」スッ
璃奈「え?え?」
千歌ママ「遠慮しないで。ほら、あ〜ん」
璃奈「―あ、あ〜ん」パクッ
璃奈「……」モグモグ
千歌ママ「おいしい?」
璃奈「うん、おいしい♪」
璃奈「―はっ!?ごめんなさい私ったら」カァァ
千歌ママ「いいのいいの、よかったわねお父さん。璃奈ちゃんにおいしいって言ってもらえて」
千歌パパ「……」ニコッ 志満「それじゃそろそろお父さんへのプレゼントタイムにしましょうか」
志満「お父さん、いつもお仕事お疲れ様。お父さんがいつも頑張ってくれるおかげで私達も生活出来ます」
志満「この新しい前掛けを使ってこれからも頑張ってくださいね」スッ
千歌パパ「……!!」ジーンッ
美渡「お父さん、私からは包丁を」スッ
美渡「これからも迷惑かけるかもしれないけど大目にみてよ」ポリポリ
美渡「これからも……よ、よろしく」カァァ
千歌「美渡姉照れてやんの〜」ニヤニヤ
美渡「うっさい千歌!!黙ってな」
千歌パパ「……!!」ウルウル
千歌「私からは日頃の感謝を込めてお手紙をあげます‼」スッ
千歌「お父さん、いつもありがとう。私も学校とスクールアイドル頑張るからお父さんも頑張ってね」ニコッ
千歌パパ「〜〜〜〜!!」ポロポロ
千歌ママ「私からもプレゼントがあるのよ〜」
千歌ママ「お父さん、愛してるわぁ。これからも家族皆一緒に頑張っていきましょうね」ギュウッ
千歌ママ「ん〜ちゅっちゅっ♪」
千歌パパ「……」カァァ
志満「あらあら」
美渡「いや〜急に熱くなったねぇ〜」ニヤニヤ
千歌「私もお父さんにチューする〜」
千歌「ん〜ちゅっちゅっ♪」
千歌パパ「」ショーテン
璃奈「す、すごい……怒濤の展開で目が回りそう……」
璃奈(私はどうやって渡そうかな……) 美渡「お次はケーキだぞ〜」
千歌「わぁ〜みかんがいっぱい」
志満「美渡の手作りよ、味わっていただきましょうね」
千歌「美渡姉にも意外な特技があったもんだ」
美渡「なんだ意外って、あんたにはやらないぞ」
千歌「あぁ〜んウソウソ〜素晴らしい特技でございますお姉様♪」スリスリ
美渡「まったく、調子いいんだから」
美渡「1番大きいケーキをお父さんと」スッ
美渡「ほれ璃奈ちゃん」スッ
璃奈「え?こんな大きなケーキ私貰ってもいいんですか?」
美渡「当たり前でしょ、私のかわいい妹なんだから」ニカッ
璃奈「妹……私が……」パァァ
千歌「ちょっと美渡姉、璃奈ちゃんは私がかわいがるんだからね。手ぇ出さないで」
千歌「千歌姉がケーキ食べさせてあげる」
千歌「ほぉらあ〜ん」スポッ
璃奈「ちょむぐっ!?」
璃奈「うむぅ〜!!」シロクロ
志満「璃奈ちゃん!?大丈夫!?」
美渡「こんのバカ千歌!!調子乗り過ぎだ!!」
千歌「あわわわわ、ごめん璃奈ちゃ〜ん」
千歌ママ「ふふふ、今夜は随分賑やかになったわね」
千歌パパ「……」ウンウン
千歌ママ「千歌ちゃんも妹が欲しいのかしらね〜」
千歌ママ「ね、今度久し振りに頑張ってみる?」
千歌パパ「〜〜〜〜!!」プイッ
千歌ママ「真っ赤になっちゃって、冗談よ」 璃奈「はぁ……ハプニングに見舞われたけどケーキはとてもおいしかった」
璃奈「ごちそうさまでした。お姉さんのケーキ、また食べたいです」
美渡「気に入ってもらってよかった、うちに来ればいつでも作ってあげる」
璃奈「ご飯にケーキ、どれもすごくおいしかった」
璃奈「おかげでお腹いっぱい……ふぁ」
千歌「お腹いっぱいになったら眠くなっちゃった?」
千歌「明日はお休みだしこのまま泊まっていきなよ」
璃奈「で、でも……なにも用意してないしそもそもいきなり泊まるのは失礼じゃ」
千歌ママ「あら、いいのよ。うちは旅館なんだからお泊まりする支度なんて必要ないわ」
千歌ママ「旅館の物を好きに使ってもらって構わないからよかったら今夜は泊まっていきなさい」
璃奈「……いいんですか?」
千歌ママ「あなたは遠慮しがちね、もう少しわがままになってもいいのよ」
璃奈「わがまま……」
千歌ママ「言ったでしょ、今日は私とお父さんを自分の親だと思いなさいって」
千歌ママ「どーんと受けとめてあげるからなんでもいいなさい」ニコッ
璃奈「……」
璃奈「―そ、それじゃ私、あの……」チラッ
千歌ママ「んん〜?」 カポーン
璃奈「こんな立派な温泉に私達だけで入るなんてすごく贅沢」
千歌ママ「温泉に入れるのは我が家の特権ね」
千歌ママ「せっかく一緒に入ってるんだからもっとそばにおいで」
璃奈「は、はい」ピトッ
璃奈「あの、どうして皆私の事を家族のように扱ってくれるんですか?」
璃奈「私、千歌さんの家族の人達とは初対面なのに」
千歌ママ「う〜ん、やっぱり怪しいかぁ。千歌ちゃんも急に言ってきたからね」
璃奈「千歌さんが?」
千歌ママ「ごめんなさいね、千歌ちゃんがお茶とみかんを取りに来た時に話してくれたの」
千歌ママ「あなた、ご両親が中々家に帰って来なくていつもひとりでいるそうじゃないの」
璃奈「千歌さん……私の事話したんだ」
千歌ママ「千歌ちゃんも璃奈ちゃんを心配してね、今日だけでも私達で璃奈ちゃんの家族の代わりになれないかって」
璃奈「そんな事を言ったんですか」
千歌ママ「千歌ちゃんのおせっかいよ、気を悪くしたなら謝るわ」
璃奈「おせっかいなんて……」
璃奈「正直びっくりしたし戸惑ったけど、千歌さん達家族は皆優しくて暖かくて」
璃奈「私、今までこんな風に過ごした事がなくて」
璃奈「今もこうしてお母さんと一緒にお風呂に入ってるのが本当に幸せ」
千歌ママ「そう、ならよかったわ」 璃奈「千歌さんのおうちは私のおうちとは正反対」
璃奈「学校から帰れば誰かしらいて出迎えてくれる」
璃奈「今日だってお父さんをお祝いする為に家族全員集まって」
璃奈「なのに私のお父さんとお母さんはお仕事……」
璃奈「お父さんとお母さんがお仕事ばかりで全然おうちに帰って来ないのは私の事なんかどうでもよくて私よりもお仕事を優先するのかなって」
璃奈「ひとりでいるとこんな事ばかり考えて嫌になるんです」
千歌ママ「ふ〜ん」
千歌ママ「璃奈ちゃん、それは違うわよ」チャプッ
璃奈「え?」
千歌ママ「志満ちゃんも言っていたけど、ご両親が毎日頑張ってお仕事しているからあなたは生活が出来ているのよ」
千歌ママ「親の勤めは第一に家族の生活を守る事」
千歌ママ「ご両親はその勤めを立派にこなしているわ」
千歌ママ「それに、子供の事をどうでもいいなんて思う親は絶対にいない」
千歌ママ「仕事ばかりで家に帰れなくてもお父さんとお母さんは璃奈ちゃんの事をちゃんと愛してくれているわ」
千歌ママ「璃奈ちゃんはお父さんとお母さんの事嫌い?どうでもいいと思ってる?」
璃奈「ううん‼私はお父さんとお母さんの事が大好き!!たとえおうちに帰って来なくてもそれは変わらない」
千歌ママ「きっとご両親も同じように思ってるはずよ」ニコッ
千歌ママ「結構長く入っちゃったわね、のぼせないうちにあがりましょうか」ザバァ
璃奈「はい。―あの、お母さん」ザバァ
璃奈「ありがとう、ございました……」
千歌ママ「どういたしまして、色々お話が出来て嬉しかったわ」 从c*•ヮ•§从[˶˃ᴗ˂˵]从SS
得しかない! 千歌ママ「うんうん、浴衣がよく似合ってるわよ」
璃奈「浴衣なんて滅多に着ないから面白いかも……」クルッ
千歌ママ「それじゃ、千歌ちゃんのお部屋にお布団を持って行くからね」
璃奈「あ、待ってください」
璃奈「あの、よかったら……そのぅ」
璃奈「今夜は、お母さん達と一緒に寝たいな、なんて……」モジモジ
千歌ママ「私とお父さんと?―ふふっ、千歌ちゃんにヤキモチ妬かれちゃうかもね〜」
璃奈「あ、それなら」
千歌ママ「冗談冗談♪やっとわがままを言ってくれるようになったわね、子供はこうでなくちゃ」
千歌ママ「もちろんいいわよ、ちょっと狭いけど3人で寝ましょ」
璃奈「……やったぁ」ボソッ
千歌ママ「ほら璃奈ちゃん、どうぞ」
璃奈「お、お邪魔します」モゾモゾ
璃奈「お父さん、急にごめんなさい」
千歌パパ「……」ニコッ ナデナデ
千歌ママ「お父さんも久し振りに若い女の子と寝られて嬉しいって」
璃奈「あはは、よかったぁ」
璃奈「お父さん、くっついても……いいですか?」
千歌パパ「……」ギュッ
璃奈「あぁ……暖かい……誰かと一緒に寝るなんていつぶりだろう」
千歌ママ「私も抱き締めてあげる、おやすみ璃奈ちゃん」ギュッ
璃奈「お母さん……柔らかくていい匂い」ウトウト
璃奈「お父さん、お母さん……おやすみ、なさい」
璃奈「―すぅ……すぅ……」 翌朝
璃奈「ん……?んん……」パチパチ
璃奈「あれ?千歌さん?なんでここに」
千歌「う〜んむにゃむにゃ……璃奈ちゃ〜ん」
千歌「璃奈ちゃんはひとりじゃない……私がいるからぁ〜」ムギュー
璃奈「うぷっ!?く、苦しい……」
千歌「えへへ、璃奈ちゃん……私のかわいい妹よ……」スリスリ
璃奈「すごい寝言……わざとやってるようにしか思えない……」
璃奈「―でも、嬉しい……な」
璃奈「千歌お姉ちゃん……なんちゃって」
千歌「璃奈ちゃぁ〜ん……!!」
千歌「―いやぁ、ゆうべは我慢したんだけど明け方になって私も寂しくなっちゃって」
千歌「お父さんとお母さんが起きたから代わりに私が一緒に寝てたんだぁ」
璃奈「そうだったんだ、寝ぼけてこっちまで来たのかと」
千歌「まさか、そこまで寝相悪くないってば」
璃奈「びっくりしたけど、千歌さんとも一緒に眠れてよかった」
千歌「顔洗ってこよ、今日はお母さんも朝ごはん作ってくれるって言ってたよ」
璃奈「それは楽しみ、早く行こう」 璃奈「ごちそうさまでした」
璃奈「お母さんの作ってくれたお味噌汁、私のお母さんよりもおいしかったです」
千歌ママ「なに言ってるの、璃奈ちゃんのお母さんには負けるわ」
璃奈「まるで旅館にお泊まりしたような」
璃奈「いや、旅館でも体験出来ないとても素敵な時間でした」
璃奈「千歌さん、お父さん、お母さん、志満お姉さん、美渡お姉さん」
璃奈「私を家族の一員にしてくれてありがとうございました」
璃奈「短い時間だったけど、まるで本当の家族といたような気分になりました」
璃奈「私、もうおうちに帰りたくないなんて言わない」
璃奈「私はお父さんとお母さんが大好きだから」
璃奈「2人がお仕事を頑張ってる間私もひとりでお留守番頑張ります」
美渡「寂しくなったらまたうちにおいで」
志満「私はいつもここにいるから気軽に会いに来てね」
千歌ママ「私も璃奈ちゃんが会いたいって言えば飛んで行っちゃうから」
千歌パパ「……」ニコッ
千歌「学校にいる間も私がそばにいてあげるからね!!」
璃奈「皆……ありがとうございます」
璃奈「お世話に……なりました」ペコッ 数日後
璃奈「う〜ん……う〜ん……」ウロウロ
璃奈「まだかなぁ……まだかなぁ〜」チラッ
ガチャッ
璃奈「あっ‼帰って来た‼」
璃奈パパ「ただいま、璃奈」
璃奈ママ「久し振り、この間はごめんなさいね」
璃奈「お父さ〜ん!!お母さ〜ん!!」タタタッ
璃奈「お帰りなさい!!お仕事お疲れ様‼」ダキッ
璃奈「私、頑張ってお留守番してたよ‼」
璃奈パパ「ははは、ありがとう。偉い偉い」
璃奈ママ「さっそく夕飯の支度するわね。璃奈、なに食べたい?」
璃奈「そうだなぁ……お母さんのお味噌汁が飲みたい」
璃奈ママ「あら、そんな物でいいの?色々食材を買って来たんだけど」
璃奈ママ「わかったわ、張り切って作るから」
璃奈「私もお手伝いする〜」 璃奈ママ「おまたせ、璃奈が手伝ってくれたから早く用意出来たわ」
璃奈パパ「おぉ〜美味しそうな味噌汁じゃないか」
璃奈「このネギ、私が切ったんだよ」エッヘン
璃奈パパ「うまいもんじゃないか、よくやったなぁ」ナデナデ
璃奈「えへへ、もっと褒めて、褒めて」
璃奈「……」ズズッ
璃奈「―ふぅ……やっぱりお母さんのお味噌汁が1番おいしいなぁ」
璃奈ママ「久し振りに作ったから心配だったけどそう言ってもらえて嬉しいわ」
璃奈「私はお母さんの作るご飯が大好きだよ」ニコッ
璃奈ママ「璃奈……やだわ、なんだかネギが目に染みて」ウルウル
璃奈ママ「たまにしか作らないのにそこまで言ってくれて、ありがとう……」 璃奈「お父さん、少し遅れたけどこれ」スッ
璃奈パパ「これは……」
璃奈「あるお姉さんから教わったみかんケーキと、私が描いた家族の似顔絵」
璃奈「父の日にお父さんとお母さんがおうちに帰って来なくて、正直がっかりした、寂しくなった」
璃奈「でも、それは違うって、父の日はあの日だけじゃないってある家族の皆が教えてくれた」
璃奈「私にとっては今日が父の日」
璃奈「お父さん、そしてお母さん」
璃奈「いつも毎日お仕事お疲れ様、私の為に頑張ってくれてありがとう」
璃奈「私が今こうやって過ごせているのはお父さんとお母さんのおかげです」
璃奈「たまにしか会えないのは少し寂しいけど」
璃奈「私はひとりじゃないから大丈夫」
璃奈「これからも体を壊さないようにお仕事頑張って」
璃奈「そして、いつまでも長生きして一緒にいてください」ギュッ
璃奈パパ「璃奈……」
璃奈パパ「―この似顔絵、皆最高の笑顔だな」
璃奈パパ「ありがとう、お前の言葉とこのプレゼントで力が湧いてきたよ」
璃奈パパ「これからもひとりにさせてしまうがなるべく家に帰る努力もするからな」ギュッ
璃奈ママ「私ももっとあなたに喜んでもらえるよう色んな料理作るから……」
璃奈ママ「もっともっと、一緒にたくさんの事をやりましょうね」ギュッ
璃奈パパ「璃奈、愛しているよ」
璃奈ママ「愛している、璃奈」
璃奈「うん……うん」
璃奈「これからも仲良く3人一緒に暮らしていこうね」
璃奈「お父さん、お母さん、大好き」 終わりです。今日は父の日なのでそれにちなんだ話を書いてみました。支援、最後まで読んでいただきありがとうございました。 ええ話や…
欲を言えば高海ママをみたリアクションが欲しかった >>41
は?
どうしたらそんな意味不明な感想が出るんだよ…草生える
心がポカポカしたぞ!乙!!また書いてちょ ■ このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています