桜坂しずく(28)「わたしの理想のヒロイン」
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このSSは あなしずを基盤としたあなた×オールキャラのxx年後パロSS(2スレ目)です
あなしずですが、×オールキャラという話の展開上しずくの出番はそこまで多くないです
※
虹メンバーが成長に辺り結婚していたりする描写があります。
男に拒否反応を示す方はご注意ください。
前スレ
桜坂しずく(27)
https://fate.5ch.net/test/read.cgi/lovelive/1579793970/ 前回までの!【元】虹ヶ咲スクールアイドル同好会!
虹ヶ咲学園を卒業後、ソングライターを目指して頑張ってきた私(28歳)。
でも卒業後作った曲の出来は全然で依頼も全く来なくなり、並行してしていたバイトも辞め無事ニートに!?
甘えてしまうからと夢を叶えるまでは皆とは会わないんだと決めていたんだけど。
結局こんなプー子になってしまったので、私は同好会の皆とは卒業以来一切連絡を取らずにいた。
そんなダラダラと目的も無く生きていたところに、突然大女優となったしずくちゃん(27)から連絡が来た。
あなた『確か自分が希望した人の歌じゃないとデビューはしないって』
しずく『あれ、あなたのことです』
なんとこんな私にしずくちゃんから直々に作曲の依頼が!
でも今の私にしずくちゃんに相応しい曲なんて書けっこない。そう思って1度は断ろうとする。
しずく『あの頃以上にもっと頑張るので、応援よろしくお願いします!』
しかし、色々考えた結果作曲の依頼は一旦保留にし、同好会の皆ともう1度話すことで今の自分を見つめ直すことにした! 前回までの!【元】虹ヶ咲スクールアイドル同好会!
2
まず私が最初に向かったのは「かすみんベーカリー」という分かりやすい名前のパン屋さん。
そこにいたのは当然……
かすみ(27)『どこ行ってたんですかぁぁぁ!!!連絡も全然つかないし、滅茶苦茶心配してたんですよ!!』
かすみちゃんは卒業後アイドルになっていたみたいだけど、人気が出ず1年もせずに解散しちゃったんだって。
辛いときに傍にいてあげられなくてごめんね……。
あなた『お腹、何ヶ月なの?』
かすみ『6カ月です。触ってみます?』
あなた『こ、こんにちは〜』ピトッ
ドンッ
かすみ『あ、今動きましたね!』
そんなかすみちゃんも、今では悲しみを乗り越え立派なお母さんになっていた! 翌日私はかすみちゃんに、他の皆にも会いに行くために皆のおおよその居場所を教えてもらった。
かすみ『またそのうち、かすみんベーカリーに来てくれますか……?』
あなた『そうだなぁ。かすみちゃんのパンが美味しかったらまた来ようかな』
かすみ『それなら心配いらないですね!だって、かすみん達が作ったパンは世界一愛情のこもったパンですから!』ニコッ
かすみちゃんとまた会う約束を交わし、私は次の同好会メンバーに会うために新たな一歩を踏み出すのだった!
ブー!ブー!ブー!
着信
上原 步夢 前回までの!【元】虹ヶ咲スクールアイドル同好会!
3
私が次に会いにいったのは彼方さん(29)。
人気レストランで働いているんだけど、
彼方『まぁ、これでもあの店では1番下っ端なんだけどね……』
料理の世界は厳しいんだね……。 今でも妹の遥ちゃん大好きな彼方さん。
元々は実家を出て2人で暮らしていたみたいだけど、遥ちゃんは『私自立するから』って巣立っていったみたい。
彼方『でも、妹離れしないとって我慢した……』
そうして彼方さんと話していたところに突如遥ちゃんから一本の電話が……
遥『実は私、この人と結婚することになりました!!!』
彼方『え、え、ちょっと待って……。遥ちゃん付き合ってる人いたの……?いつから……?』プルプル
彼方『うわぁぁぁぁぁぁぁ』 案の定ショックを受ける彼方さん。しかしズルズルと悲しみを引きずるのかと思いきや
彼方『遥ちゃんが完全に自立しちゃうのは寂しいけど、やっぱりそれ以上に遥ちゃんが幸せになるのは嬉しいし』
彼方『それに、今は落ち込んでる場合じゃないしね』
今の彼方さんは、すぐに乗り越えて遥ちゃんの結婚を嬉しいと思える程に成長していた!
彼方『お仕事は大変だけど、好きなことに打ち込めてとっても楽しいんだ』
彼方『いつか自分の店を開いて遥ちゃんや同好会の皆ともう一度集まりたいなって思ってるの……』
私も早く彼方さんに見合うような人にならなくちゃ!
そうして、私は決意を新たにして次の同好会メンバーに会いに行くのだった! 前回までの!【元】虹ヶ咲スクールアイドル同好会!
4
私が次に会いに行ったのは、人気ラノベ作家兼人気声優のせつ菜ちゃん(28)!
アニソン歌手としても活動していて、正にせつ菜ちゃん自身の大好きをそのまま仕事にしていた。 せつ菜『あなたは、今本当に自分が大好きなことをやれていますか?』
せつ菜『あなたはソングライターをしてると言っていましたが、それは本当にあなたの大好きなことなんですか?私にはいまいち──
あなた『うるさい!!』バンッ
あなた『私のこと何にも知らないくせに!いいよね、せつ菜ちゃんは売れっ子で。自分の実力が皆に評価されて!!それが大ヒットして!!!』
せつ菜ちゃんの言葉にイラっときてしまい、つい怒鳴ったりもしちゃった……。
せつ菜『とにかく事情は分かりました。あなたが本気で将来のことに悩んでいるのなら、紹介したい方がいます』
栞子(27)『菜々さんからあなたとの連絡が一切取れないと聞いていたので、てっきり蒸発でもしたのかと思ってました』
そこでせつ菜ちゃんが紹介したのは栞子ちゃん! そこでせつ菜ちゃんが紹介したのは栞子ちゃん!
せつ菜『はっ、しまった!!他の人がいるのにしおりんと呼んでしまいました!!!』
せつ菜『しおりん、菜々、ってお互いに呼び合うのは2人きりの時だけと決めていたのに!!!』
私が知らない間に2人はかなり仲良くなってたみたい。
栞子『その皆に会って答えを出すというのは1か月以内に済ませて下さい』
いろいろ話を聞いてもらったんだけど、私の考えが纏まってないばっかりに、結局答えが出ないまま私の就職の話は保留に。 栞子『今週末のライブも頑張ってくださいね。楽しみにしてます』
せつ菜『折角だからあなたもぜひ来て下さい!!』
帰り際に偶然せつ菜ちゃんのライブがもうすぐだということを知り、ライブに招待された私。
なんとソロで武道館! まだちんたらやってたのかよ
前スレちょっと見てたけど露骨に歩夢だけネタ扱いでただただ不快だわ
平等にキャラを愛せないならオールキャラを謳うんじゃねえ せつ菜『もしこの中にかつての私と同じように、自分の将来で迷っている人がいたら諦めないでください!!』
もう完全に別の世界の人になったんだなと思っていながらライブを見ていたけれど、そこでせつ菜ちゃんは特別に私に向けたMCをしてくれた。
せつ菜『あなたの大好きが何なのか、今の私には分かりません。でも、応援することなら私にも力になれるかなって!!』
あなた『私もなりたい自分を見つけられるように頑張るよ』
そのおかげもあり、私は考えを整理し、また一歩歩き出すことが出来た!
そうして次に私が向かった先は……。
メッセージを送信しました。
To しずく 前回までの!【元】虹ヶ咲スクールアイドル同好会!
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少し考えがまとまった私は、しずくちゃんと1度話をすることに。
あなた『あの頃良い曲が書けてたのは皆のお手伝いがしたい!って熱意があったからなんだろうなって』
そこでしずくちゃんにソングライターの仕事はなりたくてなったものでは無いかも知れないと告げる。
しずく『そんなの嫌です!』バンッッッ
しかしそれを告げるとしずくちゃんは顔色を変え、私に必死に問い詰める。 しずく『なぜですか……声をかけるのが遅かったからですか?私のために曲を作るのが嫌なんですか?』
あなた『いや、嫌というか書けないというか……』
なぜそこまで私にこだわるのか。
しずく『はぁ…………言えません』
問いただしても、しずくちゃんは答えてくれない。
ピロンッ
ピロンッ
あなた『五月蝿いなー……一体何事?』カチッ
【通知】
歩夢ちゃん (1033)件の未読
あなた『ひっ!』ポトッ 『ふふっ、先輩でも分からないならこの変装は完璧ですね!』スッ
気を取り直して一旦しずくちゃんと2人でお忍びデート。
一緒に映画を見たり、食事したり、お洋服を選んだり、楽しかったな。
しずく『私もあの後少し冷静になって、先輩に強要しても逆効果なんじゃ無いかって思ったんです』
しずく『だから今は無理にとは言いません。先輩が書きたくなったら書いてください。私はいつでも大歓迎ですから!」
しずくちゃんが一日考えて出した結論は、強要せずに私が書きたくなる時を待つというものだった。
あなた『昨日言ってた私に拘る理由っていうのは……』
しずく『そうですね……曲をくれたら教えてあげます。知りたかったら曲を下さい❤』ニッコリ
私にこだわる理由はやっぱり教えてくれないらしい……。 しずく『あ、そうだ先輩。私実は行ってみたいところがあって……』
そしてなんとしずくちゃんが演技の参考にしたいと言い出し向かった先は
『本日はどういった娘をお好みでしょうか』
しずく『あ、そういうの選べるんですね。えーと、格好いい雰囲気だけど、ボーイッシュ程ではないくらいの娘を……』
なんとキャバクラ!?
果林(29)『失礼しま〜す』
しずく『え?』
あなた『あれ?』
果林『えっ』
しかも出てきた女の子はなんと果林さん(29)!? 前回までの!【元】虹ヶ咲スクールアイドル同好会!
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思わぬタイミングで再会してしまった私達と果林さん。
元々モデルをやっていたけど、売れなかったからこの仕事に就いたみたい。
果林『なぁに?顔赤くしちゃって、可愛い❤』
あなた『…………!!』ドキドキ
果林『実はしずくちゃんの事ずっといいなって思ってたの。この後ウチで飲み直さない?』ギュッ
しずく『えっ……えぇぇぇ///』カァァ
成長して更にセクシーになった果林さんの悩殺術、凄かったなぁ……。 その後果林さんとしずくちゃんと別れ家に帰った後
果林『特にエマには……』
私はふと気になってエマさんに連絡した。
🍞<(すっごく忙しいんだよね 服飾のお仕事って)
エマさんとのメッセージのやり取りの中で、果林さんはなぜかエマさんに服飾の仕事に就いていると嘘をついてることが発覚。
それに関して果林さんに話を聞くために私はもう1度キャバクラに行き、果林さんとデートの約束を取り付けた。 果林『うわー!!!見て見て!私の笹をパンダが食べてるわ!!』
あの頃のように果林さんがはしゃいで楽しく過ごした動物園デートの後私は果林さんに気になったことを尋ねる。
あなた『…………果林さん、キャバクラのお仕事は本当に果林さんのやりたいことなの?』
果林『なに?そんなこと言うために今日連れ出したの?』
対話の末、服飾の専門学校に行くためにキャバクラで働いているうちに、
また学校に行って売れるかどうかも分からない仕事を目指すのがアホらしくなってしまったということを話してくれた。
果林『このままずっとこの仕事をするのは無理だって何となく察してきたんだけど、今更他のお仕事できる気もしないし。
どうしようかなって丁度考え始めた所だったの』
これからどうしていいか自分でも悩んでいた果林さん。そんな果林さんに私はある場所に付き合って欲しいと頼み込む!
そうして私たちが向かった先は……! 前回までの!【元】虹ヶ咲スクールアイドル同好会!
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そうして2人でやってきた場所はなんとスイス!
目的は勿論──
エマ(29)『チャオ〜!会いたかったよ〜!!』
更にグラマラスになり、癒し度が限界突破したエマさん。
そんなエマさんは私の突然の思いつきからの来訪にも優しく対応してくれた。 エマ(29)『わっ……。ふふ、あなたってば子供みたい。よしよし』ナデナデ
私は全力でエマさんにナデナデされにいったけど一方果林さんは
果林『私もうすぐ三十路よ!流石にこんな歳でそんな子ども扱いは……』
エマ『そっか、そうだったよね。ごめんね果林ちゃん……』シュン
果林『あっ……』
果林『そうよ……もうエマがいなくても私は大丈夫なんだから』
これはただ恥ずかしいと言うだけでは無いような。
やっぱりこの2人、なにやら一悶着ありそうな様子。 そして明かされる衝撃の事実!!
エマ『んー、でもホントにお母さんになったからかな?』
果林『そうそう、去年4人目が生まれたんだったかしら』
あなた『え……お母さん……?子ども……?』
わ、私のエマさんがぁぁぁぁぁ!!!
旦那さんめ……私のエマさんを奪うなんて許せない!私は勢いよくエマハウスに乗り込んだ!
あなた『よーし!一言文句言ってやる!!』
ガチャッ
ガタイの筋肉質の長身男『〜〜〜〜〜〜〜〜〜!!』ハッハッハッ
あなた『』
果林『文句の1つでも言ってやるんじゃ無かったの?』
エ、エマさんの大切な旦那さんを傷つけるわけにはいかないから……。 あなた『結婚おめでとう。エマさん』
エマ『うん、ありがとう!あなたにそう言ってもらえて嬉しい!』
その後エマさんと一体一で話して、私もちゃんとエマさんの結婚をお祝いしたよ。
彼方ちゃん見てる?
て言っても、まだ気持ちの整理はついてないんだけどね……。
それから話題は果林さんの話に移り
エマ『うーん……分からない。でも、なんだか私に冷たい感じがするっていうか、なんだか無理してる感じがするの』
あなた『多分、その事については果林さん本人から直接話があると思う』
エマ『うん、分かった。私、果林ちゃんが話してくれるまで待ってるよ』
エマさんも果林さんの違和感には気付いていたけど、果林さんが自分から話して貰うのを待つことに。
エマ『私達と比べて恥じる必要なんて無い。私達は私達のペースで走ってるように、あなたはあなたのペースで走って行けばいい。誰かと比べて焦る必要なんて無いよ』
エマ『要は気にしすぎないで!私は今のあなたも大好きだから!ってことを伝えたかったの』
そして私はエマさんから激励の言葉をもらったよ!
スイスに来て良かった!! 果林『エマに本当のことを話そうと思う』
翌日、何かキッカケでもあったのか、とうとうエマに本当のことを話す決心をした果林さん。
果林『いやいや働いてる訳じゃないけど、誇れるものじゃないし、軽蔑されてもおかしくないとは自分でも思う』
果林『それに、服飾の仕事をしてるってずっと嘘つき続けてきたんですもの。流石にエマでも──』
エマ『それが果林ちゃんが言いたかったことなんだよね。今まで気付いてあげられなくてごめんね。辛かったよね?』
エマ『もう無理して強がらなくてもいいからね』
恐る恐る自分の感情を吐き出す果林さんに対しエマさんが取った行動は、ただただ需要して包み込むことだった。 果林『エマがスイスに帰っても心配しないように……立派な大人になるって……言ったから』
果林がエマに嘘をつき続け、必要以上に大人びた態度を取っていた理由。
それはエマに自分の事で余計な心配をかけたくないからだった。
エマ『もういいんだよ果林ちゃん。嘘つかなくたって』
果林『うわぁぁぁぁぁぁ!!!!』
長い時間とすれ違いを経てついに和解したエマさんと果林さん。
果林さんはこれからはキャバクラの仕事をやめ、やりたいことを探してみるという。
あなた『私もやりたいことを探してる途中だからさ、一緒に探そうよ』
果林『ええ。どっちが先に見つけられる勝負よ!』 果林『私やりたいことができたわ。この勝負、私の勝ちね』
ってその勝負、もう決着がついちゃった!?
2日後日本へと帰る途中、果林さんが私に勝利宣言をしてきたんだ。
果林『私、もう一度デザイナーを目指してみる』
果林『あの子、マリアと約束したの。あの子がスクールアイドルになったら私が衣装を作ってあげるって』
どうやら私の知らない間にエマちゃんの娘のマリアちゃんと大事な約束をしていたみたい。
仮にデザイナーになれなくてもマリアのサポートをすることを決意した果林さん。
『あ……そっか』
『そういうことだったんだ』
そんな果林さんの思いに触発され、私の意思がついに固まった……!
果林『私やりたいことができたわ。この勝負、私の勝ちね』
その勝負はなんと日本に帰ることになった2日後、すぐに決着がついてしまった!?
果林『私、もう一度デザイナーを目指してみる』
果林『あの子、マリアと約束したの。あの子がスクールアイドルになったら私が衣装を作ってあげるって』
どうやら私の知らない間にマリアちゃんと約束をしていたみたい。
仮にデザイナーになれなくてもマリアのサポートをすることを決意した果林さん。
『あ……そっか』
『そういうことだったんだ』
そんな果林さんの思いに触発され、私の意思がついに固まった……!
「先輩。今……なんて言いましたか……?」 >>33ダブってしまった
果林『私やりたいことができたわ。この勝負、私の勝ちね』
ってその勝負、もう決着がついちゃった!?
2日後日本へと帰る途中、果林さんが私に勝利宣言をしてきたんだ。
果林『私、もう一度デザイナーを目指してみる』
果林『あの子、マリアと約束したの。あの子がスクールアイドルになったら私が衣装を作ってあげるって』
どうやら私の知らない間にエマちゃんの娘のマリアちゃんと大事な約束をしていたみたい。
仮にデザイナーになれなくてもマリアのサポートをすることを決意した果林さん。
『あ……そっか』
『そういうことだったんだ』
そんな果林さんの思いに触発され、私の意思がついに固まった……!
「先輩。今……なんて言いましたか……?」 まだ、あなたちゃんと会ってないのは歩夢ちゃん、愛ちゃん、璃奈ちゃんだね まだ、あなたちゃんと会ってないのは歩夢ちゃん、愛ちゃん、璃奈ちゃんだね 乙
そういえばしおせつ流行ってた頃に始まったんだっけ しおせつが時代を感じる
まぁ今でもあなたと歩夢抜いたら次の候補はせつ菜だろうけど 絶滅したと思ってたしおせつがストーリーに組み込まれている…
このスレが生きている限り、しおせつは生き続けるという事だ… 正直今となっては三船栞子こんなんじゃないからできればやれる範囲で方向修正してもらいたいけどな
しおせつなんてゴミみたいなもんここで読みたくねえ 他のメンバーはラ板特有のネタ無しで真面目に書かれてるだけに栞子周りはちょっと残念な部分ではあるよね、悪い意味で浮いてる
書かれてたの栞子のキャラ付け薄かった頃だから仕方ないし書いちゃったものはしょうがないけど こういう長いのってクソ害悪まとめサイトは纏めないのな
やったぜ 読みたくないなら黙って去れよw
誰も強制してないだろ >>1
お疲れさま、やりたいようにのびのびと書いてください しずく「先輩。今……なんて言いましたか……?」
あなた「私に、しずくちゃんの曲を作らせてほしい」
しずく「ほ……本当ですか!?」
しずくちゃんの声が震え、電話越しに動揺しているのが伝わってくる。
あなた「うん、もう答えは出た」
しずく「そ、それならさっそく──」 コンコン
「桜坂さん、スタンバイお願いしまーす」
しずく「あ、はい!今行きます!」
しずく「すみません先輩!すぐに改めてメッセージを送らせていただきますので!」ブチッ
あなた「あ……」
あなた(収録前だったんだ。動揺させちゃったみたいだし、悪いことしちゃったな)
あとで謝ろうと思いつつ、スマホを操作し、トーク一覧の画面に戻る。 まだ会ってない同好会のメンバーはあと3人。
その中でも未読が溜まりに溜まった幼なじみのアイコンを見つめる。
私と歩夢ちゃんとの2ショット。
今歩夢ちゃんがどうなってるかは知らないけど、かつての私と同様にあの頃から抜け出せずにいるのかもしれない。
でも──
あなた「今更どんな顔して会えばいいんだろう」 1番謝らなくちゃいけない人。
ずっと長い間一緒に居たんだ。
連絡を避けていることで歩夢ちゃんにどれだけ心配をかけているかは想像に難くない。
あなた「…………」
後回しにしても、辛いだけなのに。 ここまででもかなり面白い
金払ってでも読みたいレベル ●ヽ(´・ω・`)ノ● ●ヽ(・ω・` )ノ● ●(ω・`ノ● (・`ノ● ) (● )● ●ヽ( )ノ● ●( ´)ノ● ( ´ノ● ( ノ● ) ●,´・ω) ●ヽ( ´・ω・)ノ● ●ヽ(´・ω・`)ノ● ●ヽ(・ω・` )ノ● ●(ω・`ノ● (・`ノ● ) (● )● ●ヽ( )ノ● ●( ´)ノ● ( ´ノ● ( ノ● ) ●,´・ω) ●ヽ( ´・ω・)ノ● 保守 ー お台場の某バー ー
バンッ
しずく「はぁ……はぁ……」
あなた「あ、しずくちゃん」
しずく「先輩……」
あなた「大丈夫?息上がってるけど」
しずく「お仕事が終わってすぐに飛んできました……。1秒でも早く話がしたかったので……」
あなた「とりあえず座ろう?」
しずく「はい……」ハァハァ しずく「すみません。いつものを」
しずく「それと、お水を一杯いただけますか?」
「どうぞ」スッ
しずく「ありがとうございます」
しずく「んっ……んっ……んっ……」
しずく「ぷはぁ……」
あなた「ほんとに急いで来たんだね。髪もボサボサだ」
しずく「あ……すみません。恥ずかしいです……」
あなた「ちょっとじっとしてて」スッ
しずく「あっ」
あなた「今度は私が髪直してあげる」
しずく「はい……」 あなた「て言っても簡単に髪をとかすだけだけどね」
しずく「ふふ……」
あなた「どうしたの?」
しずく「いえ、今日は逆だなって。あの時の」
あなた「あぁ、しずくちゃんが私に頼んだ日の事?」
しずく「はい。あの時の先輩の顔はちょっと面白かったです」
あなた「言ったな?それを言うならしずくちゃんだって」
しずく「私はそういう演技をしてただけです」
あなた「あ、ずるい!」 あなた「でも不思議だよ」
しずく「何がですか?」
あなた「もう何日も前の事のはずなのに、昨日のことのように感じるんだ。あ、髪はもう大丈夫だよ」
しずく「ありがとうございます」
「お待たせいたしました」スッ
しずく「あ、どうも。ありがとうございます」 .
しずく「さっきの話ですが、人間って楽しいと時間は早く感じて楽しくない時間は遅く感じるみたいですよ」
あなた「あー、なんかそれ聞いたことあるかも」
しずく「私と最初に会った後も、楽しく時間を過ごせたっていうことになりますね」
あなた「うん。皆と久しぶりに会えて、色々あったけど楽しかったよ」
しずく「そうですか……」
しずく「そのおかげで作曲する決心を?」 あなた「私、ずっとやりたい事が分からなくなってた」
あなた「ソングライターにはなったけど、それも何か違うなって」
あなた「それで皆と会っているうちに分かったんだ。私、やっぱり頑張ってる誰かのサポートがしたい。隣でその人のことを見守っていきたい」
あなた「皆に会っていって、皆の隣にはもう私じゃない誰かがいて。それが少し寂しかった」
あなた「でも曲を作ることでしずくちゃんのサポートが出来るなら、ぜひ協力させて欲しい!!」
しずく「私の、サポート……」 あなた「最初にしずくちゃんに頼まれた時にすぐ承諾すればよかったんだけどね。 今の自分に作れるとは思ってなかったから迷惑かけちゃうと思って」
しずく「迷惑だなんて」
しずく「でも確かに私の曲として売りだした曲のクオリティが低いと、私も先輩も叩かれると思います……」
あなた「でも今は違う。迷惑かけるかもしれないけど、作ってみたい」
あなた「いや、作らせて欲しい!」 あなた「これが私のやりたい事!」
あなた「私、曲を作りたい!しずくちゃんのお手伝いがしたい!」
あなた「どうか私に、しずくちゃんの隣を歩かせて!」
しずく「先輩……!その答えを待っていました!もちろんです!」 これはお手伝いを超えた告白なのでは…? イイゾイイゾ しずく「先輩ならきっとまた私の力になってくれるって信じてました!」
しずく「嬉しいです。 また隣で、私のことを支えてくれるんですね……!」
しずく「昼間に1度聞いてはいましたけど、やっぱり直接聞けて嬉しいです……!」
あなた「しずくちゃん……!」
しずく「言質取りましたからね?やっぱりやめるなんて無しですよ」
あなた「え?」
しずく「どうしました?まさか他に女でも……?」ギロッ
あなた「そんなドラマで夫に詰め寄る妻みたいな演技で問い詰めなくても……」 あなた「いや、そりゃあ途中でやっぱりやめます!なんて今更言う気は無いよ」
あなた「でも作るとは言ったけど、やっぱりまだ絶対作れる!とは言い切れないからさ」
しずく「なんだ。そういうことでしたか」
しずく「今の先輩なら大丈夫ですよ」
あなた「だと良いんだけど……」 しずく「私もあれからなんで書けなかったか考えてみたんです」
しずく「それで、あの頃の事を思い出してみて」
ーーーー
あなた『私はただ、頑張るしずくちゃんの応援をしたかっただけだよ』
ーーーー
しずく「卒業してからの先輩は応援するって気持ちが薄くなったのかなって。ほら、燃え尽き症候群とかあるじゃないですか」
しずく「今思い返せば卒業後よくこのバーに連れて行ってくれた時も、そんな雰囲気がしてた気がします。まぁ、あくまで私の勝手な予想なんですけど」
あなた「応援する気持ち……。確かに同好会程密着して曲作りをしていた訳じゃ無かったからそれはあるかも」 しずく「それなら大丈夫です!今の先輩には熱意と、私に密着して曲を作れる環境があります」
そう言ってしずくちゃんは軽く椅子から立ちあがり、より私に近くなるように座り直した。
しずく「それで次の曲はどんな風にするんですか?また私と一緒に色々話し合いましょう!」
私のグラスを持っていない方の手が、しずくちゃんの両手にスッと包み込まれる。
その仕草にお店の雰囲気も手伝ってか、少しドキッとしてしまう。 あなた「そ、そうだなぁ……。とりあえず今のしずくちゃんとしてのアーティストデビューだから、私が今のしずくちゃんのことをもっと知る必要があるかな」
しずく「今の私ですか?」
あなた「うん、色々変わってるでしょ?しずくちゃんはもうスクールアイドルじゃない。大人の大女優なんだから、それに相応しい曲が必要だよ」
あなた「そのためにもっと今のしずくちゃんを知る必要があるかな」
しずく「そうですね。確かにスクールアイドルしずくとしての曲とアーティストしずくの曲はまた勝手が違いますもんね」 しずく「それなら実際に今の私を見て貰うのが1番ですね」
しずく「撮影現場や稽古の様子を生で見て下さい。見学できるように私から頼み込んでみますから。多分OK貰えるはずです」
あなた「え、いいの!?」
しずく「これでも私、結構口が利くんですよ?何て言ったって、大女優ですから」
あなた「職権乱用?」
しずく「そっ、そこまでじゃありませんっ!」 あなた「後は私がしずくちゃんの出てるドラマや舞台いっぱい見たり、しずくちゃんの記事調べたり……」
あなた「それとスクールアイドルの曲みたいに、色々曲について話し合う?」
しずく「ですね!あ、見て下さい先輩」
ゴソゴソ
しずく「じゃーん!曲のイメージを考えたノートです。私が歌いたい曲や演じたいキャラの設定等色々……」
あなた「おぉ凄い……。流石しずくちゃん」
あなた「ちょっと見せて貰ってもいいかな?」
しずく「勿論です!」 ペラッ
ペラッ
あなた「へぇ……もうこんなに……」
しずく「嬉しいです。またこんな風に一緒に曲を作れるなんて」
あなた「私もだよ!うわぁ〜なんだか本当にあの頃に戻ったみたいに思えてきたよ!」
しずく「でもしっかり私達は大人になってる、ですよね?」スッ
そう言ってしずくちゃんはグラスを私の目の前に差し出した。
あなた「あっ、そう言えばまだしてなかったね」
しずく「私のアーティストデビューを祝って」
「「乾杯」」コチンッ しずく「すみません。同じのもう一つ貰えますか?」
あなた「しずくちゃん大丈夫?明日も仕事でしょ?」
しずく「え?まだ3杯目ですけど」
あなた「そ、そう……」
あなた(まだ……?)
しずく「先輩こそ飲まないんですか?」
あなた「いや、私はしずくちゃん程ペース速くないから……」 しずく「すみません、これお願いできますか?」
あなた「しずくちゃん、ほんとに大丈夫?ちょっと飲み過ぎじゃない?」
しずく「いえ、このくらい──」
そう言い終わらないうちに、しずくちゃんの肩が私の肩とこっつんこし、寄りかかる形になった。
しずく「あっ……」
あなた「ほら、やっぱり大丈夫じゃない」
しずく「そうみたいですね。嬉しくてつい……」
あなた「もう、しずくちゃんってば」 しずく「あの」
あなた「ん?」
しずく「もう少し、このままでもいいですか……?」
あなた「えっ」
ふとしずくちゃんの方を向くと同時に、密着しているしずくちゃんの香りが頭に染み渡り、顔が赤くなった。
あなた「し、しずくちゃん。酔ってる……?」
しずく「そうかもしれません」
あなた「う、うん……。いいよ……」
少しかすれた気だるい声
さりげないボディタッチ
そんな大人の色気に胸の鼓動が速くなっていくおかげで肩の重さなど全く感じなかった しずく「あ、私そろそろ帰らなきゃ……」
あなた「大丈夫?家まで帰れる?」
しずく「大丈夫です。酔いも大分覚めてきましたから」
そう言ったしずくちゃんの頬の赤みは確かに消えている。
これなら大丈夫そうだ。
あなた「分かった。じゃあ途中まで一緒に帰ろう?」
しずく「はい!」
しずく「あ、マスター。お代2人分でお願いします」
あなた「え、また私の分も?」
しずく「ええ。だって先輩、まだお金無いでしょ?もうすぐいっぱい入ってくると思いますけど」
あなた「だって前の時も払って貰ったのに……。あ、そういえば前の分まだちゃんと返してないよね!?」
しずく「その分はまだ考え中です。今回の分はそうですね……。お給料の前借りということで」
しずく「あ、もしかしてあんまり飲まなかったのってそのせいですか?なら次も私が出しますからもっと飲みましょうね」
あなた(え?4杯も飲んじゃったんだけど……) カランカラン
しずく「ありがとうございました」ペコッ
しずく「さて、今日話した通り明日マネージャーさん達と相談します。少しお時間はいただきますけど……」
あなた「全然気にしないよ!私の時間ならいくらでもあるからね」
あなた「その間に今のしずくちゃんの事色々調べておくね。私、今のしずくちゃんの活動殆ど知らないから」
しずく「ありがとうございます。あ、でもネットの情報は嘘もあるので鵜呑みにしないで下さいね。全部確認している訳じゃありませんけど、たまに事実と違うことがあるので」
しずく「特に俳優の誰々と熱愛!?とかは全部嘘ですから」
あなた「そうなの?演技で恋人役になった人がそのまま結婚〜みたいな話よく聞くけど」
しずく「そりゃあ私も役に入り込んでいる時はその人のことを好きになったりりはしますけど、それはあくまでその人を演じてるだけです」
しずく「お芝居はお芝居、プライベートはプライベートです。女優としてそこはしっかりしてますから」
あなた「そうなんだ」 ピッ
あなた「あっ、ICそのうちチャージしておかなきゃ……」
しずく「人がいっぱいいるときに引っかかったら気まずいですもんね」
あなた「うん。そういえば、しずくちゃんも電車移動なんだね」
しずく「えぇ、プライベートの時は殆ど。意外と気付かれないものですよ?」
今のしずくちゃんは、前一緒に遊んだ時と違いメガネにマスクをしているだけ。
でも確かに、芸能人特有のオーラは消えている気がする。 ガタンガタン
あなた「…………」
しずく「…………」
夜も遅いので人もまばらだけど、電車の中で喋っては周りに気付かれてしまうので黙っておく。
しずく「…………」ポチポチ
しずくちゃんは無言でスマホをタップしている。
やっぱり仕事が終わった夜中でも色々連絡事項があるのだろうか。
しずく「よしっ、一体削れた」ボソッ
アプリのジムバトルで遊んでいるだけだった。 あなた「あ、私ここで降りるね」
しずく「はい、お疲れさまです。都合が付き次第連絡しますね」
あなた「それじゃあお休み」
プシュー
あなた「はぁ……なんか電車から降りた瞬間にどっと疲れが……」
あなた「飲みすぎかな?それか……」
ーーーー
あなた『し、しずくちゃん。酔ってる……?』
しずく『そうかもしれません』
ーーーー
あなた「……///」ポー
あなた「いやいやいや……」ブンブンブン
あなた「昔から同好会の皆で妄想するような子だったけど、私までからかうなんてしずくちゃんも悪い子になったなぁもう!」 ー翌日ー
あなた「うーん……えーと、もう昼前か」
別にだらしないわけじゃない。まだスイスとの時差に慣れていないだけ。
それに、昨日はお酒が入っているにもかかわらず、目が冴えていた。理由は色々あるだろうけど、主にしずくちゃんのせいだ。
あの後布団に入ってもなかなか寝付けなかったので、しずくちゃんについてネットで夜遅くまで色々調べていたと言うわけだ。
だからただグータラしてるわけではない。そう自分に言い聞かせつつ、私はベットから腰を上げてスマホの画面をつけた。 あなた「あ、しずくちゃんからのメッセージが届いてる」
あなた「えーと……ドラマの撮影の見学と、インタビューの見学はOK貰いました!他も多分大丈夫だと思います。時間の都合が付きましたら改めて連絡します!」
あなた「PS.もし時間の都合が悪かったらすみません!」
あなた「ありがとう、私の都合なら大丈夫だよ。っと」
自分で言っててなんだか悲しくなってくるけど、自由というのは、ある意味では今の私の良いところの1つでもある。
あなた「お金と再就職は心配だけどね……」
でもそれも、しずくちゃんとのタイアップが成功すれば解決するかもしれないんだ。 あなた「あ、お金で思い出した。そろそろお金引き下ろしておかないと」
あなた「あと幾ら残ってたっけ……。スイス旅行でけっこう使っちゃったからなぁ」
あなた「最悪しずくちゃんに前借りを……?いや、そんなみっともないことできないよ!でも借金するよりは……。いや、バイト入れようか?」
あなた「はぁ……通帳見るのが怖い……」 あなた「あれ……?」
ザンダカ 1250000
あなた「12万……?流石に急に減りすぎなんだけど。誰かに引き抜かれた……?」
あなた「いや、ちょっと待って」
あなた「一……十……百……千……万」
あなた「十万……百万」
あなた「百万!?桁が1個多いぞ!?」
あなた「もう一回……」ヒーフーミー
あなた「やっぱり百万だ」 あなた「いやいや、百万も貯金してないぞ?え?これホントに私の通帳?」
ガーッ
改めて通帳を見てみたけど、確かに自分の名前だ。
あなた「おかしいな……。なんで増えてるの?」
しずくちゃんかなと思ったが、まだ作ると宣言しただけで契約はしてない。しずくちゃんならそれでも振り込みしてくれそうだけど。
あなた「1回記帳して確かめてみよう」
ガーッ
あなた「あっ」ペラッ プルルル
果林「あら、おはよう……よね?キミも。もう昼過ぎだけど、時差ボケがまだ抜けないのよ」
あなた「もしもし、果林さんだよね?これ」
果林「これって?」
あなた「ほら、振り込み!私の口座に!」
果林「そうだけど。キミには本当にお世話になったから、そのお礼と旅費も兼ねて70万円振り込んでおいたわ。そういえば言ってなかったわね」
あなた「な、なんで……」
果林「なんで?あ、70万じゃ足りなかったかしら。幾ら出せばいい?」
あなた「え…………いやいや、そういう意味じゃなくて!」 果林「金額じゃ無いなら……ああ、なんで口座が分かったって?」
果林「ふふ、ほらキミ帰り際に通帳見せてくれたじゃない」
ーーーー
あなた『はぁ……思ったよりは掛からなかったけど、やっぱり海外旅行は高く付くなぁ』
果林『そんなに貯金無いの?』
あなた『通帳見る?家長い間留守にするから一応持ってきたんだ』
あなた『あ、言わないでね!私残高見てないの!現実を直視したく無くて……』
果林『これは……』ペラッ
ーーーー 果林「その時にこれじゃマズいだろうと思って口座番号を控えておいたの。やりたいことやるにもお金がいるでしょ?」
果林「どう?かしこくないかしら」
あなた「へぇ凄い……じゃなくて!!」
果林「もう!それなら一体何なのよ!!」
あなた「そうじゃなくて、私が言いたいのは何で70万なんて大金振り込んでるのってこと!!」
果林「さっきも言ったじゃない。エマとも仲直りさせてくれて、私をもう一度前に向かせてくれたからよ」
あなた「そんなの当然のことをしただけなのに!寧ろ私がそうしたかったというかお節介だったとも思ってるのに、こんな大金貰えないよ!」
果林「私はそうは思ってないの。お礼がしたいのよ」 あなた「いや、でもそんな……」
でも果林さんの言うことも事実だ。やりたいことをやるには、いやそれどころが1人暮らしで生活するだけでもかなりのお金がいる。
にもかかわらず今の私に収入は一切無い。
収入のアテと言えばしずくちゃんとの件があるけど、その契約も上手くいくか分からないし、今のこの状態で前金なんて貰えない。
しずくちゃんなら生活がピンチだと言えばお金を貸してくれるかもしれないけど、結局それじゃあ貰う相手が果林さんからしずくちゃんに変わるだけだ。 果林「言っておくけど、いくら稼いでたからって70万は私にとってもはした金じゃないから。そこまで金銭感覚おかしくなってないわ」
果林「なんならもっと出してもいいとも思ってるし、それほど感謝してるって事なんだけど」
あなた「…………果林さん、口座番号教えて。やっぱり受け取れないよ」
果林「キミも頑固よね。私はあげるって言ってるんだけど。人の好意は素直に受け取っておくものよ?」
あなた「でも私は本当にそんなつもりじゃ無かったし!」 果林「そうは言っても残りのお金少ないのは事実でしょ?仕事も今は無いみたいだし大丈夫なの?」
あなた「それは……」
果林「じゃあこれならどう?そのお金は私がキミに貸したってことで。利子はつけないから、落ち着いてお金に余裕が出来てからゆっくり返してね」
果林「なんなら返さなくてもいいから。そこは任せるわ」
あなた「え!?」
果林「はいはい、質疑応答は受け付けません。こうでもしないとキミは受け取ってくれなさそうだから」
果林「やりたい事みつかったんでしょ?お互い頑張りましょう」
プツッ
あなた「果林さん……」
あなた「…………」
あなた「…………ありがとう」
果林さんとの通話を終えた後もしばらく複雑な心境だったが、今回は素直に好意に甘えることにした。
それから私は当初の予定通り少しのお金を降ろして銀行を後にし、しずくちゃんが出ている作品を見るためにレンタルビデオショップへと足を進めた。 ガチャ
あなた「ふぅ……」
店内でしずくちゃんのウィキペディアを見ながら探していたら、思っていた以上に長居してしまった。
ドサッ
あなた「さて、どれから見ようかな」
早速袋から借りてきたDVDを机の上に並べる。 とりあえず1本で完結の有名どころの映画を数本。
それとアニメのDVDも数本。
なんとジブリのヒロインとしても出演していて、その他にもいくつかアニメに出演していた。
せつ菜ちゃん曰く俳優が声優をするとアニメファンから叩かれる傾向があるにも関わらず、少し浮いている部分はあったものの真に迫る演技力でそれを黙らせたらしい。
いつか声優として共演したい、と言っていた。
女優というよりはマルチタレントといった感じみたいだ。
元々スクールアイドルも演技の役に立つからという側面もあったので、今回のアーティストデビューも含め、色々経験していこうという事なのだろう。 あなた「それからこれ」
私が目を向けたのは4巻まで借りた連続テレビ小説のDVD。
あなた「まさかしずくちゃんが朝ドラのヒロイン役として出ていたとは……」
しずくちゃんと会わなくなった後の事だしテレビを殆ど見ないので気が付かなかったのだけれど、しずくちゃんは6年程前の朝ドラに出演していた。
ネットによると、売れ出したきっかけはこれらしい。
あなた「やっぱ朝ドラ二出た人は売れるんだね」
とは言ってもたまたま朝ドラに出れたからラッキーという話でもない。
朝ドラのオーディションはかなり厳しいと聞く。そんなオーディションを勝ち取って演じきったのだから流石しずくちゃんと言うべきか。
あなた「よしっ、私も頑張らなくちゃ!」
マルチタレントとしてのしずくちゃんを理解して、早くしずくちゃんの役に立ちたい。
私は迷いを振り払い、ケースから朝ドラのDVDを取り出して勢い良くプレイヤーにセットした。 ギリセーフも何も余裕じゃん
前のレスの時間見間違えてない? ー数日後ー
プルプルプル
あなた「ん?しずくちゃんから電話だ」
ドラマのしずく『公園で呑みてぇ〜!』
あなた「それにしても今見てるドラマの女優と電話なんて凄いなぁ」
あなた「おっと、それより早く出なきゃ」
ポチッ
しずく「もしもし先輩?今お時間大丈夫でしたか?」
あなた「全然大丈夫!今しずくちゃんが出てる色んな作品見てるところ」
しずく「嬉しいです!私の演技見てくださってるんですね!
でも大変じゃないですか?私のファンでも全部追ってる人なんてまずいないでしょうし……」
そう言い切るのはファンの愛を軽く見ているわけでも自分を卑下しているわけでも無い。それほどまでにしずくちゃんの出演作が多いのだ。
映像化されていない舞台なども含めると、全ての芸能活動を追えている人なんてしずくちゃんの言う通りいないだろう。 あなた「ウィキ見たけど滅茶苦茶出てるもんね。申し訳ないけど流石に数本に絞らせてもらったよ」
しずく「ありがたいことに沢山の作品に携わらせていただいてますから」
あなた「あ、そういえばアニメの声優もやってるんだってね、せつ菜ちゃんから聞いてびっくりした!」
しずく「はい、声優も同じ演じる職業ですからとても楽しく仕事をさせていただきました!」
しずく「ですがドラマ等とはかなり勝手が違っていて、まだまだ実力不足だと痛感しました。次の機会までにはなんとかアフレコスキルを磨きたいと思っています」
あなた(評判は良い方って聞いてるんだけど流石の向上心だ) しずく「って、肝心な事を伝え忘れるところでした」
しずく「先輩、先日言っていた見学の日程が決まりました。予定日は3/1から3/3までの3日間になります。何か用事とか入っていたりしてませんか?」
あなた「全日フリーだから大丈夫!」
しずく「よかったです。すみません、3日しか取れなくて……」
あなた「ううん、3日も見られるなんて凄いよ!頑張って3日で掴んでみせるよ!」
色んなしずくちゃんの作品を見ることで、女優としてのしずくちゃんの演技に対しての理解が深まってきている。あともう少しで何か浮かんでくる気がするんだ。
それに、撮影現場とかみるのはじめてだからワクワクする!
あなた「よーし、やるぞー!おー!」 しずくちゃんの着てる服が全国のお店から消えてるんだろうなぁ ー後日ー
プルプルプル
あなた「あ、またしずくちゃんからだ」
ピッ
あなた「はい、もしもし」
しずく「あ、先輩。明日からいよいよ見学ですね。よろしくお願いします!」
あなた「うん、こちらこそ!事務所に行けばいいんだよね?」
しずく「はい、ロビーの方には話を通してありますので」
あなた「分かった。わざわざありがとう」
しずく「あの、今日はそれだけじゃなくて……」
あなた「ん?」 しずく「その、曲のイメージについてまだ話し合えてなかったなって。すみません、お時間取れず」
あなた「いや、しずくちゃんも忙しいんだし。でも確かにそうだね。軽く方向性は決めておいた方が明日からの見学も有意義に過ごせるかも」
しずく「そうですよね、私ったらすみません……」
しずく「あ、方向性ですよね。やっぱり演じることが好きなので、いずれはアーティストとして色々なテーマやシチュエーションの曲を、演じながら歌いたいと思っています」
あなた「オードリーみたいなのだね?」
しずく「はい。オードリーは私達が考えた設定の女の子の曲として演じながら歌いましたから、イメージとしてはそんな感じです」
しずく「でもデビュー曲は私自身としての曲が欲しいんです」
あなた「しずくちゃん自身の曲?」
しずく「はい」 しずく「実際に見たりドラマで見たりした女優としての私、プライベートで先輩といるときの私」
しずく「それらをひっくるめて、先輩から見た私、桜坂しずくとしての曲を先輩に作ってほしいんです」
あなた「え、私目線でいいの?主観とかバリバリ入ると思うけど……」
しずく「はい、それを歌いたいんです。寧ろだからこそ先輩にしか作れない曲になると思います」
あなた「私にしか作れない曲……」 あなた「分かった。それがしずくちゃんのオーダーだね。明日からはそれを意識して見学するよ!」
しずく「すみません、もっと早くに話せればよかったんですけど。私自身もいざ先輩に曲を作ってもらえるとなるとなかなかイメージが固まらなくて……」
しずく「できれば対面で話したかったんですが、どうしても時間が取れず」
あなた「気にしなくていいよ。昔からしずくちゃんは気にしすぎ」
しずく「先輩……あはは、そうですね」 しずく「それでは先輩、改めて明日はよろしくお願いします」
あなた「うん、こちらこそ」
ピッ
あなた「私から見たしずくちゃんかぁ」
再び今見てるドラマのしずくちゃんへと視線を移す。
あなた「私にしか作れない曲か……えへへ」
しずくちゃんがわざわざ私なんかに曲作りを頼んだ理由がようやくわかった気がした。
確かに、私なら他のソングライターよりしずくちゃんの事をよく知っている。いや、他のぽっと出の人なんかにしずくちゃんの事が分かってたまるか。
あなた「しずくちゃんの期待、裏切るわけにはいかないね」 やっとあなたちゃんとしずくちゃんの話が再開するから楽しみ
前のデートの所何度も読み返してる 本家でしおせつ復活したうえに栞子正式加入しちゃったよ…
今更話変わんないだろうけど ー見学1日目ー
あなた「…………」ゴクッ
私は今、とてつもなく恐怖を覚えている。
それは目の前にいる高圧的な女性が原因だ。
「本日から3日間見学されるとしずくから伺っています。マネージャーの立石あきこです。どうぞよろしく」
あなた「こ、こちらこそ、よろしくお願いします……!」
つい声が上ずった。
綺麗な黒髪を後ろで括り、背も高く、キリットしたメガネが印象的なバリバリのデキる女性だ。
ただこちらを見つめているだけなのに威圧感を感じてしまう。
あなた(なんだか怖いな……)
しずく「大丈夫ですよ。この人普段はこんな顔してますけど、自宅で猫いっぱい飼ってるほどの猫好きなんです」
あなた「え?」
事務所の奥から聴き慣れた声が助け舟を出した。 しずく「ほら、この写真見て下さい」
あなた「わっ、可愛い……」
しずくちゃんが見せてくれた写真には、沢山の猫に囲まれたマネージャーさんが写っていた。
猫だけじゃない、猫に囲まれている顔が崩れたマネージャーさんも可愛いと思った。そのふやけた表情は、とても今のマネージャーさんからは想像できない。
マネージャー「しずく!」
しずく「あまり怖がらせないで下さい。私の大切な先輩なんですから」
マネージャー「それは十分承知です。しかしだからといって──」
しずく「もう、先輩なら大丈夫って何度も言ったじゃないですか。現場に迷惑はかけないし、情報漏洩の心配もありません!ほんと真面目なんですから……」
あなた「……」 マネージャー「……分かりました。そもそもしずくを信用してないと幾らしずくの友人であろうと見学を許可したりしませんからね」
マネージャー「それでは私は車の用意をしているので、もう少ししたらあなたはしずくと一緒に降りてきてください。諸注意は車の中で話します」
あなた「分かりました!」
バタン
あなた「ありがとうしずくちゃん。でもちょっと意外だな。しずくちゃんもあんな茶目っ気のある感じの事するんだね」
しずく「え?あっ……確かに先輩の前ではあんまりああいう態度は取らなかったかもしれませんね。お見苦しいところをお見せしてしまってすみません……」
あなた「いや、謝らなくても。ただ普段のしずくちゃんとギャップがあって可愛かったなって」
しずく「そうですか……///ありがとうございます……」
あなた「あれもしずくちゃんなんだよね。私、もっと色んなしずくちゃんを知りたい」
しずく「色んな私を……?」
あなた「そうしたら、もっともっと今のしずくちゃんにあった最高の曲を作れると思うんだ!」
しずく「…………はい」
しずく「でも先輩に色々見られると改めて思うと何だか恥ずかしいです///」
あなた「え、しずくちゃんなんだか顔赤いけど大丈夫!?」
しずく「先輩は相変わらずで安心しました」 しずく「それじゃあ先輩、一緒に車まで行きましょうか」
あなた「うん、ちょっと緊張するなぁ」
しずく「あ、先輩。マネージャーには曲作りのこと内緒にしておいてくださいね」
あなた「え、言ってないの?」
しずく「はい。あまり言いにくいですが、今の先輩は世間から見てまだ無名です。なるべく私の希望を尊重するとは言ってくれてはいますが、先輩にお願いしたいって相談しても今の段階では断られるに決まってますから。
契約書も書いて、曲も用意して外堀を埋めた上で相談するつもりです」
しずく「それに手続きが済んだ後なら文句は言えないはずです。いえ、言わせません。絶対に」
あなた「う、うん……」
なんだかしずくちゃんがさっきのマネージャーさんみたいというか、それ以上の鬼気迫る表情をしていてゾッとしてしまった。
それだけ本気ということなのかな。
尚更私もしずくちゃんに相応しいクオリティの曲を作らないと。 女優「この、卑怯者!!」
しずく「ふふ……あっハッハッハっ!!何それ、負け惜しみ?」
しずく「あのねェ、あんたには女としての魅力が無かった。それだけの話よ」
女優「この……人の男奪っておいてよくもそんなこと!!」
しずく「ふふ、魅力に関しては否定しないんだ」
女優「……っ」
しずく「まぁそれも当然よね。あんたみたいな田舎くさい女、誰が好きになるのって話よ」
女優「うるさいっ!」
パンッッッ!!
あなた(わっ……痛そう……) しずく「これで満足?」
女優「……!」
しずく「叩いたくらいで満足するなら何度でも叩けばいいわ!でもそれであんたの価値が上がることはぜッッたいに無いッ!」
女優「うっ……」
女優「うわぁぁぁぁぁぁ」ダッ
しずく「……」
監督「カット!!」 監督「いやぁ……一発で取れて下さいよかったよ。しずくちゃんの顔何回も叩かせるわけにはいかないからね。ホントに叩かれなくてもよかったのに」
しずく「無理言ってすみません……。できるたけリアリティを追求したかったので。それに褒めるなら彼女の演技力を」
女優「そんな!桜坂さんのおかげですよ!!」
しずく「それは当然です。これからも足引っ張らないでね」プイッ
あなた(あれ?えらく冷たいんだなぁ……) >>241
誤字
監督「いやぁ……一発で取れてよかったよ。しずくちゃんの顔何回も叩かせるわけにはいかないからね」
監督「それにしてもホントに叩かれなくてもよかったのに」 しずくより身長低いと萌える
璃奈 149cm
せつ菜 154cm
かすみ 155cm
しずく 157cm
彼方 158cm
歩夢 159cm
愛 163cm
エマ 166cm
果林 167cm
https://i.imgur.com/0Fw6S16.jpg
侑 154〜155cm? >>243
約10年後だからこれぐらいのイメージ
璃奈 159cm
せつ菜 161cm
かすみ 162cm
しずく 165cm
彼方 164cm
歩夢 166cm
愛 170cm
エマ 176cm
果林 175cm
あなた 160cm >>244
適当すぎて草
女の子の成長期くらいわかるだろ >>244
女の子でも多少は伸びるかもしれんけど男子中学生じゃないんだからさw 1年のしずく達はともかく2年〜は変わらなさそうだけど……
璃奈とかすみももう伸びなさそうだし 女の子は第二次性徴が早いから高校生になったらほぼ伸びませんね… あなた「すみません、ちょっといいですか?」
女優「え?あ、あなたは桜坂さんの……」
あなた「ちょっと聞きたいんですけど、しず……桜坂さんっていつもあなたみたいな共演者にあんな態度なんですか?」
あなた「なんだか冷たいっていうか……私の知ってる桜坂さんとはちょっと違う感じで」
女優「いえ、とんでもない!桜坂さんは色んな共演者からとても印象が良いって評判なんですよ!」
あなた「え、そうなんですか?」
女優「はい!さっきの態度の事ならあれは私が頼んでしてもらってるんです」
あなた「頼んで?」
女優「はい」 ーーーー
女優『えーっと……この人が山田さんで……この人が藤原さんで……』
女優『大先輩ばっかりなんだから失礼の無いようにしないと……!』
しずく『すみません、須田泉さんですよね?』
女優『え?』
しずく『はじめまして、桜坂しずくです。今日からよろしくお願いしますね?』
女優『え……』
しずく『あれ?違いましたか!?すみません……私ってば──』
女優『いえ!!!大丈夫です!!桜坂さんは間違ってないです!!!』
女優『ただ朝早いのに自分以外の人がもういるなんて思ってなかったので、びっくりしたというか……』
女優『というか桜坂さんの方からお声掛けしていただいて思考がフリーズしてます。あ!すみません!私から声を掛けないといけないのに……』
しずく『大丈夫ですよ。私そういうの気にしませんから』
女優『うぅ……すみません……』 しずく『それで話があるんですけど』
女優『はい!なんでしょう!』
しずく『今回の役って、須田さんがヒロインで私が悪役じゃないですか。須田さんはこれからもこうして私が普通に接するのと、ドラマと同じように冷たくされるのどっちが役に入り込みやすいですか?』
女優『それって、私がヒロインの役を演じやすいように、ってことですか?』
しずく『うん。どうかな?余計なお世話?』
女優『いえ!とんでもないです!!』
女優『ですけど……』
しずく『…………』 しずく『私ね、演じるには役の事を理解する他にも、それを自分に落とし込む事も大切だと思ってるんです。そうすることで、より一層その役になりきることができると思っていますから』
女優『それは……はい!』
しずく『それで1話のビンタシーンなんだけど、須田さん私に本気でできますか?』
女優『え!?いや、そこは本当にビンタしなくても……』
しずく『そうかもしれないけど……気持ちの問題。ヒロインは長い間私の役にイジメられてきて、ついに怒りが爆発したっていうのがこのシーンですよね?』
しずく『序盤で役に入れ込む時間も少ない内に、私へのヘイトをヒロインと同じくらい持てますか?』
女優『それは…………というか実は桜坂さんは私の憧れの女優さんですから、そもそもいがみ合うのが抵抗あったり……』
しずく『だよね。私も須田さんの立場だったら難しいと思う。だから今のうちから練習しておくんです。撮影シーンまでに私へヘイトが持てるように』
しずく『ここのビンタシーンは1話のクライマックスだから最高の演技をしないと。お互い頑張っていいドラマを作っていきましょう!』
女優『は、はい!!頑張ります!!』
ーーーー 女優「というわけでこのドラマが終わるまでは現場ではあの態度でいるって事になったんです」
あなた「へぇ……そうだったんですね」
あなた「素人の私からの意見になるんですけど、さっきの演技とてもリアルでした。まるで本当に長年の怒りを叩き込んだような」
女優「本当ですか?ありがとうございます。一発撮りでOK出てよかったです……。直前になって桜坂さんが本当にビンタして欲しいって言い出した時はヒヤヒヤしましたから」
「はい!皆そろそろ次のカット行っていいかな!?」
女優「あ、すみません。私はこれで」
あなた「こちらこそすみません、引き止めてしまって」 ーーーー
監督「今日の撮影はここまで!皆次もよろしくお願いしますね!」
「お疲れ様でした!!」
あなた「しずくちゃんお疲れ様」
しずく「ありがとうございます先輩」
あなた「ごめんね、しずくちゃんの方行けなくて」
しずく「本当ですよ。私寂しくて死んじゃうかと思いました」
あなた「ごめんごめん、色々と共演者の人に聞いてて……」
しずく「この現場ではヒロイン役の子を始め色んな人にツンケンしてるから印象悪かったですよね?」
あなた「そんなことないよ。皆しずくちゃんの事優しくて真剣に役作りする人だって褒めてたよ」
しずく「そうなんですか?自分から私の事をどう思っているなんて聞く機会無いからちょっと恥ずかしいです……」
あなた「しずくちゃんの気持ちはちゃんと皆に伝わってるんだね」 あなた「今日はお仕事終わり?」
しずく「はい、お仕事は終わりなんですが寄るところがあって……」
あなた「寄るところ?」
マネージャー「しずく、お疲れ様」
しずく「あ、マネージャーさん。お疲れ様です」
マネージャー「今日は寄っていくの?」
しずく「はい」
マネージャー「なら行きは送って行くわね。車の準備しておくから」
しずく「ありがとうございます」
しずく「先輩も見に行きますか?」
あなた「いいの?それなら私も!」 ガチャ
しずく「こんばんは」
あ!桜坂さんだ!!
皆!!桜坂さん来てくれたよ!!
しずく「ほら、先輩も」チョイチョイ
あなた「お、お邪魔しまーす……」 「しずく、元気にしてた?」
しずく「座長、お久しぶりです」
「久しぶりって、先週来てくれたばかりだろ?無理してない?」
しずく「いえ、大丈夫です。今日はちょっと座長に紹介したい人がいて」
しずく「先輩、この方は私が卒業後お世話になった劇団の座長、ミズキさん」
そう言ってしずくちゃんが紹介した女性。聞いたことがある。
みんなと距離を置いておいた中でもしずくちゃんが20になった時お酒が飲みたいというので、今も二人で落ち合っているお台場のバーに連れて行ってあげた時、劇団の話に出てきたっけ。
確かとても尊敬する女優さんだとかなんとか。
そういえば私、この時他の皆には会わなかったのにしずくちゃんに会ってたんだよね。とはいえこの一回限りだけど。
何でだろう。やっぱりちょっと寂しかったのかな。 しずく「先輩?」
あなた「あ、ごめん!昔しず……桜坂さんから聞いたことがあります!本日はよろしければ見学させていただければと……」
座長「こちらこそしずくから耳にタコができる程聞いてるよ。学生時代お世話になった先輩だって」
あなた「え?」
しずく「座長!わざわざ言わなくても……///」
座長「あっはっは。ごめんごめん」
座長「見学は構わないけど、今のしずくは舞台の出演予定無いだろう?何を見てもらうんだ」
しずく「いつものを見ていただこうかと」
あなた(あれっ 舞台の練習するわけじゃないんだ) ハムレット役「お前を愛したこともあった」
オフィーリア役「わたしもそのように受け取りました」
ハムレット役「そう受け取ってはならなかったのだ。
どんな美徳を接木しても、古くなった木が実を結ぶわけではない。
俺はもうお前を愛してはおらぬ」
オフィーリア役「わたしがひどい思い違いをしていたのですわ」
ハムレット役「尼寺へ行け!」
しずく「……」
ハムレット役「どうですか?」
しずく「…………」スーッ
しずく「尼寺へ行けッ!!」
しずく「うーん……」 しずく「ハムレット、台詞覚えるのは大変?」
ハムレット役「え、はい……長い台詞を覚えるのは少し苦手で……」
しずく「さっきの場面だけど、台詞というよりは説明のように感じたんです。多分台詞を間違えないように、って思ってるからだと思う。私も同じだったから」
しずく「そう受け取ってはならなかったのだ!どんな美徳を接木しても古くなった木が実を結ぶわけではない!俺はもうお前を……愛してはおらぬ」
しずく「一息で畳み掛けるように言える?」
ハムレット役「はい!」
ハムレット役「そう受け取ってはならなかったのだ!どんな美徳を接木しても古くなった木が実を結ぶわけではない!俺はもうお前を愛してはおらぬ!!」
ハムレット役「どうですか?」
しずく「そのまま次、オフィーリア」
オフィーリア役「わたしがひどい思い違いをしていたのです──」
ハムレット役「尼寺へ行け!!」
しずく「もう一回お願いします」
オフィーリア役「わたしがひどい思い違いをしていたので──」
ハムレット役「尼寺へ行けッ!!!」 しずく「二人ともどうだった?」
ハムレット役「さっきよりは苦悩を表現出来たと思います!」
しずく「うん、私もそう思う」
しずく「……オフィーリア、今オフィーリアはどんな気持ちでこの台詞を喋っていると思う?」
オフィーリア役「えっと……一度は結ばれたハムレットをどうしても自分の物にしたいっていう気持ち……ですか?」
しずく「ですか?じゃなくていいよ」
オフィーリア役「あ……一度は結ばれたハムレットをどうしても自分の物にしたいっていう気持ちだと思って演じています!!」
しずく「本気でそう思ってる?」
オフィーリア役「えっと……はい」
しずく「私には必死さよりも悲しさが前面に出てるように感じられたかな。その気持ちなら悲しさが前に出るのはちょっと違うと思うの」
オフィーリア役「確かに……」
しずく「二人の演技はとても丁寧で綺麗だよ。でも、このシーンは綺麗なだけじゃ駄目だと思う。お互いの感情が爆発してるんだから、役者も感情を爆発させて演技をしなきゃ……って」
しずく「」スーッ
しずく「わたしがひどい思い違いをしていたのです!」
しずく「尼寺へ行けッ!!!!」
しずく「……って偉そうに言ってる私もまだまだなんだけど」
しずく「今でも感情を込めてるのかもしれないけど、まだ足りない。ここは劇の中でも特に重要なシーンだから、もっともーっとハムレットとオフィーリアの心情を理解した上で、完全に本人になったつもりでもう一回皆でやってみよう」
「「はい!!」」 あなた「なるほど、しずくちゃんは後輩に演技指導するためにここに来たんですね」
座長「そんな大層なもんじゃないよ。あの子なんてまだまだひよっこさ。指導なんかできるもんか」
あなた「え?でもあれ……」
座長「あれはね、団員が行き詰まっている所を、しずくを含めた団員達だけでどうしたらいいか気づかせてるんだ。アドバイスともちょっと違う。しずくも当人達と一緒に考えてるんだ」
座長「だからさっきは〜ですか?ってしずくが正解を持ってるような言い方を、自分の意見をしずくに伝えるように訂正させたんだ。しずくが団員の方に気付かされるなんてのもしょっちゅうだしね」
あなた「へぇ……そうなんですね」 あなた「なんか、ちょっと意外です」
座長「何が?」
あなた「しずくちゃん、今は出ずっぱりの人気女優になって、完璧なイメージがあったんですけど、後輩に言われて初めて気付く、なんて事もあるんだなって」
座長「ぷっ」 「あっはっはっはっはっ!!」
しずく「」ビクッ
しずく「ざ、座長……?」
座長「おっと。何でもないよ。あんたらは芝居を続けな」
座長「ったく、笑わせんじゃないよ。さっきも言ったろ?まだまだひよっこだって」
座長「それに視点なんて人それぞれなんだから、素人ベテランに限らず他人から学ぶ事が何も無いなんてことないよ」
あなた「それはそうかもしれませんけど、でもやっぱり今のしずくちゃんをひよっこって言われても繋がらなくて」
座長「皆そう言うよ、しずくは凄いってね」 座長「でも18からずっと見てきた私には分かる。本当のあの子は皆が思ってるようなのとはちょっと違う」
座長「あんたこそ、高校の時からずっと見てきたんだろ?寧ろ私よりあの子の事を知ってるんじゃないのかい?」
あなた「それがその……個人的な事情で卒業してから距離を置いてまして……。20になった時にバーに連れて行ったのを除けば最近までずっと会ってなかったんです。だから、過程のしずくちゃんを知らなくて」
座長「なるほどね……通りであんたの事は高校生の頃の話しか喋らなかったわけだよ」 あなた「あの、よかったらそれまでのしずくちゃんの事教えてもらっていいですか?それに本当のしずくちゃんって言うのも」
座長「今までっていうと、正にあんな感じさ」
しずく「ここのオフィーリアの気持ちは──」
座長「ストーリーや背景は勿論、すべての役の心情を理解し、演じる人物を完全に憑依させたように演じる。まるでその人物が本当にそこに存在しているかのような演技。この子なら伸びる、そう思ったよ」
座長「ある日朝ドラに受かって、そこからはもうトントン拍子でね。あとはもうずっとテレビに出ずっぱり状態。ここで舞台をやることも殆ど無くなってちょっぴりだけど寂しいよ」 座長「あとなんだっけ、本当のあの子?それは本人に直接聞くか観察して察しな。私からは何も言えないよ」
あなた「ですよね……。すみません」
あなた(しずくちゃんの事知れると思ったんだけど、流石にそんな上手く行かないよね)
座長「でも1つだけ言っておくと」
あなた「え?」
座長「あの子ほど演じるのがうまい子、私は見たことないね」 あなた「しずくちゃん遅くまでお疲れ様」
しずく「あ、先輩。先輩こそ遅くまですみません」
あなた「いやいや。こんな時間まで頑張ってるなんて凄いね」
しずく「別に毎日ってわけじゃないですし。それに、このくらいの事皆やってますよ」
あなた(そうかな……?)
あなた「この劇団には頻繁に来てるの?」
しずく「月に何度かは顔を出せるようにはしていますね。本当はもっと顔を出したいんですが、私のキャパでは……」
あなた(十分凄いと思うけど) しずく「いろんな仕事が次々に舞い込んできて劇に参加できなくなって。それでも劇に関わりたいというのと、お世話になった劇団に恩返しがしたかったんです」
あなた「それで指導みたいな事をしてるんだ」
しずく「座長から聞いてるかもしれないですけど私なんてまだまだですよ。指導なんて」
あなた「言ってた言ってた。一緒に学んでるだけだって」
しずく「はい、そうです。もっともっと演技について学びたいんです」
あなた(しずくちゃん、やっぱり真面目で良い子だなぁ)
あなた(……うん、今日一日で今のしずくちゃんのイメージが少し固まってきたかな) ー見学二日目ー
あなた「失礼しまーす」ガチャ
しずく「あ、先輩。おはようございます」
あなた「しずくちゃん!早いんだね」
しずく「はい、いつも早めに事務所に来て今日の仕事の準備をしているんです。自宅じゃイマイチ締まらなくて」
あなた「これまた意外。自宅でもシャキッとしてるかなって思ってた」
しずく「……嫌でしたか?」
あなた「え、何が?」 あなた「でも分かるよ。一人暮らしってどうしてもだらけちゃうよね」
しずく「……ですよね!先輩も同じで嬉しいです!」
しずく「先輩、あんまり意外意外言わないでくださいね」
あなた「え?」
しずく「私だって先輩と同じ土台に立っている一女性なんですから!あまり神格化されても困っちゃいます」
あなた「ごめん、気をつけるようにはしてるんだけどまだちょっとね……。気をつけるよ」
あなた(いけないいけない。このままだといつの間にかしずくちゃんを持ち上げるだけの曲になっちゃうかもしれない) あなた「あ、そういえば今度しずくちゃんの家行っていい?」
しずく「へ!?」
しずくちゃんの落ち着いた雰囲気が一変。少し間が抜けた声が事務所に響いた。
しずく「いいいいえ、それは困ります。乙女の秘密です……」
あなた「え?あ、うん……ごめんね」
しずく「いえ……」
あなた(そりゃあ見られたく無いものとかあるかもしれないよね。ちょっと無神経だったかな) あなた「ところで今日もドラマの撮影があるらしいけど、昨日のドラマ?」
しずく「いえ、別の物です。そちらでは昨日のドラマほどメインというわけでは無いですが」
あなた「なら昨日とはまた違ったしずくちゃんが見られそうだね。楽しみだよ!」
しずく「なるべく多くの現場を見ていただけるように見学の日程を合わせましたから、曲作りの参考になれば幸いです。ぜひ色んな私を見ていってください」
あなた「うん!」 あなたちゃんの写真が壁一面に貼ってあるのか、極太ディルドがあるのかどっちなんだ… 約2ヶ月前のレスとID被りって地味にすごいな…
更新楽しみに待ってるぞ〜 過去の自分とのID被り最近なるよ
自演荒らし対策に運営がなんかしら仕込むテストでもしてるのかなと思ってるが 1スレ目から一気読みしてついに追いついてしまった…最高すぎる頑張らずに頑張ってくれ 今日のドラマ撮影は同じお仕事物でも大分雰囲気が違う。
昨日の現場は機能同様恋愛要素も無い事は無いが、メインは推理要素だ。
検事役「山田……仕事だ。このファイルの人物リストの検索頼む」
しずく「えぇ……この後ケン君のライブ配信あるから無理なんスけど。知ってます?ライバーってヤツ」
検事役「知らん。無理じゃなくて、嫌なだけだろ。頼むから」
しずく「いや、マジで無理ですから。ケン君のライブ配信は全ての事象よりも優先されます」
検事役「はぁ……分かったよ」
検事役「あーあ、引き受けてくれたらこれあげようと思ったのになー」
しずく「…………?んんっ!?」
しずく「そ、それ!ケン君のサイン!?しかも私の名前入ってる……」
しずく「サイン会とかやらないのになんで!?ってか何であんたが持ってんスか!!」
検事役「引き受けてくれたら渡すよ」ヒョイ
しずく「……分かりましたよ」
検事役「助かる。これが目星をつけてる奴のリストだ。こいつらの素性についてできる限り洗い出して欲しい」
しずく「それで、期限はいつまでですか?」ペラペラッ
検事役「大体明日くらいまでには──」
しずく「舐めるな。配信までに終わる」
検事役「……そうか!さっすが山田!お前が味方でほんっとよかった!!」ギュッ
しずく「あーもう!分かったから離れろ〜!」 しずくちゃんの役は普段はぐうたら、やる時はやるといった役柄だった。
これまた昨日のドラマとは雰囲気が全然違う。
あなた(ちょっと彼方さんみたい)
でも彼方さんとも違う。
勿論しずくちゃんでも無い。
そこにいたのは、間違いなくドラマ内の人物である山田本人だった。
あなた(演技の幅の広さをこれでもかと言うほど感じる。カメレオン俳優ってこういうことを言うんだろう)
それにしても難しいなぁ。
色んなしずくちゃんは見れるけど、演じている時のしずくちゃんは別人のようなものだし。
これをしずくちゃん自身の曲としてどう落としこもうか……。 検事役「え、桜坂さんの印象?そうだな……とにかくお芝居に真剣。心情を上手く汲み取っててね、まるで本当に物語の人物と話してるって思うくらい」
検事役「いつも普段とのギャップにめちゃくちゃ驚かされてるよ」
検事役「普段はね、皆に優しくて……。そうそう、よく皆にお菓子配ってくれるよ。めっちゃ気配りできる人っていう印象だね」
検事役「ところで君桜坂さんのお友達?桜坂さん誰かと付き合ってるーとか聞かないんだけど、何か知ってたりしない?」
検事役「知らない?そっか、ありがとう。やっぱガード固いな……」 あなた「しずちゃんお疲れ様」
しずく「ありがとうございます先輩。皆私の事なんて言ってましたか?」
あなた「えー?秘密」
しずく「先輩のいじわる……」
あなた「ごめんごめん。でも皆しずちゃんの事褒めてたよ」
しずく「ホントですか?嬉しいです!」 しずく「先輩、申し訳ないんですけど、すぐに次の現場に行かなくちゃいけなくて」
あなた「あ、ごめん。それは早く行かないとね」
しずく「歩きながら話しましょう」
しずく「それと先輩……」
あなた「ん?」
しずく「次の現場ですけど…………笑わないでくださいね?」
あなた「……?」 司会者「本日のゲストは!大人気の女優、桜坂しずくさんでーす!!」
しずく「よろしくお願いします!」ペコッ
パチパチパチ
あなた(へぇ、バラエティか。そっか、女優だからってドラマの撮影ばっかりなわけじゃないよね)
司会者「いやー目の前で見るとホンマにキレイやな。いわゆるガチ恋も大勢いるとか。うちの息子もね、しずくちゃんしずくちゃん言うてますわ」
しずく「ありがとうございます」
司会者「それでしずくちゃんと言えばね、SNS等でよくやらしい声言われてますけど」
しずく「や、それよく言われますけどそんなにやらしいですか!?」
共演者「自覚無いってのが1番怖いですよ」
しずく「私普通に喋ってるだけなんですけど!!」
司会者「なら素でやらしい言うことやな」
しずく「いや、それも違いますって!!やらしくないです!!」 司会者「まぁそんなしずくちゃんですけれどもね、事務所からNGが出ている意外な物があると」
司会者「それがこちら」
バンッ
司会者「球技シーン」
しずく「…………」
司会者「これは、どういうことですか」
しずく「スポーツする役に何度か挑戦させていただいてるんですけど、球技だけが昔からほんっとダメで」
しずく「何回やってもいい絵が撮れないんで、監督が痺れ切らしてしまって。球技選手の役なんですけど私だけ球技シーン撮影無しっていう」
しずく「その時は脇役だったから良かったんですけど、でもそれ以来球技を扱う役は一切来ませんね……」
司会者「はい、ということでね。どれだけしずくちゃんが酷いか見てもらおうということで!スタジオに卓球台をご用意しましたー!!」
しずく「やめてー!」 司会者「じゃあ私もそんなうまないですけど、ちょっとラリーやってみましょうか。しずくちゃんからどうぞ」
しずく「この燃えたぎる魂をピンポン玉に込めます!!」
しずく「とあああーーーっ!」
スカッ
しずく「たぁぁぁぁ!!!」
スカッ
司会者「全然こっち来んやないか!!」
アハハハハハ
あなた(しずくちゃん……あの頃から全然変わってない……) しずちゃんはしずまで入力した時の予測変換による誤植です…… 前、前前スレから一気読みで来ました
あなしずSSあるようでなかったので、スレ発案者様、書き続けてくださっている作者様お二人共に感謝です……
これからの更新も楽しみに待ってます ちょくちょく新規来るのなんか嬉しいな
あなしずもだけど何年か後の虹SSもあんまり無いよね そもそも数年後設定のSSってあんまりないからね、うまくやらんとオリキャラみたいになっちゃうし
その点>>1はようやっとる キャラ保ちつつ大人にしてるよな
あとここまでエタらず頑張ってるし応援したい しずく「笑わないでって言ったじゃないですか……」
あなた「ごめんごめん。でも役者としてはできない事があるのはマイナスかもしれないけど、私は可愛いと思うよ」
しずく「可愛っ!?」
あなた「うん。それに、そういうのも人気の秘密だと思うよ?しずくちゃんでも苦手な事あるんだなって親近感が湧くというか」
あなた「完璧すぎるとかえって敬遠されるって言うし」
しずく「うぅ……それでもあれは恥ずかしかったです///今度こそは、とは思ったんですけど」
あなた「ここ数日凄い成長してるんだなぁって思ったけど変わってない部分もちゃんとあるんだなって安心しちゃった」
しずく「こんな事で安心しないで欲しかったです……」 コホン
しずく「それより!見学は明日で終わりですけど何か掴めそうですか?」
あなた「明日は映画の撮影に、その後雑誌のインタビューだっけ」
あなた「色々見させてもらったおかげでかなりイメージが沸いてきたかな」
しずく「本当ですか!?それはよかったです!」
しずく「あと1日、よろしくお願いしますね!」
あなた「うん!こちらこそよろしく、しずくちゃん!」 ー見学三日目ー
共演女優「すごくお芝居しやすかったです。私の台詞まで教えてもらって」
共演女優「でもたまにプライベートで話している時思うんです。目の前の桜坂さん自身も演じている役の1つなんじゃないかって」
共演女優「まるでシェイクスピアの【この世は舞台、人はみな役者だ】という言葉みたいに……」
共演女優「まぁ桜坂さんに限らず人間誰しもそんなものだと思いますけどね」
あなたもそうなんじゃないですか? ──桜坂さんは沢山の作品に出演されていますが、自分の出た作品を見返すことはありますか?
出演させていただいた作品は全て時間を見つけて見返しています。毎回何かしら発見や反省がありますから。もうダメ出しだらけですね。毎回ツッコんでいます、過去の自分に。
──趣味はお芝居を見ることということで、やっぱり休日の過ごし方もお芝居をみているんですか?
それはもちろんなんですけど、他にも犬の動画を見て癒やされたりしていますね。昔実家で犬を飼っていたんですけど、今は1人暮らしなのでどうしても飼えなくて。
──犬派なんですね。
はい、うちの子も素直で私に甘えてくるのがほんとに可愛かったんです! ──今叶えたい夢等はありますか?
役者としてはハリウッドデビューですね。
そのために、最近は英語を頑張って勉強しています。主に海外の舞台を見て勉強していますね。楽しく覚えられるんです。
──役者としては、というと別の夢があったりするんですか?
鋭いですね。(笑)私個人としては近いうちにアーティストデビューしたいなと思っていたり。
──今噂になっていますよね。大手からの声掛けも断っているとか。
はい、どうしても一緒に仕事をしたい人がいて。今頑張って交渉しているところです。だから皆さんにはもう少し待っていただければ。
──それは私も一桜坂さんのファンとして楽しみです!本日はありがとうございました。
こちらこそ、ありがとうございました。 ー翌日ー
あの後私はしずくちゃんと別れて家に帰ってからずっと曲作りに専念している。
睡眠や食事をすることも忘れ、ひたすら曲を作ることに没頭した。
きっと歩夢ちゃんが見ていたら止められるだろう。
あなた(イメージがどんどん沸いてくる……!)
あなた(こんなに曲作りが楽しいと思ったのは同好会以来だ!)
あなた(早く……早く……!)
あなた(この曲をしずくちゃんに……!!)
そして2日後── あなた「出るかな……」
プルプルプル
しずく「はい、もしもし。どうしました?」
あなた「しずくちゃん、曲出来たよ!!」
しずく「え!本当ですか!!」
あなた「うん!まだ一曲だけど、一旦聴いてほしい!!」
あなた「オーダーのイメージと合っているか確認したいし、なによりしずくちゃんに早く聴いてほしい!」
しずく「分かりました!私も早く聴きたいです!!」
しずく」場所は、あのバーでいいですか?夜からになっちゃうんですけど」
あなた「うん、待ってるね」
しずく「仕事が終わったら飛んで行きます!!」
ピッ
あなた「ふふ。しずくちゃん、喜んでくれるかな」
曲を入れたプレイヤーをギュッと優しく握りしめた。 連載半年以上続いて未だにメインヒロインが登場していないという事実 ーーーー
あなた「私から見た色んな役を演じるしずくちゃんを表現してみたんだ」
あなた「しずくちゃんそのもののイメージと、演じるしずくちゃんのイメージを上手くミックスできたと思うんだけど……どうかな?」
しずく「…………」グスッ
あなた「え、泣いてるの!?はい、ティッシュ!」
しずく「ありがとうございます……」 あなた「大丈夫?しずくちゃん……」
しずく「大丈夫です、こうしてまた曲を作ってくれた事が嬉しくて」
しずく「それに、こんなに私の事を見てくれているなんて……」グスッ
あなた「そんなに喜んでくれるなんて、こっちまでもらい泣きしちゃいそうだよ」
しずく「お酒が入ってるので少し涙脆くなってるのかもしれませんね」
あなた「ちょっと風に当たろっか」 あなた「あ、そうだ!折角だから曲ができた記念にあそこの観覧車乗ってみない?」
しずく「観覧車?お台場のですか?」
あなた「うん、いっつも見てたのによく考えたら一回も乗ったことなかったなって。一回乗ってみたいなって思ってたんだけど、どうかな?」
しずく「もちろん!私も先輩と一緒に乗りたいです!!」
あなた「そうと決まれば早くお代払って行こうか!」スッ
しずく「あ、お金なら私が……」
あなた「大丈夫。今日は全部私に払わせて!なんだかそういう気分なんだ!」
しずく「そういうことなら、お言葉に甘えちゃいますね」 あなた「ほら、早く行こう!」ガシッ
しずく(あ、手……)
しずく「……///」ギュッ しずく「あ、先輩。今丁度頂上ですよ!」
あなた「うわぁ……夜景が綺麗だね!まぁしずくちゃんの方が綺麗だけどね」
あなた「なんて、今時こんなのはクサいかな。あ、しずくちゃんが綺麗って思ってるのはホントだよ」
しずく「え……?」
あなた「スラッとしてて顔も綺麗で、もう雰囲気からして美人って感じだって思った」
あなた「実を言うとね、最初にしずくちゃんのお芝居を見た時何て綺麗な子なんだろうって見惚れちゃったんだ」
しずく「そうだったんですか……」 あなた「うわっ、これじゃまるで告白みたいだよね!今でも、私もこんな風になれたらなぁって思うよ!」
しずく「先輩も綺麗ですよ」
あなた「またまたぁ、お世辞はいいってば。私なんかしずくちゃんに比べたら全然だし」
しずく「…………お世辞なんかじゃないんだけどなぁ」ボソッ
あなた「え?」
しずく「いえ!こちらの話です!」 観覧車から見えるこの東京の夜景のように、今の私の心はキラキラ輝いている。
あなた(そうだ、長らく忘れてた。これがトキメキなんだ)
長年ソングライター活動をしていても見つけられなかったものが、やっと見つけられたんだ。
しずくちゃんのおかげでこんな私にも再び夢を見ることができた。
しずくちゃんのおかげでふさぎ込んでいた私が救われた。
しずくちゃんのおかげであの頃のトキメキを取り戻すことができた。
本当に、しずくちゃんには感謝しかない。
あなた(願わくは、こんな時間がいつまでも続きますように……) ーーーー
あなた「ふー、楽しかった!」
あなた「どうする?またバーに戻る?それともお開きにする?」
しずく「そうですね……明日も早いので、今日はここでお開きにさせてもらってもいいですか?」
あなた「あ、ごめんね。忙しいのにわざわざ来てもらって……。どうしても直接聴いてもらいたくて」
しずく「いえ!私も直接聴きたかったですし、気にしないでください!」
しずく「今日はありがとうございました!先輩の曲をいただけて、とっても嬉しかったです!」ニコッ
あなた「喜んでもらえてよかった」
あなた「…………」 あなた「…………」モジモジ
しずく「先輩?」
あなた「いや、あの……」
あなた「あはは……」
しずく「どうしました?」
あなた「あのさ……」
あなた「もし、しずくちゃんさえよければなんだけど」
しずくちゃんと一緒に
あなた「これからも」
仕事をしたい
あなた「ずっと一緒にいたいな」
そう思った あなた「なんて、まだ気が早いかな……」
しずく「……っ!!わっ私も……!!」
あなた「ほんと?嬉しいなぁ」
しずく「…………」
しずく「先輩……」
「好きです」
あなた「私もし──」
言い終わる前に私の口はなにか柔らかいもので塞がれた それは一瞬の事だったのか、それとも何十秒も経っていたのか
とにかく何をされたのか分からなかった
少し意識がはっきりしだし、それを認識した瞬間
あなた「!?」
ドンッ
体は反射的にそれを拒んでいた。 あなた「あっ……いや……その──
しずく「ごめんなさい」
あなた「え!?ちょっと!」
突然しずくちゃんは私に背を向け走り出した。
私も追いかけようとはするけれど、先程の事に体が動揺しているのか、上手く動かない。
そうしている間にもしずくちゃんは離れていく。 あなた「しずくちゃん!!待って!!」
あなた「あっ!!」ガッ
やっと足が動いたと思ったら、今度はもつれて転んでしまった。
あなた「いったぁ……日頃の運動不足がこんなところで……」
あなた「……!それよりしずくちゃんは!!」
慌てて顔を上げて確認するも、既にしずくちゃんは視界から消えていた。 あなた「しずくちゃん…………」
ポツッ……ポツッ……
ザァァァァァァァァァ
まるで追いかけられないまま地に這いつくばる私を嘲笑うかのように、篠突く雨が私の身体を刺す。
雨に打たれながらふと手を伸ばした唇には、まだほのかに温もりが残っていた。 おいおいおいおいこれはイカンぞぉ… 作者さん頼むぞぉ… きっと一緒ならどんな結末でも
ハッピーエンドに変わる 元メンバーが男と結婚してる世界だしな
脈絡もなくレズ展開されるよりは分かりやすい >>372
熱中症か?
とりあえず涼しいところで休んで水分補給しろよ ーーーー
しずく『先輩……』
あなた『しずくちゃん?どうしたの?』
しずく『先輩こそどうしたんですか?早く服を脱いでください。犬は服なんか着ませんよ?』
あなた『え?ちょっと、しずくちゃん!?』
しずく『先輩……犬は喋ったりしません。ほら、この首輪も付けて、ワン以外喋らないで』グイグイ
あなた『ちょっ……しずくちゃん、やめ……』
しずく『ほら、ほらほら。先輩、早く♡』
あなた『ワ、ワ──』 あなた「──わぁぁぁ!!!」ガバッ
ここは…………家のソファか。
あなた「うわ、汗で服がへばりついてるよ」ベトォ
「さっきのは夢か。よかった…………。なんだったんだあの夢……」
と言いつつも、もう既にあまり思い出せないでいるが、理解できないことをやらされようとしていたということはなんとなく覚えている。
どうせすぐに忘れるだろうし、うなされるほどの夢なら思い出さないほうがいいだろう。 あなた「いつのまに寝ちゃってたんだろう」
薄目をこすりながら現状を把握する。
服装は昨日のまま。
テーブルには350mlのストゼロが3本散乱。
どうやら飲んでいるうちに寝落ちしてしまったのだろう。
ふと昨日のしずくちゃんのあれも直前のお酒で酔っていただけじゃないかとも思った。
いや、そもそも──
「好きです」
しずくちゃんははっきりそう言った。
それなら冗談扱いする方がかえって失礼だ。
あれからしずくちゃんに電話はしていない。
しずくちゃんからの通知もない。 水を飲もうと立ち上がろうとすると、足元に何か軽いものが当たった。
あなた「紙だ。なんの紙だろう」
広げてみると、それはくちゃくちゃの譜面紙だった。しずくちゃんの曲を書き記したものだ。
ああ、家に帰ってきてからのことが蘇ってきた。
ーーーー
あなた『こんな曲なんて意味無いよ!』グチャグチャ
あなた『何がしずくちゃんそのもののイメージだ!』
あなた『私は本当のしずくちゃんの事なんにも分かってなかったんだ!!』
あなた『あれがしずくちゃんの本心だったんだ。あんな事を思ってるなんて全然知らなかったし気付きもしなかった』
あなた『それなのに、こんなしずくちゃんを分かった風な曲を作って、私バカみたいじゃん!!』
あなた『分かんないよ……』
あなた『もうしずくちゃんが分からないよ…………』
ーーーー あの時私は反射的に突き飛ばした。
あれは嫌悪感……だったのかな。自分でも良くわからない。
もうしずくちゃんの事も、自分自身の事さえも、ぜんっぜん分からなくなってしまった。
あなた「こんなんじゃとても曲なんて作れないよ……」
ようやく、歩き出せたと思ったのにまた逆戻りかぁ。
一緒に頑張るって言ったのに、これじゃあ果林さんに合わせる顔がないや。
はは。
曲作りもできなくなったし、これからどうしようか。
果林さんから借りた貯金もあるし、しばらくは持つだろう。
無くなったらまたバイトでその日暮らしでも──
グ〜〜
あなた「!」
盛大に腹の虫が鳴った。家には自分一人で誰にも聞かれていないとはいえ、顔がじわじわ赤くなる。 あなた「ってもう夕方!?そんなに寝てたんだ私……」
丁度いい。お昼と夕飯いっぺんに済ませちゃおう。
何を食べようかな。自分で作る気力は無いし、コンビニ弁当の気分でもないし……。
あなた「そうだ、久々にもんじゃ食べたいな」
そんな時脳裏に笑顔で踊る彼女の姿が浮かぶ。
彼女と話していると憂鬱な気分も吹き飛んだし、その笑顔には何度も励まされてきた。
あなた「空腹を満たすついでに、愛さんにあって色々話を聞いてもらおうかな」 ー門前仲町ー
あなた「あれ、シャッターが降りてる。今日は休みなのかな……」
「あれ?あら、あなた……愛ちゃんの!随分久しぶりね!」
あなた「美里さん!お久しぶりです!お体の方は大丈夫なんですか?」
美里「うん、おかげさまでね。どうしたの?ここに何か用でもあったの?」
あなた「久しぶりに愛ちゃんのもんじゃ焼きが食べたくなっちゃって。それでここに来たんですけどシャッターが閉まってるなーって」
あなた「あの、今日ってお店休みなんですか?」
美里「え?休みっていうより、お店ならずっと前に潰れちゃったけど……」
あなた「えっ」 美里「知らなかったの?ほら、随分前大変な時期に自粛ムードになった事があったでしょ?」
あなた「あぁ……」
確かに、そんな事もあったっけ。
私は元々在宅での仕事だったからあまり気にならなかったけど、いろんなお店が大変だってニュースでも言ってたな。
美里「ここのもんじゃ屋もその煽りを受けちゃってね。個人経営だったから耐えられなかったみたい……」
あなた「そうだったんですか……」
そんな事になってたなんて、全然知らなかった……。 美里「話したりはしなかったの?」
あなた「その、色々あって……」
美里「そう……」
美里「とにかく、もんじゃ焼きが食べたいなら愛ちゃんのお家に行ってみたら?今でもたまにお家でも作ってるみたいだし 」
美里「家の場所トークで地図送っておくから。愛ちゃんによろしく言っておいてね」
あなた「はい、ありがとうございます!」
あなた(卒業した後そのままもんじゃ屋を継いだって聞いてたから、てっきり今もここで働いてるんだと思ってたけど……)
卒業してから10年。
10年も経てば本当に色々な事が変わっていくんだ。
意固地になって外界との繋がりを断っていた私は、毎度の事ながらその事を痛感した。
あなた(しずくちゃんも……)
あなた「…………」 愛ちゃんの自宅は都内のよくある2階建て8部屋のアパートだった。
ピンポーン
美里さんから貰った画像と宮下という表札を確認してからインターホンを押す。
ガチヤッ
「わ!本当に来た!お姉ちゃんから聞いてたよ〜」
あなた「あれ?」
「うわぁ〜全然変わってないね!元気にしてた?」
え、誰このお姉さん。 あれ、おかしいな。愛さんの家のピンポンを押したはずなのに知らない人が出てきたぞ。
部屋が間違っていないかもう一度携帯を見てからドアの横の部屋番号にも目を通す。
美里さんが間違えていなければ正しいはず。
それなら身体的特徴から、目の前のこの女性が誰か導き出してみよう。
ややグレーがかったダークトーンが綺麗なショートヘアに、それに似合ったビシッと決まっている黒スーツ
出るところは出て引っ込むところは引っ込んでいる理想的なボディ
違和感の無いナチュラルメイクに、見るからに真面目そうな顔立ち
美人でカッコいいデキる女性といった印象だ。
これらを総合的に考えると……
あなた「どちら様でしょうか」
「へっ!?」 あなた「あの、愛さ……宮下さんのお宅であってますか?あ、もしかして同居人の方ですか?」
「ちょっ、冗談にしてはちょっと酷くない?」
「わ・た・し・が、宮下愛だよ!」
あなた「…………?」
「え、もしかして本当に忘れちゃった感じ……?」
あなた「…………」
あなた「え!もしかして愛ちゃん!?」
愛(27)「だからさっきからそう言ってるじゃん!!」 愛さんは大人になったらガラッと印象変わりそうだよな >>403
桜坂しずく(27)の次スレだからね、しょうがないね
物語開始時から一年も経ってないだろうし >>403
スレ跨ぎで分かりにくくなってすみません
年齢は物語開始→数週間→現時点3月なので基本1年27 2年28 3年29です
>>197 愛「もー傷つくなぁ。まぁいいや。とりあえず入って入って」
あなた「あ、うん……」
愛「もんじゃ食べたいんだって?もういくつか作ってあるから早速食べてよ!」
あなた「ありがとう。おじゃまするね」
愛「ふふふふ〜ふ〜ふ〜ふ〜ふ〜ふ〜ふ〜ふ〜ふ〜」
あなた(ほんとに目の前の人が愛ちゃんなんだ。随分変わったなぁ……) ジュゥゥゥ
あなた「あ、いい匂い!」
愛「でしょ?」
あなた「家庭用のホットプレートでももんじゃ焼き作れるんだね」
愛「意外と高性能なんだよ。まぁ流石に実家で作ってたように本格的に、とはいかないんだけど……」
あなた「ううん、すっごく美味しそう!ねぇ、食べてもいいかな?」
愛「いいよ!あ、お箸持ってくるね」
愛「何か飲む?」
あなた「何があるの?」
愛「うーん、そんなに無いけど、ほろよいが何種類かくらい。それかお茶のほうがいい?」
あなた「じゃあほろよい頂こうかな」
愛「はーい」 愛「はい、お箸」
あなた「ありがとう!」
愛「それじゃあ」スッ
あなた「かんぱーい」カンッ
あなた「んん!これこれ!やっぱり愛ちゃんが作ったのがもんじゃ焼きの中で1番美味しいよ!!」
愛「あはは、嬉しい事言ってくれるじゃん!ほらほら、もっと食べろ〜」ヒョイ
あなた「ありがとう!今日は来てよかった〜」
愛「それでさ」
あなた「ん?」ハフハフ
愛「何年ぶりだっけ」 愛「卒業して以来だから、丁度10年くらい?」
あなた「……」
愛「なんで今日は会いに来てくれたの?」
愛「いや、勿論私は嬉しいし責めてる訳じゃないんだよ!」
愛「ただ連絡くらいしてくれてもよかったのにさぁ……って思って」ボソッ
愛ちゃんは目を横に反らし、消え入るような小さい声で呟いた。
10年も連絡を取っていなかった友達がふらっと現れて家に転がり込んで。怒ってもおかしくないのにこうやってあの時と変わらず受け入れてくれて。相変わらず皆優しい。
それが分かってたからこそ、皆に甘えたくなかった。甘えたら夢がそこで諦めてしまいまそうだったから。
そしてそんな優しい皆に今の自分の姿を見せるのが恥ずかしかった。
でもいつまでも逃げてはいられない。
既にそう心に決めた私には
あなた「うん、実は──」
もう自分の現状を話す事に抵抗は無かった。
ーーーー 愛「そっか。君も色々大変だったんだね……」
あなた「連絡取らなくてごめんね」
あなた「それより愛ちゃんだって色々大変なんじゃなかったの?」
愛「あー……うん。あっちの家見たんだよね」
愛「そう、私が潰しちゃったんだ。もんじゃ屋」
あなた「愛ちゃんのせいじゃ無いでしょ?あの頃はどこも人が減って大変だったんだから仕方ないよ!」
愛「皆そう言ってくれたよ。でも私が潰しちゃった事には変わりないから。私がもっと上手く経営できていれば……」グッ
あなた「愛ちゃん……」 愛「って、久々の再開なのに暗い話しない!!この事ならもう何年も前に区切りつけたから大丈夫!!」
愛「ほら、もっと飲んで飲んで!!」ゴポポポ
あなた「…………それで、今愛ちゃんは何の仕事してるの?」
愛「別に話す程の事でもないよ。一般企業の事務やってる。OLってやつ?」
あなた「ふーん……それで真面目な格好してるんだ。ギャルじゃなかったから最初誰か分からなかったよ」
愛「流石にこの歳までギャルしないよ〜私達もう28だよ!」
あなた(もう28……)
もう、という言葉が重くのしかかる。
今、やっと見つけたと思っていた道が再び閉ざされてしまっている。
もう28なのにこんな事でいいのだろうか。 あなた「ねぇ愛ちゃん」
愛「ん?何?」
あなた「愛ちゃんはもし女の子に好きって言われたらどうする?」
愛「え?どうしたの急に!」
あなた「実はちょっと前女の子に告白されて」
愛「えぇ!?それで、返事は?」
あなた「多分、保留……」
愛「多分?」
あなた「いや!保留!保留になってる!」
あなた(のかな……?) 愛「告白してきた子って君の知り合い?」
あなた「うん」
愛「知り合って何年くらい?」
あなた「知り合ったのは10年以上前かな」
愛「ふーん。じゃあ……」
あなた「ちょっと待って愛ちゃん!特定しようとしてない!?」
愛「あ、バレた?」
あなた「危ない危ない!言わされるところだったよ!」
愛「ごめんごめん、ちょっと気になっちゃってさ」 愛「でもアドバイス欲しいんでしょ?その子の事知らないとアドバイスできなくない?」
あなた「それは……そうかもしれないけど……」
あなた(しずくちゃんのプライバシーを言う訳にはいかないし)
あなた「今言った情報の中だけでお願い!」
愛「分かった。抽象的になっちゃうかもしれないけどいい?」
あなた「うん、ありがとう!」 あなた「それでもし愛ちゃんが、知り合いからそういう目で見られてたらどう思う?」
あなた「その……キスとかもしたいみたいで……」
愛「うーん……びっくりするかも」
あなた「だよね!?」
愛「女の子同士はちょっと私もよく分からないかな……。もし私がその立場になっても、君と同じですぐに答えは出せない気がする」
愛「でもその子と知り合って10年以上になるんでしょ?時期的に高校の知り合いとかかな」
あなた「……!」ドキッ
あなた(バレた……?)
愛「その子はそんな長く続いた関係が崩れるかもしれないのに勇気を出して告白してくれたんだから、なるべくその気持ちは受け入れたい……とは思うかな……」
愛「少なくとも女同士だから気持ち悪いとかは思いたくない」
あなた(気持ち悪い、か……)
私はしずくちゃんの事をどう思っているんだろう。
相変わらず答えは出ないが、確実言えることは、あの時私は確かにしずくちゃんを突き飛ばしたということだ。
あれは突然の事で動揺しただけなのか、それとも生理的な拒否感によるものだったのか……。 愛「君はどう思ってるの?」
あなた「分かんない……」
愛「うーん……難しいなぁ」
愛「とにかく私とか他の人がどう思うかじゃなくて、ちゃんと自分がその子の事をどう思ってるか考えて答えを出したほうがいいと思う」
愛「付き合ったほうがいいとか断ったほうがいいとかは言わないけど。その子は本心をさらけ出したんだから、ちゃんと君も自分の本心を伝えるべきだと思うよ」
愛「これは相手が男でも女でも変わらないだろうから」
あなた「私の……本心……」
今まで気付かなかったけれど、おそらくあれがしずくちゃんの本心。
なら今度は私が本心を伝える番だ。
ちゃんと自分の本心を探さなきゃ。私だけじゃない、しずくちゃんのためにも。 愛「ま、ゆっくり考えなよ。悩みならいつでも聞くから。あ、でも保留中ならなるべく早いほうがいいのかな」
愛「って……これで大丈夫だった?あんまり解決方になってないような気がするけど……」
あなた「うん、ありがとう!愛さんに相談してよかったよ!!」
愛「そう?それならよかった!」
あなた「それに話聞いてもらってちょっとスッキリしたかも!」
愛「ふーん、それじゃあ……」
あなた「え?」
愛「今度は愛さんの愚痴、いーっぱい聞いてもらおうかな!」
あなた「なんだ、そんな事。私で良かったら喜んで!」
私はすぐにその軽はずみな承諾を後悔する事になった。 ーーーー
〜30分後〜
愛「同僚が〇〇さんに色目使ってんじゃねーよ!ってさ。誰も使ってないってーの!!」
あなた「うんうん」
ーーーー
〜1時間後〜
愛「上司がいっつも私のお尻見てくんの!!オブラートにやめてって言ってんのにやめてくれないし!!!」
あなた「それは嫌だね……」
ーーーー
〜2時間後〜
愛「今日もしょうもない事でミスしちゃってさ……。なんで今更こんな事で間違えんのって、そんなの私が1番聞きたいよ!って……」
あなた「…………」
ーーーー
〜3時間後〜
愛「彼氏はいないのーとか結婚は30までにしたほうがいいとか言ってくんのよ!うるせぇ!そんなのアンタに関係無いだろ!!!!!」
あなた(いつまで続くのこれ……?)
ーーーー あなた「うーん……」
ジュゥゥゥ
あなた「はっ!!」ガバッ
あなた「こ、ここは!?」
愛「あ、起きた?」
あなた「愛ちゃん?えーっと……」
現状を把握するために寝起きの頭を高速回転させる。
一昨日と違って昨日の事はなんとなく覚えている。ほろ酔いのまま愛ちゃんの愚痴を聞いているうちに寝てしまっていたのだろう。
あなた(結局いつまで話してたのかな愛ちゃん……) あなた「っていうか2日連続お酒で寝落ちとか何やってるんだろう私……」
愛「え?なにか言った?」
あなた「いや、何でもないよ」
愛「もうすぐご飯できるからね。っていっても食パンとサラダと玉子焼きだけなんだけどね」
あなた「ありがとう」 あなた「それにしても昨日愛ちゃんずっと喋ってたね」
愛「あー……ごめんね。ずっと愚痴聞かせちゃって。ちょっと溜まっちゃってて」
あなた「それはいいんだけど……」
あなた「ねぇ、愛ちゃん」
愛「ん?」
あなた「嫌なのに、何のために仕事してるの?」
愛「…………」
愛「そりゃあ生きていくためだよ」
そりゃそうだ。
至極真っ当な意見が返ってきた。 私だって食べてくために別に好きでもないアルバイトをしていた。
でもそれは所詮ただのバイトだ。愛ちゃんとは違う。
あなた「それはそうなんだけど、どうせ仕事するならやっぱり夢を目指したり好きな事をする仕事の方がよくない?」
愛「まぁそうなんだろうけど、潰れちゃったしね」
あなた「あっ……ごめん……」
愛「今の仕事は別に嫌いじゃないけど、安定してるからね。家みたいに潰れる心配が無いから」
あなた「なんか、愛ちゃんっぽくないかも」ボソッ
愛「がっかりした?」
あなた「がっかりっていうより、意外だなって。愛ちゃんなら大人気ユーチューバーになったりもんじゃ屋再建したりとかするかなって」
愛「そっか、そんな道もあったかも」
愛「夢って残酷なんだよね。頑張る原動力にもなるけど、失敗した時にはそれだけ打ちのめされることになる。しばらく立ち直れないくらいに。私がやってきた事はなんだったんだろうつて」
私も近い境遇なので愛ちゃんの言葉が痛いほど分かった。 愛「大人になっちゃったって事なのかな。大人ってもっと格好いいものだと思ってたけど」
愛「それでも頑張れる人はすごいと思う。せっつーとかしずくとか見てると本当にそう思うよ」
あなた「うん、私もそう思う……」
愛「そんな凄い人達とスクールアイドルできてよかったなって今でも思うんだ。この事は今でも私の財産だよ」
愛「ありがとうね」
あなた「こ、こっちこそ。私も愛ちゃん達と一緒に過ごした事は今でも大切な思い出だよ」 愛「私思うんだ。皆を元気にしてあげたい、それは仕事じゃなくてもできるんじゃないかなって」
愛「プライベートではボランティア行ったり、ブログとかインスタにダジャレ投稿したりしてて」
愛「好きなこと仕事に出来なくてもさ、好きなことするために働いて、って生き方もいいと思うんだよね」
愛「皆が皆、好きを仕事にできる程強くないから」
あなた「そう、だね……」
あなた(イメージが消えてまた曲がかけなくなっちゃったし、いつまでもしがみついてないで、私も違う道探した方がいいのかな……)
愛「あ、そうだ。今度の日曜って空いてる?」
あなた「うん、空いてるけど、どうしたの?」
愛「見せたいものがあるの」
ーーーー 大人の愛さんってなんかこんなイメージあるな
芸能界とかにいくより下町の庶民のほうが似合う あなた「…………」スッスッ
私はスマホでとある調べものをしていた。
女同士、キスで検索。
自分の意見が大切だとは分かっているけれど、なかなか答えが固まらない。
スマホ世代の私としては、ついついネットに頼ってしまうのだ。
あなた「色々出てくるけど、結構普通の事なのかな……。いや、でもネットの情報だし」
あなた「なになに?男性より唇が柔らかくて気持ちいい……」
自分の唇に手をやって、あの時のことを思い出す。
しかしあの時の感触を思い出す事は出来ない。 あなた「そんなつもりは無かったのにキスから恋が芽生えることも……」
あなた「そりゃあしずくちゃん程の美人、誰もが彼女にしたいと思ってるだろうけど……」
あなた「でも女同士だよ」
そんな中世間一般の意見を見つけた。
世間的にはまだまだ同性愛の理解が足りなくて認められておらず、差別的な目で見られることも多い。
それに、女性同士で愛し合うことの難しさという壁もある。
あなた「やっぱりそうなんだ。まぁ普通はそうだよね」
と普通ってなんだと頭に浮かびつつも安心してしまう自分がいた。
自分が多数派に属していると分かるとつい安心してしまう。
だからってしずくちゃんを否定しているわけじゃないと必死に自分自身に弁明する。
いけない、いけない。
「普通」はとかじゃなく、自分自身の答えを出さないといけないと愛ちゃんに言われたばかりなのに。 私はしずくちゃんを嫌ったことは無い。あの時だって。
ーーーー
ドンッ
あなた『あっ……いや……その──』
ーーーー
それなら、あの行動は女性同士の恋は普通では無いという私の先入観によるものだったのかな。
確かに驚きはした。まだ心の整理も十分にできていない。しずくちゃんは好きだけれど、恋人という意味で愛することができるかと言えば怪しい。
それでもこれだけは言える。
私は今でも偏見の目でしずくちゃんを見るつもりは無い。
しずくちゃんは、私にとって大切な人なんだから。
ーーーー
しずく『ごめんなさい』
ーーーー
でも、しずくちゃんの様子を見る限り彼女の目には、私の反応が差別的に映ってしまったのかもしれない。
だから耐えきれず急いであの場から去ってしまったののだろう。
あなた「ちゃんと謝らないと……」 あなた「それはそうと……」
思考が一段落したところで、ネットサーフィンしている間つい気になって開いておいた別タブを覗く。
あなた「ちょっと気になってたんだよね。女性同士って男の人の……アレが無いのにどうやってエッチするんだろうって……」
先程開いておいたタブは、正にその気になっていた女性同士のエッチの動画。
私のハートは、この歳になっても好奇心旺盛のようだ。知的好奇心と羞恥心とカリギュラ効果で心臓がバクバクしだす。
あなた「お……おぉ……」
動画が始まって映し出されたのは二人の裸の女性。男性はいない。
あなた「それにしても二人とも綺麗だ……」
しずくちゃん程では無いけれど。 あなた「え、えぇ……///」ドキドキ
手を濃厚に絡ませ合いながら行われる二人のキスは、舌まで使いだし、段々と激しさを増していく。
あなた「わわっ……!!」
↑スッ
お互いの秘部や胸を口や手で慰め始めたところで顔が真っ赤になり、慌ててブラウザを閉じた。
あなた「そ、そうだ!買い物!」パンッ
あなた「そろそろ夕飯の買い出しに行かないと!!うん!!」
あなた「お出かけ、お出かけ、楽しいな〜」
あなた「あはは……///」 アラサーだけどあなたちゃんもしずくもどの程度経験あるのかわからんなぁ ーーーー
あなた「愛ちゃーん。来たよー」
ガチャッ
愛「お、来たね?丁度今出ようとした所なんだ!一緒に行こ!」
あなた「それで、見せたい物って?どこ行くの?」
愛「ん?小学校。ここの近所のね」
あなた「えっ……」
愛「何?」
あなた「い、いや……」
あなた(小学校……?何しにいくの?私は何に付き合わされようとしてるの?)
あなた(……はっ!)
愛(想像)『うへへ……可愛い子いっぱいでよりどりみどりだね!大人よりちっちゃい子だね!じゅるり』
あなた(まさか児童誘拐!?)
あなた「犯罪にだけは巻き込まないでね」
愛「え?何が?」 俺も姉から教わるまで男同士のセックスなんて何するか知らなかったぞ 女子小学生「あ、愛ちゃん、おはよう!今日もよろしくお願いします!」
愛「皆おはよう!毎週早起きできて偉いね!!」
愛「えーと、いちにーさん……今日も全員いるね。それじゃあまず準備運動してから、グッパで別れてチーム戦やろっか」
「「「はい!!!」」」
あなた(これは……) カキーン
愛「フライだぞー!!取れる取れる!!ボールよーく見て両手でねー!!」
愛ちゃんが遠くにいる女子小学生にも聞こえるように声を張り上げる。
あなた(あ、取れた!)
愛「よーし!すぐ投げる!!」
バシュッ
愛「いいよー!!今のよく取れた!!きらちゃん上手くなってる!!」 あなた「愛ちゃんが見せたいものってこれだったんだね。ソフトボール?」
愛「うん、小学生女子ソフトボールクラブの監督やってるんだ。近所で募集してたからやってみようかなって」
あなた「またどうして?」
愛「仕事で軽く落ち込んでた時に見つけてね。新しい趣味でも見つけようと思って応募したんだ」
あなた「そうだったんだ。愛ちゃんなら運動もできるし子どもウケもいいし、ぴったりだね!」
愛「ありがと!」 愛「それにしても今日も晴れてよかった!」
愛「雨天ではボールを打てん!からね」
あなた「ぷっ……」
愛「お?笑った?」
あなた「愛ちゃんのダジャレ久しぶり!相変わらず面白すぎ!!」
愛「笑ってくれてよかった!皆笑ってくれないんだよ〜」
あなた「えー?こんなに面白いのに?」
愛「不思議だよね。子どもってダジャレ好きだと思うんだけどなー」 ジャニーさんも野球の監督かなんかやりながらチームのガキ共使って事務所立ち上げケツ掘りまくったんだよな
愛さんの狙いも… 愛「君、何のために仕事してるのかって聞いたよね」
あなた「え?う、うん」
愛「これが私の答えかな」
愛「知ってる?子どもって私達が思ってる以上に色んな事吸収してくんだよ!」
愛「そんな子ども達の成長を見るのがほんっと楽しくってさ!それが楽しみで毎日仕事頑張ってるって感じ!」
愛「今年でもう2年目になるかな。
一回だけプロが教えてる小学生チームに勝ったこともあるんだよ!」
あなた「プロのチームに!?それは凄い!」 あなた「ねぇ愛ちゃん」
愛「ん?」
あなた「愛ちゃんって結婚してないよね?」
愛「してないけど……なんで?」
あなた「いや、子ども好きなら自分の子ども欲しくなったりしないのかなって」
愛「うーん……欲しいけど、男と結婚するのは嫌かな」
愛「いっそ男いらないから子どもだけくれないかな?なーんて」
あなた「そ、そう……」
あなた(何か嫌な事でもあったのかな……)
あなた(仕事でもセクハラされるって言ってたし、苦手意識があるのかも) 愛「って冗談だよ?やだなぁ、本気にしないでよ〜」ポンポン
あなた「そ、そうだよね。あはは、びっくりした……」
あなた(結婚か……。私もいつかは自分の子どもが欲しいかな。特に今男の人との縁は無いんだけど)
あなた(それにまだ今の時代じゃ女の人同士で子どもは出来ないし)
あなた(…………)
あなた(なんで今自然に女の人同士の発想になったの?) あなた(そもそも女の人同士で結婚って法律でも認められてなかった気が……)
女子小学生A「あ、りなちゃん先生だ!」
あなた「ん?りなちゃん?」
あなた(璃奈ちゃんとおんなじ名前だ。懐かしい響き)
女子小学生B「ほんとだ!日曜日なのに!」
女子小学生C「おーい!りなちゃん先生〜!!」ブンブン
女子小学生D「りなちゃん先生今日も可愛い〜!」キャァァ
「こらーっ!ちゃん付けしないでっていつも言ってるでしょー!」
りなちゃん先生と呼ばれた人は、ここから少し遠くにいるために声を張り上げて怒った。
あなた(え、あの人……!)
背中に下ろせる程伸びてはいるけれど、あの時と同じピンクの髪に、大人にしては小さい身長。
それに左右にピョンと跳ねているクセっ毛に、妖怪アンテナの如くピョコンと可愛く立っているアホ毛。
あなた(間違いない!) 名前を呼んではいけないあの人の方とつい混同してしまう 大人のりなりー感情出しまくりで俺さんちょっと泣きそう 愛「はーい、皆!今は練習に集中集中!ってちょっと、どこ行くの!?」
愛ちゃんの静止の声も聞こえないまま、私の体は無意識に彼女の元へ走り出していた。
「はぁ……もう少し強めに怒った方がいいのかな。でもあんまり強くして怖がらせちゃったら可愛そうだし、でも距離感近すぎて言う事聞いてくれなくなったら困るし……」
あなた「璃奈ちゃん!!」
「あなたは……」
ーーーー 璃奈(27)「久しぶり!こんな所で会うなんてびっくりした!」
あなた「それはこっちの台詞だよ!ここにいるってことは先生やってるの?」
璃奈(27)「うん。もうすぐ4年目かな」
あなた「ってことは25からか……」
あなた「って、あれ?確か璃奈ちゃんって学校を卒業したら、デジタル系の仕事するつもりって言ってたんじゃ……」
璃奈(27)「うん、虹ヶ咲を出た後はプログラムを組む仕事をしていたの」 璃奈「元々何かを作るのは得意だったから自分の実力を活かす事ができて、とてもやりがいはあった」
璃奈「でもある日ふと学生時代の時の事を思い出して思ったの」
ーーーー
璃奈(15)『……私、もっとたくさんの人に気持ちを伝えたい。心を通わせて、繋がりたい』
璃奈(15)『みんなと繋がれて、本当に嬉しい。この「嬉しい」をこれからもずっと続けていきたい。みんなと一緒に笑っていきたい』
ーーーー
璃奈「私がしたいことってこういう事だったのかなって」
あなた「……」
あなた(璃奈ちゃんも、私と同じ壁にぶつかってたんだ) 璃奈「そう悩み始めていたある日」
ーーーー
『いやぁ、本当に天王寺くんに頼めば何でもパパっとやってくれるから助かるよ!まるで「ロボットみたい」だ!!』
ーーーー
璃奈「その上司の一言で、私の中の決定的な何かが崩れ去ったのをなんとなくだけど感じた」
璃奈「それは上司にとっては何気ない一言だったのかもしれない。でも今の仕事を続けるかどうか悩んでいた私にとっては、辞職を決意するには十分過ぎる一言だった」 璃奈「私が作ってるプログラムも誰かが繫がるために役に立っているのは分かってる」
璃奈「でも私はやっぱり直接皆と繋がりたいって、そう思ったの」
あなた「璃奈ちゃん……」
璃奈「その事を親に相談したら、『そう思うならやめたらいい。お金はこっちで出すから璃奈の本当にしたい事をすればいい』って……抱きしめて……くれた……」ズズッ
あなた「ハンカチいる?」スッ
璃奈「ありがとう……」 璃奈「そんなわけで、その後私は会社をやめて大学で教員免許を取って、今は学校の先生してる」
璃奈「教師の仕事は難しくて前の仕事と違って今でも怒られる事ばっかりだけど、たくさんの子どもと関われて、すっごく嬉しいの!」
あなた「そっか……璃奈ちゃんは今やりたい事をやれてるんだね!」
璃奈「うん!」 璃奈「生徒皆と仲良くなりたいっていうのは勿論なんだけど、特に自分みたいに一人ぼっちで寂しい子が出ないようにしていきたいって思ってるの」
璃奈「一人のほうがいいならそれでいいのかもしれないけど、そうじゃない子もいるから。そういう子は私みたいにならないようにしてあげたい」
璃奈「それに、一人に慣れちゃうのってやっぱり寂しいから」
あなた「そうだね……」
私はかつて屋上で璃奈ちゃんが告白した時を思い出し、ギュッと心が締め付けられた。
璃奈「今もクラスになかなか馴染めない子が一人いるんだけど、これを教えてあげてる」ヒョイ
あなた「あ、璃奈ちゃんボード!」
凄く懐かしい気持ちになって、つい声を張り上げてしまった。
璃奈「璃奈ちゃんボードじゃないけどね。うちのクラスの子の顔なんだ
これを使って伝えてみたら?って
ちゃんと嬉しいって感じてるのがみんなに伝わったって、言ってくれた時の顔は今でも忘れられない…… 途中送信しちゃった
璃奈「璃奈ちゃんボードじゃないけどね。うちのクラスの子の顔なの」
璃奈「自分から混ぜてもらいたいって言うのも恥ずかしいし、どう溶け込んでいいか分からないって言ってたから。これを使って自分の気持ちを伝えてみたら?って作ったの」
璃奈「そしたら、ちゃんと私の気持ちがみんなに伝わったって。そう言ってくれた時の笑顔は今でも忘れられないの!」
璃奈「それにいろんな子から私も作って欲しい!って言われちゃった」テレテレ
あなた「凄い!流行ってるんだそのボード!」
璃奈「これを思いついた愛さんは本当に天才」 璃奈「ねぇ……」
あなた「え?」
璃奈「私、ちゃんと表情作れるようになったかな?人形や、ロボットみたいじゃない?」
真剣な顔で璃奈ちゃんが私の目を見つめてくる。
目は若干潤んでいて、八の字に眉尻を下げた璃奈ちゃんの表情は、どこの誰が見ても受け取る印象は同じだろう。
それに、この数分間話しただけでもはっきりと分かる。
あなた「勿論だよ!今の璃奈ちゃんを見て何を考えてるのか分からないとかウソっぽいなんて言う人なんて絶対いない!!」
あなた「自然に表情作れてるよ!!」
璃奈「そう……よかった!」パァァ
璃奈ちゃんの表情が見るからに明るくなっていく。
私が卒業する頃にはもうボードが必要ないくらいには表情を出せるようになってはいたけれど、しばらく見ないうちにここまで自然になっていたんだ。
あなた(きっといっぱい努力したんだろうな) 璃奈「そうだ、久々に会えたから、改めて新しいラインのアカウントと繋ぎ直してもらっていい?」
あなた「え、アカウント変わってないよ」
璃奈「え?でも既読付かないから……」
あなた「あぁ……それは……」
あなた(少し後ろめたいけど、もう皆に話すってはっきり決めたんだ)
私は皆に話したように、璃奈ちゃんにも『皆に甘えてしまわないように避けていたこと』、
『それなのにソングライターの道を挫折しかけて皆に顔を合わせにくくなってしまっていたこと』、
『だけど今は前を向き始めて皆にも会いに行っている事』を話し、避けていたことを謝った。
あなた(前を向けているか今はちょつと怪しいけど……) あなた「本当にごめんね。これからは無視したりしないから」
璃奈「大丈夫、あなたが無事ならそれでいい。心配してたから」
あなた「本当にごめん……」
璃奈「新しい夢、叶えられるといいね。応援してる」
あなた「う、うん……」
あなた(ちょっと後ろめたい……)
璃奈「とにかく今日はありがとう。久しぶりにあなたに会えて嬉しかった!」ニコッ
あなた(か、可愛いっ……!) あなた「ってそうだ!愛ちゃんもいるんだよ!」
璃奈「え、愛さん?」
あなた「そう!今小学生の子の野球見てるんだけど、終わったらどこか食べに行こうって誘われてるんだ」
あなた「せっかくだから、久しぶりに3人でご飯でもどう?」
璃奈「あー……うん……。そうだね、行こう」
あなた「もしかして璃奈ちゃん忙しかった……?」
璃奈「いや、明日の準備もあるなって思っただけ。共学校に来たのもそのための忘れ物取りに来たからだし」
あなた「そっか。ごめん……」
璃奈「でも大丈夫。皆でご飯食べる機会なんてなかなか無いから、そっちを優先する」
あなた「いいの?」
璃奈「大丈夫。心配してくれてありがとう。愛さんの所行こう?」 璃奈「愛さん、久しぶり」
愛「おー!りなりー!久しぶり〜。会うのは久しぶりだね」
愛「それよりりなりーこの学校の先生だったの!?違う学校じゃなかったっけ!」
璃奈「前の学校は転勤になった。今年からここの学校で働いてる」
愛「へー、そうなんだ。そっちも色々大変だね」
あなた「ねぇ愛ちゃん。璃奈ちゃんも一緒にご飯誘ってもいいかな?」
愛「勿論勿論!でも練習終わるまでだから結構待つけど大丈夫?」
璃奈「大丈夫、待つのにはなれてる」
璃奈「それにあなたもいるから」
あなた「璃奈ちゃん……」
璃奈「いっぱい話そう?」
あなた「う、うん!」 それから私は璃奈ちゃんと夕暮れ時まで語り合った。
お互いの暗い話はもう話したので、今度はただただひたすらオチのない話をダラダラと喋り続けた。
話自体は面白くはないかもしれないけれど、とても楽しかったし、璃奈ちゃんも同じ気持ちなのかボードの無い素顔からは、満面の笑みが零れ落ちていた。
友達って凄い。璃奈ちゃんや、同好会の皆とは10年以上会っていなかったけれど、会えばこうしてすぐに昔みたいに楽しく笑いあえちゃうんだから。
あなた(でも……)
脳裏に浮かぶのは、私の前から姿を消したしずくちゃんと、幼馴染故に1番距離を置いている歩夢ちゃん。
特にしずくちゃんとは、彼女の思いを汲み取るなら、もう以前のような友人関係には戻れないかもしれない。
断るにしても、受け入れるにしても。
かといって無かったことにして以前の友人関係に戻ろうとするのも、彼女の思いを否定する事になるような気がする。
私はどうすればいいのかな。
私はどうしたいのかな。
あなた(皆とまた笑い会える日は来るのかな……)
ーーーー 次はこのまま歩夢にも会うのかそれともしずくSideか……
ちょこちょこ更新してくれて嬉しい
これからもゆるゆる楽しみにしてます! 愛「お待たせー2人とも。終わったよー」
あなた「あっ、愛ちゃん。もうそんな時間?」
気がついた時には既に練習は終わっていて、小学生の子達も既に片付けに取り掛かっていた。
璃奈「もうそんなに経ったんだ。あっという間」
あなた「ごめんね愛ちゃん。後半あんまり子ども達の事あんまり見てなかったよ……」
愛「ううん、大丈夫。大体私がやってる事は伝わっただろうしね」
あなた「指導に熱が入ってて楽しそうだなって思った!」
愛「うん!めっちゃ楽しいよ!」 女子小学生A「ねぇりなちゃん先生!りなちゃん先生!!」
女子小学生B「なんで今日学校にいたの!?」
璃奈「わっ」
片付けを終えた子ども達が次々と璃奈ちゃんの方へ向かってくる。
きっと練習中は話しかけないようにと愛ちゃんに言われていたんだろう。子ども達が一斉に向かってくる様子からは、まるで待てを長時間させられた犬がやっと主人の許しを得て餌にガッつくような気迫を感じた。
璃奈「えーと……今日は忘れ物取りに来たの……」
女子小学生C「その隣の人誰!?」
女子小学生D「ねぇねぇなんの話してたのー?」
璃奈「わわわっ」
慌てふためき、助けを求めるようにこちらにアイコンタクトを送って訴えかける璃奈ちゃん。
愛「りなりー人気者だなー。でも困ってるみたいだし、ここは愛さんが助けてあげないとね。アイだけに!」
あなた「プッ」 愛「はーいみんなー!もうそろそろ夜も遅いし、早く帰ろうなー」
愛「りなちゃん先生も疲れてるんだから、話があるなら明日にしてあげてね」
女子小学生A「えー?練習中ずっと我慢してたのにー」
愛「ほら、今日は皆にアイスあげるから。お母さんには内緒ね!」
「わー!アイス!!」
アイスに釣られて子ども達が一斉に捌けていく。
練習後のデザートって美味しいんだよね、と少し懐かしくなる。
愛「1人1個ずつだからねー」 璃奈「ありがとう愛さん」
愛「いえいえ、りなちゃん先生」
璃奈「むっ……愛さんまでちゃん付け……」
愛「あはは!子ども達に愛されてるじゃん、りなりー」
璃奈「……うん、そうみたい。凄く嬉しい」
愛「私はいいと思うけどね、ちゃん付け。小学生なんだし」
愛「嫌われたり怖がられたりするよりはよっぽどいいと思うよ」
璃奈「……確かに」
女子小学生「愛ちゃんバイバーイ!!」
愛「おつかれー!気を付けてねー!」
愛「ほらね?私も練習中は愛コーチって呼ばれるけど、練習が終わったら愛ちゃんって呼ばれるんだ」
愛「授業中にふざけたりしてたりメリハリがついてないってわけじゃなかったら別にいいんじゃないかな」
璃奈「そうかも。愛さん、ありがとう」
愛「いーよこのくらい!それよりもうお腹ペコペコー!早く食べに行こ!」 テクテクテク
愛「2人は何食べたい?」
璃奈「私は……」
あなた(あっ、今の人)
私の意識は、先程通りすがった指を絡ませて歩いていた女性2人に奪われた。
あなた(2人とも綺麗な人だったな。もしかしたらカップルだったり……)
「……る?」
「聞いてる?」
あなた「はっ……」 あなた「えっ……何かな///」
愛「聞いてなかったの?りなりーが私のもんじゃ食べたいって。君はこの前も食べたからそれでもいい?」
あなた「う、うん。愛ちゃんのもんじゃ美味しいし、私は大丈夫だよ」
璃奈「大丈夫?ボーッとしてたみたい」
あなた「大丈夫、ありがとう璃奈ちゃん」 愛「それじゃあ、このまま材料買って帰って──」
「あなた達は……!」
愛「ん?」
早速スーパーに向かおうとしたところ、後ろの声に呼び止められた。
なんだか懐かしい声だ。
愛「えっと……私達の事ですか?」
あなた「あ!お、おばさん……!」
振り返って顔を見た刹那、声の主を把握した。忘れるわけが無い。
愛「君、知り合い?」
あなた「歩夢ちゃんのお母さんだよ!」
愛「あー……そういえば見たことあるような……無いような……」
璃奈「なんとなく歩夢ちゃんと似てるかも」 あなた「お久しぶりです……。どうしたんですか?そんなに大声出したりして」
あなた(あんまり会いたく無かったけど……)
歩夢母「あなたと、それとそこの2人も、歩夢と仲良かった子よね?」
愛「はい」
璃奈「そうですけど。あの、何か……」
歩夢母「あなた達で、歩夢を助けてくれないかしら」
あなた「えっ……」
ーーーー あなたちゃんはたしかせつ菜と会ったときに来た連絡もガン無視してたよな こんな早く同好会の追加キャラ来ちゃうとは……
一通り終わったら栞子加入した設定で修正しようと思ってたけど後々どんどん増えるってなるとキリないねこれ このSSは栞子加入しないで分岐した世界線、で割り切っちゃっていいんじゃないかな? このスレがスタートしたのももう半年以上前だよね
>>536の言う通り、そんなに現実の流れに即して作らなくてもいいと思う アニメ始まったらまたわけわからんことになるから気にしない方が得だと思う アニメはもう別物っぽいからいいとして
とりあえずこのスレ内では栞子出した時点での想定通り、とりあえず和解はしたけど入部はしてないくらいにしておこうかな
ありがとう ーーーー
私達は今、歩夢ちゃんの部屋の前にいる。
あなた(正直まだ覚悟ができているとは言えない)
あなた『助ける……ってどういうことですか?』
歩夢母『それは……歩夢から聞いてもらえたら……。とにかく一度歩夢と話して欲しいの』
そう話す歩夢ちゃんのお母さんからは、歳だからなのかもしれないけれど、疲労感が見てとれた。
あなた(だけどこのまま先延ばしにしていても踏ん切りなんてなかなかつくもんじゃないし、いい機会なのかもしれない)
あなた(いつまでも逃げてちゃいけないんだ!) コンコンコン
あなた「歩夢ちゃん?入るね……」
ガチャッ
見慣れた部屋の扉を開いて見たものは
「お母さん?勝手に入らないでっていつも言っ……て…………」
髪はボサボサで、顔つきもあの頃のまま時が止まったように幼く
「うそ…………」
地味な下着にシャツ1枚という色白な肌が目立つ格好でこちらを見ている、変わり果てた幼馴染の姿だった。 歩夢「みっ、見ないでぇぇぇ!!!」
あなた「わっ!」
歩夢ちゃんはこちらを少しの間見つめた後、顔を隠しながらバタンともの凄い勢いで扉を締めた。
あなた「歩夢ちゃん!?」
歩夢「ご、ごめんね。私今こんなだから、化粧だってしてないし……。だからリビングに行ってて?シャワーも浴びたいし今はちょっと……」
あなた「分かったよ。1時間後くらいにまたきたらいいかな?」
しばらく待っても返事は特に無い。
あなた「とりあえず2人ともリビングに行こう?」
私はその無言を了承と受け取り、歩夢ちゃんにも聞こえるようにわざと大きめの声で、愛ちゃんと璃奈ちゃんを促した。 リビングに戻るや否や、歩夢ちゃんのお母さんがもの凄い形相で詰め寄ってきた。
歩夢母「あ、歩夢はどうだったの!?」
あなた「え、えぇと……」
形相に既視感を感じ流石親子だなと思いながらも、その気迫に圧倒されて言葉が出てこない。
璃奈「歩夢ちゃん、一旦シャワー浴びたいから少し待っててって言って、1時間後また訪ねることになりました」
答えられない私の代わりに璃奈ちゃんが簡潔に話してくれた。
歩夢母「そ、そう……、それならよかった。てっきり追い返されたのかと」
愛「でも雰囲気的には……」
愛ちゃんはその先こそはっきりは言わなかったけれど、言わんとすることはなんとなく分かる。
あれはかつての私と同じ、他人を避け、拒絶する目だ。
果たして1時間後、ちゃんと話ができるかどうか……。 愛「それで、歩夢ちゃん何があったんですか?助けてってことは何か病気とかですか?」
歩夢母「病気……そうね、そうかもしれないわね」
歩夢母「私にもどうしたらいいか分からないの……」
あなた「歩夢ちゃんと話ができるか分かりませんし、よかったら詳しく話してもらえませんか?」
歩夢母「そうね……あの子の口から話させるのも辛いかもしれないし……」 歩夢母「あの子はね、卒業後大学に進学したの。そうしてそのまま何の問題もなく一般企業に就職して、これで一安心ねって思って思っていたわ」
歩夢母「たまに疲れた表情を見せる時はあったけれど、まだ仕事に馴れてなくてしんどいだけだと思ってた」
歩夢母「だけど違ったのよ。ある日の朝急にあの真面目な歩夢が泣きながら行きたくない……って」
あなた「……」
歩夢母「ただ仕事が嫌になって行きたくないって風じゃなかったから、どうしたの?って聞いてみたら歩夢こう言ったの」
歩夢『ごめんなさい……。もう心が耐えられないみたい……』
あなた「……」
私は何も言えなかった。 歩夢母「歩夢、会社でよく失敗をしちゃってたらしいの。それに加えて男性社員にセクハラに近い事をされたり、女性の同僚にはいびられたり色々辛い目にあってたみたい」
愛「それ、私も同じです……」
話を聞いていて愛ちゃんの状況と似ているなと思ったその時、愛ちゃん自身が口を開く。
愛「歩夢ちゃんも同じ状況だったんですね。私だって辛いもん。きっと歩夢ちゃんも辛かったと思います!」
歩夢母「そう、あなたもなの……。あなたが話してくれたらきっと歩夢も共感してくれるわ……」
璃奈「あなたは私達に助けてって言いました。ということはひょっとして歩夢ちゃんは今引きこもりになっていて、それを何とかしてほしいってことですか?」
私も薄々感じてはいたけれど、璃奈ちゃんはそうスッパリと言い切った。
歩夢母「…………実はそうなの。もう4、5年になるかしら。会社を辞めてからずっと部屋に引き篭もってしまって」
歩夢母「私が勧めてしまった手前私からはあまり強くは言えなくて……。でも私の方が先に死ぬし、いつまでもこのままって訳にはでしょ?もうどうしていいか分からなくて……」
あなた「その時私達を見かけたって事ですね」
歩夢ちゃんのお母さんはゆっくりと、小さくうなずく。 愛「私、歩夢の気持ちすっごく分かるよ
!歩夢が立ち直れずにいるなら、力になりたい。友達だもん!」
璃奈「私も。それに、引き篭もりの生徒に携わった事もあるから力になれるかも。まだ1件だけだけど……」
歩夢母「あなた達……ありがとう。歩夢もいい友達を持ったのね」
しかしそんな2人の好意も──
歩夢「その子と2人きりにさせてほしい」
歩夢ちゃんには届かなかった。 せつ菜等に会いに行ってるのに歩夢のメッセは1000件以上未読無視したあなたちゃんサイドに責任がある 久々に前スレ見たけどここでもときめきとか言ってんな 愛「歩夢?どうして!?」
璃奈「歩夢さん……私達の事嫌いになっちゃったの?」
あなた「多分そうじゃないと思う」
璃奈「え?」
あなた「きっと会うのが怖いんだよ。皆成長してるのに、それに比べて自分は……って」
愛「私達そんな事で責めたりしないって!」
あなた「うん、それは私がよく分かってる。皆と会ったけど、私の事責めるような子は誰もいなかった」
愛「だったら……」 あなた「私もずっと怖かったから分かるんだ」
あなた「愛さん、こういう問題って複雑なんだよ。自分でうまく心の折り合いをつけるしかない」
あなた「それには時間が必要なんだ。多分今歩夢ちゃんは私達が来てびっくりしてるだろうから……」
愛「……分かったよ。まだ心の奥がもにょっとするけど、無理に会って歩夢を傷付けたら本末転倒だもんね」
璃奈「私も分かった。それじゃあ私達はまたリビングで待ってる」
愛「歩夢をよろしくね」
あなた「うん、ありがとう」
あなた(それにしても何で私だけいいんだろう)
1番仲がいいからだとは思うけれど、私の場合は逆に1番の仲である歩夢ちゃんにだけは知られたくはなかった。
だから頑なに拒み続けていたし、会うのだって今よりずっと後にしようと思っていた。
あなた(まぁそんな事今考えても仕方ないか) 改めて扉に向き直り、深呼吸してからノックをする。
あなた「歩夢ちゃん?私一人だけだよ。入っていいかな?」
歩夢「うん、どうぞ」
あなた「入るねー?」ガチャッ
扉を開けると、薄っすらと頬をピンクのチークで肌を可愛く映し、白とピンクのフリフリ服で着飾ったなんとも可愛らしい幼馴染の姿があった。
あなた「あ、歩夢ちゃん…………」
あなた「その、久しぶり……」
ギュッ
あなた「あっ……」
歩夢「ずっと会いたかった」
あなた「…………ごめん」 あなた「…………」
歩夢「…………」
あなた「…………」
お互いを抱きしめあい、長年の空白期間を埋めるように無言のまま時が過ぎていく。
あなた「ねぇ歩夢ちゃん」
歩夢「なに?」
あなた「聞かないの?なんでずっと無視してたのか。普通怒ってもおかしくないのに……」
歩夢「そんな事どうでもいいよ。こうして今、あなたが傍にいるんだから」
あなた「…………」
罰せられないという罪悪感に苛まれながら、私はよりいっそう抱きしめる力を強くした。 歩夢「ふふ、幼稚園の時みたいだね。ねぇ、覚えてる?こうして砂場で抱き合ったことあったよね」
あなた「またそんな前の話?流石に覚えてないよー」
歩夢「えぇ?酷いなぁもう」ポムッ
あはは、と軽く笑うと、それに釣られて歩夢ちゃんも手を抑えて上品に笑った。
よかった。
少し前に対面した時こそ面食らったけれど、目の前の彼女は私の知っている歩夢ちゃんそのものだったので、すぐに違和感無く受け入れることができた。
いや、何か引っかかる……。 そうだ。違和感が無い事こそが違和感なんだ。
目の前の彼女は、あまりにも私の知っている歩夢ちゃんそのものすぎる。
今まで会った皆は身体的なものであったり精神的なものであったり、大なり小なり何かしらの変化があった。
環境も変わって、あれから10年も経ったんだ。それが当然だろう。
現に歩夢ちゃんもさっきはあんなにズボラな感じだった。
にも関わらず、今の彼女の姿はまるでそんなものを感じさせない。さしずめ高校の頃に戻ったような感覚。
それは比喩では無く、時が戻ったみたいに、本当にあの頃の歩夢ちゃんそのものなんだと感じた。
あなた(高校の頃のトキメキが忘れられない私とおんなじだ)
あなた(私も一度は前を向き始めていたけれど、今はもう……)
そんな私にとって、
今の歩夢ちゃんからは不気味さだけでなく
どこか心地良ささえ感じられた。 あなた「私からもらう物なら病気でも嬉しいなんて言うんだもん。びっくりしちゃったよ」
歩夢「もう、それは冗談だってば!」
歩夢「でもあなたが看病してくれたのは嬉しかったなぁ」
2人で過去の思い出にまつわる談義に花を咲かせる。
当然のように、卒業後の話題が挙がることは無い。
「ちょっといいかなー?」
そんな中コンコンとドアが鳴れば、歩夢ちゃんが一転して不安な表情を浮かべる。
あなた「大丈夫、愛ちゃん達だよ。すぐ戻ってくるから」
服の裾を握ってくる歩夢ちゃんを優しく引き剥がし、ドアノブに手をかける。 あなた「どうしたの2人とも」
愛「ごめん、私達明日仕事だしそろそろ帰るね……」
璃奈「私も明日の授業の 準備があって……」
スマホで時間を確認してみれば、時計は夜の8時を示していた。そんなに歩夢ちゃんと話していたんだ。
愛「歩夢のこと、任せてもいいかな……?」
あなた「仕事無くて時間あるし、任せて?」
愛「ありがとう……」
正直歩夢ちゃんのためというよりは、自分がこの空間が心地良いからという側面の方が強かった。 愛「友達が困ってるのに助けてあげられないなんて、なんか嫌だな……。仕事があるって言ったけど、仕事仕事、仕事より友達の方が大事じゃん!」
愛「やっぱり私明日休んで──」
璃奈「愛さん、私達がいても」
愛「……っ」
璃奈ちゃんがそこまで言った所で愛ちゃんは察したようだ。今現在自分達がいても何も出来ないという事に。
あなた「愛ちゃん、ありがとう。歩夢ちゃんは私に任せて愛ちゃんはお仕事頑張ってね」 璃奈「私達で力になれる事があったら何でも言ってね」
あなた「ありがとう!2人がいるなら心強いよ」
愛「今日は一緒にご飯食べられなかったけどさ、またいつか食べに行こうよ」
璃奈「どうせなら、いつか10人で集まりたい」
愛「10人か……そういえばエマっちは卒業してそうそうスイスに帰っちゃったから、10人で集まった事って無かったね」
あなた「私も集まりたいな……。うん、いつか集まろうね」
愛「約束だよ!それじゃあね!」
璃奈「またね」
あなた「うん、またね」
ダッダッダッ ガチャッ
2人の足音が遠ざかっていくのを確認したのか、ゆっくりと歩夢ちゃんが扉を開けた。
あなた「2人とも帰ったよ」
歩夢「そう……」
歩夢「ねぇ、もう遅いし今日は泊まっていかない?」
あなた「え?そうだなぁ。久しぶりだしそれもいいかも」
歩夢「やった!それじゃあご飯一緒に食べよう?」
あなた「おばさんの手料理美味しいんだよね」 あなた「すみません、おばさん。今日泊まっていっても──」
そこまで言いかけて思考がフリーズした。
「あなた、今まで何してたの」
あなた「お、お母さん……!」
お母さんは椅子から立ち、ゆっくりと私ににじり寄ってくる。
あなた「あの……その……これは……」ビクッ
ギュッ
あなた「あっ……」
母「自立するっていうのはね、誰にも頼らないって事じゃ無いのよ!連絡もしないで、こっちがどれだけ心配したと思ってるの!!」
あなた「お母さん……ごめんなさい」
歩夢「…………」 母「とにかく逃さないからね。今日は家に泊まっていきなさい」
歩夢「あっ……」
あなた「え、今日は歩夢ちゃんの家に泊まろうと……」
母「ふーん、散々親に心配かけといてごめんで終わりなのね」
あなた「……泊まります」
あなた「ごめんね歩夢ちゃん。今日は……」
歩夢「そういうことなら仕方ないよね……」
歩夢「また明日ね」
あなた「うん」
ーーーー @cメ*˶ˆ ᴗ ˆ˵リ「なら私があなたのお家に泊まるね」 あなた「勝手に家を飛び出してすみませんでした」
母「まったく、連絡くらいしなさい……。あなたの事だからどこかで生きてるとは思っていたけど」
あなた「ごめんなさい……。連絡したら、そのまま甘える事になるかと思って……」
母「とりあえずその事はまあいいわ。それで、仕事は何やってるの?」
あなた「一応ソングライター……。今はちょっとお休みしてるんだけど、もうすぐ大きな仕事が……」
母「ふーん、ソングライターね……。ちゃんと食べて行けてるの?」
あなた「うん……」
母「…………元気でやってるならいいわ」
母「これからは最低でも一年に一回は連絡しなさい。分かった?」
あなた「はい。心配かけてごめんなさい……」 お母さんと何年ぶりかに一緒にご飯を食べた後、自室に戻って1000件近い歩夢ちゃんのメッセージをスクロールでざっと確認した。
主にそのメッセージの殆どは「会いたい」、「どこにいるの」、「寂しい」と言った内容のものだった。
しかし仕事で辛い思いをしたと言っていたのに、意外にも「助けて」といったSOSのような文字は無い。
歩夢ちゃんは他人に心配をかけさせようとせず1人で抱え込むところがあったからかな。
たとえ直接的なSOSは無かったとしても、ちゃんと普段から話をしていればもしかしたら気付けたのかもしれない。
もしもの話に意味はないけれど。
あなた「やっぱり次歩夢ちゃんに会う時謝ろう」 ベランダに出た後しずくちゃんにメッセージを送る。
数分待ったけど既読はつかない。忙しいだろうし当然か。そのうちつくだろう。
ツイッターで検索をかけてみると、ちょうど今テレビ番組が放送されているらしく、今日もSNSではしずくちゃんの話題で持ちきりだった。
ツイートに添付されている画像を開く。
相変わらずため息が出るほどの美人だ。
つい最近までこんな美人と一緒にいて、それで……
あなた「キスされたんだ。半ば告白に近い形で」
あなた「…………」 唇に触れるけれどあのときの感触は思い出せない。
なんて贅沢な悩みなんだろうと我ながら思う。男の人なら二つ返事だろう。
あなた「次に会う時までにはちゃんと自分の意見をはっきりさせないとね……。はいともいいえとも言えてないんだから」
でも私は女性だし、しずくちゃんは部活の元後輩だ。
あなた「私はしずくちゃんの事を……」
ガラガラ
歩夢「あっ」
あなた「歩夢ちゃん」
左側の窓が開いて、歩夢ちゃんがベランダから顔を出した。
歩夢「私もあなたのこと考えてたの。なんだか心が通じ合ってる感じだね」
あなた「う、うん。そうだね」 歩夢「懐かしいよね。昔はこうやってどちらからともなく出てきて」
歩夢「悩み事があるときもよくベランダに出てたっけ……」
歩夢「今も何か悩み事あるの?」
あなた「悩み事?」
仕事に曲にしずくちゃんの事、将来の事……。
あなた「悩み事だらけだだよ……。でもこうして話してると紛れる気がする」
歩夢「そう?それならよかった」 歩夢「そういえば、お仕事は今何やってるの……?」
あなた「実は今仕事してないんだ」
歩夢「えっ!?」
そのまま私は歩夢ちゃんにも私の今までを話した。
あなた「元々は皆と連絡できる状況にいたら甘えちゃうと思って連絡を断ってたんだけど、今度は落ちぶれて仕事もしなくなったのを知られたくなくてずっと無視してた」
あなた「それがズルズル続いちゃって……本当にごめん」
歩夢「ううん、今こうして話せてるから私はもう気にしないよ」
歩夢「それに、私も仕事で辛い事があってね」
歩夢「朝本当にベッドから起き上がれなくて、自然と涙も出てきて。その時あぁ、私壊れちゃったんだなって思った」
歩夢「その後仕事を辞めてからはずっと家にいるの」 あなた「辛かったね……」
歩夢「あなただって辛かったでしょ?」
あなた「…………」
あなた「だって……頑張って頑張って、皆との交流を断ってまで甘えずに頑張ったのに」
何気ない言葉だったけれど、それに呼応して心の奥底から本音とダイヤモンドが溢れ出す。
あなた「それなのに数年間ずっと頑張っても全然芽が出ないなんて悔しいじゃん!」
あなた「確かに厳しい道だって覚悟して踏み込んだよ!」
あなた「でもやっぱりなんの成果も出ないのはキツすぎるよ……」
あなた「殆ど音楽の作業と生きるためにバイトするだけの毎日になってさ」 >>600
あなた「音楽の作業をするためと生きるためにバイトするだけの毎日になってさ」 あなた「結局覚悟が足りなかったって事かな……」
顔を少し上げると、歩夢ちゃんが手をヒョイヒョイさせ手招きをしていた。
あなた「なに?歩夢ちゃん」
ポンポン
あなた「あっ……」
歩夢「疲れたでしょ?あなたは今までいっぱい頑張ったんだし、もう頑張らなくてもいいんじゃないかな」
あなた「…………」
歩夢「ねぇ、明日も来るよね?一緒にゲームしようよ」
結局私はしずくちゃんの事を理解だきなかった。それどころがまだ私が知らないしずくちゃんの顔なんて山ほどあるかもしれない。
そうだ……やっぱり私に今のしずくちゃんサポートなんて荷が重すぎたんだ。
一回きりの人生だ。楽しく過ごした方がいいに決まってる。
それならしばらくはこうして歩夢ちゃんと昔のように遊ぶのもいいかもしれない。
これからどうするかはいずれ考えればいいか──
ーーーー 「……て」
あなた(んん……)
「ねぇ起きて」
あなた「ん……ふぁぁ……」
歩夢「あ、やっと起きた」
あなた「歩夢ちゃん、おはよう」
歩夢「うん。おはよう、あなた」
あなた「なんだかこうして起こしてもらうのも懐かしいな」
歩夢「ふふ、そうだね!顔洗ったら朝ごはん食べよう?」
あなた「はーい」 母親「おはよう。久しぶりの家のベッドはよく眠れた?」
あなた「うん、快眠!お、この匂いは卵焼き!」
歩夢「私が作ったんだよ」
あなた「やった!歩夢ちゃんが作る卵焼き大好きなんだ!いただきまーす」ヒョイ
母親「こら!手掴みしない!」
あなた「ふぉめんふぁふぁい」モグモグ
ゴクンッ
あなた「んっ……!」
あなた(この卵焼き……)
あなた「美味しい!!!」
あなた(10年前より格段に進化してる!!!) 歩夢「よ……よかった!喜んでくれて!!」
歩夢「いっぱい練習したんだ。いつかあなたに食べてもらえるようにって……」
あなた「そうなんだ……。すっごく美味しいよ!」
歩夢「うん、ありがとう!嬉しい!!」 歩夢「じゃあ私先に戻ってるから後で家に来てね」
あなた「あれ?歩夢ちゃんは一緒に食べないの?」
歩夢「私はもう食べちゃったから。それに……」
あなた「それに?」
歩夢「久しぶりにあなたと一緒に遊べるんだもん。色々準備したいの!」
歩夢「それじゃあまた後でね!」
バタンッ
あなた「準備……昨日言ってたゲームの事かな」
母親「ちょっといい?」
あなた「え?うん、どうしたの?」
母親「歩夢ちゃんの事なんだけど」
あなた「歩夢ちゃんの……?」 こんなに楽しそうなのに2人の境遇考えたら…
抜けるわ… 母親「歩夢ちゃんが今朝家に来てびっくりしたよ。歩夢ちゃん、ここ数年ずっと夜型みたいな生活してたって聞いてたから」
あなた「え、そうなの?」
母親「それが今日急に早起きして卵焼き作ったもんだからちょっとびっくりしちゃって」
母親「この卵焼きだってね、仕事辞めてああなった後でもずっと作り続けてたんだって」
母親「歩夢ちゃんにとってあなたの存在は原動力になるみたいね」
あなた「…………」 母親「上原(母)さんは歩夢ちゃんを近いうちに更生させたいみたいだけど、私は時間をかけてゆっくりでもいいと思ってるの。心の傷っていうのは本人にしか分からないしさ」
母親「あなたがいれば歩夢ちゃんも前を向けるようになるんじゃないかしら。まぁちょっと依存が強いようにも見えるけど」
母親「あなたもしばらくは家にいてもいいわよ。お金も余裕が無いなら別に入れなくてもいいし」
あなた「え……いいの……?」
母親「歩夢ちゃんの事もあるし。それに、卒業した後すぐ一人暮らしなんてしんどい事も色々あっただろうし」
母親「ほら、今日は歩夢ちゃんとゲームするんでしょ?早く食べていっぱい遊んできたら?」
あなた「う……うん!」 ガチャッ
あなた「お待たせ歩夢ちゃん」
歩夢「あ、いらっしゃい」
あなた「あ、自分の部屋にテレビ置いたんだ」
歩夢「そうなの。昔はリビングでしてたよね」
あなた「うんうん!うわぁ、懐かしいなぁ。このゲーム機!」
あなた「ねぇ、何のゲームするの?」
歩夢「えっとね、色々考えたんだけど、とりあえずこれかな」つ
あなた「人生○ーム ハッピーファミ○ー」
あなた「人生○ームのゲームだ!ゲーム版もあるんだね!」
あなた(きっと皆でワイワイ盛り上がる楽しいゲームなんだろうなぁ)
歩夢「早速遊ぼう?」
あなた「うん!」
部しずが流石にしつこく感じてきたのでこれ完結させていいあなしずを見せてほしいところ 歩夢「これやるの初めてなんだ」
あなた「そうなの?」
歩夢「うん。去年買ったんだけど、人生ゲームってみんなで遊ぶ物でしょ?あなたと一緒に遊ぶのを楽しみにしてたんだ」
あなた「そうだったんだ。まぁ……確かにcpuとだけやってもね」
ゲーム内音声「プレイするキャラクターを選んでね!」
歩夢「私この茶髪のキャラでいくね」
あなた「じゃあ私はツインテールのキャラにしよっと」
歩夢「cpuあと2人いれるね」
あなた「うん」
歩夢「それじゃあ、始めるよ!」
その後私はすぐに思い出した。
どうして忘れていたんだろう。
歩夢ちゃんが好きだったゲームの事を……。 あなた「ねぇ……なんかさっきから3とかばっかじゃない?」
歩夢「たしかに、これだけやってるのに最高の8が1回も出てないかも」
明らかに出目が少なめになるように調整されたルーレット。出目を調整するためのアイテムも無い。
あなた「うわ、また同じイベント……これで何回目……?」
歩夢「3回目かな」
あなた「1プレイの内に3回もイベント被るってどれだけボリューム無いのこれ」
面白くもなく、しかも1ゲーム中ですら被りまくるイベント。
歩夢「あ、見て。また子どもが生まれたよ」
あなた「うん……全く同じ顔の……」
人生ゲームは一生を通してのゲームなのに最初から最後まで一切顔が変わらず、
生まれてくる子どもも、性別にかかわらず親と全く同じ顔のクローン仕様。何人生まれても全て一緒の顔。
人生ゲームって、こんなにつまらないゲームだっけ……。
なんというかこのゲーム、つまらないや退屈を通り越して虚無に近い。
cp2人入れて更にプレイ時間が水増しされたこの時間は、もはや拷問に近かった。 あなた「ねぇ歩夢ちゃん」
歩夢「なに?」
あなた「これってもしかして……クソゲー?」
歩夢「そうみたい」
あなた「…………」
人生って なんなんだろう
5時間近く続いたこのゲームで私はそんな事を思った。
とにかく心に誓ったことは──
あなた「もう一生人生ゲームしたくない……」 >>1はこのKOTY入りしたクソゲーやったことあるのだろうか... つまらなさ過ぎて友情崩壊する真の友情崩壊ゲーじゃん 久しぶりの更新これだけかよって思ったけどこのクソゲーやってたらまあ仕方ないか… 「みんな ゴールおめでとう!」
「1位は…
歩夢さんです!」
歩夢「やった!」
あなた(やっと終わった……)
最後は順位だけの発表で、最終金額が表示されないのはガッカリだけど、もうそんなのどうでもいい。やっとこのクソゲーから解放されるんだから……。
歩夢「ふふっ」
まぁ歩夢ちゃんが楽しそうにプレイしてたし、一緒にいるだけで楽しかったっていうのはあるんだけど。 歩夢「次は何で遊ぶ?」
あなた「え“っ」
あなた(またこういうのをやるの!?)
あなた「ねぇ歩夢ちゃん。その、マ○カーとかスマ○ラとかないの?」
歩夢「無いよ」
あなた「あ、そうなんだ……」
歩夢「うーん……一人用だけどこのゲームはどうかな。面白いよ」
あなた「一人用!?」
あなた(一人用ならプレイしなくて済む!) あなた「うん、見たい見たい!歩夢ちゃんの凄いプレイみたいな〜」
歩夢「え、そう……?私もそんなに上手くないよ」
といいつ満更でもない様子だ。
あなた(これで休憩できる……) ウエカラクルゾ キヲツケロ!
ナンダコノカイダンハ
セッカクダカラオレハ コノアカノトビラヲエラブゼ
あなた「あはは、なにこれ」
どうせこれもクソゲーなんだろうけど、見てるぶんにはまぁまぁ面白いかもしれない。
オープニングらしきものが終了し、画面はセーブデータ選択画面に移った。
歩夢「ねぇ、やってみる?」
あなた「え、私がやるの!?」
歩夢「ちょっとだけでいいから」
あなた「うーん……まぁ、ちょっとだけなら」 あなた「あ、始まった」
ゲームがスタートすると、何やら人が複数映し出されていた。
コノヤロー
クッソォ
あなた「え、なんか食らってる!?」
歩夢「標準合わせてこのボタンで攻撃して!」
あなた「え、これシューティングゲームなの!?こういうの得意じゃないんだけどな……」 あなた「ってこれ操作性悪っ!」
歩夢「昔のゲームだからね」
あなた「そういうものなの?」
あなた「っていうか敵狙いにく!!全然当たんないんだけど」
オーノ
あなた「あ、死んだ」 あなた「くっ……もう一回!コンティニュー!」ピッ
ヤリヤガッタナ
あなた「ちょっ、いきなり食らったんだけど!無敵時間とかないの?」
クッソォ
コノヤロー
Game Over
あなた「えっもう死んだの」
ECOLE テーレレー
あなた「クソゲーじゃんこれ!!」 あなた「難易度設定とかないのこれ?いきなり難しすぎるよ」
あなた「あ、オプションがあった。ここかな」ピッ
Option Setting…
サウンド ▷ステレオ モノラル
終了
あなた「…………」 歩夢「代わろうか?」
あなた「いやっ、なんか悔しい!もうちょっとやってみる!!」
その後何度も奮闘するも、結局1面をクリアすることはできなかった。
あなた「こんなの無理だよ……歩夢ちゃん、パス」
歩夢「分かった。頑張るね」
そう言ってコントローラーを受け取った歩夢ちゃんは軽々と敵を倒していき、1時間くらい経つ頃には全ステージをクリアしていた。
あなた「すご……」
歩夢「ふふっ、クソゲークソゲー」 あなた(何が楽しかったのかいまいち分からないけど、歩夢ちゃんが楽しそうならそれでいいか)
歩夢「次はチーター○ン2にする?結構前に話題になったファイナル○ード(s○itch版)にする?そ、れ、と、も……」
あなた「い、いや、クソゲーはもう……」
歩夢「楽しいよ?」
あなた「…………うん」
昔から私は、歩夢ちゃんの笑顔には逆らえないのだった。
ーーーー 会えなかった期間の穴埋めとして、特別に何かしようとかじゃなくてこういうかつての“いつも通り”をするの、こみ上げるものがあるな
ぽむ… ー翌日ー
あなた「うぅん……もう朝か」
あなた「実家だからかな。眠りが深くてあんまり眠った実感が──」
歩夢「…………」ジー
あなた「うわぁぁぁ!!」
歩夢「おはよう」
あなた「び、びっくりした!!いたの!!」
歩夢「あなたの寝顔がみたくて来ちゃった。すっごく可愛かったよ」
あなた「あ、ありがとう?」 歩夢「ねぇ、今日は……」
あなた「あ、歩夢ちゃん!」
歩夢「わっ、急に声張り上げてどうしたの?」
あなた「あの、今日はいい天気だし久々に2人で出かけない?」
あなた(クソゲーは嫌だクソゲーは嫌だクソゲーは嫌だクソゲーは嫌だクソゲーは嫌だ)
歩夢「…………」
あなた(ダメか……?)
歩夢「凄い……」
あなた「へ?」 歩夢「私もおんなじ事考えてたの!今日は一緒にお出かけしたいなって!」
あなた「そ、そうなんだ!凄い偶然!」
歩夢「ふふ、以心伝心だね」
あなた(よかった。本当によかった)
ーーーー あなた「今日本当にすっごくいい天気だね歩夢ちゃん。お日さまカンカン照りだよ」
歩夢「眩し……。こうやって外に出るの、久しぶりかも」
あなた「あぁ……ちょっと分かるかも。私もバイト辞めてからは、買い出しとか必要な時以外はあんまり外出なくなったし」
歩夢「あなたも……同じなんだ」
あなた「あ、見て!クレープ屋さんだよ。行ってみない?」
歩夢「え?うん」 あなた「あぁ……ん」カプッ
あなた「んん〜!クリームが美味し〜!」
歩夢「ほんと!すっごく美味しい!」
あなた「お、歩夢ちゃんのも美味しそうだね。それって何味?」
歩夢「私は限定のコーンカスタード。食べる?」
あなた「うん、食べ……」
あなた「あっ……」
あなた(これって、間接キスになるのかな……) 歩夢「どうしたの?食べないの?」
あなた「あ、いや……」
あなた(気にする方が変か……でも)
あなた「やっぱりいいよ」
歩夢「そう?」
あなた「それよりゲーセン行かない?丁度最近出たぬいぐるみがあって……」
ーーーー 28の女2人がこんなことやってると思うと興奮が止まらんな そういや28かこいつら…
こういうのって普通の女性なら許されるの何歳までだ…? あなた「うー……結局ぬいぐるみ取れなかった……3000円も使ったのに」
歩夢「惜しかったね。もうちょっとでとれそうだったのに」
あなた「そのもうちょっとで取れそうな状況から2000円も使ったのに!もう……やっぱり最初からネットで買えばよかったかな」
歩夢「あ、服見て行かない?」 歩夢「これとかどう?似合うんじゃない?」
あなた「えー?私には似合わないよ。歩夢ちゃんみたいに可愛いくないし」
あなた「それにもうすぐ三十路だし……」
歩夢「年齢なんて関係無いよ!あなたはいくつになっても可愛いんだから」
歩夢「それに昔私がおんなじ事言った時言ったよね。歩夢ちゃんなら絶対似合うって!あなたもだよ!」
あなた「そ、そんな事言ったかな……」
歩夢「もう、忘れちゃったの?ほら、早く試着室行こう!」グイッ
あなた「あ、ちょっと!」 歩夢「うん!やっぱり可愛い!」
あなた「あはは……そうかな?キツくない?」
歩夢「ううん、全然!バッチリ似合ってる!」
歩夢「ねぇ、これとこれと……あとこれも着てみて!絶対似合うから!」
あなた「うぅ……これじゃまるで着せ替えにん──」
ーーーー
『ほらっ、これもこれも!や〜可愛い〜!』
(私着せ替え人形にされてる……?)
ーーーー
あなた「…………」
歩夢「どうかしたの?」
あなた「え?」 歩夢「ぼーっとしてたから」
あなた「あ、いや、なんでもないよ」
あなた「それより、歩夢ちゃんにも私が選ぶ可愛い服着てもらうからね!」
歩夢「あなたが私の服を選んでくれるなんて嬉しいな」
あなた「うっ、効いてない……」 あなた「次はどこ行こっか」
歩夢「ちょっと小腹空いちゃったかな」
あなた「それならコッペパンとかどう?かすみちゃんがすっごく美味しいパン屋さんやってるんだけど……」
歩夢「……!」
突如歩夢ちゃんの足が止まる。
表情は顔を下に向けているので読めないけれど、体が震えているのが分かる。
それを見てハッと愛ちゃんと璃奈ちゃんを拒絶していたことを思い出し、罪悪感に苛まれた。
あなた「ごめん、また今度にしよっか」
歩夢「…………うん。ごめんね」
あなた「こっちこそごめん。まだ怖いよね」
あなた「その気持ち分かるから」
歩夢「……ありがとう」 ー自宅のベランダー
あなた「あの時は地雷踏んじゃったかな」
あなた(すぐに割り切れるものじゃないし難しいなぁ)
ガラガラ
あなた「あ、歩夢ちゃん」
歩夢「さっきベランダに出る音聞こえたから」
歩夢「私最近すっごく楽しいの。まるで高校生の時くらいに戻った気分」
歩夢「高校生の時は『今みたいな時間がずっと続けばいいのに』って思った」
歩夢「今でも思ってる」
あなた「歩夢ちゃん……」 歩夢「あなたは?」
あなた「私は……」
あなた「…………」
私はその問いに答えられなかった。
確かに歩夢ちゃんと過ごすこの時間は楽しい。
けど大人になって、しずくちゃんとひと悶着あって。時間というのはどんなに楽しい時でも、永遠に続く事は無いということを知ってしまったから。
それに人も、環境も、変わっていくのが自然な事。
変わらないのであれば、それは変わろうとしていないだけ。
そうなると寧ろ変わらない方が不自然なのかもしれない。
そう、今のこの時間も……
あなた(歩夢ちゃんも私も、将来の事を考えるとずっとこのままって訳にもいかないよね)
でも……
…………
ーーーー
そうして歩夢ちゃんとダラダラ過ごしているうちに一週間が過ぎた。
今日もさっきまでクソゲーを一緒に遊んでいたところだ。
慣れてきたのか、なんだかちょっと楽しくなってきている自分がいる。
最近、毎日が本当に早い。あっという間だ。
でもみんなに会いに奔走していた時もあっという間だったけれど、あの時と比べて中身がまるで無い。ただいたずらに時間が過ぎていくばかり。 こうして遊んで過ごしているのは、トキメキこそ感じないものの楽だし、ずっとこうしていたいという心地よさを感じる。
このままじゃダメだって事は頭では分かってる。
でも、何か強いきっかけでもない限り本当に抜け出せないんだ。つい数週間前までニートだった私が言うんだから間違いない。
いや、今もニートか。と心の中で1人苦笑する。
あなた(せっかく抜け出しかけてたのになぁ)
歩夢「ちょっとお手洗い行ってくるね」
あなた「あ、うん。いってらっしゃい」 あなた「なんか面白いテレビやってないかな」
ピッ
ピッ
あなた「あ、しずくちゃんだ」
あなた(記者会見……ってなんの発表だろう)
しずく「アーティストデビューの件ですが、私が希望するソングライターの方との交渉が決裂してしまったこともあり」
あなた(決裂……?)
しずく「本日をもって作曲の依頼は断念し、この件は白紙に戻すことになりました」
あなた「えっ──」
ダラダラしてるから…このあなたちゃんのダメ人間感生々しくて腹立つわ
書き方が上手いんだろうな 辛いこと面倒なことを放置してダラダラするのってダメだとわかっててもやっちゃうからなぁ ₍ @cメง*˶ˆ ᴗ ˆ˵リว ⁾⁾歩夢ちゃんを取って退廃的なバッドエンドへ向かうべき 流れ変わった…
クソゲーに引き込まれつつ合って笑うわ まあしずくちゃんもあなたからの連絡無視してるからなぁ 良い意味でどんどん悪い方向に向かってるのがたまらん
落ちるだけ落ちて、そこから急上昇や…! すみません
物語の整理とは別に心の整理が必要になったので遅れるかもしれません
もう終盤なので完結はさせます 了解です
お気持ちはわかります…
完結まで頑張ってください こうなったらいよいよ今後スクスタ設定のSSなんて出ないだろうな 20章で何かあったのか
まだ見れてないからドキドキする >>718
見ないほうがいい
特に果林愛しずく推しなら あなたちゃんとしずくに何があったんだ…
怖くて読めねぇよ… 一言で言えば、この先は地獄だぞ
割と真面目にアニメが正史と思わないとSAN値直葬レベル こんな事になったので先に結末をネタバレしておくと、あなしずハッピーエンドです
安心して読んでください
元々バッドエンドにする気なんて微塵もありませんでしたが、今やると自分が死にます
栞子加入前準拠なので、今スクスタで起こってる出来事は一切存在しません そもそも栞子加入しない世界だしな
20章なんて存在しないんや ハピエン知ってた
本当に無理せず自分のペースで書いてな
保守は任せろ 頼むぞ
似たようなしずく離反展開でもこっちはハッピーエンドだけどあっちは…… しかししずく裏切りの数日前にこの展開とか凄いな
予知かな? 20章で心を病むスクスタプレイヤー多すぎてワロエナイ あなた「え……え?ちょっと待ってよ」
あなた「だって連絡なんて無かったし、前に送ったメッセージも…………やっぱり、まだ既読付いてないのに……!」
あなた「え……嘘だよね?」
あなた「そんな……だって、私まだ何にも!」ピッ
あなた「ねぇ、電話出てよしずくちゃん!!返事してよ!!」プルプルプル あなた「ってこの記者会見生放送か……。そりゃ出るわけないよね」
あなた「今から行けばちょうど着く頃にはしずくちゃん事務所に帰ってきてるかな」
ガチャッ
あなた「とりあえず行かなきゃ!」バッ
歩夢「どこ行くの?」
あなた「え?」 @cメ*˶ˆ ᴗ ˆ˵リ
,. -- 、__ソ __ V、 _,. ---- 、
/ r'―,.>―――- 、 ヽ
i 、 `く/_ '. i
| ヽ ⊂`〈ヽ. > `ヽ. '. !
| ノ 〉'´ '. '. {
| / .. ; ,.: i 、i
| { :rッ;: : ゞ | !
|八 ` ノ 、 | 、
! ヽ. _ ´ _,. イ| 、
'. :! 八! i
i | /∧ヽ !
/ .,′ ,' \ /
| / { `ー'
| / 、
,.' ;} 、
/ `、 話は面白いけど筆が早いとは言えない方なのにちょくちょく別スレ立てるのが欠点だよね……そっちも未完で終わったりするの結構あるし 誰もそんな事気にしてないが?
好きな様に書いてくれればいい 欠点……?
創作の息抜きに創作とか普通によくあることだろ
むしろ沢山書いてくれてありがてえ 息抜きで書いたものエタらせてたらさすがに擁護できない 欠点とかどうでもいいから20章の傷が癒えてきたらまた読ませてくれ あなた「あ、歩夢ちゃん……」
声の主の方を振り返ると歩夢ちゃんがこちらの行く先を塞ぐようにドアの前に立っている。
全然気付かなかったけれど、いつの間にかお手洗いから帰っていたみたいだ。
あなた「どこって……普通に外に出ていくだけだけど……」
歩夢「嘘、またどこか遠くに行こうとしてる」
あなた「遠くって……別にそんな遠くには……」
歩夢「場所じゃなくて、心の距離が」 歩夢「なんとなく分かるよ……。またどこかへ行っちゃうんでしょ」
歩夢「だって、あの時と同じ目してる。1つの事に没頭して周りが見えなくなるときの目」
歩夢「この団地を飛び出して私の連絡を無視するようになった直前の目!」
あなた「……!」
歩夢「ねぇ」ギュッ
あなた「わっ……」
ドサッ
歩夢「お願い……。もうどこにも行かないで……ずっとここにいよう?」ポロポロ
あなた「歩夢ちゃん…………」
まぁ、この歩夢ちゃんも色々上手く行かずキツいっちゃキツイよな… _人人人人人人人人人人人人人人人人人_
> バーリバーリバリィ〜〜〜〜〜!! <
 ̄Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y ̄
/⌒\__,、. -――- 、,、___/⌒\
/ _ / l _、 \
/' `⌒ヽ./ (゚):(゚) ヽ _/⌒´ \|
/⌒/ ・・' Y⌒\
{ ((:::))トェェェイ((::::) ) _ }
人 l\_ _/ ( \
/ /`¨l  ̄ ̄ ̄ `¨T´\, -\
〈 ⌒ ーァ | /⌒\ , -r一' _/
 ̄了イ ! { } { rく⌒ヽ
〈ニノ_,∧ \_/ ∧ `┐l ノ
 ̄人 \ / `广¨´ 「あ、待ってください桜坂さん!もうアーティストデビューの予定は無いということでしょうか!!」
あなた「っ!!」
あなた「離して!歩夢ちゃん!!やっぱり私行かなきゃ!」
私の力が弱いのか、歩夢ちゃんの力が強いのか、簡単には引き剥がさせてくれない。
あなた「歩夢ちゃんが辛かった事にも気付かずに無視してたのは本当にごめん!」
あなた「でももう無視したりなんてしないから、離して!」
歩夢「悪いと思っているなら一緒にいてよ!!!」 歩夢「2人でずっと遊んで仲良く過ごそうよ……」
あなた「ごめん、私にはやっぱりやりたい事があるから」
あなた「そのためには、いつまでもここで立ち止まってるわけにはいかないんだ!」
歩夢「お願い、私を置いていかないで……」
歩夢「私はもう、歩き出せないから……」
あなた「…………歩夢ちゃんも本当は分かってるんじゃないの?このままじゃ駄目だって…………」
歩夢「…………」 あなた「私も歩夢ちゃんと同じで長らくグータラ過ごして来たけど、今の私にはやりたいことができて、今はその夢に向かって進んでるところ」
あなた「私でも立ち直れたんだよ。歩夢ちゃんなら──
歩夢「やりたい事や夢なんて何もない!」
歩夢「なのにあなただけ立ち直って……ずるいよ!」
歩夢「私はもう立ち上がれない、働けないの!」
あなた「本当に働けないの?嫌なことがあったからもう働きたくないっていうだけなら、私はそんな歩夢ちゃんは見たくない」
歩夢「うぅぅぅぅ……」
私を掴む力が緩んでいくのが分かり、少し胸が痛む。
あなた「ごめん歩夢ちゃん。友達だけど、友達だからハッキリ言うよ」 あなた「歩夢ちゃんのお母さん言ってたよ。歩夢もそろそろ働いてほしいって」
歩夢「え……」
歩夢「でも、お母さんも仕事辞めたいなら辞めていいって言ってくれたし、今だって何も言ってないよ……」
あなた「面と向かっては言いにくいんだと思う」
歩夢「嫌……無理だもん……」
歩夢「私には無理だったんだよ……」 あなた「…………それに、今の歩夢ちゃんは、私が好きだった歩夢ちゃんじゃない」
歩夢「えっ……」
あなた「今の歩夢ちゃんは全然魅力的じゃないよ!」
あなた「だって、今の歩夢ちゃん。なんにも頑張ってないもん!!」
歩夢「…………っ!」 あなた「確かに会社で辛い思いをしたのは分かるよ」
あなた「その時私が話を聞いてあげられなかったのも悪かった」
あなた「でも歩夢ちゃんは私がいなかっただけで何もかもが出来なくなるような人じゃないはず!」
歩夢「違うよ!私、やっぱりあなたがいないと……」
あなた「同好会の皆だっている!ただの仲良しグループじゃない、本気をぶつけ合った仲間が!」
歩夢「それは……」 あなた「辛いのはみんな同じだよ。でもそれでも皆大切なものを見つけて、頑張って生きてる」
歩夢「…………」
歩夢「あなたは、私に頑張ってほしい?」
あなた「頑張るかどうかを決めるのは自分自身だよ」
歩夢「難しいなぁ……」 歩夢「ホントは私もわかってたんだ。ずっとこうしているわけにもいかないって」
歩夢「怖くてずっと目を逸らしてただけ」
歩夢「そうだよね。皆やあなただって、辛いこといっぱいあってるはずなのに。私だけ落ち込んじゃって」
歩夢「コツコツ努力する事が私の強みなのに、そこで負けちゃったらダメだよね!」
あなた「歩夢ちゃん!」 あなた「今度は私無視したりしないし、同好会の皆もいる」
あなた「歩夢ちゃんは1人じゃないから」
歩夢「…………うん」
歩夢「私、働くよ」
歩夢「だからずっと一緒じゃなくていい。私の事、見ていて」
あなた「もちろん」
歩夢「最後に付いてきてほしい場所があるの。いいかな?」
ーーーー
あなた「付いてきてほしい場所って、花屋さん?」
歩夢「うん。ここ、覚えてる?」
あなた「確か、ファンクラブ用に花の種を買いに来た場所だっけ」
歩夢「覚えててくれたんだ……」 「ありがとうございました!」
歩夢「これも覚えてる?私にぴったりって言ってくれたお花」
あなた「ガーベラだね」
歩夢「私、この花と一緒に成長する」
歩夢「もう自分勝手にあなたを縛り付けたりしない。私達は離れていてもずっと一緒だもんね」
あなた「歩夢ちゃん……」 歩夢「これからもずっと……友達でいてくれる……?」
あなた「え?」
歩夢「えっ……だめなの!?」
あなた「ぷっ……」
あなた「あっはっはっは!!!!」
歩夢「ええ!?なんで笑うの!?」 あなた「だって、歩夢ちゃん変な事聞くんだもん!」
歩夢「だって!さっき今の私は嫌いって!魅力的じゃないって!」
あなた「あっ……まぁ確かに言ったけどあれは……」
歩夢「私、こんなだからまた挫折しちゃうかもしれないし、夢なんて見つからないかもしれないし……」
歩夢「そうしたら今度こそ愛想つかされちゃうんじゃないかって不安で……」
あなた「…………」 あなた「そうならないために私達がいる。だからこれからは何かあったら。いや、何もなくてもいつでも連絡してよ」
あなた「それに安心して、どんな事があっても私達はずっと友達だよ。」
歩夢「………っ!!!」パァァ
歩夢「うん!うん!!連絡いっぱいするね!」
あなた「それに幼稚園の時のこと覚えてる?」
歩夢「え?」
ーーーー
あなた(5)『わたしたち、ずっとおともだちでいようね!』
歩夢(5)『うん!』
ーーーー
歩夢「覚えてて……」
あなた「今更歩夢ちゃんのこと嫌いになんてなれないよ」
歩夢「わっ……私も!」 歩夢「これからも親友として私のこと見ててね」
ーーーー
歩夢「行っちゃった……。さて、私も頑張らないと」
「あなた、よく見たら上原歩夢ちゃん……?」
歩夢「え…………?」
ーーーー 歩夢ちゃんと分かれた私は、急いで駅に向かう。
歩夢ちゃんともちゃんと話せて、彼女のお母さんの頼みも解決に向かって。もう他に心残りは何も無い。
私がいなくても、もう大丈夫だろう。仮に躓くことがあっても、彼女には私や、同好会の皆がついている。
躓いても躓いても、何度でも立ち上がればいいんだ。
そうするだめの力が、彼女には備わっているんだから。
あなた(しずくちゃん……待ってて)
もう答えは出たから
あなた「あとは、私のやりたい事をやるだけ!」
ーーーー 歩夢、お花屋さんにでもスカウトされるんかな?
ついにしずくに会いに行くか…楽しみです
受付「申し訳ございません。外部の者をお通しするわけにはいきません」
あなた「えっ」
あなた「え、いや。私しず……桜坂さんの知人ですよ?」
受付「はぁ……」
あなた(ってよく見たら、この人この前しずくちゃんが事情を説明してた人と違う人だ)
受付「あの……アポイントメントは取っていますでしょうか?」
あなた「取ってないけど……桜坂さんに連絡できますか?私の名前出せば絶対出てくれると思うので!」
受付「…………」
こちらに疑いの目を向けながらも渋々といった感じで受話器を取ってくれた。
しかし…… 受付「はい、はい。いえ、失礼いたしました」
ガチャッ
受付「申し訳ございません。やはりその様な要件は無いのでお引取りください、と」
あなた「……っ!」
あなた「やっぱり直接話さないと!!」バッ
受付「ちょっと!どこ行くんですか!?」
あなた「直接しずくちゃんの所に行く!!」
受付「許可も無く通すわけには行きません!」
受付「止まらないと……け、警察呼びますよ!!」
あなた「う"っ」
警察と呼ばれて勢いに任せていた足がピタリと止まる。
振り返れば騒ぎを聞きつけたのか人が集まり始めていた。
冷静になって考えれば、今の私の行動は不法侵入そのものだ。
いくらドラマチックな展開とはいえ常識的に許される行為ではない。
あなた(ホントに警察呼ばれる前に引き下がるか……) あなた「でもそう簡単には諦めないよ。事務所にいるのは分かったから、物陰でしずくちゃんが出てくるまで待ち伏せだ!」
あなた「…………」
あなた「…………」
ポンポン
あなた「はい?」
警官「あのぉ、ちょっとお話よろしいですかぁ?」
あなた「……!!」
あなた「す、す、すみません!!!」ビュー あなた「はぁ……はぁ……捕まらなくてよかった……。もうこれじゃあ完全にストーカーだよ」
あなた「後は……劇団の方を見張る……のもさっきと同じ事になりかねないし」
あなた「家は……そういえば鎌倉の実家じゃない、今のしずくちゃんの家知らないや」
そもそも仮に場所を知ったとしても、家に押しかけるのは流石にマズい。それこそ下手をすれば警察を呼ばれかねない。
あなた「あとは……出待ちしてるファンの人と連絡取って一緒に張り込む?」
あなた「…………」
あなた「いや、会えるかもしれないけど1対1で話できないだろうし……」
あなた「はぁ……」
これからどうすればいいのかな…… 悩んだ私はお台場のバーにふらっと流れ着いた。
一旦心を落ち着かせたかったというのもあるけれど、しずくちゃんが来るかもしれないという希望も僅かながらにあったからだ。
これは事務所前の待ち伏せとは違って、単に私がバーを利用している所にたまたま偶然しずくちゃんと鉢合わせするだけだからストーカーじゃない……
よね?
マスター「今日はお一人なんですね」
あなた「え?」 飲み始めて1時間くらい経った頃、マスターが突然話しかけてきた。
今までマスターから話しかけてくる事なんて無かったから、状況を整理するのに少し時間が掛かる。
あなた「え、ええ……。たまには一人で飲みたい日もありますよ」
マスター「そうですか……」
本当は一人で飲まざるを得ないだけだけど。
嫌な事を忘れるように無理矢理頭に押し込んだアルコールには、しずくちゃんと2人で飲んだ時のような美味しさは無かった。 翌日、私はお台場駅の柱にもたれかかっていた。
腕時計に目を落とす。もうすぐ9時だ。
さて、そろそろ行こうかな。
あなた「まずは映画館……」
あの日彼女と来た映画館。
そこで私は同じ映画を見て
あの日と同じく、目が潤んだ。
あなた(ハンカチハンカチ……)
あの日と違い、隣にハンカチを貸してくれる人はいない。
彼方「またうちの店に来てくれたんだ〜!」
あなた「うん、この前来た時すっごく美味しかったからね。ちょっと奮発して」
あなた「それに……」
彼方「それに?」
あなた「……」
あなた「いや、ディナーは予約でいっぱいだけど今日のランチは予約無くても食べられてラッキーだなって!」
あなた「この料理、すっごく美味しいよ!作った人に伝えておいて!」
彼方「お、おう……」
彼方「泣くほど美味しかったの?」
あなた「えっ」 彼方さんに言われて瞼を少し擦ってみると、薄っすらと濡れているようだった。
あなた「…………そうみたい」
彼方「彼方ちゃんも早くあなたを私の料理で泣かせられるようになりたいな〜」
あなた「う、うん!彼方さんならきっとできるよ!頑張って!」
彼方「ありがとう〜頑張るね!」
彼方「さて、そろそろ戻らなきゃ。しずくちゃんは今日仕事かな?しずくちゃんにもよろしく言っておいてね」
あなた「うん…………言っておくね…………」
あなた(あの服、まだ残ってるかな?)
スッスッスッ
あなた「あった」
見つけた服を手に取り、店の鏡の前で合わせてみる。
あなた「あはは、やっぱり私には可愛すぎるよこれ」
あなた(…………)
あなた(あとはこれとこれと……)
あなた「すみません、これらの服ください」
あなた「かすみちゃん、お疲れ様」
かすみ「せんぱ〜い!いらっしゃいませ〜!」
かすみ「あ、先輩服買ったんですか?ちょっと見せてもらってもいいですか?」
あなた「いいよ」
袋を開けて中の服を覗き込んだかすみちゃんの目がキラキラと輝いた。
かすみ「めっちゃ可愛い服ですね!流石先輩、センスいいです!」
あなた「前にしずくちゃんが選んでくれた服なんだ」
かすみ「え"っ"、しず子が?ぐぬぬ……流石大女優……」
一転して眉をひそめて悔しそうに唸るかすみちゃん。
この反応の差はなんなんだろう。 あなた「それよりかすみちゃん、しずくちゃんあれから来てない?」
かすみ「え、しず子?来てませんけど……」
あなた「じゃあ連絡って取れるかな?」
かすみ「先輩、スマホ無くしたんですか?連絡先は知ってますよね?」
あなた「いや、スマホは無くしてないし連絡先も知ってるんだけど、私のスマホからはかけづらくて……」
かすみ「喧嘩でもしたんですか先輩?……ちょっと待ってて下さい」
かすみちゃんは他にお客さんがいない事を確認してから、裏に回った。
少し時間が経ってから出てきたかすみちゃんの表情から何となく結果を察した。
かすみ「あれ……おかしいな。私の携帯からも連絡つかないです。確かに電話かけるのなんて久しぶりだけど、かすみん何かしちゃったかな」
あなた「……多分だけど、しずくちゃんの事だから、私が他の同好会の子に頼んで代わりに連絡をかける事くらい想定済みだったんじゃないかな」
あなた(おそらく他の皆からも同じだろうし、仮に繋がってもすぐに切られるのが落ちかな)
かすみ「えぇ……先輩ホントになにやったんですか……」
あなた「ちょっと複雑な事情が……」 あなた「っと、パンも買ってくね」
ヒョイヒョイヒョイ
あなた「お会計お願い」
かすみ「はいはーい。って先輩、このパン気に入ったんですか?」
あなた「え?」
かすみ「いや、この前しず子と一緒に来た時買ったパンと同じの買ってますから」
あなた「そうだっけ……」
かすみ「そうですよ!このパン達がお気に入りなら、次先輩が来るまでにもっと美味しく作れるようにしておきますね!」
あなた「うん、ありがとう」
あなた(全然意識してなかったんだけどなぁ) かすみんベーカリーで買ったパンを片手にお台場海浜公園のベンチに座る。
あなた(そういえばここしずくちゃんの目撃情報よくあるとかなんとか言ってたなぁ)
しかし周りをよく見ると、平日昼にも関わらず意外にも人がそこそこいる。
なんならしずくちゃんのファンらしき集団さえいる。
あなた(こんな状況じゃ話なんてできないか……)
あなた「………」
あなた(お日様も照ってて、海風も涼しいし、なんだかすっごく気持ちい……)
ーーー
ーー
ー あなた「……ん、んん…………」
あなた「あ、夕焼け……綺麗だな……」
あなた「…………」
あなた「ん!?夕焼け!?」
バッと飛び起きて、何か荷物を取られていないか確認する。
完全無防備で寝ていたけれど、幸いなことに何も盗られてはいないようだ。
あなた(のんきに寝ちゃってたんだ私……)
あなた「……次行こっか」
「え、みゆさん?あぁつい先日辞めちゃったんだよ」
「まぁ最近落ち目だったしちょうどよかったのかもね。いくら綺麗でもやっぱり30手前はね。引け目感じてたりしてたのかな?」
あなた「そうですか。彼女目当てだったので帰りますね」
あなた(果林さん、ちゃんと辞めたんだね)
「それよりさ、彼女なんかよりもっと若くて綺麗な子いっぱい──」
あなた(同じ場所を回ってみたけど、結局気持ちの整理付かなかったな……)
そして今日も一人旅の終着点となったいつものバーで、私は彼女を待ち続ける。
ーーーー
あなた「ん、メッセージ、歩夢ちゃんだ」
あなた「…………仲直りできたんだ。よかった」
歩夢ちゃんからはメッセージと共に璃奈ちゃんと愛ちゃんとの3ショット写真が送られてきた。
歩夢ちゃんはあの後璃奈ちゃんと愛ちゃんに会いにいって、あの時冷たく突き放してしまった事を誤りに行ったらしい。
いずれは他の皆にも会いに行きたいと言っていた。
それに、あの時私と別れた後花屋の店長が歩夢ちゃんのファンだったらしく、看板娘としてアルバイトに採用されたようだった。
歩夢ちゃんはもうすっかり前に歩き出している。
それに比べて私は…… しずくちゃんがこんなに会いにくい人だとは思わなかった。
そりゃ当然か。
芸能人なんて簡単に会えるような人じゃないし。ましてや個人的に話すなんて普通は無理だ。
今までが普通じゃなかっただけなんだ。
改めてしずくちゃんは全く違う世界の人なんだなと痛感させられる。
あなた(あんまりしたくないけどやっぱりファンと一緒に追っかけしていくしかないのかな?)
あなた(いや、でもそれは……)
ストーカーや厄介行為をしたくないってのもあるけれど、私はしずくちゃんの一ファンにはなりたくなかったから。
ーーーー
しずく『先輩は私のこと女優じゃなく後輩の女の子として接してくれないと嫌です!』
ーーーー
私はやっぱり、後輩としてしずくちゃんと接したかった。
いや、もう後輩としては見れないかもしれないけれど。 今日も私はバーに通い詰める。ここ毎日ずっとだ。
勿論1番の目的はしずくちゃんが来店するラッキーを待っているんだけど
最近はただひたすら、しずくちゃんと一緒の時のお酒の味を追い求めるようにお酒を飲んでいる。
今日もまた、喉にアルコールを流し込む。
あなた(なんで……しずくちゃん……)
会えない日々が続いて思いが薄れるどころが、日に日に強くなっていき、自分でもどうしようもなくなっている。
伝えたいのに思いが伝えられない。
今ほど璃奈ちゃんが感じていた辛さが分かる時は無いだろう。
いや、璃奈ちゃんだけじゃない。きっとしずくちゃんだっていっぱい思いを我慢していたんだ……。
それを私が……。
あなた(悪いのは全部私なのに、謝ることすらできないなんて……)
マスター「大丈夫ですか?なんだか辛そうですよ」
あなた「ほっといてくださいよ……。どうせ私はしずくちゃんに捨てられた哀れな底辺ソングライターですよ」ヒクッ
マスター「……」
あなた「ここにいたらもしかしたらまたしずくちゃんに会えるかもって思ってたんですけど、甘かったみたいです」
お酒の高揚も手伝って、はぁ〜とわざとらしく深くため息をついてみせる。 あなた「やっぱり私としずくちゃんの関係はあの時終わってたのかなって。当然ですよね。しずくちゃんを跳ね除けたのは他でもない私なんですから」
あなた「マスター、今までありがとうございました。今日で飲みに来るの最後にします」
あなた「それで、もうしずくちゃんの事は諦めます。私も歩夢ちゃんや果林さんみたいに、また新しくやりたい事をみつけて前に踏み出さないと」
あなた「いつまでも叶わない夢にしがみつくわけにもいきませんもんね。あと2年もしたら30になっちゃうんだし」アハハ
マスター「本当に、それでいいんですか?」
あなた「え?」
マスター「もうすぐあの日ですよね」
あなた「あの日?」
マスターの視線に釣られて、壁に貼ってあるカレンダーを見つめ、その日の意味を把握する。
あなた「…………そうですね」
マスター「その日また来てみてください。諦めるのはそれからでも遅くないと思いますよ」
あなた「え、それってどういう……」
マスター「そうですね……その日来ていただければ特製のカクテルをご馳走しますよ」
私の疑問を無視してマスターは話を進める。
あなた「特製カクテル?」
マスター「ええ。気になりません?特別に無料で提供いたしますよ」
…………別に無料に釣られたわけではないけれど、もう少しだけ待ってみても遅くはないかな。
なんとなくそんな気がした。
その日は特別な日。
その日に会えなければ、きっとしずくちゃんへの未練も断ち切れると思うから……。
次回の更新で最後になります。
今までコメントしてくださった方、保守してくださった方、読んでくださった方、本当にありがとうございました。
全て書き上げた後加筆修正して渋に上げる予定なので、終わった後もコメント色々いただけたら参考や励みになります。 おつやで
次回で終わりか……ここSS読むのがここ数ヶ月の生き甲斐のひとつだったから寂しいけど、何より楽しみです
のんびり待ってるで! もう終わりか…
1年近く経つけど終わるのは寂しいわ 更新乙
また一つ楽しみが減ってしまうけど完結するのも楽しみ ーーーー
初めは、サポートしてくれる事に対しての感謝や尊敬としての感情にすぎなかった。
「やっぱり、スクールアイドルへの情熱は無くなってなかったんだね!」
かすみさんと一緒に再び私をスクールアイドルに誘ってくれた少女。
彼女は私のために曲を作ってくれて、真摯に話を聞いてくれた。
そんな彼女と交流を深めていく内に、自分の中である感情が芽生え始めている事に気付いた。
初めてだった。物語の中の人物ではなく実在する人、それも同性をこんなに好きになってしまうなんて。 でも私は女性で、彼女もまた女性。
この恋は実らない。それは分かりきっていた。
女の子を好きになる女の子なんてごく少数。世間一般から見ればまだまだ理解が遠く及ばないマイノリティな存在。
それなのに実は先輩もそうでしたなんて、ある日突然白馬に乗った王子様が攫いにくるような、そんなおとぎ話みたいな事あるわけが無い。
ハッキリと確認したことはないけれど、今の関係性を崩すのが嫌だったから、このままでも十分だとそう自分に言い聞かせた。
そう思っているうちにあっという間に時が過ぎ、先輩は虹ヶ咲学園を卒業した。
告白は、しなかった。 時が経ちもうすぐ20歳になる頃、ダメ元でメールを送ってみた。
在校中に約束していたから。私が20になったら一緒にお酒を飲みに行こう、と。
卒業以来連絡がつかなかった先輩だけど、意外にも返信が来た。
たまらなく嬉しかった。何気ない会話の中で出た程度の口約束だったけれど、先輩も覚えていてくれたんだ、って。
久しぶりに会った先輩は、少し大人びた雰囲気になっていて、緊張してしまった。
一方先輩も私に対して緊張していたようで、友達なのにおかしいですね、って2人で笑いあった。
初めて飲んだカクテルの味は……あまり覚えていないけれど、とてもいい気分だったことは覚えている。
私がお酒をよく飲むようになったのも、この時飲んだお酒の感覚を追い求め続けているから。
未だに同じ感覚は味わえずにいるけれど。
それから何回かお酒を一緒に飲みには行った。
でも、私の稽古がどんどん忙しくなっていった事で、その関係はやがて自然消滅していった。
メッセージもまた返信が返ってこなくなった。
もっともそれ自体あまりショックは無く、嫌われんだなとは思っていない。
先輩自身がアーティストとして打ち込むために、なるべく皆に甘えないように連絡をたっている事は知っていたし、私も再びその中に戻っただけだから。
会えなくなるのは残念だったけど、この気持ちをカミングアウトして気持ち悪がられ絶縁、となるよりマシだと思った。 以降私は、ひたすらお芝居に打ち込んだ。
幸運にも朝ドラのヒロインに抜擢され、気付けば本当に大女優と呼ばれるまでになっていた。
これからはひたすら女優業を頑張っていくんだと、先輩の事を徐々に胸の奥にしまい込んでいたその時
マネージャーがアーティストデビューの話を持ち込んできた。
これはチャンスだと思った。また先輩と一緒に活動できるかもしれないチャンス。
再びダメ元で送ったメールだったけれど、なんとその日のうちにメールが返ってきた。
また先輩と一緒にいられる!そう思うだけで胸の高鳴りが止まらなかった。 7年ぶりにあった先輩は……髪もボサボサで普通だったら千年の恋も冷めそうな格好で現れた。
でも私の場合は冷めるどころが、以前までとは比べ物にならないほど心の炎が燃え上がるのを感じた。
先輩を好きになったのは若気の至りかと思ったし、そうだと自分に言い聞かせてきた。
だけれど好きになってから10年以上経ってもその思いはずっと変わらなかった。
それどころが再び一緒に過ごしていくうちに、先輩への思いはより一層強くなっていった。
もう自分の気持ちの誤魔化しはできない。
それでも私は先輩への思いを告げるわけにはいかなかった。
なぜなら、先輩が私に求めている理想の後輩(ヒロイン)像は、あくまで後輩としての桜坂しずくなのだから。
先輩との飲みは楽しかった
だけどもそれは、後輩として
デートだって凄く楽しかった。
あくまで、後輩として
そしてついに曲を貰えて有頂天になっている中、先輩は私にこう言った
あなた「ずっと一緒にいたいな」
そんなの、私だって同じ気持ちだ。
ただ一緒に過ごすだけ。
それだけで満足だったはずなのに。
そんなことを言われてしまったら
ひょっとするとこれは両思いなのではないか?ベタなプロポーズなのか?
先輩がどんな意味でそれを言ったのか分からない。でももはや私の理性は限界だった。
先輩ももうすぐ30。いつどこかの馬の骨と結婚してしまうかも分からない。ならチャンスは今しかない。
そう思った
そう思ってしまった
私の中の様々な思いが心の底から溢れ出し
思いを秘め続ける理想の後輩は
「好きです」
その瞬間舞台を降りた
この恋が実ることはない。そんな事分かりきっていたはずなのに。
先輩に突き放された瞬間私はすべてを察した。
あぁ。これは、演じることを放棄した役者への「罰」だと。
こんなことなら報われなくても、
先輩がいつか素敵な男性と結婚するとしても、
先輩が思っているように「仕事仲間」としてずっと一緒にいる事を選んでいればよかった。
でもそんな後悔はもう遅い。私は、先輩の物語に関わらないように姿をくらませた。
先輩からの連絡は全てブロックした。先輩と間接的な交流もある同好会の皆もだ。
幸い今の家は教えていなかったので、直接会いに来るようなことも無い。
先輩と別れた次の日こそ少し吐いてしまったものの、仕事に打ち込むうちに意外とすぐに一ヶ月が過ぎた。
4月3日。
今日は私の28歳の誕生日で、27歳の私が終わる日。 私はいつものようにバーに向かっている途中。毎年どんなに忙しくても、この日だけは必ずここを訪れるようにしている。
つまりは未だに忘れられないんだ。先輩と初めてお酒を飲んだあの日のことを。
でもそれも今日で終わりにしよう。先輩の事は忘れて生きていこう。
私も三十路が近づいてきている。また親から結婚催促されるのかな。
そろそろ私も新しい恋を探す時なのかもしれない。
今度は報われない女性への恋などではなく、受け入れられやすい異性との恋を……
しかし、10年以上もずっと思い続けていた恋が、あんなにあっさり壊れてしまうなんて。
今の私はさながら悲劇のヒロインのようだ。
でもよかったじゃない、しずく。
あなたこういう悲劇、大好きでしょう?
しずく「でもそれは……」
そう、それは物語としての話。
しずく「現実ではやっぱり、ハッピーエンドがいいよ……」
そう思いながら扉のドアノブを引いた先には
しずく「こんばんは、マスター。今日もいつもと同じものを──
「しずくちゃん!!」
しずく「……!?」
しずく「せん……ぱい……」
去年まで空席だった場所に、私を嫌っているはずの人がいた。
あなた「しずくちゃん!!」
やっと……
やっと会えた!!
しずくちゃんは私を目に留めるなり後退りして逃げ出そうとしていたけれど、動揺して判断が遅れたのかあっさり捕まえられた。
しずく「離してください!」
あなた「離さない!」
あなた「ずっと会いたかったんだから!会って、話がしたかった!」
しずく「私は…………会いたくありませんでした」
しずく「返事を聞くのが、先輩の口からはっきり拒絶の言葉を聞くのが怖かったから……」 観念したのか、しずくちゃんの抵抗する力が弱まっていく。
しずく「でもそうですね……。ここで今日会えたのも何かのめぐり合わせかもしれませんね」
しずく「分かりました、もう逃げません、私は罰を受け入れます。今日は過去と決別するためにここにきたんですから」
あなた「私も、この未練を断ち切るために来たんだ」
しずく「外、行きましょうか」
あなた「…………うん、分かった」
あなた「すみませんマスター、お代ここに置いておきます」
バタン
マスター「いってらっしゃい」
あなた「ここは……」
連れられてやってきた場所は、しずくちゃんが私に思いを伝えた場所……。
しずく「先輩、あの時は勝手に逃げてしまいすみませんでした。先輩も思いを吐き出せずにイライラが溜まってますよね」
しずく「さぁ、先輩。あの日の答えを聞かせてください。覚悟はできてますから」
そういいつつも、しずくちゃんの声は明らかに震えている。
あなた「…………」
あなた「しずくちゃん……あのね」
しずく「……うぅ」
あなた「しずくちゃん!?」
しずく「うぅ……あぁぁぁ!」
下を向いてすすり泣き始めたかと思えば、今度はうずくまって両手で耳を塞ぎだした。
しずく「すみません!やっぱり……やっぱり聞きたくないです……!!」
あなた「聞いて!しずくちゃん!」
しずく「いや!聞きたくない聞きたくない!」 しずく「覚悟ができてるなんて嘘です!やっぱり駄目!先輩の口からそんな事言われたら、きっと私耐えられない!」
あなた「しずくちゃん…………」
しずく「聞きたくな──んんっ!?」
顎を引き上げ、その身で分からせるために一向に話を聞こうとしないしずくちゃんの口を塞ぐ。
しずく「……ぷはっ」
あなた「これが私の答えだよ。これでもまだしずくちゃんは私から逃げるつもり?」
しずく「どうして……」
あなた「私、しずくちゃんを突き放しちゃった後、本当のしずくちゃんが分からくなったとか何とか言っていじけてた」
あなた「私の事を好きだなんて思いもしなかったから、突然あんな直接的に気持ちを伝えられてびっくりしたんだ」
あなた「それで突き放しちゃった。ごめん……」
しずく「…………」 あなた「私ね、しずくちゃんに思いを伝えられてから、女性同士って事について色々悩んだし考えたんだよ。
でも答えは出ないまま時間が過ぎていった」
あなた「そんな中あの記者会見を見た時、しずくちゃんが私から離れていくのが信じられなくて!どうしても受け入れられなくて!
あなた「私の側からいなくなっちゃうかもって思った時、胸がキュゥゥって締め付けられて耐えられないくらい辛かった!」
あなた「久しぶりに会った皆が遠い所に行っちゃったような感覚も寂しくて辛かったけど、しずくちゃんの時はそれらとは全然違う感覚だったんだ!」
あなた「きっと私も、いつの間にかしずくちゃんのことが好きになってたんだと思う。
きっとこれは、しずくちゃんの言う好きと一緒」
あなた「普通じゃないとか、女性同士だからとか、そんな事悩む必要無かった!
私はしずくちゃんが好きで、しずくちゃんと一緒にいたい!ただそれだけだったんだ!!」
しずく「先輩……」
あなた「私はどんなしずくちゃんでも受け入れる。だから、これからは本当のしずくちゃんを……」
あなた「いや、本当の、なんて言い方はおかしいかな。もう、私の前では演じなくていいんだよ」
しずく「えっ、それって……!」
あなた「私、しずくちゃんのこともっと知りたいんだ」
しずく「バレて……いたんですね。理想の後輩を演じていること」 しずく「先輩。ほんとに、どんな私でも受け入れてくれるんですか……?」
あなた「うん」
しずく「またいきなりキスするかもしれませんよ」
あなた「私だってさっきしたよ」
しずく「それ以上の事したいって言うかも」
あなた「…………一応勉強はしたから、優しくしてくれるんだったら……」
しずく「本当の私は、先輩が思っているようないい子じゃないかもしれませんよ」
あなた「だから言ってるでしょ、どんなしずくちゃんでも受け入れるって」
しずく「本当に……」
しずく「本当に私はもう、ガマンしなくていいんですか?」
しずく「嫌われないように先輩の理想を演じるんじゃなくて、私のしたいようにするわたしの理想のヒロインになってもいいんですか……?」
あなた「うん。だって、二人きりの時は女優として接してほしくないんでしょ?」
しずく「…………じゃあ、改めて言わせてください」
しずく「先輩、好きです。私と……」
しずく「桜坂しずくと付き合ってください!!」
あなた「喜んで、お付き合いさせてください」
しずく「…………」
しずく「うっ……」
しずく「わぁぁぁぁぁん」
その瞬間目の前の女性は、まるで子どものようにその場に泣き崩れた。
それは学生時代でも時折見せた弱々しいしずくちゃんそのもので。
これは演技でもなんでもなく、正真正銘彼女自身の本当の気持ちなんだと思った。 ーーーー
しずく「改めて、よろしくお願いします。その……恋人同士として……」
その後なかなか泣き止まないしずくちゃんを連れてそのまま観覧車に乗車した。
感情を吐き出したことで今はかなりスッキリしたようだ。
しずく「仕事柄あまり表立ってデートはできませんけど、先輩と2人で色んな所に行ってみたいです」
あなた「そ、そうだね///」
あなた(今度からは、正真正銘恋人同士としてのデートってことに……)チラッ
しずく「……?」
あなた(よく考えなくても私にはもったいなさ過ぎる!!)
あなた「しずくちゃんはいつから好きでいてくれたの?」
しずく「いつから……かは自分でも分かりませんけど、2人で映画の舞台になった花畑に行った時には既に大好きでした」
あなた「え!?そんな前から……!?」
あなた「そ、それはなんというか……」
あなた「気付かなくてごめん」
しずく「先輩が謝る必要ありませんよ、バレないように隠してたんですから。寧ろそれだけ私の演技力が凄かったってことですよね!」
あなた(今思い返すと確かに私の事が好きなのかな?って思い当たる節があるのは黙っておこう……)
しずく「先輩は、私のどこを好きになってくれたんですか?」
あなた「えぇ!?どこを!?」
あなた「そうだな……気付いたら、だったからそれは自分もハッキリ分かんないけど、強いて言うなら……」
しずく「髪きれいだしいい匂いするし可愛いし美人だし見つめられるとドキッとするし一緒にいて楽しいしオシャレだしスラッとしてて可愛いし顔がいいし雰囲気が艶めかしいし声も綺麗だし清楚だし演技も上手いししっかりしているし、かと思えば意外とあわてんぼうだったり抜けてる所もあって──」
しずく「やっぱりもういいです!!これ以上は私が耐えられません///」
あなた「でも1番は私のことを好きでいてくれてるところかなぁ」ニヤニヤ
しずく「もう……///」ポカッ
でも監視委員会なんて汚い手を使う部に寝返りましたよね しずく「ほ、ほら!夜景が綺麗ですよ〜」
あなた(なんてわざとらしい気のそらし方……)
あなた「しずくちゃん、ちょっと思ったんだけど理想の後輩とやらはやめたんだから、別にもう丁寧語じゃなくてもいいんだよ。疲れない?」
しずく「いえ、これは別に演じてるとかじゃなく素ですけど……」
あなた「あ、それは後輩キャラ演じてたからとかじゃないんだ……」
しずく「はい、親しき中にも礼儀ありです」 しずくちゃんが心を読んだのかと思って笑ってしまった あなた「なんか、思ってたよりあんまり変わらないね」
しずく「そうでしょうか?」
そう言ってしずくちゃんは立ち上がり、円形の椅子を向かい合って座っていた状態から、肩が触れ合う程至近距離に移動した。
あなた「わっ」
しずく「これからは、遠慮なくアプローチさせてもらいますから」
そのまま体を押し付けてグイッと迫ってくる。 しずく「先輩、もうすぐ頂上ですよ」
あなた「うん、そうだね///」
しずく「ここの観覧車、頂上でキスをすると、別れないっていうジンクスがあるみたいですよ」
あなた「ふ、ふーん……そうなんだ……」
しずくちゃんが何を言いたいのかは分かるけれど、恥ずかしさからとぼけてみせる。
これじゃさっきのしずくちゃんを笑えない。
しずく「このまま抵抗しないと、もう返品できなくなっちゃいますけどいいですか?」
あなた「大金積まれたって手放したりしないよ」
そう、これからはどんな事があっても、この手を2度と放してなるものか。
頂上に到達すると共にどちらからともなく交わした口づけと共に、心の中でそう強く誓った。
ーーーー 「ご利用ありがとうございましたー。またお越しください〜」
しずく「先輩。手、繋いでもいいですか?」
あなた「こんな街中で大丈夫かな?バレて問題になったりしない?」
しずく「同性ですから傍から見たら、仲のいい友人同士にしか見えませんよ。きっと」
あなた「そうかな……バレたらファンに殺されそうだけど」
しずくちゃんと自分の身を案じる事にはなったけれど、
しずく「〜♪」
嬉しそうなしずくちゃんの横顔にいっぱいトキメいてしまった。
あなた(こんな顔見せられたら、もっと好きになっちゃうよ……) しずく「そういえば先輩、なんで今日バーにいたんですか?」
あなた「バーで待ってたらしずくちゃんが来るんじゃないかと思って。本当は少し前にもう通うのやめようとしたんだけど、マスターに今日だけでも来てみればって言われたんだ」
あなた「その日はしずくちゃんの誕生日だし、まぁ行ってみようかなって。そしたらホントに来たからびっくりしたよ!」
あなた「今日しずくちゃんが来なかったら本当に諦めてたかな」
しずく「私も、今日で先輩の事を綺麗さっぱり忘れるつもりでした」
あなた「そうだったんだ……すごい偶然だね」
しずく「…………もしかしたら偶然なんかじゃなく、マスターは毎年今日の日は私が来るってことを知ってて、それを先輩にそれとなく教えたのかもしれませんね」
あなた「え!なんか特製カクテルで不自然に繋ぎ止めようとするから何かあるのかなって思ってたけど、そういうことだったんだ……」
あなた「ん……?」
しずく「どうしました?先輩」
あなた「…………あ、特製カクテル!」
しずく「特製カクテル?」
あなた「そうだよ特製カクテル!マスターに今日来たら作ってもらえるって言ってたのに。そういえばまだ作ってもらってない!」
あなた「戻ろう!しずくちゃん!」バッ
しずく「わっ!」
しずくちゃんを連れて走り出す。
握った手は、そのまま離さない あなた「マスター!」バンッ
マスター「おかえりなさい」
あなた「え……ただいま……?」
あなた「あの、特製──」
マスター「今準備いたしますね」
あなた「あ、はい」
あなた「あの、マスター」
マスター「なんでしょう」
あなた「しずくちゃんが今日ここに来ること知ってましたよね?それであの時諦めようとした私の事引き止めてくれて」
マスター「……なんの事でしょう。私はただカクテルを勧めただけですよ」
あなた「とにかく、ありがとうございます」
マスター「…………覚えはありませんが。一応、受け取っておきますね」 しずく「なんだかこのバーも懐かしいです」
あなた「昔の事みたいに思えるけど、ちょっと前の事なんだよね」
あなた「しずくちゃんが呼び出してくれて、ここで曲を作ってほしいって言ってくれて。皆ともう一度会ってみることになって」
しずく「結局皆には会えたんですか?」
あなた「うん、会ったよ。色々あったけど、皆とまた会えて楽しかったな」
しずく「いいなぁ……私も会いたいです。特にエマさんなんかは今もスイスにいるんですよね?旅行に行く休みなんて絶対取れないだろうし……」
あなた「きっといつか会えるよ。皆もしずくちゃんに会いたがってるだろうし」
しずく「そうですね。先輩が言うなら、いつか本当に会えそうな気がします!」
マスター「お待たせいたしました。特製カクテルになります」
あなた「え、これって……」
しずく「あの日、私達が初めて飲んだお酒……」
あなた「…………今なら、あの時みたいに美味しく飲める気がする」
しずく「私もです」
あなた「しずくちゃん、28歳のお誕生日おめでとう!」
しずく「ありがとうございます!改めて、これからもサポートよろしくお願いしますね!先輩!」
あなた「それじゃあ飲もうか」
「「乾杯」」
2人の世界に祝福の音が響き渡る。
あなた「んっ…………美味しい」
その夜しずくちゃんと一緒に飲んだカクテルは
今までで1番気持ちよく酔うことができ、
今までで1番 甘い味がした。
桜坂しずく(27) 終
ーーーー お疲れさまでした
1月から完結までずっと追ってきて楽しかったです お疲れ様でした
スレタイも無事に回収して素晴らしい お疲れ様でした!楽しかったです!
貴重なあなしずをありがとうございました 長編の大作、お疲れ様でした。そして本当にありがとう。
このSSの更新を楽しみに仕事に行ってたりしました。
素敵なあなしずだった!とりあえずもう一回最初から読み返してきます!! 元スレ建てた者だけどこんな大長編になるとは思わなんだ
面白かった、>>1に書いてもらえてよかったよありがとう 完結お疲れ様でした
素晴らしい物語をありがとうございます
スレタイの数字が増えたことに意味がある綺麗なラストでした 楽しみがひとつ減っちゃったぜ
長い間お疲れ様でした!
自分の夢を叶えられたしずくちゃんに乾杯 途中で送信しちゃった…
乙乙乙
>>879の部分はミスだよね? 完結本当にありがとうございました
約1年近く?毎日の様に覗いてたから終わるのはちょっと寂しいわ…
あなしず増えますように… お疲れ様でした。
ずっと更新楽しみにしていたので完結するところまで読めて本当に嬉しいです。
あなしず末長くお幸せに… ぽむやかすみが強すぎるだけでしずくも結構あなたガチ勢感あるし ぽむかす辺りのあなたガチ勢も上手く描写かわしてよかった
ドロドロは見たくないしな 完結乙です!最高のあなしずだった……
1月から追ってて良かったよ…… お疲れ様でした。
あなぽむ、しずかす固定おじさんの僕の価値観を変えた素敵な作品でした。
個人的にはエピローグを欲してしまう所ですが、我慢します。 気付いたらこんな時間になってしまうぐらい夢中になって読める素晴らしい作品だった。 乙乙すごい好き
アーティストデビューしたエピローグも見たくなる…。 20章直前のしずく離脱といいアニメ直前の演じることの否定といい予言か?このSS あなた「あーっっ!」
しずく「ん"ん"っ"!?ごほっごほっ……。よ、余韻が…………」
しずく「びっくりした……急にどうしたんですか?」
あなた「すっかり忘れてた!しずくちゃん、作曲の件やっぱり引き受けたいんだけど、まだ大丈夫かな?」
しずく「…………」
しずく「あっ」 しずく「そうでした!私アーティストデビューの方針をとりやめるって……」
しずく「すみません!つい自暴自棄になってあんな会見まで開いてしまって……!」
あなた「やっぱり、あんなに大々的に記者会見しちゃったら流石に……」
しずく「いっ、今からでもねじ込みます!なんとしてでもねじ込みます!」
しずく「もし駄目でも、同人作品として公開します!!」
あなた「すごい熱気……」
しずく「当然です!私が先輩を思う力を甘く見ないでください!」
しずく「確かに合うための口実として使いはしましたが、先輩の曲を歌いたいというのは本当ですから!」 しずく「さあ先輩、早速うちに来て泊まり込みで作業にとりかかりましょう!」
しずく(こんなこともあろうかと基本的な作曲ソフトを取り揃えててよかった……。一刻も早く完成させて、話を取り付けないと!!)
あなた「えぇ!と、泊まり込み!?もう家に連れ込まれるの!?」
しずく「大丈夫です。うちのマンション完全防音仕様なので夜でも気にせず(作曲のために)音出せますから」
あなた「音出すって……///しずくちゃん何言ってるの!!」
しずく「さぁ、早く!!」ガシッ
あなた「待って、心の準備がー!!」 レス数が900を超えています。1000を超えると表示できなくなるよ。