ことり『もう一回だけ』
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「いやー、私たち…十年以上も一緒にいたんだねぇ」
「凄いことです。この間軽く計算してみたのですが、私たちは恐らく親兄弟よりも長い時間を共にしたことになるんですよ」
「うん……」
これは私たちが卒業を迎えた日の午後、夕日が沈み始める頃のお話。 卒業式を無事に終えたあと私と穂乃果ちゃんそして海未ちゃんは、アイドル研究部との別れを一しきり悲しみました。彼女たちは、一緒に汗と涙を流し青春の全てを分かち合った仲間ですから、当然その別れもまた涙なしでは済みません。
せっかくのお別れ会、楽しむことができたのは序盤だけでした。
来年は期待しなさいと言わんばかりの下級生に頼もしさを覚えて、これなら安心して出ていくことが出来る…そんな話を繰り広げにこやかに会が進行しているように見えましたが、次第にそのめっきが剥がれていく訳です。 そこにとどめを刺したのは他でもない私たち。思えばそのときもうすでに涙腺はボロボロだったのだろうけれど、会の後半、私たち三人が一言ずつ最後のメッセージを送った辺りで、みな一斉に涙を抑えきれなくなりました。
私はありきたりな挨拶だったのですが、海未ちゃんと穂乃果ちゃんの語りかける言葉は、それはそれはその場にいる人の心を揺らすものでした。
なぜかって、話している本人が大泣きして、「好き」とか「ありがとう」なんて言葉を、涙声鼻水まじりで必死に絞り出そうとするんだもん。 お分かりかとは思いますが、とてもたまったものではありません。特に海未ちゃんに至っては、厳格という言葉を地で行くような彼女が、まさか途中で泣き崩れることになるとは誰も想像しませんでしたから…これには歳関係なくみんなして大泣きするほかありませんでした。
そこからはひどい有様です。制服のボタンは強奪され、下級生にはベチャベチャの顔で抱きつかれ、そしてそんな私の顔も涙でベチャベチャになっていて…泣くのは今日だけにしなくてはいけないから、ここで一生分の涙を流し切ろう。そんな想いがあったんじゃないかな。
こころを軽くするためにはいろんな汗をかくことだとは、海未ちゃんもよく言ったものだと思います。そんなこんなで湿っぽく、でもそれでいて最後はすっきりと、部活のみんなとのお別れを済ますことができました。 校門の前でみんなに手を振られて見送られても私たちは、なんだかすんなりと家に帰るような気分にはなれませんでした。まだしなくてはいけないことが残っていると分かっていたからです。
それは、私たち三人の関係になんらかの形で一段落をつけることでした。 そうは言っても、そう簡単にあの長い年月をまとめることなどできませんし、方法も分かるはずありませんから、ひとまず私たちは古い思い出が残る場所を可能な限り、回ってみることにしました。
穂乃果ちゃんが下校中、毎日のようにお菓子を買っていったコンビニ。
とっくになくなっていたけれど、家から必死に段ボールを運んで作り上げた秘密基地の跡。
小さかった頃は果てしなく広大に思えて、夢中で駆け回った小学校のグラウンド。
今でも鮮明に記憶に残っているくらい大きな、オレンジ色の夕日を一緒に見た公園の大木。
外に出るのも嫌になるような暑い夏の日によくお世話になった、駄菓子屋のおばあちゃんのおうち。
なんの変哲もない街のあちらこちらに、たくさんの思い出が詰まっています。というのも、おそらく小さい頃の私たちは誰の家だろうと関係なく、この街全てを自分の庭のように思っていたようなのです。ここは本当に暖かく、懐が深い場所ですから…
穂乃果ちゃんなんか、きっと今でもそう思っているんじゃないかな。 ところで私たちはずいぶん久しぶりとなる「探検」をしたわけです。そこで最初に驚いたことは、駄菓子屋のおばあちゃんが飼っていた怖いワンちゃんが既に亡くなっていたことでした。穂乃果ちゃんがあの頃しょっちゅう格闘していた記憶があります。
あの見るからに凶暴そうで、私たちより余程長生きしそうに見えたあの子が数年前、呆気なく病気で亡くなってしまった。それを聞かされた瞬間に私たちはなんというか、決して見てはいけないものに触れてしまったかのように、途端に声を失ってしまったのです。
すぐに表面上は明るさを取り戻し、歩みを再開した私たちですが、他にも街の様々なものや人が目を疑うほど昔と変わっていることに気づき始めました。あるいは古くなったり、あるいは別のお店になったり…酷いものだと、跡形も無くなっていたりします。 そしてそんな私たちも、この先一ヶ月と待たずにこの街を出ていくことになる…その事実が、この長い長い道草の中でようやく現実味を帯びてきたのかな。
学校を出た頃にはあんなに浮き足立っていた穂乃果ちゃんの口数が、目に見えて減っていくのです。何か考えているのか、それとも考えないようにしているのか…長年の付き合いにも関わらず、一切読み取ることはできませんでした。
これだけでも変なのにさらに海未ちゃんはというと、それを補うかのようにやたらと口を開くのです。ただ、こっちの方は理由が分かります。彼女が多弁になる時というのは大体、何かしら心がモヤモヤしている時なのだと、経験的に私は知っていました。 そんな私はというと…実はあまり覚えていません。ずっと笑っていたような気もしますし、何かに思いを馳せていた気もします。ひょっとしたら悲しみに暮れていたのかもしれません。
ただ一つ確実に言えることは、ずっと頭がフワフワしていて、私が私でないような…そんな感覚です。
気付かないままに失われてしまった、かつて確かにそこにあったものを再発見するたび私たちは盛り上がりました。しかしその裏では、今までで一度も味わったことのないような鈍くて切ないものがじわじわ、それでいてたしかに、三人の間に広がっている。
そう私には感じられました。これは、二人もそうだったと思います。 学校を発ってから何時間歩き続けたでしょうか。小さい頃から走り回ることが何よりも好きだった私たちにも、流石に疲れが見え始めました。
そしてそれ以上に、かつては無限にも思えた私たちの旅の終点がすぐそばまで迫っているという、暗い予感をぬぐい切れなくなったのでしょう。その頃にはもうすっかり私たちの足取りは重く、声は見る影もなくしおれています。
それは、明らかに今まで一度も経験したことのないような、生ぬるく異様な空気でした。 三月の心地良い春風にも愛想を尽かされているかのようなそんなじめっとした雰囲気の中、誰が最初に言い出したかは覚えていません。ふとした会話の拍子にとある場所が話題に上がるやいなや、私たちはそこへ向かうことを決めました。
物心付くかつかないかの時期からずっと続けてきた冒険の幕切れを、その場所で迎えよう。今まで誰も言い出しはしませんでしたが、私たちの中でずっと昔からそう取り決められていたかのようです。 そこは、子供がなんとか走り回ることが出来るくらいのスペースに赤茶けた古いブランコ、それに小さなベンチを一つだけ備えた、公園と呼ぶにはやや寂しいものでした。幼心にもそれを公園だとは認めたくなかったのでしょう、それで当時の私たちは「空き地」と呼んでいました。
最後の最後、どうして私たちがその場所を選んだのかというと…それは言うまでもなく、その「空き地」こそが、三人が初めて出会った思い出の場所だからなのです。
どんな終わり方を迎えるにしろ、これほどまでにぴったりな場所は他にはありませんでした。 着いた頃には、もう夕日が沈み始めるような時間になっていました。穂乃果ちゃんは到着するとすぐに、高校生が三人座るにはかなり厳しい、小さなベンチに私と海未ちゃんを座らせると、自分は近くのブランコに腰を下ろしました。
位置で言うと穂乃果ちゃんと私たち二人がちょうど向き合うように座った状態です。彼女はそのまましばらく私たちのことをじっと眺め、そしてはぁと一息つくと、悲観とも楽観とも取れない表情を浮かべながらこう切り出しました。
「いやー、私たち…十年以上も一緒にいたんだねぇ」
私たち三人はいつも対等な関係でしたが、本当に大切なことを言い出すのは決まって穂乃果ちゃんの役目でした。 「凄いことです。この間軽く計算してみたのですが、私たちは恐らく親兄弟よりも長い時間を共にしたことになります」
ロマンティックというかなんというか、なんだか素敵な考えをさらっと海未ちゃんが教えてくれたのですが、実は彼女は、結構そういうところがあるのです。もしかすると、三人の関係を実は一番大切に思ってくれていたのかもしれません。
海未ちゃんがよく使う話の種に、今日は私たちが初めて出会った日ですよ、とか、あの頃のことを思い出しますね、というのがあります。少し嬉しそうな調子でそんな話を持ちかける姿は、まるで恋人さんみたいだなといつも思っていました。
機械音痴に加えて、あまり流行にも興味を示さないアナログな彼女は、ひょっとしたらその分、私たちのことを考えてくれていたのかもしれません。そうじゃなきゃ、一緒にいた時間なんて計算しないもんね、普通。
…でも今日だけは勘弁してほしかったかも。 何気なく放ったその愛のこもった一言によって、私の胸がギュッとしめつけられます。分かってはいましたが、彼女にはこういうところもあります。罪作りとでも言えばいいのでしょうか。
「うん…」
私は同意とも相槌とも分からない、なんとも情けない返答しか出来ませんでした。 少しだけ間を置いて、何かを見計らったかのように穂乃果ちゃんが呟きました。
「…これで、少しだけお別れだね」
あぁ、とうとう言ってしまった。そう思いました。
果たしてそれは口に出していいものなのか、最後まで触れるべきではないものなのかも分からず、一年ほど必死に目を逸らし続けていたそれを、とうとう彼女が口にしたのです。 別れは次の出会いに繋がっていくから。だから、笑って卒業しよう。
そんな歌をたくさん聴いて、たくさん歌ってきた訳ですが…それらは実は、強がり以外の何者でもありません。紡いだフレーズに自ら励まされながら、溢れそうな涙を必死に堪え、歯を食いしばり、それでも笑顔で…別れは素敵なものであると、ずっと歌ってきました。
今目の前に確かに存在している奇跡。それを超える何かがこの先待っているなんて、とても信じられなかったとしても…それでも未来に進まなければいけない。自分自身に言い聞かせるようにして私たちは、そう歌い続けてきたのです。 そんな強がりを誰よりも好み、誰よりも体現してきたのが穂乃果ちゃんでした。言われるまでもなく、自分に言い聞かせるまでもなく、いつもいつも前を向いていました。私は、あのグループは、そんな穂乃果ちゃんがいたからこそここまで走り続けることができたのです。
だからその彼女が、物憂げな表情でポツリと告げた別れという言葉には…泣くまいとする私の努力などまるで無に帰すような、とびきりの切れ味がありました。
今日は絶対に泣かないって決めていたのに。弱虫は卒業するって決めたのに。2人に笑顔でお別れを言えるようにと、昨日の夜散々泣いておいたのに。
かなり、ピンチです。 「道や場所は違えど、ずっと一緒です。この時代ですからいつでも会えます」
そうだよね、海未ちゃん。
昔に比べれば会いやすくなったし、離れていても顔を見ながらおしゃべり出来る時代です。凄いことだよね本当に。
それに二人はきっと、私がどこにいっても覚えていてくれる。長い付き合いの中でそのことは、強く確信しています。絶対にまた会える日は必ず来る。
そんなことは散々自分に言い聞かせてきたから分かってる。分かってるはずなんだけどね。 それでも…二人がすぐそばにいてくれない世界なんて、ことりは考えたくもないよ。
急激に増した胸の苦しみに耐えかねて、つい口からこぼれてしまいました。
「…会えないもん」 「ことりちゃん…」
穂乃果ちゃんが心配そうな顔でこっちを見ています。これ以上言ったら困らせちゃう…また二人を困らせちゃう。
「二人は電車乗ればすぐに会えるけど、ことりは会えないもん……!」
一度溢れ出してしまうと、私の感情は止まりません。既に顔中が涙でくしゃくしゃです。こんな声が出たのかと自分でも驚くほど、酷い濁点混じりの鼻声で続けます。 「ことり、おようふく作るの好きだけど…それより、ずっとずっとふたりのこと、すきなのに…!」
自分で決めた道に対して私は、何を言っているのでしょう。二人にいったい、どうして欲しいのでしょう。自分でも何一つ分からなくて、ただただ二人の優しさにつけ込もうとしています。
「ことり…」
海未ちゃんにその困った顔、二度とさせないって誓ったはずだったのに。あれから少しは成長したかなって思っていたけど、あの時と何も変わっていないみたい。
…海未ちゃん、穂乃果ちゃん。 私、また海外行くのやめて二人についていくつもりなのかな。私はいつまで、あの二人を困らせれば気が済むのかな。
見ないように、見ないようにしてきたものが一気に溢れ出してしまった後には、申し訳なさに卑屈さ、それからあとはよく分からない気持ち悪さだけが胸に残りました。素敵なお別れにはとてもなりそうにありません。
「…ことりちゃん」
ほのかちゃん。ごめんなさい。ごめんなさい… チュッ。
「え…?」
次の瞬間頭が真っ白になり、目の前の穂乃果ちゃんに何をされたのか、まったく分かりませんでした。
「ほっ、穂乃果、何をして…!」
これまで見たことがないほど、顔を真っ赤にして動揺している海未ちゃん。それを見て逆に冷静になったのでしょうか。私は徐々に、しかしはっきりと思い出したのです。
泣きじゃくる私に近づき、クイっと顎を引き寄せたかと思うと…
躊躇うことなく唇を重ねた穂乃果ちゃんの表情を。 「海未ちゃんも」
「なっ、何を急に…」
その顔は穂乃果ちゃんが時折重要な局面で見せるもので、凛々しさと可憐さを完璧に兼ね備えていました。それを崩さないままに今度は、流れるように海未ちゃんの顔に手を添えます。
このままでは同じ事をされると察した海未ちゃんは当然、必死に逃れようとしているらしいのですが…体がついていってない様子です。
青く透き通った目に心を全て奪われてしまったかのように硬直して、距離を詰める穂乃果ちゃんに対しては、口をパクパクさせるのが精一杯でした。
「待ってくだ…んっ」
最後は観念したかのように目を閉じた海未ちゃんに、そっと口づけが落とされました。 長い付き合いのある幼馴染、それも同姓のキスシーンというのは、なかなかに衝撃的でした。時間にすると数秒なのでしょうが、二人の口先が触れている瞬間私は、本当に世界が止まってしまったかのように感じられたのです。
小さかった頃ほっぺたにしたような、単純な好意を伝えるためのそれとはまるで重みが違いました。あの穂乃果ちゃんでさえ、言葉でも音楽でも決して届けることのできないのであろう深い想いが込められていることが、見ているだけの私にまでひしひしと伝わってきます。
その永遠のような一瞬の中、自分も先ほど同じことをしたのだと気づいて…恥ずかしながらその時にようやく、私の顔がぽうっと赤く染まりました。 「…説明していただけますか?」
しばらく経ってようやく少し落ち着いたのでしょうか、口元を軽く押さえながら海未ちゃんが尋ねました。穂乃果ちゃんが唐突に何かを始めるときお決まりの、ジトっとした可愛らしい目を向けていることから、ひどく機嫌を損ねている訳ではないようだと分かります。
いくら私たちの仲がいいにしても、唇を合わせたことなんて今まで一度も…いや、一回くらいあるかもしれませんが、どの道この年齢になったいま、平気で出来るものではありません。
ましてやウブな海未ちゃんですから、説明を求めるのはごく自然な流れでした。私も気になります。
するとのぼせたように真っ赤な私たちに対して、穂乃果ちゃんはなんでもないような顔で、
「3人が、これからもずっと一緒だよっていうおまじない」
そう言ってのけたのです。 そうでした。穂乃果ちゃんは出会った時からずっとずっと、こういう女の子でした。
自分の気持ちをいつもまっすぐすぎる方法で、何にも臆することなく届けてくれる。
それがあまりにも純粋なものだから、抱えていたものなんてあっという間に吹き飛ばされてしまって。
そうして、いつも救われてきたのでした。 「おまじないだなんて…最後まで貴方は!!」
恥ずかしいのか怒っているのか、さらに顔を赤くした海未ちゃんが始める抗議には目もくれず、座っている私の方へ改めて距離を縮める穂乃果ちゃん。その場でしゃがみこみ、同じ目の高さからまっすぐ私に微笑みかけると、一言。
「これで大丈夫だよ、ことりちゃん。」
…うん。
貴方がそう言ってくれるなら、きっと私は大丈夫なんだ。 「ふふっ」
なんだか急に気分が晴れて、笑みがこぼれます。
私も、大切な人に想いを伝えないといけません。隣で顔を真っ赤にして声を上げている彼女の方にくるっと顔を向けます。
「ねぇ、海未ちゃん」
「ことり…」
ひどい恥ずかしがり屋さんだったはずの彼女は、意外にも抵抗するような素振りをあまり見せません。
「私からするよ?」
そう言うと海未ちゃんは、何も言わずに目を閉じてくれました。 恥ずかしい気持ちを抑えてギュッと目をつぶり、全てを私に委ねてくれる海未ちゃん。誰よりも可憐で美しく…そして誰よりも可愛い彼女の、大事な唇を奪ってしまっていいものなのかしら。いざその顔を目の前にすると、心なしか罪悪感が浮かびためらってしまいます。
本当のことを言うとただ恥ずかしいというのもあったのですが…とにかく、この特別な儀式をするにあたって動揺は隠せません。胸はドキドキするし、手はぶるぶる震えてしまい、この土壇場で穂乃果ちゃんの凄さを再認識します。
最後まで彼女にはまったく敵いませんでした。こんなに可愛い海未ちゃんに対してなんの躊躇もなく顔を寄せるなんて…あぁそっか、先に穂乃果ちゃんがキスしてるんだっけ… じゃあいいか、奪っちゃえ♡
ほんの一瞬触れた海未ちゃんの唇は、今まで食べたどのお菓子より柔らかかったのを覚えています。 「海未ちゃん、ありがと♡」
「ぅぅ…」
今度は顔全体を両手で覆い隠し、情けない声で悶えている海未ちゃんがあまりにも可愛いものですから、ことりの胸はほんのちょっとの罪悪感と…なんというか、してやったりという甘い幸せでいっぱいになっていきます。
私の幼なじみは可愛いです。本当に可愛いです。こんなにも可愛いと思える人と、これから出逢うことなんてあるのかな。
…うぅん、出逢えなくてもいっか。その時は、世界で一番可愛い人の唇を恋人でもないのにもらってしまった、そんな幸せ者になるだけだもんね。
「ねぇ、ことりちゃん。」
背後からかけられた、寄り添うような優しい言葉で私は正気に戻りました。
なぁに?穂乃果ちゃん。 「私ね、何かあってもすぐことりちゃんの元に行くことは出来ないと思う…だから全部、電話で聞かせて。」
うん、もちろん。
「ことりちゃんの向こうでの嬉しかったこと、辛かったこと、美味しかったもの、可愛いと思ったもの…全部、全部教えてくれる?」
まるで遠距離恋愛をしてるみたいに、なんでもないようなことで何時間も盛り上がろうね。
「それで絶対お金貯めて、海未ちゃんと一緒に会いに行くから。約束だよ」
あんなに遠いところに会いに来てくれるなんて、普通はその場限りの口約束くらいに受け止めるのが正しいんだろうけれど…
ことりはね。穂乃果ちゃんの言葉ならいつまでだって、信じて待てちゃうんだよ。 海未ちゃんも続けます。
「そうですね。私たちはずっとずっと、貴方のことを応援しています。それだけは…忘れないでください」
こくり。私は小さく、それでいて力強くうなずきました。海未ちゃんの優しい言葉を聞いても、さっきと違ってもう涙は出ません。いま私の心にあるのは、目の前の二人に対する愛おしさ。それだけです。
本当は分かっていたはずなのに、二人のことを少しでも疑ってしまった臆病なことりを許してね。 やっぱり私の幼なじみは凄いのです。
二人が世界のどこかにいてくれる。それが分かっているだけで少し離れてしまうことなんてどこ吹く風で、幸せさえ感じられています。まるでさっきまでの気分が嘘みたいです。
大好きな、大好きな二人が世界のどこかにいてくれるならきっと私は…
たぶん、大丈夫…だよね?
それでもやっぱり、どこかにちょっぴりと不安が残っているような気がしてなりません。
「えへへ…」 「どうしたの?」
「どうしましたか、ことり」
最後までごめんね。二人は私の頼みごとを断ることなんて出来ないって知ってるから…
お得意の撫で声と上目づかいを最大限に発揮して、最後のお願いをするのでした。 終わりです。お読みいただきありがとうございました。
普段は会話形式のssを書いているのですが、一つ気に入ったものができたので思い切って地の文にもチャレンジしてみました。
感想、ご意見お待ちしております。 とても感慨深い物を感じました。
SSを書く方に推奨したいのですが、
次回からはワッチョイを付ければ、
更に快適に投稿出来ますよ。 凄く良いほのことうみでした
書いてくれてありがとう >>61
simの方が大分励んでいらっしゃったので申し上げたまでです >>63
それは見る側の問題、というか快適な環境というだけで投稿にはなんら問題はないと言ってマシリト >>64
確かに、読んで下さっている方々のお話でもあります
これは主観的なお話かも知れせんが
私が投稿する際、合間にあの様なレスが入ると
このまま続けても良いものか迷ってしまいます。
何より、お話の雰囲気が崩れてしまい、
モチベーションを保つのが難しくなりがちです
なので、少しでも投稿し易くする事が、そのまま読む方々の気持ちを保つ事にも繋がるのではないかと、私はそう思います。 >>66
いやそれ、冷静装ってるけど必死に返そうと主観と実害ごちゃまぜにして作っとるやん
少なくともその思想を伝えようとしてるレスか?これ>>60
うぜーからワッチョイつけろやくらいにしか取れんぞ >>67
分かりました
こちらへ来てください
ここでお話ししましょう
SS総合
https://fate.5ch.net/test/read.cgi/lovelive/1587644993/
作者さん。他の方々、お目汚し大変申し訳ありませんでした。 いい作品には変な奴ら湧きやすいからね。しょうがないね。 たくさんのご感想ありがとうございました。皆様にいただける全ての言葉が、非常に私の励みになっています。
https://fate.5ch.net/test/read.cgi/lovelive/1586268938/l50
本作は元々こちらで毎曰劇場と銘打って投稿したものに、地の文を付け加えたものになります。よろしければ覗いてやってください。
改めて、このスレを開いていただいた方々にお礼申し上げます。またどこかでお会いできれば幸いです。 「もう一回だけキス…してもいい?」
いいですよ。ことり。
チンコびんびんですよことり
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