果林「元気のないせつ菜」
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果林「はぁ…はぁ…」
せつ菜「果林さん?すごい汗ですね」
果林「ちょっと練習頑張りすぎちゃったかしら」
果林「部活動説明会の歩夢のライブを見た後だから、負けられないって思ったのよ」 せつ菜「確かに、歩夢さんのライブは今までで一番の出来でしたね」
果林「あら。せつ菜にしては控えめな感想ね」
せつ菜「え?」
果林「普段のせつ菜なら、『歩夢さんのライブすごかったですよねっ!!』」
果林「って始まって、良かったところを一つずつ話始めると思ったんだけど」
せつ菜「そ……そうですね……」 果林「せつ菜?」
せつ菜「い……いえっ!歩夢さん本当にすごかったですよねっ!!」
せつ菜「ダンスを沢山練習していましたし、その成果が……」
果林「ねえ、せつ菜」
せつ菜「なっ……なんでしょう?」 果林「今、歩夢も部長も誰もいないわ」
果林「もし、私で良ければ話を聞いてあげるわよ」
果林「せつ菜が無理して元気なふりをしているのは見ていて寂しいわ」
せつ菜「果林さん……」
せつ菜「……あの、この事は誰にも言わないでいただけると」
果林「ええ、当然よ」 せつ菜「この前の歩夢さんのライブ、とても素晴らしい物でした」
せつ菜「歩夢さんがスクールアイドルを始めてから、間違えなく一番の出来だったと思います」
果林「ええ。そうね」
せつ菜「ただ……私」
せつ菜「あそこに私が立っていた時の事をいまだに考えてしまっているんです」
果林「でも、歩夢がステージに立つのはみんなが納得して決めたことでしょう?」
せつ菜「はい。私も納得していますし、歩夢さんの事を本当に応援していました」
果林「……つまり、どういう事かしら?」 せつ菜「三船さん、歩夢さんのライブを前のめりになって見ていたんです」
果林「確かに夢中になっていたし、あんな表情初めて見たわね」
果林「それに、同好会の活動を認めてくれたもの」
せつ菜「はい……」
せつ菜「もし、私がステージに立っていたら」
せつ菜「三船さんの心を動かすことができたのでしょうか……?」 果林「せつ菜……」
せつ菜「かっ…果林さん、ごめんなさいっ!」
せつ菜「変なことを話してしまいましたねっ!!」
果林「ううん。そんな事ないわ」 果林「せつ菜は、ステージに立てなかったことじゃなくて」
果林「あの子の心を動かしたのが自分じゃなくて歩夢だからって事で悩んでいるんでしょ?」
せつ菜「……はい」
果林「そりゃ、もやもやした気持ちになってもしょうがないじゃない」
せつ菜「えっ……?」 果林「生徒会長の選挙、せつ菜はスクールアイドルを辞めて臨んだんでしょ」
果林「でも、結果は今の現状よね」
せつ菜「……はい」
果林「確かに、あの子に壇上で言われたことは正しくて、せつ菜が負けたのは仕方のない事だったのかもしれないわ」
果林「だって、どっからどう見ても、せつ菜はスクールアイドルをやってる方が元気だもの」 果林「でも、スクールアイドルを辞めるから私たちの協力もいらないって」
果林「あの時のせつ菜……菜々の覚悟は良く知ってるから」
せつ菜「果林……さん」
果林「だからあの演説が本心じゃないなんて、そんな事はないわ」
果林「スクールアイドルが大好きなせつ菜がアイドルを辞めるって言うなんて考えられないもの」
果林「その上で、負けちゃったわけでしょ?」
せつ菜「はい……」 果林「あの時せつ菜が伝えたかった事」
果林「自分じゃなくて、歩夢がステージの上であの子に証明しちゃったから悔しいんでしょ」
せつ菜「……!」
果林「でも、あのライブは素晴らしかったし、あの子が認めるのも仕方のないことだわ」
果林「そういう事で悩んでいるんじゃないの?そんなの当然でしょ」
せつ菜「当然……」 せつ菜「歩夢さんのライブの成功は、本当に嬉しいんですっ!それは間違えありませんっ!」
せつ菜「ただ」
せつ菜「私の力不足で出来なかった事を、歩夢さんが出来てしまって」
せつ菜「それで、勝手に不安になったりして、嫉妬みたいな感情もあって……」
せつ菜「私、ダメだなって思ってしまったんです」 果林「ううん。そんな事ないわ」
果林「むしろ、安心したわよ」
せつ菜「安心…ですか?」
果林「生徒会選挙が終わって、この結果には納得しているなんて言ってたけど」
果林「あれだけ頑張ってた生徒会長の座をあんな形で失って、完全に割り切れるわけなんてないもの」
果林「だから、せつ菜のそういう事で悩むのは当然だと思うわ」 果林「むしろ、あの結果を少しも引きずってないなんて言われる方が困るわよ」
果林「生徒会長に未練はありませんっ!やめて清々しました!なんて言われたら、あれだけ応援した私たちの立場がないじゃない」
せつ菜「……」
果林「だから、好きなだけ悩むといいわ」
せつ菜「果林さん……」
せつ菜「でも私、すごい嫌な子ですよね……」 果林「ええ、そうね」
せつ菜「私、どうしたら……」
果林「知らないわよ、そんな事」
せつ菜「えっ……」
果林「それは、私が決める事じゃないわ。せつ菜が決める事よ」
せつ菜「私が……」 果林「私、スクールアイドルを始めた時ね。ただ面白そうだからって、正直軽い気持ちで始めたのよ」
果林「モデルもやってたから他の子よりも人前に立つ経験だってあるし、そこそこ頑張ればできるだろうから、いいかなって」
果林「ある程度やったら、まあいつもみたいに辞めてもいいかななんて思ってもいたわ」
果林「でも、そんな私を変えたのはせつ菜なのよ」
せつ菜「私が果林さんを変えた……?」 果林「せつ菜のスクールアイドルに対する真剣さにね、私感心しちゃって」
果林「あれだけのパフォーマンスをする子なんだから、才能の塊なんて思っていたけど」
果林「当然そんな事あるわけないのよね」
果林「少しでもいいパフォーマンスができるようにあらゆる事をする向上心の塊のような、その姿勢を見て」
果林「本気になる事が無かった私に、この子には負けたくないって気持ちが生まれたの」
果林「だから、私はせつ菜に負けないように練習をしてるわ」
果林「今までの私を変えたのは、せつ菜」
果林「当然、歩夢やエマや彼方や他のみんなもライバルだけど」
果林「せつ菜には一番負けたくないもの」
せつ菜「果林さん……」 果林「せつ菜には人を変える力があると思う。だって私が影響されちゃったもの」
果林「そして、私は行動することで昔の自分を変えたわ」
せつ菜「……!」 せつ菜「果林さん……私……」
果林「ええ、どうしたいの?」
せつ菜「三船さんに、私のライブ見てもらいたいです……!」
せつ菜「私の気持ち、中川菜々としてではなく、優木せつ菜として三船さんに伝えたいですっ!!」
せつ菜「大好きな事をすることで、世界が変わるってことを見てほしいんですっ!」
果林「ふふっ、せつ菜はそうじゃなきゃ」 せつ菜「というわけで、三船さんのところへ行ってきますっ!!」
果林「えっ、もう行っちゃうの?」
せつ菜「はいっ!善は急げと言いますし」
せつ菜「それに……」
果林「?」 せつ菜「もっともっと、沢山練習して」
せつ菜「果林さんに負けないようにしないといけませんから!!」
果林「せつ菜……」
せつ菜「だから、一秒も無駄にはできませんっ!!!」
せつ菜「果林さん、お話を聞いていただいてありがとうございましたっ!!」
せつ菜「というわけで、行ってきます!!」
果林「……ええ、いってらっしゃい」
せつ菜「はいっ!」 果林「さっきまで悩んでたのはなんだったのかしらってぐらいの行動力……」
果林「あの猪突猛進っぷり……」
果林「それでこそ、私のライバルよ。せつ菜」
果林「正直体は限界に近いけど……もう少しだけ、練習していくわ」
果林「あんなこと言われて、大人しくなんかしていられないものっ!!」 バカ&おっぱいキャラじゃない従来の果林の魅力を思い出せる良SS お姉さんであり、かつライバルでもあり
これはいいかりせつ ■ このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています