理亞「今日は誕生日なんだから、姉様はゆっくり休んでて」聖良「え、休む?」
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理亞「うん。たまにはリフレッシュして。練習も休みにするから」
聖良「店番は?」
理亞「私がやる」
聖良「大丈夫ですか……?」
理亞「安心して。今日は姉様のために、私が全部やるから」
聖良「そ、そう。ありがとう。でも、本当に大丈夫?」
理亞「大丈夫だって言ってるでしょ! もう!」 理亞「それじゃあ。私は店の方に出てくるから。姉様はゆっくりしてて」トテトテ
聖良「はあ。分かりました」
聖良「……理亞、本当に大丈夫でしょうか。接客は苦手なはずだし」
聖良「うーん。ちょっと、様子を見に行ってみましょうか。お店の制服も着て、と――よし」
聖良「……」ソーッ
理亞「――いらっしゃいませ。お好きな席へどうぞ。はい、こちらメニューです、お決まりになりましたらお呼びください」ニコッ
聖良「……」
聖良(ちゃんとやってますね……) 理亞「お決まりでしょうか。はい、はい。白玉あんみつパフェ……かしこまりました。少々お待ちください」
聖良(あ、注文が入ったみたいですね。どれ、用意しましょうか。厨房へ向かいましょう)
聖良「〜♪」テキパキ
理亞「……姉様。なにしてるの」
聖良「白玉あんみつパフェでしょう? すぐに用意しますね」
理亞「だから何してるの!? 店番は私がやるって言ったでしょ!?」
聖良「い、いいじゃないですか、これくらい。働くことは悪いことじゃないでしょう?」
理亞「ダメ! 今日は姉様にゆっくりしてもらうんだから! ほら、自分の部屋に戻って!」
聖良「わ、分かりました。……そんな怒らなくても」 聖良「締め出されてしまいました。どうしましょうか」
聖良「うーん……」
聖良「そうだ。新曲の歌詞を書きましょう。こういう時間を有効に使わないと」
聖良「作詞ノート、っと。よし、では書きますか。えぇと――最強 最高 最高潮、っと」カキカキ
理亞「……」ガラッ
聖良「あ、理亞。どうしたんですか? お店、手伝いますか?」
理亞「――ふんっ!」パシッ
聖良「あぁっ!? ちょ、作詞ノート取らないでください!」
理亞「休んでてって言ったでしょ! 何で歌詞書いてるの!?」
聖良「だ、だって、時間があるから……」 理亞「もう、姉様は今日はゆっくり休むの! 作詞のことは考えなくていいから!」
聖良「いいじゃないですか。ちょっとくらい……」
理亞「ダメ! 休んでもらわないと意味がない!」
聖良「じゃ、じゃあ作曲してもいいですか?」
理亞「ダメ」
聖良「衣装づくりは」
理亞「……」ギロッ
聖良「……はい。分かりました」
理亞「ん。じゃあ店番に戻るから、くれぐれも、ゆっくり休んでてね」スタスタ
聖良「う、うーん……」 聖良「……どうしましょうか。休んでて、と言われても」
聖良「そうだ、活動中のスクールアイドルをチェックしましょう。研究は大事――、」
理亞「……」ガラッ
聖良「……」
聖良「いえ、やっぱりA-RISEの動画を見ましょう。ええ、これは完全に趣味です。研究じゃありません」
理亞「……」パタン スタスタ…
聖良「この部屋、監視カメラでも付いてるんでしょうか……」 聖良「まぁでも、そうですね。たまには初心に帰ってA-RISE、いいかもしれません」
聖良「どれ。――再生、っと」
ダンシン ダンシン ノンストップマイダンシン…♪
聖良「やっぱりA-RISEは素晴らしいですね。レベルが高い」
聖良「ん……今のステップ、面白い。私たちのダンスにも組み込めるかも。改めて見ると違った発見がありますね……」
聖良「どれ、えっと。振り付けのノートは――」
理亞「……」ガラッ
聖良「あ」
理亞「――ふんっ!」パシッ
聖良「あぁっ、ノートが!? 何でいつも絶妙なタイミングでやって来るんですか!?」
理亞「そろそろ何か始めそうだって思っただけ!」 理亞「もう。何でそう、すぐ作業しようとするの」
聖良「だって、時間があるから……」
理亞「ただ余暇を過ごしてもらえばいいだけなのに。姉様って普段、どんな風に過ごしてるんだっけ」
聖良「走って作詞して学校に行って作曲してダンスして店番してスクールアイドルのチェックをして衣装を作っていますが」
理亞「姉様っていつ寝てるの……?」
理亞「やっぱりちゃんと休んでもらわないとダメ。今日はそういうの禁止だから」
聖良「禁止と言われても」
理亞「……いつも姉様にばかり負担かけてることは分かってる。私も作詞や作曲、出来るようになりたいけど、まだまだだから」
理亞「だから今日だけでも、姉様にはゆっくり休んでほしい」
聖良「理亞……」 聖良「……分かりました。あなたにそう言われたら勝てません。今日はゆっくり休ませてもらいますね」
理亞「うん。ありがとう、姉様」
理亞「それじゃあ私は店番に戻るから。……ハッピーバースデイ」
聖良「……理亞。優しい子に育ちましたね、立派になって……」
聖良「どれ。理亞の気持ちは無駄に出来ません。たまの余暇、スクールアイドルのことを忘れるのもいいのかも」
聖良「楽しく、ゆっくりと。スクールアイドルを忘れて……忘れて」
聖良(……あれ)
聖良(私、何をすればいいんだろう……?) 聖良(そういえばA-RISEと出会ってからというもの、今日までずっとスクールアイドル漬けだったような)
聖良(スクールアイドルに関係しないことって、何がありましたっけ……?)
聖良「私の趣味といえば――あ。そうだ。馬に乗りましょう、馬。楽しいですよね乗馬。……今から?」
聖良「いや。今からどさんこファームまで行くのは、ちょっと。準備ありますし。他に何か」
聖良「スキー、といっても今は5月だし。和菓子作り、をするにも厨房は理亞が仕事で使ってますし」
聖良「……」
聖良「スマホでも触ってましょうか」
聖良「……」スッスッ
聖良「……」スイスイスッスッ
聖良(どうしよう)
聖良(すっごい退屈です……) 聖良「そうだ。部屋の片付けでも……いえ。十分片付いてますね」
聖良「何かないでしょうか。暇を潰せそうなものは」ゴソゴソ
聖良「うーん」ウロウロ
聖良「何かこう、違いますね」モゾモゾ
聖良「うーん」
聖良「うー……」
聖良(れ、練習がしたい……!)
聖良(何ですかこの無駄な時間は……っ! 走り込みしたい、ダンスしたい、もっと自分を高めなくては!!)
聖良(どうにか部屋の中で出来ることを――そうだ! 筋トレしましょう! スクワットです!)
聖良(脚を軽く広げ、真っ直ぐに腰を下ろし、重心を後ろへ、膝の角度は90度まで)
聖良「ふっ、ふっ、ふっ!」
聖良(ああ、楽しい――!) 聖良(仕上がってますよ、仕上がってますよ! 頑張る私は美しい!)
聖良(やっぱり時間がある時はこれですね! いつでもどこでも自己鍛錬、素晴らしい!)
聖良(今日はどれくらいやりましょうか。時間はたくさんありますからね、腕立て腹筋それから柔軟――夢が広がります!)
理亞「……楽しそうだね、姉様」
聖良「はい! 充実した一日になりそうです。これは理亞に感謝しないと――……あ」
理亞「結局練習……姉様は私のお願いを聞いてくれないんだ……」
聖良「ま、待って、待ってください理亞! これは違うんです!」
聖良「これは練習ではありません、ちょっと筋肉に負荷をかけるだけの遊びなんです!」
理亞「筋肉に負荷をかけるのじゃなくて、そうやって強くするのが目的でしょ」
聖良「育成ゲームのようなものです。ほら、毎日お世話しないと筋肉さんは機嫌を損ねてしまうんですよ」
聖良「分かるでしょう? ね?」
理亞「分かるけど絶対に違う」 理亞「まったく……どうやったら姉様は休んでくれるの」
聖良「休みたくない訳ではないんです。ただちょっと、手持ち無沙汰と言いますか」
聖良「急に自由な時間を与えられても、一体全体、何をすればいいのか……」
理亞「定年退職したサラリーマンみたいなこと言わないでよ」
聖良「手に付かないんですよ。スマホを触っても本を読んでも、もっとこう、有意義な時間の使い方があるんじゃないかと」
理亞「……姉様のそういう努力家なところ、尊敬してるし私の目標でもある。でもたまには好きなことをしてほしい」
聖良「じゅうぶん好きなことをしてるつもりなんですけど……」
理亞「はぁ……そう言うと思ってたけど」 理亞「……分かった。じゃあ、少し走り込みでもしようか」
聖良「え、いいんですか?」
理亞「もうすぐお店も閉めるしね。閉めたら私も行くから、用意しておいて」
聖良「分かりました! ふふ、楽しみですね!」
理亞「……うん。すぐに行く」
〜間〜
聖良「はっ、はっ、はっ、はっ」タッタッタッタ…
理亞「……姉様、楽しい?」
聖良「はい! やっぱり練習はいいですね。こういう方が性に合います」
理亞「そう……」
理亞「ねえ、姉様。私、迷惑だった?」
聖良「え?」 理亞「だって姉様、辛そうだったし。休んでもらえればと思ったけど、余計なお世話だったみたいで」
聖良「……」
理亞「私、ダメだ。ずっと姉様と一緒にいたのに、どうしたら喜んでもらえるかも分からない」
聖良「そう、ですね。でも、嬉しくなかった訳じゃないですよ」
聖良「あなたが私を想って、自分一人でやろうとして。……嬉しかったです。だから、もう十分」
理亞「それじゃダメ。ぜんぜん足りない」
聖良「ふふ。じゃあ、他に何をしてくれるんです?」 理亞「……それなら、競争でもしてみる?」
聖良「競争?」
理亞「そろそろいつもの折り返し場所でしょ。そこから家まで、早く着いた方が勝ちってことで」
聖良「珍しいですね、理亞がそういうこと言ってくるなんて」
理亞「姉様、こういうの好きでしょ」
聖良「ふふふ。――なんだ、分かってるじゃないですか」
理亞「それじゃあ行くよ。せーの……っ」
聖良「スタート!」タタタッ 〜間〜
聖良「――はぁ、はぁっ。着きました、ゴールっ」
理亞「はーっ、はーっ。や、やっぱり敵わないや……」
聖良「はー……いえ、私もかなりギリギリでした。ここまで付いてくるなんて、さすがです」
聖良「少し前まではぜんぜん走れなかったのに。成長しましたね、理亞」
理亞「……うん」
理亞「ねえ、姉様」
聖良「はい?」
理亞「勝った景品。受け取って」 聖良「景品――あぁ。誕生日プレゼント? ふふ、これを渡すために競争を? あなたもなかなかロマンチストね」
理亞「い、いいでしょ! いらないなら渡さないけど!」
聖良「ああ、待って。欲しいです、ぜひ……えっと。包装、開けてしまっても?」
理亞「うん」
聖良「――わぁ、おしゃれなボールペン……え、ブランド物? 高いでしょう、これ」
聖良「わ、白い六芒星、雪みたい。かっこいい……! ありがとう、大切にしますね!」
理亞「うん。作詞や作曲とか、振り付けのメモにもペンは使うだろうから。それに――、」
聖良「それに?」
理亞「……ラブライブが終わったら、姉様は」
聖良「――ぁ」
理亞「っ、ごめん。なんでもない。……家に入ろう。ケーキ、焼いてあるから」
聖良「……ふふ」 聖良「理亞」ギュッ
理亞「あ、ちょ、姉様……! 走った後なんだから……それにここ外!」
聖良「ありがとう。今日のことも、本当は私のこれからを気遣ってくれたんですね。いつも練習漬けだから」
聖良「気付いてあげられなくて、ごめんなさい」
理亞「……」
聖良「でも、ごめんなさい。もうしばらくは今まで通りの私でいさせてください。他のことなんて、考えられないから」
理亞「……うん。そうみたいだね」
聖良「ふふ。――ああ、素敵な誕生日です。きっと、今日が今までで一番嬉しい……」
理亞「……じゃあ、次は優勝した日が一番になるね」
聖良「そうしたら、その次は理亞の誕生日が一番ですね。何をするか、今から楽しみです」 理亞「姉様は、何をしてくれるの?」
聖良「そうですね――練習、しましょうか。2人で一緒に。競争もして」
理亞「うん。……私もたぶん、それが一番嬉しい」
聖良「ふふっ。それじゃあ、夕食にしましょうか。ケーキもあるんですよね?」
理亞「ラザニアもあるよ」
聖良「素敵です」
理亞「――姉様」
理亞「お誕生日、おめでとう」
聖良「ありがとう。これからもよろしくお願いしますね、理亞」
おしまい これにておしまいです
読んで頂いた方、ありがとうございました
姉様、お誕生日おめでとう! そして水着イラストありがとう! あのおぞましい遊びをやらなかった分きれいに見えたずら ルビィさんごっこZeroみたいなことにならず
きれいに終わってよかった やることないからルビィさんごっこをすると思ってしまった俺は汚れている。 ■ このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています