あなた「天使と悪魔とエトセトラ」
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トコトコ
あなた「はぁ、最近金欠だなぁ」
あなた「沼津と東京を往復したり、定期券外の音ノ木までしょっちゅう行ってたらそりゃそうかって話だけどさ」
あなた「バイトも手だけどサポート活動の時間が減っちゃうし、どうしたものか」
あなた「…ん?この路地裏になにか落ちてる。なんだろこれ」ヒョイ
つ【万札が大量に入った高級ブランドの財布】
あなた「…は?」
あなた「私の金銭欲が生み出した幻覚かな…」ゴシゴシチラッ
つ【万札が大量に入った高級ブランドの財布】
あなた「うわあああぁっ!?本物だ!!」 路地裏
あなた「な、なんでか拾ったまんま路地裏に隠れちゃった」ドキドキ
あなた「とにかく交番に届けないとだよね。こんなパンパンにお金入ってるもの落としたら困るどころじゃ済まないよ」
あなた「………」
あなた(にしても、キャッシュレスが進んでるこのご時世にこれだけ財布に現金詰めて、その上落とすなんて不用心だなあ)
あなた(そのうえこんな雑に入れてたら、何円あったかなんて分かんなくなっちゃいそうだし)
あなた(例えば、いくらか抜かれたって)
あなた「………」 あなた(だ、ダメダメ!何考えてるの!?お金が足りないのは自分のせいなのに!!)ブンブン!
あなた(で、でも、こんな路地裏に落としてるし、色んなことにルーズな方も落ち度はあるよね。それにもしかしたら某ゲイツ氏みたいに落とした札束を拾うほ方が損するレベルの富豪かも)
あなた(…いやいや、だからって免罪符になるわけない!ネコババって字面軽いけど犯罪だよ!)
つ【万札が大量に入った高級ブランドの財布】
あなた「う…」
あなた(絶対やっちゃダメだ…で、でも、欲望が収めきれない!)
あなた(こんなときどうしたら…!!)
??「待って…!」
あなた「そ、その声は!?」
シャララララ〜♪
想像上の璃奈「私はあなたの中の天使。ネコババなんて、しちゃダメ。落とした人もきっと困る」
あなた「私の中の天使!?」 璃奈「中身がいくらだって関係ない。人の落し物を自分のものにしちゃダメ。璃奈ちゃんボード『占有離脱物横領』」
あなた「そ、そうだよね!目の前の大金に目が眩んでどうかしてたよ。早く届けなきゃ!」
璃奈「それが良い。早く交番に行こう?」
あなた「分かった。ええっと、近くの交番は…」
??「ちょーっと待った!!」
あなた「!?」
??「そのお財布、そのまま届けちゃって良いのかなー?」
璃奈「そ、その声は!」
デデデーン!
想像上の愛「アタシはキミの中の悪魔!ホントにこのまま届けちゃって良いの?もうちょっと考えよーよ」
あなた「私の中の悪魔!?」 璃奈「愛さん、どうして止めるの?璃奈ちゃんボード『遺失物横領』」
あなた「わわっ、どうしよう…なんか頭の中で対立が始まっちゃったよ」
愛「りなりーもぶちょーも、ちょーっとだけ愛さんのお話聞いてほしいな〜?」
あなた(想像しといてなんだけど愛ちゃんって悪魔かなあ?むしろ日向の道を疾走してそう)
あなた(いやでも、このルックスとスタイルで誰にでも距離感が近いムーヴ。ある意味では悪魔かもしれない)
璃奈「うーん。聞くだけ聞いてみてもいいかも。どうして止めるのか興味がある」
あなた「それもそうだね。どうしてこのまま届けちゃダメって思うの?」
あなた(愛ちゃんだったらむしろすぐ届けようよ!って言いそうなんだけど) 愛「これだけ大きな金額が入ってるとキミにも疑いがかかっちゃうかもよ?」
愛「それこそ中身からちょっと抜いたんじゃないかー、とか」
璃奈「やましいことがなければ問題は無いはず」
愛「それはそのはずだけどさ、もしものことってあるじゃん。交番にいるお巡りさんなんて大抵男の人だし、一対一でその万が一があったら怖いでしょ?」
あなた「流石にそんなこと無いとは思うけど、交番って普段寄らない場所だから緊張はしちゃいそうかも」
愛「そうそう!だから行く前に誰かしら連絡とって、事情を話して着いてきてもらうと良いんじゃない?」
あなた「え?」
璃奈「え?」
愛「ん?」キョトン 愛「どしたの二人とも、そんな固まっちゃって」
あなた「いや、対立構造が思ってたのと違ってて」
璃奈「愛さん、この子が財布を届けるのを止めようとしてたんじゃないの?」
愛「考えようとは言ったけど、届けるななんて言ってないよ?」
あなた「確かに届けるなとは言われてなかったね…」 愛「もー!愛さんがそんなこと言うわけないじゃん、お金をネコババなんておっかねーこと!お金だけに!」
璃奈「そういうことなら、分かる。ただ、時間もかかっちゃうし、誰か着いてきてくれる人はいるかな」
愛「分かんないけど、一回誰かしらに当たってみるのはアリっしょ?」
あなた「うーん、そうだね…」
あなた「ちょっと一回落ち着くことにするよ。ふたりともありがとう」
璃奈「別にこれくらいなんでもない。落し物、ちゃんと届けてあげてね。璃奈ちゃんボード『にっこりん♪』」
愛「愛さんはちょっとだけ口挟んだだけだからね〜。混乱させちゃったらごめんね!」
ホワンホワンホワーン あなた「天使と悪魔で対立してなくない?」
あなた「…一旦深呼吸でもして冷静になろう」
あなた「というか、さっき幻覚と普通に会話してたけど私疲れてるのかな」
あなた「…それにしても」
つ【万札が大量に入った高級ブランドの財布】
あなた「うっ…精神的にも物理的にも重い」
あなた「天使も悪魔もこのまま交番に届けた方が良いって言ってたし、素直に…」 あなた「でも、愛ちゃんが言ってたことも分かるんだよね。これだけのものをひとりで届けるのってちょっと怖いな」
あなた「小さい時に道を聞いたくらいで、交番なんてほとんど使ったことないし…」
あなた「そういえば、取り調べで脅迫されたなんてニュースもあったな…あれは落し物届けた人じゃないけど」
あなた「怖い目にあったらどうしよう…もし疑われて怒鳴られたりしたらやってなくても認めちゃいそうだよ」
あなた「誰かに着いてきて貰おうかな…でも急だしみんな用事もあって迷惑かもしれないし…」
あなた「うぅ〜っ!どうして踏み切れないんだ私!!」
??「大丈夫だよ〜!落ち着いて、都合のつきそうな人を探してみよう?」
あなた「そ、その声は!?」
シャララララ〜♪
想像上のエマ「わたしはあなたの中の天使!」
あなた「エマさん!」 あなた(自分の想像だから当たり前だけど、エマさん天使ってすごくしっくりくる)
エマ「お巡りさんたちに説明できるように、拾った場所のことも覚えておいた方が良いと思うよ〜」
あなた「あっ、話はもう届ける届けないの次元ではないんだね」
エマ「あなたの葛藤に合わせて出てくるから、そこはもう決着ついてるってことじゃない?」
あなた「なるほど…まあもう流石にネコババする気はないからね」
エマ「どの辺りで見つけたのー、とか、何時頃拾ったのかとか。覚えるかメモしておくと良いよ〜」
あなた「そうだね、聞かれてその場で答えるってなったら慌てて思い出せないかもしれないし。今のうちにスマホにメモしとこ」
エマ「うんうん♪それに、ひとりで行くのが怖いなら、さっき言った通り人を頼ったら良いと思うな」
あなた「そっか…でも、やっぱり遠慮しちゃうかも」
??「ちょっと待ってもらえるかしら」
エマ「その声はー?」
デデデーン!
想像上の果林「私はキミの中の悪魔。葛藤してしまうのなら、自分ひとりの足で向かうべきね」
あなた「果林さん!」 果林「慣れないことだし、怖い気持ちもあるかもしれない。それでもまず挑んでみることが大事じゃないかしら」
あなた「挑む挑まないで考える話かは分からないけど、思い切ったほうが良いのかなぁ」
果林「待つよりも早く届けられるし、迷惑をかけたくないんでしょう?」
果林「それなら考え込むより自分で解決してしまったほうが良いんじゃないかしら」
エマ「う〜ん…頼るときには頼って良いと思うんだけどなぁ」
あなた(なんでだろう。果林さんが言ってることにおかしいことは無いはずなんだけど)
あなた(絶妙に説得力があるような無いような)
あなた(でも果林さんって人に頼るときと抱え込むときで極端な所があるから、そういうことなのかも)
果林「それじゃあ早速行きましょう。交番は…確かこっちね」スタスタ
あなた「す、ストップ果林さん!!」ガシッ あなた「果林さん、交番は真逆の方向だよ!」
果林「あ、あら、そうだったかしら」
あなた(悪魔的には正しい所業かもしれないけど多分普通に間違ってるよね?)
エマ「果林ちゃん、まずは自分が道を覚えるところから始めよう?わたしも一緒に行くから」
果林「ええ…悪いわね、エマ」
エマ「全然!こういうの、適材適所って言うんでしょ?」
エマ「それじゃあ、わたしは果林ちゃんと歩いてくるね♪」
あなた「う、うん。行ってらっしゃい」
ホワンホワンホワーン あなた「見送ったは良いけど、幻覚がどうやって自分たちだけで交番に行くんだろう」
あなた「…幻覚を見送るってなに?」
あなた「やっぱちょっと調子おかしいのかな…ひとりじゃ不安だ」
あなた「よし、エマさんもああ言ってたし、用事が無さそうな人を探して一緒についてきてもらおう」
あなた「お礼も何か考えなきゃいけないなぁ」
あなた「金欠が加速しちゃうけど、私の都合に付き合ってもらうんだからそれくらいはやらないとね」 あなた「…さて、誰に連絡しようかな」
あなた「3年生はそれぞれ学科の補講があるみたいだし、愛ちゃんはランチタイムのお手伝い」
あなた「せつ菜ちゃんはラノベ作家さんのサイン会で、かすみちゃんはイベントの偵察。璃奈ちゃんは久し振りにご両親が家にいるんだよね」
あなた「歩夢ちゃんは午後から空いてて、しずくちゃんは演劇部の午前練って言ってたな…」
あなた「ここは歩夢ちゃん…いや、スクールアイドルになってから完全オフって少なくなってるし、邪魔しちゃったら悪いかな」
あなた「でもしずくちゃんは後輩だし、練習で疲れちゃってるよね…」
あなた「うーん、やっぱりひとりで行シャララララ〜♪「私はあなたの中の天使!」んん!?」
想像上の歩夢「そんなこと気にしなくて良いんだよ。幼馴染なんだから!」
あなた「歩夢ちゃん!」 歩夢「あなたが助けを必要としてるなら、いつだって助けに行くよ。だから私のことを呼んで?」
あなた「あ、ありがとう…私、いつも頼っちゃってばっかりだね」
歩夢「もう、逆だって何度も言ってるのに」
歩夢「私、あなたの隣がいちばん落ち着くの。お休みの日にふたりになれることも減っちゃったし、こういうときこそ声をかけて欲しいな」
あなた「歩夢ちゃん…!」
あなた(これは私の幻覚のはず、なんだけど…)
あなた(一個一個の言葉がしっくりくる。してきた会話の数が多いからかな)
あなた「うん。なら…甘えちゃって良いかな」
歩夢「もちろん♪」
??「──ちょっと待ってください」
歩夢「そ、その声は?」
デデデーン!
想像上のしずく「私は…あなたの中の悪魔です、先輩♡」
あなた「しずくちゃん…!」 しずく「な、なんて…ちょっとは悪魔らしかったですか?」
あなた「う、うん、そりゃあもう」
あなた(ぐっ…!この声、想像の補正がかかって本物の150%くらいやらしい!)
しずく「学園は今先輩がいる位置と交番の中間にあるんです」
しずく「ちょうど午前練も終わりますし、ご一緒しませんか?」
あなた「あっ、そういえばそうだ。学園前で待ち合わせすればタイミングも合いそうだね」
しずく「はい!その後にお昼もどうでしょう?」
歩夢「演劇部って半分運動部みたいな練習量なんだよね?疲れてるだろうし、ここは私に任せて」
しずく「ハードですけど、全日練習ほどじゃありませんから」
しずく「今から外に出る準備をしてこちらに来るのは大変です。なので、後輩の私に引き受けさせてください」 歩夢「……」
しずく「……」
あなた(2人ともお互いのことを考えてあげてて、本当にいい子だな)キリキリ
あなた(でもどうしてこんなに内臓がヒリヒリした感じがするんだろ)キリキリ
あなた(心なしか冷や汗まで出てる気がする。風邪かな?…キャンディは手元にないや)
歩夢「ねえ、あなたはどう思う?」
あなた「えっ」
しずく「そうですね。最終的に決めるのは先輩ですから」
あなた「えっ、あ、うん、いやそれはそうなんだけど」
あなた「……」 あなた「…両ほ」
歩夢「……」
しずく「……」
あなた「……」
あなた「…………」
ホワンホワンホワーン あなた「───はっ!?」
あなた「…なんかもう、なんだろ。何故か分からないけどすっごくお腹が痛くなっちゃった」キリキリ
あなた「大したことじゃなかったはずなのに、不思議とメンタルが擦り下ろされた気分だよ…」キリキリ
あなた「…今誰かと話す気力が無いかも。場所を調べてひとりで行こう」 あなた「ええっと、近くの交番は…うわ、ここからだと結構歩かないといけないんだ」
あなた「どの辺にあるかはなんとなく覚えてたけど、距離で見ると遠いなぁ」
あなた「何だかんだ家出てから歩いたり用事したりで座ってないし、幻覚ラッシュで頭も疲れてる気がするし」
あなた「でも物が物だから、先に届けに行くべきだよね」
あなた「…ちょっとだけ休みたいけど、うーん…」
??「待て待て〜い」
あなた「そ、その声は!」
シャララララ〜♪
想像上の彼方「私はあなたの中の天使〜。拾ったお金は、早めに届けなくちゃだよー?」
あなた「彼方さん!ごめんね!すぐ届ける!!」 彼方「うんうん、分かればよろしい」
彼方「お財布なんて大切なもの、落としたことに気づいた人が慌てて交番に問い合わせてるかもだからね〜」
彼方「それに、用事を済ませてからの方が、気持ちよーくすやぴできるよ〜」
あなた「そうだね。今休憩してもずっとこの財布が気になっちゃいそうだし」
彼方「彼方ちゃんとしては、お休みを我慢させちゃうのは忍びないけど、こればっかりはね」
あなた「もうひと踏ん張りするかぁ」
??「……あっ、あのぉー…」オズオズ
彼方「その声はー?」
デデデーン…
想像上のかすみ「かすみんは先輩の中の悪魔、なんですけど…これ唆かすのダメなやつですよね?」
あなた「かすみちゃん!」 あなた「まあそうかもしれないね…」
かすみ「ううっ、折角出てきたのにこれじゃあんまりですよぉ」
あなた「ちなみに対抗軸はなんだったの?」
かすみ「先輩、朝の用事から休憩取ってなかったから…ちょっとベンチに座るくらいして良いんじゃないかなーって」
あなた「そういうこと…かすみちゃんは優しいね」
かすみ「ふふん、かすみんは気配りも出来ちゃう子なんですっ」
かすみ「…でもこれ、登場するタイミングを間違えた感あります」
彼方「そういうことなら…ちょっと彼方ちゃんも考えるかなぁ」
かすみ「彼方先輩?」 彼方「万一だけど、具合が悪くなっちゃったら大変だもんね」
かすみ「そっ…そうです!せめてなにか飲むくらいはしないと!」
あなた「途中に自販機とベンチがある公園に寄って、一息つくのがちょうど良いかな」
彼方「水分不足は怖いもんね、かすみちゃんが言ってくれて良かったよ〜」
かすみ「へっ?…え、えへへっ、先輩も彼方先輩も、かすみんがいなくちゃダメなんですか───」
??「───ちょっと待ったぁー!!」
あなた「えっ、3人目!?」
彼方「どういうこと〜?」
かすみ「こ、この声は!」
ハシーリダシター オモイハツヨークスールヨー
せつ菜「私はあなたの中のスクールアイドルです!この話し合い、私が預かります!!」ドン!!
あなた「せ、せつ菜ちゃん!」 せつ菜「こういう風に後から登場するの、やってみたかったんです!王道ヒーローみたいですよね!」ニコニコ
あなた(はしゃぐせつ菜ちゃんもかわいい!けど話がややこしくなりそう!)
せつ菜「さあ!交番に届けましょう!!」
あなた「目的に向かって真っ直ぐだなぁ!さっきからずっとそのつもりだよ!」
せつ菜「そうなんですか?では早速向かいましょう!」
あなた「だからその前にちょっとだけ休憩をって」
??「待ってください」
あなた「よ、4人目!?」
あなた(この流れだとまさか栞───)
想像上の菜々「私はあなたの中の中川菜々です」
あなた「菜々ちゃん!?」 菜々「もうひとりの私が言うことももっともです。しかし喫茶店とはいかないまでも、一度落ち着いてから向かうべきじゃないでしょうか?」
あなた「その方向性でまとまりつつあったんだけど…」
かすみ「せつ菜先輩は百歩譲って良いとして、本名がカテゴリーってどういうことなんです?」
彼方「流石というかなんというか、型破りだねぇ」
せつ菜「届け出が終わってからでも良いはずです!引き延ばしていたら忘れてしまうかもしれません!」
菜々「これだけの大金です。そう簡単に忘れるというのは考えにくいですよ」
あなた「待って待って、同一人物同士で争わないで」 〜間〜
せつ菜「すっ、すみません!登場のタイミングばかり図っていて、議論の流れが見えてませんでした…!」
あなた「良いよ良いよ。一回やってみたかったんでしょ?」
菜々「私も、もう話がまとまっているとは知らずに口を出してしまって…ごめんなさい」
あなた「ううん、菜々ちゃんも私のためを思って言ってくれたんだよね。驚いただけだから気にしないで」
あなた(せつ菜ちゃんと菜々ちゃんが並んでる絵面、壮観だ…)
彼方「決着、ってことで良いんだよね?」
かすみ「かすみんたちと似た流れだったとはいえ、言ってる内容自体はおかしくなかったですもんね」
せつ菜「は、はい、お騒がせしてしまって…」
菜々「私からも改めて、お騒がせしました…行動指針が決まったのなら、私たちはお暇しますね」
あなた「うん。出てきてくれて嬉しかったよ!」
彼方「それじゃあ、彼方ちゃんたちも行こうか〜」
かすみ「えーっ、かすみんはもっと先輩と…ちょっ、彼方先輩、腕掴まないでくださいよぉ!」
ホワンホワンホワーン あなた「つ、疲れた…終盤は脳が焼き切れるかと思ったよ。面白かったけど」
あなた「気にするもなにも、私が勝手に想像してるだけだし…だけだよね?」
あなた「これだけ幻覚見るのマズくない?大金入りの財布よりそっちのが怖くなってきちゃった」
あなた「さっきまでの状況に比べれば交番に行くなんてなんともないや。ぱっと済ませちゃおう」
あなた「…その前に自販機で飲み物だけ買って、と」
トコトコ
〜間〜
あなた「手続き、想像してたより大分あっさりだったな。変に迷う必要無かったかも」
あなた「落とした人、見つかると良いなぁ」
あなた「…やっぱ悪いことで稼ごうとするのはダメだね。明日の放課後に相談しにいこう」 翌日
〜生徒会室〜
あなた「───っていう訳なんだけど、虹学ってバイト禁止じゃなかったよね?」
栞子「各家庭に様々な事情がありますから、学園に許可を得た上でのアルバイトは可能です」
あなた「そっか。その申請も生徒会から通してもらえるの?」
あなた(生身の人と会話するのって落ち着くなぁ)
栞子「手続き上はそうなっています。書面を生徒会で一度預かり、学園サイドへ上げる形です」
栞子「…ですが、そもそも同好会の活動範囲であればある程度部費で補えるはずでは?」
栞子(それ以前に自分の幻覚と会話するレベルの精神状態が心配だけれど)
あなた「部費で済むなら良いんだけど、衣装とかイベントのエントリーで結構かかっちゃうんだ」
あなた「だからまずは短期で入れる場所とか探そうと思って。許可手続きって結構難しい?」
栞子「……」
栞子「……なるほど」
あなた「?」 栞子「スクールアイドルに対する私の考えは変わりませんが、活動実績を考えれば部費の調整も必要かもしれませんね」
あなた「栞子ちゃん……良いの?」
栞子「個々人の将来に適っているかはともかく、学園への宣伝効果は評価しなければいけないので」
あなた「あ、ありがとう!」パアァッ
栞子「ですが、正当な理由の届け出がなければ部費は増やせません」
栞子「あなたの言う『活動に必要な出費』の詳細。それを聞いた上で判断します」
あなた(栞子ちゃん…最初はあんなに頑なだったのに、今はこんな相談にも向き合ってくれるなんて)
あなた(臨時予算なんて普通はめったにないこと。チャンスをくれたんだからしっかり応えなきゃ!)
栞子「設備やイベントへのエントリー代、交通費や資料の印刷代は既に部費で計上されています。それ以外を教えてください」
あなた「出費の詳細だよね!えっと───」
かくかくしかじか
あなた「…こんな感じなんだけどどうかな?」
栞子「…分かりました。簡潔にあなたの話をまとめると」 栞子「『28股をかけた挙句資金不足に陥った』ということですね。同好会の来期の部費は半分にします」
あなた「なんで!?」 あなた「ま、待って!どういうこと!?」
栞子「これで話は終わりです」
あなた(表情には出てないけど栞子ちゃんがすごい怒ってることは分かる!あの日夕焼けと一緒に見た微笑みは何だったの!?)
栞子「粗方のエピソードは聞きました。これで済むだけ温情だと思いますが?」
あなた「な、何が気に障っちゃったか分からないけどせめて部費は現状維持で…」
あなた(あれ、そういえば)
栞子「なんです?何か言いたそうな顔をして」
あなた「仮にだけど、栞子ちゃんのその…股がけが正しい話だとしてさ」
栞子「正しいも何も、誰に聞いても十中八九似た結論が出ると思いますが」
あなた「28って、一人多くない?」 栞子「………」
あなた「………」
栞子「………」
あなた「………」
栞子「そうですね。私の誤りです。その点においては間違っていたと認めます」
あなた「う、うん」 栞子「訂正しましょう。来期の部費は10分の1です」
あなた「なんで!?!?」
おわり 乙
あなたちゃん、最初から最後までやべー奴じゃねーか ■ このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています