あなた「着いた……ついに来ちゃった」
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冬休み
かすみ「おはようございま〜す」
璃奈「かすみちゃんおはよう」
歩夢「おはよう、かすみちゃん」
かすみ「あれ?先輩はまだ来てないんですか?」キョロキョロ
彼方「まだだね〜」
果林「歩夢は一緒に登校してないの?」
歩夢「誘おうと思ったんだけど朝からどこかに出かけちゃったみたいで……」
愛「じゃあ今日は休み?」
しずく「グループチャットに連絡は来ていませんね……」
エマ「最近曲作りで悩んでたみたいだから少し心配だね……」
9人「…………」 愛「ユニット曲はソロともグループとも違ってなかなか上手くいかないって言ってたからね」
せつ菜「曲作りの参考にしたいってスクールアイドルのCDやBlu-rayを私のところに借りに来ましたし……」
果林「最近帰るのもいつも最後よね……」
彼方「昨日は割と早く帰ったみたいだけどね〜」
歩夢「でも昨日は夜中の2時過ぎまで部屋の電気が点いてたよ」
かすみ「そうなんですか……」
かすみ「…………」
かすみ「えっ!?」
歩夢「どうしたの?かすみちゃん」
かすみ「な、何でもありません」
かすみ(なんで歩夢先輩は夜中まで電気が点いてたこと知ってるんですか?)
かすみ(たまたまその日は歩夢先輩が寝るのが遅かっただけですよねきっと) しずく「今日は気分転換にでも出かけてるのでしょうか?」
しずく「何も連絡が無いのは気になりますけど……」
彼方「はっ!そういえば」
果林「どうしたの?彼方」
彼方「昨日彼方ちゃんがダンスのレッスンをちょっとだけ休憩してた時たまたま二人きりになったんだけど〜」
かすみ(ちょっとだけ?)
果林(かなり長かったような……)
彼方「難しい顔しながらライブの映像を見てたんだけど突然『これだ!』みたいな表情になって……」
彼方「一通り見た後すぐに帰っちゃったんだよ〜」
彼方「あれはまるで彼方ちゃんが遥ちゃんからのメールを受け取った時の様な……」 エマ「誰のライブだったの?」
彼方「あれは確か北海ど……」
せつ菜「Saint Snowですね!」
彼方「お……おぉ……」タジッ
彼方「そう、北海道のSaint Snowだったよ」
果林「せつ菜、早押しクイズじゃ無いんだから……」
せつ菜「すみません、つい……」
愛「まあまあ、そこがせっつーのいいところでもあるんだし」
璃奈「でもSaint Snowさんの映像に感銘を受けたんだったらひょっとして……」
かすみ「まさかりな子〜、『先輩はSaint Snowに感銘を受けたから北海道に行った』な〜んて言うんじゃないよね〜?」
8人「…………」
かすみ「え?」 かすみ「いやいやまさか北海道ですよ?」
8人「…………」
かすみ「いくら先輩の行動力が凄いと言っても……」
せつ菜「かすみさん!」
かすみ「な、なんですか?」
せつ菜「正確には函館です」
かすみ「…………」
かすみ(そこはどうでもいいです……) かすみ「東京から函館がどれだけ遠いと思ってるんですか?」
璃奈「直線距離でおよそ700km……」
かすみ「距離の話じゃなくて……」
かすみ「流石に先輩といえども女子高生が突然一人で東京から北海道まで行くわけがないって言ってるんですよ」
かすみ「何か言ってくださいよ歩夢先輩〜」
歩夢「う〜ん」
歩夢「あの子の事だからきっともう……」
かすみ「もういいです!」
かすみ「先輩に直接電話して確かめてみます」 あなた「着いた……ついに来ちゃった」
あなた「ここが函館」
あなた(Saint Snowのライブ映像に衝撃を受けて勢いだけで飛び出して来ちゃったけど……)
あなた(交通費だけでかなりお金を使っちゃった……)
あなた(貯金だけじゃ厳しいと思ってお年玉の前借りをしといて正解だったかも)
あなた(ここまで来ちゃったら手ぶらじゃ帰れないよね)
あなた(何としてもSaint Snowに直接会ってその魅力の秘訣を探らなきゃ!) アア キーラリ カガーヤク
あなた(かすみちゃんから電話だ)
あなた「もしもし?」
かすみ『先輩?今どこですか?ひょっとして函館ですか?』
あなた「え?よく分かったね……今着いたところ」
かすみ『へ?函館?函館って北海道の函館ですか?』
あなた「北海道以外の函館って知らないけど……」
かすみ『え……』
あなた「?」
かすみ『ええええぇぇぇ〜!?』
あなた「…………」キーン あなた「かすみちゃん!声大きい!」
かすみ『だってだって〜、北海道ですよ!』
かすみ『なんでいきなり北海道に行ってるんですか!?』
あなた「Saint Snowの魅力を探ってユニットの曲作りの参考にしようと思って」
かすみ『Saint Snowと会える予定でもあるんですか?』
あなた「実はまだ何も……」
かすみ『えぇ!?』 あなた「でもAqoursの時も何とかなったからきっと今回も大丈夫」
かすみ『全くのノープランって事ですか!?』
あなた「うん……まあ……」
かすみ『……』
かすみ『いつこっちに帰ってくる予定なんですか?』
あなた「ここまで来ちゃったんだからSaint Snowにあって曲作りのヒントを掴むまでは帰らないつもりだけど……」
かすみ『…………』
あなた「あ、バスが来ちゃった……」
あなた「それじゃ、何かあったら連絡するからみんなに宜しくね」 ツーツー
かすみ「…………」
しずく「か、かすみさん?」
璃奈「ど、どうだったの!?璃奈ちゃんボード『ハラハラ』」
璃奈(かすみちゃんの様子から大体予想はついてるけど………)
かすみ「……」
かすみ「Saint Snowに会って曲作りのヒントを掴むまで帰らないつもりだからみんなに宜しく、だそうです」
8人(やっぱり……) 果林「さすが私達の部長ね」
歩夢「あの子って昔っからああいうところがあるから……」
歩夢「でもそこがあの子のいいところなんだよね」
せつ菜「くぅ〜、Saint Snowのお二人に会えるなんて羨ましい限りです!」
かすみ「アポは全くないって言ってましたけどね!」
かすみ「皆さん先輩の事が心配じゃないんですか!?」
かすみ「女子高生がたった一人で北海道ですよ?」
かすみ「熊に襲われたりすすきのでスカウトされたりしたらどうするんですか?」
しずく「かすみさんの北海道のイメージはそれなんだね……」
愛「熊に襲われたら〜、それはくまった事になるね〜」
かすみ「愛先輩!」
愛「あはは冗談冗談」
愛「まあ流石に市街地に熊は出ないだろうし、今は冬眠してるっしょ」 果林「それにすすきのは確か函館じゃなくて札幌よね」
エマ「ねえ、彼方ちゃん」
彼方「ん〜?なぁにエマちゃん」
エマ「ススキノって何?」
彼方「憶えなくていい日本語だからスルーしていいよ〜」
エマ「そうなんだ……」
かすみ「こうなったらかすみんも先輩を追って函館に行きます!」
果林「かすみちゃん!」
かすみ「なんですか?果林先輩」
果林「普通の女子高生が一人で北海道に行くなんて無茶よ!」
かすみ「先輩も普通の女子高生ですよね!?」 かすみ「やっぱり納得いきません」
歩夢「きっと大丈夫だよ」
歩夢「あの子はきっと曲作りのヒントを掴んで無事に帰ってきてくれる」
歩夢「そういう子だもん」
彼方「そうだよ〜、かすみちゃん」
彼方「果報は寝て待てって言うんだし彼方ちゃん達は早速お昼寝を〜」
せつ菜「部長は今、最高の曲を作るため遠く離れた地で闘っているんです……」
せつ菜「私達がすべき事は彼女の無事を信じてただ待つだけでなく、出来上がった曲に最高のパフォーマンスで応える事ではないでしょうか!」
せつ菜「と、いうわけで早速練習に行きましょう!」
彼方「え〜……」
果林「さ、彼方もかすみちゃんも練習行くわよ」
彼方「は〜い……」
かすみ(でもやっぱりかすみんは先輩がいないと寂しいです……)
かすみ「せんぱ〜い、早く帰ってきてくださいね〜」 あなた「とりあえずAqoursの時と同じ様に学校に来てみたけど……」
あなた「寒い!」
あなた(冬の北海道を甘く見てたかもしれない)
あなた(まだお昼なのにこんなに寒いんだから夜はもっと冷え込むよね)
あなた(冬は日没も早いから早くSaint Snowに会わないと……)
あなた(あ、聖泉の生徒発見!)
あなた(早速話を聞いてみよう) あなた「あの、すみません」
「え?はい、何か用ですか?」
あなた「Saint Snowにお二人に会いたいんですけど学校に来てますか?」
「…………」
「ごめんなさい、わかりません」
あなた「じゃあどこに行ったら会えるかってわかりますか?」
「ごめんなさい、わかりません、失礼します」ペコリ
あなた「あ……」
あなた(行っちゃった……) 行動力の化身すぎるというのがスクスタで全く同じだからなあ あなた(なかなか手掛かりが掴めないな……)
「あの……」
あなた「は、はい!」
「Saint Snowに会いに来た人がいると聞いたのですが、あなたの事ですか?」
あなた「はい!私どうしてもSaint Snowに会いたくて」
「すみません、Saint Snowに限らず生徒への出待ち等の行為は生徒や近隣の方の迷惑となるので学校としてお断りをしているのですが……」
あなた「そ、そうですよね……」
「そういった訳なのでお引き取り願えませんか」
あなた「わかりました……」 あなた「はぁ……」
あなた(まいったなぁ、学校以外に手掛かりなんて無いのに……)
あなた(お腹も空いてきたし近くのお店で休憩ながら考えよう)
テクテク
あなた(どこか近くに良さそうなお店は……)
あなた(ん?)
あなた(くじら汁?レトロな雰囲気のお店だなあ)
あなた(とりあえず当ても無いしこのお店にしようかな)
ガラガラ
あなた「こんにちは〜」
「いらっしゃいませ1名様ですか?」
あなた「はい」
「靴を脱いでお好きな席へどうぞ」 あなた(もう日が傾きかけてる……)
あなた(この後探すのは厳しいかな?)
「お客様、ご注文はお決まりでしょうか?」
あなた(今日泊まる所も探さないといけないし……)
「お客様?」
あなた(今日は収穫ゼロだよ……)
「お客様!」
あなた「あ、はい!」
「ご注文は……」
あなた「え〜っと………」
あなた「えっ!?」
あなた「Saint Snowの鹿角聖良さん!?」
聖良「え?はい、そうですけど……」
あなた「私、あなたに会いに来たんです!」
聖良「…………はい?」 聖良「ああ、ファンの方ですね」
聖良「ご来店ありがとうございます」ペコリ
聖良「仕事中なのであまりお構いできないかも知れませんがゆっくりしていってくださいね」
あなた「あの、そうじゃなくてSaint Snowのお二人に聞きたいことが……」グウゥー
あなた「…………」
聖良「…………」
あなた「くじら汁あります?」 理亞「姉様、今日はそろそろ上がっていいって……」
あなた(理亞ちゃんだ……)
理亞「…………」
理亞「その子誰?」
あなた「こんにちは……」
聖良「こちらの方はわざわざ東京から私達に会いに来てくれたそうですよ」
聖良「なんでもスクールアイドルの曲作りに悩んでいるそうで……」
聖良「私達の話を参考に曲作りのヒントを……ということらしいです」
理亞「姉様、この子バカ?」
理亞「何で私たちがわざわざ敵に塩を贈るような真似をしなきゃいけないのよ?」
あなた「え……っと」 聖良「申し訳ありません、妹が失礼なことを……」
理亞「何で姉様が謝るのよ!」
聖良「理亞、お客様ですよ」
聖良「それに面と向かってバカなんて言うものじゃありません」
理亞「…………」
理亞「ごめんなさい、姉様」
聖良「理亞、謝る相手が違いますよ」
理亞「………………」
理亞「ごめんなさい」
あなた「い、いいよ、気にして無いから」
あなた(聖良さんは接客中だからかも知れないけど思ってたより柔らかくてしっかりした人って印象だなぁ)
あなた(対して理亞ちゃんはイメージ通りというかキツめの印象……) 〜〜〜〜
あなた「サビのところの二人のステップが特に良くって……」
理亞「当然でしょ!この曲は見せ方にもこだわったて……」
聖良(いつの間にかすっかり打ち解けてますね)
聖良(人見知りの理亞が初対面方とあんなに話せるなんて……)
聖良(彼女は不思議な人ですね……)
聖良「さて……」
聖良「そろそろ閉店時間ですね」
聖良「あなたもそろそろホテルに戻った方がいいのではないですか?」
あなた「それなんだけど、え〜っと……」
聖良「もしかして今日帰られる予定でしたか?」
聖良「それなら尚更急がないと……」
あなた「まだ泊まる所決まってなくて」
聖良「………え?」
あなた「Saint Snowに会いたくて後先考えずに飛び出して来ちゃったから……」 聖良「一応確認しますけど、未成年ですよね?」
あなた「はい、高校2年生です」
聖良「一人で?」
あなた「一人でです」
聖良「あなた……」
聖良「バカですね?」
理亞「姉様!?」
理亞「さっき面と向かってバカって言っちゃいけないって……」
聖良「え?いや、だって……」
理亞「だってじゃない!あと姉様は『いや、だって……』なんてイメージ崩れるから使っちゃダメ!」
聖良「え?普通に使ってますけど……」
理亞「いいから禁止!わかった?」
聖良「はい……」 聖良「お見苦しい所をお見せしました……」ペコリ
あなた「い、いえ……」
聖良「それでどうするんです?この季節で宿が無いんじゃ冗談抜きで死にますよ?」
あなた「どこか泊まれる所って知りませんか……」
理亞「うちは観光案内所じゃない!」
聖良「ご家族はあなたが函館にいる事はご存知なのですか?」
あなた「しばらく北海道に行ってくるって伝えてあるよ」
理亞「はぁ?了承してるって事?どんな親よ」
あなた「うちの親、放任主義な所あるから」
理亞「いくらなんでも放任主義すぎるでしょ……」 聖良「未成年だけの宿泊は嫌がる所も多いはずですし最悪警察ですね……」
あなた「け、警察?」
理亞「何か不味い事でもあるの?」
あなた「だって警察にお世話になって何か問題になっちゃったら同好会のみんなに迷惑がかかるかも……」
理亞「自業自得じゃない」
あなた「…………」シュン
理亞「……」 聖良「何か事件に巻き込まれたり、一人でいる所を補導されたりしたらそれこそ大変な事になりますよ」
聖良「そうならないうちに警察に相談するんです」
あなた「そうですよね……」
あなた「ありがとうございました、警察に相談に行ってきます」ペコリ
聖良「近くの交番まで私が案内しますよ」
聖良「事情は私の方からも警察の方にお話しますから」
あなた「ありがとうございます……」 聖良「それじゃあ理亞、私はちょっと出かけてくるから」
理亞「…………」
理亞「姉様……」
聖良「どうしました?理亞」
理亞「今日だけその子泊めてあげちゃ駄目……かな?」
あなた「え?」
聖良「理亞?」 スッと行ってパッと滞在出来た内浦が異常なんだよなぁ あなた「いいの!?」
理亞「えっと、ほら……」
理亞「何かあった時に私達に追い出されたって騒がれたりしたら嫌だし……」
聖良(理亞、見ず知らずの人を自宅に泊める理由としては少々無理がありますよ……)
聖良(しかし、あの理亞が)
聖良(仕方ありませんね)フフッ
聖良「わかりました」
理亞「姉様?」
聖良「私は両親にあなたを家に泊める許可をもらって来ます」
理亞「姉様!」 あなた「本当ににいいんですか?」
聖良「ええ、あなたはその間にご自分の親に報告をして下さい」
聖良「それと、あくまで泊めるのは今日だけですから明日以降はキチンと宿を探すか無理なら東京へ帰る事」
聖良「それで構いませんか?」
あなた「ありがとうございます!聖良さん!理亞ちゃん!」
理亞「別に私はただ……」
あなた「ううん、理亞ちゃんのおかげだよありがとう!」ギュッ
理亞「…………!!」
聖良(手を握られただけで理亞が真っ赤に)
聖良(本当に不思議な魅力のある人ですね) 理亞「姉様、どうだった?」
聖良「意外とあっさりOKしてくれましたよ」
聖良「そちらは?」
あなた「うん、こっちもオッケー」
聖良「そうですか」
聖良「時間に余裕もできたことですし、今度はあなたの事を聞かせて貰っても構いませんか?」
あなた「もちろん!」
理亞「私も東京の話とか聞いてみたい」
聖良「まず、あなたの学校はどちらで?」
あなた「お台場っていう所にある虹ヶ咲学園っていう学校で……」
2人「虹ヶ咲学園!?」 理亞「虹ヶ咲学園ってあの?」
聖良「ソロ活動がメインって言う学校ですか?」
あなた「多分、その虹ヶ咲学園かな」
理亞「優木せつ菜がいる?」
あなた「そう!せつ菜ちゃん」
理亞「でもあなたみたいな人は虹ヶ咲にいなかったと思うけど……」
あなた「私はみんなをサポートする立場でスクールアイドルではないから……」
聖良「…………」
聖良「あなたがあの虹ヶ咲学園の……」
聖良「詳しく話を聞かせてもらっても?」 〜〜〜〜
聖良「なるほど……」
聖良「今の話を纏めると……」
聖良「偶然μ'sとAqoursの合同ライブを見てスクールアイドルに興味を持ち……」
あなた「うん……」
聖良「廃部寸前だったスクールアイドル部を立て直し……」
あなた「えっと、部じゃなくて同好会……」
聖良「すぐに大会で優勝して……」
あなた「…………」
聖良「夏にはAqoursと一緒に地元のイベントの運営を手伝い……」
聖良「さらにファンサイトの企画でμ'sに密着取材をして……」
聖良「ひょんな事からμ'sとスクールアイドル対決になり……」
聖良「その後もμ'sやAqoursと親交を深めている、と言う事ですね」
あなた「う、うん」 理亞「ちょっと姉様」ヒソヒソ
聖良「ええ、言いたい事は分かっていますよ理亞」ヒソヒソ
理亞「ありえないでしょ」ヒソヒソ
聖良「でしょうね」ヒソヒソ
理亞「イベントの手伝いとインタビューだけでも都合が良すぎるのにスクールアイドル9番対決って何?」ヒソヒソ
聖良「嘘にしてもあまりに荒唐無稽なので『逆に本当なのでは?』と思えてくる程に酷い作り話ですね」ヒソヒソ
聖良「もしこれが全部本当だったらブロッコリーを一本丸ごと食べてあげますよ」ヒソヒソ
理亞(姉様、それはブロッコリー嫌いじゃなくてもキツイ……) 理亞「やっぱりこの子怪しい……」ヒソヒソ
理亞「さっきも警察に行くのを嫌がってたし……」ヒソヒソ
聖良(私達を騙そうとしているのでしょうか?)
聖良(騙すにしては作り話が幼稚ですし、彼女からは不思議と悪意は感じられません……)
理亞「虚言癖があるとか現実と妄想の区別がついてないんじゃない?」ヒソヒソ
聖良「若しくは自分の事を物語の主人公と思い込んでいる精神異常者か何かですね」ヒソヒソ
理亞「この時期に東京から宿も取らずに函館まで来るなんてどう考えてもおかしいし……」ヒソヒソ
聖良(何が目的でしょうか……)
聖良「やはり高校生にもなって堂々と髪型をツインテールにしてる人はどこか頭がおかしいんですかね」ボソッ
理亞「姉様ぁ!?」ガーン 聖良「なんですか?理亞?突然大声を上げて……」
理亞「姉様はひょっとして私の事嫌いなの?」
聖良「?」
聖良「そんな訳ないじゃないですか」
聖良「大切なたった一人の妹ですよ」
理亞「そ、そう……それならいいんだけど……」
理亞「それと髪型は変えた方がいいと思う?」
聖良「いえ?よく似合っているし変える必要はないかと……」
聖良「でも理亞なら他の髪型にしてもきっと可愛いと思いますよ」
聖良「しかし何故突然そんな質問を?」
理亞「なんでもない……気にしないで……」
理亞(悪意が全くないのが怖い……) あなた「あの〜」
2人「!」
聖良「失礼しました」
聖良「まさかμ'sやAqoursとまで交流があるとは思わなくて」
理亞「そうそう、ちょっと驚いただけ……」
あなた「そ、そう」
理亞「どうしよう姉様?」ヒソヒソ
聖良「ここは気付かないフリをしてもう少し探りを入れてみましょう」ヒソヒソ
あなた(…………)
あなた(これ、絶対疑われてるよね……) 理亞「μ'sやAqoursとは頻繁に交流があるの?」
あなた「うん、Aqoursとは何回か沼津に遊びに行ったり、逆に東京に来たAqoursのメンバーを案内したりしてるよ」
聖良(東京と沼津って結構距離があったと思うのですが……)
理亞(女子高生がそんなに頻繁に行き来できる訳ないでしょ……)
聖良「μ'sのメンバーとは?」
あなた「最近だとμ'sの合同ソロライブを手伝ったり」
理亞「合同……」
聖良「ソロライブ……」
理亞(って何?なんでグループなのにわざわざソロライブを?)
聖良(ソロに限定する必要はないのでは……)
あなた「あとはμ'sとAqoursと一緒におバカ王決定戦なんかもやったりして……」
聖良「今、何決定戦って言いました?」
あなた「おバカ王……」
理亞(もう、どこから突っ込んでいいいのか……)
聖良(聞けば聞く程ボロが出てきますね……) なんか久しぶりに王道というかまっすぐなSSを見てる気がする。期待 2人「…………」ジー
あなた(やっぱり疑われてる……)
あなた(でも、全部本当のことだしなぁ……)
あなた「そうだ!Aqoursとイベントの手伝いした時の写真があるから見る?」
2人「!!」
理亞「いいの?」
あなた「もちろんだよ!ちょっと待ってね」 スッスッ
理亞「凄い……Aqoursの写真がこんなに」
あなた「Aqoursよりは少ないけどμ'sの写真もあるよ」
スッ
理亞「μ'sの写真もこんな近くから……」
理亞「もしかしてこの子の言ったこと本当なの?」ヒソヒソ
聖良「…………」
理亞「姉様?」
聖良「なるほど、ようやくわかりました」
あなた「?」
聖良「あなたの狙いは私達の写真ですね?」
あなた「え??」 理亞「どういういこと?」
聖良「理亞は知らないかもしれませんがスクールアイドルのお宝写真を取引する裏サイトが幾つか存在しているんです」
聖良「A-RISEやμ's、Aqoursなどの大人気グループの写真は出回っている数自体が多いせいかそこまでレートは高くないんです」
聖良「一方で私達Saint Snowや虹ヶ咲学園などは人気の割には出回っている写真が少ないので取引としての価値は高い傾向にあります」
聖良「彼女の狙いも恐らくそれでしょう」 理亞「姉様、ちょっといい?」
聖良「何ですか?理亞」
理亞「どうして姉様はその怪しいサイトの事情に異様に詳しいの?」
聖良「…………」
理亞「…………」
聖良「ともかく……」
理亞「スルー!?」 聖良「彼女の嘘も人見知りの理亞とすぐに打ち解ける話術も私達を油断させるためでしょう」
理亞「そんな……こんな人畜無害そうな顔をしてるのに……」
聖良「相手に嫌悪感を抱かせない親しみやすい外見というのも人に近くには重要だったりします」
聖良「巷に出回る盗撮映像なんかも撮影者は本人に接近しやすい同性や仲間内、身内というケースも多いみたいですから」
理亞「身内……」チラッ
理亞「…………」 あなた「そんな、私嘘なんて……」
聖良「しらばっくれても無駄ですよ」
聖良「直接Aqoursのメンバーに聞けばわかる話です」スッ
聖良「実は私達もAqoursのメンバーと交流があるんですよ」
聖良「今からAqoursの高海千歌さんに直接電話して確かめますね」
あなた「え?……うん」
理亞(最初からそうすればよかったんじゃ……) プルルルル
千歌『もしも〜し、突然ビデオ通話なんてどうしたんです?聖良さん』
聖良「ちょっとお伺いしたい事が……」
聖良「この方をご存じですか?」スッ
千歌『あーっ!あなたは!』
あなた「千歌ちゃん、久しぶり……」
聖良「え?」
千歌『なんで聖良さんと一緒にいるの?もしかして聖良さん今東京に?』
あなた「じゃなくて私が北海道にいるんだよ」
千歌『え〜?いいな〜北海道』
聖良「…………」
聖良「えっと……」 〜〜〜〜
聖良「大変失礼致しました!」
聖良「何でも言う事を聞きますからどうかブロッコリー丸ごとだけはご勘弁を!」
あなた「え?ブロッコリー?」
理亞「姉様!あれはこの人と約束したわけじゃないから……」
聖良「え?そうでしたっけ?」キョトン
あなた「よくわからないけど多分そうかと」
聖良「…………」コホン
聖良「いずれにせよ申し訳ありませんでした」
あなた「正直自分でも出来過ぎな話だなって思うし……」
聖良「しかし、何かお詫びを……」
あなた「そんな!泊めてもらえるだけでもありがたいのに」
あなた「でも、どうしてもって言うなら……」 聖良「なるほど……」
聖良「函館にいる間私達のサポートをしたいと」
あなた「それなら二人を一番近くで見れるから私が学べる事も多いんじゃないかと思って」
聖良「そうですね……ではこう言うのはどうでしょう?」
聖良「丁度週末に私達が出演するイベントがあるので、それまで私達のサポートをお願いします」
聖良「その代わりイベントが終わるまで私達の家に泊まって頂いて構いませんし、空いている時間なら私が曲作りもお手伝いします」
あなた「もちろん!全力で二人をサポートするよ!」
あなた「よろしくね!聖良さん!理亞ちゃん!」
理亞「う、うん……こちらこそよろしく」
聖良(虹ヶ咲学園を一気に注目校へと押し上げたその手腕、確かめさせて貰いますよ) 数日後
あなた「お世話になりました」
聖良「いえ、こちらこそ色々サポートしていただいて大変助かりました」
聖良「理亞もとっても楽しそうでしたし」
理亞:「姉様!」
あなた「こっちも楽しかったよ、ありがとう理亞ちゃん」
理亞「ど……どういたしまして……」 あなた「曲作りもかなり手伝って貰っちゃって」
聖良「私達も他の方と一緒に曲を作るのは初めてでしたからいい経験になりました」
聖良「曲作りに関して何か掴めましたか?」
あなた「何となくですけど……掴めた気がします!」
聖良「そうですか……」
聖良「今私が伝えられる事は全て伝えたつもりです」
聖良「今回作った曲は1曲だけですがあなたならきっと他の曲も作れるはずです」 聖良「そろそろ時間ですね」
あなた「うん、それじゃあ」
理亞「…………」
理亞「今度会うときは敵同士かもね」
あなた「そうだね……」
あなた「でも今より成長した二人が見られるのを楽しみにしてるよ」
あなた「だから……またね理亞ちゃん、聖良さん」
理亞「うん、また……ね」
聖良「そうですね、またどこかでお会いしましょう」 電車内
あなた(良いところだったな、函館)
あなた(Saint Snowの二人には良くしてもらったし)
あなた(曲作りだけでじゃなくて練習メニューまでアドバイスを貰っちゃった)
あなた(練習も見させてもらったけどもの凄い練習量だった……)
あなた(二人のパフォーマンスや自信はあの練習があるからこそなのかな……)
あなた(スクールアイドルの知識や分析もかなりのものだったし)
あなた(何より二人がお互いの事を完全に信頼しきっていた……)
あなた(私達もあの二人に負けないようなパフォーマンスが出来るのかな?)
あなた(ううん、そうじゃない!作り上げるんだ!)
あなた(Saint Snowの二人も熱くさせるような……)
あなた(まずは帰ったら残りの曲も完成させなくちゃ) 翌日
愛「…………」
果林「……………」
あなた「どう……かな?」
果林「とってもいい曲と思うわ、ただ……」
愛「ただ……ね」
あなた「ただ?」
果林「これ、私達の曲なの?」
愛「そう、それ!」
あなた「え?」 果林「私にはSaint Snowのために作った曲に聞こえるわ」
愛「Saint Snowが歌ってるしね」
あなた「それはイメージしやすいようにって二人が仮歌を入れてくれたから」
愛「それにめっちゃメタルだし」
あなた「聖良さんが編曲はこうした方がいいって……」
果林「やけに掛け合いが多いんだけど……」
あなた「デュオなら掛け合いは絶対外せないって……」 せつ菜「なんの曲を聞いてるんですか?」
あなた「あ、せつ菜ちゃん」
せつ菜「…………!」
せつ菜「これは!」
せつ菜「ひょっとしてSaint Snowの新曲ですか!?」
あなた「…………」
せつ菜「未発表の曲ですよね?早く映像付きで見てみたいです!」
果林「…………」 せつ菜「やはりSaint Snowはいい曲を作りますね」
せつ菜「今回の曲も彼女たちのイメージにぴったりの素晴らしい曲だと思います!」
愛「あの……せっつー?」
あなた「直してくるね……」
せつ菜「え?」
愛 果林「…………」
せつ菜「私何か変な事言いました?」 函館
聖良「虹ヶ咲学園ですか……」
聖良(ソロ活動がメインの珍しい学校とは聞いていましたが)
聖良(突然注目を浴び始めたのは彼女の優秀なサポートがあったからだったんですね」)
聖良(彼女はまだ2年生みたいですし来年も注目を浴びるのは間違いないでしょうね)
聖良(対して理亞は……)
聖良(私が卒業した後周りと上手くやっていけるかどうか……)
聖良「…………」
聖良(ん?……)
聖良(虹ヶ咲学園には編入制度があるんですか……)
聖良(成績優秀者は学費に優遇措置があってさらに学生寮も?)
聖良「なるほど……」 数日後
せつ菜「皆さん大変です!!大ニュースです!」
かすみ「突然大ニュースって一体何があったんですか?」
せつ菜「何と……」
せつ菜「あのSaint Snowの鹿角理亞さんが転校してくるかもしれないんです!」 虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会のユニットシングルは12日発売 スクスタ世界線だと確実にまだOver the rainbowに至ってないから飛ばされる可能性はあるのか ラブライブがあるかはおいといて、地区予選がA-RISE、μ's、虹の潰し合いとなり、Aqoursや聖雪まで参加するとかカオス過ぎるなw スクスタ20章ぐらいでありそうと思いながら読んでた 面白かった乙
あなたちゃんと理亞ちゃんはすぐ打ち解けそうな感じする
やはりツインテール……ルビィさん……うっ頭が 衝撃の事実です
> アア キーラリ カガーヤク
かすみん、20章くらいまでには先輩とお付き合いできてるってことですよね……
あぁんどうして連れてってくれなかったんですかぁ〜! 乙乙
スクスタのバレ感とかすみんの正妻っぷりよ
理亞ちゃぁはまた転校するのか…てんふぇすやね 乙
とても面白かったです
最近良いSS多くて捗りますなぁ 面白かったです!!
また次回作楽しみにしてます!!!!!! ■ このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています