エマ「故郷は遠く離れていても」
■ このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています
虹ヶ咲学園
果林「彼方、ちょっといいかしら」
彼方「なにかね果林ちゃん、彼方ちゃんとお昼寝したいのかな」
果林「違うわよ、あなたじゃないんだから」
彼方「残念だねぇ、果林ちゃんを枕にお昼寝したかったんだけど」
果林「お昼寝から離れなさいよ、相談があるの」
彼方「ふふふ、冗談冗談。わかってるって、みなまで言うな」
彼方「エマちゃんの事だね」
果林「な、なんでわかったの?」
彼方「彼方ちゃんにはぁ、果林ちゃんの心が読めるのだよ」
果林「私ってそんなにわかりやすいのかしら……」
彼方「もうすぐエマちゃんの誕生日、そして果林ちゃんから相談がある、と」
彼方「そこから導き出される答えはひとつ」
彼方「つまり、そういう事だね朝香君?」
果林「なに探偵みたいな話し方してるのよ……」
果林「でも、その通り。エマの誕生日の事よ」 果林「エマが日本に来て初めての誕生日を迎える」
果林「だけどせっかくの誕生日なのに、エマは家族と一緒に過ごせない」
果林「だから私、なんとかエマをお祝いしてあげたくて」
彼方「果林ちゃんはエマちゃん大好きだからね〜」
果林「茶化さないの、色々考えたんだけど私一人じゃ出来る事に限界があって……」
彼方「それで彼方ちゃんを頼ってきたと、なるほどねぇ」
果林「ほら、あなたは料理が上手じゃない。なにかエマが喜びそうな物作れないかしら?」
彼方「果林ちゃんだって上手なくせに謙遜しちゃって」
果林「彼方には負けるわ」
彼方「ほっほ、そうかね」
果林「エマはスイス出身だから故郷の郷土料理でも作ってみる?」
彼方「それも悪くないね、けどせっかく日本に来てくれたんだからここはあえて古き良き日本の食文化に触れてもらうのはどうかな」
果林「それはいいわね、エマは日本の文化に興味があるし」
彼方「料理の方は私が考えとくよ」
果林「ありがとう、彼方に相談してよかったわ」 彼方「彼方ちゃんに頼るのもいいけど、果林ちゃんもなにかエマちゃんにあげるプレゼントでも考えたらどうだい」
果林「プレゼント、ねぇ……なにをあげれば喜んでくれるかしら」
彼方「果林ちゃんの愛でもあげたら?キスでもしてあげればエマちゃんもイチコロかもよ」
果林「き、キス!?ななななにを言ってるのよ‼
」
彼方「相変わらずウブだねぇ〜かわいいなぁ」
果林「私をからかって面白がらないの」
彼方「いやぁ悪い悪い、かわいい娘はついからかいたくなるのが彼方ちゃんのクセでね」
彼方「ま、冗談はこのくらいにして。なにもプレゼントは物だけじゃない」
彼方「果林ちゃんにしか出来ないプレゼントがきっとあるはずだよ」
果林「私にしか……出来ない……」
彼方「ふふ、ヒントはあげたよ。あとは果林ちゃん次第」
彼方「頑張って考えたまえ、エマちゃんの誕生日はすぐにやってくるぞ〜」 寮 果林の部屋
果林(私にしか出来ないプレゼント……)
果林(物だけがプレゼントじゃないって彼方は言ってたわね)
果林「う〜ん……」
果林「まるでなぞなぞだわ、一体どうしたら」
ピロン
果林「あ、ファッション雑誌の編集者さんからメールだわ」
果林「……今度、読者モデルの撮影をするのね」
果林「エマのプレゼントを考えないといけないのにこんな時にモデルの仕事が来るなんて」
果林「もう〜今はそれどころじゃ」ピタ
果林「ん?待てよ……モデル、撮影……」
果林「そうよ‼これよ‼これだわ‼」
果林「ふふ。私にしか出来ないプレゼント、思い付いちゃった」
果林「さっそく彼方に知らせましょう」
果林「ーあ、もしもし彼方?あのね……」 2日後
果林「エマ、今日の放課後空いてる?」
エマ「うん、空いてるよ」
果林「よかった、少し私に付き合ってくれないかしら」
エマ「いいよ〜どこかへお買い物でも行くの?」
果林「買い物じゃないわ、多分あなたは初めて行く場所」
エマ「初めて行く場所?どこだろうドキドキするなぁ」
放課後 校門前
彼方「よっ、お二人さん」
エマ「あ、彼方ちゃんだ。彼方ちゃんも一緒に行くの?」
彼方「アツアツの二人の間に入るのは忍びないけど果林ちゃんにお願いされたからね〜」
果林「またあなたはそうやって冷やかす……でも、来てくれてありがとう彼方」
彼方「いいって事よ、これもエマちゃんの為」
果林「ちょっと彼方‼」
エマ「私の、為……?」
果林「な、なんでもないの。こっちの話……」 エマ「ここは……」
果林「私がお世話になっている雑誌の撮影スタジオよ」
エマ「はわ〜すご〜い、初めて見る物ばかりだよ」
彼方「ほうほう、彼方ちゃんもこういう所は初めてだよ」
カメラマン「やぁ果林ちゃん」
果林「あ、どうも。今日はよろしくお願いします」
カメラマン「その二人がこの前言っていたお友達か、二人共かわいいね。いいモデルになりそうだ」
エマ「え?どういう事?」
果林「今日は私と一緒にあなた達もモデルとして撮影してもらうからね」
エマ「えぇ〜!?私がモデルさんに〜!?」
エマ「どうしよ〜彼方ちゃん」
彼方「彼方ちゃんから言える事はひとつ……」
彼方「腹をくくるしかないのだよ、どんと来いモデルさん」
エマ「うぅ……もう、しょうがないなぁ」
エマ「果林ちゃん、私初めてだから色々教えてね」
果林「ふふ、お姉さんに任せなさい。優しく教えてあげるわ」 果林「まずは衣装を選んでもらおうかしら」
果林「この部屋に衣装があるから好きな服を取ってちょうだい」
エマ「こんなにいっぱい衣装が……」
彼方「選んでいる内に眠くなっちゃいそうだね〜」
彼方「彼方ちゃんはこれでいいや」
果林「早いわね、ちゃんと見たの?」
彼方「私は自分のフィーリングを信じる」
彼方「二人の衣装が決まるまでソファで一眠りしてるよ」
果林「もう、なにがフィーリングよ。手近にあった衣装を適当に取っただけじゃない」
果林「エマはしっかりと見て自分好みの衣装を見つけてね」
エマ「そう言われても、やっぱり迷っちゃうなぁ」
エマ「果林ちゃん、私に合う衣装をコーディネートしてくれない?」
果林「私が?そうね……」
果林(私が選んであげてもいいかもしれないわね)
果林「エマに似合いそうな衣装は……」
果林「これなんかどうかしら、ちょっと試着してみて」
エマ「う、うん」 エマ「果林ちゃん、どう……かな?」
果林「私の思った通り、よく似合ってるわエマ」
エマ「私、あまりズボンとか履かないからなんだか足が窮屈だよ」
果林「慣れれば平気よ、エマは自分で見てどう?」
エマ「え、えっと……」ジーッ
エマ「まだ見慣れないから自分じゃよくわからないや」
エマ「でも、果林ちゃんが選んでくれた衣装なら間違いないよね」
エマ「ふふ、嬉しいな。ありがとう果林ちゃん」
果林「エマが喜んでくれて私も嬉しいわ」
果林「ー彼方、あなたもいい加減起きて着替えなさい」
彼方「むにゃ……あと五時間……」
果林「そんなに待てる訳ないでしょ、ほら起きて」ユサユサ
彼方「わかった、わかったってば……ふぁ〜」 果林「彼方、まだ終わらないの?」
彼方「……」
エマ「彼方ちゃん、返事しないね」
果林「まさか、試着室の中で眠っているんじゃ」
果林「彼方‼」シャーッ
彼方「きゃー果林ちゃんのえっちー」
果林「ひゃあっ!?ごめんなさい‼」シャッ
果林「……って」シャーッ
果林「あなた、着替え終わってるじゃない」
彼方「まぁね〜」
果林「なんですぐ出てこないのよ」
彼方「そうカッカしなさるな、彼方ちゃんのお茶目ないたずらってやつさ」
果林「まったく……疲れるわね」
エマ「まぁまぁ果林ちゃん落ち着いて」
エマ「彼方ちゃんの衣装、よく似合ってるよ。ズボンだ、私とお揃いだね」
果林「適当に取った割には彼方にぴったりね、エマとはまた違ったタイトなズボンだけど彼方のスタイルを際立たせてる」
彼方「だからぁ、適当に取ったんじゃないんだよ。ちゃんとフィーリングが合ったのさ」
果林「本当かしら、たまたまなんじゃないの」
エマ「あはは……彼方ちゃんらしいよね」 エマ「あとは果林ちゃんだけだね」
彼方「モデルさんのセンスを見せてもらおうかね」
果林「私はもうテーマを決めていたわ」
果林「これと、これと、これと……」
果林「着替えて来るからちょっと待っててね」
エマ「さすが果林ちゃん、衣装選びにも迷いが全くなかったよ」
彼方「普段から選んでるから慣れているんだろうねぇ〜」
果林「おまかせ」
彼方「おぉ〜これはこれは」
エマ「果林ちゃん、キレイ〜」
果林「うふ、ありがとう。似合うかしら」
エマ「うん、果林ちゃん足が長いからスカートがよく似合ってるよ」
彼方「生足なのもポイント高いね、いつもタイツ履いてるから新鮮だ」
果林「二人がズボンだから私はスカートでアクセントを付けてみたわ」
彼方「さすがはモデルさん、よく考えてるね〜」
エマ「果林ちゃん、カッコいいなぁ〜」
果林「あまり褒められると照れるけど、悪い気はしないわね」 ■ このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています