三船栞子総受けSS
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栞子「………」 栞子(昼食を忘れた今日に限って財布まで忘れるとは……)ドンッ 栞子「っ…すみません、余所見をしていました」 彼方「大丈夫〜………げっ、三船栞子……」 栞子「…近江さん。人の顔を見てその言い草は失礼では……」キュルルル 彼方「…お腹空いてるの?」 栞子「………」 彼方「……実は、遥ちゃん学校お休みになっちゃったから、遥ちゃんの分もお弁当持ってきてるんだけど………」 栞子「……!」 彼方「食べる?」 栞子「…いえ、結構です。学食があります」 彼方「……今、学食から出てきたよね…?お財布、忘れちゃったの〜?」 栞子「……違いま」グギュルルルルル 彼方「…彼方ちゃんのお弁当、美味しいよ〜?」 栞子「……美味しい」 彼方「美味しい〜」 栞子「……近江さんの将来性を見極めるためにも、いただくことにしましょう」 彼方「素直に食べたいって言えばいいのに〜」 栞子「…いただきます」 彼方(やっぱりいいとこのお嬢様だけあって、お行儀いいなぁ〜。お箸の持ち方も綺麗だし、姿勢もいいし…) 栞子「…」(真剣) 彼方(三船さん…こうして大人しくしてると…やっぱり1年生なんだな〜…って、思うな〜) 栞子「…」あーん 彼方(お口ちっちゃ〜…)ニヤニヤ 栞子「……なんですか?人の顔をジロジロと」 彼方「やや、彼方ちゃんのことはお気になさらず〜……」ニヤニヤ 栞子「…?」ぱく 栞子「!」 栞子「おいひぃ……はっ」バッ 彼方「でしょ〜?」ニヤニヤニヤニヤ 栞子「…………認めましょう。冷めているのにこれだけサクサクしていて美味しいコロッケは初めて食べました」 彼方「ふっふっふ〜。味付けだけじゃなく、調理方法にも色々と裏ワザがあるのだよ〜」 栞子「ふむ……」もぐもぐ 栞子「っ!」 彼方「ど、どうしたの?」 栞子「………美味しい………」フニャ 彼方「よし」グッ 彼方(あの三船栞子が笑ってる………!彼方ちゃんのお弁当、我ながらすごい……!) 栞子「……お見逸れしました。流石ライフデザイン科の特待生ですね……私としたことが、少々甘く見ていたようです」 彼方「お、おぉ…そんなに褒められると、彼方ちゃん照れる…あ、それじゃあさ〜?」 栞子「同好会の今後についてはまた別ですが」もきゅもきゅ 彼方「あ、あはは〜…やっぱり〜…?」 栞子「……」もぐもぐ 彼方「♪」 栞子「…どうかしましたか?」 彼方「なんでもな〜い♪」 栞子「…?」もぐもぐもぐ 栞子「…ごちそうさまでした」 彼方「お粗末様でした〜」 栞子「お礼を申し上げます、近江さん」 彼方「ほら、困ったときは〜……いや、三船さんに助けてもらったことは無いか〜…」 栞子「……この埋め合わせは必ずさせていただきます。同好会とは別のところで、ですがね」 彼方「は〜い……」 栞子「では、失礼します」スタスタ 栞子(………美味しかった) 栞子(そういえば……ライフデザイン学科のスイーツ発表会が近々ありましたね) 栞子(近江さんも参加するのでしょう) 栞子(………これは近江さんの将来性を見極めるため。近江さんに成功体験をさせるための下準備です) 栞子(………………美味しかったですね) はい これでひとつ、矢印が三船さんに向きましたね 胃袋を掴まれたのではありません 掴ませたのです LoveLive!Daysの発売日だということを失念していました これを読むので続きは明日になりますが、おそらくその頃には落ちているでしょう この板は落としてください では失礼します 雑誌を読むのは構いませんが時間が確保出来たらなるべくssの続きを書いて欲しいものです 無理はしなくて良いですが書かなかった場合ワンゲル部を潰します 栞子「……?」 栞子(階段の方から、何か喧嘩のような声が…) 栞子(……聞いていてあまりいい気分はしませんね) 栞子「はぁ……」ツカツカ しずく『だから…ダメなんだよッ!!』 栞子「…………」 しずく『もう諦めろよ』 栞子(演劇の台詞でしたか……) 栞子(……然るべき場所で練習してもらわなければ困りますね) 栞子「こほん…桜坂さん」 しずく「う〜ん…はっ、そうか!…手『もう諦めろよ』 栞子「…桜坂さん」 しずく『諦めて……』 栞子「桜坂さん!」 しずく『…!』 栞子「やっと気づいてくれましたか。桜坂さん、今日は演劇部は講堂の使用許可が出ているはずですが」 しずく『……』キッ 栞子「なぜここで練習を?……そんなに睨まないでください」 しずく『…………』ツカツカツカ 栞子「……な、なんですか?私はただ……ち、ちょっ、止まりなさ……」 壁ドンッ!!!!! 栞子「なっ…!?」 しずく『…俺の』 栞子「はい…?」 しずく『諦めて、俺のものになれよ』 栞子「っ!」ドキドキ 栞子「な、なな、なんですか一体……」 栞子(少し潤んだ目、吐息がかかるほど――いえ、触れ合ってしまいそうなほど近い唇、いつもの桜坂さんからは想像もできない低い声……) 栞子(立ち振る舞いも顔付きも端正な桜坂さんが、男役で、こ、こんな……) しずく『俺のものにならないって言うなら……』スッ 栞子「ひゃっ…!」 栞子(腰に手が……!) しずく『……無理矢理にでも』 栞子「あ、あ………」ドキドキドキドキ しずく「……おや??」 しずく「み、三船さん!!」 栞子「はぁ、っ、はぁ…………」へなへな しずく「す、すみません……役に入り込みすぎてしまっていたみたいで……!」 しずく「部長と同じ黒髪だったので、誤認していました…!」 栞子「ど、どんな勘違いですか……」 しずく「本当にすみません…」 栞子「……さ、先程も言いましたが、今日は演劇部に講堂の使用許可が出ています。そちらで練習してください」ヨロヨロ しずく「集中するために人気のない場所に来ていたのですが…わかりました」 栞子「まったく……」 しずく「あ、あの…三船さん?」 栞子「はい?」 しずく「参考までに…さっきの演技、どうでしたか?」 栞子「…………………………及第点です」 しずく「及第点、ですか……ありがとうございます」 栞子「では……失礼します」 栞子(な、なんなんですか桜坂さんは…!) 栞子(あんなことされたのは、生まれて初めてです……!) 栞子(……いえ、あれは演技。そう、私は桜坂さんの行く末を見極めるため、演劇の練習に付き合っただけ) 栞子「…………」キョロキョロ 壁ドン 女性同士[検索] 栞子「…………」ブンブンブン 栞子「………もう!」 桜坂さんの演劇の練習に付き合わされてしまいました ですが、そのおかげで桜坂さんも私の手の内に堕ちました ここまで順調だと困りますね そして昨晩の保守、感謝いたします 落ちなかったからには、SSの完走をお約束します スクールアイドル同好会とワンダーフォーゲル部の廃部もお約束します 早朝から続きを書いて下さり感謝です 頑張って下さい 栞子「うぅ……」フラフラ 栞子(昨日の桜坂さんのせいでよく眠れませんでした) 栞子(午前はなんとか乗り切りましたが、午後まで持ちそうにありませんね……) 璃奈「あ…三船さん」 栞子(少し保健室で休みますか…)ヨロヨロ 璃奈「…あれ?りなちゃんボード『熱くスルー』」 栞子「……」 璃奈「…三船さん?」 栞子「……天王寺さん。何か御用れすか?」 璃奈「…呂律が回ってない…クマも酷い。寝不足?」 栞子「…ええ、少し」 璃奈「三船さんも、そういうことがあるんだ」 栞子「…確かに、愛想はありませんが。私を感情の無いロボットだとでも思っているのですか?」 璃奈「っ!」ビクッ 栞子「…天王寺さん?」 璃奈「そ、そういうつもりじゃなかった…ごめんなさい!」 栞子「…?」 璃奈「その寝不足を解消してあげる代わりに、今の発言、許してほしい…」 璃奈「私、三船さんの気持ちを全然考えられてなかった」 栞子「????」 栞子「天王寺さん、落ち着いてください。私は怒っていません」 璃奈「…怒ってないの?でも、嫌な気持ちにさせた…」 栞子「嫌な気持ちにもなっていません」 璃奈「……よかった。りなちゃんボード『ほっ』」 栞子「…それはそれとして、天王寺さん。寝不足を解消できると言いましたか?」 璃奈「言った」 栞子「…少し、詳しく聞かせていただけませんか?」 璃奈「わかった。ついてきて」 璃奈「これを、飲んでほしい」 栞子「…なんです、これ?」 璃奈「りなちゃん特製ドリンクMk-2。とってもやる気が出る」 栞子「栄養ドリンクですか。何が入っているんです?」 璃奈「…」スッ 栞子「なぜ目を逸らすんですか?…栄養ドリンクの混ぜ合わせですか?」 璃奈「ううん、市販品は使ってないよ。100%オーガニック、天然モノ。添加物も一切なし、甘みはりんごとはちみつ、レモンも少し入れてるから飲みやすいと思う」 栞子「…ではなぜ目を逸らしたんですか?」 璃奈「…前に、彼方さんに飲ませて失敗した」 栞子「そんなものを飲ませようとしないでください…!」 璃奈「でも、大丈夫。これは改良品」 璃奈「初期版は、個人用の調整が必要だった。でも、これは万人向け」 璃奈「弱点の炭水化物による睡眠モード突入も対策済み」 璃奈「大丈夫」グッ 璃奈「詳しくは、私たち虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会の2ndアルバム『Love U my friends』に収録されている、『彼方と璃奈の体育祭大作戦』を聴いてほしい」 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜 ドドドドドド 菜々「おや?三船さん……」 栞子「中川さん!!!!!!どうしたんですか、そんな浮かない顔をして!!!!!!!」 菜々「い、いえ、今日の三船さんは、随分元気だなと思いまして…」キーン 栞子「私がですか!!!!!!!!????????」 菜々「は、はい……」 栞子「今日に限ってはそうかもしれませんね!!!!!!!!!では失礼します!!!!!!!!」ドドドドドド 菜々「え、ええ…」 璃奈「はぁ、はぁ……」 菜々「おや、璃奈さん!!」 璃奈「あのドリンク、まだ調整が必要かもしれない…」 菜々「…まさか、彼方さんに飲ませたアレを!?」 璃奈「うん…Mk-2は万人に効果が出るよう調整したけど、あまりにも効果が絶大すぎた」 璃奈「弱点だった睡眠モード突入のきっかけを無くしたせいで、鎮静剤を飲ませる意外に止める方法が無い…反省」 菜々「弱点が無い…!それは強敵ですね!!」フンス 璃奈(なんで嬉しそうなんだろう…?) この後、鎮静剤を飲まされた私は正気に戻りました 元気全開になった反動で激痛が全身を襲い、 大声を出していたせいで声が枯れ呻き声すら出すことができませんでした もう天王寺さんの発明品は金輪際使いません ですが、私にあのようなものを渡してきたのです 相手を信頼していなければできることではありません 天王寺さんの中での私のランキングは急上昇したに違いありませんね やはり彼女は、スクールアイドル同好会に置いておくべきではないと再認識しました 将来はうちの会社で働いてもらいたいものです …ところで、冒頭で随分落ち込んでいたようですが 何か気に障ることでも言ってしまいましたかね 五分五分ってところなのにそれでも好感度上がるのちょろすぎない 話しかけられただけで「この人俺の事好きなんじゃないか」って勘違いする非モテ童貞かよ 栞子自分から敵を作るタイプだし、話しかけられただけで恋人にまでなりそう 投稿が遅れており申し訳ありません 以後、スクスタメインストーリー11章のネタバレを含みますが 皆さんよろしいでしょうか? 許可していただけない場合は同好会ともどもこのSSを潰すだけですが 11章は既に読み終えているので問題ありません 早く書いてくれないとワンゲル部を潰します 11章は既に履修しています 早く続きを見せなければ同好会を潰しますよ >>62 お前原作の栞子1ミリも知らないのによく開いたなwww あなた「へ〜…そんなことがあったんだ」 しずく「はい…私の演技の練習についても率直に評価をしてくれましたし」 彼方「スクールアイドルの話さえしなければ、いい子なんだろうけどね〜…」 璃奈「特製ドリンクで酷い目に合わせちゃったけど…怒るどころか、お礼を言われた。璃奈ちゃんボード『菩薩』」 果林「生徒から支持を集めるだけのことはあるわけね」 愛「ふ〜む……」 せつ菜「愛さん?どうかしましたか?」 愛「ふっふ〜…愛さん、いいコト思いついちゃった〜♪」 コンコン 栞子「どうぞ」 愛「ちーっす!」 栞子「…宮下さん。どういうご用件で?」 愛「突然なんだけどさ〜、会長サマは明日ヒマ?」 栞子「…暇かどうかはともかく、特に予定はありませんが」 愛「助かった〜!じゃあさ、ちょっと愛さんに付き合ってくんないかな〜!」 栞子「…私が?あなたに?」 愛「そ!一緒に遊ぶ約束してた友達が来れなくなっちゃってさ〜」 栞子「同好会の方を誘えばよいのでは?」 愛「みんな予定が入ってるらしくてさ〜」 栞子「…宮下さんはご友人が多いと聞きますし、他にも誰かしら…」 愛「も〜!愛さんは、キミがいいの!」 栞子「!?」 愛「暇なんでしょ?だったら、明日10時に駅集合ね!」 栞子「ちょっ、私はまだ行くとは一言も…」 愛「そんじゃ、ヨロシクー!」 栞子「……」 土曜日 愛(勢いで押し切っちゃったけど、ちゃんと来るかな〜?) 愛「…おっ?」 栞子「…」 愛「お待たせ〜!って言っても、まだ10分前だけど」 栞子「…いえ、大丈夫です。私が到着したのも10分前です」 愛「いやいや十分だって!10分だけに!……それにしても」 栞子「…?なんですか、ジロジロと」 愛「シオリン、私服イケてるね!カワイイ!」 栞子「なっ…!?」 愛「結構イメージと違うな〜。やっぱり普段から気は抜かないカンジ?」 栞子「…今日は特別です」 愛「そうなの?」 栞子「……」 愛「?」 愛「まあいいや!とりまゲーセン行こっか!」 栞子「…ゲームセンターですか」ムッ 愛「あーそっか。ゲーセンとか行かないタイプか」 栞子「ええ。行ったことはありません」 愛「ウッソ!」 栞子「学生にとって必要なことではありませんから」 愛「仕方ないな〜、じゃあ愛さんが、愛をこめて!シオリンに遊び方を教えてあげよう!」 栞子「そういった場所に行くのであれば私は…と、いうか…そのシオリン、というのは」 愛「え?ヤだった?」 栞子「あだ名で呼ばれるのも初めてなので…」 愛「なんだよ〜!シオリンかわいいな〜!」ワシャワシャ 栞子「なっ、なにを…」 愛「さ、行くぞー!」ギュッ 栞子「!」 愛「…ほら、行くよ?」 栞子「…はい」 栞子(…宮下さんの手、とてもあたたかい) 栞子「…これは?銃ですか」 愛「ガンシューだよ。出てくる敵をこれで撃ち倒す!」 栞子「…はぁ」 愛「ほら、来るぞー!」 愛「カバーは任せて!シオリンはちょっとずつ慣れてけばいいから!」チャキッ 栞子「…」チャキッ 〜〜〜〜〜〜〜 栞子「宮下さん、左側は任せました」 栞子「私は右側を殲滅します。ボス戦での事故防止のためにも、ボムの使用は控えてください」 愛「り、了解!…シオリン、ホントに初プレイ?」 栞子「当然です。私がゲームをするような人間に見えますか?」 愛「いや〜、そうは見えないけ…」 バキューン 栞子「…よそ見は命取りですよ」 愛「…さ、サンキュー」 栞子「目の前の敵に集中してください。100円が無駄になります」ドキューン 愛(う、上手すぎる…!) 栞子「プレイ時間30分…100円でのコストパフォーマンス的には悪くない遊具でしょうか」 愛「まさかノーコンクリアしちゃうとはね〜…」 栞子「…次は?どうしますか?」 愛「お?ノってきた?」 栞子「そういうわけではありません」 愛「じゃあ次は〜…」 〜〜〜〜〜〜〜 愛「あははっ、シオリンゲーム上手すぎ!」 栞子「…要領さえ掴めれば誰でもこれくらいできるでしょう」 愛「その要領掴むのが難しいんだって〜」 栞子「…気づけば、もう12時ですか」 愛「やっぱさ、誰かと一緒にいると時間経つの早いよねっ」 栞子「…」 愛「シオリンお腹すいた?」 栞子「…ええ、まあ」 愛「んじゃ、ランチと行きますか!」 栞子「…もんじゃ焼、ですか」 愛「そ!嫌い?」 栞子「食べたことが無いので…」 愛「マジで!?運が無かったなーシオリン、うちのもんじゃが初めてなんて!」 栞子「え?」 愛「うちのが美味すぎて、他じゃ食べらんなくなるぞー!たっだいまー!」 栞子「ただいま…?」 愛「あ、言ってなかったっけ。ここ、アタシんち!」 愛「さあ召し上がれ〜!愛さん特製、スペシャルミックス!」 栞子「…このヘラで食べるのですか?」 愛「そう!アッツイから気を付けなよ〜」 栞子「…」ぱく 栞子「熱っ……!」 愛「あぁもう、気を付けてって言ったのに!」 栞子「はふ、はふ………」 愛「…どう?」 栞子「……美味しい」 愛「でっしょー!好きなだけ食べな!まだまだ作るよ!」 栞子「そ、そんなに食べきれません…!」 栞子「ご馳走様でした」 愛「あいよー!」 栞子「おいくらですか?」 愛「ああいいっていいって!」 愛「家に友達連れてきといて、お金払わせるようなマネできるかー、ってね!マネーだけに!」 栞子「…友達」 愛「さ、次はカラオケ行くぞー!」 〜〜〜〜〜〜〜〜 栞子『きっと 君と ふたり… つかーむーからー♪』 愛「…」 栞子「……こほん」 愛「シオリン、めっちゃ歌うまいじゃん!!」 栞子「…歌の稽古もしていましたから」 愛「いや〜、シオリンやっぱすごいな〜!あ、この曲知ってる?」 栞子「…ええ」 愛「よーし!じゃあデュエットだ!カリンには悪いけど、今日の愛さんのバディはシオリンだぞー!」 栞子「バディ…」 愛「いやー歌った歌った!」 栞子「声、ちゃんと出ていますかね…」 愛「ダイジョーブ!」 プルルル 栞子「!」 愛「お、電話?」 栞子「すみません」ピッ 栞子「栞子です。……ええ、はい。今帰ります、ええ。では」 栞子「…宮下さん、すみません、以前教えていただいていた習い事の先生がご挨拶に来たそうで…」 栞子「急ですが、帰らなくてはならなくなりました」 愛「あーそっか、そりゃ行かなきゃね」 栞子「…申し訳ありません」 愛「いいっていいって、無理して来てもらったわけだし!」 栞子「わざわざ駅まで来ていただかなくても…」 愛「気にしない気にしない!」 栞子「……宮下さんは」 愛「?」 栞子「なぜ今日、私を誘ったのですか?」 愛「あー…やっぱ気になる?」 愛「…愛さん、今までシオリンと仲良くなろうって、考えてなかったんだよね」 栞子「…それは、そうでしょう。あなた方によく思われないのは当然だと思っています」 愛「でもさ、それが間違いだったなって」 愛「りなりーとかカナちゃんたちから話聞くまで、シオリンのこと悪い人だと思ってた」 愛「よくシオリンのこと知りもしないのに、勝手に敵だと思ってて…それって、愛さん的にどうなの?ってさ」 栞子「…」 愛「だから、シオリンのこともっと知りたかったんだ」 愛「今日はシオリンの知らないとこ、たくさん見つけられてよかったなって思ってる!」 愛「…そして、ゴメン!今まで誤解してたっていうかさ…」 栞子「…私は」 愛「?」 栞子「私も、今日宮下さんのことを知れてよかったと思います」 愛「…シオリン!」 栞子「ますます、スクールアイドル同好会に置いておくのが勿体ないと思うようになりました」 愛「ちょっ…今それ言う!?」 栞子「それとこれとは別ですから。私を懐柔して同好会のことを何とかする算段があったなら、残念でしたね」 愛「まあ、1ミリも無かったとは言わないけど…」 栞子「…では、失礼します」 愛「ん。気をつけてね」 栞子「…今日は、ありがとうございました」 愛「…また来週!」 栞子「…はい」ニコッ 愛「!」 愛「…なんだよー、いい顔するじゃんシオリン…!」 日曜日 エマ「えっと〜…この辺りかな?」 エマ(もらった地図だと、たぶん…) キャッキャッ エマ(あっ、子供たちの声!) エマ(それに、あの制服…) 子供A「あのねー、それでねー、わたしがいちばんだったんだよ!」 栞子「ふふっ…よかったね」 エマ(本当に三船さんだ!) エマ(学校と全然違う…良い笑顔)クスクス 子供B「あー!おねえちゃんだーれー?」 子供A「しおりこおねえちゃんとおなじスカートだ!」 栞子「?」 エマ「…ふふっ、私はエマっていいます!栞子お姉ちゃんのお友達だよ♪」 栞子「えっ?」 子供C「しおりこねえちゃんとなかいいの?」 エマ「そう!ね、栞子ちゃん♪」 栞子「わ、私は」 エマ「栞子ちゃん!」ズイッ 栞子「」ビクッ エマ「子供たちって、すごく敏感なの」 エマ「大人が仲良しだと、とっても。安心するの。逆に、喧嘩していたら不安になっちゃう」ヒソヒソ 栞子「は、はぁ…」 エマ「だから、もし、私のことが嫌いでも…今は、仲良くしてほしいな」ヒソヒソ 栞子「…わかりました」 子供A「ねーねー、ないしょばなし?」 エマ「うん!実はね……今日、みんなとどうやって遊ぼうか相談してたの!ね、栞子ちゃん!」 栞子「え、ええ。そうですね」 子供C「そっかー!」 エマ「みんな、何がしたいかな?」 子供A「おにごっこー!」 子供B「トランプしたい!」 子供C「かくれんぼ!」 エマ「よーし、じゃあ順番に全部やっちゃおうか!」 子供たち「「おー!」」 エマ「おー!…ほら、栞子ちゃんも!」 栞子「…お、おー」 栞子「…」ジーッ エマ「…」ジーッ 子供A「がんばれー!」 子供B「エマおねえちゃん、ババひかないでー!」 子供C「しおりこおねえちゃんかてー!」 栞子「どうぞ?」 エマ「……こっちかな?」 栞子「…」 エマ「…こっち!」 栞子「んぐっ……!!」 エマ「あがりー!」 栞子「も、もう一度です。こんなことは認められません」 エマ「ん〜…」 子供C「えー、かくれんぼやりたーい」 エマ「ふふっ、じゃあかくれんぼしよっか!ババ抜きはまた今度、だね♪」 栞子「ぐ…」 エマ「さあ、みんなどこに隠れたのかな〜?」 エマ(…あれ?) 子供D「…」 エマ(あの子…) エマ「…栞子ちゃん、鬼の役、お願いしてもいい?」 栞子「え?ええ…」 エマ「お願いね!」 栞子「…?」 エマ「…みーつけた!」 子供D「」ビクッ エマ「びっくりさせてごめんね。あっちでみんなかくれんぼしてるんだけど、一緒にやらない?」 子供D「やんない…」 エマ「そっか〜…ねえ、お名前なんていうの?」 もえか「もえか…」 エマ「もえかちゃん!わぁ、可愛いお名前だね!私はエマっていうの、よろしくね?」 もえか「…」 エマ「もえかちゃんは、何かしたいことない?」 もえか「…にこちゃんのおうた聞きたい」 エマ「え?」 もえか「もえか、にこちゃんのおうたがききたかった」 エマ「…なるほど…ねえ、もえかちゃん」 もえか「?」 エマ「実はね…」 栞子「Cちゃん、見つけた」 子供C「みつかったー!!」 栞子「これで全員…」 〜〜〜♪ 栞子「…歌?」 子供A「なんだろー?」 子供B「みにいこー!」 〜〜〜〜〜♪ エマ「幸せになろう♪ 笑顔でLaLaLaLaLa〜♪」 もえか「ららららら〜♪」 栞子「ヴェルデさん…」 エマ「あ、栞子ちゃん!みんなもおいで!」 子供A「なんのうたー?」 エマ「えへへ。これはね、私の曲なの」 子供B「エマおねえちゃんの?」 エマ「そう!私、スクールアイドルなんだ!」 子供C「エマおねえちゃんもスクールアイドルなの!?」 エマ「えへへ、にこちゃんほどすごいアイドルじゃないんだけどね…」 エマ「みんなも一緒に歌おう?もえかちゃん、お歌が好きなんだって!」 子供A「うたおー!」 子供B「もえかちゃん、わたしもにこちゃんのおうたすきだよ!」 もえか「うん…!」 エマ「…栞子ちゃんも、一緒に歌える?」 栞子「わ、私は…」 エマ「…ふふっ、じゃあみんな、私に続いて歌ってね? 笑顔でLaLaLaLaLa〜♪」 子供たち「「ららららら〜♪」」 栞子「…」 子供たち「「ばいばーい!!」」 エマ「ばいばーい!」 エマ「…三船さん、今日はごめんね」 栞子「…なぜ謝る必要が?」 エマ「え?えっと、ほら…三船さんに色々させちゃったし…」 栞子「構いません。ヴェルデさんの子供たちへの接し方、参考になりました」 エマ「それに…三船さんのこと、誤解してたから。もっと、怖い人だと思ってたんだ」 栞子「…よく言われることです。お気になさらず」 エマ「そ、そっか…」 エマ「…ねえ…三船さん。スクールアイドルは、やっぱりいらないって、思う?」 栞子「…」 エマ「…私が日本に来たのはね、スクールアイドルになるためなんだ」 エマ「ひとりで寂しい気持ちも、全部吹き飛ばしてくれたアイドルに、すごく憧れて」 エマ「たくさん勉強して、虹ヶ咲に入ったんだ」 栞子「…そうですか」 エマ「たしかに、会社みたいなところで働くときに、役に立つかはわからないけど…」 エマ「昔の私や、今日のもえかちゃんみたいに」 エマ「誰かを笑顔にできる力が、スクールアイドルにはあるんだよ」 エマ「だから…私は、スクールアイドルが意味のない活動だ、なんて…どうしても思えないんだ」 栞子「……私、家はこちらですので」 エマ「あっ、そ、そっか。じゃあね、三船さん」 栞子「…」 エマ「…。」 まさかボランティア先にまでついてくるとは思いませんでした この調子ではスイス掌握も夢ではありませんね …。 ラ板見てないラブライバーまだ栞子うぜーって思ってるだろうな かすみ「し、しまった…!」 かすみ(次の授業、英語に変更になったんだった…!) かすみ(どうしよう…今日絶対指されるのに〜…) ☆かすみん☆『りな子、しず子、今日英語ない〜?教科書貸してほしいな☆』 Rina『無い><』 しずく『今日は古典は無いなぁ。ごめんね』 かすみ(くぅ〜…) かすみ「とりあえず誰か探しに…」ドンッ かすみ「あぅぅ、すみません…げっ、三船栞子!」 栞子「…人にぶつかっておいてする態度ですか?」 かすみ「うぅ、ごめんなさい…あっ」 栞子「?」 かすみ「それ!貸してくれませんか!?」 栞子「…教科書を忘れたんですか?」ジロ かすみ「うぅ…そうですぅ!授業変更になったの忘れてたんです!」 栞子「…スクールアイドルに現を抜かしているからそんなミスをするんです」 かすみ「ぐっ…」 栞子「…まあ、いいでしょう。どうぞ」スッ かすみ「あ、ありがとう…」 栞子「放課後、生徒会室に返しに来てください」 かすみ「えー、生徒会室…」 栞子「…嫌なら結構です」ツカツカ かすみ「あー待って!!」 先生「はい、中須さん。ここ訳して?」 かすみ「は、はい…えっと、『たとえそれが仮想の出来事だとしても、あなたの罪は重い』…ですかね?」 先生「正解。引っかかりやすいところだったけどよくわかったね」 かすみ(なんだか他人事ではないような気がする文章ですね…) かすみ(それにしても、教科書にすごく細かくメモ取ってある…) かすみ(流石三船栞子…) 生徒会室前 かすみ「…はぁ」 かすみ(中に居るのがせつ菜先輩だったらどれだけ気が楽か…) かすみ「…」コンコン かすみ「…し、失礼しま〜す」 栞子「…どうぞ」カリカリ かすみ「…これ、ありがとう…ございました」 栞子「今後は気を付けてください」カリカリカリ かすみ「…」 栞子「…なんですか?」 かすみ「いつも、そんなに細かく予習してるんですか?」 栞子「…当然です」 かすみ「と、当然ですか…生徒会とか、お稽古で忙しいのに?」 栞子「生徒会や稽古も勿論必要な事ですが、学生の本分は勉強です。両立して当然です」 栞子「もっとも、それができていない生徒は多いようですが」 かすみ「うぅ…耳が痛い…」 栞子「…」 かすみ「…?」 栞子「中須さん。明日から放課後、生徒会室に来てください」 かすみ「うぇえっ!?なんで!?」 栞子「私が生徒会長になる上で、全校生徒の成功体験を約束しました」 かすみ「それでせつ菜先輩を蹴落としたんですもんね」 栞子「それは同好会のあなたたちも同様です」 かすみ「はぁ…それとかすみんの勉強に何の関係が…?」 栞子「…正直、今の中須さんはどの方向に導くかすら決められる状況にありません」 かすみ「そんなにひどいですか!?」 栞子「幸い、先日の天王寺さんのドリンクのおかげで向こう数か月分の生徒会の仕事が片付きました」 栞子「同好会の活動の前に1時間勉強してもらいます」 かすみ「うえぇ〜〜〜!?1時間もですか!?」 栞子「嫌なら同好会の活動を制限しても構いませんよ」 かすみ「ひ、卑怯な…!」 栞子「中須さんのことを知るためにも必要な事です。では、明日お待ちしてます」 >>100 桜坂さんはなぜ古典…?英語ですね、失礼しました 翌日 栞子「では、始めましょう」 かすみ「気は進みませんけどね…」 栞子「まず、先日のテストの答案を改めて拝見しました。やれば60点以上取れるじゃありませんか」 かすみ「ぐ……まあ、絵里先輩とダイヤ先輩たちの指導がありましたから…」 栞子「学校のテストは授業で学んだことをしっかり使えば、100点を取れるつくりになっています」 かすみ「それは、そうですけど…」 栞子「重要なのは、そのやる気をどう出すかです」 かすみ「はぁ…」 栞子「いいですか、まず…」 かすみ「あ!」 栞子「…なんですか」 かすみ「…ふっふっふ。かすみん〜、お腹空いちゃってぇ…三船さんも一緒に、パン食べません?」 栞子「パン…?」 かすみ「勉強の前の腹ごしらえですよぉ♪」 栞子「…はぁ。仕方ありませんね」 栞子「…趣味で作って配っているんですか?これを?」 かすみ「そうですよ?何か変ですか?」 栞子「…正直、勿体ないですね」 かすみ「え?」 栞子「ライフデザイン科に転科してはどうですか?」 かすみ「え、あの…そんなに美味しかった?」 栞子「…ええ」 かすみ「!!」ニヤリ かすみ「そっかぁ〜…じゃあ〜、今から三船さんにも作り方教えてあげますよぉ」 栞子「いえ、結構です」 かすみ「あれ」 栞子「…はい、腹ごしらえは済みましたよね。勉強を始めましょう」 かすみ「うわぁーん!逃げきれなかったー!!」 〜〜〜〜〜〜〜〜 かすみ「うぅ〜…」 栞子「…では、今日はこのくらいにしておきましょう」 かすみ「…あれ、もう終わりですか?」 栞子「…1時間経ちましたから」 かすみ「嘘!?……ホントだ」 栞子「…楽しいことは、すぐ過ぎるでしょう?」 かすみ「え?まあ…そうですね」 栞子「それと同じです。分かってしまえば、勉強も楽しいものなんですよ」フッ かすみ「…この前児童館で会った時も思いましたけど、笑うと意外とカワイイですね」 栞子「…」ピクッ かすみ(効いてる!!) かすみ「その頭のリボンも、キャラに似合わずキュートですよ♪」 かすみ「せっかくカワイイんだからぁ、三船さんはいつも笑顔の方がいいと思いますよぉ?」 栞子「…………早く練習に行ってはどうですか?」 かすみ「あれぇ?無益なはずのスクールアイドル活動に、かすみんを行かせようとしてるんですかぁ?」 栞子「…早く出て行ってください」 かすみ「…は、はぁーい」 栞子「…」 〜〜〜〜〜1週間後〜〜〜〜〜 ガラッ 果林「…あら、かすみちゃん、愛…みんなはまだ?」 かすみ「あぁ果林先輩、お疲れさまです」カリカリ 愛「みんな、日直とかで遅くなるんだってさー」カリカリ 果林「ふぅん……って、愛はともかく…かすみちゃん、それ」 かすみ「え?あぁ…明日の予習です」 果林「かすみちゃんが!?」 愛「シオリンの短期集中講座が効いたみた〜い」 かすみ「…悔しいですけど、支持されてるだけあるな…って、思いました」 愛「カリンも受けてき「嫌よ」 ガラッ 栞子「失礼します!」 愛「おっ、噂をすれば」 栞子「中須さん!どういうつもりですか、私の靴にパンを入れるなんて!」 かすみ「えぇ〜?なんのことですかぁ〜?」 栞子「この触感と香り、あなたのパン以外にありません!」 かすみ「えぇ〜、もしかしてぇ、先週1週間かすみんのパン食べてたから、味を覚えちゃったんですかぁ〜?」 栞子「…とにかく、靴に入れるのだけはやめてください。食べづらいですから、普通に渡してください」 かすみ「食べたいんですね?」 栞子「……否定はしません」 栞子「…では、そういうことで。失礼します」ピシャッ 果林「…どういう風の吹き回し?」 かすみ「かすみん、三船さんの胃袋掴んじゃったみたいです♪」 果林「…人って変わるものなのね」 愛「やっぱ最近さ、シオリン可愛くなったよね〜」 かすみ「当然です。女の子はかわいいって言われた分だけ、かわいくなれるんですから!」 栞子「……♪」 こうしてたった1週間で中須さんの成績を上げ、かつパンを毎日貢がせることに成功しました 自分の手腕が怖いです 彼女はああ言っていましたが、断じて胃袋を掴まれたわけではありません 某日 栞子(今日はライフデザイン科のスイーツ発表会でしたか) 栞子(と、いうことは…近江さんも出る、ということですね) 栞子「…………」スクッ 〜〜〜〜〜〜〜 ルビィ「うぅ…」 絵里「ルビィ…大丈夫?」 ルビィ「時間が経ったら、なんだかあの味が、また胃からこみあげてきているような…」 希「歩夢ちゃんの絶品デザートでも上書きできないとは…」 栞子「…おや?あなたたちも来ていたのですか」 果南「三船栞子!?」 ルビィ「ど、どうして?」 栞子「…私は虹ヶ咲の生徒会長ですよ。ここに居て何もおかしいことはないでしょう」 絵里「そ、そうね…もしかして、ライフデザイン科に行くの?」 栞子「?はい、そうですが」 ルビィ「気を付けて!!」 栞子「は?」 ルビィ「せつ菜さんには、気を付けてください…!!」 栞子「は、はぁ」 栞子(…なぜ中川さんの名前が?) せつ菜「あれ、三船さん?」 栞子「?????」 せつ菜「三船さんも、スイーツを食べに?」 栞子「…生徒会長として、確かめなくてはならないことがありますから」 栞子「近江さんは?というか、なぜあなたが?」 せつ菜「実は、彼方さんは妹の遥さんの看病の為にお休みしてるんです」 栞子「…」ガーン せつ菜「そのピンチヒッターとして、私!」 せつ菜「…と、あちらで対応してくださっている歩夢さんが、ここにいるというわけです!」 栞子「たしかに、申請を出せば代理での出席は可能ですが…」 せつ菜「大丈夫です!レシピは彼方さんのものを使っていますし、評判もいいんですよ!」 栞子「はぁ…」 せつ菜「では、こちらをどうぞ!」 栞子「ありがとうござい…?」 せつ菜「どうかしましたか?」 栞子「……なんですか?この色」 せつ菜「何かおかしいですか?」 栞子「…いえ。こういったスイーツには疎いので、少し困惑してしまいました」 栞子「では、いただきます…」 シオリンは、せっつーのスイーツを口に運んだ刹那――ルビィの言葉を思い出した。 『せつ菜さんには、気を付けてください…!!』 …「せつな」だけに。(by宮下愛) 栞子「っ……んっ……ヴ………!?」ガクガク 歩夢「あれ、三船さ……!?」 歩夢「せつ菜ちゃん、あのケーキまだ残ってたの!?」 せつ菜「え?ええ、あとで一緒に食べようと思って…歩夢さんの分もありますよ」 歩夢「三船さん、大丈夫!?」 栞子(ま、まずい……色んな意味で……) 栞子(このままでは、たくさんのお客様も居る前で醜態を晒すことに……!) せつ菜「三船さん?」 歩夢「せ、せつ菜ちゃん!私、同好会の書類出してないの思い出しちゃった!」 せつ菜「え?でも、書類関連の管理は歩夢さんではなく…」 歩夢「あの子に頼まれてたの!だから、ちょっと行ってくるね!!」 歩夢「…せつ菜ちゃん、足りなくなった分、私の作ったやつ補充しておいて」 歩夢「そのスペシャルケーキ、私以外に絶対出さないでね!!!」 せつ菜「え?…わ、わかりました!」 歩夢「行こう、三船さん!もう少し耐えて!!」 栞子「……!!」コクコク せつ菜「…歩夢さん、そんなに私のケーキを楽しみに…!」 せつ菜「…そうですね。歩夢さんにはお世話になっていますし」 せつ菜「お客さんに出せないのは残念ですが、歩夢さんに気のすむまで食べていただきましょう!」 栞子「ゔえぇぇぇっ……」ビシャビシャ 歩夢「三船さん…」サスサス 栞子「げほっ、ごほっ……」 歩夢「大丈夫…?」サスサス 栞子「はぁ、はぁ…っ……お見苦しいところを……」ヨロヨロ 歩夢「ううん、いいよ。ごめんね…せつ菜ちゃん、お料理のセンスが、ちょっと独創的で…」 栞子「さっき、すれ違った、黒澤さんの、言っていた意味が…わかりました……」 歩夢「あぁ…うん……」 栞子「…」ガクガク 歩夢「み、三船さん…顔、すごい色になってるよ…!」 栞子「…申し訳ないのですが……保健室まで、ついてきていただけませんか…」 歩夢「も、もちろん!」 歩夢「三船さん、着いたよ!ベッドに寝ててね。仰向けだと苦しいから、横向きにね」 栞子「はい…」ゴロン 歩夢「ちょっと、せつ菜ちゃんの様子見てくるね」 歩夢「もし吐きたくなったら、ここに袋置いとくね。我慢しちゃだめだよ」 栞子「すみません…」 歩夢「じゃあ、待っててね」ソソクサ 栞子(どうしてこんなことに…) 歩夢「ごめんね、お待たせ」 栞子「様子はどうでしたか…?」 歩夢「大丈夫。ちゃんとあのケーキは出してなかったみたい」 歩夢「えっと…はい。ホッカイロ買ってきたから、これでお腹温めて」 歩夢「あと…これお水。苦しいかもしれないけど、お水飲まないとだから」 栞子「……ここまでしていただく必要は」 歩夢「せつ菜ちゃんを見張っておかなかった私の責任だから…」 歩夢「それに、こんな三船さんのこと、放っておけないよ」 栞子「…すみません」 歩夢「ううん。良くなったら、ちゃんと美味しいスイーツ、食べようね」 栞子「……はい」 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜 栞子「…ありがとうございます。おかげで良くなりました」 歩夢「よかったぁ…」 栞子「…将来は医療系に進むのですか?とても手際が良かったように思いますが」 歩夢「ふふっ。昔、あの子が体調崩したときに、よく私が看病しに行ってて」 歩夢「そしたら、いつの間にか色々覚えちゃった」 栞子「…仲が良いんですね」 歩夢「うん♪」 歩夢「…あ、そうだ。さっき、三船さんが寝てる間にスイーツ、色々持ってきたの。食べられる?」 栞子「…ええ」 栞子「…全て、上原さんが作ったのですか?」 歩夢「うん。彼方さんのレシピ通り作っただけだから、すごいのは彼方さんなんだけど」 栞子「…調理は、決まった手順を踏んだとしても人によってバラつきはあります」 栞子「これも上原さんの才能、ということですね。やはり、同好会に居るべき人ではありません」 歩夢「あ、あはは…」 栞子「…さて、私はもう大丈夫です」 歩夢「本当に大丈夫?」 栞子「ええ。ありがとうございました」 歩夢「そっか……あのね、三船さん」 栞子「?」 歩夢「同好会のこと…どうして、そんなに敵視するのかな」 栞子「…」 歩夢「…同好会のみんながね、最近、三船さんの話をよくするんだ」 歩夢「スクールアイドルのことさえわかってくれたら、悪い子じゃないのにって」 歩夢「あの子も、三船さんのことは…」 栞子「上原さんは発表会の方に戻ってください」 栞子「今は……話したく、ありません。その話はまたいずれ」 歩夢「…うん。それじゃあ、お大事にね」 栞子「……」 将来、上原さんと結ばれる方はさぞ幸せでしょうね あそこまで尽くしてくれる方はなかなかいません 同好会の部長に渡すには、あまりにも惜しい人材です 本日中に終わると言った手前で申し訳ないのですが 急用が入りましたので続きはまた明日に。 お恥ずかしながらインフルエンザにかかってしまったので続きはもう少し遅れます 申し訳ありません 保守ありがとうございます ワンダーフォーゲル部には使っていない倉庫を部室として使う許可を出します 皆さん、保守ありがとうございます 明日には続きを… 栞子「…………」 栞子(太った…) 栞子(……明らかに、毎日中須さんのパンを食べているのが響きましたね) 栞子(トドメに、先日のスイーツ発表会…) 栞子(私が体型維持できなければ、運動部への指導の説得力がなくなる…) 栞子(早急に、なんとかしなければ…) 栞子(まずは散歩でもして、少しでも代謝を上げましょう) 栞子(……?) 果林「あら?えーっと…あれが、ここでしょ…?そしたら、こっちは……」 栞子「…朝香さん?」 果林「えっ!?」ドキッ 果林「…あ、あら、三船さん。奇遇ね、こんなところで」 栞子「…何をしていたのですか?」 果林「私はレストランに行くところよ。どうして?」 栞子「あまりに挙動不審だったので、どうしたものかと」 果林「……」 栞子「…?」 果林「ねえ、三船さん。お腹空いてない?」 栞子「いえ、あまり」 果林「ダイエット向けのメニューが豊富なお店なのよ」 栞子「」ピクッ 果林「言ってみたいと思わない?ダイエットとか興味ない?」 栞子「…なくはないですが」 果林「じゃあ決まりね!ふふっ、三船さんも女の子だものね!」 栞子「失礼ですね。それに、私が痩せたいというわけではなく、運動部への指導を…」 果林「はいはい、それじゃ行きましょ!たぶんこっちよ!」 栞子(たぶん…?) 虹ヶ咲学園 果林「あら…?」 栞子「……?」 果林「ご、ごめんなさい、ちょっと道を間違えてしまったみたいね」 栞子「少し間違えただけで学園まで歩きますか…?」 果林「…つ、次は大丈夫!ほら、マップアプリも道順を教えてくれてるわ!」 栞子「あるなら初めから使ってください…本当に大丈夫ですか?」 果林「大丈夫よ!」 栞子「はぁ、はぁ…もう2駅分歩きましたよ……」 果林「お、おかしいわね…」 果林「……三船さん、場所知らないかしら」 栞子「お店の場所を知っているのは朝香さんでしょう!?」 果林「…うん」 栞子「……」 果林「……」 レストラン 栞子「はぁ…迷っていたなら早く言ってください」 果林「辿り着けたんだからいいじゃない」ドヤ 栞子(なぜそこまで自信満々に…)ジー 果林「さて…」 栞子「…」ジー 果林「決まった?」 栞子「……」ジー 果林「三船さん?」 栞子「え?あ、…ええ。サラダ生(き)醤油うどんにします」 果林「生(なま)醤油うどん?ホントに?」 栞子「"キ"醤油です」 果林「生は"なま"でしょ?」 栞子「……」 果林「?」 果林「それは置いておいて、勿体なくないかしら?」 栞子「勿体ない?」 果林「ここのメニュー、バランスや材料が良く考えられているわ」 果林「お腹いっぱいになるくらい食べても、スタイル維持にはほぼ影響がないくらい」 果林「というか、逆にあれだけ歩いて食べるのがそれだけじゃ、身体に悪いわ」 栞子「誰のせいであんなに歩いたのでしょうね」 果林「さ、さぁ…」 栞子「いいんです。摂取カロリーを抑えれば体重は落ちます」 果林「あら、それは違うわ」 栞子「?」 果林「たしかに、そうすれば痩せていくかもしれない」 果林「でも、それってすごく不健康で一時的なものよ」 果林「食べるものはちゃんと食べないと、維持できないわよ」 果林「そ、れ、に……そのランチセットずっと見てたの、知ってるんだから」 栞子「!」ドキッ 果林「なんでって顔してるわね?ふふっ、お見通しよ♪」 果林「じゃ、決まりね!店員さん呼ぶわね」ピンポーン 〜〜〜〜〜〜〜〜 果林「美味しかったぁ…ね、我慢せずに頼んでよかったでしょう?」 栞子「…ええ」 果林「ふふっ」 栞子「…なんですか?」 果林「いえ、なんだか最近、同好会の中であなたのことが話題に上がることが増えてね」 栞子「私のですか?」 果林「そうよ。皆が話していること、今日理解できたわ」 栞子「はぁ…」 果林「三船さん、ぜんぜん悪い子じゃないって」 果林「スクールアイドルは嫌いでも、私たちのこと自体は考えてくれてるって」 栞子「え?」 果林「こんな機会だから言っちゃうけれど…あなたの第一印象、最悪だったのよ?」 果林「テストで60点以上って無理難題も押し付けてくるし、正直、ヤなやつ〜!って思ってたわ」 栞子「テストで60点は無理難題ではありません」 栞子「…理解はしています」 栞子「ああやって同好会を無理矢理潰そうとすれば、反感を買うことくらいは…」 栞子「……」 果林「…ねえ、スクールアイドルが嫌いな理由ってなあに?」 栞子「高校生活において、不要な活動だからです」 果林「それ以外にも、何かあるのよね」 栞子「……ありません」 果林「そ。じゃあ、聞かないでおくわ……ふふっ」 栞子「…今度はなんですか?」 果林「三船さん、ちょっと前の私に似てるなって」 栞子「朝香さんに…?」 果林「ええ、そうよ。周りを気にして、こういう自分で居なくちゃ!って思って」 果林「がんばって取り繕って、本当の気持ちを隠し続けてる」 栞子「!」 果林「大丈夫よ。本当の自分を見せられる時が…理解してもらえる時が、いつか来るわ」 栞子「…朝香さん」 果林「大丈夫、もう聞かないわ。その時は、今日じゃないってことよ」 果林「それに…私だけ三船さんのそんな姿を見るのは、フェアじゃないし…ね?」 果林「さて、お店も混んできたしそろそろ帰りましょうか」 栞子「……ええ」 〜〜〜〜〜〜 栞子「……」 果林「じゃあ、私は寮に戻るわ。またね、三船さん」 栞子「……朝香さん」 果林「?」 栞子「私は……」 栞子「………。」 栞子「いえ」 栞子「今日は、ありがとうございました」 果林「…ええ♪また誘うわね?」 栞子「次は現地集合でお願いします」 果林「も、もう!一回行ったから大丈夫よ!」 …私のことをすべて理解しているのではないかと疑ってしまうような朝香さん。 あの態度、まるで……。 …次回で終わります。月曜日の投稿になるかと思います 皆さんの保守に感謝します このスレのおかげで栞子さんの可愛さを再確認できました! 待った甲斐があったとっても美味しい展開でした 月曜日も楽しみにしてますね 度々先延ばしにして申し訳ありません 諸都合のため明日の投稿になります 栞子「…ふぅ」 栞子(生徒会の仕事はこれでひと段落…)ピラッ 栞子「?これは…」 『生徒の自主性を伸ばすことを第一に、自ら考え、選んでいける支援を』 『大好きな事に打ちこめる学園を』 栞子(中川さんの…) 栞子「大好きな事だけに打ち込めたら、どれだけ幸せかなんて…」 コンコン 栞子「どうぞ」 せつ菜「失礼します」 栞子「中川さん…いえ、優木せつ菜さんとお呼びした方がいいのでしょうか?」 せつ菜「どちらでも構いません。…三船さん」 栞子「はい?」 せつ菜「土曜日、私のライブがあります」 栞子「…知っていますが。活動許可を出しましたからね」 せつ菜「これは、その関係者席のチケットです」スッ 栞子「…まさか、私に来いと?」 せつ菜「その通りです」 〜〜〜ちょっと前〜〜〜 みんな「「三船さん(シオリン)(三船栞子)にライブを!?」」 せつ菜「はい」 あなた「どうかな?今度のせつ菜ちゃんのライブに招待しようと思うんだ」 愛「あれからシオリン、だいぶ柔らかくなったっしょ?」 しずく「それは、そうですが…」 璃奈「最近、向こうから挨拶される」 かすみ「かすみんのパンのおかげですかねぇ♪」 彼方「彼方ちゃんのお弁当だと思うなぁ〜」 せつ菜「…実は、三船さんって、スクールアイドルのことが好き…」 せつ菜「あるいは、好きだったんじゃないか、と思うんです」 かすみ「えぇ!?あんなに否定してたのにですか?」 歩夢「それは、私もちょっと思った…前に三船さんに聞いてみたんだ」 歩夢「どうして同好会が嫌いなのかって」 あなた「そしたら?」 栞子『今は……話したく、ありません。その話はまたいずれ』 あなた「…またいずれ、かぁ」 果林「その口ぶりだと、話す気がない…ってわけでは、なさそうね」 エマ「そういえば、私もスクールアイドルの話をしたとき、誤魔化されちゃったような…」 せつ菜「…まず、私の正体がバレた時です」 栞子『…………なるほど。優木せつ菜さん。 あなたが生徒会長だったんですね』 かすみ「でもぉ、せつ菜先輩結構有名人ですし…ほら、三船栞子って学校の生徒のことみんな知ってそうですし」 璃奈「でも、学園内でせつ菜さんの目撃情報は、ほぼ無いに等しい」 エマ「"優木せつ菜"ちゃんは、生徒じゃないからね」 せつ菜「更衣室からここまですぐですし、この姿で三船さんとすれ違った事はありませんでしたね」 せつ菜「…次に、μ`sやAqoursの皆さんとの打ち合わせをしていた時…」 ―――――――――――― 千歌『スクールアイドルフェスティバルの打ち合わせです!』 栞子『え……? あれは確か、実行委員会が解散して中止になったのでは?』 あなた『あれ? 三船さん、スクールアイドルフェスティバルのこと知ってるの?』 栞子『少し耳に挟んだだけです。 で、なぜ中止になったイベントの打ち合わせを?』 ――――――――――――― あなた「あの時は流しちゃったけど…」 あなた「三船さんは、どうやってその事を耳に挟んだんだろう?」 彼方「どうやってって…中止になった事は、ホームページに…あれ?」 歩夢「あ!実行委員会の解散って…」 あなた「そう。電話で事情を聞いた、私たちしか知らないはずなんだ」 せつ菜「三船さんが、実行委員会と何か関わりを持っている…という可能性は、高いと思います」 せつ菜「アニメならだいたいそうです」 果林「その一言は余計だったわね…」 しずく「とはいえ、あの三船さんが素直に来てくれるでしょうか…?」 愛「アタシたち最近シオリンと絡みまくってるし、イケるっしょ!」 せつ菜「…きっと、大丈夫です」 せつ菜(お母さんたちにだってわかってもらえた。きっと、三船さんにも…) 栞子「私は行きませんよ。だいたい、土曜日は…」 せつ菜「大丈夫ですよ」 栞子「え?」 せつ菜「各部への指導の予定を入れているんですよね?」 せつ菜「各部の部長さんたちに、三船さんをお借りする許可を取ってきました」 栞子「…随分勝手なことをするんですね」 せつ菜「三船さんだって、勝手に生徒会長選挙を取りつけたじゃないですか」 栞子「あれは校則で認められていることです。今回は違います」 せつ菜「では…私たちのライブを見たうえで、指導をお願いします」 せつ菜「三船さんは、うち以外の同好会への指導は行っていますよね」 栞子「…それが何か?」 せつ菜「私たち同好会メンバーだけは、指導を受けたことが無いんです」 栞子「当然です。不要な活動に時間を割く意味は…」 せつ菜「ですが、同好会としては正式に認められています」 せつ菜「誰でもない三船さんが、一応の存続を認めてくださいましたよね」 栞子「それは…そうですが」 せつ菜「私は寄り添ってもらえず、三船さんの学校作りの恩恵を受けられないでいる…」 せつ菜「それって、三船さんの公約に反していませんか?」 栞子「……っ」 せつ菜「三船さん」 せつ菜「これは私からの、宣戦布告…逆襲です」 せつ菜「かつて、三船さんが私を生徒会長から下ろした時とは逆に」 せつ菜「私が、三船さんを落としてみせます」 栞子「…意趣返しというわけですか」 栞子「わかりました。ただし、条件があります」 せつ菜「!」 栞子「私がライブを見て、同好会を存続させる理由が無いと判断した場合」 栞子「即刻同好会は解散させます」 せつ菜「…」 栞子「他の部活にも、私の指導による部員の異動などは認めてもらっています」 栞子「この条件を認めてもらえないのであれば、私も指導をすることはできませんが」 せつ菜「わかりました」 栞子「!」 土曜日にせつ菜ライブに行く栞子ってしおりん感がスゴい(偏見) せつ菜「ありがとうございます。では土曜日、よろしくお願いします」 栞子「…」 せつ菜「失礼しました」ペコリ ガラガラッ ピシャッ せつ菜「……ふぅ〜〜〜」ヘナヘナ 歩夢「せつ菜ちゃん、お疲れさま!」 しずく「練習した甲斐がありましたね!」 せつ菜「はい…やっぱり、本物は迫力が違いましたが…なんとか、上手くいきました」 果林「いずれ潰されるなら、ここで勝負に出る…スリルがあって、嫌いじゃないわ」 彼方「イチかバチか…うぅ〜、彼方ちゃん、今日寝れないかも……ぐぅ」 エマ「寝てる、寝てるよ彼方ちゃん!」 愛「本当の勝負はこっから!油断できないぞ〜!」 璃奈「まだ点火しただけ…落とせるかどうかは、まだわからない。璃奈ちゃんボード『まだ終わらんよ』」 せつ菜「逆襲だけにですね!」 かすみ「何の話…?」 あなた「…今のせつ菜ちゃんなら大丈夫。きっと三船さんも認めてくれる」 せつ菜「…はい!」 土曜日 栞子「…すぅ、はぁ」 栞子(ライブを見に来たんじゃない…ただ、いつもと同じ…部活の指導に来ただけ…) 栞子「すみません。関係者席の受付を」 歩夢「…来てくれたんだね、三船さん」 栞子「…生徒会長としての立場上仕方なく、です」 栞子「先日はありがとうございました」 歩夢「ううん、あの後何とも無さそうでよかった」 歩夢「…はい、受付完了です。右側の階段を降りたところにあの子が待機してるから、案内してもらってね」 あなた「…三船さん、いらっしゃい。今日はよろしくね」 栞子「同好会が今日無くなるかもしれないというのに、呑気なものですね」 あなた「無くなるって決まったわけじゃないからね。…あ、こっちだよ」 栞子「…」スタスタ あなた「…」テクテク 栞子「…この前の中川さんに入れ知恵したのは、あなたでしょう?」 あなた「入れ知恵?」 栞子「違うのですか?いくら中川さんといえど、あそこまでの理論を組み立てられるとは…」 あなた「私はほんの少し付き合っただけで…それはきっと、せつ菜ちゃん自身の言葉だよ」 栞子「…ですが、生徒会長選挙の時とは全く気迫が違うように感じました」 あなた「それが、せつ菜ちゃんの本当の力なんだよ」 栞子「本当の…?」 あなた「あの時のせつ菜ちゃんは、本調子じゃなかったし」 栞子「…手を抜いていたと?」 あなた「ううん、せつ菜ちゃんは手なんて抜けない。常に本気だからね」 あなた「三船さんと戦った時のせつ菜ちゃんは、色んなものに縛られて、色んなことを我慢してた」 あなた「でも、今はもう、せつ菜ちゃんを縛ってるものは何もない…」 あなた「すごいよ、せつ菜ちゃんは」 栞子「…」 あなた「さ、ついたよ。すごい特等席、羨ましいなぁ…」 栞子「…案内、感謝します」 あなた「ペンライト、いる?」 栞子「お気遣いなく」 あなた「…じゃあ、楽しんでね」 栞子「…」 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜 せつ菜「みんな〜!会いたかったよ〜〜!!」 ワアアアアアアアアア!!! 栞子「…」 栞子(まだ何も歌っていないのに、この盛り上がり…) せつ菜「みなさん、来てくれてありがとうございます!」 せつ菜「それではさっそく聞いてください――CHASE!」 ウォオオオオオオオオォォ!!! 栞子「…」 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜 せつ菜「はぁ、はぁ……皆さん、ありがとうございまーす!」 イエエエエエエエエエエエエエー!!! 栞子(…中川さんだけじゃない) 栞子(会場の全員が、笑顔になっている…) 栞子(やっぱり、スクールアイドルは…) せつ菜「早いもので…次で、最後の曲になります!」 エエエエエーーーー!? せつ菜「あはは、ごめんなさーい!」 せつ菜「…最後の曲は、私にとって、とっても大切な曲です」 せつ菜「…それでは。すぅ…はぁ……」 せつ菜「"あなた"にも届くように、歌います」 栞子「…」 せつ菜「…MELODY」 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜 あなた「…三船さん、どうだった? …って、三船さん!?」 栞子「…っ」ゴシゴシ あなた「…」ポカン あなた「…み、三船さん。せつ菜ちゃんが、どうだったかって…」 栞子「…月曜日、同好会の活動はありますか?」 あなた「え!? う、うん…」 栞子「…では、その時に伺います。中川さんのライブがどうだったかは、そこでお話しします」 あなた「わ、わかった…」 栞子「…失礼します」ツカツカ あなた(び、びっくりした…な、泣いてた…よね……?) 月曜日 しずく「来ませんね、三船さん……かすみさん、何やってるの?」 かすみ「掃除…竜田揚げ後味残さずって…」 彼方「竜田揚げは後味残ると思うけど…」 璃奈「立つ鳥跡を濁さず…?」 愛「こらかすかすーっ!負けムード出すなぁ!」 かすみ「かすみんですぅ!!」 果林「でも、こんなにもったいぶられると…」 エマ「不安にはなるねぇ…」 歩夢「うぅ…」 あなた「…大丈夫だよ、みんな。きっと、せつ菜ちゃんの大好きは、三船さんに届いたはず」 コンコン 栞子「失礼します」 せつ菜「…」 せつ菜「…三船さん、先日は来てくださってありがとうございます」 栞子「中川さん…いえ、優木せつ菜さん。ライブを拝見しました」 せつ菜「…はい」 栞子「…同好会は、本日をもって解散させます」 みんな「「ええーっ!?」」 あなた「そんな…!」 せつ菜「…届きませんでしたか。三船さんには」 栞子「…いいえ。正直、感動しました」 せつ菜「…え?」 あなた「じゃあ…!」 栞子「だからこそ、断固として…同好会を続けさせるわけにはいかないんです」 せつ菜「どういうことですか!?」 栞子「……上原さん」 歩夢「えっ!?」 栞子「以前、どうして同好会を敵視するのかと…私に問いましたよね」 歩夢「う、うん…」 栞子「…それを話すときが、来たようです」 栞子「…私の姉は、スクールアイドルフェスティバルの運営委員会の、主要人物でした」 みんな「「えぇ〜〜っ!?」」 あなた「三船さんのお姉さんが…!?」 栞子「…私も、姉の影響でスクールアイドルに関心がありました」 せつ菜「じゃあ、私の名前を知っていたのも、運営委員会の解散を知っていたのも…」 栞子「…ええ」 栞子「…ですが、姉はスクールアイドル活動に熱中し過ぎ、受験に失敗しました」 栞子「姉と両親の仲は目も当てられないほどに悪くなりました」 栞子「両親が黙認していたスクールアイドルに関する活動も、すべて禁止されました」 栞子「なんの役にも立たない、無駄な事はするなと」 栞子「いつも見せてくれていた姉の笑顔は…もう、ありません」 栞子「今年度の運営委員会に卒業生のノウハウが引き継がれなかった一因でもあります」 栞子「…だから、私は理解したんです」 栞子「たしかにアイドルという仕事は存在し、人を笑顔にする」 栞子「ですが、それを学生が学業と両立させるには、あまりに難しいと」 栞子「スクールアイドルは、人を笑顔にすることはできても、本人が幸せにならない…と」 栞子「だから私は、スクールアイドルから目を背けるようになりました」 かすみ「じゃあ、スクールアイドルが嫌いだったわけじゃなくて…」 しずく「私たちのことを想って、同好会を無くそうとしていたんですか…」 栞子「…『生徒一人ひとりの適正に寄り添う学園運営を』と、初めに宣言したはずです」 栞子「…事実、同好会メンバーとしてではない個人個人には、他の生徒と同様に接してきたつもりです」 かすみ「じゃあ、生徒会長に立候補したのは?」 栞子「…単に、生徒指導をしやすい立場だったからというのもありますが」 栞子「中川さんが著しく成績を落としていることから、隠れて生徒会以外の活動をしていると考えました」 栞子「…生徒会長自身も、生徒です」 栞子「生徒会長の学校作りの恩恵は、生徒会長本人も受けなければなりません」 栞子「中川さんが、大好きな事に打ちこめる学校生活を送っているとは、思えなかった」 栞子「…だから、私が代わりに、中川さんを導く。……そういった思考も、無くはありませんでした」 せつ菜「三船さん…私のことを、そこまで…」 栞子「…勘違いしないでください。最大の目的は最初に述べたとおり、生徒指導で……」 せつ菜「三船さん!」ギュッ 栞子「なっ…なんですか…!?」 せつ菜「…私は、生徒会長でなくなった時、本当にどうすればいいかわからなくなってしまいました」 せつ菜「三船さんを恨んでしまった気持ちも、全く無いと言えばウソになってしまいます」 せつ菜「でも…生徒会長ではなくなったことが、一つのきっかけになって…」 せつ菜「大好きな気持ちと向き合うことが、できるようになったんです」 せつ菜「だから…ありがとうございます…三船さん…っ」ギュゥゥ 栞子「な、な……」 あなた「…三船さん。私たちと一緒に、スクールアイドルフェスティバルを運営する気はない?」 栞子「なっ…!?」 栞子「私の話を聞いていなかったのですか!?」 せつ菜「私からも…今の話を聞いて、お願いしようと思っていました」 栞子「…無理です」 あなた「無理じゃないよ。三船さんになら…」 栞子「無理です!」 栞子「…ライブで見た、中川さんの笑顔」 栞子「姉がスクールアイドルの話をする時の顔に、どうしようもなく似ていました」 せつ菜「!」 栞子「その笑顔が、いつか失われてしまうと思うと…」 せつ菜「っ…!」 せつ菜「み……三船さんの……バカーーーー!!!!」 栞子「!?」 あなた「せ、せつ菜ちゃん!?」 せつ菜「三船さんは…三船さんは、私と同じ!おばかさんです!!」 せつ菜「そして、失望しました!!」 せつ菜「私の、学校への気持ちに勝った三船さんが、こんな人だったなんて!!」 栞子「な…」 せつ菜「…三船さん。スクールアイドルの可能性は、無限大です」 せつ菜「私も、両親にスクールアイドルを認められず、悔しい思いを沢山してきました」 せつ菜「でも、両親に大好きの気持ちが届いて、今こうしてスクールアイドルを続けています」 せつ菜「それに、スクールアイドルから目を背けていた三船さんに、私の歌が届いたじゃありませんか」 せつ菜「…三船さんは、お姉さんのこと、好きですか?」 栞子「…はい」 せつ菜「…だったら、私たちと…私と一緒に、大好きなお姉さんの笑顔を取り戻しましょう!」 せつ菜「スクールアイドルフェスティバルも成功させて!ご両親に見せてやりましょうよ!!」 せつ菜「お姉さんがやってきたことは、無駄なんかじゃなかったって!」 栞子「…っ」 栞子「で、ですが、あなたたちが、姉のようになっては…」 せつ菜「そうならないように、三船さんが導いてください!!」 栞子「!」 せつ菜「三船さんっ!!」 栞子「わ…私は…わたしは――――」 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜 栞子「失礼します」ガラッ かすみ「あー!遅いー!」 果林「栞子ちゃん、お疲れさま。どうだった?」 栞子「その件ですが、理事会には…」シュン エマ「やっぱり、難しかった…?」 栞子「話が通りました。会場の手配に協力してくれるそうです」ニヤッ 愛「このこの、シオリンめ〜!そんな姑息な手を使うようになっちゃってー!」ワシャワシャ 栞子「や、やめてください…!」 しずく「これでまた、一歩前進ですね!」 璃奈「μ`sやAqoursのみんなにも連絡しておいた。あっちも、進展があったみたい」 彼方「順風満帆だ〜」 栞子「…あ、そうでした。菜々さん、璃奈さん。少し、生徒会室に来ていただけますか」 璃奈「どうして?」 栞子「…以前、菜々さんが提案していた、学園限定のソーシャルアプリ」 栞子「合わせて理事会に提出していたのですが…許可が下りたんです」 せつ菜「え!? ど、どうして今更…」 栞子「…より良い学園作りのために、必要だと思っただけです」 栞子「アプリの仕様決定については菜々さん、その後の開発は璃奈さんをリーダーに置きたいので、お話を」 璃奈「…どうする?」 せつ菜「…行きましょう! すみません、少し出てきます!」 あなた「いってらっしゃい!」 歩夢「…栞子ちゃん、よく笑うようになったね」 あなた「うん。スクールアイドルフェスティバルの準備もすごく上手く進むようになったし…」 歩夢「せつ菜ちゃんも、生徒会のお仕事をまた手伝うようになって、前よりさらに楽しそう」 あなた「あの2人、すっかり相棒みたいだね」 歩夢「相棒…」 あなた「私にとっての歩夢ちゃんみたいな…なんて」 歩夢「! え、えへへ…」 あなた「…あはは」 歩夢「…スクールアイドルフェスティバル、絶対に成功させようね!」 あなた「うん!」 初期からだいぶ路線がずれていってしまいましたがこれで終わりです 読んでくださった方、保守してくださった方ありがとうございました 三船さんのSSはだいたい重度のせつ菜ファンになってるやつばっかりだったので 原作のイメージから大きく外れない三船さんのSSを増やしたかったので書きました 現状出ている情報から妄想した脳内設定なので皆さんのイメージと違ってたらすみません 完結乙 スクスタ準拠の小ネタとか話作りとかが粋だった あくまでキャラ崩壊せず、それでいていいssでした お疲れ様です 乙 どの話も脚本が丁寧で感心しながら読ませてもらったわ おつおつ せつキチしおりんだけじゃなく 色んなしおりんの一面が見られて幸せでした これだからしおせつはやめられない おつ! めちゃくちゃいい話だった!! これが本編でも違和感ないな 栞子のss書き基本有能しかおらんのなんなん 最高やったわ ■ このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています
read.cgi ver 07.5.1 2024/04/28 Walang Kapalit ★ | Donguri System Team 5ちゃんねる