栞子「あのアホそうな部長を攻めれば同好会なんて瓦解するのでは?」
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栞子「あれはいつも一緒にいる上原さん……先ず手始めに私の巧みな話術であの方にはこちらに寝返っていただきましょう」 栞子「上原さん、私は同好会をつぶすために貴女といつも一緒にいるあの部長を陥れたいんです。だから弱みとかあったら私に教えてください」
歩夢「そうなんだ」 歩夢「あの子を陥れる方法かあ。うーん、幼なじみと一日中ラブラブデートさせるってのはどうかな?」
栞子「はい?」
歩夢「あ、勘違いしないでね。私の個人的な願望は抜きにして、あの子の作詞作曲の時間を減らせば必ずスクールアイドル同好会の活動に支障が出ると思うの」
栞子「なるほど。策士ですねあなたは」
愛「作詞だけにっ!」
歩夢「そ、そんなことないよ〜。実は今度のイベントで初披露する新曲、まだ出来上がってないんだ。こんなときにデートなんて仕組まれたら絶対困ると思うなぁ」
栞子「確かに……。イベントの宣伝文句の一つに『新曲を初披露』と書いてありましたからね。それができなければファンはガッカリするでしょうから、同好会解散も目前です」
歩夢「うん♪ 私にできることなら何でも言ってね。協力するよ」
栞子「今、何でもと言いましたね? あなたにはこれでもかと言うほどラブラブでイチャイチャなデートをしてもらいますから、そのつもりでお願いします」
歩夢「はーい」
よし、まずは一人…… 歩夢「今日は楽しかったね!」
あなた「うん……」
歩夢「? 楽しくなかった……??」
あなた「楽しかったよ。楽しかったけど……歩夢ちゃんだって分かってるでしょ。イベントまでもう日にちがないんだよ」
歩夢「そんなことかあ。あまり思い詰めない方がいいと思うな。そういうときって焦れば焦るほどアイデアが遠ざかっちゃうものだよね」
あなた「そ、そうだけど……」
歩夢「分かった! 明日も一緒にお出かけしない? 曲作りのことなんて忘れて、パーッと楽しもうよ」
あなた「……」
歩夢「ねっ? いいでしょ??」ピトッ
あなた「ごめん。明日は曲作りに専念するよ。今日遊んじゃった分、何とかして取り戻さないと」グイ
歩夢「えー……」
あなた「今日はありがとう。じゃあね!」タッ
タッタッ……
歩夢「あ……」
栞子「早く追いかけてください。明日もデートしてもらわないと困るんです」
歩夢「分かってる。あなた〜! 待って〜〜!!」タッタッ
意外と落ちませんでしたね。所詮幼なじみは負け属性、別の手を考えなければ…… 栞子「私に相談とは?」
あなた「歩夢ちゃんに変なこと吹き込むのやめてもらっていいかな」
栞子「何のことでしょう」
あなた「とぼけないで。私、歩夢ちゃんと栞子様が話してるところ見ちゃったんだから」
栞子「私は生徒会長です。生徒と団欒することくらいあって当然では?」
あなた「栞子様も知っての通り、今度のイベントには新曲を間に合わせなきゃいけないんだ。みんなが練習する時間も必要だし、その分余裕を持って完成させておかないといけないのに……」
栞子「はぁ。それなら、しっとりめのバラードにしてみては如何でしょう。激しい動きもなく、歌を覚えるのにもそれほど時間はかからないはずです」
あなた「……!! ありがとう! 私、頑張るよ!」ダッ
栞子「……」
敵に塩を送ることになってしまいました あなた「ついに前日になってしまった……」
栞子「進捗はどうですか?」
あなた「どうもこうもないよ!! このままじゃファンのみんなを裏切ることになっちゃう! あぁ私はどうしたら」
栞子「曲の話ではなく、歩夢さんとの関係です」
あなた「え? そりゃもう……でへへ」
栞子「よかったですね。ところで温泉旅行のペアチケットがあるのですが、明日あたり歩夢さんと行ってきたらどうですか?」スッ
あなた「!! 行く行く! え!? 何で私に!?」
栞子「お疲れのようですから」フフッ
あなた「いやっほーい!! 歩夢ちゃん喜ぶぞー!」ピョンピョン
いい感じに脳が破壊されてきたようですね。よしよし。 ーーイベント当日
せつ菜「ど、どどどどうしましょう!? 先輩と歩夢さんに連絡がつきません!」
栞子「酷すぎますね。新曲を楽しみにこれだけのファンの方々が集まってくださったというのに、当の本人は箱根で温泉旅行ですか」
せつ菜「え? 箱根にいるんですか??」
栞子「し、知りませんよ。私が知るわけないでしょう」
栞子「曲作りから逃げ、ファンの期待からも逃げ……幼なじみとのイチャラブごっこにうつつを抜かした結果がこれです。せつ菜さん、あなたもさぞかし失望したことでしょう」
せつ菜「いえ! 私は諦めませんよ。先輩な
らきっと新曲を書き上げて戻ってきます。昨日確認したところ一文字も進んでいませんでしたが……それでも先輩なら!」
栞子「可哀想に」クスクス
あなた「お待たせっ!」
歩夢「ごめんね、遅くなっちゃった」
栞子「おや? 歩夢さん、その格好は……」
歩夢「新曲だよ。栞子ちゃんも、見ていってくれるよね?」
あなた「栞子ちゃんのおかげでいい曲が書けました!」
栞子「そ、そんなはずっ……!?」
せつ菜「嘘かどうかは確かめてみてください。私たちのステージで!」
何が栞子ちゃんですか! 様をつけなさいデコ助野郎! \ワーワー! ヒューッ!/
栞子「うぅ……ぐすっ」パチパチ
あなた「よかったよかった! 正直、絶対間に合わないと思ってたから本当によかったよ」パチパチ
栞子「いつの間にか隣にいないでください」キリッ
あなた「本当に感謝してます。私だけだったらファンのみんなをガッカリさせてたと思う……」
栞子「……」
あなた「曲作りに行き詰まったときはまた相談してもいいかな?」
栞子「は? 嫌です。私は暇じゃありませんので」
あなた「そっか……」シュン
せつ菜「先輩っ! 素敵な曲をありがとうございます!! おかげで最高のステージになりました!」
栞子「きゃあっ!!?」
あなた「栞子ちゃんのおかげだよ。せつ菜ちゃん、お礼なら栞子ちゃんに言って」
せつ菜「栞子様、ありがとうございます!」キラキラ
栞子「えぇ!? いえ、私は……」
せつ菜「よかったらこれからも先輩の相談に乗ってあげてください。私からもお願いです」
栞子「はぁ? 図々しいにも程があります。そもそも、新曲を歌ったのは歩夢さんであってあなたは特に何もしていませんよね」
せつ菜「うっ……で、でも既存の曲は歌いましたし、そこそこ盛り上がりましたし……」
栞子「はぁ……。今の持ち歌で満足しているようではこれ以上の成長は望めませんね。ファンの方もガッカリでしょう。優木せつ菜は常に上を目指す姿勢が高評価を得ていたというのに」
せつ菜「……」シュン
あなた「まあまあ」 栞子「あなたもあなたです。なぜ歩夢さんにだけ新曲を提供して、他のメンバーには既存曲しかないのですか? 幼なじみだから贔屓しているんですか? 負け属性のくせに」
歩夢「あぁん?」
栞子「例えばこの優木せつ菜にも新曲を提供した方が盛り上がるのではないですか? しっとりめのバラードは今までの優木せつ菜のイメージとは違いますから、新たな一面を見せつけるという意味でも……」
あなた「そんなに曲作れないよ!!」
栞子「そうでしょうね。だったらなぜ一人で作ろうとするんですか」
あなた「なぜって、私はステージに立たないし、曲を作るくらいしか……」
栞子「私もステージには立ちませんが、こうしてペンライトを振る以外にもできることがあると思っています。例えば新曲のアドバイスとか」
せつ菜「え! 本当に協力してくれるんですか!? 嬉しいです!」ギュッ
栞子「手を握らないで! 離してください!」バッ
せつ菜「すみません。つい」エヘヘ
栞子「と……とにかく! 今回は惜しくもファンからの失望を得られなかったようですので廃部は延期とします。それでは」スタッ
スタスタ
せつ菜「行っちゃいましたね」
あなた「栞子ちゃん……」
せつ菜「それにしても先輩はすごいですよ。新曲、どうやって書き上げたんですか? 昨日こっそり確認したときは一文字も……っと、これは内緒でした」
あなた「何かね、私宛てにファンレターが届いてて。すごく創作意欲を刺激される内容だったの」
せつ菜「どんな内容ですかそれ。気になります、見せてください」
あなた「だっ……ダメだよっ!!//」カァアア
せつ菜「え?」
あなた「とにかくダメ! 今日はお疲れ様! じゃ!!」ダッ
ふぅ……また解散の危機から救ってしまいました、不本意ながら。 栞子様はせつ菜ちゃんガチ勢であってほしい
と同時にせつ菜ちゃんが好きな同好会のことも好きであってほしい
ただし公式ではデレずにいてほしい派(面倒くさいオタク) ■ このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています