【SS】歩夢「もー、あなたってばまたこんなところで寝て!」あなた「」
■ このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています
*
歩夢「ちゃんと布団で寝ないと、風邪ひいたって知らないんだからね!」
あなた「」
歩夢「あ、これ新曲の歌詞かな。誰の歌だろう……?」ペラッ
『歩夢ちゃん大好きの歌』
歩夢「うん……?? なかなか、刺激的な歌詞」
歩夢「燃えるような熱い気持ちが伝わってくる歌詞だね」
歩夢「ふふ、そうだよね。片想いで苦しいのは全部あなたのせい」
歩夢「素敵なラブソングだね! まだ歌い出ししか書かれてないみたいだけど、きっと最後は結ばれるのかな?」
歩夢「……」
歩夢「問題は、どうしてこれが血で書かれてるのかってとこだよね」
歩夢「昔からあなたは情熱的な人だったけど、ちょっとやりすぎじゃないかなぁ……」
歩夢「やっぱり私が側にいてあげなきゃ。あなたには私が必要だよ」
歩夢「絆創膏持ってくるから、ちょっと待っててね」タッ
タッタッ ガチャッ
「あ……」
歩夢「きゃっ!?」
かすみ「あ、歩夢先輩……」
歩夢「かすみちゃん、どうしたの家まで来るなんて」
かすみ「歩夢先輩こそ、どうしてここに?」
歩夢「私は隣だもん。特に理由がなくたって、こっちに来ることもあるよ」
かすみ「……」
歩夢「あ、それよりかすみちゃん。絆創膏持ってない? できれば一枚、いや二枚……三十枚くらい貰えないかな」
かすみ「持ってますけど……」ゴソゴソ
歩夢「すごい! 歩く救急箱だね♪」
かすみ「最近、先輩がよく指をケガしてるので、多めに持ち歩いてるんです」
歩夢「そうなんだ? あの子……私にはそんな話ちっともしてくれないのに」シュン
かすみ「先輩、中にいるんですよね? 失礼します……」スタッ
歩夢「あぁっ、ちょっと待って! 勝手に上がるのはよくないと思う。私が聞いてきてあげるから」スタッ
スタスタ
かすみ「歩夢先輩だって、いつも勝手に上がり込んでるじゃないですかぁ!」プクー
< かすみちゃんが遊びに来たみたいだよ。上がってもらってもいい?
< ……
かすみ「てか、それどころじゃないんですよ。先輩からの特命なんですから」スタッ
スタスタ *
かすみ「お邪魔しますよー?」スタッ
歩夢「……」
かすみ「返事がないので、勝手に上がっちゃいました。歩夢先輩……」
歩夢「かすみちゃん。絆創膏もう一箱持ってる?」
かすみ「え?」
歩夢「一箱じゃ足りそうにないの。もし持ってたら……」
かすみ「持ってますけど……。歩夢先輩、自分で買ってくださいよ」ゴソゴソ
かすみ「はい。何に使うんですか」
歩夢「この子、ケガしてるみたいなの……」
かすみ「先輩が……?」
あなた「」
かすみ「ひぃっ!!?」ガタッ
歩夢「痛そう……」
かすみ「たっ、たたたた大変です!! これ、こここここれ!!!」
かすみ「先輩、息してないじゃないですか!!」 歩夢「うん」
かすみ「え? 何ですかこれ、歩夢先輩がやったんですか??」
歩夢「……そうかも」
かすみ「そうかもって……ど、どういうことなんですか!?」
歩夢「んとね、話すと少し長くなるんだけどいい?」
かすみ「よくないです、先に救急車呼びましょう! 見たところまだ死後半日……」
かすみ「……っ!?」
かすみ「死後!!?」
歩夢「うん……たぶん、そのくらい経ってるかな」
かすみ「……」サーッ(血の気が引く音)
歩夢「たぶん、この子はもう助からないと思うの。だからお願い」
歩夢「もう少しだけ待ってくれないかな? あと少しで、歌詞が出来上がると思うから」
かすみ「な……何言ってんですか歩夢先輩。頭、大丈夫ですか……」
歩夢「ちょっと気が動転してて、状況が飲み込めてないかも。この子がもうこの世にはいなくて、二度と私に笑顔を見せてくれることがないなんて……」
歩夢「……」
歩夢「そんなのっ……」グスッ
かすみ「……」
歩夢「うぅっ……!!」ポロポロ
かすみ「歩夢先輩……」 *
かすみ「ほ、ホットココアです。飲んでください……きっと落ち着きます」コトッ
歩夢「ありがとうかすみちゃん」
かすみ「……」
かすみ「それで、さっき歩夢先輩が言いかけたことって?」
歩夢「あ、うん。かすみちゃんが来るまでの話でいいかな?」
かすみ「はい」
歩夢「私が昨日の夜、カレーを作りすぎちゃってご飯のお裾分けを貰いに来たときのことなんだけどね」
かすみ「はぁ」 ……
歩夢『ごめんね、急にご飯を貰いに来ちゃって』
あなた『大丈夫だよ。今から炊けば一時間くらいでできるから』
歩夢『あっ、何か作業中だった? キッチンを貸してもらえれば自分でやるよ?』
あなた『じゃあ、お願いしてもいいかな』
歩夢『ふふ、任せて。あなたはご飯が炊けるまで作業進めてていいからね』
あなた『……』
歩夢『作曲?』
あなた『ううん。今は作詞……』
歩夢『そうなんだ。どんな歌にするの?』
あなた『えーと、まだ内緒かな』
歩夢『え? 教えてよー』
あなた『完成したら歩夢ちゃんに真っ先に見せるから。だから、もう少しだけ待っててくれる?』
歩夢『……そういうことなら。ご飯が炊けるまで、とは言わず歌が出来上がるまでここで待たせてもらうね』フフッ
あなた『う、うん……』
…… 歩夢「第一部はこんな感じ」
かすみ「いったい第何部まであるんですか」
歩夢「五部くらい? 分かんないけど」
かすみ「……ココア、冷めちゃいますよ」
歩夢「そ、そうだね。せっかくかすみちゃんが入れてくれたんだもん、冷める前に飲まなくちゃ」ズズッ
かすみ「すみません、第五部まで聞いてると取り返しが付かなくなりそうなので先に質問させてください」
歩夢「ん、何?」
かすみ「歩夢先輩がやったんですか?」
歩夢「……何を?」
かすみ「先輩をです」
歩夢「あの子に、私が何を?」
かすみ「何って、見ての通りですよ。先輩、どう見たって死んでるじゃないですか」
歩夢「あの子の死と、私が何かしたかが関係あるのかな?」
かすみ「……」
かすみ「ではもっとストレートにお聞きします。歩夢先輩、どうして先輩を殺したんですか」 歩夢「待ってよ。それじゃまるで、私があの子を殺したみたいに聞こえるよ」
かすみ「そう聞こえましたか、合ってます」
歩夢「え……」
かすみ「実は私、先輩から特命を受けてここに来たんです」
歩夢「特命?」
かすみ「先輩からのメッセージです。見てください」スッ
あなた:かすみちゃん、ちょっといい?
かすみ:はいはい! 何ですかぁーー?? 先輩のお願いだったらかすみん、何だって聞いてあげちゃいますよぉーー!??
歩夢「徹夜明け?」
かすみ「うっさいですね。いいから、続き見てください」 あなた:実は、かすみちゃんにしか頼めないことがあって
かすみ:はい
あなた:歩夢ちゃんを助けてあげてほしいんだ
かすみ:歩夢先輩を? いいですけど……
あなた:歩夢ちゃん、この頃すごく悩んでるみたいなの。いつも思い詰めたような顔してる
あなた:でも、私が聞いても笑ってごまかすだけで教えてくれないんだ……
かすみ:んんー、心当たりがあるといえばあるんですけど
あなた:本当!?
あなた:あ、でも言わなくていいよ。勝手に誰かに話すのは、歩夢ちゃん嫌がるだろうし……
あなた:かすみちゃん一人で解決できそうなことかな?
かすみ:えっと、どうでしょうね……? やるだけやってみたいとは思いますが
あなた:そっか。じゃあ悪いんだけどお願いできるかな? もちろん、私もできることは何でも協力するよ
かすみ:分かりました。先輩が何でもしてくれるって言うなら、かすみんだって何だってしてあげちゃいます!
あなた:ありがとう! かすみちゃんに相談してよかった! 歩夢「……」
かすみ「ということがありまして」
歩夢「酷い! かすみちゃん、あの子とこんな会話してるのを私に見せつけたかったの!?」
かすみ「ち、違いますってば」
歩夢「しかもまだ続いてるみたい……」
あなた:あともう一つだけお願いしてもいいかな?
かすみ:何でも言っちゃってください!
あなた:この歌が完成したら、かすみちゃんに歌ってほしいの
歩夢「んん?」
あなた:たぶん歩夢ちゃんは歌ってくれないと思うから
歩夢「そんなことないと思うよ? 歩夢ちゃんなら何でも歌ってくれるよ。ねぇ?」
あなた:できれば歩夢ちゃんに聞かせてあげてほしい。だってこの歌は……
あなた:私から歩夢ちゃんへの歌なんだ 歩夢「!!?!?」ガタッ
かすみ「ちょっと、最後まで読んでからにしてくださいよ」
あなた:って、こんなことかすみちゃんに頼むのは図々しすぎるよね? 本当なら私が直接伝えられたらそれがいちばんなんだけど
あなた:歩夢ちゃんにはもう、私の声は届かないだろうから……
歩夢「そんなことっ……!!」
あなた:それとかすみちゃん、もう一つだけお願い
かすみ:何ですか
あなた:この話……歩夢ちゃんには内緒にしてね。それじゃまた!
歩夢「……」
かすみ「以上です」スッ
歩夢「どうして私に見せたの? あの子が見せないでって言ったんだよね?」
かすみ「歩夢先輩、私と先輩が二人だけの秘密の会話してたら嫌かと思って」
歩夢「そ、それは確かに嫌だけど。でも、あの子のお願いを無視するなんて」
かすみ「無視なんてしてません。私なりに、よく考えた上で歩夢先輩に見せてるんです」
歩夢「……」
かすみ「もう一度お聞きします。どうして、先輩を殺したんですか?」 *
歩夢「誤解だよ。私は殺してなんかない」
かすみ「でも、歩夢先輩がここに来たとき、まだ先輩は生きてきたんですよね?」
歩夢「うん」
かすみ「そうですよね。だって先輩がこのメッセージをかすみんに送ってるってことは」
かすみ「まだ生きていたってことですもん」
歩夢「……」
かすみ「えっ、違うんですか?」
歩夢「ううん、たぶんそう」
かすみ「……」
歩夢「絶対そうだよ。だって、私もご飯が炊けるまでの間、ずっとあの子が机に向かって作業してるところ見てたもん」
かすみ「……となると、死亡推定時刻は歩夢先輩がご飯を炊き始めてから以降になりますね」
歩夢「そうなるね」
かすみ「その後、誰かこの部屋に入ってきました?」
歩夢「うーん、かすみちゃんが来るまでは誰も」
かすみ「二人とも、この部屋から出ていないんですよね」 歩夢「うん。そうだよ」
かすみ「……」
歩夢「やだ、かすみちゃんもしかして私があの子を殺したとでも言いたいの?」
かすみ「だからそう言ってるじゃないですか!」
歩夢「酷いなあ……。私があの子のこと、大好きだって知ってるよね? 知っててそんなこと言うなんて」
かすみ「歩夢先輩の場合、その『大好き』がちょっと行き過ぎてるときがあるんです」
歩夢「そんなことないよ。大好きだったら大丈夫なんだから」
かすみ「何が大丈夫なんですか」
歩夢「全部」
かすみ「……」
歩夢「全部だよ」 かすみ「ま、そこは置いておくとして。動機は何です? それと、凶器はどこに……」
歩夢「……」
かすみ「あ!! シンクに血のついた包丁が!」
歩夢「えぇっ!?」ガタッ
かすみ「今のは嘘ですよ、歩夢先輩」
歩夢「もう、どうしてそういう嘘つくのかなあ……」ホッ
かすみ「ごめんなさい。誘導尋問的なアレです」
歩夢「笑えない冗談はやめようね。人が一人死んでるんだよ?」
かすみ「ど、どの口がそれを」
歩夢「さてと、歌詞の進捗はどうかな。聞いてくるね」スタッ
スタスタ かすみ「……」
かすみ「凶器は包丁、おそらくキッチンにあった物で間違いなさそうです」スタッ
かすみ「えっと、包丁、包丁……」ガラッ
かすみ「……一本足りない」
かすみ「凶器はここにあった出刃包丁。だとしたら今はどこに……??」
かすみ「歩夢先輩がこの部屋から出ていないたいうのが嘘でなければ、まだこの部屋のどこかにあるはず」
かすみ「まずはそれを見つけて……」
かすみ「いや。窓から投げ捨てたとか、そういう可能性もありますよね。あらゆる可能性を考慮しないと」
かすみ「もちろん、歩夢先輩が嘘をついているという可能性もです」
かすみ「……」
< かすみちゃん? あれ、どこ行ったんだろう……
かすみ「あ、キッチンです! 今戻りますよ」スタッ *
歩夢「キッチンで何してたの?」
かすみ「ココアのお代わりを飲もうかと」
歩夢「そうなんだ、かすみちゃんは本当にココアが好きなんだね」フフッ
かすみ「はい。かすみん、先輩の入れてくれるココアが……」
かすみ「……大好きでした」グスッ
歩夢「わわっ、どうしたの? 飴、舐める?」
かすみ「うぅ……いらないですよぅ」ゴシゴシ
歩夢「そう……」
かすみ「っと、泣いてる場合じゃないですよね。歩夢先輩、お話の続きをどうぞ」
歩夢「第二部だね?」
かすみ「はい。そのまま第三部、第四部までお願いします」
歩夢「うん、分かった。最近はしずくちゃんに人を惹きつける話し方を教わってるんだ」
歩夢「これは、幼なじみの少女二人が共に暮らすアパートでの出来事です……」 *
かすみ「歩夢先輩が自分語りに夢中になっている間に凶器を見つけましょう。まずはどこを探しましょうか?」
かすみ「凶器は血の滴る包丁なので、隠してあっても目立つはずです」
かすみ「人間の心理として、何か仕切りのある向こう側に隠したくなるものですよね。例えばトイレとか、押し入れとか、ベランダの……エアコンの室外機の裏とか」
かすみ「靴箱とかもあり得ます。逃げるとき持ち出しやすいですからね」
かすみ「さて、まずは……」 *
歩夢「……と、ここまでが第二部かな。第三部の前にちょっとだけトイレ休憩にしよっか?」
歩夢「あれ? かすみちゃんがいない」
歩夢「私の話、面白くなかったのかな……」シュン
歩夢「しずくちゃんみたいに人を惹きつける話し方は、もう少し練習が必要だね」
歩夢「トイレ行こうっと♪」スタッ *
歩夢「……」コンコンッ
< ……
歩夢「って、誰もいないよね。あの子はリビングで寝てるんだし……」ガチャッ
かすみ「あっ……」
バタンッ!
歩夢「ご、ごごごめん!! かすみちゃん、入ってたなら言ってよ!」
< すみません、トイレに行きたくなってしまいまして
歩夢「そ、そうなんだ? てっきり私の話が退屈すぎて帰っちゃったのかなーなんて」
< いえ。あまりにも歩夢先輩がトークに夢中なので、流れをぶった切るのも申し訳ないかなと
歩夢「そう? うーん、かすみちゃん変わってるね」
< あはは……
歩夢「じゃあ、ここで第三部に入らせてもらってもいいかな? 第三部はそんなに長くないから、かすみちゃんでも飽きずに聞いてくれると思う」
< あっ、はい……
歩夢「昔々あるところに、とても優しくてカッコよくて素敵な女の子と、少し引っ込み思案だけどあの子が大好きな幼なじみがいました……」
< …… *
かすみ「って、歩夢先輩また自分の世界に入り込んじゃいましたね」アハハ
かすみ「トイレの中を探しましたけど、特に目につくようなところはありませんでしたし」
かすみ「汚物入れの中やタンクの中も見ましたけど特に何も……」
かすみ「トイレではなさそうですね」
かすみ「上の方に小窓があるのでそこから投げ捨てることも不可能ではありませんが」
かすみ「んん、ここから投げ捨てるには便座ふたの上に立つ必要がありますし」
かすみ「やってみますか」パタン
かすみ「よいしょっと」グイ
ギシ……
かすみ「うわっ、意外と立ちにくいですね」
かすみ「窓を開けて……いや、その必要はなさそうかも」
かすみ「先輩、ここまでは掃除してないみたい。ホコリが溜まっています」
かすみ「つまり、ここは開けていない……?」
バキッ!
かすみ「きゃっ!?」
ドシーン! かすみ「痛っ! もう、何なんですか! 失礼ですよ!」
便座ふた『』ボロボロ
かすみ「あーあ、割っちゃいました」
かすみ「かすみんの体重ですら割れちゃうんですから、歩夢先輩が乗ったらひとたまりもなさそうですね」
かすみ「これ以上トイレでやることはなさそうです。出ましょう……」コンコンッ
< 幼なじみの女の子は言いました。えっ? 本当に虹ヶ咲学園に行くの?
かすみ「開けますよー」ガチャ
かすみ「ん……?」
ガチャッガチャッ
かすみ「ちょ、歩夢先輩開けてくださいってば」ドンドン
< うん。虹ヶ咲学園なら私のやりたいことが見つかりそうだし……
< そうなんだ。それなら私も応援するね!
かすみ「……いや、マジですか」
かすみ「ちょっとこれ、歩夢先輩の話が終わるまで出られないパターン?」
かすみ「第三部は短いって言ってましたけど、この様子だとどこまでが第三部なんでしょう」
かすみ「スクールアイドル同好会に入る辺りまでかな……??」
かすみ「うぅ……」 *
かすみ「……」コクッコクッ
< 初めてのイベントは大成功! 入賞はできなかったけど……とてもいい経験になりました
かすみ「んぁ……? あれ、かすみん寝ちゃってました?」
< 歩夢ちゃんすごいよ! やっぱり私の見込んだ通りだった!
< そうかな? えへへ、あなたにそう言ってもらえると嬉しい……
< ううん、私の想像以上だったよ! 歩夢ちゃんなら、歩夢ちゃんなら絶対素敵なスクールアイドルになれるよ!!
かすみ「私の想像以上に長いみたいですね、第三部……」ハァ
かすみ「あの、歩夢先輩そろそろ出してくれませんかー?」トントン
< その日の夜、私はあの子を呼び出したの。人気のない公園、ビルの夜景が綺麗な公園……
< 歩夢ちゃん。こんなところに呼び出して……どうしたの?
< うん。あなたにどうしても聞いてほしい話があるの……
かすみ「聞きたくないんですけど!? かすみん、その話だけは絶対聞きたくないです! 泣いちゃいますーー!!」 < あのね? 私、ずっとあなたのことが……
かすみ「わー! わーー!! 聞こえない聞こえない!!」
< 待って歩夢ちゃん。私から言わせて
< えっ……?
かすみ「新手の拷問ですか!!? ねぇ!! かすみんをトイレに監禁して、ありもしない自作の恋バナを聞かせるなんて酷すぎます!!」
< ……
かすみ「はっ!? も、もしかしてかすみん……」
かすみ「歩夢先輩に監禁されてます??」 *
かすみ「……」
かすみ「あれからどれだけの時間が経ったんでしょうか……」
かすみ「かすみんの声は枯れ果て、涙はトイレを大洪水にしてしまいました」
かすみ「歩夢先輩は、まだこのドアの向こうで話し続けているみたいです」
かすみ「先輩……」
かすみ「かすみん、もうすぐまた先輩と会えますね……」
ガチャッ
歩夢「トイレ終わった?」
かすみ「……」
歩夢「かすみちゃん、顔色悪いよ? 救急車呼ぶ?」
かすみ「歩夢先輩……」
歩夢「水飲む?」 かすみ「いったい何が目的なんですか……?」
歩夢「え?」
かすみ「かすみんを監禁なんてして、どうしたいんですか!? もしかして殺すんですか!?」ガシッ
歩夢「ちょっと、かすみちゃん何言ってるの? 大丈夫??」
かすみ「うわーん! 嫌ですよぅ! 先輩に再会できるのは嬉しいですけど、かすみんまだやり残したことたくさんありますし!」グスッ
かすみ「歩夢先輩だってそうです! 先輩がこんなこと望んでるわけないじゃないですかぁ!!」
歩夢「うーん……」
かすみ「お願いです、目を覚ましてください! かすみんも一緒に警察に行ってあげますから! ねっ??」
歩夢「かすみちゃん、ちょっと疲れてるみたい……」
かすみ「誰のせいだと思ってんですかぁ……」 *
歩夢「そうなんだ。かすみちゃん、トイレで探し物をしてたんだね」
かすみ「はい。それなのに、歩夢先輩が出してくれないから……」
歩夢「ごめんね? 私ったらまた話に夢中になっちゃって」エヘヘ
かすみ「本当ですよもう……。かすみん、歩夢先輩に監禁されたかと思いました」
歩夢「換金だなんてそんな。かすみちゃん、人身売買は違法だよ」
かすみ「殺人も違法ですよ!!」
歩夢「あ、そうだね。まだあの子が亡くなった理由、分かってないんだよね……」
かすみ「そうですよ。歩夢先輩がちっとも話してくれないから、事件の真相がまだ闇の中なんです」
歩夢「うん……」
かすみ「そろそろ話してもらえませんか? かすみん、歩夢先輩のことは信じてますし、何かのっぴきならない理由があったとは思ってますけど……」
かすみ「このままだと、歩夢先輩のことをかばってあげられなくなっちゃいますよ」
歩夢「私を、かばう?」
かすみ「はい。だって先輩からも言われたんですもん。歩夢先輩を助けてあげてほしいって」 歩夢「……」
かすみ「お願いです。正直に、全てを話してください」
かすみ「あっ、生い立ちから話す必要はないですからね。かすみんが質問をするので、それに答えてくれればいいです」
歩夢「分かった……」
かすみ「では改めて……。包丁はどこに置きましたか?」
歩夢「……」
かすみ「キッチンにあった、出刃包丁です。先輩の血がついた、包丁をどこへ……」
歩夢「かすみちゃん」
かすみ「はい」
歩夢「どんなことがあっても、私の味方でいてくれる?」
かすみ「はい?」
歩夢「この先どんなことが起きても、私のこと助けてくれる?」
かすみ「えっと、ま、まずはかすみんの質問に答えてくださいよ」
歩夢「お願い、約束して……」グスッ
かすみ「ん……、そうですね。歩夢先輩が正直に話してくれるなら、かすみんは力になります」
歩夢「本当!? 裏切ったりしない?」
かすみ「しませんよ。だって、先輩のお願いですもん……」 歩夢「えへへ、嬉しいな」ニコニコ
かすみ「でも、これだけは断っておきます。かすみんの口から嘘を言わせることだけはやめてくださいね」
歩夢「ん?」
かすみ「法廷で嘘の証言をさせたり、まあそんなことです」
歩夢「……どうしても?」
かすみ「えぇ!? かすみん、歩夢先輩の代わりに罪を被って処刑台とか嫌ですからね!?」
歩夢「そ、それはないよ! そんなこと、あの子が聞いたら怒るに決まってるもん」
かすみ「あの、先輩が怒るとか怒らないとかじゃなくてですね……」
歩夢「あの子を裏切るようなこと、私がすると思う?」
かすみ「えっ、いや……殺してる時点で、その」
歩夢「私は、あの子のことが大好きなんだよ。あの子の幸せのためなら、何だってする」
歩夢「だから、あの子がかすみちゃんを信じるなら、私も信じるよ」
かすみ「……」
歩夢「かすみちゃんはどう? 私のこと、信じてくれるかな」 かすみ「私は……」
歩夢「できそう?」
かすみ「先輩が言ったから、とかじゃなくてですね」
歩夢「ん?」
かすみ「かすみんだって先輩のことは大好きですけど? でも、同じくらいに歩夢先輩のことだって大好きです」
歩夢「っ……」
かすみ「だから、これは先輩にお願いされたからじゃなくて」
かすみ「かすみんの意思で、歩夢先輩を信じます」
かすみ「歩夢先輩が真実を語ってくれるなら、かすみんは信じますし」
かすみ「法廷で証言だってします。もちろん、弁護人にだってなりますよ……法律は詳しくないですけど」
歩夢「……」 かすみ「さすがに無条件でというわけにはいきません。でも、それは歩夢先輩を信じられないからじゃない」
かすみ「歩夢先輩も、先輩も……同じくらいかすみんは大好きだから」
かすみ「二人のどちらかを裏切るようなことはできません」
かすみ「それでもよかったら、かすみんは歩夢先輩の力になりますよ」
歩夢「かすみちゃん……」
かすみ「今のは嘘偽りのない、かすみんの本心です。信じてもらえるかどうかは、日頃の行ない次第といった感じでしょうか……」
歩夢「そこまで言ってくれるなんて、本当に嬉しい……」ジーン
歩夢「私もかすみちゃんのこと信じてる。この先何があっても、それだけは約束するね」
かすみ「ありがとうございます」
歩夢「ふふっ」 *
では、歩夢先輩に三つ質問です。
Q1:
歩夢先輩はなぜ先輩を殺したのでしょうか?
Q2:
凶器の包丁はどこにあるのでしょうか?
Q3:
この結末を回避するために、先輩ができることはありましたか?
以上です。
お付き合いいただきありがとうございました。 答えはあってないようなものなので深く考えないでください
何となくこの結末を迎えそうなエピソードを自由に想像していただければ
三つの質問がそのヒントになればと思います
今夜また「回答」を貼ります
解答ではありませんのでご了承を ⁉︎
作中の記述と矛盾しなければ答えはいくつもあるってこと? >>1はさ、自分の書いたssを考察して欲しかったんだよな?
でも違うんだよ。お前のやり方は間違ってるんだよ。
考察ってのはな、読み手がやりたいからするんだよ。
面白いなー!はやく答えが知りたいなー!考察しよう!ってなるのが真の良スレなんだよ。
はい話はここまで!なんでこうなったでしょーか?wは失策でしかない。話もつまんねぇしゴミスレ。 回答編はこれと同じくらいの分量で
こうなる前のエピソードです
答えはいくつかあると思いますので
そこを自由に想像してほしいんです
それだけです 結構読み応えあった
狂気的だけど面白かったよ
回答編期待してる あなたちゃんがよく指をケガしてるってのも伏線なんだろうけど分からん 考察ではなく想像してほしい
残念でした外れですをしたいわけではなく
読んだ後「まあこんな前置きがあればこうなるかもな」って思ってもらえればそれでいいです
うまく伝えられずにすみませんが Q1:
歩夢先輩はなぜ先輩を殺したのでしょうか?
→振られたから
Q2:
凶器の包丁はどこにあるのでしょうか?
→あなたちゃんの体内
Q3:
この結末を回避するために、先輩ができることはありましたか?
→歩夢の恋人になる 猟奇的っぽい風感があるだけ
新しいかというと歩夢の猟奇殺人鬼っぽい、監禁魔っぽい、ヤンデレとかいうもうありきたりなうえに不愉快なキャラ改変なぞってるだけっていうのが浅いなあっていう
言い訳つらつら並べてるのも嫌悪感MAX https://i.imgur.com/oSeDoIk.jpg
歩夢「どうして……? どうして私以外の女の子の話をするの?」
あなた「あ、歩夢ちゃん?」
歩夢「分かってるよ。あなたは悪くないよね。悪いのは……他の女の子を見ちゃう、あなたの目だよね」
あなた「ちょっ、何そのナイフ……」
歩夢「大丈夫だよ。ずっと私がそばにいるから、目くらい無くたって平気だよ」
あなた「歩夢ちゃん……ウソでしょ……」
歩夢「あなたが最後に見る景色が、私の顔でよかった」ザクッ
あなた「歩夢ちゃん!?」ガバッ
あなた「あ……夢か」
──
────
──────
歩夢「おはよう! どうしたの? 元気ないけど」
あなた「ああ、うん」
歩夢「あ、そういえばね……」
https://i.imgur.com/gktg35j.png
あなた「えっ……!?」 結果の部分作ったからみんな各々繋がるストーリー考えようぜ、って感じなんじゃないかな?
フーダニット、ハウダニットは埋めたからホワイダニットの部分の想像を楽しむ的な >>55
それに付き合うには100点中60点の魅力が必要で
ある程度盛り上がるには70点の魅力が必要だが
こいつの書いた字の並びは0点だから無理
どうせクソだし 回答次第ではあるけど、折角だから考えてみようと思うが そういうのいらないんだよ…
どうせひぐらしみたいに推理できる情報とかないんだし
キャラも動機も公式じゃない二次創作だから心情も分からない ウミガメのスープなら読者の答えにyes/noを出さないとフェアじゃないよ。推理物としてもフェアじゃないね。だって証拠も断定できる死因も無いんだもの。その辺のおっさんが刺した。あなたが切腹した。歩夢に別人格がいた。なんでもいいじゃん。 まぁ>>42の言う通りどけど
質問しといて「以上です」
答えはあってないようなもの(ドヤッ
解答ではなく回答(ニチャア
ここらへん見る限りただちょっと足りないだけで悪気があったわけじゃ無さそう
でもボロが出るからもうSSに関すること以外のレスは控えたほうがSSの完成度は上がると思う Q1:
歩夢先輩はなぜ先輩を殺したのでしょうか?
→歌を完成させるために
Q2:
凶器の包丁はどこにあるのでしょうか?
→キッチンのどこか
Q3:
この結末を回避するために、先輩ができることはありましたか?
→告白しない
少なくとも包丁は明確な答えありそうだけど分かりゃん
何回か読み直したけど歩夢がサイコ過ぎるというケツ論に達した すまんけど寝るから保守がわりに予想でも書いておいてとか言っとけば…… かすみんの反応がおかしすぎて感情移入できないんだが?
ぽむはまぁヤンデレでおかしくなってるって感じで納得できるけどかすみんはなんでそんな冷静に探偵ごっこできるんだよ
人しんでんでんで!?
そこまで何かちゃんとした理由があるんか? **
一週間前
放課後 同好会部室
ガチャッ
あなた「かすみちゃん? 私に用事って……」
かすみ「先輩、来てくれてありがとうございます」
あなた「ううん。大丈夫だよ」
かすみ「一人で来てくれましたか?」
あなた「もちろん。誰にも跡はつけられてないはずだよ」
かすみ「……歩夢先輩にも?」
あなた「あはは。うん、歩夢ちゃんは日直の仕事があるから」
かすみ「では手短にお話ししますね」
かすみ「先輩、私とお付き合いしていただけませんか?」
あなた「ん? えっと……」
かすみ「私と、付き合ってほしいんです。先輩」
あなた「そ、それって」
かすみ「かすみん、先輩のこと……初めて会ったときからずっと好きでした」
あなた「……」
かすみ「いつこの気持ちを伝えるべきか、ずっと悩んでいました。でも、答えは出なくて……」
かすみ「だから、今言うことにしました。返事は今じゃなくても結構です。それじゃ」タッ
あなた「待って!」ガシッ
かすみ「きゃっ!?」
あなた「かすみちゃん、実はね……」 *
かすみ「そんな……」
かすみ「先輩と歩夢先輩が付き合っていただなんて」
あなた「ごめんなさい。みんなにもそのうち言おうとは思ってたの」
あなた「でも、なかなか言い出すタイミングがなくて……」
かすみ「……」
あなた「あの、本当にごめんなさい……」ペコリ
かすみ「や、やだなぁ先輩ったら! 謝らないでくださいよ。先輩のこと、勝手に好きになったかすみんが悪いんですから」
かすみ「悔しいですけど、歩夢先輩なら仕方ないかなって感じです。とってもいい人ですし……」
かすみ「……」
あなた「本当にごめんね、かすみちゃん」
かすみ「やめてくださいよ。それじゃかすみん、本当にバカみたいじゃないですか」
かすみ「片想いの相手が誰かと付き合ってて、知らずに告白して……フラれたんですよ。その上謝られたら、もう」
かすみ「かすみん、恥ずかしすぎて消えたくなっちゃいますよ……」グスッ
あなた「かすみちゃんの気持ち、すごく嬉しいよ。私もかすみちゃんのこと、とってもいい子だなって思ってたし、その……」
かすみ「やめてくださいったら!! これ以上、かすみんの心に塩を塗るようなことしないでください!」 あなた「ごめん、そんなつもりじゃ」
かすみ「こ、この話はなかったことに! いいですね!? 先輩は何も聞かなかった!」
あなた「でもっ……!」
かすみ「先輩の話も聞かなかったことにしてあげます! みんなには、まだ内緒にしておいてほしいんですよね!?」
あなた「う、うん」
かすみ「交渉成立ですね。それじゃ、また!」タッ
あなた「かすみちゃん!!」
かすみ「……何ですか?」
あなた「……」
かすみ「早くしないと、みんなが来ちゃいますよ」
あなた「来週のイベント、かすみちゃんなら絶対優勝できるよ。私が保証する!」
かすみ「えっ……」
あなた「私、かすみちゃんが陰でたくさん努力してること知ってるから」
かすみ「そんなの、みんな同じですよ。見えないようにこそこそと努力してるんです」
あなた「ううん。かすみちゃんなら、私はかすみちゃんに優勝してほしい!」 かすみ「っ……!」
あなた「私、かすみちゃんが理想のアイドルになるお手伝いができたら、それだけで本当に幸せだから……」
かすみ「本当ですか、それは嬉しいです」
あなた「私、嘘なんてつかないよ!」
かすみ「先輩にそう言って貰えるなんて、かすみん幸せすぎて死んじゃいます……」グスッ
あなた「だって私、かすみちゃんのいちばんのファンだよ? これからも、ずっと側で応援させてくれたらなって」
かすみ「えと、それは一人のファンとしてですか?」
あなた「うーん、そうなんだけど、それだけじゃ嫌っていうか」
かすみ「ファン以上の存在になりたいと、そういうことですか!?」
あなた「この先も一緒に歩んでいきたいって感じ? ファンもそうなんだけど、それ以上にかすみちゃんのことは大切で……その」
かすみ「い、意味分かんないですし!! 何のことかさっぱりですねぇ!?」
あなた「だから、かすみちゃんのいちばん近くにいられたら最高に嬉しいなって思ってるよ」ニコニコ
かすみ「あーっ、この前差し上げたパンですか!? あれかすみんの自信作なんですよぉ……???」アハハ
ガチャ 歩夢「ごめんね、遅くなっちゃった!」
あなた「!?」ビクッ
かすみ「どうでしたか? 少しだけいつもより長めに寝かせてみたんですけど」
あなた「え、えっと……」
歩夢「何の話?」
かすみ「ほら、歩夢先輩にもあげたパンの話です。どうでした?」
歩夢「あっ、うん! いつもより香りが立つというか、とっても美味しかったよー!」
あなた「うんうん! 美味しかったよね!」
アハハ…… *
数日後 イベント前日
かすみ「はぁ……」
歩夢「かすみちゃん、最近ため息多いね? やっぱり明日のイベントが不安?」
かすみ「あっ、歩夢先輩。いえ、そんなことは」
歩夢「そう? 結構深刻に見えるけど」
かすみ「かすみんもせつ菜先輩やしず子と同じで、逆境に燃えるタイプですから。このくらいのプレッシャーはむしろ興奮します」
歩夢「こ、興奮しちゃうんだね……」アハハ
かすみ「あっ、変な意味ではありませんよ!? アイドルとして、みんなに認めてもらうためのチャンスですもん。やるぞーっ! って感じですよ!」
歩夢「分かってるよ。うん、かすみちゃんはすごいな……」
かすみ「イベントはもう、今まで積み重ねてきたものを発揮するだけです。不安なんて、ちょっとしかありません」
かすみ「それより……」
歩夢「それより……?」
かすみ「……」ハァ
歩夢「私でよかったら聞くよ?」
かすみ「……」
歩夢「無理にとは言わないよ。でも、もし話せそうなら、人に話すだけでも楽になるかもしれないし……」
かすみ「そうですよね。実はかすみんから溢れ出す可愛さについてなんですけど……」 *
歩夢「んんー……」
かすみ「どう思います? かすみん、可愛すぎ罪で捕まっちゃいますかね?」
歩夢「どうだろ?」アハハ
かすみ「笑いごとじゃないですよー! 本当に困ってるんですから」
歩夢「かすみちゃんはアイドルなんだから、可愛すぎて困ることなんてないんじゃないかな?」
かすみ「それが、そうでもないんですよ……」
歩夢「もしかして、ファンの子に言い寄られたり?」
かすみ「なっ、まあかすみんならそのくらいあり得ますけど、違います」
歩夢「そっかあ、もし困ってたら相談してね。私も……私はないと思うけど、もしあったら相談するよ」
かすみ「……」
歩夢「なんてね」フフッ
かすみ「歩夢先輩はないでしょうね。間違いなく」
歩夢「むっ、酷い! かすみちゃん、どうしてそんなこと言うの」プクー
かすみ「だって歩夢先輩……」 *
かすみ「先輩と付き合ってるんですよね?」
歩夢「え」
かすみ「誰が見たってそう見えますよ。だからファンの人が歩夢先輩に言い寄ることなんてあり得ません」
歩夢「……」
かすみ「違うんですか?」
歩夢「誰から聞いたの、それ……」
かすみ「えっ? かすみんの直感です。根拠はありませんけど、十中八九、いえ百発百中そうですよね?」
歩夢「……」
かすみ「違うなら違うって否定してくださいよ」
歩夢「え、えっと、その……」
かすみ「でも、かすみんから見てもお二人はお似合いだと思いますけど?」
歩夢「そうかな? えへへ……嬉しい」
かすみ「もしまだ違うなら、早いとこ告白して付き合っちゃってください。そしてさっさとみんなに公表してくださいよ」
歩夢「ど、どうして?」
かすみ「あのですねぇ、これ以上哀れな被害者が出ないようにですよ。そのくらい分かるでしょう?」 歩夢「哀れな被害者……?」
かすみ「マジで言ってんですか?」
歩夢「何の話? かすみちゃんが言ってること、ちっとも分かんないよ……」
かすみ「……」
かすみ「じゃあはっきり言いますよ。私、先輩のことが好きです。明日告白しようと思ってます」
歩夢「えっ!?」
かすみ「でも、かすみんだって女の子です。恥はかきたくありません」
かすみ「もし歩夢先輩が先輩と付き合ってるなら、無駄死にすることないじゃないですか」
歩夢「……」
かすみ「明日のイベントが終わったら、先輩を会場近くの公園に呼び出します。うまくいけば、かすみんと先輩は晴れて恋人になれます」
かすみ「でも失敗したらかすみんは笑い者ですよ」
歩夢「笑い者だなんて、誰もそんなことしないよ」
かすみ「もし歩夢先輩に少しでも良心があるのなら、ここではっきり言ってください」
かすみ「歩夢先輩は、先輩と付き合ってるんですよね??」
歩夢「……わ、私は」 *
翌日 イベント後
公園
かすみ「……」キョロキョロ
「あ! かすみちゃんこっち!」
かすみ「先輩っ! どうでしたか、かすみんのステージは!?」タッタッ
あなた「最高だったよ! 優勝おめでとう!」パチパチ
かすみ「当然です! かすみんがどれだけ努力したと思ってるんですか」ドヤァ
あなた「本当にかすみちゃんは頑張ったよ。まさか本当に優勝しちゃうなんてなぁ……」エヘヘ
かすみ「んん? 先輩、かすみんが優勝するって思ってなかったんですか??」
あなた「えっ、思ってたよ。この前言った通り、かすみちゃんなら絶対優勝できるって」
かすみ「……あっ、ふーん??」
あなた「?」
かすみ「ガッカリしました。先輩は最低です」
あなた「えっ? 何で??」
かすみ「先輩のことだから、かすみん以外にも全員に言ってたんでしょう?」
あなた「ぎくっ!?」 かすみ「その顔は言ってたんですね!?」
あなた「そ、それは……」
かすみ「……はぁ。分かってましたよ、先輩はみんなの部長ですもん」
かすみ「きっとかすみん以外の誰が優勝しても、優勝した子をここに呼び出したんでしょうね」
あなた「それは違うよ!」
かすみ「見えすいた嘘はいいですから。あ、でも先輩には感謝していますよ。あそこでああ言ってくれたから、かすみんは落ち込むことなく頑張れたんですし」
あなた「……」
かすみ「先輩、かすみんをフったこと後悔してます?」
あなた「へっ?」
かすみ「この先、かすみんが超有名スーパーアイドルになったとき、彼女面できたんですよ? そのチャンスをみすみす逃したんです」
あなた「えっと……」
かすみ「って、ちょっと意地悪でしたかね。いいんです。先輩はこれからも、アイドルかすみんのいちばんのファンでいてください」
かすみ「例え恋人じゃなくたって、かすみんはいいんです」
かすみ「すぐ側に先輩がいてくれるなら、それだけできっと頑張れますから」
かすみ「……」グスッ あなた「泣いてるの?」
かすみ「誰が泣かせてると思ってんですか……」ゴシゴシ
あなた「私かな」
かすみ「そうですよ! 絶対後悔しますからね!! もう遅いんですからね!」
あなた「……」
かすみ「何ですか。やっぱりかすみんと付き合う気になりました?」
あなた「ううん。でも……」
かすみ「『ううん』!!? そんな! そんな酷いことよく言えますね!? かすみん、先輩の人間性を疑います!」
あなた「今日のかすみちゃん、すっごく輝いてたよ。たぶん、客席のみんなを恋に落としちゃうくらい」
かすみ「と、当然ですよっ! 明日からラブレターがわんさか届きますから、先輩も返事を書くの手伝ってもらいますからね!」
あなた「うん。楽しみにしてる」ニコニコ
かすみ「っ……」
あなた「本当におめでとう。最高のステージだったよ」パチパチ
かすみ「ふん……」タッ
タッタッ
歩夢「……」 *
夜 公園
あなた「うぅっ、夜は冷えるなあ……」ブルッ
「これあげる」スッ
あなた「きゃああっ!?」ビクッ
歩夢「わっ!? 急に大きな声出さないでよ、びっくりした……」ホッ
あなた「急に背後に立たないでよ、びっくりするよ……」ハァ
歩夢「はい、ココア」スッ
あなた「ありがと。熱っ……」
歩夢「そこの自動販売機で買ったんだよ? 私のこと気付いてるかと思った」
あなた「ごめん、ちょっと考えごとしてて」プシュッ
歩夢「かすみちゃんのこと?」
あなた「」ツルッ
バシャー!
あなた「あっつ!! 熱い!」
歩夢「もー! 何やってるの!? 大変、火傷しちゃう!」
あなた「あちち……」フキフキ
歩夢「本当にあなたって隠し事が下手だよね」
あなた「え……?」フキフキ
歩夢「そういうところも可愛いんだけど」フフッ
あなた「ありがと……」 歩夢「イベントの後、ここで誰かと会ってなかった?」
あなた「んと……ううん」
歩夢「嘘」
あなた「嘘じゃないよ」
歩夢「どうして……? かすみちゃんには本音が言えるのに、どうして私には嘘をつくの?」
あなた「っ……」
歩夢「見てたんだよ、全部」
あなた「……」
歩夢「かすみちゃんから告白されたんだってね」
あなた「……」
歩夢「どうして断ったの? かすみちゃん、とってもいい子だし……あなたのこと大好きなのに」
あなた「し、知らないよ。何の話?」
歩夢「ねぇ……。お願いだからそんな嘘つかないで」
あなた「……」
歩夢「他に好きな人がいるの?」
あなた「……」
歩夢「それとも、かすみちゃんは嫌い? タイプじゃない?」
あなた「そっ……そんなことないよ!」
歩夢「……。どうしてそこだけ強く否定するんだろう。傷つくなぁ」シュン
あなた「あっ……今のは、だって、かすみちゃんのこと嫌いだなんて聞くから」
歩夢「ねぇ、覚えてる……? 昔、この公園で遊んだときのこと」 ……
あゆむ『うぅ……しもやけがいたいよ』ジンジン
あなた『はい、あゆむちゃん。ココアだよ』スッ
あゆむ『わっ、くれるの?』
あなた『うん! あ、でもすぐのんじゃだめだよ。そのまえに……』
あゆむ『ぷはぁ』
あなた『あーっ!! なんでのんじゃうの!』
あゆむ『えっ? でも、くれるって……』
あなた『うぅ……』グスッ
あゆむ『くれるっていったよね?』
あなた『いったけどぉ……』
あゆむ『??』
あなた『あゆむちゃんのあほ! しらない!』タッ
タッタッ……
あゆむ『えぇ……』
…… 歩夢「ってことがあったよね」フフッ
あなた「そんな酷いこと言ったんだ私……」
歩夢「そのときは私もムカっときたんだけどね、お母さんに話したら違ったの」
歩夢「私の手がしもやけで冷たかったのを気にしてココアを買ってくれたんだよね?」
歩夢「それなのに私ったら……」
あなた「何かごめんね、昔から私そういうところあるみたいで」
歩夢「そうだよ、いつもあなたはそう。私の気持ちなんてちっとも知らないでそういうことするんだもん」
あなた「?」
歩夢「あー、しもやけで指が痛いなぁ。カイロ持ってくればよかったかも……」
あなた「えっ、春だよ? 夜でちょっと寒いけど、しもやけには……」
歩夢「……」ジッ
あなた「あ、そういうことですか」
歩夢「そういうことです」
あなた「分かった、すぐ買ってくるね」タッ
タッタッ……
歩夢「はぁ……。本当にもう」
< 歩夢ちゃーん!
歩夢「何ー??」
< ココア売り切れー!
歩夢「タイミング悪いなぁ……」 *
あなた「ごめんね冷たい飲み物で。コーヒーよりいいでしょ?」
歩夢「えぇ!? コーヒーの方がましだよ!」
あなた「どうして? 歩夢ちゃん、コーヒー好きだっけ?」
歩夢「私、泣きそう……」グスッ
あなた「あはは、嘘だよ。ほら、温かいお茶」スッ
ギュッ
あなた「えっ? 歩夢ちゃん……」
「ありがとう」
あなた「ううん。だって、コーヒーよりお茶の方がいいでしょ?」
「……そうだね」フフッ
あなた「……」
「あなたにどうしても聞いてほしい話があるの」
あなた「……うん」
「あのね? 私、ずっとあなたのことが……」
あなた「待って歩夢ちゃん。私から言わせて」
「えっ……?」 *
翌日
放課後 部室
コンコンッ
ガチャ
かすみ「失礼しまーす……」スタッ
歩夢「待ってたよ」
かすみ「歩夢先輩」
歩夢「ごめんね、呼び出したりなんかして」
かすみ「いえ」
歩夢「かすみちゃんにどうしても聞いてほしいことがあって」
かすみ「……何ですか?」
歩夢「私……あの子と付き合うことになったの」
かすみ「っ……」
かすみ「よかったじゃないですか。お似合いですよ」
歩夢「明日、みんなに公表するつもり。でも、かすみちゃんには先に伝えておきたくて」
かすみ「どうして私にだけ?」
歩夢「かすみちゃん、あの子のこと好きだったみたいだから」 かすみ「っ……」ビクッ
歩夢「みんなの前でいきなり聞かされるよりは、心の準備とか色々あるかなって……」
かすみ「いりませんよ、そんな気遣い」
歩夢「そうかな……」
かすみ「それともアレですか? 勝者の余裕的な?」
歩夢「あっ、違うよ? そういうんじゃないの」
かすみ「じゃあ死体蹴りですか」
歩夢「そっ、そんな言い方ないと思うな。私だって……」
かすみ「よかったですね。先輩とお付き合いできて。おめでとうございます」
歩夢「……」
かすみ「話はそれだけですか? かすみんは忙しいので帰りますけど」スタッ
歩夢「待ってよ。まだ、話は終わってない」 *
かすみ「これ以上、何の話があるってんですか。かすみんを笑い者にしたいだけなら……」
歩夢「かすみちゃんに謝りたいの」
かすみ「何をです。先輩を取ったこと? それとも先輩を取れるって分かっててかすみんを無駄死にさせたことですか??」
歩夢「だ、だからっ……そんな言い方、ないよ」
かすみ「歩夢先輩が何を言おうと、かすみんからしたら嫌味にしか聞こえません」
かすみ「それでも言いたいってんなら勝手に話してください。かすみんは死体なので大人しく蹴られましょう」ゴロンッ
歩夢「……」
かすみ「ほら、脇腹でもどこでも蹴ってくださいよ。あ、でも顔はやめてくださいね。これでも未来のスーパーアイドルなので」
歩夢「どうして……」グスッ
かすみ「泣くんですか!? 歩夢先輩が泣くんですかっ!!?」
かすみ「泣きたいのはこっちですよ!! こっちは先輩にフラれて、二回もフラれて、歩夢先輩からこんな仕打ちを受けてるんです!」バンッ!
歩夢「っ!?」ビクッ
かすみ「それなのにかすみんを差し置いて泣くなんて、そんなの……絶対許しませんよ!!」
歩夢「かすみちゃんごめんなさい……! 私、そんなつもりで……!!」ポロポロ
かすみ「っ……」 *
歩夢「ごめんなさい……本当に、ごめんなさぁい……」グスッ
かすみ「あー、もう面倒くさいですね。ここまでギャン泣きされたらかすみん、歩夢先輩をいじめてるみたいじゃないですか」
歩夢「だってぇ……。かすみちゃんがあんまり酷いこと言うから……」
かすみ「悪かったですってば」
歩夢「ううん、悪いのは私なのに……なのにかすみちゃんに謝らせてる……」
かすみ「とりあえず泣き止みましょう? 話なら聞いてあげますから」ナデナデ
歩夢「かすみちゃぁん……」ポロポロ
かすみ「はぁ……。何でこんなことに」 *
かすみ「えーと、つまり先輩とは付き合えることになったけど、どうもしっくり来ない感じだったと」
歩夢「うん……。あれは絶対他に好きな子がいるんだと思う」
かすみ「へー(棒)」
歩夢「その相手がかすみちゃんなんじゃないかって私は思ってる」
かすみ「はっ!? ちょ、ちょっと何言ってんですか。かすみん、二回もフラれてんですけど」
歩夢「だって……私、かすみちゃんの話題出したとき」 ……
あなた『ごめん、ちょっと考えごとしてて』プシュッ
歩夢『かすみちゃんのこと?』
あなた『』ツルッ
バシャー!
…… 歩夢「ってことがあって……」
かすみ「うわっ、火傷しませんでした? 熱いココア溢したんですよね?」
歩夢「ううん。あれ、実はコンビニで買って行ったからそんなに熱くなかったの」
かすみ「何でコンビニで買ったんですか。自販機すぐ後ろにあったんですよね?」
歩夢「今の時期、ココアがラインナップにないの知ってたから……」
かすみ「怖っ!? そこまで計算してたんですか」
歩夢「計算なんてしてないよ。下見してたから知ってるだけ」
かすみ「それを計算って言うんですよ」
歩夢「そうなんだ、覚えとくね」
かすみ「……」
歩夢「あの子のこと、疑うつもりなんてないよ。だけど……」
歩夢「もしも、もしもだよ?」
歩夢「あの子が二股をかけようなんて思ってるとしたら……」
かすみ「先輩に限ってそれはあり得ませんね」
歩夢「ど、どうして? 私、かすみちゃんよりずっと付き合い長いんだよ?」
かすみ「いや……もういいでしょ、付き合えたんだからマウント取ろうとしなくたって」
歩夢「本当のことだもん」
かすみ「はいはい、それで先輩は何か言ってたんですか? 昨日初めて会っただけの顔見知りについて」 歩夢「誰?」
かすみ「かすみんのことですよ。決まってるじゃないですか……って悲しくなってきました」ハァ
歩夢「何も。最後まで、かすみちゃんのことは何も言わなかったよ」
かすみ「歩夢先輩がかすみんの名前を出したにもかかわらず、一切言及することはなかったと」
歩夢「うん」
かすみ「顔でもどこでも蹴ってください」
歩夢「またそういうこと言う!」
かすみ「だって、普通何か言いません? 『ち、違うの! かすみちゃんとは本当に何もないんだよ!』とか」
かすみ「『かすみちゃんのことは可愛いし、あと可愛いし、すっごく可愛くて正直どストライクだけど違うの!』とか」
かすみ「『歩夢ちゃんと付き合ってもいいけど、私の本命はかすみちゃんだよ。それでもいい?』とか」
歩夢「……」グスッ
かすみ「わっ、また泣いてる!」
歩夢「かすみちゃん、ひょっとしてあの子のこと嫌いなの……?」
かすみ「大好きに決まってるじゃないですか。昨日告白したくらいなんですから」 歩夢「でもフラれたよね……?」
かすみ「あ、あの……言葉のハンマーでかすみんのハートをフルスイングしてくるのやめてください」
歩夢「フラれたのに、好きなの?」
かすみ「もちろんですよ。さっさと歩夢先輩と別れさせてかすみんのものに……」クックッ
歩夢「……」ヒキ
かすみ「とは思いませんけど! 人の気持ちってそう簡単に変わるものじゃないですよね?」
歩夢「そういうものかなあ」
かすみ「考えてみてください。もし歩夢先輩が先輩にフラれてたらですよ」 ……
歩夢『あのね? 私、ずっとあなたのことが……』
あなた『待って歩夢ちゃん。私から言わせて』
歩夢『えっ……?』
あなた『結婚しよう』つ💍
…… 歩夢「♡♡♡」バタンッ
かすみ「ちょ、フラれてくださいよ!」
歩夢「えへへ……幸せすぎて死んじゃいそう♡」
かすみ「何てもの見せるんですか! ひょっとして歩夢先輩、かすみんのこと憎んでます!?」
歩夢「ほら、かすみちゃん見て。私の薬指……」スッ
かすみ「何もついてないですね。夢ですよ」
歩夢「……」シュン
かすみ「ってか話が逸れたじゃないですか! 戻しますよ!」
歩夢「あっ、うん。何の話だっけ?」 *
かすみ「まとめると、歩夢先輩がかすみんの名前を出して、先輩がココアを溢すほど動揺していたのにもかかわらず最後までかすみんについて何のコメントもなかったと」
歩夢「うん。『か』の字も出なかった」
かすみ「それは……凹みますね。歩夢先輩を前にしてかすみんのことなんて忘れちゃったんでしょうか?」
歩夢「そ、そうかな?」
かすみ「若干嬉しそうにするのやめてもらえません? かすみんフラれて辛いんですけど」
歩夢「あっ、違うの。そうじゃなくて、さっきかすみちゃんが言った通り、何の言及もないのが逆に怪しいなって」
かすみ「んー、歩夢先輩の前で他の子の名前を出すと刺されるからですかね」
歩夢「あっ……」
かすみ「否定してください! 否定!」
歩夢「昨日はイベント当日だよ? かすみちゃんは優勝したんだから、かすみちゃんを褒めるくらいあの子ならしそうだけど」
かすみ「ムードを感じとってやめたんですかね? いずれにしても賢明な判断だとかすみんは思います」 歩夢「うーん、ちょっと違うかなあ」
かすみ「何が違うんです?」
歩夢「あの子はね、いい意味でも悪い意味でも、誰か一人を特別扱いなんてしないと思うの」
かすみ「?」
歩夢「『絶対優勝できるよ!』って私にも言ったから」
かすみ「うわ、本当に全員に言ってたんですね……」
歩夢「でも、その後のことはかすみちゃんにしか言ってなかった気がする……」
かすみ「えっ? あぁ……かすみんが理想のアイドルになるためにお手伝いをしたいとか、そんなこと言ってましたね」
歩夢「その後だよ」
かすみ「かすみんのいちばん近くで応援させてほしい……的な? アレ? 違いましたっけ」
歩夢「うん、それ」
かすみ「……」
歩夢「あれ? 『何で知ってるの?』って顔してる……」
かすみ「よ、よく分かりましたね……」
歩夢「盗み聞きとか、そういうんじゃないんだよ? 中に入っていくタイミングが掴めなくて」
かすみ「そうなんですかぁ」アハハ
歩夢「っていうか、かすみちゃん私と目が合ってたよね?」
かすみ「うぇっ!? き、記憶にございませんですねぇ……??」 夢「あのセリフ、ちょっと妬いちゃったな……」シュン
かすみ「……」
歩夢「私には、そんなこと言ってくれなかったのに」
かすみ「えっと、それは歩夢先輩だからじゃないですか?」
歩夢「えっ?」
かすみ「ほら、熟年の夫婦が言葉での会話をしなくても通じ合えるような、そんな感じです」
歩夢「や、やだ、そんなにお似合いかな?」フフッ
かすみ「はい、まさにそれだとかすみんは思いますねー」アハハ
歩夢「うふふ……♡」
かすみ「単純で助かりましたよ……」ボソッ *
*
夜 あなたの部屋
かすみ「……話してくれる気になりましたか」
歩夢「……」
かすみ「三つの質問の件です」
かすみ「そろそろ答え合わせをしましょうよ」
Q1:
歩夢先輩はなぜ先輩を殺したのでしょうか?
Q2:
凶器の包丁はどこにあるのでしょうか?
Q3:
この結末を回避するために、先輩ができることはありましたか?
かすみ「まず一つ目……なぜ先輩を殺したんですか」 歩夢「あの子の心を手に入れるため、かな」
かすみ「どういうことですか?」
歩夢「うん、さっき部室でかすみちゃんに話した通りだよ」
かすみ「……つまり、先輩が心の底ではかすみんのことが好きで、歩夢先輩はそれが気に入らなかったと」
歩夢「うーん、半分正解かな?」
かすみ「だったらかすみんを殺せばよかったのでは? 大好きな先輩を殺しちゃうなんて、ちょっと理解に苦しみます」
歩夢「実は、最初はそのつもりだったんだけどね……」
歩夢「でも、思いとどまったの」
かすみ「どうしてでしょう」
歩夢「一つはかすみちゃんがいい子すぎたこと」
歩夢「もう一つは、かすみちゃんだけとは限らないことかな」
かすみ「……完全に誤解ですよ、それ」 歩夢「ん?」
かすみ「先輩が特定の誰かをひいきすることなく、みんなに優しいのは確かです」
かすみ「でも、それは同好会の部長だから」
かすみ「みんなをサポートしていくのが仕事だからです」
歩夢「そうかな……」
かすみ「まあ、それにしてはちょっと優しすぎたり、思わせぶりなことを言いすぎたりしますが」
歩夢「実際、かすみちゃんは勘違いしたわけだもんね」
かすみ「むっ……」
歩夢「ごめん、今のはかすみちゃんを悪く言うつもりはなくて」
かすみ「分かってます。歩夢先輩はナチュラルに人を傷つける天才ですから」
歩夢「どうしてそういうこと言うかなあ……」シュン
かすみ「それなのに自分も傷つきやすいんです。困ったもんですね」
歩夢「……」
かすみ「まあ、いいでしょう。次の質問……」
歩夢「凶器はね、私がまだ持ってるよ」スッ ゴトッ……
かすみ「ひっ……」ビクッ
歩夢「あの子の血だね」
かすみ「そ、そうみたいですね」
歩夢「見て。すごく綺麗な色……♡」ウットリ
かすみ「えーと、動脈血は酸素が豊富で……」
歩夢「そういうことを言いたいんじゃないの。分かるでしょ?」
かすみ「……分かってます。先輩は、いい人すぎました」
歩夢「誰にでも優しいのは考えものだよね。私にだけ優しくしてくれてたら、こんなことにはならなかったのかも……」
かすみ「三つ目の答えですか?」
歩夢「あ、ううん。これは私の感想だよ」
かすみ「感想、って……」
歩夢「あの子を刺してみて感じたの。最後まで私のこと、大好きって言ってくれた」
歩夢「痛いはずなのに、苦しいはずなのに……」
歩夢「『私のこと嫌いになった?』って聞いても『ううん、そんなことないよ』って」
歩夢「引きつった笑顔で……」
『歩夢ちゃん、大好きだよ』って…… かすみ「……」
歩夢「最後まで、あの子のことよく分からないままだったなー……」
歩夢「今までたくさんわがまま言ったり、意地悪もしてみたんだけど」
歩夢「全部無駄だったみたい」
かすみ「そりゃ、殺しちゃったんですもんね」
歩夢「ううん。結局ね、私はあの子に嫌われたかっただけなんだと思うの」
かすみ「は……?」
歩夢「あの子の『大好き』って感情は、私以外にもたくさんの人に向けられてる。かすみちゃんもそう、他のみんなにも」
歩夢「だけど、あの子の『大嫌い』は私が知る限り誰にも向けられたことがなくて……」
歩夢「それを私だけのものにしたかった」
かすみ「……」
歩夢「そうすれば、あの子の全部が手に入る気がしたの」
かすみ「そういうもんですかね」 歩夢「分かんないよ。分かんないけど、そんな気がしたんだ」
かすみ「……」
歩夢「色んな方法を考えたんだよ? でも、どれもあの子が私を嫌ってくれるか自信がなくて……」
歩夢「いちばんはコレかなって」スッ
カタ……
かすみ「つまり歩夢先輩は、先輩に嫌われてみたかったけど、先輩から嫌われたまま生きていく覚悟はなかったと」
歩夢「っ……」
かすみ「それはずるくないですかね?」
歩夢「そ、そうだね」フフッ
かすみ「……」スタッ
歩夢「またトイレ?」
かすみ「んなわけないでしょう。先輩のお願いをきくんです」
歩夢「まだ喋れるかなあ……」
かすみ「これ。先輩の書いた歌詞です」
歩夢「あ、書き終わってる?」
かすみ「……」
歩夢「……わけないよね」アハハ
かすみ「曲がないので読み上げますよ」 *
『歩夢ちゃん大好きの歌』
作詞作曲編曲・あなた
大嫌い
(終) 乙
書いてみたいことが明確で、こんだけの量をよく書き上げられたなと感心する
頑張ったね かすみんにシニカルな探偵?をやらせたすぎておバカ設定とかは全無視なのなw
書きたい話にキャラを従わせる豪腕は凄いわ。二次創作書き続けるの向いてると思う 包丁の隠し場所に前置き関係なかった。あとトイレのくだりも必要無かった 久しぶりにクソつまんねすら言いたくなくなるクソつまんないSSを見た
反省しろ 乙
わりと面白かったわ
引っ張るほどではなかったね、次回作も期待 なんでここまで叩かれてるのか
自分もあなぽむかSS書いてるけどあなたちゃんが肯定的なこと言うだけで人間味のないキャラになっちゃった
あなたちゃんがかすみんに惚れる流れが自然に作れなかった
でもこのSSだとどちらもうまくやってて解答を見せられたみたいな気分
特にオチが見事
すごく面白かったです 叩いてる方がどうしても攻撃的な人たちに見えるからなんか同情したくなるってだけの話でこいつの74レス全部面白くないぞ やっぱりあの3つの問いが不要だった
それほど想定外の答えが来るかと思ったら普通で肩透かしだし、凶器を持ってたって、包丁をどこに隠し持ってたんだ?
雰囲気やオチまでの流れは良かっただけにあの区切りで完成度を下げてしまったのは残念 うーん・・・これだと推理とかマジで関係ねえな・・・
謎掛けみたいなの抜きならただの猟奇的なSSで済んだと思う 乙
話の流れは面白かったぞ
叩いてる奴らの言ってることはどうでもいいことばかりだ 素直に「続きは明日」としておけばこんなに叩かれなかったんだから、結局はスレ主の落ち度だろ 叩いてるってだけで悪役に見える人たちに庇ってもらえて良かったな
言動が支離滅裂なだけの怪文なら小学生でも書けるけどお前はそれとは違う
なぜなら字がいっぱい書いてあるから!
字がいっぱい書いてあるから「こんだけの量をよく書き上げられたな」と感心してもらえる 意識高い途中のやり取りがなければここまで言われることは無かった
鈍感なあなたちゃんが「大嫌い」と書いた歌詞を用意するはずもなく、また、かすみがあなたが書いたように歩夢に見せることも無く
ミステリに見せかけたホラー、若干のファンタジーと言ったところか こんな二次創作スレで文芸批評ごっこしてる人の方が頭悪そうw >>117
的確だわ、大量にあったから読んでみたけど「無」だった ヤンデレサイコSSを書きたいって欲望、ノベルゲームから受けた強い影響、その割に虚無な内容が酷い
謎かけまがいのような事をしといて作者から出たオチがつまらんってのが最高に寒い、ドライアイスブチ撒けて既に冷え冷えの部屋に液体窒素を大量散布したようにテンション冷めた >>128 何を言いたいのか分からんがおまえがバカだと言うことだけはわかったよ ノベルゲーから受けた強い影響っぽい言い回ししてて草 話の内容じゃなくて作者の考え振る舞いが多く語られてる時点で面白くはないって事だよ 結末を自由に想像して書き込んでくれた読者に何かコメント無いのか?
おねだりしておいて無視するとか最低だぞ 叩いてる奴を「こいつ攻撃的だから攻撃しなきゃ」って思っちゃって叩いてる奴が大勢いるが
そいつらもこのサイコ的風感みがあるだけの虚無を面白いとは思ってないからな
「猟奇的すぎるwww」「また歩夢ちゃんが監禁してるのか(笑)」「作者の狂気を感じる(震え)」みたいな反応でも思い描いてたんだろうがありきたりな上にいちいちチープなんだよ 彼等の書くSSはさぞ中身があって斬新で立派なんでしょうねって思いました そんな彼らの書くssに中身があって斬新で立派かはともかく、>>1のコレには中身も斬新さも無いゴミなのは事実だよね… 別に心をへし折って死なせたいと思って叩いてるわけじゃないしこの辺にするけど
俺はSS書きの態度なんかより貶めるような悪いキャラ改変の寄せ集め(と訳もなく殺すの)が気に入らない 結局全部主観じゃん
どうせ「俺がつまらないって思ったらつまらない、誰が何と言おうとそれは絶対」って発狂し始めるんだろうけど まあ色んな意見があると思うけどこんなにつまらんって言われてるのは久々に見たな。
かくいう俺もつまらんと思ったが まぁほんとにつまらなかったらレス付かずに落ちるからな 楽しく読ませて貰ったんだけどよく分からない部分が多数あって…
最後の歌詞はかすみんが書き足したの?
結末付近がどういう事なのか分からんです 気になってここまで読ませられた時点で君らの「負け」やで まあ確かに最後はよく分からんかったがやたらと叩いてる奴らの地域見たら
案の定他のSSスレでも同じようなことやってる奴らだからそこまで気にしなくても良いと思うぞ 地域性ってあるやん
こいついっつも発狂してるなって地域とか ストーリーとは別にキャラがやりとりしてる時の雰囲気俺は好きだわ
特に>>85のココア売り切れやりとり脳内再生できてほっこりしたw トイレ監禁は何か意味あったのか?
歩夢が昔話しながらアリバイ工作してるのかと思ったらそんな事なかった こういう推理物で警察とかのモブを登場させるのはキツい 後半良かったよ
あなたとあゆかすの会話がほっこりする
Q3の回答はよくわからなかった ■ このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています