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トレンチコートを着たツインテールの女性がそう私に宣っていた事を、後になって教えられた。
しかし、当時私のトピックスはUTXの窓ガラスに付いた鼻水のことで持ちきりだったので、彼女のハスキーボイスが一番の雑音だった事だけは覚えている。
「凛ちゃん凄いよ!ミュータントガールズがまた偶像に挑むんだって!」
「馬鹿だね〜。先代のリーダーが屋上で磔刑にされたのをまだ妬んでるなんて、愚かだにゃ」
コンビニに売っている雑巾は3枚入れで¥180くらい、しかしあの鼻水を拭くためだけに態々自腹を切るだなんて、それこそバカげている。
「A-RISE……今、この世に現存する全てのスクールアイドルの敵であり、象徴でもあるのよ」
「見て見て!アレ去年の頂上決戦だよ!開始96分のところでね?ミュータントガールズがダムダム弾なんて使ったもんだから、人道に反してるって審問会に掛けられちゃったんだって!」
「人殺しに人道も何もないのにねぇ、おかしな話だよ」 ……うるっさいなぁ、
あのトレンチコートの変態と頭に旭日旗を巻いてる右曲りのせいで、上手く考えがまとまらない。
アイドルの話なんてどっか他所でしてくれないかなぁ、私はいま鼻水の事で頭がいっぱいなのにさぁ
「──先ず、リーダーの綺羅ツバサ。奴の本体の約76%は既にこの世には無く、多元宇宙との同化を果たしている」
「次に、サブリーダーの統堂英玲奈。グループ内で実質的な命令系統を司っているのは間違いなく奴よ。」
「そして優木あんじゅ。影の執行者であり、これまで数多のアイドル達を血塗られた十字架に吊し上げた張本人ね」
「──あ、街宣車だ。ちょっと行ってくるね?」
「……そんなかよちんも好きだよ。」
たかが鼻水を拭くためだけに¥180?
あり得ない。そんな愚行を私の財布は許さない
でも、このまま放置すればあの鼻水は乾燥して跡を残す
私があそこで睨めつける様に中を覗き込んだ証拠も。……如何したものか、
あっ、
第一話【その旭日旗下さい!】 高坂さんは言いました。
「ファイトファイトって、現実問題で予算が足りてないんだよ!そりゃファイトにも限りはあるよ!」
南さんは言いました。
「実行予算なんか立ててないで早くこの婚姻届にサインしてよっ!!留学するよ!?」
園田さんは言いました。
「分かりました。花嫁修行は無しにします。それと、日曜は9時まで寝てて良いです。だから早く園田家に入りなさい」
西木野さんは言いました。
「ここは音楽室です」
第三話【私を誘いたいのならばアヒルボートを持って来なさい】 園田さんのブレーンバスターで、金網と一体化してしまった矢澤先輩。
それを気の毒に思った東條先輩は、神田明神の祭神に矢澤先輩の鎮魂を願い出るが、そもそも今日は定休日だと断られてしまう。
エリーチカ先輩はと言うと、相も変わらずボルシチに鳩サブレを入れた犯人を探して、校内を彷徨うのであった。
第六話【理事長室に有ったアレ】 全日本うずくまり選手権を目前にしたトッポギ研究部の部員たち。
興奮し切った小泉さんを宥めるために、星空さんは猫型オートマトンに、西木野さんは【医師会館】と銘打った段ボールハウスを建てた。
これを見た高坂さんが、遂に完全なるファイトを手に入れた!と、これ見よがしに足の裏を晒してくるので、
激昂した南さんがいつもの如く(・8・)を形骸化しようと躍起になり、園田さんがそれを返り討ちにする。
──今日も和やかな時間が流れていく。
第十話【ペリメニ!ペリメニ!ペリメニ……?ペリメニ!?】 「あの白小矮星が消えた時、私達はこの地球の星になれるんだよ!」
そう言い残して、高坂さんは次元の狭間へと消えていった。
後に残ったのは、瓦礫の山と化した音ノ木坂学院と、そして理事長室に有ったアレだけだった。
「この涙は、一体誰の為のものなんだろうね……」
小泉さんの言葉の、本当の意味を知っているのは
最早、この世界の何処にも存在し得ない高坂さんと、
力の使い過ぎでパースだけになってしまった東條先輩だけだったのである。
私達の未来は、一体どこにあるのだろうか
第十一話【Blu-rayのブルーって地球の事だよね?】 「──私、アイドル辞めます。」
理事長室を嘗てない緊張感が覆い尽くす。
そして、音速で繰り出された五体投地と、それに伴い発生したソニックブームによって静寂を破った矢澤先輩が宣う。
「すいません!アレが臭すぎます!」
なんの事はない
つまり、みんな想いは同じだったのだ。
このトッポギ研究部を形作っているもの
それは、仲間たちがそれぞれを思い遣る気持ちと
そして、アレに対する変わらない嫌悪感だけだった。
今ここに、部の結束は深まる。
第十二話【ちょっと!?コレホールトマトじゃないの!私が言ったのはカットトマト!返品して来てっ!!】 「初めての共同作業は貴方と、そう決めていました」
「ほら、最後まで留学しなかったよ?つまりそう言う事なんだよ?」
「勝ちたい……でも、欲しがります!だって私はお米が好きだから!」
「また稼働部が軋んでるにゃ。ねぇ、誰か油刺してくれない?」
「いつだってそう。足りないのは、ほんのちょっとの勇気とリコピンなのよ」
「春夏秋冬にこにこにー!矢澤家の経済状況を鑑みて、もう一回にこにこにー!」
「人と人が支え合ってる……?ハラショー!人って字に人が二人も居るのね!」
「#1──希、ボケる。#2──希、真姫に突っ込む。#3──希、結晶化する。」
アイドル達の鎮魂歌は続く──。
最終話【トッポギってなに?】 ──それは、束の間の微睡みに見た
私たちの、本当の楽園なのかも知れない。
東條先輩が持ってきたスピリチュアルカードによって、小泉さんはネオンライトになってしまった
次に、エリーチカ先輩が施した余計な改造のお陰で星空さんは過去にも現在にも存在出来なくなった
矢澤先輩はと言うと、高坂さんが次元の間に消えてから発狂し続けている園田さんと南さんの為に歌を創った。
……しかし、彼女らは知らない。
エリーチカ先輩へ設計図を渡したのが、
他ならぬ星空さん本人であったと言う事
高位次元へと向かった彼女が、
その先に求めて続けたもの、それは──
我らがリーダー、高坂さんの救出であった事を
番外編【あいせぇええええええええええええええぇええええええええっっ!!!!!」 「みんな!願いが足りひんよっ!!」
ネオンライトとなった小泉さんによって、その存在を明るみに戻す事が出来た東條先輩。
大アルカナ総出演により、高位次元の彼方から星空さんと高坂さんを引き戻す為の一大儀式が、今ここに行われている。
「えりち!!余計な事願わんでっ!!一歩間違えればあの二人じゃなく旧支配者を召喚する事になるんやでっ!?」
「そうなれば地球は終わりやっ!!」
幾億にも重なる旧神たちの呼び声を掻き分けて、嘗ての友の手を探る東條先輩
──しかし、その手が不意に捕まれる。
「!?ま、不味い!!阻まれたっ!!」
原因は分かっている。
矢澤先輩が今日の夕飯の献立を決めあぐねて、あろう事か神にその判断を委ねてしまったからだ
盟友たちの伸ばす手は、未だ星の瞬く程に届かないと言うのに……
OAD版【ミミズの約80%はタンパク質。同量の牛肉を食べるよりずっとお得よ】 ■ このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています