歩夢「ねぇ覚えてる?幼稚園の頃…」 かすみ「ヒイッ」
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璃奈「スクールアイドルがスキャンダル?」
あなた「そう。他校のスクールアイドルなんだけど、ホテルから出てくる写真が出回ったみたいでね」
あなた「同好会で禁止令を出すつもりはないけど…みんなも恋愛ごとには十分気を付けてほしい」
歩夢「あの子が何か喋ってる…恋愛がどうとか…」(部室の外)
歩夢「コ、コイバナかな」
愛「愛さんは別にスクールアイドルしてるうちは、そういうんはいいんだけどさ〜」
愛「そういう君はどうなの?ほら歩夢とかさ」
歩夢「!」
あなた「えぇっ!?歩夢ちゃんはそういうのじゃないよ。ただの幼馴染だよ」
歩夢「」
歩夢「そっか、そうなんだ、そうなんだね…」トボトボ ◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
かすみ(かすみんとしたことが日直で遅くなっちゃいました。これはまずいです同好会内でのかすみんの威厳が…)タッタッタ
かすみ(ん、あれは…)
歩夢「…」
かすみ「歩夢先輩そんなところで何してるんですってうわぁ!」
歩夢「か、かすみっ…ちゃん…」ポロポロ
かすみ「な、なに泣いてるんですか?」
かすみ「大丈夫ですか?だ、誰かに嫌がらせされたとか…もももももしかしてかすみんですかぁ!?」
歩夢「だ、だいじょうぶっ、そんなんじゃ、ないっ、から」
かすみ「明らかに大丈夫じゃないじゃないですか」 歩夢「本当の、本当に、大丈夫だからっ、かすみ、ちゃんは、先にっ、部室に…」
かすみ「こんな泣いてる人放っていくほどかすみん鬼じゃないですよ…」
歩夢「ひっ、ぐすっ」ポロポロ
かすみ「…とりあえず、みんなに歩夢先輩とかすみは遅れるってLINEしときますね」
歩夢「ごめんね、すぐ、泣き止むから」グズッ
かすみ「止めようとしない方がいいですよ。息を深く吸うんです。深呼吸ですよ深呼吸」
かすみ「お水飲みますか?口付けてないので大丈夫ですよ。はい」
歩夢「…」コクン
歩夢「ありがとうかすみちゃん…ちょっと落ち着いた」
かすみ「貸し一つですからね」
歩夢「うん…」
かすみ「…なにがあったんですか?」 かすみ(別に心配してるとかじゃないですからね、これはその、それです、ライバルの弱みを握るための)
歩夢「…」ジワッ
かすみ「べ、別に言いたくなかったら言わなくていいんですからね!」アセアセ
歩夢「…そういうのじゃないって言われたの……」
かすみ「そういうのって…」
歩夢「恋愛対象として見れないって、あの子に、」
かすみ「あ、あの子って、あの、先輩に…?」
歩夢「…」コクリ
かすみ「そ、そうですか…」
かすみ(ななななな、な、何言っちゃってるんですかーーーー!!!先輩―――!!!?)
かすみ(そんなこと言ったら、そんなこと言ったら、歩夢先輩が…) かすみ「ち、ちなみにそれはどういう話の流れで…」
歩夢「部室に入ろうとしたら、あの子たちの声が聞こえて、それが恋愛話だったから、入るには入れなくて、そしたら……そしたらっ」グスッ
かすみ「ああああ、も、もう大丈夫です!話の流れは分かりましたから!話さなくて大丈夫ですよ!」
歩夢「…ごめんね、部室、行こうか」
かすみ「えぇぇ、その顔で部室行くつもりですか」
かすみ「帰りましょう!今日はもう帰りましょう!」
歩夢「でも部活が、それにあの子と一緒に帰る約束が…」
かすみ「その顔とメンタルで先輩に会ったら収拾つかなくなりますよ…体調不良ということにして帰りましょう。ね、帰りましょう。かすみんがLINEしときます」
歩夢「…わかった」
かすみ(今、先輩に会ったら、なにしでかすか分からないですし…) ◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
歩夢「…」トボトボ
かすみ「…」
かすみ(心配だからついてきてしまったけど、すごく気まずい…)
かすみ「あっ猫、先輩猫がいますよ。先輩猫好きでしたよね」
かすみ「にゃーにゃーかわいいですよ」
歩夢「ほんとだ…かわいい」グスッ
かすみ「なんでぇ!?」
歩夢「幼稚園の頃、あの子と帰り道に猫を撫でたことを思い出して…」ポロポロ
かすみ(平常なんだか異常なんだか分かりませんね…)
かすみ「あ、ああ、ほら、クレープ屋さんがありますよ。寄り道していきますか?奢りますよ」
歩夢「…あの子といつも、食べさせ合いっこしたなあ」ポロポロ
かすみ(これもダメか―――!)
かすみ(もう何もしゃべらないでおこう…) -ぽむ家-
歩夢「かすみちゃん家まで送ってくれてありがとう」
かすみ「これくらいどうってことないですよ」
かすみ(放っておいたら自殺しそうな雰囲気でしたし…)
歩夢「ううん…本当に」
歩夢「じゃあまた…」
かすみ「…明日もちゃんと学校来てくださいよ!約束ですよ」
歩夢「うん、明日はきっと大丈夫だから、じゃあ」
かすみ「はい…また明日」 -中須家-
かすみ「だぁぁぁぁつかれたぁぁぁ…」ベッドダイブ
かすみ「慣れないことはするもんじゃないです…まったく」
かすみ「もう、ちょっと、このまま仮眠しちゃいましょう…今日は疲れました…」
かすみ「…」スヤスヤ 「かすみちゃーん起きて、朝だよ」
かすみ「ん、ぅん?…もう朝?」
「もう、昨日帰って着替えもしないで眠っちゃったんでしょ。制服しわになってるよ」
かすみ「あぁ!昨日寝落ちしちゃったんだ!!お風呂も入ってない!」
かすみ「かすみんの女子力があ!!!」
「まだ7時になってないから時間はたっぷりあるよ。お風呂入ってきなよ」
かすみ「そうしてきます……って」
かすみ「なんで歩夢先輩がうちにいるんですか!!!」
かすみ「自然すぎて普通に会話しちゃったじゃないですか!!!」
歩夢「えぇ?いつも迎えに来てるでしょ。ふふっ」
かすみ「なんですかその笑い方、怖い怖い怖い!」
かすみ「も、もしかしてドッキリですか!?」
歩夢「?」
歩夢「寝ぼけちゃってるみたいだし、顔洗ってきなよ」
かすみ「寝ぼけてるのは先輩ですよぉ!」 -風呂場-
かすみ「な、な、なんでこんなことにぃ…もしかして昨日慰めたからかすみんに鞍替えしたとか!?」シャワワワワ
かすみ「いやでも、あの歩夢先輩が失恋くらいであなた先輩を諦めるとはとても思えません……」
かすみ「しかし、かすみんのかわいさがこんな所で裏目に出てしまった可能性も否定はできませんね…」 ◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
かすみ「あの、先輩、昨日のこと覚えていらっしゃいますか?」
歩夢「うん。私が熱だしちゃってかすみちゃんが私の家まで送ってくれたでしょ」
かすみ「記憶が捏造されてる!!!」
歩夢「それより、歩夢先輩じゃなくて歩夢ちゃんって呼んでほしいな」
かすみ「へ?またその話ですか?先輩は先輩ってことで決着がついたじゃないですか」
歩夢「でも中学校までは歩夢ちゃんって呼んでくれてたでしょ。幼馴染なんだから今更先輩後輩ってのもおかしくない?」
かすみ「さらに捏造されてる!!?」
かすみ「ちょっとぉ歩夢先輩の幼馴染はあなた先輩でしょ!今までさんざんアピールしてきたじゃないですか!」
歩夢「何言ってるの?ふふっもしかして、まだ寝ぼけてる?」
かすみ「話が通じない!」
愛「おっはよー歩夢!かすかす!もう体調はダイジョブなの?」
かすみ「かすかすじゃないです…じゃなくて!愛先輩からも言ってください歩夢先輩がおかしいんです!」
愛「おかしい?体調悪いなら今日は休んだ方が…」
かすみ「そうじゃなくてぇ!」
かすみ「さっきから、かすみのこと幼馴染だとか、歩夢ちゃんって呼んでとか…本当におかしくなっちゃったんですぅ!」
愛「???かすみんは歩夢の幼馴染でしょ?」
かすみ「は?」 歩夢「愛ちゃん愛ちゃん。この子たまにこういう寝ぼけたこと言っちゃうから…でもそういうところがかわいいんだけどね」
かすみ「!!?」ゾワッ
愛「いつもいつも幼馴染自慢されちゃって愛さん焼けちゃうな〜」
愛「こないだ、幼稚園の頃の写真見せられた時はびっくりしちゃったよ」
かすみ「よよよ、幼稚園!?そ、その写真、今も持ってますか?」
歩夢「もちろんっスマホの中に入れてるよ〜ほら!」
歩夢「これは5歳の誕生日会の写真…ふふっ覚えてる?」
かすみ(幼稚園児の歩夢先輩とかすみんが映ってる!!?)
かすみ(な、な、なにこれ!?) あなた「おはよー今日も賑やかだね」
かすみ「せ、先輩!あ、歩夢先輩の幼馴染って、先輩ですよねえ!?」
あなた「???」
あなた「かすみちゃんは何を言ってるの?」
愛「ん〜かすみん渾身のギャグ?」
かすみ「かすみんは至って真面目です!!!」
あなた「ギャグキャラは愛ちゃんと被るし、無理にキャラチェンしなくてもいいと思うけど…」
かすみ「真面目か!!!」 ◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
かすみ「なんなの、これ。他の同好会のみんなに聞いてみてもかすみんが歩夢先輩の幼馴染ってことになってるし…」
かすみ「かすみん、もしかしてパラレルワールドにやってきちゃったとか…」
かすみ「…ないないないない。何言っちゃってるんですか、これは壮大なドッキリですよ。そうです、そうに違いない」ブツブツ
「もしもしそこのお嬢さん」
かすみ「え?うわっ」ビクッ
かすみ(ななななんですか、この黒ローブ被ったいかにも怪しげな女は、ドッキリの一環ですか)
「きみきみ、占い部寄っていかない?今ならタダで占ってあげるよ」
かすみ「え?あ、かすみん占いとかそういうのは……」
「そんないかにも怪訝そうな顔しなくてもええやん?これでも結構実績あるんよ」
「例えばそうやね…違う世界に来てしまった子を元の世界に戻す、とか」
かすみ「!!?」
「図星みたいやね…とりあえず校内じゃ人目があるし、場所を移動しようか」 -校外-
かすみ(うぅ…どう見ても怪しい人についてきちゃいました……)
「ここなら大丈夫かな」クルッ
かすみ「!」ビクッ
「あはは、そんなにびっくりしなくてもええやん?」
かすみ「び、びっくりなんか」
「まず、自己紹介しないとね。はじめまして!…じゃなくて久しぶりやね」
「うち東條希!」ファサッ かすみ「の、希先輩!?」
かすみ「な、なんだ〜脅かさないでくださいよ〜やっぱりドッキリだったんですね」
かすみ「それで今回は誰が仕掛けたんですか?」
希「…安堵してるところ申し訳ないんやけど、それがドッキリじゃないんよ」
かすみ「またまたそんな、かすみんでも流石にもう騙されませんよ」
希「うーん、本当にドッキリだったらよかったんやけどねえ」
希「まあ、信じろって言われても信じがたい現実もあるもんやん?ついておいで」
かすみ「はーい」トテトテ -研究所-
かすみ「ここは?」
希「西木野研究所、ここでは一般相対性理論や量子力学の研究が行われてるんよ」
かすみ「へぇ〜やっぱり西木野家ってすごいんですねえ」
真姫「希、早かったじゃない」
希「いや〜、思ったより簡単にかすみちゃんがホイホイついてきてくれて助かったんよ」
かすみ「ホイホイなんかしてませんよぉ」
真姫「まあ座りなさい。説明は長くなるから」
かすみ「もうなんなんですかこの企画、ドッキリだってことはかすみんでも分かってるんですからね」
真姫「……あなたが信じようと信じまいと説明を続けるわ」
かすみ「えっ」 真姫「ここには、世界線を観測するための複数のシステムがあるわ。そのシステムが世界線の異変を感知した」
かすみ「せ、世界線?」
真姫「ええ。簡単に言えばこの世界を構成するコードのようなもの。そのコードが改変されていたの」
かすみ「ぐぬぅ、さらに訳が分からなくなってきたような…」
真姫「…さらに簡単に言い換えると」
真姫「この世界では過去改変が行われたの。上原歩夢の幼馴染が『あなた』から『中須かすみ』に改変された」 真姫「逆に言ってしまえば、その他の改ざんは行われていない。奇妙なことにね」
かすみ「はあ、それでこの世界を元の世界に戻すことはできないんですか?」
真姫「……改変前の世界線コードの記録は残ってるから、この世界を元に戻すことは簡単にできるわ」
かすみ「それなら早く元に戻してくださいよぉ。それで万事解決じゃないですか」
希「それがそうともいかないんよ」
かすみ「もーなんでですか」
真姫「……単刀直入に言うとね、元の世界に戻したら…]
真姫「あなた、死ぬわ」
かすみ「……はい?」 真姫「元の世界線に戻したらあなたは死ぬ。さらに言えば殺される」
かすみ「な、死ぬとか、殺されるとか、い、嫌な冗談よしてくださいよ」
真姫「これが冗談言ってる顔に見える?」
かすみ「……」
真姫「そもそも、今回の改変は『上原歩夢の強い願い』による改変だと考えられるわ」
かすみ「歩夢先輩の強い、願い?そんなことで」
希「強い願いが世界を変えることはよくある事なんよ。人間が気づいてないだけでね」
希「むしろ世界線は常に書き換えられ続けてる。うちらがこうして話してる間にも」 真姫「話を戻すわよ」
真姫「元の世界線で、上原歩夢は失恋し強い呪いを生み出し、虹ヶ咲に惨劇をもたらす」
真姫「その未来を予期した上原歩夢自身の『虹ヶ咲を守りたい』という思いが、死人が1人も出ない平和な世界線を作り出した」
かすみ「惨劇、って、どんな」
真姫「……うちの未来予測コンピューターによると、上原歩夢が自殺する確率が37.52%、上原歩夢が幼馴染を殺した後に自殺する確率が33.74%」
真姫「上原歩夢の自殺または他殺を止めようとした中須かすみが誤って死んでしまう確率が25.13%」
真姫「その他、死人・重傷者が出る確率3.57%」
かすみ「し、死人が出ない確率は…」
真姫「…0.04%」
かすみ「れいてん、れい、よん……」 真姫「でもね、改変後の世界線で虹ヶ咲に死人が出る確率は0.02%。だから安心して」
かすみ「あ、そっか、そうですよね。なんだ、よかったぁ…」
真姫「これで元の世界に戻せない理由が分かってもらえたかしら」
かすみ「は、はい…でもどうしてかすみんだけ元の世界の記憶があるんですか?」
真姫「…無理な過去改変による、世界線の矛盾のしわ寄せだと考えられるわ」
かすみ「???」
希「真姫ちゃん、もっと噛み砕いて説明せんと…うちもその言葉だけでわかる自信ないわ」
真姫「あーもう面倒ねえ。つまり『適当な過去改変しちゃったからかすみの記憶操作だけミスりました」ってことよ!!!」
かすみ「ああ、なるほど」 希「そういうわけで、かすみちゃんは違和感あるやろうけど、歩夢ちゃんの幼馴染としてこれからは過ごしてほしいんよ。できる?」
かすみ「…はい、上手くできるかは分かりませんけど、それで虹ヶ咲が平和になるなら……」
希「うん、いいこやね」
真姫「これでこっちの説明は終わりだけど、何か質問ある?」
かすみ「いや質問だらけなんですけど…」
かすみ「まずなんで真姫さんちにこんな近未来SFな機械があるんですか」
希「あ、そこ突っ込むんや」 真姫「私たち、タイムループだとか異世界だとか超能力だとか、そういう面倒なことによく巻き込まれるのよ」
真姫「それで毎回あたふたするのも面倒でしょ?だから作っちゃったわけ」
かすみ「そんな簡単に」
希「細かいことはいいやん?とにかく困ったことがあったらうちらに言ってくれれば力になるからいつでも言ってな?」
かすみ「は、はい」
真姫「元の世界に戻しても大丈夫な方法が見つかったらこちらからも連絡するから」 かすみ「……あの、どうしてそんなに協力してくれるんですか…?」
真姫「…そんなの、私たちスクールアイドルなんだから、だから、その、仲間みたいなもんでしょ」
かすみ「…な、仲間!?かすみんが仲間…!!!」パアアアア
真姫「ヴェェェ!?」
かすみ「あっ、別に嬉しがってなんかないですからね。演技です。これは演技です」
希(あ、この二人相性ええな)
真姫「そ、そんなことより、ほらもっと聞きたいことないの?」
かすみ「あ……一つだけ、いいですか」
真姫「どうぞ」
かすみ「えっと、なんで、かすみんが幼馴染なんでしょう…かすみんじゃなくても、いや、幼馴染自体いなくたって…よかったんじゃ」
真姫「……それは分からない。ただの偶然の可能性もあるし」
希「もしかしたら、かすみちゃんにしか出来ないことがあるのかもしれないよ?」
かすみ「私にしか、できない、こと……」 いつも思うけど真姫ちゃんとのんたんは便利キャラよなぁ かすみん巻き添え率やたら高くてワロス
いや笑えないw 彼女には願望を実現する能力がある……
んふっ、困ったものです 最初のクレープ屋とか猫で思い出してナーバスになるのモトカレマニアっぽい
このルートで立ち直るSSも読みたい それからの、歩夢先輩の幼馴染としての毎日は、想像以上に大変なものでした。
まず、歩夢先輩の思い出話に付き合わなければいけないこと。
歩夢「かすみちゃん、昨日なにがあったの?授業の途中で帰っちゃって、電話にも出ないし」
歩夢「何かあったなら私に教えてほしいな」
かすみ「え、あ、昨日は体調不良でちょっと早退してて」
しずく「担任の先生がうちのクラスまでわざわざ行方を聞きに来られて、みんな心配してたんだよ?」
愛「えぇっかすみん無断早退したの?意外にやんだね〜!」
しずく「愛先輩、この人すぐ調子に乗るのでホメないでください」
歩夢「そういえば昔もこんなことあったよね。家の鍵が閉まってるか気になったかすみちゃんが昼休み中に帰っちゃって、先生たちみんなで大捜索して」
歩夢「覚えてる?」
かすみ「え、あ〜はは、そんなことも、あったかな〜」
かすみ(この世界線のかすみんそんなことしてるの!?)
歩夢「あ、それは覚えてないって顔だね」
しずく「そんな衝撃エピソード忘れたんですか?」
かすみ「え、うん、ごめん…」 そして、幼馴染として歩夢先輩について知ってることが少なすぎること。
かすみ「かすみんがドリンクバー行ってきますよ。かすみんはできる後輩なので」
せつ菜「すみません、じゃあ私はなっちゃんで…」
彼方「彼方ちゃんはカルピス」
歩夢「私はいつものおねがい」
かすみ「い、いつもの?」
歩夢「うん」ニコッ
かすみ(いつものなんて知りませんよ…!えーどうしよどうしよ……そうだ!)
かすみ「あ、あーかすみんやっぱ1人で行くのさみしいなあ。誰か付いてきてくれないかなー?」
歩夢「なら私も行くよ」
かすみ「ほんとですかぁ?やったぁ!」 そして、幼馴染としての距離感を間違えて歩夢先輩を悲しませてしまうこと
かすみ「えー助動詞が連用形接続だから、動詞は連用形になるってことですか?」
愛「そそそそ!飲み込み早いね〜かすみん」
歩夢「かすみちゃん何してるの?」ポム
かすみ「古典を愛先輩に教えてもらってるん、です…よ」
歩夢「そっか…」
歩夢(私も教えられるのにな、私には頼ってくれないんだ…仕方ないよね愛ちゃんの方が勉強もできるし)
かすみ(しまった…すごいシュンとしてる。私も教えられるのになって顔してる…)
かすみ「あ、歩夢先輩も教えてくださいよ〜次赤点とったらヤバいんですぅ」
歩夢「いいよ!どこが分からないの?」ニコニコ かすみ「はぁ…」
あなた「どうしたのため息なんてついて?」
かすみ「ため息なんかついてませんよ」
あなた「いやついてたよ、そこ嘘ついてどうするの」
かすみ「べっつに〜……なんでもないですよぉ」
あなた「よく分からないけど、悩みがあるなら何でも聞くよ」
かすみ「ありがとうございますぅ…はぁ」
かすみ(なんというか、歩夢先輩とこの人がどれだけ相伴って生きて来たか、身を持って実感したというか……)ジロジロ
あなた(なんだろう、すごく見られてる気が…)
かすみ(ただの後輩が幼馴染のふりをすることがどれだけ大変か…)ジー
かすみ「はぁ…」
あなた(なんかまじまじ見詰められた挙句、ため息つかれたんだけど)
あなた「あの、私なんかしちゃったかな」
かすみ「してませんよ…なにも」 あなた「そういえば2学期のスケジュールを組んでみたんだけど、どうかな?」
かすみ「…2学期」
かすみ(もう9月になるのか…私がこの世界に来てからもう既に4ヶ月)
かすみ(4ヶ月)
かすみ(真姫ちゃん達は毎週電話をくれるけど、その内容は決まって、解決案はまだ見つからないというもの)
かすみ(もう元の世界には戻れないのかもしれない)
あなた「あの、かすみちゃん?大丈夫?」
かすみ「え?あ、スケージュールですね」
かすみ「…」 -その晩、中須家-
かすみ「あの、もしもし真姫ちゃん?」
真姫「珍しいわね、あなたから連絡なんて。どうしたの?」
かすみ「ちょっと話があるんだけど…明日いい?」 -音ノ木坂、天気/土砂降り-
凛「うわぁ大雨だにゃー…どうしよう傘持って来てないよ〜」
にこ「馬鹿ねぇ。天気予報で午後から100%の大雨って言ってたじゃない」
凛「だって見てなかったんだもん!しょうがないでしょ!」
花陽「私の折り畳み傘かすよ?」
凛「ほんとぉ?やっぱ持つべきものはかよちんだにゃ〜。にこちゃんも見習ってよね!」
にこ「ぬわぁんでよ!」 真姫「ごめんなさいね騒がしくて」
かすみ「いや、急に押し掛けたのはかすみんだから…」
にこ「なによ、らしくないわね?いつもなら『かすみんは雨も滴るいい女ですから、天気なんて関係ないですけどね〜』とか言ってくるのに」
かすみ「言いませんよそんなキモチワルイこと。まあ雨も滴るいい女というのは事実ですけど」
にこ「そうね、あんたはそういう奴よね」 かすみ「それにしても、9人お揃いで部室なんかにいて。練習しなくていいんですか?」
絵里「この大雨じゃ屋上で練習もできないもの」
希「それにお客さんも来てるしね」
絵里「…まだ、元の世界に戻す良い手は見つかってないんでしょう?」
真姫「えぇ…」
凛「ねえねえ、凛思ったんだけど、歩夢ちゃんの悲しみが事件を起こしちゃうんなら、歩夢ちゃんの記憶を消しちゃえばいいんじゃないの?」
凛「歩夢ちゃんの『失恋したって記憶』が無くなれば、『悲しい気持ち』もなくなって、また平和な世界に戻ると思うんだけど」
真姫「歩夢の記憶を消しても、歩夢が再び失恋したら、また惨劇が起きてしまうもの。根本的解決にはならないわ」
にこ「研究所の機械で、平和な世界線に調律できないの?0.04%の」
真姫「そんなことできたら悩んでないわよ…ホントばk……」
にこ「馬鹿で悪かったわね!」 かすみ「…」
かすみ「つまり、元の世界線には戻せないんですよね」
真姫「そうと決まったわけじゃ」
かすみ「いいです。いいんです。4ヶ月真姫ちゃんも手を尽くしてくれたんでしょ」
かすみ「もう戻れないってことぐらいかすみんも分かってる」
かすみ「この世界も楽しいし、戻れなくたって別に問題もない。だからかすみんはこの世界で笑顔で暮らすって決めたんです」
かすみ「だから、私が笑顔で暮らすために、私の記憶を改ざんしてくれませんか」
真姫「えぇ!?」 かすみ「私が『歩夢先輩の幼馴染だったというニセモノの記憶」を持つことで、完全に歩夢先輩の幼馴染になるんです」
かすみ「そしたら、かすみんも違和感なく楽しくすごせるでしょ?これってすごくいい案だと思うんですよ」
真姫「…記憶の改ざんは難しいけど、できないことはないわ。でもあなたは本当にそれでいいの?」
かすみ「うん。これがきっと一番いい選択だから、これで…」
「ダメだよ!!!」
かすみ「!?」 穂乃果「ダメだよ!!!記憶を改ざんなんて、そんなことしたら絶対だめだよ!」
穂乃果「だってかすみちゃんにはかすみちゃんの思い出があるんだよ!?消しちゃダメだよ、思い出を消したらダメだよ!」
穂乃果「それに歩夢ちゃん達にだって大切な思い出があったはずだよ」
穂乃果「元の世界に戻さないとおかしいよ!」
真姫「穂乃果…」
海未「穂乃果、かすみもそれを分かった上で」
穂乃果「じゃあ海未ちゃんは分かってるからって、穂乃果が幼馴染じゃなくなっても平気なの?」
海未「それは…」
ことり「穂乃果ちゃん、しょうがないよ、だってみんな死んじゃうんだから、」
穂乃果「それがおかしいんだよ〜!なんでみんな死んじゃうの?」 穂乃果「だって二人とも仲良しなんでしょ?だったらずっと仲良しに決まってるのに」
真姫「それは穂乃果の願望でしょ。穂乃果がどう思おうと確率は変わらな…」
穂乃果「それだ!確率だよ!誰も死なない確率は0%じゃないんだよね!?」
真姫「ヴェッ!?ええ、まあ0.04%だけ…」
穂乃果「ならその0.04%を100%に変えちゃえばいいんだよ!」
かすみ「何言ってるんですか…確率の意味わかってるんですか?」 穂乃果「できるよ!やってみせるんだよ!!できないことなんてないんだよ!!!」
ガララララッ
穂乃果「雨!やめえええええええええええええええ!!!!!!!!」
かすみ「ちょっ何叫んでるんですか!!?頭おかしくなったんで、す…か……」
パアアアアアアアアアア
穂乃果「ほら!晴れた!」
かすみ「うそ……」
穂乃果「やろう!かすみちゃん!!歩夢ちゃんを助けに行こう!!!」 流石ホッノ
でも鞠莉ちゃんだって曇らせることはできるんだぞ! ドクターマキレンジが1400万分の1の確率できっと… -翌日、虹ヶ咲-
璃奈「あれ、かすみちゃんは?」
しずく「今日も用事があるってそそくさと帰っちゃったよ」
あなた「二日連続で休みなんて珍しいなあ」
歩夢「…何があるのって聞いても、女の子の秘密ですって言って何も教えてくれなかったの。本当にどうしたんだろう」
あなた「歩夢ちゃんも知らないんだ」
あなた「うーん」
あなた(昨日も様子おかしかったし、大丈夫かなあ…) -音ノ木坂-
穂乃果「それでは、歩夢ちゃんを助けよう大作戦大会議を始めます!」バンッ
凛「わー」パチパチ
花陽「わ、わー」パチパチ
穂乃果「まず、事件を未然に防ぐために、私たちができることについて考えよう。何か意見がある人!」
凛「はい!歩夢ちゃんを説得すればいいと思います!」
穂乃果「説得いいね!他に意見ある人!」
ことり「あの…」
穂乃果「はいことりちゃん!」
ことり「歩夢ちゃんが落ち着くまで、軟禁するのはどうかな」
穂乃果「軟禁…?なんきんってなんだろう。まあいいや、な・ん・き・んと…」メモメモ にこ「はあ…本当にこんなことで歩夢を救えるの?」
真姫「無理よ。0.04%の選択を故意につかみ取ろうだなんて…統計学で宝くじを当てるのとは話が違う」
真姫「その日の寝ぐせ、朝ごはん、交わしたあいさつの数なんかも未来に影響するのよ。あんな大雑把な計画何の意味もなさないわ」
海未「そうですよ穂乃果、そのような大雑把な計画では意味がありません」
穂乃果「う、海未ちゃん」
海未「きっちり朝ごはんから計画を練っていきましょう。私は紅鮭がいいです」
にこ「なんでやねーん!!!」
穂乃果「朝ごはんはしゃけと…」メモメモ
にこ「メモらなくていい!!!」
真姫「……はあ」 希「すっかりみんな穂乃果ちゃんのペースやね」
かすみ「そうですか?にこ先輩たちは反対みたいですけど…かすみも賛成してるわけじゃありません」
希「ならどうして音ノ木坂にきたん?」
かすみ「…!」
希「かすみちゃんも、穂乃果ちゃんを、未来を信じたいと思ったから、今日ここに来たんじゃない?」
希「にこっちや真姫ちゃんも、上辺では反対しとるように見えるけど、きっとそう。未来を信じたいから今日ここに集まった」
かすみ「こんな計画何の意味もないって分かってるのに…?」 絵里「…にこや真姫だけじゃないわ。みんな理性では、こんな計画何の意味もないと分かってる」
絵里「私も希も、穂乃果だって」
絵里「…穂乃果だって、こんなこと本気でまかり通ると思ってるなら、2ヶ月間も黙って指くわえて見てないはずよ」
絵里「みんなが諦めたから、穂乃果は立ち上がったの。何もしないまま終わらせたくないから。それがたとえどんなに滅茶苦茶な考えでも、最後まで諦めたくないから」
かすみ「……私も何もしないまま終わらせるのは嫌いです」
希「…」
かすみ「だから諦めません!」
かすみ「穂乃果先輩!私にも意見があります!!!」
穂乃果「おぉ!なになに!?」
かすみ「それはですね…」 -数週間後、西木野研究所-
穂乃果「真姫ちゃーん、穂乃果のヘルメットどれー?」
真姫「名前が書いてあるでしょ。いい加減覚えなさい」
穂乃果「あ、あったあった」
かすみ「なに?このヘルメット」
真姫「記憶保存装置よ。これをつけていれば世界線移動しても記憶がなくならない」
真姫「他の機械でも、私たちの精神はどんなことがあっても改造されないようにはしてあるんだけど、念のためね」
かすみ「何気にめちゃくちゃ怖いこと言ってない?」
凛「凛このヘルメット苦手だな…これすっごく気分が悪くなるんだもん」
花陽「私も…」
真姫「…世界線移動の際に、酷い乗り物酔いのような症状が出るから、かすみも十分気を付けて」
かすみ「えっ気を付けるって…」
凛「前、酔い止め薬のんだけど意味なかったにゃ…」
花陽「気を付けようがないってことだね…」
かすみ「……マジで?」 海未「これから世界線移動を行います。作戦は各自頭に入ってますね」
全員「はい!!!」
海未「穂乃果!移動時間暗唱!」
穂乃果「はい!歩夢ちゃんが失恋する一週間前です!」
海未「凛!一週間前に移動する理由を述べなさい!」
凛「人員確保や器材準備のための時間を十分に取るためです!」
海未「かすみ!準備期間のあなたの主な任務を述べなさい!」
かすみ「できるだけ普段の態度を装いつつ、歩夢先輩を監視することです!」
海未「よろしい!各自何か起きたらすぐに報告すること!」
全員「はい!!!」 海未「それでは真姫、お願いします」
真姫「…行くわよ」
10
絵里「こればかりは何度やってもドキドキするものね」
9
希「慣れたら慣れたで人間やめてる気がするけどなあ」
8
にこ「なーにビクビクしてるのよ。ドンと構えとけば何とかなるものよ」
7
花陽「大丈夫かなあ?花陽だけ記憶がなくなったらどうしよう…」
6
凛「凛と手を繋いでるから平気だよ!よーしいっくにゃー!!!」
5
真姫「ちょっと凛暴れないの!誤作動起こしても知らないわよ!」
4
ことり「いよいよだね」
3
海未「えぇ。いよいよです」
2
穂乃果「大丈夫!私たちならできる!かすみちゃん!!」
1
かすみ「はい!元の世界で会いましょう!!!」
0 ゴオオオオオオオ
かすみ(…!これが世界線移動…)
かすみ(世界がぐにゃぐにゃになって、上も下も分からない…)
かすみ(頭が内臓が裏返ったみたいに感じるのに、手も足もない、目がないのに景色が見えている…?)
かすみ(大丈夫。大丈夫だ。真姫ちゃんを信じるんだ。信じろ。信じろ)
Nb:eigjagoaojagapjgakvnvowajeguovdlma
かすみ「ああぁっ!!!!」ドスンッ
かすみ(…手がある、目が見える、移動成功?)
かすみ(うぅ…おえっ…気分が悪い…吐きそう)
かすみ「はあ…うぅっ…おえっ…」
かすみ「ふぅ…はぁっはぁっ…はぁ、ふぅ」
かすみ(景色も回らなくなったし、気分も落ち着いてきた…本当に乗り物酔いみたい…)
かすみ(スマホは…7月1日、午前6時24分)
かすみ「本当に戻ってきたんだ…」 -西木野研究所-
希「真姫ちゃーん、昼ごはん買って来たよ〜」
真姫「ありがとう希、そこ置いといて」カタカタ
希「それはなにしとるん?」
真姫「虹ヶ咲の監視カメラのハッキング。会社委託じゃなくて、独自のシステムでやってるみたいで助かったわ。思ったより早く終わりそう」
希「うひゃ〜真姫ちゃんの犯罪者〜」
真姫「あなたも同罪よ」
真姫「歩夢の団地のカメラはもうハックし終わったから、あとはドローン撮影の準備だけね」
希「こっちも人員確保はできたよ」
真姫「そう。やっぱ交渉は3年生に任せて正解だったわ」
希「いや〜照れるやん?」
真姫「まあ、人員確保とカメラについては元々不安はなかったけど…穂乃果たちは上手くやってるかしらね?」 -音ノ木坂-
凛「海未ちゃーん!このマットも運ぶの?」
海未「器材は多くて損はありません。運びましょう」
穂乃果「わぁいふかふかだぁ!」ポフン
海未「穂乃果!遊んでないであなたも手伝いなさい!!!」
穂乃果「遊んでないよ!試用しただけ!」
花陽「それにしても先生たちよく許可してくれたね。体育器具を貸してくれるなんて」
凛「鶴の一声だね!」
-回想-
ことり「お母さんどうしても必要なの…おねがぁい!」
理事長「使用を許可します」
5人「やったあ!」
-----------
凛「娘贔屓様様だにゃ〜」
ことり「あはは…」 -虹ヶ咲-
あなた「そういやあそこに新しいカフェが出来てたって、歩夢ちゃん言ってたよね」
あなた「今度みんなで行こうよ!」
歩夢「うん、みんなでね…」
かすみ(……今までも、歩夢先輩は先輩からの心が自分に向いてない事をずっと悩んでいたのかもしれませんね)
かすみ(その積み重ねた後ろ暗い感情が、惨劇を起こす…)
かすみ(かすみんはずっと、歩夢先輩は幼馴染で、かすみんよりずっと先輩に近くて羨ましいなと思ってたけど)
かすみ(歩夢先輩は幼馴染だからって優越性を感じてたわけじゃない…むしろ)
あなた「かすみちゃんも一緒に行こうよ」
かすみ「へ?」
あなた「カフェだよカフェ!パンケーキがおいしいんだってさ」
かすみ「えっあぁ」チラッ
歩夢「…」
かすみ「…はい」 みんなが諦めたから立ち上がったっての好き
そういう原理で動いてそうな時多いもんね かすみ「そうだ、かすみん曲の確認したいんですけどぉ。先輩、音楽室まで一緒に来てもらえませんか?」
あなた「もちろん。今から行こうか」
歩夢「じゃあ私も…」
かすみ「…」チラッ パチパチ
かすみ(しず子〜気づけ〜〜〜〜)パチパチ
しずく(えぇっ…なんか目配せされてる?私?えーーーー…)
しずく「そういえば、歩夢さん。愛さんが先ほど探されてましたよ。部室で待っていた方がいいかと…」
歩夢「えっそうなの?じゃあここにいないとだね」
かすみ(しず子ありがと〜〜〜今度ジュース奢ってあげる!)
しずく(もう、しょうがないなあ。かすみさんは) -廊下-
かすみ「ときに、先輩は歩夢先輩のことが好きですか?」
あなた「え?好きだよ?どうしたの急に」
かすみ「それは、友達としてということですか」
あなた「うん。それ以外に何かある?」
かすみ「さあどうでしょうね」
かすみ「じゃあ、歩夢先輩は先輩のこと好きだと思いますか?」
あなた「えっそれは…まあ、そうでしょう。好きじゃないと一緒にいないと思うし」
あなた「自分で言うのも恥ずかしいけど…」
かすみ「じゃあそれは、友達としての好きだと思いますか?」
あなた「?」
あなた「それはそうでしょ」
かすみ「ふぅん」 かすみ(こんなに無神経というか、察しの悪い人もいるんですよね。世の中には)
かすみ(先輩のことは好きですけど、ここまで鈍感だと多少腹立つものがありますね)
かすみ(先輩と歩夢先輩の気持ちの大きさが釣り合えば、惨劇も起きません。けど)
かすみ(人の気持ちの大きさなんて簡単に変えられないんですよね……)
あなた「かすみちゃん。今日なんか様子が変だよ?大丈夫?」
かすみ「えぇ〜?かすみんはぁいつものかわいいかすみんですよ?」
あなた「あ、うん、そうみたいだね」 -夕方、中須家-
かすみ「もしもし海未先輩?こっちは何の異常もありませんでしたよ」
海未「そのようですね。こちらも何の滞りもなく作戦を進めています」
穂乃果「いやーむしろ順調すぎて怖いくらいだよ!これはもう大成功待ったなしだよ」
海未「穂乃果あまり調子に乗ってはいけませんよ。王手の直前で軽率な行動を取るのはあなたの悪い癖です」
穂乃果「分かってるって。絶対に成功させるんだから」
かすみ「はい。絶対に歩夢先輩を助けましょう」
かすみ(歩夢先輩を助けるのは、私たちしかいない…運にも頼ってられない)
かすみ(私たちが、平和な世界をつかみ取るんだ) -6日後/夜/虹ヶ咲-
かすみ「にこせんぱーいここで大丈夫?」ズルズル
にこ「もっと左!」
かすみ「こっちですかー?」
にこ「そっちは右よ!そう!そこ!」
穂乃果「よし!できた!完成だ!」
全員「やったあ!!!」
絵里「みんなお疲れ様。いよいよ運命の日が近づこうとしてるわ」
絵里「絶対に失敗できない。気を引き締めていきましょう」
全員「はい!!!」 凛「よーし帰るにゃー!」
真姫「帰るのに気合い入れてどうするのよ」
希「…」
絵里「どうしたの?希?」
希「ううん。夜空がきれいやなあって」
ことり「そういえば、今日は七夕だね」
にこ「七夕の日に晴れるなんて、珍しいこともあるもんね」
穂乃果「みんなは何かお願い事した?」
凛「もちろん!」
花陽「私と凛ちゃんとかすみちゃんで、ショッピングモールの笹に短冊飾ったんだよ」
かすみ「高校生にもなって飾るのは恥ずかしかったですけどね…」
海未「おや、私は家の笹に飾りましたよ」
かすみ「えぇっ海未先輩が?なんか意外です」
かすみ「海未先輩は何を願ったんですか?」
海未「恐らく、かすみの願い事と同じです」ニコッ
かすみ「…!」 凛「ねえねえどれが彦星で、どれが織姫?」
真姫「あの明るいのがベガで、あっちのがアルタイル。ベガが織姫で、アルタイルが彦星」
穂乃果「うーん分かんないよーあの星?」
真姫「あれはデネブ。この3つを結んだのが夏の大三角よ」
花陽「これだけ晴れたら織姫様と彦星様もきっと出会えるね」
凛「でも昔の人も酷い話考えるよね!1年に一度しか会えないなんて。ずっと一緒にいさせてあげればいいのに。しかも雨が降ったら会えないんだよ?」
穂乃果「他の人達も助けてあげればいいのにね?穂乃果がデネブさんなら絶対2人を助けるのに」
真姫「遠すぎて助けられないんじゃない?実際地球から見て、織姫と彦星は20光年前後しか離れてないけど、デネブだけ1400光年も遠くにあるのよ」
凛「そんなに遠くにあるの!?それは無理だにゃ〜」 穂乃果「でもその分、デネブは明るいんでしょ?だったらきっとできるよ」
海未「なんですかその滅茶苦茶な理論は…」
ことり「ことりは素敵だと思ったよ?デネブさんは白鳥座だからパタパタって飛んでいけるんじゃないかな?」
穂乃果「それいい!かすみちゃんもそう思うよねえ?」
かすみ「…そうですね。いいんじゃないですか?渡り鳥ですし」ニコッ
穂乃果「よし!今日から七夕伝説は変わるよ!織姫様と彦星様はお友達のデネブさんのお陰でいつまでも仲良く暮らしましたとさ!」 世代交代を2度も見てきた者達だからな
面構えが違う
世界間移動も容易い 夏の大三角って見ると君の知らない物語がまっさきに浮かぶ -7月8日/運命の日-
真姫「かすみ聞こえる?こちらは真姫です。どうぞ」(監視カメラで覗いている)
かすみ「こちらかすみです。どーぞ」
真姫「歩夢が部室に近づいてきてる。教室で待機しておいて。どうぞ」
かすみ「了解です」
璃奈『スクールアイドルがスキャンダル?』
海未「…!始まりました」
愛『愛さんは別にスクールアイドルしてるうちは、そういうんはいいんだけどさ〜』
愛『そういう君はどうなの?ほら歩夢とかさ』
歩夢『!』
あなた『えぇっ!?歩夢ちゃんはそういうのじゃないよ。ただの幼馴染だよ』
歩夢『…そっか、そうなんだ、そうなんだね…』トボトボ --------
歩夢「うぅっ…グスッ…あぁっ…」ポロポロ
かすみ「歩夢先輩?」
歩夢「か、かすみっ…ちゃん…」ポロポロ
かすみ「…どうしたんですか、そんなに泣いて」
かすみ(脳裏に焼き付いて離れなかった、あの時と同じ顔…)
歩夢 「なんでもないっ…なんでもないから…大丈夫だからっ…」グズッ ---------
歩夢「ありがとうかすみちゃん…ちょっと落ち着いた」
かすみ「…なにがあったか話せますか?」
かすみ(話さなくていい)
歩夢「…そういうのじゃないって言われたの……」
かすみ「そういうのって…」
歩夢「恋愛対象として見れないって、あの子に、」
かすみ「先輩に…?」
歩夢「…」コクリ
かすみ「そうですか…」
かすみ(知ってる。全部知ってる。その弱弱しく震える肩も、涙のわけも、ぐしゃぐしゃの泣き顔も)
かすみ「先輩、帰りましょう」
歩夢「でも、部活が…あの子と帰る約束が」
かすみ「いいんです。今日はいいんです。だから帰りましょう」 -歩夢の団地-
絵里「かすみ…辛いでしょうね」
海未「はい…」
海未「真姫…こちら海未です。準備が整いました。どうぞ」 -歩夢家-
歩夢「かすみちゃん家まで送ってくれてありがとう」
かすみ「これくらいどうってことないですよ」
歩夢「ううん…本当に」
歩夢「じゃあまた…」
かすみ「はい…また明日」ガチャバタン
かすみ「…」
かすみ「…信じるんだ」ダッ -歩夢の部屋-
歩夢「なんでこんなことになっちゃったんだろう…」
歩夢(私はあの子がこんなに好きなのに。なんであの子は私を見てくれないの?)
歩夢(こんなに近くにいるのに、どうして、どうして…)
歩夢「どうして……」
歩夢「こんなことになるくらいなら……いっそ…」
歩夢「出会わなければよかったのに…」
歩夢「あっ…うぅっ…あああああ…あああああああああああああ」
歩夢「うわあああああああああああああああああああああああああああああ」 -18時-
歩夢「…」ムクッ
歩夢「…あぁ、いつの間にか寝てたんだ…」
歩夢(…お母さんもまだ帰ってきてない…)
スマホ「」ピコン
『××:歩夢ちゃん大丈夫?』『××がスタンプを送信しました』
歩夢「…」
歩夢「…」スクッ -屋上-
ガチャ キコキコ バタン
歩夢「ふぅやっと開いた」
歩夢「…ここの鍵、ヘアピンを上手く入れれば開くんだってあなたが教えてくれたよね」
歩夢「ふふっ懐かしいな。ねぇ覚えてる?幼稚園の頃あなたとここに忍び込んで、お母さんたちにこっぴどく叱られたこと」
歩夢「あの時と一緒、夏なのに風が心地いい」
歩夢「覚えてない?…ひどいよぉ。私たちの思い出、大切な思い出、ずっと覚えててほしいな」
歩夢「ねえ、ここから飛び降りれば、あなたも私のことずっとずっと忘れないでいてくれるかな」
歩夢「本当?よかったぁ…」
歩夢「…じゃあ行くね」
歩夢が柵に足を掛けようとしたした瞬間だった。
「なにやってるんですか!!!」 歩夢「!」
歩夢「…か、すみ、ちゃん」
かすみ「何してるんですかっ…こんな所で」
歩夢「どうしてここに…」
かすみ「歩夢先輩が心配になって戻ってきたんですよっ…そしたらっ…屋上に人影がっ」ゼエゼエ
歩夢「そっかあ大丈夫、星を見てただけだよ」
かすみ「下手な嘘つかないでください。こんなに曇ってるのに」
歩夢「…」
かすみ「先輩、早まったらダメです」
歩夢「邪魔しないでよ」
かすみ「…!」
歩夢「かすみちゃんはいい子だから分かるでしょ?」
歩夢「私が今ここで死ねばあの子は私のことを一生忘れない。これはそういう儀式なの」
歩夢「だから邪魔しないで」
かすみ「…聞けませんね」
歩夢「…そう。どうでもいいや。じゃあ私行くね」グッ かすみ「っ!ダメです!!!」ダッ
歩夢「やっ離して!離して!!!」
かすみ「絶対に離しません!先輩!こんなことして先輩が喜ぶとでも思ってるんですか!?」
歩夢「そんなのどうでもいい!私はあの子に覚えてて貰えればそれでいいの!!!」
かすみ「覚えてて貰っても!死んだら、全部、お終いです!」
かすみ「先輩生きてください!生きてっ…私たちと夢を、叶えるんです!」
歩夢「うるさい!そんな言葉聞きたくない!」ガンッ
かすみ「あぁっ!!!」
かすみ(柵が、壊れ、)
かすみ(あ、ヤバい、わたし、落ちた)
パァンとまるで銃の発砲されたような音が、団地に響き渡った。 歩夢「えっ…」
歩夢「うそ…かすみちゃんが…死ん…」
「おい!なんだ今の音!?」
「女の子が!女の子が倒れてる!」
「救急車は!?」
「今電話してる!!!」
歩夢「嘘だ、嘘だ嘘だ嘘だ!」
歩夢が階段を駆け下る。団地の中庭にかすみが倒れている。血が、体から大量の血が。
歩夢「どいて!どいて下さい!その子、私の友人なんです!!!」
歩夢「かすみちゃん、嘘っ…ねえかすみちゃん、目を開けて!かすみちゃん!」
「救急車が来たぞ!道を開けろ!!!」
「頭を動かすな!せーの!」「出血多量だ。急げ!!!」「電話した人はどなたですか?」
「君はこの子の友達?なら一緒に救急車乗って!」
歩夢「は、はい!」
歩夢(それから、色々な事を聞かれ、かすみちゃんは総合病院の手術室に運ばれました)
歩夢(でも、私はパニックに陥っていて、その時のことはほとんど記憶していません) -手術室前-
歩夢(…おねがい。かすみちゃん、生きて…!)
歩夢(お願いです神様。かすみちゃんをどうか助けてください…)
ガラララッ
医師「…」
かすみ親「先生!手術は、かすみはどうなったんですか!?」
医師「手術は成功です」ニコッ
かすみ親「あぁっ!良かった…本当に良かった…!」
医師「麻酔が切れれば意識も回復するでしょう。後遺症の心配もありません」
かすみ親「先生ありがとうございます。なんとお礼を申し上げればよいか…!」
そして、ストレッチャーに乗せられたかすみちゃんが看護師さんたちに運ばれて、手術室から出てきました。
歩夢「…!かすみちゃん…」
かすみ「…あゆむ、せんぱい?」
歩夢「ごめんね、ごめんね」ポロポロ
かすみ「…泣かないで」
歩夢「うんっ…」ポロポロ
そう言って、かすみちゃんはまた静かに目を閉じました。 -病室-
「もしもーし!」コンコン
かすみ「はーい」
あなた「失礼しまーす!」
愛「よっすかすみん!元気してる〜?してなさそうだね〜」
かすみ「出会い頭になんですかその軽口は。怪我してるだけで元気です!」
しずく「本当に元気そうですね、屋上から落ちたとは思えないくらい…」
かすみ「いや〜、お医者さんにあの高さから落ちてこの負傷度は奇跡だって言われちゃいましたよ〜」
せつ菜「頭部打撲と、右腕骨折、あと右足の太い血管を切ったんでしたっけ?」
果林「それでも十分痛々しいけどね…想像するだけで顔が歪むわ…」
璃奈「璃奈ちゃんボード『苦渋』」
エマ「災難だったねえ。屋上の柵が老朽化してたなんて」
彼方「そういや、どうして屋上なんかにいたの?」
かすみ「それがですね『μ’sやAqoursみたいに屋上で練習してみたい』ってかすみんが言ったら」
かすみ「歩夢先輩が『じゃあうちの団地の屋上に行ってみる?』と言ってくれて流れで…」
しずく「……馬鹿なの?」
愛「馬鹿だね〜」
璃奈「馬鹿だ」
かすみ「そんなみんなして馬鹿馬鹿言わなくてもいいじゃないですかあ!」 あなた「まあまあ、かすみちゃんも歩夢ちゃんも反省してるみたいだし…」
せつ菜「…そういえば、歩夢さんは…?」
あなた「…この事故でだいぶ責任感じちゃってるみたいで、みんなに顔合わせづらいって…」
エマ「まあこればかりはしょうがないよ」
彼方「大丈夫、こういうことは相場時間が解決してくれるものって決まってるんだよ」
あなた「そうだといいんだけど…」 --------
かすみ「ふぅ、みなさん色んなものを置いていきましたね…果物にクッキー、駄菓子、クレヨン、積み木…」
かすみ「なんか最後の方のラインナップ馬鹿にされてませんかね?」
希「いい友達やん?」
かすみ「ひゃん!」
かすみ「の、希先輩、いたんですか!?」
希「ちゃんとノックして入ったよ〜?」
穂乃果「お見舞い第二弾でーす」ウヒヒ
凛「ジュースとお菓子持って来たよ!」ニシシ
花陽「ご飯もね!」パナッ
かすみ「はぁ…まったくぅ、人気すぎるのも困りものですね」ニヤリ -病院に隣接された西木野宅-
にこ「じゃあ、作戦成功を祝って」
全員「かんぱーい!」
穂乃果「いや〜大大大成功だったね!為せば成るもんだね!」
かすみ「やっぱり、かすみんの天才的な案が功を奏したってことですよ!」
海未「最初、それを聞いたときは自分の耳を疑いましたけどね…」 -回想-
-歩夢ちゃんを助けよう大作戦大会議-
かすみ「ちょっと待ってください。確か『歩夢先輩を止めようとしたかすみんが死んでしまう確率』が25%でしたよね」
真姫「えぇ」
かすみ「言い換えると『かすみんが死んだことで歩夢先輩が自殺他殺を諦める確率」が25%ってことじゃないですか?」
真姫「まさか、自分が死ねばすべて解決するとでも言うんじゃないでしょうね」
かすみ「違いますよ!これってつまり、かすみんの死が歩夢先輩の正気を取り戻させるってことでしょ!?」
かすみ「だったら、かすみんが死ぬと同じくらい衝撃的な事が起きれば…」
真姫「…歩夢は正気を取り戻す!!!」
絵里「でも人の死に等しいほどの衝撃なんて…」
真姫「…死んだふり、いや…」
絵里「死を覚悟するような大怪我…」
穂乃果「???どういうこと?」
海未「『かすみが死んで歩夢が元に戻るなら、かすみが死にかけても歩夢は元に戻る』ということです!」
凛「よく分かんないけど、つまり『歩夢ちゃんの目の前で、かすみちゃんが大怪我すればいい』ってこと?」
真姫「そう!でも、かすみを大怪我させるわけには…」
希「『歩夢ちゃんの目の前で、かすみちゃんが大怪我したように見せかける』」
かすみ「…!」
かすみ「やりましょう!それしかありません!!!」 -------
真姫「今考えると、あの時の私たちどうかしてたと思うわ…」
にこ「まったく、虹ヶ咲や団地にマット運んだり、偽の救急隊員雇ったり、エキストラまで雇って…ほんと大変だったわ」
凛「凛なんか橋に落下防止ネット取り付けたんだからね!結局使わなかったし…」
海未「全ての事件スポットで事故対策を行いましたからね…」
ことり「ことりは血のり調合するの楽しかったよ?」
花陽「あれも大変だったよね…業務用の血のりは匂いでバレるからって、合成着色料で1から作って」
穂乃果「穂乃果血のりが背中についてたみたいで、帰ったらお母さん泡吹いて倒れちゃったよ」
絵里「真姫のお父さんもよく病院の使用許可出してくれたわよね」
真姫「日頃の行いよ」クルクル
かすみ「まあ一番の功労者は、名役者かすみんですけどね〜」
希「うちには演技やなくて、心からの叫びに見えたけどなあ」
凛「泣かないで…のあたりなんか凛ちょっと涙ぐんじゃったよ〜」
かすみ「なっ見てたんですか!?」
穂乃果「いや〜友情って素晴らしいなあ!」
かすみ「ちょっとぉ!からかわないでください!」
にこ「ぷぷっ」
「「「あはははははは!!!」」」
それはとても、とても、楽しい宴会でした。みんなの笑い声が重なり合って、途切れないほど、楽しい楽しい夜でした。 作戦成功の祝い〜回想シーンでススメトゥモロウ流れてそれっぽくなってほっこりした -7月11日/病室-
コンコン
かすみ「はーいどうぞー」
歩夢「…」
かすみ「…!歩夢先輩。久しぶりですねぇ。かわいいかわいい後輩に会いたくなっちゃいましたかぁ?」
歩夢「…ごめんなさい。私のせいでこんなことになって」
かすみ「…」
歩夢「謝っても許されることじゃないって分かってる」
歩夢「あの時の私どうかしてた。黒い感情に呑み込まれて、飛び降りなんて…」
歩夢「かすみちゃんにも酷いこと言って、こんな大怪我させて」
かすみ「いいんですよ」
かすみ「かすみん酷いこと言われたなんて思ってませんし?怪我だって時間が経てば治ります」
かすみ(そもそも本当は怪我してませんし…) 歩夢「でも…」
かすみ「…かすみんは怪我なんかより、歩夢先輩の苦しそうな顔を見る方が、ずっとつらいです」
かすみ「だからいいんです」
歩夢「……どうしてそんなに優しいの…おかしいよ」
かすみ「…歩夢先輩のことが大切だから」
かすみ「大切な人が泣いていたら、私も苦しい」ニヘッ
歩夢「…!」
かすみ「先輩が泣いていたらかすみんは苦しいんです」
歩夢「…私が死んでも苦しい?」
かすみ「自分が死ぬより、苦しいです」 ---------
歩夢「私ね、あの時、こんな思いをするくらいなら、あの子と出会わなければ良かったって思ったの」
歩夢「こんな思い出消えてしまえって…思ってた」
かすみ「…それは今も?」
歩夢「ううん。あの子との思いで何一つ忘れたくない」
歩夢「たとえ、あの子が何一つ覚えていなくても…」
歩夢「それが私にとってどんなに辛い事実だとしても…」
かすみ(人の記憶は便利だ。悲しいことは勝手に消えてしまい、未来に進むようにできている)
かすみ(それがどういうわけか、この人には悲しい記憶も楽しい記憶もすべて覚えていられるような力があって)
かすみ(それが、自分自身を追い詰め、傷つけている) かすみ「ねえ先輩、今はどんなにあの人との心の大きさが違っても、絶望する必要はないと、私は思うんです」
かすみ「少しずつ、少しずつ、心の大きさを近づけていけば、きっと」
歩夢「…そんなことできるかな」
かすみ「…確かに、人の心なんて簡単に変えることはできません。自分の心も、他人の心も…」
かすみ「だから、かすみんも協力します」
歩夢「!」
かすみ「ねえ、いいでしょう?」
歩夢「うん…」
歩夢「ありがとう。かすみちゃん」 -1週間後/とあるファミレス-
かすみ「せんぱ〜い♡かわいい後輩がドリンクバー取ってきましたよ〜」
しずく「車椅子押してるのは私だけどね」
かすみ「かすみん特製ドリンクです♡」
璃奈「運んでるのは私だけどね」
愛「ありがとね〜ってこれ本当にコーラ?」
かすみ「別に麦茶なんて混ぜてませんよ〜」
愛「コラ!悪戯ばっかしちゃダメでしょ!コーラだけに」
かすみ「はいはい。それで歩夢先輩がこれ」
彼方「うわー明らかになんか混ぜた色してるねぇ」
歩夢「…!」
歩夢(私のいつものやつだ…かすみちゃんいつの間に覚えててくれたんだ」
歩夢「えへへ、ありがとうかすみちゃん!」
かすみ「へへん!かすみんはできる後輩なので」
みんな「?」 -音ノ木坂-
穂乃果「うーん今日もパンがうまい!」パクッ
凛「あー!いつもと違うパン食べてるー!いいないいなー!」
ことり「かすみちゃんからこの前のお礼だって貰ったの。手作りなんだって」
海未「凛の分もありますよ。ほら」
凛「わ〜猫ちゃんの形のパン!かわいいにゃ〜」
花陽「花陽のは米粉パンなんだよ。みんなに違うパン作ってくれたんだって!」
にこ「案外あいつも律儀なところがあるのね」モグモグ
絵里「ん、おいしい!これは10ハラショーね!」
にこ「なによ10ハラショーって…」 真姫「…」
希「どしたん?小難しい顔して」
真姫「ちょっと考え事」
真姫「…結局、かすみがあの世界で幼馴染だった理由ってなんだったのかしらね」
希「うーん、これはうちの憶測やけどね」
希「あれは歩夢ちゃんからのSOSだったんじゃないかな?」
希「かすみちゃんだけ元の世界の記憶があったのも、かすみちゃんが幼馴染に抜擢されたのも」
希「歩夢ちゃんの『かすみちゃん助けて!』って深層心理が世界改変に影響したんだと思うんよ」
真姫「…それが真相なら歩夢もまったくワガママなベガね」
真姫「穂乃果、私の分のパン取ってくれる?」
穂乃果「はいはーい!」
穂乃果「あー今日もいい天気でパンがうまい!」 -ファミレス-
あなた「そういえば、ちょっと前に言ってたあのカフェ来週の日曜に行かない?部活も休みだし」
かすみ「!」
歩夢「私は大丈夫だよ」
かすみ「かすみんはその日忙しいのでパスでーす」
かすみ「…」ヒジチョイチョイ
しずく(えっまた私…?)
しずく「えー、私もその日ボイトレなどがあるので少し…」
愛「!」ピコン
愛「愛さんもパス!バスケ部の助っ人があるからさ!んでんで、りなりーも愛さんの応援に来ないといけないからパスね!」
璃奈「え?」(そんな約束したっけ?…まあいっか)
せつ菜「私も生徒会の仕事が立て込んでるので…」
彼方「彼方ちゃんも寝るので忙しいかな〜」
エマ「じゃあ私はえっとねー」
果林「動物園はどう?」
エマ「果林ちゃんと動物園に行くからパス!」
かすみ「あれれ〜みんなスケジュールが合わないみたいですね〜」(すっとぼけ)
あなた「うーん残念だなあ…じゃあ歩夢ちゃんと2人で行ってくるね」
歩夢「ほんと?」
歩夢「うれしいな。あなたと2人きりで出かけるなんて」
かすみ(うんうん。これでいいんです。今は距離があっても…これでいい) しずく「そういえばかすみさん。今日遅れて来たけど、病院にでも行ってたの?」
かすみ「え?ううん?音ノ木坂に行ってたんだよ」
歩夢「音ノ木坂に?めずらしいね。どうして?」
かすみ「えっと、スクールアイドルのBDをにこ先輩に貸しに行ったんですよ」
歩夢「そっか。そうなんだ。私もそのBD見てみたいな」
かすみ「え?歩夢先輩が?」
歩夢「うん!だってかすみちゃんのことは全部知りたいもん!」
かすみ「ふぅん。じゃあ今度先輩にも貸してあげますよ」
かすみ「……ん?」
-終幕- 最後まで読んでくださった方ありがとうございました。 ほ〜〜
後日談まで含めてとても良かった
読みやすいボリュームで内容もまとまってて素晴らしかったです 乙でした 160のところとか凄く良かった
あと細かいところでスクスタのエピソードをよく読んでるなって感心しました
ぜひ他のメンバーでもまだ読んでみたい 途中から自分で書いてて面白いか分からなくなってきたので、面白いと言っていただいて嬉しいです
しばらくしたら他キャラで書いてみたいのですが。どれが良いか意見を聞かせてもらえませんか
・穂乃果が中川家にやってくるss
・幽霊が見える梨子ちゃんのss
・花丸ちゃんのドッペルゲンガーのss
・果林ちゃんが幼児になるss
・しずくがメイド喫茶で働くss 心霊系好きだから幽霊かドッペル優先してほしいかなー 面白かった
スクスタのおかげでグループ別の交流がよく見れて嬉しい 穂乃果ちゃんが中川家に行くのは想像が付かないな
一番斬新だと思う 穂乃果のやつでおなしゃす!
なんなら全部おなしゃす! 貴重な意見ありがとうございます
穂乃果のから書きます 前向きできれいな終わり方で凄くよかった……
穂乃果ちゃんのSSも楽しみ 某所からよっしゃ扱き下ろしてやらぁ!と思ってきたけど、細かい言い回しとか言葉選びのケアレスラインぐらいの誤差ポイントしか特に気になるところなかった
乙 ほのせつssはまたスレを立て直して書くのでこのスレは落としてください
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