絵里「私は真姫が放っておけない」
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希「えりち随分楽しそうやん」
絵里「えっ?そうかしら?」
希「ふふっ、自分で気が付いてなかったん?」
絵里「明日のライブ、楽しみなのは楽しみなんだけど、顔に出てた?」
希「ちょーっと前のえりちからは考えられん表情やん」
絵里「怒るわよ…」 希「えりちこわーい」
絵里「もう…希…」
希「冗談冗談」
希「明日も早いし、ウチは先に帰るね」
絵里「お疲れ様。また明日ね」 絵里(全く…希ったら……)
絵里(でも、そう…)
絵里(私、ステージに立つことが楽しみなのね) 絵里(笑っちゃうわね)
絵里(私にとって、ステージは負の象徴でしかなかったのよ)
絵里(本気で努力して、もがいてあがいても)
絵里(私は何も成し遂げられなかった)
絵里(どれだけ私がちっぽけな人間かって良く思い知らされたわ)
絵里(今でも、たまに夢に見ちゃう…ぐらいには) 絵里(だから分かる)
絵里(ステージに立って楽しいのは最初だけ…)
絵里(最初は結果が出てどんどん前に進めて一番楽しい時間だと思う) 絵里(でも、ある日突然壁にぶつかって)
絵里(そこから先は茨の道…)
絵里(もがいてももがいても傷つくばかりで)
絵里(行くつく場所は奈落の底…なんてね) 絵里(結局、昔の私は結果しか求めなくなってしまって)
絵里(好きなものの本質を見失ってたのね)
絵里(今思い返すとよく分かる)
絵里(私は、段々ステージに立つことが怖くなっていったんだって)
絵里(練習に行くのも怖くなって)
絵里(本番に近づくにつれて、何もかもが嫌になって…) 絵里(でも、そんな私も、今じゃ顔に出るぐらい楽しみなんて…笑っちゃうわ)
絵里(まあ、希にも理事長にも言われたけど)
絵里(私が何をしたいのかって言われたら、もう一度ステージに立って踊りたいの)
絵里(こんな気持ちになったのはいつ以来かしら) 絵里(本来なら、私は結果しか求めちゃいけない立場…)
絵里(大げさかもしれないけど、今後の学園がどうなるのかは私たちにかかっている…)
絵里(もし、失敗して学校を守れなかったらって思うと)
絵里(生徒会長として、この選択は正しいものはなくて)
絵里(最悪な選択肢を選んでしまったのだと思う) 絵里(でも、私は変わりたいと)
絵里(もう一度、昔みたいにステージに立ちたいと願ってしまったから)
絵里(私は、私の為に踊るの)
絵里(結果を残すんじゃなくて、私がこうしたいと思ったから踊るの) 絵里(正直、ブランクもあるし昔の私の方が上手く踊れると思うわ)
絵里(でも、明日ステージに立った時)
絵里(昔、なりたかった私に近いのは、今の私)
絵里(だって、今が最高に楽しいんだもの)
絵里(私が憧れていて、嫉妬していた人たちはみんな)
絵里(ステージで楽しそうに踊っていたんだから…!) 絵里(これからは、私が失っていたものを、取り戻しに行くの)
絵里(上手に踊るわけでもなく、綺麗に表現をするのでもなく)
絵里(誰かに評価されたいわけじゃなく)
絵里(私は、私が踊りたいから)
絵里(その為だけにステージに上がるの) 絵里(……なんて、流石にそこまでは吹っ切れてないわ)
絵里(もちろん、大好きな学校を守りたいし)
絵里(他にもこうしていいのかって悩みは数えきれないぐらいあるけど)
絵里(でも、一つだけ言えるのは)
絵里(ステージに上がる前抑えられないこの高揚感をまた感じられて)
絵里(顔にも出てしまっているぐらい明日が楽しみなのは)
絵里(私の選択は間違えでなかった…と思う) 絵里(って、感傷に浸ってる場合じゃないわね…)
絵里(さあ、私も帰って準備を…あら音楽室からピアノ…?) 花陽「真姫ちゃん、明日のライブ楽しみだね」
真姫「べ…別に普通よ」
凛「そんな事ないよー」
凛「だって、今日の真姫ちゃん、いつもより笑顔だもん」
真姫「はっ…はぁ?意味わかんない!」 凛「ふふーん。凛にはわかっちゃうもーん」
真姫「はぁ…ホント意味わかんない」
真姫「って、そういえば」
花陽「どうしたの?」
真姫「音楽室に忘れ物しちゃったわ」 真姫(…)
真姫(ごめんね、二人とも)
真姫(音楽室に忘れ物なんてしてないの)
真姫(ただ、なんとなく)
真姫(一人でピアノを弾きたくなっただけなのよ) 真姫(昔とは少し違うけど、ステージに立つのは好き…なのよね)
真姫(単純にピアノを弾くことが好きって事もあったけど)
真姫(普段忙しいパパとママが見に来てくれるって事もあったから余計に楽しみだった)
真姫(でも、まあ、見に来てくれていたのは私の演奏を楽しみにしていたわけじゃなくて)
真姫(いつの間にか、二人とも発表会に来なくなって)
真姫(ピアノを弾いている私よりも)
真姫(勉強をしている私の方が、パパとママは好きなんだって気が付いて)
真姫(私は、ステージに立たなくなったの) 真姫(それでも一人で気が向くままに弾いていればいいなんて思っていたけど)
真姫(ある日穂乃果に見つかって、気が付いたら曲を作らされて)
真姫(正直、意味わかんないことだらけだったけど)
真姫(やっぱり、私はピアノが音楽が大好きなんだって)
真姫(私は、病院の後を継ぐことになるんだからって)
真姫(どこかに押し込めていた気持ちが、爆発して)
真姫(今は、ステージで演奏じゃないけど)
真姫(私の作った曲で歌って踊る事が、この上なく楽しみなのよね) 真姫(凛って、たまにするどいところがあるから気が付かれちゃったみたいだけど)
真姫(そりゃ、私の作った曲をみんなと披露できるんだもの)
真姫(楽しみに決まっているじゃない…!)
真姫(それでも、たまにはこうして一人でピアノを弾きたくなるわけで…って) 真姫「うえっ」
絵里「あら、真姫」
絵里「こんな時間まで練習なんて気合十分じゃない」クスクス
真姫「べ…別に、普通よっ!普通!」
絵里「ふふっ、ちゃんと分ってるわよ」
真姫「意味わかんないっ」 絵里(たまに思ってしまうのだけど)
絵里(真姫はこのまま、お医者さんにしてしまうのは惜しいなと)
絵里(もし、このまま、音楽の道へすすんだら……) 真姫(絵里にもいろいろ事情があったと思うけど)
真姫(もし、絵里がバレエを続けていたら)
真姫(なんて、思うのは良くない事なのかもしれないけど…) ――――ああ、そうね
なんとなく真姫の事を放っておけないのは
絵里のおせっかいがより一層うっとうしく感じるのは
………そういう事……ね… 乙です
絵里のバレエ時代が上手く結びつけられててよ良かった 本編補完系SS好き
えりまきも互いに思うところありそうだよね ■ このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています