千歌「世界の半分なんていらないからよーちゃんを返してよっ!」
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〜うらのほし村〜
千歌「ねぇ、よーちゃん」
曜「なぁに?千歌ちゃん」
千歌「退屈だね〜。ひまだよね?」
曜「まぁ、そうだね。今日も平和だよね」
千歌「なにか凄いこと起こらないかなぁ?」
曜「………うーん、それならさ」
* * *
梨子「……ちゃん、千歌ちゃん!千歌ちゃんってば!」
千歌「……はっ」ビク
梨子「どうしたのよ、ぼーっとして…。大丈夫?」 千歌「だ、大丈夫…」
梨子「もう。しっかりして、お水持ってきてもらいましょうか?」
千歌「平気だってば!私、お酒飲んでないもん」
梨子「え?そうなの…これジュースなのね」
千歌「うん…。なんかこういう所って、お酒に飲まれそうで怖くて」
千歌(ここはヌマヅの街)
千歌(この辺じゃ結構都会の街で、小さいけどカジノなんてものもある)
千歌(私はとある理由でうらのほし村を出て、この街へたどり着いた…んだけど)
梨子「酒場に行きたいって言うから案内したのに、お酒飲まないなんて…」
千歌「ねぇ、梨子ちゃんはさ、色んな所を旅してるんだったよね?」 梨子「へっ?う、うん…一応ね」
千歌「じゃあさ、この街で何が起こってるか知りたい時はどうするの?」
梨子「それは……そうね。人が集まるところに行くかな。例えば…こういう」
千歌「酒場、とか?」
梨子「……あなた、何が目的なの?田舎から観光に来たって聞いたから私は」
千歌「…ごめん。私ね、ほんとは幼なじみ探してるんだ。この街に来たのも観光なんかじゃなくて…いま世界で何が起こってるのか知りたくて」
梨子「……色々、訳アリなのね」
千歌「だから、お願いっ!梨子ちゃんっ」グイッ
梨子「ふぇっ!?//」 千歌「梨子ちゃんが色々知ってること、教えて欲しいんだっ」
梨子「そ、それくらいなら……//」
千歌「私の幼なじみの名前、よーちゃんって言うんだけど。そんな人、知らない?」
梨子「さぁ…。世界は広いし、わからないわね。女の子?」
千歌「うん。そっか…ありがとう。酒場にいる他の人にも聞き回ってくるね!」ガタッ
梨子「え!?あぁ、ちょっと…!」
千歌「あのっ、よーちゃんって人のこと、知りませんかっ!」
大男「…ぁ゛!?」
千歌「…ぇ、ぁ、えっと…その」
大男「なんだお前!?こんな小娘が酒場で何やってんだ!」 梨子(ちょっとちょっとぉ…!!千歌ちゃぁん…!いきなり酒場のボスっぽい人に話しかけるなんて…!)
千歌「わ、私はただよーちゃんの事を聞きたいだけで…っ」
大男「物事には順序があるってやつをいま教えてやるよ!!オラァっ!!」ブンッ
梨子「ち、千歌ちゃんっ…!あぁもうっ」
梨子(なりふり構ってられない…。こうなったら)スチャッ
??「フンっ!」バギッ
大男「ゥグルァァァァ!?」ゴホッ
千歌「あ、あれ…。いたく、ない…?」
果南「千歌、こんな所でなにやってんのさ」
千歌「果南ちゃんっ!?」
梨子(えぇぇぇぇぇ!!あの大男を一撃で…) 果南「何って…ここ、酒場でしょ?依頼を受けるにはうってつけだから」
千歌「依頼…?」
果南「うらのほし村を出てから私はこうやって生きてたんだ。賞金稼ぎとしてね」
梨子(この子、こんな人とも知り合いなの…)
果南「それで、さっきの話だけど。曜がいなくなったって?」
千歌「…1年くらい前に。いつか帰ってくるって信じてたけど、もう待ってられなくなったの」
果南「……そっか。私の方でも色々調べてみるよ。でも千歌、旅するなら手に職はつけないと最悪死んじゃうよ」
千歌「…ふぇ?」
果南「さ、そこのカウンターにいるお姉さんに話してきて。とりあえず冒険者ギルドに入れてもらうのが早いよ」 お姉さん「こんにちは、冒険者ギルドへようこそ。この近辺の依頼をお探しですか?」
果南「いいや、この子を登録してあげて欲しいんだけど」
お姉さん「わかりました。登録手数料は300ラブカです」
千歌「えっ?お金とるの!?」
果南「今は私が払っとくよ。またいつか返してくれればいいからさ」
お姉さん「ありがとうございます。千歌さん、ですね。職業はどうされますか?」
千歌「えーっと…職業……ウォーリアと、メイジ?」
果南「千歌は体動かすのと、頭使うのどっちが好き?」
千歌「んーと…考えるのはちょっと苦手…かなぁ」
お姉さん「では、ウォーリアをオススメします。こちらは冒険手帳と短剣です。良い冒険を」
千歌「あ、ありがとうございます…」 果南「んーと…そうだね、まずはさ、この近くで経験を積んだ方がいいかなん。そこの子と一緒にさ」
梨子「え!?い、いや私は音楽家なので…そういうのはちょっと」
果南「へ〜。音楽家ねぇ。さっき杖っぽいのを構えてたような気がするんだけど?」
梨子(うそ…この人、あの一瞬で)
千歌「梨子ちゃんって、魔法使えるの!?」グイッ
梨子「わっ、私は…その…//」
千歌「すごいすごい!!ありがとう、梨子ちゃんっ」ニコッ
梨子「っ……、ぐっ」チラッ
果南「〜〜〜♪」
梨子(はめられた……)
千歌「私、いっぱい頑張るから…!改めてよろしくね、梨子ちゃん!」 千歌「え〜〜いっ!!」ポカッ
マルムー「クェェェ…」クタ
千歌「やったやったぁ!!梨子ちゃんっ、倒したよー!」
梨子「え、えぇ…。おめでとう、千歌ちゃん」
梨子(それはマルムー。ネコより少し大きい、イタチのような姿をしたどこにでも居る無害なモンスター。だから、誰でも倒せる…んだけど)
千歌「わーいっ!今夜はご馳走食べられるかな!?」
梨子(…喜んでる千歌ちゃんに悪いわね。黙っておきましょう)ニコ
梨子「千歌ちゃん、モンスター狩りもいいんだけど…もう夜よ?そろそろ寝床を探さないと…」
千歌「へ?そんなのここら辺で寝れば良くない?」 梨子「…え?」
千歌「だって、そこの草むらなんてフカフカであったかそうだよ?」
梨子「の、野宿…??」
千歌「野宿ってなぁに?」
梨子(ダメだわ…!!私と感性がまるで違うっ)
千歌「もう夜だし、今から街を探すなんて無理だと思わない?ほら、ここで寝ようよ〜」
梨子(本気なのね……。流石うらのほし村の出身…)ゾクッ
千歌「は〜〜〜疲れたぁ。おやすみ梨子ちゃんっ」ゴロン
梨子「……おやすみ…」
梨子(はぁ…。ほんとに、なんでこんなことに…)
梨子(後から知った事だけど、果南さんは千歌ちゃんの幼なじみで早くから村を出て賞金稼ぎをしていたみたい。それも、結構有名な人)
梨子(千歌ちゃんがそこまで「よーちゃん」って人に拘る理由って、なんだろう…)
??「あら、女の子2人がこんな所で寝ていたら危ないわよ?」 梨子「…!?」ガバッ
??「ふふっ。ごめんなさい、起こしちゃった?」
梨子「ち、千歌ちゃん…!起きてっ」
千歌「ん〜……むにゃむにゃ…な〜に…?」ゴシゴシ
あんじゅ「こんばんは。私はあんじゅ、この先の街に住んでいるのだけれど…。もし寝るところがないなら場所くらいは用意できるわよ?」
梨子「えっ、良いんですか…??」
あんじゅ「もちろん。私、可愛い女の子に目がないの。最近は人攫いが出るらしいし物騒よ。どうかしら?」
梨子(でも、そんな…悪いわよね)
千歌「ほんと?いいの?お願いしまーすっ!!」
梨子(え、遠慮ってものを知らないのね…千歌ちゃん)
あんじゅ「構わないわよ。さ、馬車に乗って?お屋敷までもうすぐだから」 ■ このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています