果南「あの日」ダイヤ「あの時の」鞠莉「3年生」
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3年生がゆるゆるとヴェネツィアを旅行する
映画の前日譚&裏側的なお話
時系列は深く考えてません Chapter1「水の都」
鞠莉「ヴェネツィアに到着でーす!」
ダイヤ「何だか不思議な感覚ですわね」
ダイヤ「外国の方でいっぱいですし、街のいたる所に外国語が書いてあるのですから」
果南「あはは、ずっと日本で育ったからねー」
鞠莉「というかこっちの人からしたら私達の方が外国の人よ?」
ダイヤ「まぁそれもそうですが」
果南「で、これからどうするの?」
鞠莉「んー、ひとまずは予定通り観光しましょ」
ダイヤ「そんなに悠長でよろしいのですか?」
鞠莉「ちょっとは時間を稼げてると思うからねー」
鞠莉「少しくらいは羽根を伸ばしても問題ナッシングでーす!」
果南「ほんとかな……」
鞠莉「ま、いざという時の為にこの街を知っておく必要もあるでしょ?」
ダイヤ「確かにそうですわね」 鞠莉「それに、元々は私達の卒業旅行なんだから」
鞠莉「ちょーーっと余計な目的は増えたけど、エンジョイ出来る時はエンジョイしないと!」
果南「ん、そうだね」
ダイヤ「鞠莉さんがそう言うのであれば」
鞠莉「そうと決まれば――こほん」
鞠莉「今、私達が立っているのはサンタルチア駅、ヴェネツィアの玄関口でーす!」
https://i.imgur.com/uNwV8du.jpg
果南「おぉ、なんかガイドっぽい」
ダイヤ「本格的ですわね……」
鞠莉「ヴェネツィアに来た人は皆んな最初にこの光景を見るんだよ」
果南「目の前に広がる運河を見ると、ヴェネツィアに来た!って感じがするね」
鞠莉「ふふふ、まだまだ序の口なんだから」 ダイヤ「鞠莉さん、正面に見えるドーム状の建物は何ですか?」
鞠莉「あれはサン・シメオン・ピッコロ教会ね」
https://i.imgur.com/Hoy3HwD.jpg
鞠莉「ちなみにイタリアではああいうドーム状の円屋根のことをクーポラって呼ぶのよ」
ダイヤ「勉強になりますわね」
鞠莉「さて、次の場所へ移動……といきたいところですが」
かなダイ「?」
鞠莉「ちょっとお腹空いちゃった」テヘペロ 果南「わ〜色んな味があるんだね〜」
ダイヤ「これは……迷いますわね」
鞠莉「イタリアに来たらやっぱりジェラートは欠かせませーん!」
ダイヤ「おや?この緑色のジェラートはもしや」
鞠莉「さっすがダイヤ♪それは抹茶味だよ」
ダイヤ「なんと、イタリアでもお抹茶の味が楽しめるのですね」
鞠莉「ちなみにイタリアでも日本茶って結構浸透しつつあってね」
鞠莉「“マッチャ”だけで通じることもあるんだよ」
ダイヤ「なるほど、ではわたくしはお抹茶のジェラートを頂きますわ」
鞠莉「私はレモンにしようかしら、果南は?」
果南「むむむ……」 鞠莉「まだ迷ってるの?どれだけ探してもワカメ味のジェラートなんて無いわよ?」
果南「探してないよ!」
ダイヤ「いえ、もしかしたらあるかもしれませんわよ?」
ダイヤ「先日ワカメが入ったフロマージュを頂きましたし」
ダイヤ「ワカメ入りジェラートがあっても不思議では……」
果南「ダイヤまで!確かに食べたけどさぁ、美味しかったけどさぁ!」
鞠莉「私たちの知らないところでワカメスイーツは日々進化してるのね……」
鞠莉「いっそこの辺りのジェラテリアをオハラグループで買収して」
鞠莉「ワカメジェラートを売り出していこうかしら……」
果南「もう!2人ともなんなのさ!」
鞠莉「Sorry,Sorry」
ダイヤ「ふふ、申し訳ありません果南さん。ここは鞠莉さんに乗っかろうと思いまして」
果南「ダイヤってたまにそういうところあるよね」
ダイヤ「こ、こほん!迷っているなら王道のピスタチオなんてどうですか?」
果南「そうだね、そうしよ!」 鞠莉「ん〜デリシャス♪」
果南「本場のジェラートはやっぱり違うね〜」
ダイヤ「果南さん今までジェラートなんて食べたことありましたか?」
果南「ははは、言われてみれば」
鞠莉「もー、果南ったら」
果南「いや〜それにしても長旅だったねぇ」
鞠莉「私は慣れてるけど果南とダイヤは退屈じゃなかった?」
果南「何だかんだほとんど寝てたから大丈夫」
ダイヤ「わたくしはお蔭で色々な映画を観れましたわ」
果南「ダイヤは映画観るの好きだもんね。何観てたの?」
ダイヤ「とあるスクールアイドルの半生を描いた伝記映画で――」
鞠莉「Wait、それ以上はいけないわ」 果南「それで、この後は?」
ダイヤ「どこへ行くか決めてますの?」
鞠莉「オフコース!」
鞠莉「ヴェネツィアと言ったらやっぱりゴンドラでーす!」 Chapter2「ゴンドラに乗ろう!」
鞠莉「というわけでゴンドラ乗り場にやって来ましたー」
果南「おぉ、色んなゴンドラが待機してる」
ダイヤ「でもゴンドラって個人で乗る場合自分で交渉しないといけないのでは?」
鞠莉「今はそんなにふっかけてくるとこも無いし交渉の必要ナッシングでーす」
鞠莉「とは言えどこを通ってほしいかとかは伝えなきゃだからそこは私に任せて」
〜交渉中〜
鞠莉「Ciao!」
船頭「Ciao」
鞠莉「Dia e una persona testarda」
船頭「Ma lei e cosi bella!」
鞠莉「Kanan e insensibile」
船頭「Ma lei e molto carina!」
鞠莉「Beata me?Due persone sono la mia migliore amiche!」
船頭「Bravo!」
果南「ほえ〜流石鞠莉だね」
ダイヤ「絶対違うこと話してる気がしますわ……」 鞠莉「交渉してきたよ〜」
果南「分かってはいたけど鞠莉ってイタリア語ぺらぺらなんだね」
鞠莉「そりゃこっちの大学に進学するわけだし」
ダイヤ「本当に交渉してたのかは怪しいですが……」
果南「ね、私達にも何かこっちの言葉教えてよ!」
ダイヤ「そうですわね、折角ですから教えて頂きたいです」
鞠莉「そうねぇ……じゃあ、おまじないの意味も込めて」
鞠莉「Saremo amiche per sempre」
果南「され……なんだって?」
鞠莉「サレッモ アミーケ ペルセンプレよ」
果南「されっもあみーけぺるせんぷれ」
ダイヤ「されっもあみーけぺるせんぷれ」
鞠莉「Bravo!」
ダイヤ「それで、意味は何なんですか?」
鞠莉「う〜ん、Secret!」
ダイヤ「はぁ!?」
果南「イタリア語教えてくれたのにそこは英語なんだ……」 鞠莉「だって〜普通に教えたら面白くないじゃない?」
鞠莉「さ、ゴンドラにレッツゴー!」
ダイヤ「あぁ、ちょっと!」
ダイヤ「全く……自由気ままなんですから」
果南「でも変な言葉じゃないのは間違いないんじゃないかな」
ダイヤ「それは見たら分かりますわ。だって……とっても嬉しそうですもの」
鞠莉「〜♪」 〜ゴンドラに乗船〜
鞠莉「さぁ、出発でーす!」
果南「なんかこうやって乗ると淡島の連絡船思い出すね」
鞠莉「早速風情のないこと言わないでくださーい」
果南「あっはっは、ごめんごめん」
ダイヤ「でも、凄い優雅な気分を味わえますわね」
果南「そうだね〜時間もゆっくり感じるし」
ダイヤ「あちらの建物はなんですか?」
https://i.imgur.com/Tkb2FKp.jpg
鞠莉「あれはドゥカーレ宮殿ね」
鞠莉「ヴェネツィア共和国の総督の住居兼政庁だったの」
果南「立派な建物だね〜」
鞠莉「中にも入れるから後で観に行きましょ!」 ダイヤ「あの橋は本で見たことありますわ」
果南「確か……ため息橋だっけ?」
https://i.imgur.com/RN1tQ6D.jpg
鞠莉「2人ともよく知ってるじゃない」
鞠莉「この橋には恋人同士が日が沈んだ時に橋の下でKissをすると永遠の愛が約束される……」
鞠莉「そんな言い伝えがあるんだよ」
ダイヤ「素敵なお話ですね」
鞠莉「でもこの橋がため息橋って呼ばれるようになったのはそんなロマンティックな話じゃないんだけどねー」
果南「そうなんだ?」
鞠莉「囚人たちが投獄前に最後に見るヴェネツィアの美しい景色に」
鞠莉「思わずため息を漏らした、というのが由来なの」
ダイヤ「そうだったのですね……」
鞠莉「ま、今はそんなのどこ吹くWindってくらい観光名所になってるけど」 ダイヤ「それにしても、何だか落ち着きませんわね……」
果南「どうして?」
ダイヤ「いえ、大したことではないのですが」
ダイヤ「先ほどから道行く方々にとても注目されているような気がして」
鞠莉「そりゃ〜観光客からしたらゴンドラ遊覧自体が観光スポットだもの」
鞠莉「それに注目されるのはステージで慣れっこでしょ?」
ダイヤ「今はステージの上じゃなくてゴンドラの上です!」
鞠莉「もー、ほんっと頭hardなんだから」
鞠莉「注目されてるなら手振り返すくらいのヨユー見せなさいよ」ヒラヒラ
ダイヤ「鞠莉さんがフレンドリーすぎるのですわ!」 果南「でもこういう街並みって心が落ち着くね」
https://i.imgur.com/2zardpg.jpg
ダイヤ「えぇ、まるでこの辺りだけ時間が止まっているかのようですわね」
鞠莉「そうね……私達も、この街並みのように時が止まれば良いのに……」
果南「鞠莉?」
鞠莉「なーんて♪こういうのをフルキヨキ?って言うのかしらね」
ダイヤ「古き良き……そうですわね」
ダイヤ「この街並みにはその言葉がぴったりですわ」 果南「うわ〜大きい橋!」
https://i.imgur.com/WXrUkX0.jpg
鞠莉「ここがリアルト橋でーす!」
鞠莉「カナル・グランデに架かる4つの橋の一つで、白い巨象とも呼ばれてるんだよ」
ダイヤ「ここから見ても賑わっているのが分かりますね」
鞠莉「昔から商業の中心地だからねー」
鞠莉「ちなみにこの橋の設計案は一般公募だったんだけど」
鞠莉「あのミケランジェロも参加してたの」
果南「へぇ〜」
ダイヤ「果南さん、ミケランジェロを本当にご存知なんですか?」
果南「失礼な、聞いたことはあるよ」
鞠莉「でもそんなミケランジェロをはじめとする有名な建築家を抑えて」
鞠莉「設計案が採用されたのはアントニオ・ダ・ポンテという無名の建築家だったの」
鞠莉「彼の一世一代の設計で作られた橋がその後何百年に渡って」
鞠莉「ヴェネツィアのシンボルになってるってわけ」
ダイヤ「それは中々夢のあるお話ですわね」 果南「あとはもう折り返して戻るだけみたいだね」
ダイヤ「次はどこへ行きますの?」
鞠莉「んー、色々候補はあるんだけど」
鞠莉「2人はどんな所に行ってみたい?」
果南「私はさっき鞠莉が言ってた宮殿に行ってみたいな」
ダイヤ「ヴェネツィアの歴史や芸術に触れてみたいですわね」
鞠莉「OK、じゃあ2人を案内しまーす!」 Chapter3「時を越えて」
鞠莉「というわけでサン・マルコ広場にとうちゃーく」
https://i.imgur.com/iw6V5lQ.jpg
鞠莉「ここは世界で一番美しい広場とも言われてるの」
果南「あの大きい塔は?」
鞠莉「あれは……」
ダイヤ「鐘楼ですわね。サン・マルコの鐘楼、もしくはヴェネツィアの鐘楼とも呼ばれますわ」
ダイヤ「高さは約100m。鐘楼の鐘架には5つの鐘が設置されていて」
ダイヤ「労働の始まりと終わり、議会の開会などを知らせていたのですわ」
鞠莉「あら、ずいぶん詳しいのね」
ダイヤ「ふふ、ここはわたくしが解説しないといけない気がしたもので」
かなまり「???」
鞠莉「ま、まぁこの鐘楼も鐘室まで登れるからあとで登りましょ」
果南「えっ」
鞠莉「先ずはこっち、ドゥカーレ宮殿ね」
果南(の、登るの……?) 鞠莉「ドゥカーレ宮殿はね、豪華な装飾とかそこら中に施された壁画や天井画からも分かるように」
鞠莉「当時のヴェネツィアの繁栄をとても感じることが出来るのよ」
鞠莉「そしてその中でも特に2人に見てほしいものがこれ」
果南「うわ……すご……」
ダイヤ「これは……」
https://i.imgur.com/5bzZLzA.jpg
鞠莉「世界最大の油絵とされる『天国』よ」
果南「素人目でも分かる迫力だね」
ダイヤ「言葉が出ないと言いますか、ただただ圧倒されるばかりですわね」
鞠莉「絵画に興味が無かったり知識が無くても」
鞠莉「心を奪われてしまう……そんな作品を後世に残せたんだから」
鞠莉「画家ミョーリに尽きまーす」 ダイヤ「あら?」
果南「どしたのダイヤ?」
ダイヤ「いえ、壁画の方を見ていたのですが……」
ダイヤ「これってもしかしてサン・マルコ広場ですか?」
https://i.imgur.com/I4S3pHN.jpg
鞠莉「イエース!」
果南「あー言われてみれば!鐘楼とかこの宮殿も描いてあるね」
ダイヤ「そういえば鐘楼も上まで登れるんでしたわね」
鞠莉「オフコース!じゃあ次は鐘楼にレッツゴー!」
果南「え゛」
鞠莉「果南?」
果南「私は〜下から見上げるほうが好きかな〜」
鞠莉「すっごい棒読みね」
ダイヤ「そういえば果南さんは高い所が苦手でしたわね」 果南「せっかくだから2人で行ってきたらー私は下で待ってるからー」トオイメ
ダイヤ「しかし……」
鞠莉「……ねぇ、果南」
果南「鞠莉?」
鞠莉「どうしてもと言うなら無理強いはしないわ」
鞠莉「でもね、次の場所は果南には絶対に見てほしい」
鞠莉「それに果南ならきっと好きになってくれるエピソードもあるの」
鞠莉「だから……頑張ってみない?」
果南「鞠莉……」
果南「うう〜ん……分かった、私も登るよ」
鞠莉「果南!」
ダイヤ「ふふ、では果南さんが少しでも安心出来るように」スッ
果南「手なんか出してどうしたの」
ダイヤ「ずっと手を握って差し上げますわ」
鞠莉「Oh!名案でーす!」スッ
果南「い、いいよ!子供じゃあるまいし!」
果南「……でも、ありがと」ギュッ
ダイマリ「ふふっ」 〜鐘楼〜
ダイヤ「良い眺めですわね」
https://i.imgur.com/jfRn6ZO.jpg
鞠莉「ヴェネツィアの街並みが一望出来まーす」
果南「……」
ダイヤ「果南さん、大丈夫ですか?」
果南「ん、2人が居るから平気」
鞠莉「そんなに怖がることないわよ」
果南「怖いは怖いけど、ここからの景色が凄いのは分かるよ」
ダイヤ「それで、果南さんをどうしても連れてきたかった理由って何ですの?」
鞠莉「それはね〜これ!」
https://i.imgur.com/grm2OiR.jpg ダイヤ「ガリレオ・ガリレイですか?」
果南「その下は何て書いてあるのかさっぱりだけど」
鞠莉「実はね、ガリレオ・ガリレイはこの場所で自作の天体望遠鏡を披露したのよ」
果南「えっ、ほんと!?」
鞠莉「イエース!望遠鏡の歴史を紐解いても黎明期にあたる話ね」
鞠莉「彼が望遠鏡を天体観測に用いたことで、観測の分野は加速度的に発展していったわ」
鞠莉「その後の彼の活躍については説明するまでもないけど」
鞠莉「そんな彼がもたらした、天文学の歴史的な出来事をこのプレートは伝えてるの」 ダイヤ「なるほど、それは確かに果南さんに聞かせてあげるべきお話ですわね」
果南「そっか、ガリレオ・ガリレイもここから星を見てたんだね」
果南「何かそう考えると凄いな」
果南「だってさ、ガリレオ・ガリレイが見たものと同じものを見てるんだよ?」
果南「ううん、それだけじゃない」
果南「いつの時代も、偉人だってそうじゃない人だって」
果南「皆んなここから同じ景色を、同じ星空を見てたんだ」
果南「それって凄いドラマティックじゃない?」
ダイヤ「そうですわね」
ダイヤ「私たちがこの景色を見て感じたことを」
ダイヤ「当時の方々もきっと感じていたのだと思います」
ダイヤ「そしてそれはいつまでも変わらない、この街だからこそなのでしょう」
ダイヤ「時を越えて、同じ気持ちを共有出来るのはとても素敵なことです」 果南「ここに来て良かったよ、ありがと鞠莉!」
鞠莉「どういたしまして〜♪」
果南「ダイヤもね」
ダイヤ「わたくし?特に何もしていませんが……」
果南「手、ずっと握っててくれたでしょ?」ニッ
ダイヤ「そ、それは別にたまたまというか」ポリポリ
鞠莉「ふふ、それじゃぼちぼち日も落ちてきたし、そろそろディナーにしましょう!」 Chapter4「ディナータイム」
某リストランテ
果南「お〜何かオシャレなお店だね」
ダイヤ「なんといいますか、マナーとか厳しそうですわね」
鞠莉「そこはノープロブレムでーす」
鞠莉「ここはカジュアルなお店だしなんと言っても」
鞠莉「食事は楽しむもの!ってのがイタリアのお国柄だからねー」
鞠莉「いつも通りで大丈夫だからそんなに気張らないで」
果南「それ聞いて安心したよ」
果南「2人は良いかもしれないけど私全然そういうの詳しくないからさー」
ダイヤ「わたくしだって洋食のテーブルマナーにはあまり慣れてませんよ?」
鞠莉「私もかたっ苦しいの嫌いだからそういうの気にしなーい」
ダイヤ「貴女はもっと慎みを持ったらどうなのです?」
鞠莉「なによ、失礼しちゃうわね」
ダイヤ「ふふっ、冗談ですわ」 果南「ところでヴェネツィアの料理ってどんなのが有名なの?」
鞠莉「んー、ここは港町だからねー、魚介料理が多いかな」
鞠莉「あとはヴェネツィア発祥の料理でイカスミパスタが有名ね」
鞠莉「それとカルパッチョなんかもヴェネツィアの伝統料理よ」
果南「聞いてただけでお腹が空いてきた」 ダイヤ「鞠莉さんのお勧めはなんですか?」
鞠莉「そうねぇ、前菜はグランセオラ・アッラ・ヴェネツィア―ナなんてどうかしら?」
鞠莉「クモガニのサラダでヴェネツィア名物なの」
鞠莉「プリモはパスタにするかそれともリゾットか……」
ダイヤ「わたくしはイカスミパスタを食べてみたいですわね」
鞠莉「OK、果南は?」
果南「ボンゴレにする!」
鞠莉「ボンゴレも定番中の定番ね!」
鞠莉「ドルチェはどうする?」
果南「やっぱりここは」
かなダイ「ティラミス!」
ダイヤ「ですわね!」
鞠莉「ふふっ、息ピッタリね」
鞠莉「じゃあオーダーしちゃいまーす!」 果南「おぉ、これがクモガニのサラダ」
https://i.imgur.com/rYosQV0.jpg
ダイヤ「とても美味しそうですわ」
鞠莉「さ、たーんとお食べ♪」
鞠莉「ちなみにイタリア語でいただきますにあたる言葉はBuon appetitoでーす!」
かなダイ「ボナッペティート!」
鞠莉「Grazie!Altrettanto」
かなダイ「???」
鞠莉「ふふ、Buon appetitoは『良い食事を』って意味なの」
鞠莉「だから『ありがとう、あなたもね』って返したのよ♪」
果南「なるほど」
ダイヤ「鞠莉さんのお蔭でイタリアのことが詳しくなっていきますわね」
鞠莉「えへへー。さ、食べましょ♪」 ダイヤ「ところで先程鞠莉さんが言っていたプリモとは一体?」
鞠莉「OK、じゃあイタリア料理の構成を説明するわね」
鞠莉「イタリアのコース料理は出てくる順番にこんな感じになってるの」
・アンティパスト(前菜)
・プリモピアット(第一皿)
・セコンドピアット(第二皿)
・コントルノ(セコンドと同時に食べる付け合せ)
・ドルチェ(デザート)
鞠莉「プリモは前菜の後に食べる料理でパスタやリゾットとか炭水化物系が中心ね」
鞠莉「セコンドはプリモの次に食べる料理で肉料理や魚料理のことよ」
果南「あれ?でもうちらセコンドって頼んでなかったような」
鞠莉「必ずしも全部食べなきゃいけないわけじゃないのよ」
鞠莉「前菜+プリモ、前菜+セコンド、プリモ+セコンドなんかでもOKね」
果南「ほぇ〜」
ダイヤ「わたくしはパスタだけでお腹いっぱいになりそうですし、この頼み方で良かったですわ」
果南「じゃあ次はセコンドを頼もうよ!」
鞠莉「もちろんそのつもりでーす」
鞠莉「と、言ってる間にお待ちかねのプリモが来たわよ」 果南「めっちゃ黒い」
https://i.imgur.com/Xlc3zxm.jpg
ダイヤ「イカスミなのですから当然だと思いますが」
鞠莉「善子が喜びそうでーす」
果南「確かに漆黒のうんたらかんたらとか言って食べてそう」
ダイヤ「……!」モグモグ
ダイヤ「美味しい……」
ダイヤ「濃厚なソースとは裏腹に食べ辛さもないですし」
ダイヤ「口の中で海の香りが広がっていてとても幸せな気分ですわ」
鞠莉「でも歯はベリーブラックね、クロサワだけに」ケラケラ
ダイヤ「し、仕方ないでしょう!」 鞠莉「果南のボンゴレも美味しそうね!」
ダイヤ「あさりがいっぱいですわね」
https://i.imgur.com/51JEo9r.jpg
果南「うん、あさりの出汁が効いててめちゃくちゃ美味しい!」
ダイヤ「やはり本場のボンゴレは違いますか?」
果南「もうこっちのボンゴレ以外食べれないかもしれない」
鞠莉「あはは、果南ったら大げさなんだから」
ダイヤ「でもその気持ちは分かりますわね」 ダイヤ「鞠莉さんのは海老ですか?」
鞠莉「スパゲッティ・コン・スカンピ、手長エビのパスタよ」
https://i.imgur.com/Iig0kx8.jpg
果南「おぉ、豪快だね」
ダイヤ「鞠莉さんらしいというか何というか」
鞠莉「ぷりっぷりの海老とトマトの相性が抜群でーす!」
果南「やっぱ港町だけあって魚介はどれも美味しいね」
ダイヤ「いつも食べてるはずなんですけどね」クスッ
鞠莉「じゃあ果南は内浦の魚介よりヴェネツィアの方が好きと」
果南「そ、そんなこと言ってないでしょ!」
ダイヤ「ではヴェネツィアよりも内浦なのですね」
果南「む〜、今日のダイヤ、鞠莉と同じノリだね」
ダイヤ「そ、そうでしょうか?」 鞠莉「まーまー、最後はドルチェよ」
https://i.imgur.com/cXlU7hN.jpg
ダイヤ「これが本場のティラミス……!」
果南「コンビニのティラミスとは雰囲気からして違うね……!」
鞠莉「比較対象おかしくない?」
ダイヤ「では失礼して……」モグモグ
果南「私も……」モグモグ
かなダイ「……!!」パァァァ
ダイヤ「なんという上品な味でしょうか……!」
果南「大人の味って感じがするね!」
鞠莉「2人とも目をキラキラさせてかーわいい♪」 果南「いや〜食べた食べた」
ダイヤ「とても美味しかったですわ」
鞠莉「喜んでもらえて何よりでーす」
果南「イタリアのごちそうさまは何て言うの?」
鞠莉「う〜ん、イタリアにはそういうの無いのよねぇ」
果南「そうなんだ」
鞠莉「だから『美味しかったです』って意味の」
鞠莉「Era buonissimo」
鞠莉「これが1番日本で言うごちそうさまでしたに近いかな」
ダイヤ「では、最後は3人で」
かなダイマリ「エラ ブォニッシモ!」 鞠莉「ん〜♪お腹いっぱいでーす!」
果南「中々ボリューミーだったねぇ」
ダイヤ「うぅ……」
鞠莉「ダイヤ?どうしたの?」
ダイヤ「いえ、少し食べ過ぎましたわ……」
果南「確かにいつものダイヤの食べる量からしたら多かったかもね」
鞠莉「じゃあ腹ごなしにウォーキングでもしましょ♪」 〜リアルト橋〜
果南「夜も賑やかだねぇ」
鞠莉「はぐれないようにね?」
ダイヤ「むしろそれはわたくしたちが鞠莉さんに言いたいですわ」
鞠莉「え〜?」
果南「わっ、凄い……綺麗な夜景」
ダイヤ「本当ですわね。光が水面に反射していてとても美しいですわ」
https://i.imgur.com/lYECW5d.jpg
鞠莉「食後の散歩にしてはちょっとロマンティックすぎたかしら?」クスクス
ダイヤ「ふふ、ある意味極上のデザートを頂いた気分ですわね」
果南「確かに!」
鞠莉「なら良かったでーす!というわけでそろそろ今日の宿へレッツゴー!」 Chapter5「テルマエ」
〜小原家別荘〜
鞠莉「と言ってもうちの別荘なんだけどね〜」
果南「これだから金持ちは」
ダイヤ「というかお母様から逃げているのに呑気に別荘に来て良いのですか?」
鞠莉「ホテル取って名前が割れるよりマシよ」
鞠莉「それにわざわざこんな外れにある所に来てるとも思わないでしょ」
ダイヤ「まぁ、そこは鞠莉さんにお任せしますが」
果南「それよりもう疲れたよ〜早くお風呂で汗流したーい」
鞠莉「それもそうね〜」
ダイヤ「でしたら鞠莉さんお先にどうぞ」
鞠莉「Why?」
ダイヤ「何故って、ここは一応鞠莉さんの別荘なのですから」
果南「あー多分鞠莉はそういうこと言ってるんじゃないと思うよ」
ダイヤ「はい?」 鞠莉「別に1人ずつ入る必要は無いよ?全員一緒に入れるくらいの広さはあるし」
ダイヤ「はぁ!?」
果南「ほらね」
鞠莉「それに、旅行と言ったら裸の付き合いでーす!」ルンルン
ダイヤ「いやでも……はぁぁ、分かりましたわ」
鞠莉「さっすがダイヤ!」
果南「おろ、意外と折れるのが早い」
ダイヤ「鞠莉さんのあの浮かれっぷりを見たら抵抗する気も起きませんわ……」
果南「ふふ、言えてる」 チャポン
果南「は〜良いお湯だ〜」
鞠莉「ゴクラクゴクラク〜」
ダイヤ「お二人ともおじさんくさいですわよ」
鞠莉「堅いこと言わないの〜」
果南「そう言えばイタリアの人ってあんまりお風呂入らないんだっけ?」
鞠莉「ん〜お風呂というかパパっとシャワーで済ませちゃうのが多いわね〜」
鞠莉「一般家庭にバスタブがあるとこ自体少ないし〜」
ダイヤ「そうなのですか?」
鞠莉「ホテルも超一流ホテルでもなければどこもシャワールームだけね〜」
鞠莉「ただ、スパは皆んな好きよ〜」
鞠莉「日本に負けず劣らず温泉大国だし〜」
ダイヤ「古代ローマの頃から温泉の文化はありましたものね」
果南「あ、知ってる!テルマエ・ロ」
鞠莉「Stopよ!」 ダイヤ「それでは何故この別荘にはこんな広い浴槽が?」
鞠莉「私は別にどっちでも良かったんだけどね〜」
鞠莉「でもこれだけ広ければ!」ザブーン
果南「わわっ」
ダイヤ「ぴぎゃっ」
鞠莉「3人で一緒に入れるでしょ?」
ダイヤ「もう!くっつきすぎです!」
鞠莉「照れてる照れてる〜」
果南「でも3人だけでお風呂に入るのも久々だよね」
ダイヤ「そうですわね。前はルビィたち1年生も一緒でしたし」
鞠莉「懐かしいな〜」
果南「……えいっ」ピュッ
鞠莉「Ouch!」
鞠莉「かーなーん?やったわね〜!」ピュッ
果南「おっとぉ」ヒョイッ
鞠莉「あー!避けたー!」
ダイヤ「全く、いくつになっても騒がしいのは変わらないんですから」 果南「そう言えばダイヤって小さい頃手で水鉄砲出来なかったよね」
鞠莉「いくら教えても出来なくって、最後は拗ねてたっけ」
ダイヤ「いつの話をしているのですか」
ダイヤ「いつまでもあの頃のわたくしではないですわよ?」ピュッピュッ
果南「わたっ!」
鞠莉「あんっ!」
ダイヤ「命中ですわね♪」
果南「そんな、いつの間に……」
鞠莉「まさか毎日練習を……」
ダイヤ「うぐっ、別に良いではありませんか」プイッ
鞠莉「ほんと素直じゃないんだから」クスクス Chapter6「パジャマでぶっちゃけトーク」
鞠莉「ふ〜サッパリサッパリ〜」
ダイヤ「良いお湯でしたわ」
果南「んー!何かお風呂入ったら横になりたくなってきた」
鞠莉「じゃあ果南とダイヤの部屋を案内するわね」
ダイヤ「えっ」
鞠莉「んんー?」
果南「どうしたのダイヤ?」
ダイヤ「い、いえなんでも……」
鞠莉「ははーん?さては全員一緒の部屋だと思った?」
果南「あぁ、ダイヤは寂しがりやだからね」
ダイヤ「べ、別に!寂しいというわけでは!」ポリポリ ダイヤ「ただ……」
かなまり「ただ?」
ダイヤ「折角の卒業旅行ですし、夜も一緒なのかなと思っていたので……」
ダイヤ「寝る時も、その、昔みたいに……」イジイジ
果南「鞠莉、この可愛い子どうする?」
鞠莉「どうするもこうするも答えは決まってマース!」
ダイヤ「へ?」
かなまり「えいっ!」ギュッ
ダイヤ「ちょ、果南さん!鞠莉さん!」
鞠莉「ごめんねダイヤ、気付かなくて」
果南「でもダイヤのそういういじらしい所、私は好きだよ」
ダイヤ「も、もう!からかわないでください!」 〜就寝〜
果南「いやー今日はいっぱい歩いたからぐっすり寝れそうだねー」
鞠莉「んふー!明日も色んなところ行くから覚悟しててくださーい!」
鞠莉「ところでダイヤ?何でそんな端っこにステイしてるわけ?」
ダイヤ「いえ、わたくしはこちら側で構いません」
鞠莉「んもう、何言ってるのよ。ダイヤはセンターよ」
果南「私たちのお姫様からのお願いだからねー、“3人で一緒に寝たい”って」
果南「そりゃあお姫様が真ん中じゃないと」
ダイヤ「お、お姫様だなんてそんな。それにここは鞠莉さんの別荘なんですからやっぱり鞠莉さんが」
鞠莉「ゴタクは良いからカモーン!」
ダイヤ「ぴぎゃっ!」
果南「いらっしゃーい」 ダイヤ「なんだか落ち着きませんわ……」
果南「3人で川の字になって寝るなんて小学生以来かな」
ダイヤ「懐かしいですわね」
鞠莉「あの頃の果南ったら、『暗いのいやー』って中々ライトをOFFにさせてくれなくって」
果南「い、言わないでよ」
ダイヤ「そういう鞠莉さんも、ずーっとそわそわしてましたわよね」
鞠莉「友達とのお泊まり会なんて初めてだったんだから仕方ないじゃない」
果南「ダイヤだって、初めてのお泊まり会の時は寂しがって『お母様……』って夜な夜な」
ダイヤ「き、聞いていたのですか!?」
鞠莉「ふふ、でも皆んなもう大丈夫でしょ?」
ダイヤ「そうですわね」
果南「……ダイヤが手で水鉄砲出来るようになってたのもそうだけどさ」
果南「出来なかったことがどんどん出来るようになって」
果南「怖かったものも怖くなくなって」
果南「すっかり大人になったんだね、私たち」
鞠莉「あんなちんちくりんだったのにねー」
果南「それ自分で言う?」 ダイヤ「でも本当に、もう子供のままではいられないのですわね」
鞠莉「ダイヤ……」
ダイヤ「進路の選択もそうでした」
ダイヤ「これから先の、自分が進む道は自分で選びました」
ダイヤ「誰かに言われたからではなく、自らの意思で」
ダイヤ「あれがしたい、これがしたい、目標、夢……」
ダイヤ「全て自分の為の道なのです」
ダイヤ「そして、そんな選択をしなければならないのも」
ダイヤ「大人としての第一歩だったのでしょうね」
鞠莉「……そうね」
鞠莉「大人になるって、こんなにも大変だったのね」 鞠莉「本当はね、果南やダイヤとずっと一緒に居たかった」
鞠莉「チカっちやAqoursの皆んなと、内浦でワイワイずっと過ごしていたかった」
鞠莉「でもね、今しか出来ないこと、今じゃなきゃ駄目なこともあるの」
鞠莉「だから後悔のないような道を選んだつもり」
鞠莉「まさか3人とも内浦から出る道を選ぶとは思わなかったけどね」
ダイヤ「それは恐らく全員思っていますわ」
果南「ある意味私たちらしいよね」 果南「でもさ、この先どんな未来が広がってるのか分からないワクワク感って」
果南「スクールアイドル始めた頃を思い出すな」
果南「ダイヤにスクールアイドルのこと教えられて、鞠莉を誘って」
果南「3人でスクールアイドル始めた時に感じたワクワクを」
鞠莉「言われてみれば確かに」
ダイヤ「鞠莉さん最初はわたくしたちの誘い断ってましたよね」クスクス
鞠莉「そ、そうだったかしらー?」
果南「それが今や」
鞠莉「む〜私をこんな風にしたのは誰だと思ってるのよ」 果南「だからさ、皆んなそれぞれ舞台は変わるけど」
果南「もし不安になっても、あの頃の気持ちを忘れなければ大丈夫」
果南「寂しくなったら、繋いだ手の温もりを思い出せば大丈夫」
果南「すれ違って離れちゃったあの時とは違う」
果南「離れ離れになっても、気持ちはずっと繋がってるし」
果南「もう2度と鞠莉とダイヤの手は離さないから……!」
ダイヤ「あらあら、これはまた情熱的な告白ですわね」
果南「こ、告白ぅ!?」
ダイヤ「違いますの?」
鞠莉「違うの?」
果南「そ、そういうつもりで言ったんじゃ……いやそういう気持ちがないわけでもないというか」アタフタ
鞠莉「慌てすぎでーす♪」
果南「からかわないでよ!」 ダイヤ「でも果南さんの気持ちは十二分に伝わりました」
ダイヤ「わたくしも、鞠莉さんも同じ気持ちですよ」
ダイヤ「今はまだ難しくとも、いつかまた3人で過ごせる日を」
ダイヤ「内浦で共に笑い合える日が来ることを、信じておりますわ」
果南「ま、腐れ縁ってことでこれからも変わらずよろしくね」
ダイヤ「イタリアまで来てしまうくらいですから、もう何があっても変わりませんわよ」クスクス
果南「そだね」クスクス
鞠莉「……あー、そのことなんだけどね」
果南「鞠莉?」 鞠莉「……えっとね、2人には謝りたいの」
果南「謝る?」
鞠莉「うん……2人とも、本当にごめんなさい」
鞠莉「こんな私のワガママに付き合わせちゃって」
鞠莉「本当は3人でもっとちゃんとした卒業旅行をしたかった」
鞠莉「この先挫けそうなことがあっても、この日のことを思い出せば乗り越えられる……」
鞠莉「そんな一生消えることのない、大切な思い出を3人で作りたかった」
かなダイ「……」
鞠莉「だから、本当にごめ」
果南「えいっ」チョップ
鞠莉「いたっ!」
ダイヤ「鞠莉さんはバカですわね」
鞠莉「ば、ばかぁ?」 果南「そうだよ、バカ鞠莉だよ」
鞠莉「そんな曜じゃないんだから」
ダイヤ「良いですか?わたくしたちは嫌々付いてきたわけではありません」
果南「友達が困ってるから、その手を取っただけだよ」
鞠莉「ダイヤ……果南……」
ダイヤ「むしろ既にわたくしの中では一生消えることのない思い出になっているのですが?」
果南「そうだよ!こんな経験出来るのも私達くらいでしょ!」
ダイヤ「それに、鞠莉さんが少しでもわたくしたちに楽しんでもらおうと」
ダイヤ「必死に頑張っていたのは十分に伝わっていました」
果南「うんうん、あんな鞠莉は初めて見たかもしれない」
鞠莉「うぅ……気付いてたのね」 ダイヤ「ふふ、だから貴女が気に病むことなど一つもないのですよ?」
果南「いつもの鞠莉らしくさ、ずっと笑っててよ」
ダイヤ「貴女の底抜けに明るい笑顔に」
果南「私とダイヤは何回も救われたんだから」
鞠莉「うん……うん!Thank you♪2人とも」
鞠莉「こんなに最高な友達を持ててマリーは幸せ者でーす!」ギュー
ダイヤ「ちょ、鞠莉さん!苦しいですわ!」
果南「あ、じゃあ私も!」ハグゥ
ダイヤ「果南さんまで!潰れてしまいますわ!」
鞠莉「もー、大げさねダイヤは。ところでダイヤ、痩せた?」モニュ
ダイヤ「はっ!?」
果南「む、それはダメだよダイヤ。ちゃんと食べなきゃ、ただでさえ細いんだから」モニュ
ダイヤ「だから!どこを触って!あーーー!」 〜翌朝〜
ダイヤ「疲れましたわ……」ゲッソリ
果南「おはようダイヤ!」ツヤツヤ
鞠莉「良い朝ね〜!」ツヤツヤ
ダイヤ「何故お二人はそんなに元気なのですか……」
鞠莉「んー?ダイヤ分を補充出来たから?」
果南「新しい生活が始まったらしばらくダイヤ分は補充出来ないからねー」
ダイヤ「はぁ……それは良かったですわね……」 途中だけど寝るびぃ!
本当は自分で撮った写真を載せたかったけど、いんたーねっとは便利ずらね・・・
続きは起きたら タイトルでドラえもんの名エピソード思い出したのは自分だけじゃないはず… 3年生お風呂は公式ボイスがあるのがすげえよな
しかも妙にえっち 再開するびぃ!
>>63
イタリア語は雰囲気で書いてるからぐーぐる先生でごにょごにょして雰囲気で読んでもらえれば・・・ Chapter7「守護聖人」
〜とあるカフェ〜
鞠莉「イタリアの朝食って甘いものを食べるのが主流なのよ」
果南「へ〜」モグモグ
鞠莉「ビスケットや甘いパンと、カフェラテや砂糖たっぷりのエスプレッソみたいにね」
鞠莉「日本みたいに朝からトーストだの目玉焼きだの焼き魚だの食べてる人なんてあまり居ないわ」
果南「どうしようダイヤ、私たちイタリアで暮らせないよ」
ダイヤ「わたくしも朝はご飯とお味噌汁、焼き魚という組み合わせが多いですしね」
果南「あ、ダイヤの作ったワカメのお味噌汁久々に飲みたい」
ダイヤ「言えばいつでも作って差し上げますわよ」
果南「やったぁ!」
鞠莉「あ、ずるい!私も飲みたい!」
ダイヤ「鞠莉さんいつもお味噌汁は具だけ食べて飲まないじゃないですか……」
鞠莉「てへっ」
果南「じゃあ朝食も食べたことだし、行こっか」
鞠莉「2日目のStartでーす!」 果南「ここがサン・マルコ大聖堂だね」
https://i.imgur.com/aCvdd50.jpg
鞠莉「でーす!」
ダイヤ「昨日何度も通ったのに触れないものですから、案内してくれないのかと思いましたわ」
鞠莉「そんなわけないよー。この街のシンボルみたいな場所よ?」
鞠莉「この大聖堂には聖マルコの遺骸が納められてるの」
ダイヤ「確かエジプトから運ばれてきたんですよね?」
鞠莉「あら、よく知ってるわね」
鞠莉「まぁ運ばれてきたというか盗み出したというか」 鞠莉「聖マルコがどんな人物かは知ってる?」
果南「んーと、聖書を書いたんだっけ?」
ダイヤ「厳密には新約聖書の一書である福音書を記述した人物ですわね」
ダイヤ「ちなみに新約聖書にはマルコ以外にも」
ダイヤ「マタイ、ルカ、ヨハネによる福音書が収められていていますわ」
果南「ヨハネ……この話を聞いたらどっかの誰かさんは喜びそうだね」
鞠莉「そんな聖マルコは当然聖人としての地位も高かった」
果南「どれくらい?」
鞠莉「んー、上から2番目のグループってとこかしらねー」 鞠莉「元々ヴェネツィアには聖テオドーロって守護聖人が居たんだけどね」
鞠莉「残念ながら聖人としての地位はあんまり高くなかったの」
鞠莉「当時は守護聖人の地位の高さ=国の力みたいなとこがあったから」
鞠莉「国力を増しつつあったヴェネツィアの人たちは地位の高い守護聖人を欲しがったわけ」
ダイヤ「なるほど。それで聖マルコなのですね」
鞠莉「そういうこと。聖人として一流クラスの聖マルコの遺骸を迎え入れることができたから」
鞠莉「街はお祭り騒ぎだったらしいわ」
ダイヤ「まぁこんな立派な大聖堂を建ててしまうくらいですからね」
果南「んーでも何かいけ好かないなぁ」
鞠莉「Why?」 果南「だって他の国から持ち出してきたものを守護聖人にしてるんでしょ?」
果南「しかもそれって本物かどうかも分からないじゃん」
ダイヤ「果南さんの意見もごもっともですわ」
ダイヤ「ですがそれだけ当時の人たちには心の拠り所が必要だったのでしょう」
鞠莉「そうね。事実、聖マルコを守護聖人としたヴェネツィアは黄金時代を迎えるわ」
鞠莉「人々を鼓舞し、国を盛り上げるという意味で大きな役割を担ったのは間違いないでーす」
果南「そういうもんかぁ」
鞠莉「ちなみにその一連のStoryを表してるのが正面のモザイク画ね」 鞠莉「右から聖マルコの遺骸を持ち出すヴェネツィア商人たち」
鞠莉「その隣がヴェネツィアに到着した聖マルコの遺骸」
https://i.imgur.com/I0DqJAk.jpg
鞠莉「総督や市民から歓迎を受ける聖マルコの遺骸」
鞠莉「そして1番左が大聖堂の中に運ばれる聖マルコの遺骸」
https://i.imgur.com/FmAZr8h.jpg
果南「何か1番左だけ絵の作風が違わない?」
鞠莉「1番左はオリジナルのモザイク画なのよ。確か……13世紀に作られたんだったかしら」
鞠莉「それ以外は17〜18世紀に作り変えられてまーす」
果南「てことは他のモザイク画も当時は1番左の絵みたいだったのかな」
果南「どんな絵だったか気になるなぁ」
鞠莉「残念だけどそれはこの絵を見てイメージするしかないわねー」 果南「それにしてもさ、聖テオドーロだっけ?」
果南「何だかかわいそうだよね」
ダイヤ「守護聖人の座を奪われたからですか?」
鞠莉「格が無いんだから仕方ないわよ」
ダイヤ「身も蓋もないですわね……」
鞠莉「でも一応次席としてこの街を守ってるのよ」
果南「そうなんだ」
鞠莉「その証拠にほら、船着場に2本の円柱があるでしょ?」
https://i.imgur.com/vSfZcAp.jpg
鞠莉「片方は聖テオドーロの像」
https://i.imgur.com/b27qnJK.jpg
鞠莉「もう片方は聖マルコの象徴、有翼の獅子像が載ってるの」
https://i.imgur.com/KumaLxj.jpg 果南「何で翼の生えたライオンなの?」
鞠莉「新約聖書の一書、ヨハネの黙示録に翼を持ったライオンとして描かれてるからよ」
ダイヤ「4人の福音書記者にはそれぞれ象徴として描かれていたものがあったそうですわ」
ダイヤ「マルコは獅子、マタイは天使、ルカは雄牛」
鞠莉「善子は鷲ね!」
ダイヤ「善子じゃなくてヨハネですわ!……はっ」
果南「そのツッコミ、ダイヤがやってどうすんの」 鞠莉「とまぁ、街のいたる所にレリーフが使われていたり」
鞠莉「何なら国旗にまで使われるほど有翼の獅子はヴェネツィアのシンボルなの」
果南「なるほどね〜」
ダイヤ「そして、そんな新旧2人の守護聖人がずっとこの街を見守っているのですね」
果南「出発していく船には行ってらっしゃいを」
果南「帰ってきた船にはお帰りなさいを言ってたのかな」
ダイヤ「海洋帝国として一時代を築いたこの街にとって」
ダイヤ「海に出ることの意義、そして無事に帰ってくることの意味は」
ダイヤ「とても大きいものがあったのでしょうね」
ダイヤ「きっと当時の人々にとってこの場所は灯火のようなものだったのかもしれません」
果南「そっか……」
鞠莉「ちなみにここ昔は処刑場だったのよ」
果南「は?」 鞠莉「この2本の柱の間に処刑台が置かれて」
鞠莉「見せしめの為に公開処刑が行われたそうね」
鞠莉「だから生粋のヴェネツィアっ子は縁起が悪いからこの柱の間は通らないとか」
果南「いやいや!良い感じの話だったのにいきなり物騒なこと言わないでよ!」
果南「というかそういうのは先に言ってよ!通っちゃったじゃん!」
ダイヤ「昨日から何回も通ってますわね……」
鞠莉「てへぺろ♪」 Chapter8「離島巡り」
果南「ほえ〜、ヴェネツィアってこんな所もあるんだね〜」
鞠莉「本島の周りにいくつか離島があるんだけど」
鞠莉「その中でも有名な島の一つがこのムラーノ島でーす!」
ダイヤ「本島よりもこちらは長閑な雰囲気がありますわね」
鞠莉「本島と比べたら観光客もそんなに多くないしね〜」
果南「この島は何が有名なの?」
鞠莉「何と言ってもヴェネツィアン・グラスね!」
鞠莉「イタリア語で『Vetro di Murano』」
鞠莉「日本語でムラーノ島のガラスって呼ばれてるのよ」
鞠莉「だからこの島で生産されたものだけがヴェネツィアン・グラスってことなの」
果南「なるほど〜」
ダイヤ「通り沿いにもヴェネツィアン・グラスのお店が多いですわね」
https://i.imgur.com/FZTSkn7.jpg
果南「どれもキラキラしてて見てるだけで楽しい気分になるね」
鞠莉「せっかくだしお店に入ってみましょ♪」 果南「うわ〜綺麗」
ダイヤ「本当、色鮮やかで素敵ですわね」
鞠莉「グラスとか花瓶とかだけじゃなくてアクセサリーもあるからね〜」
鞠莉「ほら、このネックレスとか果南に似合うんじゃない?」
果南「え、えぇ〜」
果南「いや確かに凄い良いネックレスだと思うけど」
果南「あんまりそういうの身につけるガラじゃないといいますか」
ダイヤ「もう、自分を卑下しないでくださいな」
果南「だ、だって〜」
ダイヤ「とても良く似合ってますわよ?」
鞠莉「そうそう。それに果南も良い年頃なんですからそろそろお洒落に気を遣ってくださーい」 果南「むぅ〜そういうダイヤはどうなのさ!」
ダイヤ「わ、わたくしですか?」
果南「ダイヤだってお洒落には無頓着じゃん」
ダイヤ「うっ……別に良いではありませんか」
鞠莉「でもヘアピンにはやたら拘ってるよね?今回もおニューのヘアピンなんでしょ?」
ダイヤ「あ、あぁ、これですか」
ダイヤ「実は先日買い物へ行った時に、ルビィが選んでくれたのです」
果南「へぇ〜」
ダイヤ「元々ルビィのお洋服を買いに行ったのですが、そのお礼にと」
果南「そういえばダイヤってルビィの洋服選んであげてるんだよね」
ダイヤ「そうそう、このヘアピン少し変わっていてですね……ほら」
果南「わっ、光った」
ダイヤ「綺麗でしょう?」
鞠莉「いや、綺麗だけどいつ光らせるのよ」
ダイヤ「もう少し早く見つけてればライブの時にでも使えたのですけどね」 鞠莉「じゃあヘアピンはルビィに取られちゃったから別のもの……このイヤリングなんかどうかしら?」
果南「お、凄い大人っぽくて良いじゃんダイヤ」
ダイヤ「そうですか……?あまりイヤリングは身につけないもので」
果南「ライブの衣装ではたまにつけてるじゃん」
ダイヤ「ライブの衣装とは別です!」
鞠莉「ま、ダイヤも華の大学生になるんだしお洒落にも気を遣いなさい」
ダイヤ「そうですわね。考えてみますわ」 ダイヤ「では今度はわたくしと果南さんで鞠莉さんに似合うものを探しましょうか」
果南「お、良いねそれ」
鞠莉「あら、それは楽しみね♪2人がどんなのを選んでくれるのか」
果南「ん〜でも鞠莉は何だって似合うからなぁ」
ダイヤ「悩みますわね。鞠莉さん黙ってれば美人ですし」
果南「小さい頃はお人形さんみたいで可愛かったなぁ」
ダイヤ「あら、今だって十分可愛らしい所がありますわよ?基本おてんば娘ですが」
鞠莉「褒めてるのか喧嘩売ってるのかどっちなのよ」
果南「冗談だって。はい、これなんてどう?」
ダイヤ「鞠莉さんのとびっきり明るい笑顔にぴったりなペンダントですわ」
鞠莉「Oh……凄い……嬉しい」
ダイヤ「鞠莉さん?」 鞠莉「ううん、友達に選んでもらうのってこんなにも心が温かくなるんだなって」
果南「あーうちらって一緒に服買いに行ったりとかもなかったしね」
ダイヤ「お揃いの小物を買ったりとかはありましたけど」
ダイヤ「お互いに選びあったりは確かに記憶が無いですわね」
鞠莉「また思い出が増えたわ、Thank you♪」
ダイヤ「ふふ、どういたしまして」
果南「よし、せっかくだし自分へのお土産ってことで買っていこうよ」
鞠莉「OK!」 鞠莉「ん〜♪良いShoppingが出来ました」
果南「……結構なお値段だったねダイヤ」ボソボソ
ダイヤ「……まぁ、本物のヴェネツィアン・グラスなのですから致し方ないでしょう」ボソボソ
果南「奮発したんだしこのアクセサリーが似合う女性になろう」ボソボソ
ダイヤ「えぇ、もちろんですわ」ボソボソ
鞠莉「果南?ダイヤ?どうしたの?」
ダイヤ「な、なんでもありませんわ」
果南「そうそう!」
鞠莉「?」 〜サン・ステファノ広場〜
果南「何あれ!」
https://i.imgur.com/7qNSsEM.jpg
ダイヤ「これは……凄いですわね」
鞠莉「ヴェネツィアン・グラスで作られたオブジェでーす!」
鞠莉「『Cometa di Vetro』、日本語で青い彗星を意味するわ」
ダイヤ「これ全部ヴェネツィアン・グラスなのですか……」
果南「流石はガラスの街だけあるねぇ」
鞠莉「そうね、この島のシンボルのようなものよ」
果南「何か青いウニみたい」
ダイヤ「美味しそうとか言わないでくださいね」
果南「言わないよ!」 〜ヴァポレット(水上バス)で移動中〜
果南「次はどこに行くの?」
鞠莉「2人を絵本の中にご案内しまーす!」
ダイヤ「絵本の中?」
果南「どういうこと?」
鞠莉「ふふふ、着いてからのお楽しみでーす」 〜ブラーノ島〜
果南「うわぁ〜何これ」
ダイヤ「絵本の中ってそういうことだったのですね」
https://i.imgur.com/ackAHVD.jpg
https://i.imgur.com/Vx04HW9.jpg
https://i.imgur.com/OtMPxHy.jpg
鞠莉「どう?驚いた?」
果南「ほんと、絵本の中に迷い込んだみたいだよ」
ダイヤ「カラフルな街並みで、心がときめきますわね」
果南「お、AZALEAカラーだ」
https://i.imgur.com/6qoMQUG.jpg
ダイヤ「本当ですわね」
鞠莉「隣に私もいまーす!」 果南「ところで何でこんなにカラフルなの?」
鞠莉「それはね、漁に出た漁師さんたちが自分の家にたどり着けるように色を塗ったのよ」
鞠莉「冬になるとこの辺霧が深くなるみたいだから」
ダイヤ「知恵を絞ったわけですね」
鞠莉「でも適当に塗ってるわけじゃないのよ?」
果南「そうなの?」
鞠莉「周囲の家とは違う色にしなきゃいけないルールがあるみたい」
鞠莉「あと壁の色を変えるには市の許可が必要なんだって」
ダイヤ「そこまで管理されているのですね」
果南「まぁ自分の家の目印ってことは、他の人にとっても目印だからねぇ」
鞠莉「何の断りもなくChangeしたら大混乱でーす」 鞠莉「この島にはねもう一つ有名なSpotがあるの」
鞠莉「それがこの鐘桜よ」
https://i.imgur.com/OzDrEHe.jpg
果南「何か……」
ダイヤ「傾いてますわね……」
鞠莉「この広場って元々運河だったのを埋め立てて作られたのよ」
鞠莉「だから地盤がゆるくてどんどん傾いてしまったそうなの」
果南「へぇ〜、でも何か似たような話を聞いたような」
ダイヤ「ピサの斜塔ですわね」
果南「それだ!」
鞠莉「あそこも地盤が弱いからね〜」
鞠莉「イタリアはそういう建物が多いのよ」 ダイヤ「鞠莉さん、あそこは何ですか」
https://i.imgur.com/mcFePSL.jpg
鞠莉「あそこはレース博物館ね」
果南「レース?車の?」
鞠莉「違うわ果南、レースはレースでも編み物の方よ」
鞠莉「レース編みはこの島の伝統工芸なの」
果南「なるほど」
鞠莉「それではここでQuizでーす!」
ダイヤ「なんですか急に」
果南「いきなり何か始まった」
鞠莉「何故、この島でレース編みが伝統工芸になったのでしょう?」
果南「え〜〜〜分かんないよそんなの」
ダイヤ「皆目見当がつきませんわね……」 果南「鞠莉!ヒント!ヒントちょうだい!」
鞠莉「そうねぇ〜この島の街並みがColorfulな理由、覚えてる?」
果南「確か……漁に出た漁師さんたちが自分の家にたどり着けるようにだったね」
鞠莉「イエース。ということは、この島の主要な産業は?」
ダイヤ「漁業、ですか?……あっ!」
果南「え、分かったのダイヤ!?」
鞠莉「さっすが沼津のアジというアジの流通を牛耳る黒幕の家の娘でーす!」
ダイヤ「黒幕とかしてませんわ!」
ダイヤ「……こほん!つまり、こういうことなのではないでしょうか」
ダイヤ「漁業が盛んなこの島では漁業で用いられる漁具」
ダイヤ「特に魚を捕獲する為の網、漁網の需要が高かったのだと思います」
ダイヤ「そして漁網の製作や修繕を繰り返すことで漁網作りの技術が高まっていき」
ダイヤ「やがてレース編みが生み出されその技術が発展していった……合っていますか?」
鞠莉「Perfect!」
果南「おー、すごいねダイヤ」
ダイヤ「鞠莉さんのヒントのお陰ですわ」 鞠莉「でもこの技術を受け継ぐ人が少なくて大変みたいなの」
果南「後継者不足かぁ」
ダイヤ「伝統とはとかくそういう問題もはらんでいますからね……」
ダイヤ「連綿と受け継がれてきたものも、時代の流れには逆らえないのです」
ダイヤ「そして一度途絶えたものを復活させるのは並大抵のことではありません」
鞠莉「職人技って簡単に継承出来るわけじゃないものねぇ」
ダイヤ「日本の職人文化にも言えることですし、こればかりは万国共通の悩みですわね」
果南「……無くならないと良いね」
鞠莉「そうね……」
ダイヤ「信じましょう、数百年続いてきた伝統の力を」 Chapter9「救済」
果南「本島に戻ってくるとやっぱり人が多く感じるね」
鞠莉「特にここはイタリアで最もフォトジェニックな場所って言われてるからねー」
ダイヤ「サンタ・マリア・デッラ・サルーテ聖堂ですわね」
https://i.imgur.com/gi3hl61.jpg
果南「確かにどこから見ても絵になるし、撮りたくなる気持ち分かるよ」パシャパシャ
ダイヤ「本当に優雅で美しいですわね」
鞠莉「10万個の木片を組み合わせた土台の上に立っているそうよ」
果南「スケールが違うね〜」
鞠莉「ちなみに完成まで57年かかったらしいわ」
果南「えぇっ、そんなに?」
鞠莉「ま、ここがどんな場所なのかを考えればそれだけかかるのも納得出来るわ」
果南「あ、そっか。地盤弱そうだもんね」 ダイヤ「教会の中も荘厳で素晴らしいですわね」
https://i.imgur.com/sUNWr6e.jpg
果南「天井高いね〜」
ダイヤ「そういえば、この教会はどういった経緯で建てられたのですか?」
鞠莉「うーん、そうねぇ……ペストって知ってる?」
果南「あ、聞いたことある」
ダイヤ「黒死病ですわね」
鞠莉「そ。17世紀頃にヴェネツィアでもペストが大流行して人口が2年で3分の1に減ったそうよ」
鞠莉「そんなペストの終焉を感謝して建てられたのがこの教会ってわけ」
鞠莉「ちなみにサルーテはイタリア語で健康や救済を意味するわ」
鞠莉「そしてこの教会は聖母マリアに捧げられてるの」 ダイヤ「サンタ・マリア、サルーテ……訳すとさしずめ『救済の聖母マリア聖堂』ですか」
鞠莉「Exactly!当時の人々にとって、災厄に見舞われた時は祈ることが全てだったのよ」
果南「日本の大仏なんかもそんな感じだよね」
鞠莉「その一連のStoryを表してるのが祭壇の彫刻よ」
https://i.imgur.com/8oeqUln.jpg
鞠莉「ちなみにこれは……」
果南「真ん中は……話の流れ的に聖母マリア?」
ダイヤ「恐らくそうですわね。聖母子像と呼ばれるものだと思います」
鞠莉「えっ?」 果南「左右の彫刻は……何だろうね」
ダイヤ「左の彫刻は跪いているように見えますわ」
果南「右のは……追い払われてるような?」
ダイヤ「一連の物語……ペスト……あっ」
果南「もしかして!」
ダイヤ「左の彫刻はペストの終焉を感謝するヴェネツィアを表しているのではないでしょうか」
果南「右の彫刻はそんなペストそのものを表してるんだよきっと!」
鞠莉「おっどろいたわ、急に2人で推理し始めるんだから」
鞠莉「Perfect!推理通りよ、探偵さん♪」
鞠莉「もうすっかりヴェネツィア博士ね、2人とも」
果南「えへへー」
ダイヤ「それだけ鞠莉さんに色々なことを教えてもらいましたからね」
鞠莉「教えた甲斐があったわ♪」 鞠莉「その後も私たちはヴェネツィア観光を楽しんだわ」
果南「アカデミア美術館でヴェネツィア絵画を鑑賞したり」
ダイヤ「コッレール美術館では近世のヴェネツィアの歴史と暮らしぶりに触れることが出来ました」
鞠莉「他にも美味しいもの食べたり、Shoppingしたり」
果南「本当に時間が経つのを忘れるくらい楽しくて」
ダイヤ「ずっとこの時間が続けば良いのにとさえ思いました」
鞠莉「でも、そんな楽しい時間に終わりを告げる知らせが私たちに届いて……」 Chapter10「再会と逃走」
ダイヤ「由々しき事態ですわね」
果南「まさかこんなことになるとはね」
鞠莉「チカっちたちがこっちへ来るなんて……」
ダイヤ「それも、鞠莉さんのお母様と接触したとのことですね」
果南「どうするの?」
鞠莉「う〜ん、ちょっとこの状況は予想外なのよねー」
果南「千歌たちが来るだけなら良いけど鞠莉のお母さんと会ってるのがなぁ」
ダイヤ「わたくしたちの置かれている状況を聞いた上でこちらに来るというのであれば」
ダイヤ「中々面倒なことになりますわね」 鞠莉「……決めたわ」
鞠莉「チカっちたちに会いましょう」
ダイヤ「本気ですの?」
果南「理由は?」
鞠莉「事情はどうあれ、私たちに会いに来ると言ってまーす」
鞠莉「それを無下には出来ません」
鞠莉「大切な私たちの後輩なんだから……」
果南「鞠莉……分かった。その考えに乗るよ」
ダイヤ「わたくしもですわ」
鞠莉「ダイヤはそろそろルビィに会いたくなってきたものね〜」
ダイヤ「べ、別にそういうわけでは!」 鞠莉「ただし、もしもの場合はチカっちたちを置いてRunawayよ」
果南「うん。私たちの最優先は鞠莉を鞠莉のお母さんから逃すこと」
ダイヤ「それは誰にも邪魔させませんわ」
鞠莉「果南……ダイヤ……」
鞠莉「ほんっと、頼もしいKnightsなんだから」ボソッ
果南「何か言った?」
鞠莉「なんでもありませーん」
かなダイ「?」
鞠莉「とりあえず今日は戻りましょう」
鞠莉「きっと明日は忙しい一日になるわよ」 〜翌朝〜
ダイヤ「な、なんですのこれは!?」
https://i.imgur.com/bvvdS8g.jpg
鞠莉「Oh〜、ダイヤVery badな顔ね〜」ケラケラ
ダイヤ「笑っている場合ですか!」
果南「何というか、いかにも鞠莉のお母さんがやりそうな手口だね」
鞠莉「真面目な話、これでもうおおっぴらに動くわけにはいかないわね」
ダイヤ「街中に貼られているようですしね」
果南「千歌たちとはどうやって合流するの?」
鞠莉「そこは色々考えてるのでマリーに任せて♪」
果南「ふーん?」
鞠莉「それと携帯の電源はOFFね」
果南「確かに、迂闊に場所を教えかねないしね」
ダイヤ「それで、千歌さんたちとどこで合流するんですか?」
鞠莉「それは……ここでーす!」 〜コンタリーニ・デル・ボーヴォロ〜
果南「わーまた登るんだー」
https://i.imgur.com/FT31Fj5.jpg
鞠莉「サン・マルコの鐘楼に比べたら全然高くないから問題ナッシングでーす!」
ダイヤ「また手を握って差し上げましょうか?」クスクス
果南「別にこれくらい登れるよ!」 https://i.imgur.com/f7yKuwI.jpg
果南「ほらね、全然平気なんだから」ドヤッ
鞠莉「ドヤ顔で言うことじゃないと思うんだけど?」
果南「はい……」
ダイヤ「でも本当に千歌さんたちはたどり着けるのでしょうか」
鞠莉「んー場所は伝えたから迷子にならなければ大丈夫だと思うけど」
タイムスリップシタミタイ!
果南「あれ?今梨子の声がしたような」
ダイヤ「梨子さんだけではありませんわ」ヒョコッ
鞠莉「どうやら到着したみたいね♪」ヒョコッ
果南「本当だ」ヒョコッ
オネェチャン!
マリチャン!カナンチャン!
鞠莉「あらあら、嬉しそうな顔しちゃって」
ダイヤ「でもたった数日会ってないだけですのに、とても懐かしい気持ちになりますわね」
果南「毎日のように顔合わせてたからねぇ」
鞠莉「ま、ひとまずは感動の再会といきましょー♪」 ダイヤ「その後の顛末は知っての通りですわ」
鞠莉「危うくママに嵌められそうだったけど」
果南「鞠莉が上手く機転を利かせて逃げることが出来た」
鞠莉「ほんとママったらしつこいんだから!」
〜逃走中〜
https://www.youtube.com/watch?v=ZQ1C-YT78-U Side Story1「電話に出んわ」
〜ボーヴォロへの移動中〜
果南「で、結局千歌たちにはどうやって合流場所伝えるの?」
ダイヤ「電話では教えられませんし」
鞠莉「ふふっ、2人とも文明の利器に染まってすっかり忘れてしまったみたいね」
果南「忘れる?」
ダイヤ「何をですか?」
鞠莉「携帯電話が普及する以前、外出時はどうやって電話をしてたのかしら?」
果南「携帯電話以前……あぁ、公衆電話?」
鞠莉「イエース!」
ダイヤ「なるほど、公衆電話から千歌さんの携帯に電話をかけるのですね」
鞠莉「ちっちっち、甘いね〜ダイヤ、ティラミスよりも甘いよ」
ダイヤ「は?」イラッ
鞠莉「そんな普通のことやっても面白くありませーん」
鞠莉「……っと、そろそろチカっちたちが例の場所に到着する頃ね」
鞠莉「とりあえずそこの公衆電話から〜」
果南「一体何をする気?」 鞠莉「んふー♪実はチカっちにとある場所の写真を送っておいたの」
鞠莉「先ずはここへ来なさいってヒントの意味も込めて」
鞠莉「それでね、その場所のすぐ近くには公衆電話があるのでーす!」
ダイヤ「ま、まさか」
果南「公衆電話にかける気!?」
鞠莉「この間見たアクション映画でそういうシーンがあってね〜」
鞠莉「1回やってみたかったのよ〜」
ピポパ
プルルルルルルルルルル
鞠莉「……」ワクワク
プルルルルルルルルルル
鞠莉「……」ソワソワ
プルルルルルルルルルル
鞠莉「……」マダカナー
プルルルルルルルルルル
鞠莉「……」マダ?
プルルルルルルルルルル
ダイヤ「中々出ませんわね」
鞠莉「なんでよ!」 果南「そりゃ〜だって千歌たちがそこに今着いてる保証なんてないし」
鞠莉「でもでも!飛行機の時間とか電車の時間は教えてきたから」
鞠莉「そこから逆算すれば今頃着いててもおかしくないの!」
ダイヤ「きっと花丸さんや善子さんやルビィが何か買い食いをしていたのかもしれませんわ」
果南「あ〜あり得る、私たちだって着いて早々ジェラート食べたしね」
鞠莉「そうだけど〜」
ダイヤ「諦めて普通に千歌さんの携帯にかければ良いのでは?」
鞠莉「やだ!」
ダイヤ「子供ですか……」
果南「こういう時の鞠莉は頑固だなぁ」 〜10分後〜
プルルルルルルルルルル
鞠莉「……」
鞠莉「おかしいわ!」
果南「まだ着いてないんじゃない?」
鞠莉「百歩譲ってまだ着いてないとしても!」
鞠莉「こんだけ鳴らしてるんだから誰か出なさいよ!」
鞠莉「周りに誰も居ないわけないでしょ!」
果南「全然関係ない人が出たらそれはそれで困るでしょ……」
ダイヤ「そもそもこんな気味の悪い電話誰も出たがらないと思いますけど」
ダイヤ「わたくしだったら間違いなく出ませんわ」
果南「まぁよっぽど好奇心が強くて、この電話に何かを期待した人でもなければねぇ」
ダイヤ「大多数の人が期待感よりも恐怖感だと思いますわ」
鞠莉「うぅ……分かったわよ〜」 ピポパ
プルルルルルルルルルル
鞠莉「これで誰も出なかったらチカっちの携帯に直接かけまーす……」
果南「最初からそうすれば良いのに」
プルルルルルルルルルル
鞠莉「……」
ダイヤ「……潮時じゃないですか?」
プルルルルルルルルルル
鞠莉「……Time upね」
プルルルル……ガチャ
鞠莉「えっ?」
ダイヤ「うそ……」
果南「で、出た!?」 〜ヴィラ コーラ〜
ダイヤ「あの時電話に出たのが月さんだったんですね」
鞠莉「いや〜まさか本当に出てくれるとは思わなかったでーす」
果南「そこは思っておこうよ」
ダイヤ「ところで、一つ疑問があるのですが」
鞠莉「なーに?」
ダイヤ「日本でもそうですが、基本的に公衆電話の番号って公開されてないはずでは?」
鞠莉「そこはほら、オハラのPowerを使って……ね♪」
果南「……だと思ったよ」 Side Story2「以心伝心」
ダイヤ「恐らく言われたから来たのではないと思います」
ダイヤ「多分、何か話したいことがあるのではないでしょうか」
果南「……」ジー
鞠莉「……」ジー
ダイヤ「なんですの?」
果南「いや流石だなって」
ダイヤ「はい?」
鞠莉「ルビィに触れただけで全てを感じ取るなんて黒澤シスターズの絆は凄いですねー」
ダイヤ「んなっ!?」 ダイヤ「べ、別にそういうわけじゃないです!」
果南「えー、だってさっきからルビィ抱きしめた手ばっか見てんじゃん?」
鞠莉「ルビィの些細な変化もダイヤにはお見通し的なサムシングじゃないの?」
ダイヤ「茶化さないで下さい!」
ダイヤ「ま、まぁ?ルビィの様子がいつもと違うなと感じたのは認めます」
果南「私たちからしたらいつものルビィって感じだったけどねぇ」
ダイヤ「ルビィとは家族ですし、ずっと一緒に居ると何となく分かるようになりますわ」
鞠莉「ふーん」
鞠莉「じゃあルビィ程じゃないけど長年一緒に居る私たちのことも少しは分かるのかしら?」
ダイヤ「なんですって?」 果南「お、それは気になる」
鞠莉「今からダイヤとハグをするので私たちが何を考えてるのか当ててくださーい!」
ダイヤ「いやいや、何をいきなり」
果南「嫌なの?」
ダイヤ「嫌というか何と言いますか……」
鞠莉「そっか、私たちそこまで絆の深い友達じゃなかったのね」シュン
ダイヤ「あぁもう!好きにしなさいな!」
かなまり「やった!」 果南「じゃあ先ずは私から」
ダイヤ「はいはい」
果南「はぐぅ!」ギュー
ダイヤ「……」
果南「どう?何か分かった?」
ダイヤ「……果南さん、もしやと思いますが」
果南「うん」
ダイヤ「特に何も考えていませんわね?」
果南「すごっ!何で分かったの?」
ダイヤ「果南さんは小難しいことは出来ない性格ですから」
果南「いや〜急に言われても何も思い浮かばなかったもんで」 鞠莉「中々やるじゃないダイヤ」
ダイヤ「それはどうも」
鞠莉「次は私のターンでーす!」
ダイヤ「早くしてくださいな」
鞠莉「そうやってすましてられるのも今のうちなんだから!」ハグゥ
ダイヤ「……」
鞠莉「さぁ、どうなのダイヤ!」
ダイヤ「……とりあえずどさくさに紛れてわたくしのお尻を触っている手をどけてくれませんこと?」
ダイヤ「今すぐどかさないとここから突き落としますわよ?」
鞠莉「Oh〜ダイヤのイケズ〜」 鞠莉「それで、何か分かったかしら?」
ダイヤ「いえ何も」
鞠莉「オーマイガッ!」
ダイヤ「というか鞠莉さんも特に何も考えてませんわよね?」
鞠莉「あ、バレた?」
ダイヤ「全くもう、何がしたかったのですか」
鞠莉「いや〜ちょっとダイヤを困らせたくなっちゃって」
果南「そんなこと言っちゃってー」
果南「何でも分かり合ってるルビィが羨ましくなっちゃったくせに」
鞠莉「う、うるさいバカ果南!」
ダイヤ「はぁ……」アキレ
ダイヤ「……別にお二人だって同じですわよ」
かなまり「えっ?」 ダイヤ「言葉にしなくても気持ちや考えが通じ合う……」
ダイヤ「以心伝心、拈華微笑の仲だと思っているのはわたくしだけですか?」
鞠莉「そ、そんなことない!」
果南「私たちだって思ってるよ!」
ダイヤ「ならそれで良いではないですか」
ダイヤ「わたくしからしたら、鞠莉さんも果南さんも……」
ダイヤ「家族同然のようなものですわ」ニコッ
かなまり「ダ、ダイヤ〜!」ギュー
ダイヤ「あぁもう、世話が焼けますわね、本当に」ナデナデ Chapter11「約束」
鞠莉「んーーーーー楽しかったー!」
果南「いやぁまさかイタリアで歌うことになるとはね」
鞠莉「しかも9人で!」
ダイヤ「千歌さんたちが来るってなった時はどうなることかと思いましたけど」
果南「まぁ結果的に鞠莉のお母さんにも認めてもらったし良かったじゃん」
鞠莉「そうね、そういう意味でもチカっちたちには本当に感謝ね」
果南「千歌たちの悩みも聞いてあげられたし」
ダイヤ「実りの多い卒業旅行でしたわね」
果南「うん。それにしても本当に色んなところに行ったよね」
ダイヤ「ヴェネツィアにフィレンツェ、そしてここローマ……」
ダイヤ「目に映るもの全てが新鮮で、本当に来て良かったですわ」
果南「美味しいものもいっぱい食べれたし!」
鞠莉「花より団子ね〜果南は」
果南「うっ……まぁ花担当はダイヤだしさ」
ダイヤ「勝手に担当にしないでくださいな」 鞠莉「でも楽しかったからこそ、明日には帰らなきゃいけないのが寂しいわね」
ダイヤ「もう、そんなしょげた顔しないでくださいな」
ダイヤ「家に帰るまでが卒業旅行ですわよ?」
果南「千歌たちも最後の夜だからって、気を遣ってホテルの部屋私たちだけにしてくれたしね」
鞠莉「ダイヤ……果南……」
果南「ま、出来ることと言ったらこうやってお喋りするくらいだけど」
鞠莉「そうね。そうと決まったらとことん語り合うわよー!」
ダイヤ「えぇ!わたくしたちの卒業旅行はまだ終わっていませんわ!」
果南「待って、なんか打ち切り漫画のラストみたいなんだけどそれ」
鞠莉「ぷっ、あはははは!」
ダイヤ「そういう意味で言ったのではありません!」
果南「分かってる分かってる」 鞠莉「そういえば今更だけど、ダイヤ今回の旅行中ずっとテンション高くなかった?」
ダイヤ「へ?」
果南「あー言われてみれば」
ダイヤ「そんなに変わっていましたか?」
鞠莉「んー目に見えてってわけじゃないけど、いつもより3割増しくらいって感じ?」
ダイヤ「自分ではあまりそういう意識は無いのですが……」
ダイヤ「でも、言われてみれば確かに心が軽くなっていたのかもしれません」
果南「どうして?」
ダイヤ「自分を縛るものが無くなったから、でしょうか」 ダイヤ「学校を卒業した今、生徒会長としての責務も」
ダイヤ「Aqoursのメンバーとして皆さんを見守る役割も」
ダイヤ「全てわたくしの手から離れていったのです」
果南「いつもは気にかけなきゃいけないルビィも、こっちに来るまでは居なかったしね」
鞠莉「来たら来たで、すっかり独り立ちしちゃったけどね」
ダイヤ「ほんとうに」クスッ
ダイヤ「だから今のわたくしは、ただの黒澤ダイヤなのです」
ダイヤ「そういう意味では久しぶりに自由になれたのかもしれません」
ダイヤ「まぁ、つかの間の自由かもしれませんが」 果南「確かに。大学生活が始まったら何でもかんでも背負い込んで」
果南「今まで通りのダイヤに戻ってそう」
鞠莉「あー凄く想像出来るわね、無理しないでよ?」
ダイヤ「ぜ、善処しますわ」
果南「それにしてもあのダイヤが大学生ねぇ」
鞠莉「それも東京で一人暮らし」
ダイヤ「何か問題でも?」
果南「いやぁ大丈夫かなぁって」
ダイヤ「はい?」
鞠莉「知らない人が訪ねてきても出ちゃ駄目だからね?」
果南「変な勧誘とかに騙されないでよ?」
ダイヤ「お二人ともわたくしを何だと思っているのですか」 ダイヤ「わたくしからしたら果南さんが海外に行くことの方が心配ですわ」
果南「え、私?」
鞠莉「あーそれ分かる」
ダイヤ「果南さん困ったらすぐハグしそうですし」
鞠莉「ハグすれば解決するって考えてるとこあるしね〜」
果南「2人こそ私を何だと思ってるのさ!」
ダイヤ「ふふ、本気にしないでください」
果南「もう!」
鞠莉「どちらかというと海外の方がスキンシップをよく取るし」
鞠莉「果南はすんなり溶け込めるんじゃない?」 ダイヤ「でも折角なら果南さんが海外でどう過ごすのか見てみたかったですわね」
鞠莉「じゃあ今度は私とダイヤが果南に会いに行こうよ!」
果南「えぇ!?」
ダイヤ「良いですわねそれ!」
鞠莉「私も果南の生活ぶりが気になるし、何より本当にハグに頼ってないかを確かめなきゃ」
ダイヤ「きっと英語ペラペラの果南さんが案内してくれますわ」
果南「うぐっ、英語の勉強は一応してるけどペラペラになってるかどうかは……」
鞠莉「多分現地で実際にコミュニケーション取り始めたらどんどん上達してくわよ?」
果南「そうなのかなぁ」
鞠莉「果南がボディランゲージに走らなきゃね」ニヤニヤ
果南「いつまで引っ張るの!?」 果南「でもそういうことなら私はダイヤに東京案内してほしいな」
鞠莉「あー!私もしてほしい!」
ダイヤ「えぇ……?東京は何回も行ってるではないですか」
果南「そういうんじゃなくてさ、何て言うのかな」
果南「観光名所とかよりも、ダイヤがどういうとこで買い物してるかとか」
果南「どういうとこでお茶したりご飯食べたりしてるかとか」
果南「そういうダイヤの新しい日常を知りたいんだ」
鞠莉「ダイヤの通う大学も行ってみたいでーす!」
果南「うん、そうだね」
果南「そしてそれは新しい生活が始まらないと出来ないことじゃないかな」
ダイヤ「もう……分かりましたわ」
鞠莉「良いお店見つけておいてね」 ダイヤ「それならばわたくしはまたイタリアに来たいですわね」
鞠莉「まだまだ見て回れなかった場所も多いしいつでもWelcomeでーす!」
果南「じゃあさ、約束しようよ」
ダイヤ「約束?」
果南「うん。3人の、それぞれの新しい場所でまた会おうって約束」
鞠莉「Good ideaよ果南!」
ダイヤ「わたくしたちだけの約束ですわね!」
果南「絶対に、絶対に約束だよ」
鞠莉「嘘ついたらハリセンボンなんだから♪」
ダイヤ「ハリセンボンじゃなくて針千本ですわよ」クスクス Epilogue「贈る言葉」
〜フィウミチーノ空港〜
果南「あれ、鞠莉は?」
ダイヤ「長旅の前に腹ごしらえを、と千歌さんたちを連れて行ってしまいましたわ」
果南「えぇ〜?もうすぐ出発時間なのに?」
ダイヤ「まぁ軽食で済ますと言っていたのですぐに戻ってくるでしょう」
果南「だと良いけど……んっ?」
ダイヤ「どうかされました?」
果南「ねぇ、ダイヤ」クイックイッ
ダイヤ「なんですの?……あっ」
果南「折角だしちょっとお喋りしてこようよ」
ダイヤ「そうですわね、聞きたいこともありますし」 ダイヤ「あの、月さん……でしたか?」
月「うん?あぁ、君はダイヤちゃんだね」
ダイヤ「は、はい」
月「それで君は果南ちゃん」
果南「どうもー」
月「もう1人、あの金髪の鞠莉ちゃんを入れてAqoursの3年生だね!」
果南「あはは、自己紹介の必要も無かったね」
月「曜ちゃんがよく言ってたからねー」
月「3年生はいつも仲良しでとっても頼りになる先輩だって」
果南「へぇ〜曜がそんなことを」
ダイヤ「なんだか照れますわね」
月「それで僕に何か用かな?」 果南「そんな大した用事じゃないんだけどね」
ダイヤ「バタバタしててあまり話すことが出来なかったので」
月「なるほど!僕もちゃんと話したいと思ってたんだよ〜」
果南「何か巻き込んじゃったみたいでごめんね?」
月「ううん!僕も楽しかったから気にしないで」
ダイヤ「そう言って頂けると助かりますわ」
果南「あと月ってこっちの言葉分かるんだよね?
月「伊達にこっちに住んでなかったからね」
ダイヤ「されっもあみーけぺるせんぷれ」
月「えっ?」 ダイヤ「鞠莉さんにこちらの言葉を教えてほしいと言ったら」
果南「この言葉を教えてもらったんだけど、どういう意味か分からなくて」
月「あ、あぁそういうことね」
月「初対面の僕にいきなり言うからびっくりしたよ」
ダイヤ「もしかして失礼な言葉なのですか!?」
月「ううん、むしろその逆だよ!」
月「ただ会ったばかりの人に言うような言葉じゃないかなぁ」
月「君たちみたいに長い年月を重ねた関係にこそぴったりだと思う」
月「そしてこの言葉の意味は僕の口から教えるわけにはいかないよ」
果南「えぇ〜」
ダイヤ「ますます気になりますわね」
果南「あとで辞書引こう」
月「うんうん、自分たちでその意味を知った方が絶対良いよ〜!」 鞠莉「Hey!3人さーん!何やってるのー?」
ダイヤ「鞠莉さん!」
果南「ううん、何でもないよ」
月「鞠莉ちゃんは元気だなぁって話してたんだよ」
鞠莉「ふーん?それはさておきそろそろ出発の時間よ!」
ダイヤ「ちょ!引っ張らないで下さい!」
果南「ほらほらー置いてくよー?」
ダイヤ「元はと言えば鞠莉さんを待っていたのですが!?」
月「ははは、本当に仲良しだねぇ」
月「さて、僕も置いてけぼりにならないように……ん?」
月「……お見送りですか?」
鞠莉ママ「……偶然通りがかっただけデース」 月「偶然通りがかる場所じゃないと思うんですけどねぇ」
鞠莉ママ「うるさいデース」
月「それで、どうでした?娘さんたちのパフォーマンスは」
鞠莉ママ「ふん、くだらないと言ったのは撤回しましょう」
鞠莉ママ「それでも、鞠莉が遠回りをしてきた事実に変わりはありませーん」
鞠莉ママ「では、私はこれで」ツカツカツカ
月「……ほんと、素直じゃない人だねぇ」 鞠莉ママ「……」ツカツカツカ
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
幼果南『誰このおばさん?』
鞠莉ママ『おば……!』
幼鞠莉『私のママだよ!』
幼ダイヤ『果南さん、失礼ですわよ!』
幼果南『でもおばさんはおばさんじゃん』
鞠莉ママ『こんのクソガキーーー!!!』
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
鞠莉ママ「……」ツカツカツカ
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
幼鞠莉『果南とダイヤと遊んじゃ駄目だって言うなら、パパもママも勘当します!』
鞠莉ママ『What's!?勘当!?どこでそんな乱暴な言葉を』
幼鞠莉『ダイヤから教わったの!』
幼ダイヤ『ま、鞠莉さん』
鞠莉ママ「クロサワの娘だからって調子に乗ってーーー!!!』
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
鞠莉ママ「……ふっ」 👀
Rock54: Caution(BBR-MD5:1341adc37120578f18dba9451e6c8c3b) 鞠莉ママ(あんなに小さかった子たちが)
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
鞠莉『スクールアイドルは……くだらなくなんかない!』
果南『縁談なんかやめて』
ダイヤ『わたくしたちと自由に、会うことを認めて頂けますか?』
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
鞠莉ママ(いつの間にか、すっかり大きくなっていたのですネ)
鞠莉ママ「……」チラッ
マリサン!パスポートオトシテマスワヨ!
オー!サンキューダイヤ
マリアワテスギ
鞠莉ママ「……良い友達をもちましたネ」
鞠莉ママ「Chi trova un amico trova un tesoro」
鞠莉ママ「貴女たちにはこの言葉を贈りマース」
鞠莉ママ「……せいぜい大切にしなさい」 ―Chi trova un amico trova un tesoro―
(友に巡り会えた人は、宝を手に入れたも同然である)
∫∫( c||^ヮ^|| ノξソ>ω<ハ6 |c||^.- ^||
〜Fin〜 終わるびぃ!
個人的に3年生の観光中心に映画で心残りだったとこを勝手に補完しました
Googleストリートビューは偉大 【速報】金券500円分タダでもらえる
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