にこ「コーヒーが美味しいのよね」
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ズズ…
にこ「…うん、美味しい」
にこ「今日はスマトラね」
にこ「この独特の渋みとコク…」
にこ「今のにこにぴったりね」
にこ「ふぅ…」カタ
にこ「…」 にこ「こんな日は本を読んで、ゆったり過ごすに限るのよね」
にこ「なんて優雅な休日なのかしら」
にこ「ふふ…」
にこ「…」ペラ
ガヤガヤ
にこ「…?」
にこ「…」
にこ「はぁ…やかましい学生の到着、か――」 にこ「…少し、場所を移動しようかしら」カタ
にこ「…」
にこ「うん、うるさい集団は予想通り真ん中に固まったわね」
にこ「別にこの空間は誰のものでもない」
にこ「いくらやかましい客が現れても、それもまた一つの環境音」
にこ「それを止める術は私には無いわ」
にこ「隅っこの席で黄昏れるのだって、悪くないものね?」
ズズ… にこ「…」ペラ
にこ「…」パラ
カッ
にこ「っ」
にこ「…西日が、随分と眩しいわね」
にこ「これじゃ本なんか読めないじゃない」
にこ「どうも今日は運が悪いらしいわね」
にこ「前門の太陽、後門の学生、か――」
にこ「ふふ、別に上手くもなんともないわね…」 ズズ…
にこ「とはいえ、コーヒーは美味しいわ」
にこ「それだけは間違いないのよ」
にこ「…」カタ
にこ「…ブラインドを降ろして太陽を遮ってもいいんだけれど」
にこ「それもなんだか、味気ないわよね…」
にこ「せっかくの青空と太陽、楽しまないと損じゃない?」
にこ「屋内にいながら言う台詞でもないと思うけれど、ね」
ズズ…
にこ「うん、美味しい」 にこ「…」カタ
にこ「コーヒーって、飲んでると色々考えるわよね」
にこ「カフェインで頭が冴え渡るからなのかしら?」
にこ「そのへんのことは、よく分からないけど…」
にこ「…はぁ」
にこ「…」
にこ「何やってるのかしらねぇ、こんなところで――」 ズズ…
にこ「最高の休日を味わっている筈なのに、コーヒーは苦いのよ」
にこ「美味しいけれど、苦いのよ」
にこ「…まるで私の人生みたいね」
にこ「…」
ズズ…
にこ「…なんて」
にこ「ちょっとしたポエムを気取ってみたけれど、私らしいかしらね?」 にこ「…ふぅ」
ガヤガヤ
バタン
にこ「…あら、学生集団が帰って行ったみたいね」
にこ「彼らが帰ってくれれば、いつものゆったりとした空間が戻ってきてくれる」
にこ「私もまた、いつもの定位置に戻りましょうか」カタ
トコトコ…
にこ「ついでにコーヒーもお代わりを頂くわ」
にこ「2杯目までは無料なんて、嬉しいわよね」
にこ「貰えるものはしっかり貰うのがにこの流儀よ」 にこ「…」
ズズ…
にこ「うん、淹れたては美味しいわね」
にこ「さっきまでとは違った風味があるのよ」
にこ「冷めたコーヒーも好きだけれど、熱々のコーヒーに勝るものは無いわ」
にこ「…」
にこ「…どんなものだって、それは同じよね」
にこ「コーヒーだけとは限らない…か」 にこ「…本当にコーヒーには色々教えて貰えるわね」
にこ「別に、コーヒーじゃなくてもいい気はするけど、まぁそこはそれよ」
ズズ…
にこ「…はぁ」
にこ「…」
にこ「うん」
にこ「…美味しい」 にこ「…」
カランコロン
穂乃果「あ、にこちゃーん! いたいたー!」
にこ「しまった…」 穂乃果「え、しまったって何ー? 穂乃果ここに来たら迷惑だったー…?」
にこ「んー…まぁ、その、ね」
穂乃果「何そのはっきりしない口調ー」
にこ「こんな時間を楽しみたかっただけよ。あんたが来たらさっきの学生みたいにやかましくなるだけじゃない」
穂乃果「穂乃果そんなやかましくないもん!」
にこ「…」
ズズ…
にこ「こんな時間も、しばらくはおあずけってことね」クス にこ「あ…そろそろ太陽が沈んでしまうわね…」
穂乃果「あー、そうだねぇ」
にこ「…今日は冷えそうね」
穂乃果「そう? コートいる?」
にこ「アンタのなんていらないわよ」
穂乃果「ガーン」
にこ「…夜がくる前のこの短い時間は、切ない気分になるわよね」
穂乃果「そう…?」
にこ「…」
ズズ…
にこ「…」カタ
穂乃果「にが…」 にこ「アンタも、こういう雰囲気が分かる女になれればね」
穂乃果「うーん、あんまりなりたくないかなぁ」
にこ「なれないの間違いでしょ」
穂乃果「ぅー」
にこ「…」
ズズ…
穂乃果「…」ジー にこ「なによ?」
穂乃果「いや、なるほどなーと思って」
にこ「どういうこと?」
穂乃果「それが大人の女性の作り方なのかなぁ、って」
にこ「…コーヒーが似合う女よ」
穂乃果「カッコイイ!」
にこ「…」
穂乃果「…」
にこ「帰りましょうか」
穂乃果「あっれ!?」 にこ「いや、もうアンタが来た段階で決まらなくなったから無理かなって」
穂乃果「ひ、ひどい…」
にこ「まぁ、コーヒーが美味しいと感じるようになってからね」
穂乃果「苦いもん…」
ズズ…
にこ「…うん、美味しい」
にこ「ご馳走様」
にこ「また来るわ」 穂乃果「あ、うん、うん…。えへへ、またね♪」
にこ「なにやってるのよ、早くしなさい」
穂乃果「あ、待ってよー!」
カランコロン
にこ「…はぁ、もうすっかり夜ね」
にこ「この帰り道もまた、味わい深いのよね」 にこ「コーヒーを飲んで、くつろいで、そして帰るだけ…」
にこ「それだけなのに、なんだか色々な感情が詰まってる気がするのよね」
にこ「本当、不思議」
にこ「だからそれをまた味わいたくて、また来てしまうのよね」
にこ「……ねぇ?」 穂乃果「…ねぇ? と言われても…」
にこ「アンタに言ったんじゃないわよ」
穂乃果「え、じゃあ誰に…?」
にこ「さぁね」
穂乃果「え? え? こわ…」
にこ「ほらほら、帰りましょ」
穂乃果「う、うん…」 にこ「はぁ…」
穂乃果「はぁー」
にこ「寒いわねぇ…」
穂乃果「もう暖かい方だよ〜」
にこ「私はまだまだ寒いわよ…」
穂乃果「寒がりだなぁ〜」
にこ「…」
穂乃果「…」
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