梨子「桜が舞い散る教室で」
■ このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています
突然だけど、私は教室でうんこを漏らしてしまった
授業中に自分の席で、ビシャビシャの下痢便がお尻から漏れ出てしまったのだ
私の名前は桜内梨子
浦の星女学院に在籍する華の高校2年生
華の──というのは、なんかダジャレっぽくて笑ってしまう、ふふ
だって私の名前、「桜」って入ってるでしょ?正真正銘華の高校2年生だよね
……なんて、くだらないこと考えてる場合じゃなかった
そんなピッチピチの華の高校生が、たった今うんこを漏らしてしまっているのだから
これはとっても一大事、どうしよう
正確には……今はうんこがまさに漏れ始めている瞬間
0.001秒の刹那的な瞬間なんだよね
この極限状況で冴え渡った私の意識は、圧縮された時の中でこのように思考をフル回転させている
さあ。あと1秒ほどでうんこが撒き散らされてしまう
どうにかしないと ここでとりうる行動は大きく分けて2つ
一つ目は、漏れ出る1秒の間にダッシュでとりあえず教室から脱出すること
二つ目は、大きな声を出して音を誤魔化し、一通り漏らした後に教室から脱出すること
さて、どうするか
しかし前者はダッシュの衝撃で1秒間の猶予が短くなってしまう可能性がある
後者は臭いまでは誤魔化せないという欠点がある
異臭がしたあと教室から脱出したら変に思われるだろう
そうこうしてるうちに下痢便はどんどんと外界へ進出しようと勢いを増している
お願いだからもう少し耐えて ……まてよ
どっちの作戦にしろ、結局のところいかにして「バレないか」に主軸を置いてるよね
そう「バレなければ」いいんだ
要するに注目が私に向かなければいい
注目が私に向かないようにするにはどうすればいいか
答えは簡単だ
ミスディレクション
他の何かに注目を集めればいい
皆の目が一点に惹き付けられるような、そんな何か大きな出来事
それをこの0.ナン秒の間に起こす
……どうすればいい?
答えは1つしかない 脱糞が原因で音の木から転校してきた世界線かなって思ったけどもう裏女にいてダメだった 梨子(はああああああああ!!!!)ブゥン
ガシャーーーーーーーーーーン!!!!!!!!!!
千歌「!?」
曜「わっ!なに!?」
ザワザワザワ……
梨子(フッ)ブリブリブリブリュリュリュリュブチブチブチブチィ!!!!!
消しゴムを窓に全力でぶん投げてやった
これでクラスのみんなの視線はそっち向かう
なんとか……間に合った
身を包む開放感
ゆるゆるだったお腹は刑期を終えた囚人のように、伸び伸びとその自由を噛み締めていた
私は幸せを手にしていたのだ
しかし、この時私は重大なミスを犯していたことに、まだ気付いていなかった
これはまだ、後に怒る悲惨な事件の序章に過ぎなかったのだ── ザワザワザワ……
突然の出来事で困惑に包まれる教室
ムリもない、突然窓が盛大に割れたのだから
私の名前は桜内梨子
浦の星女学院に在籍する誇り高き高校2年生
誇りというのは誰しもが大なり小なり持っているものだ
それは自尊心を守るための、生きていくにあたってある意味水や食べ物と同じくらい必要なものであろう
私は誇り高い
大なり小なりと言ったが、私の場合は大だったわけだ
そして今、私はそんな自尊心を投げ捨て、教室の中で──人前で「大」をしたわけである
しかし、それはまだ誰にもバレてはいないようだ
注目はとにかく窓に向けられている
窓が割られてからおよそ7秒経過
さてさて、漏らしたうんこをどうするか
私の戦いはまだ、続いている 先生「ちょっ、ちょっと何!?みんな、怪我はない!?」
千歌「なにこれ!なんで急に!?」
曜「敵襲でありますか!?」
曜ちゃん、それは違うよ
敵襲っていうのは腸からやってくるものなんだ
たった今肛門という防衛線を突破されたとこ
センセー!ケガハダイジョーブデース!
ハヘン カタヅケマショウカー!?
ホッ、よかった
怪我人はいないみたい
これで誰か怪我でもしてたら大変だった
さて、じゃあパンツの中で異彩と異臭を放ってるこの敵をどうしようか
このままどさくさに紛れて教室を退出しようと思ったけど、思ったよりいっぱい出ちゃったよ
歩いた瞬間臭いが撒き散らされるに違いない
困ったなあ
まずはこの臭いをなんとかしなきゃ
私はおもむろに、カバンの中からシーブリーズを取り出した 梨子「……」ドバドバドバドバ
私はこっそりと、身体を曲げて周りに見えないように、パンツにシーブリーズをかけ始めた
これでうんこの臭いが中和されるのではと思ったのだ
しかし、甘かった
うんこの臭いというのはとても人体で生成されたとは思えないほど強烈なもので、しかもそれがとてつもない下痢便だったのだから、シーブリーズごときでどうにかなる代物じゃなかったのだ
ただのうんこの臭いがシーブリーズ付きのうんこの臭いへと昇華されただけだった
消化されてないうんこの臭いが昇華されただけだった
なんちゃってね
千歌「……?」チラッ
梨子「……!」
まずい
千歌ちゃんと目が合った! 千歌「?梨子ちゃん?どうしたのコソコソして……」
梨子「……!……!」
まずい!
非常にまずい!
今にもこちらをのぞき込んできそうだ
……気付けば教室のざわつきも収まりつつある
当然だ
私が窓を割ってから既に1分近くが経過しようとしているのだから
いつまでも窓が割れたことを気にしているほどの歳じゃないだろう
彼女たちの思考は既に次の段階にいっているようだった
モブ「なんで割れたんだろうねー」「ねー」
千歌ちゃんの接近、原因追求……
私が消しゴムを投げるところも誰かの視界の片隅にぼんやりと映っていた可能性もある……
まずいまずいまずい!
私がうんこを漏らしたということが明るみに出るのも時間の問題のように思えてきた
どうすればいいのか
どうすればいいのか
最大級の窮地が、私の身に迫っていた…… 千歌「梨子ちゃん?なんか……シーブリーズ?なにしてるの?」
ザワザワザワ……
私の名前は桜内梨子
浦の星女学院に在籍するちょっと控えめな
高校2年生
たった今私は控えめじゃなく盛大うんこを漏らしたところなの
それは今のところ誰にもバレていないけど、もう時間の問題のように思えてきたわ
迫り来る同級生
収まらない臭い
なぜ窓が割れたのか──
モブ「あっ、そういえば……気のせいかもしれないけど、なんか割れる前に桜内さんが何か投げていたような……?」「えー?」
事態は一刻を争う
うんこを漏らしてたということがバレたらどうなるのか
考えるだに恐ろしい!
また転校するハメになっちゃう
モブ「ねえ、なんか臭いが……」
……そう
もうこうなったら……
やるしかない
やらなきゃ
私は桜内梨子
撒き散らせ、桜を!
舞い散らせ、桜を!! 梨子「はああああああああああああああ!!!!!!!!!!!!!!!!!!」ブゥン
千歌「わっ、梨子ちゃん!?」
曜「へ!?」ビクッ
ガシャアアアアアアアアアアアアアアアン!!!!!!!!!!!!!!!!!!
二度目の
二度目の窓破壊
名付けてセカンド・ブロッサム・ブロークン・ウィンドウズ
モブ「わっ!」「なにもー!?」「また割れた!」
これでもう一度だけ、もう一度だけクラスの注目は窓に向けられる!
そして!
さらにもう一度だけ!
梨子「漏れなさい」ブリブリブリブリブリブリュブリュブツチチチブリュブリリブリュ!!!!!!!!!!! 千歌「梨子……ちゃん……?」
ふふ、困惑してる困惑してる
でも、まだギリギリ
本当にギリギリ、バレていない
表情を見れば分かる
そしてここで千歌ちゃんにバレなかったことで、私の『勝ち』は確定した!
梨子「…………ッ!」ダダダ
ダッシュ!
ドアの方へ……じゃない!
もっと手っ取り早く!
そう、私の席は窓際だから!
一瞬のダッシュ!
私の向かった先は……
窓!
窓を二回も割ったのは、何も注目をそちらに向けるためだけじゃない!
飛び降りるための『穴』を大きくするためッ!
梨子「はあ!」ピョーン 先生「!?」
千歌「梨子ちゃーーん!!!?」
曜「ええっ!?」
ヒューーーン
ドスン
いっ……
たああああああああ!!!!!!!!
いたいいたいいたい!
流石に2階からの飛び降りは尋常じゃない!
いたいぃいい!!
梨子「ぐっ……!でも……!でも!」
そう、それでも
致命傷どころか、私は重大ですらない
なぜか?
答えは簡単
あらかじめ漏らしておいた大量のうんこが、クッションの役割を果たしてくれていたからだ
パンツの中に溜まったうんこが、衝撃を吸収、緩和したのだ
そのために無理に2回目のうんこを撒き散らしたの
……あ、上から声が聞こえる
先生「桜内さん!!?大丈夫ですか!?今すぐ救急車を……!」
梨子「平気です、先生。私このまま帰りますんで」
千歌「梨子ちゃーーん!?」
そして私はダッシュで家に向かう
これはとある日の教室で起こった出来事
春でもないのに、私のうんこという名の『桜』が教室に舞い散った日のことだった──
第三部、完 桜内が桜を舞い散らせた"本当の理由"に涙が止まらない… こういう糞SS死ぬほど好き
込み上げる笑いが堪えられん このスレタイで開いて一行目にうんこの文字があるなんて予想できるか ぼく「おっ このタイトルで30も伸びとるなら期待してええやろなぁ」ポチ ■ このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています