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花丸「……? ダイヤさん?」
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0001名無しで叶える物語(らっかせい)
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2019/02/11(月) 14:16:12.49ID:XEx1voYW
―沼津:本屋―


ダイヤ「!?」ビクッ

ダイヤ「は、花丸さん……?」

花丸「それ以外の何かに見えるずら?」

ダイヤ「いえ……」スッ

花丸(優しい黒魔術……?)

花丸「ダイヤさん、黒魔術に興味があるの?」

ダイヤ「そういうわけではないの」

ダイヤ「ただ、目についただけ」

花丸「そっか……黒魔術なら善子ちゃんに聞くと良いと思う」

花丸「有用的なのは、たぶん聞けないけど」

ダイヤ「善子さんですか……」

花丸(ダイヤさんは意外にも下あごに手を添えて、真剣に悩む)

花丸(まるで、本当に黒魔術に興味があるみたいに)

ダイヤ「ありがとう花丸さん」

ダイヤ「気が向いたら善子さんに伺ってみるわ」

ダイヤ「人のこと言える立場ではないけれど、あまり寄り道はしないように」

花丸(ダイヤさんはそう言い残して、特に何かを買うわけでもなく歩いていく)

花丸「優しい黒魔術……」パラッ

花丸(ダイヤさんが手に取っていた黒魔術の本は)

花丸(面白おかしく書いただけの、お遊びのような内容だった)
0005名無しで叶える物語(らっかせい)
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2019/02/11(月) 14:27:08.30ID:XEx1voYW
花丸「ダイヤさんが黒魔術に興味を持つのは意外ずら……」

花丸「善子ちゃんと仲良くなるため……とか?」

花丸「でも、それなら初めから善子ちゃんに聞いてみたほうが良いと思う」

花丸(……リトルデーモンになる!? とか、凄い喜びそうだし)

花丸「実は、本当に黒魔術を試したいとか?」

花丸(………)

花丸「明日にでもルビィちゃんに聞いてみようかな」

花丸「ダイヤさんの場合、冗談でやらなそうな危うさがあるし」

花丸「………」チラッ

花丸「………」スッ

花丸「すみません、これください」
0006名無しで叶える物語(らっかせい)
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2019/02/11(月) 14:41:36.00ID:XEx1voYW
―国木田家―

花丸「……黒魔術」

花丸(黒魔術と言えど、一概に人を不幸にするためだけに存在するのではない)

花丸(黒魔術にも、人を幸せにするためのものは多々ある)

花丸(しかし、その代償あるいは魔術に用いる素材が人道に反するために)

花丸(黒魔術に属されている)

花丸「……よく、わからない」

花丸「良子ちゃんは良くこんなものに没頭できるずら」

花丸「堕天使ヨハネ、とか」

花丸「はぁ」ポスッ

花丸「堕天使とか、黒魔術とか」

花丸「そういうのが格好いいって思うのは男の子じゃないのかな?」

花丸(実は、善子ちゃんは男の子とか?)

花丸「なーんて」

花丸「それはないずらね」

花丸「小さいころから、善子ちゃんは善子ちゃんずら」
0007名無しで叶える物語(やわらか銀行)
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2019/02/11(月) 14:50:59.23ID:HB15iv+T
ダイヤと黒魔術だと最愛を思い出すね
0009名無しで叶える物語(らっかせい)
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2019/02/11(月) 14:54:13.80ID:XEx1voYW
―――――
――――
――

ルビィ「花丸ちゃ〜ん」フリフリ

花丸「おはよう、ルビィちゃん」

花丸「ダイヤさんは?」

ルビィ「生徒会の仕事があるからって先に行っちゃった」

花丸「そっか」

花丸(いつも通りだけど、都合が良いずら)

ルビィ「お姉ちゃんに用事があったの?」

花丸「ううん、ルビィちゃんに聞きたいことがあるずら」

花丸「ダイヤさんがいると、聞きづらいことで」

ルビィ「お姉ちゃんいると聞けないこと……?」
0010名無しで叶える物語(らっかせい)
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2019/02/11(月) 15:00:25.43ID:XEx1voYW
ルビィ「………」

ルビィ「……!」

ルビィ「お姉ちゃんの好きな人とか?」

花丸「修学旅行のバスじゃないずらよ。ルビィちゃん」

ルビィ「あははっそうだよねっ」

ルビィ「なら、何の話? 卒業のサプライズ?」

花丸「ううん、昨日の夕方に本屋さんでダイヤさんを見かけたんだけど」

ルビィ「?」

花丸「その時に、黒魔術の本を見てたずら」

花丸「だから、将来の悩みで中二病でも患っちゃったのかなって」

ルビィ「それは善子ちゃんに可哀そうなんじゃないかな……」

ルビィ「それはそうと、昨日の夕方だよね?」

花丸「うん」

ルビィ「………」
0012名無しで叶える物語(らっかせい)
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2019/02/11(月) 15:16:54.30ID:XEx1voYW
花丸(ルビィちゃんは困ったように眉を顰めて、考える)

花丸(いうべきか迷っているような)

花丸(マルが思っているよりもずっと、深刻なことであるかのように)

花丸(でも、ルビィちゃんの口から出てきたのは)

花丸(深刻とか、そういう話ではなかった)

ルビィ「お姉ちゃんなら、昨日はずっとルビィと一緒だったよ?」

ルビィ「宿題の分からないところあるって言ったら、教えてくれて……」

ルビィ「花丸ちゃん、本当にお姉ちゃんに会ったの?」

花丸「えっ?」

ルビィ「黒魔術なら、善子ちゃんがふざけて変装してたとか」

花丸「いや……あれはダイヤさんだったずら」

花丸「じっと見たわけじゃないけど、ダイヤさんだった」
0013名無しで叶える物語(らっかせい)
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2019/02/11(月) 15:23:48.88ID:XEx1voYW
花丸「その……はず……」

花丸(いつもの髪飾り、黒くて長い、綺麗な髪)

花丸(3年生の緑のタイ、特徴的な声)

花丸(間違いない、間違いなかった)

花丸「善子ちゃんではなかった……と、思う」

ルビィ「でも、そしたらルビィと一緒にいたお姉ちゃんがお姉ちゃんじゃないってことになっちゃうよ」

ルビィ「一緒に帰って、そこからずっと一緒だったもん」

ルビィ「こっそり出かけたりしてないはずだよ」

花丸「マルだって見かけただけじゃなく話したずら」

花丸「あれはダイヤさんだった」

花丸「………」

ルビィ「花丸ちゃん?」

花丸「ダイヤさんに直接聞こう」
0015名無しで叶える物語(らっかせい)
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2019/02/11(月) 15:36:04.37ID:XEx1voYW
花丸「ルビィちゃんを疑うわけじゃないずら」

花丸「違うとしたら、マルが話したダイヤさん」

花丸(でも、間違いなくダイヤさんだった)

花丸「だから、ダイヤさんに直接聞く」

ルビィ「で、でもっ」

花丸「もし、ダイヤさんがルビィちゃんと一緒にいたなら」

花丸「マルが出会ったダイヤさんはドッペルゲンガー!」バッ

ルビィ「ぴぎっ!?」

花丸「ダイヤさんを殺して成り代わるために黒魔術を身に着けようとしてるずら」

ルビィ「うぅっ」

花丸「このままじゃダイ――」

ペシッ

花丸「っ?」

善子「何物騒なこと言ってんのよ、ずら丸」

花丸「善子ちゃん、いつの間に」

善子「今さっき」

善子「それより黒魔術がどうかって何? つに、リトルデーモンに――」

花丸「それはお断りするずら」

善子「最後まで言わせなさいよ!」
0017名無しで叶える物語(らっかせい)
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2019/02/11(月) 15:42:08.68ID:XEx1voYW
花丸「善子ちゃんは一週間張り出されてる広告を毎日見る?」

善子「毎日は見ないけど……」

花丸「それと一緒ずら」

善子「なるほど……って、興味がないってこと!?」

善子「私と広告を一緒にしないでよっ!」

花丸「一緒にはしてないずらよ」

花丸「広告は見なければいいけど、善子ちゃんはあしらう手間が必要だから」

善子「あんた私のこと嫌いなの?」

花丸「嫌いなら、こんなに話すことはないずらよ」

善子「っ///」

ルビィ「ルビィも善子ちゃん好きだよっ」

善子「の、乗ってこなくていいからっ!」カァッ
0018名無しで叶える物語(SB-iPhone)
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2019/02/11(月) 15:45:39.31ID:GeoQbrJq
期待
0019名無しで叶える物語(らっかせい)
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2019/02/11(月) 15:46:18.29ID:XEx1voYW
花丸(ダイヤさんのドッペルゲンガー)

花丸(でも、ドッペルゲンガーってあんなに話すずらか?)

花丸(ルビィちゃんが一緒にいたというのは嘘じゃない)

花丸(エイプリルフールならまだ可能性はあるけど)

花丸(なら、マルが話したダイヤさんはなに?)

花丸(……ダイヤさんに聞いてもきっと、マルが話したダイヤさんが偽物)

花丸(調べる必要がある)

花丸(ドッペルゲンガーとか、そういう類の怪奇現象を)

花丸「……善子ちゃん」

善子「なによ」

花丸「もしもダイヤさんに黒魔術のことを聞かれたら」

花丸「マルもその場所に呼んで欲しいずら」
0021名無しで叶える物語(らっかせい)
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2019/02/11(月) 15:50:39.18ID:XEx1voYW
善子「はぁ? ダイヤさんが聞いてくるわけないでしょ……」

花丸「聞かれたら。ずら」

善子「意味わからないんだけど……なんなの?」

花丸「……ダイヤさんのドッペルゲンガーが沼津にいる可能性がある」

善子「は?」

善子「………」スッ

花丸「無言で熱測るのは止めるずら」パシッ

花丸「マルは本気で言ってるずらよ」

花丸(堕天使のくせに心配そうな表情の善子ちゃんに)

花丸(さっきまでルビィちゃんと話していたことを話す)

花丸(にわかには信じがたいという善子ちゃんだったけど)

花丸(そこは善子ちゃん)

花丸(分かった。と、同意してくれた)
0024名無しで叶える物語(らっかせい)
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2019/02/11(月) 15:58:25.45ID:XEx1voYW
善子「一応、私も調べてあげる」

善子「ただ、冗談でした。なんていうなら今のうちだからね」

善子「ドッペルゲンガーとか、わりと冗談にならないんだから」

花丸「知ってるずらか?」

善子「多少ならね」

善子「私が知ってることと言えば、ドッペルゲンガーはその本人と関係のある場所に出てくること」

善子「姿を追った先でどこかへと消えてしまうということ」

善子「物体に触れることはできるらしい。ということ」

善子「ずら丸がしたような、人との会話はしないということ」

善子「そして……まぁ、これは有名な話だけど」

善子「ドッペルゲンガーはその本人が死ぬ前兆である。ということ」

ルビィ「お姉ちゃん……死んじゃうの?」ウルウル

善子「ちょっ、あ、いや、これはあくまで噂よ」

善子「ゲームとかアニメとか漫画とか……そ、そう!」

善子「ちょっとした演出で扱われるってだけのやつ!」
0025名無しで叶える物語(らっかせい)
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2019/02/11(月) 16:04:56.65ID:XEx1voYW
ルビィ「じゃ、じゃぁ大丈夫なの?」

善子「そ、平気平気」

善子「……ずら丸」チラッ

花丸「ん」コクッ

花丸(これ以上はまた後で)

花丸(そう語る善子ちゃんの視線に頷いて、一先ずは話を終わらせる)

花丸(ルビィちゃんをあまり心配させるのはダメずらね)

花丸(巻き込まないほうが良い)

善子「………」スッスッ

善子「……」タッタッ

花丸(善子ちゃんはスマホを取り出すと)

花丸(良く分からない操作を素早く行っていく)

花丸(真剣な顔なのはたぶん、気のせいじゃない)

ルビィ「あっ、バスが来たよっ」

花丸「善子ちゃん、スマホ弄ったまま乗ろうとして踏み外さないでね?」

善子「しっ、しないわよっ!」
0027名無しで叶える物語(やわらか銀行)
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2019/02/11(月) 16:17:54.63ID:OJMB5pab
良作の予感
0028名無しで叶える物語(らっかせい)
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2019/02/11(月) 16:18:30.17ID:XEx1voYW
―浦の星女学院―

ダイヤ「なにを言っていますの?」

果南「だから、昨日の夕方――あ」

果南「おはよ。3人とも」

花丸「おはようずら」

善子「朝から廊下で喧嘩?」

ダイヤ「別に喧嘩などしていませんわ」

ダイヤ「果南さんが妙な言いがかりをつけてきているだけです」

果南「言いがかりって……」

果南「私はただ、昨日の夕方に海辺で何してたのって聞いただけじゃん」

ダイヤ「ですから、海辺になど行っていませんわ」

ダイヤ「昨日はルビィの勉強を見ていましたから、出かけていません」

ダイヤ「でしょう? ルビィ」

ルビィ「うんっ、本当だよ。お姉ちゃんはルビィと一緒だった」
0029名無しで叶える物語(らっかせい)
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2019/02/11(月) 16:31:46.52ID:XEx1voYW
果南「いや、でも……」

果南「………」チラッ

ルビィ「?」

果南「えー……」ガシガシッ

果南「私がダイヤを見間違えるはずないんだけどなぁ」

ダイヤ「それがあったのでは?」

善子「実は、ダイヤさん双子説!」

ダイヤ「あ・り・ま・せ・ん・わ」

ダイヤ「まったく……わたくしが海に飛び込むかと思っただなんて」

ダイヤ「不気味なこと言わないで」

果南「ごめん」

ダイヤ「ですが、心配してくださったことには感謝いたしますわ」

ダイヤ「もうすぐホームルームですし、教室に――」

花丸「ま、マルはちょっと果南さんと話したいことがあるずら!」チラッ

善子「そ、じゃぁルビィと先に行ってる」グィッ

ルビィ「えっ? あ、よ、善子ちゃん?」

ダイヤ「……? ホームルームには間に合うようにしてください」

花丸「はーい」
0030名無しで叶える物語(らっかせい)
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2019/02/11(月) 16:38:07.32ID:XEx1voYW
果南「どうしたの? 珍しいね」

花丸「果南さん、昨日の夕方にダイヤさんを見かけたのは本当ずら?」

果南「ん?」

果南「あーさっきの話?」

果南「あははっ、勘違いだったみたい」

果南「親友を見間違えるとか、恥ずかしい話聞かれちゃったねー」

果南「千歌たちには内緒で頼むよ」

花丸「……マルも」

果南「?」

花丸「マルも、昨日本屋さんでダイヤさんと会ったずら」

果南「へぇーそれがどうかしたの?」

果南「なんか知られたくない本買おうとしてたとか?」

花丸「ダイヤさんは昨日、ずっとルビィちゃんと一緒で出かけてない」

果南「あっ」

花丸「……そういう、ことずら」
0032名無しで叶える物語(らっかせい)
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2019/02/11(月) 16:43:47.83ID:XEx1voYW
果南「つまり、二人が嘘をついてるって?」

花丸「果南さんはダイヤさんの嘘を見抜く自信がないずらか?」

果南「……なるほど、嘘はついてないってこと」

果南「なら、私と花丸ちゃんがみたダイヤは?」

果南「わざわざこうして話てくるってことは」

果南「私みたいに見間違いだった。で片づけられないってことなんでしょ?」

花丸「察してくれて助かるずら」

花丸「マルはダイヤさんを間近で見て、声を聞いた……会話をした」

花丸「あれは紛れもなく、ダイヤさんだったずら」

花丸「でも……」

果南「ダイヤは出かけてない」

果南「それが嘘じゃないとなると……妙だね」

果南「ダイヤが二人いることになる」
0034名無しで叶える物語(らっかせい)
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2019/02/11(月) 16:55:37.13ID:XEx1voYW
果南「……わかった。今のダイヤは私が見ておく」

花丸「果南さんも、ドッペルゲンガーを疑うずらね」

果南「そうにしろ違うにしろ、確実に見ていられるほうを見てた方が安心だし確実でしょ」

花丸「確かに」

花丸「でも、怪奇現象が相手なら果南さんも危険ずらよ」

果南「だからって、何も知らないダイヤをほっぽり出せると思う?」

花丸「……おじいちゃんに頼んでお札の一枚でも調達しておくずら」

花丸「無理はしないでほ――」ポンッ

果南「この私をだれだと思ってるのさ」

果南「浦の星女学院三年、松浦果南だよ」ナデナデ

果南「でも、肝に銘じておくよ」

果南「その代わり、花丸ちゃんと善子ちゃんも気を付けること」

花丸「!」

果南「いいね?」

花丸「分かってるずら」

花丸(アイコンタクトで通したのに、その強引さで見抜かれてたずらか……)

花丸(頼りになるずらね。ほんと)

キーンコーン...

果南「っと、予鈴が……急げっ!」ダッ

花丸「ずらっ!」ダッ

花丸(……ホームルームはギリギリ、怒られた)
0036名無しで叶える物語(らっかせい)
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2019/02/11(月) 17:20:26.50ID:XEx1voYW
―浦の星女学院:屋上―
◇昼休み◇


善子「ふーん、それで果南さんは協力者になってくれたってわけ」ズズッ

花丸「一番はルビィちゃんが良かったけど」

善子「ルビィには荷が重いでしょ」

善子「ドッペルゲンガーが本当なら、単なる怪奇現象じゃ終わらない」パサッ

花丸「ノート……?」

花丸「あっ」

花丸(善子ちゃんが広げたノートには、ドッペルゲンガーについてのことがたくさん書かれていた)

花丸(本人が見た場合、他人が見た場合)

花丸(それを見る理由)

花丸(精神や脳の疾患と言った病気から)

花丸(パラレルワールドなどの創作的なものまで)

花丸「いつ調べたずら?」

善子「知ってることを書いただけよ」

花丸「………」

花丸(嘘。授業中に隠れて何かやってるの、マルは知ってるずらよ)
0037名無しで叶える物語(らっかせい)
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2019/02/11(月) 17:38:18.08ID:XEx1voYW
善子「とにかく第三者が見ている場合、こことは別の世界……死後の世界が近づいているって解釈があって」

善子「それはやっぱり、死ぬ可能性がある。って話よ」

善子「……ダイヤさん、言ってたわよね?」

善子「海に飛び込むかもしれないなんて不気味なことを言わないで。って」

善子「それってさ……」

花丸「ダイヤさんが自殺する?」

善子「あるいは、殺される」

花丸「っ!」

善子「もちろん、そういう可能性もあるってだけ」

善子「だから、果南さんが見ててくれるって話を聞いてほっとした」

善子「少なくとも二人一緒なら自殺はない」

善子「襲われる可能性も減る」

花丸「……ドッペルゲンガーへの対策は?」

善子「極力関わらない」

花丸「ん?」

善子「関わらない。無視する。放置」

花丸「でも……」

善子「ずら丸は普通にかかわった……というか、コミュニケーション取れた」

善子「そこで、私はこの可能性があると思うわけ」トンッ
0038名無しで叶える物語(なっとう)
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2019/02/11(月) 17:41:17.45ID:L+MGit5d
超期待
0040名無しで叶える物語(らっかせい)
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2019/02/11(月) 17:50:04.75ID:XEx1voYW
花丸(善子ちゃんはノートの一文)

花丸(パラレルワールドからの来訪者。という部分に指を置く)

善子「別世界のダイヤさんが迷い込んだのよ」

花丸「はぁ」

善子「なんで呆れてんのよ!」

花丸「それ、一番ありえないやつずら」

善子「でも、一番悪くないやつでしょ」

善子「ダイヤさんが死ぬ虫の知らせ説とか、お断りよっ」

花丸「確かに、それには同意するずら」

花丸「あれが、パラレルワールドのダイヤさんなら」

花丸「それなら、危険なことは何もない」

花丸「でも、だからって楽な考えばかりに囚われたくない」

花丸「希望と盲目を、履き違えるわけにはいかない」

花丸「これは、一人の命が関わっているずらよ。善子ちゃん」

善子「……分かってる」

善子「だからこうして、いろいろ調べたんでしょ」

花丸「ふふっ」

善子「なっ、なんで笑うのよっ」

花丸「やっぱり、調べたずらね」ニコッ

善子「なぁっ///」

善子「ぐっ……」

善子「必要だったんだから、別にいいでしょっ」フイッ
0041名無しで叶える物語(らっかせい)
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2019/02/11(月) 18:05:24.64ID:XEx1voYW
花丸(でも、善子ちゃんに言ったことを一番言いたいのは)

花丸(他でもなく、マル自身)

花丸(あれがパラレルワールドから迷い込んだダイヤさんだと)

花丸(そう、盲目になりたいのはマル自身ずら)

善子「………」チラッ

善子「……昨日」

花丸「?」

善子「昨日、ダイヤさんはどこにいたのよ? どこの本屋?」

花丸「どうして?」

善子「行くんでしょ? どうせ」

善子「今日はずら丸に付き合ってあげるわよ」

花丸「善子ちゃん……」

花丸「ありが――」

善子「あっ」

善子「そ、そういえばずら丸!」

善子「善子善子いうけど、ヨハネ! ヨハネなんだからねっ!」

花丸「もしかして、照れたずら?」

善子「っ///」

善子「い、良いからっ」

善子「教室に戻るわよ!」

花丸「照れ隠しずら。照れ隠しずら!」

善子「うるさーいっ!」
0042名無しで叶える物語(らっかせい)
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2019/02/11(月) 18:18:35.84ID:XEx1voYW
―バス車内―


花丸(夕方の沼津に行くため、Aquorsの練習を休みにしたマル達は)

花丸(それならと生徒会の仕事をやるダイヤさんの傍に果南さんを残して、沼津へと向かう)

花丸(ルビィちゃんも置いていくのは少し、気が引けたけど)

花丸(万が一の可能性を考えて、連れていくのは止めた)

善子「果南さんから連絡」スッ

善子「ダイヤさんは生徒会室で仕事中」

善子「追記:生徒会の手伝いするって言葉を疑われてるんだけど。だって」

花丸「日頃の行いずらね」クスッ

善子「ひ、ご……ろの……おこ――」

花丸「……何してるずら?」

善子「返信」

花丸「止めるずらっ怒られるずらっ!」

善子「怒られろずら」

花丸「昼休みのこと怒ってるずらか!?」

善子「………」スッスッ

花丸「マルが悪かったからっ」

花丸「送るのは止めるずらー!」
0044名無しで叶える物語(らっかせい)
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2019/02/11(月) 18:34:09.53ID:XEx1voYW
花丸「………」フィッ

善子「ほんの冗談だって言ってるでしょ」

善子「……ごめん、悪かったわよ」

花丸「………」ムスッ

善子「それに、果南さんだって冗談だって分かってくれるし」

善子「そもそも、私の返信なんだから送ってたとしても怒られるのは私」

善子「花丸には何もなかったわよ」

花丸「………」

花丸「……」ジーッ

花丸「!」ガタッ

ピンポーン

善子「花丸!?」

花丸「ダイヤさんがいた!」

善子「は!?」

善子「沼津駅よここ」タタッ
0045名無しで叶える物語(らっかせい)
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2019/02/11(月) 18:42:09.49ID:XEx1voYW
善子「……」プルルルッ

プシュー

花丸「善子ちゃん! 降りるずら!」

善子「わかっ――定期!」

...モシモーシ!

善子「果南さん! ダイヤさんは!?」

善子「いる……?」

善子「すぐそばに?」

花丸「っ……」キョロキョロ

善子「分かった。ありがとまた後で電話する!」ピッ

善子「花丸!」

花丸「こっちずら!」ダッ

善子「あぁもう!」ダッ

花丸「こっちに……」

善子「どこに――」

花丸(バス停から少し離れた曲がり角)

花丸(広場の方へと向かうと、その人はいた)
0046名無しで叶える物語(らっかせい)
垢版 |
2019/02/11(月) 18:47:30.45ID:XEx1voYW
花丸「はぁ……はっ……ダイヤさん!」

ダイヤ「!」

ダイヤ「花丸さん……と、善子さん?」

ダイヤ「そんなに慌ててどうかしたの?」

善子「……」ジッ

ダイヤ「善子さん?」

善子「ダイヤさん、生徒会の仕事は?」

ダイヤ「えっ……あぁ、生徒会の仕事なら滞りなく終わったわ」

ダイヤ「手伝ってくれたから、意外に早く終わったの」

善子「……」チラッ

花丸「………」ピッ

善子「誰に?」

ダイヤ「誰に……というと?」

善子「誰に手伝ってもらったのってこと」
0047名無しで叶える物語(笑)
垢版 |
2019/02/11(月) 18:51:31.60ID:+L803ZhE
名作の予感
0048名無しで叶える物語(らっかせい)
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2019/02/11(月) 18:59:11.51ID:XEx1voYW
ダイヤ「どうしてそんなことを……」

ダイヤ「それに、凄く警戒しているのはなぜ?」

善子「別に警戒しているわけじゃないわ」

善子「ただ……ついさっきまでAquorsの部室にいたはずのダイヤさんが何でここにいるのか気になっただけ」

ダイヤ「部室……っ」ジリッ

善子「ん? なんで驚いてるの?」

ダイヤ「それは……」フィッ

善子「そこは普通、生徒会室にいたのにって困惑するでしょ」

ダイヤ「っ!」

花丸「……善子ちゃん、ダイヤさんは果南さんと一緒にまだ生徒会室ずら」

ダイヤ「…………」

善子「ネタバレすると……全部ただの時間稼ぎよ」

善子「本当の質問は――あんたがだれなのかってことよ」
0049名無しで叶える物語(らっかせい)
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2019/02/11(月) 19:19:07.71ID:XEx1voYW
ダイヤ「――なるほど」チラッ

ダイヤ「ヨハネらしいやり方ね」

ダイヤ「わたくしは黒澤ダイヤです――もっとも、そう言っても」

ダイヤ「電話の先に――黒澤ダイヤがいるのなら、信じて貰えないと思いますが」

善子「……いや、どこからどう見てもダイヤさんなのは信じるわよ」

花丸「ダイヤさん、ダイヤさんから見てマル達は瓜二つの別人ずらか?」

ダイヤ「まったくの――と、いうわけではないわ」

ダイヤ「でも、わたくしの知っている二人とは違う」

ダイヤ「……ヨハネと呼ばなければ悟られない。というのは、甘く見すぎでしたわね」

花丸「それはどっちでも変わらないずら」

善子「でも、こっちのダイヤさんはヨハネだなんて呼ばないから」

善子「分かりやすくはあったわよ」

善子「まぁ、そんなことがなくても分かりやすい部分があるけど」
0050名無しで叶える物語(らっかせい)
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2019/02/11(月) 19:29:19.41ID:XEx1voYW
善子「皺だらけで薄汚れた制服」

善子「ぼさっとした髪」

善子「ダイヤさんなら、ありえない」

ダイヤ「……面目ありませんわね」

ダイヤ「黒澤ダイヤがいる以上、家に帰るわけにもいかずに野宿をした結果ですわ」

ダイヤ「悟られまいと花丸さんから逃げずに願い出るべきでしたわ」

花丸「黒魔術に興味を持っていた時点で、少し疑いはあったずらよ」

ダイヤ「ふふふっ、そうでしたか」

ダイヤ「………」

ダイヤ「――では、善子さん花丸さん。わたくしを――助けては頂けませんか?」ギュッ

ダイヤ「出来る謝礼は全くありません」

ダイヤ「ですが、わたくしにできる事であればなんでも致します」

ダイヤ「ですから、わたくしがいるべき場所へ戻るために力をお貸しいただけないでしょうか?」

ダイヤ「どうか、お願いいたします」
0053名無しで叶える物語(らっかせい)
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2019/02/11(月) 20:16:28.48ID:XEx1voYW
善子「もちろん、協力するわ」

花丸「当然ずら」

花丸「違うダイヤさんでもダイヤさんはダイヤさん」

花丸「マル達の大事な仲間ずら」

ダイヤ「花丸さん、善子さ――」

善子「ヨハネ」

ダイヤ「え?」

善子「ヨハネって……呼んでいいわよ」

善子「その方が呼びやすいでしょ?」

花丸「本当は呼ばれたいだけずら」

善子「うっさい!」

善子「良いじゃない別にっ」

善子「ダイヤさんがヨハネって呼ぶなんてあんまりないんだからっ」

ダイヤ「ふふっ……ふふふっ」

ダイヤ「では、ヨハネ――しばしの間、わたくしはあなたのリトルデーモンですわね」ニコッ

善子「っ〜///」

善子「〜〜〜〜〜////」ブンブンッ

ダイヤ「ヨハネ……?」

花丸「……嬉しさのあまり悶絶してるだけずら」ハァ

花丸「とにかく、マルのお爺ちゃんたちならお泊りすることにいろいろ言ってくることはないから」

花丸「マルの家にくると良いずら」

花丸「善子ちゃんは……帰っていいずら」

善子「なんでよ!」

善子「私も行くっ!」
0054名無しで叶える物語(らっかせい)
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2019/02/11(月) 20:28:30.52ID:XEx1voYW
―国木田家―

花丸「まず、ダイヤさんがいつここに来たのか教えて欲しいずら」

花丸「出来る限り正確に」

ダイヤ「解りましたわ」

ダイヤ「ここに来たのは昨日。花丸さんと出会う少し前です」

ダイヤ「生徒会での仕事を終えた後、いつものようにバスに乗り込みました」

ダイヤ「バスに乗っていたのはわたくし一人で――気が抜けたのかもしれません」

ダイヤ「夕日を浴びながらつい――眠ってしまったのです」

ダイヤ「目を覚ましたのは、慣れもあったのかいつも降りているバス停」

ダイヤ「慌てて降りて、家路につきました」

ダイヤ「ですが……」

ダイヤ「玄関にまで行ったところで、ルビィと――わたくしの声が聞こえたのです」

ダイヤ「まさか。と思い耳を澄ませてみれば、間違いなくわたくしの声で」

ダイヤ「ルビィのまったく疑っていない声色に自分の存在をまず疑いました」

ダイヤ「どうしようもなくなったわたくしは沼津に向かい、本屋さんでこういうオカルトについてのことを探そうと思ったのです」

ダイヤ「そこで、花丸さんにお会いした……ということになります」

善子「つまり、ダイヤさんがここに来た切っ掛けはそのバスってわけね」

善子「実は眠っていて、ダイヤさんが夢を見てる説もあるけど」

花丸「……? どういうことずら?」
0055名無しで叶える物語(らっかせい)
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2019/02/11(月) 20:40:55.02ID:XEx1voYW
善子「私達自体が、ダイヤさんの夢の中の登場人物かもしれないってこと」

花丸「でも、マルはマルの考えを持ってるずらよ?」

善子「それを本当にずら丸自身が考えてるって証明はできない」

善子「小説の中の登場人物には考えがある。でも、それを考えているのは作者」

善子「けど、作中の登場人物は誰一人として自分が創作のキャストだとは思わない」

善子「悪魔の証明って知ってる?」

花丸「聞いたことはあるずら」

善子「それがまさに今の状況」

善子「ダイヤさんは眠ったままで、私たちはその夢の中の登場人物だけど、そうだという自覚ができてないだけかもしれない」

ダイヤ「しかし、それを言い出したらキリがないのでは?」

善子「そうよ。だけど、これも一つの可能性として置いておいたほうが良いと思う」

花丸「……そういう、オカルトの雑学だけはあるずらね」

善子「役立ってるんだから感謝しなさいよ」

ダイヤ「ありがとう。さすがヨハネね」ニコッ

善子「うっ……うん///」フィッ

花丸「照れすぎずら」

善子「だ、だってなんかこう……違うんだから仕方ないでしょっ!」
0056名無しで叶える物語(アメリカ合衆国)
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2019/02/11(月) 20:48:27.27ID:jmGgt1Hd
最高やと
0057名無しで叶える物語(らっかせい)
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2019/02/11(月) 21:01:36.22ID:XEx1voYW
善子「と、とにかく!」

善子「ダイヤさんがこっちに来た条件としては、寝たこととバスの二つ」

善子「どちらか、あるいは両方の条件がそろった結果かもしれない」

花丸「でも、もしそうなら1年で浦の星女学院の生徒の大半が消えるずらよ?」

ダイヤ「では、ほかにもトリガーがあると?」

ダイヤ「ヨハネ――どう?」

善子「〜〜〜///」

善子「んっん゛ん゛っ」

善子「そうね……黄昏時って知ってる?」

花丸「逢魔が時ともいう時間のことずらね?」

花丸「昔は薄暗くなるとすぐ前にいる人も誰だか分らなかった」

花丸「だから、誰そ彼……黄昏時といわれるようになったし」

花丸「その影差す容姿の不気味さから、魔に逢う逢魔が時とも呼ばれる時間」

花丸「ダイヤさんが生徒会の仕事を終えた後なら」

花丸「確かに――」チラッ

善子「……」ムスッ

花丸「………」
0058名無しで叶える物語(らっかせい)
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2019/02/11(月) 21:09:26.19ID:XEx1voYW
花丸「聞かれたから答えただけずらよ」

善子「だからって全部言わなくてもいいじゃない」

花丸「……ちょっと妬いたずら」

花丸「マルだって、色々知ってるんだから」チラッ

ダイヤ「……わ、わたくしですか?」

ダイヤ「えっと……読書を好む花丸さんはさすが、知識も豊富ですわね」

花丸「ずら〜」

善子「……って、ダイヤさんの取り合いしてる場合じゃないでしょ!」パンパンッ

善子「そもそも、花丸は今日一緒に泊まるんだから別にいいじゃないっ!」

ダイヤ「え……ヨハネもご一緒ではないのですか?」

善子「えっ?」

ダイヤ「てっきり……わたくしはヨハネもご一緒してくださるものとばかり……」

ダイヤ「すみません、お泊りの経験はあまりなくて――」

善子「あー」

善子「えっと……」チラッ

花丸「マルは良いずらよ」

善子「……と、トイレ!」ダッ

花丸「はぁ……」

花丸(このダイヤさんは状況のせいもあってか凄く……アレずら)

花丸(これは早々に返さないと、マル達の心が黄昏時に誘拐されるずらね)
0061名無しで叶える物語(らっかせい)
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2019/02/11(月) 21:31:30.98ID:XEx1voYW
――――
――

……パタン


善子「私も泊まるわ」

ダイヤ「すみません、無理を言って」

善子「い、良いわよ別に」

善子「ダイヤさんのこと放っておくわけにもいかないし」

善子「今日くらい、泊まった方が考えもまとめやすいし」

プルルルル

善子「ん」ピッ

善子「果南さん?」

善子「あぁ、うん。こっちは平気」

善子「果南さんは?」

善子「そっか、果南さんも泊まり?」

善子「うん、うん……ずら……花丸のところに」

善子「……いや、会わせないほうが良いと思う」

花丸「………」ツンツンッ

善子「ちょっと待って」スッ

果南『もしもし?』

花丸「果南さん、花丸ずら」

花丸「ダイヤさん同士何かするわけじゃないと思うけど」

花丸「精神的な部分でショックを受けたりする可能性があるから、会わせるのは危険ずら」

果南『なるほど……』

果南『でもこっちのダイヤのことはどうする? 傍に居るのは別にいいけど過剰すぎると勘繰られるよ?』

花丸「果南さんに任せるずら。こっちの世界のダイヤさんに関してなら、鞠莉さん達に手伝って貰ってもいいと思うし」

果南『それもそうか。なら明日にでも鞠莉を巻き込んどく』

花丸「ふふっ、鞠莉さんなら説明しなくても関わりそうずら」
0062名無しで叶える物語(らっかせい)
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2019/02/11(月) 21:42:30.06ID:XEx1voYW
果南『それで、結局どうなの?』

花丸「パラレルワールド」

花丸「別世界から来たっていう説が濃厚ずら」

果南『パラレルワールド、ねぇ』

果南『にわかには信じられないけど、ダイヤが二人いるのは事実なんだよね?』

花丸「写真送る?」

果南『ダイヤに見られたら困るから止めておく』

果南『それに、私は二人が嘘をつかないって信じてるからね』

果南『………』

果南『あははっ……なんか、変な空気になったね』

果南『とにかく、何かあったらすぐに電話するんだよ?』

果南『絶対に、飛んでいくから』

花丸「超常現象の真っただ中だからって心配しすぎずら」

花丸「でも、頼りにしてる」

果南『私も、知識面で頼りにしてるよ。じゃ、おやすみ』

花丸「お休みずら〜」ピッ
0063名無しで叶える物語(新疆ウイグル自治区)
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2019/02/11(月) 21:49:23.30ID:YfqVS2Lp
迷い込んだダイヤさんはG`s世界のダイヤさんかな?
0064名無しで叶える物語(やわらか銀行)
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2019/02/11(月) 21:55:50.71ID:OJMB5pab
>>63
少なくとも|c||^.- ^||ではないな
0066名無しで叶える物語(らっかせい)
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2019/02/11(月) 22:30:47.14ID:XEx1voYW
善子「それで、明日はどうする?」

花丸「明日も学校があるから……」

ダイヤ「公園にでも、いる?」

花丸「それはまずいずら」

善子「野宿したからって女捨てるの止めなさいよ……」

善子「……あっ!」

花丸「どうしたずら?」

善子「家よ! 私の家なら、マ……お母さんの帰りは遅い」

善子「さっき電話した時も、明日の帰りは遅いからって言ってたし」

ダイヤ「で、ですが――家主のいないところにお邪魔するなんて」

善子「黙りなさいリトルデーモン」ビシッ

善子「主人である私の代わりに家を守りなさい」ギランッ

ダイヤ「ヨハネ――」

ダイヤ「……はい、ご命令とあらば」スッ

善子「ちょっ」

善子「ど、土下座とかいらないから!」

善子「顔上げて、顔っ///」

花丸「ダイヤさんも乗りすぎずらよ」

ダイヤ「ごめんなさいね」

ダイヤ「不謹慎な話だけれど、なんだか――楽しくて」ニコッ

花丸「っ」
0068名無しで叶える物語(らっかせい)
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2019/02/11(月) 22:47:55.98ID:XEx1voYW
花丸「……明日は、さっそくバスを試すずら」

善子「どうやって? 浦女のあのバスとか乗り難いでしょ」

花丸「Aquorsのみんなさえいなければ誤魔化しは効くずら」

花丸「とりあえず、みんなには早く帰ってもらって、マル達も帰る」

花丸「そしたら、善子ちゃんの家にいるダイヤさんを連れて、浦女前のバス停まで戻る」

花丸「それから、時間になるまで待ってバスに乗る」

善子「上手くいくの? それ」

花丸「上手くいかせるずら」

善子「……なら、ダイヤさんには私の服で返送してもらうのが良いかも」

花丸「堕天使コスプレは無しずらよ」

善子「分かってるわよっ、普通の服に決まってるでしょ!」

ダイヤ「ですがもし、それで戻った場合善子さんのお洋服とわたくしの制服は……?」

善子「あぁ……でも、さすがに三日間洗ってもない制服は嫌でしょ?」

ダイヤ「それは……」

花丸「果南さんの制服の予備はどうずら?」

花丸「身長的にも学年的にも、果南さんに借りるのが一番いいずら」

ダイヤ「果南……そうですね。借りられるのなら……」

善子「もう寝てるだろうし、送るだけ送ってみる」

花丸「お願いするずら」
0069名無しで叶える物語(らっかせい)
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2019/02/11(月) 22:56:09.58ID:XEx1voYW
善子「それじゃ、寝る?」

花丸「ダイヤさんは真ん中ずら」

ダイヤ「はい」

善子「ずら丸、右と左どっちがいい?」

花丸「どっちも一緒ずら」

善子「確かに……じゃ、私右ね」ゴソゴソ

花丸「なら、マルが左ずら」モゾモゾ

ダイヤ「………」

善子「………」

花丸「………」

花丸「電気、小さいのつけておいていいずら?」

ダイヤ「ええ」

善子「ん」

花丸「……」

善子「……」

ダイヤ「……」

善子「……おやすみ」ギュッ

花丸「お休みずら」ギュッ

ダイヤ「ふふっ……おやすみなさい」
0071名無しで叶える物語(らっかせい)
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2019/02/11(月) 23:02:05.43ID:XEx1voYW
続きは明日

一応、G'sのダイヤさんだけど最初善子さんって呼んでたように呼び方は多少違う……設定
0072名無しで叶える物語(茸)
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2019/02/11(月) 23:07:22.03ID:I/TibOGM
まあG'sダイヤっていうかそもそもGODは一人称二人称適当だから問題ないね
0074名無しで叶える物語(もんじゃ)
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2019/02/11(月) 23:09:34.19ID:0rqoN+O6
期待してる
0079名無しで叶える物語(アメリカ合衆国)
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2019/02/11(月) 23:24:13.51ID:jmGgt1Hd
丸はまるまるっと丸くなったずらァ〜
0083名無しで叶える物語(らっかせい)
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2019/02/12(火) 04:04:09.12ID:HFKyZlMi
(‐8・)チュンナーチュンチュンナー
―――――
―――
――

ダイヤ「……ヨハネ」

善子「んん……」

ダイヤ「ヨハネ」ユサユサ

善子「んー……あとちょっと……」

ダイヤ「まったくもう」クスッ

ダイヤ「ほら、ヨハネ。早く起きないと、ゆっくり朝ごはんも食べられなくなってしまうわ」

善子「んー……ん……」パチッ

善子「……」

ダイヤ「ようやく、起きましたわね」ニコッ

善子「………?」

善子「!」ガバッ

善子「っ……あっあー……///」ボフッ

ダイヤ「ヨハネ……? どうかしたの?」

花丸「ダイヤさんにみっともないところを見せたから悶えてるだけずら」

ダイヤ「みっともないなんて――ふふっ」

ダイヤ「まだ、高校生に上がったばかりの1年生」

ダイヤ「寝起きの時くらい、無防備だとしても可愛らしいと思えど――みっともないなんて思わないわ」ニコッ

花丸(これを素で言ってる……ずらね)

花丸(こっちのダイヤさんより、相当……やばいずら)
0084名無しで叶える物語(アメリカ合衆国)
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2019/02/12(火) 04:52:42.07ID:uFxNT3hq
キタ━(゚∀゚)━( ゚∀)━(  ゚)━(  )━!!!!!
0085名無しで叶える物語(らっかせい)
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2019/02/12(火) 05:15:26.83ID:HFKyZlMi
善子「はぁ……」

花丸「そのため息の残弾はあとどれくらいずらか」

善子「だって」

花丸「ダイヤさんには好評だったずらよ」クスクスッ

善子「うぅあぁ〜っ///」ペシッ

善子「それ以上言うなぁっ!」

花丸「ヨハネを認めてくれるダイヤさんがそんなにいいずらか?」

善子「そりゃ……」フィッ

善子「誰だって、自分のそういうところとか、趣味を認めてくれるのは嬉しいじゃない」

花丸「それには同意するずら」

花丸「でも、あれは……」

善子「分かってる!」

善子「分かってるから……言わないで」

善子「送り返す方法を探すのには協力するし、邪魔もしないから安心して」

善子「……あんな、ダイヤさんだもん」

善子「向こうのヨハネはきっと、いなくなったら悲しむでしょ」
0086名無しで叶える物語(らっかせい)
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2019/02/12(火) 05:38:15.09ID:HFKyZlMi
花丸「……」

花丸「……善子ちゃんは、善子ちゃんずらね」ナデナデ

善子「子供扱いしないでよっ」パシッ

善子「ふんっ」

タッタッタッ…

ダイヤ「ごめんなさい、待たせてしまって」

ダイヤ「……?」

ダイヤ「何か、あったの?」

善子「ううん、何もない」

善子「それより、早く行きましょ」

善子「あまり遅くなると、ほかの浦女生徒に見られる」

花丸「それもそうずらね」

花丸「善子ちゃんのお母さんが家を出るのは何時頃?」

善子「朝に忘れ物を取りに行くかもって連絡したら、遅くても7時半には出るって」

花丸「7時半だと、向こうに着くときにはもう、いないずらね」

ダイヤ「すみませんが、よろしくお願いします」ペコッ

善子「………」

善子「……頭なんて下げなくていいわよ。花丸が言ったでしょ。ダイヤさんはダイヤさん。大切な仲間だって」

ダイヤ「それでも――感謝は、述べるべきよ」

ダイヤ「一人だった一昨日の心細さが――嘘のようだから」

花丸「それじゃ、行くずら」ギュッ

善子「あっ、あんた!」

花丸「早いもの勝ちずら〜」

善子「もう片方空いてるしっ」ギュッ

ダイヤ「本当、二人は仲が良いわね」クスッ
0087名無しで叶える物語(らっかせい)
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2019/02/12(火) 05:53:46.30ID:HFKyZlMi
―津島家―


ガチャッ

善子「ただいま〜……」ソッ

花丸「鍵が締まってたからいないずらよ」

善子「気分よ、気分」

善子「ダイヤさん、入っていいわよ」

ダイヤ「お邪魔します」

善子「家にあるものなら好きに使っていいわ」

善子「食べ物とかも、私が食べたりしたって言っておけば何とかなるし」

善子「でも、誰かが来ても対応しなくていいからね」

ダイヤ「はい」

善子「それと、寝たりしてもいいけど私の部屋ね」

善子「こっちの部屋」

花丸「枕にダイヤさんの匂いがつくずら」

善子「今はみんなあんたの匂いでしょ」ハァ

善子「それじゃダイヤさん」

善子「一人にして悪いけど……」

ダイヤ「いえ、こうして家の中にいられるだけありがたいわ」

ダイヤ「何から何まで、ありがとう」ニコッ

善子「っ」

善子「ありがとうは、帰る方法が見つかるまで取っておいて」

善子「それじゃ――」

ダイヤ「行ってらっしゃい、ヨハネ、花丸さん」

善子「ん///」

花丸「顔紅いずらよ〜?」

善子「うっさいっ」
0088名無しで叶える物語(らっかせい)
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2019/02/12(火) 06:15:10.81ID:HFKyZlMi
―浦の星女学院―

善子「花丸、実際どう思う?」

花丸「そうずらね……」

花丸「ただバスに乗るだけじゃだめだとは思ってるずら」

花丸「だから一応、黄昏時という条件と、一人きりっていう条件を何とか整えようと思う」

善子「ダイヤさんを一人でバスに乗せるの?」

善子「そしたら、誰が観測するのよ」

花丸「観測者が居たらダメな可能性があるずら」

花丸「それに……観測者もつれていかれる可能性もあるずらよ」

花丸「善子ちゃん、それはダメずら」

善子「分かってるわよ……」

善子「ただ、そしたら別れも言いづらいって思っただけ」

善子「事あるごとにお礼したがるダイヤさんでしょ?」

花丸「バスを乗る前にお別れして、いつものバス停で普通に降りてきたときは」

花丸「笑い話にすればいいずらよ」

善子「ちょっと気まずいけど……」

善子「まぁ、その時はそうね」

善子「…………」
0089名無しで叶える物語(らっかせい)
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2019/02/12(火) 06:31:54.80ID:HFKyZlMi
花丸(善子ちゃんは笑いかけていた顔をしかめて、考え込む)

花丸(何か気になることがある。という表情だった)

花丸「何か気になることでもあるずらか?」

善子「いや……」

善子「こういうパラレルワールドに移動する話っていうのは」

善子「大抵、パラレルワールドに行く原因があるものなのよ」

花丸「……確かに、マル達が聞いたのは理由であって原因じゃないずら」

花丸「善子ちゃんは、その原因を解決しない限りダイヤさんは戻れないって?」

善子「昨日話したこと覚えてる?」

花丸「マル達が物語のキャストっていう話ずらか?」

善子「そう」

善子「そこに当てはめて考えれば、私たちは問題の解決をせずにダイヤさんを返そうとしてることになると思わない?」
0090名無しで叶える物語(らっかせい)
垢版 |
2019/02/12(火) 06:43:09.50ID:HFKyZlMi
花丸「………」

花丸「……一理あるずら」

善子「でしょ?」

善子「だから、このままだと失敗すると思う」

花丸「でも、ダイヤさんはその原因を知ってるとは思えないずらよ?」

花丸「もしも知ってるなら、話してくれてるはず」

善子「そう……」

善子「そうなんだけど……」

花丸「善子ちゃん?」

花丸(善子ちゃんは口元にあてた握り拳をさらに強めて)

花丸(表情をより一層、厳しくする)

善子「……いや、ごめん。憶測で語ってもしょうがないわ」

善子「まずは放課後のを試してみましょ」

花丸「……うん」

花丸(善子ちゃんは考えていたことを、話そうとはしなかった)
0092名無しで叶える物語(笑)
垢版 |
2019/02/12(火) 10:19:16.93ID:9kgquwVY
待ってる
0094名無しで叶える物語(茸)
垢版 |
2019/02/12(火) 10:45:12.90ID:KvhqA+YF
期待
0095名無しで叶える物語(茸)
垢版 |
2019/02/12(火) 13:07:17.99ID:Dfetj5wh
ーーーーー
ーーー
ーー
◇昼休み◇


果南「んーっ」ググッ

果南「ふぅ……」

果南「いやーダイヤと一日一緒は疲れるね」

花丸「何かあったずら?」

果南「やれ宿題だの復習だの予習だの」

果南「後でで良いじゃんって言ったらお説教開始」シッシッ

善子「……目に浮かぶわね、それ」ズズッ

果南「お陰で授業中に当てられてもさっと答えられたんだけどね」

花丸「先生に驚かれたずらね」

善子「ブフッ……め、目に浮かーーぶはぁっ!?」バシンッ

果南「喉に詰まらせると危ないよ〜?」ニッコリ

善子「ば…ばぃ……気を付けます……」

花丸「はぁ……」サスサス

果南「私だって授業サボってる訳じゃないし」

果南「一応、それなりに勉強は出来るんだからね」

果南「甘くみられちゃ困るよ」チラッ

果南「軽くやったはずだけど……大丈夫?」

善子「お陰で午後も授業に集中できるわ……ケフッ」

果南「それはよかった」サスサス
0096名無しで叶える物語(茸)
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2019/02/12(火) 13:16:59.81ID:Dfetj5wh
花丸「果南さん、制服貰って良いずら?」

果南「ん、予備だから良いけど出来れば返してね」サッ

善子「場合によっては、向こうのダイヤさんの制服と交換になると思うわ」

善子「一応、今日の放課後に一つ試すから」

果南「返す方法見つかったの?」

花丸「ダイヤさんがこっちに来た条件を揃えて再現するずら」

花丸「運が良ければそれで帰れるずらよ」

果南「なるほど……そう上手くいくかな……」

善子「正直、上手くいけば良いな。って感じね」

果南「……そっか」

果南「あ、そう言えば花丸ちゃん。お札は?」

花丸「一応、護符を貰ってきたずらよ」ゴソゴソ

花丸「役立つかは分からないけど」スッ

果南「ありがと」

果南「これが本物の護符かー良いねぇ」

果南「こうやって投げたりするのかな?」シュッシュッ
0097名無しで叶える物語(茸)
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2019/02/12(火) 13:22:59.51ID:Dfetj5wh
花丸「おもちゃじゃないずらよ?」

果南「分かって……っ」

スパッ

果南「痛っ……指切れた」

善子「言わんこっちゃない!」

善子「先輩なんだから少しくらい落ち着きなさいよ……」ゴソゴソ

果南「解放されたからついついテンション上がっちゃって」

善子「ったく……」ペリッ

善子「指だして」

果南「ん……」

善子「紙で切ると余計に痛いのよ」ペタッ

善子「……気を付けなさいよ」ギュッ

果南「……ありがと」

果南「よく絆創膏持ってたね」

善子「よく怪我するから……一応ね」
0098名無しで叶える物語(茸)
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2019/02/12(火) 16:13:11.04ID:Dfetj5wh
果南「善子ちゃんって意外と女子力あるよね」

善子「意外とか酷くない?」

花丸「善子ちゃんは堕天使キャラさえなければ普通の良い子ずらよ」

果南「普通怪獣善子ちゃん?」

花丸「普通怪獣津島たん」

善子「良いでしょ別にっ」

善子「…………」ボソッ

花丸「善子ちゃん?」

善子「そんなことより!」パンパンッ

善子「ダイヤさんがちゃんと帰れる方法、考えましょ」

花丸(元気よくそういった善子ちゃんだったけれど)

花丸(残念ながら、良い答えは見つけることができなかった)
0099名無しで叶える物語(笑)
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2019/02/12(火) 17:05:59.57ID:YwyMzu0H
やっぱG'sダイアーさん神だわ
0100名無しで叶える物語(庭)
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2019/02/12(火) 17:08:58.01ID:EtIbA2Uq
保守
期待
0101名無しで叶える物語(きしめん だぎゃー)
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2019/02/12(火) 17:26:44.23ID:wFLEm1+J
面白い
0103名無しで叶える物語(茸)
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2019/02/12(火) 19:26:05.72ID:L0MTH1sY
ーーーー
ーー
◇放課後◇

花丸(運命の放課後)

花丸(二人でそそくさと帰るのは怪しいからと)

花丸(いつものように、ルビィちゃんに声をかける)

花丸「ルビィちゃん、帰ろ」

ルビィ「うんっ……?」

ルビィ「善子ちゃん、珍しく鞄一杯だね」

善子「さすがに持って帰らないとうるさいのよ……」

花丸「置き勉してるの知ってるずらか?」

善子「……良くあるやつ」

ルビィ「お母さんの抜き打ちチェックという名のお片付け?」

ルビィ「ルビィはお姉ちゃんだけど」

善子「教科書まったく無いけどどうしてるの!?」

善子「なーんて……フフッ」

ルビィ「元気だして」ナデナデ

花丸(……本当は、鞄の中身は果南さんの制服だけど)

花丸(善子ちゃんのリアリティある実話のお陰で問題なさそうずらね)

花丸(実話にリアリティもなにも無いけどね)
0104名無しで叶える物語(茸)
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2019/02/12(火) 19:39:49.57ID:L0MTH1sY
ルビィ「そういえば花丸ちゃん」

ルビィ「昨日の話は結局どうだったの?」

ルビィ「えっと……お姉ちゃんが二人いるっていう話」

ルビィ「確か果南さんも……」

花丸「勘違いだったずらっ」ニコッ

花丸「果南さんも見間違いだったみたいだし、マルも違ってたずら」

善子「……」

善子「世界にはそっくりな人間が何人かいるって話だしね」

善子「ダイヤさんなんて特に黒髪だからー後ろ姿ならー日本には大勢いそう」

ルビィ「お姉ちゃんが大勢……」

ルビィ「嬉しいような、嬉しくないような……うーん……」

善子「そんな悩むようなことじゃないでしょ」

善子「ルビィの姉は1人だけよ」

ルビィ「そうだねっ」

ルビィ「お姉ちゃんはお姉ちゃんだけだよねっ」
0106名無しで叶える物語(茸)
垢版 |
2019/02/12(火) 20:22:15.92ID:L0MTH1sY
ーバス車内ー

善子「…………」

ルビィ「……」チラッ

ルビィ「ねぇ花丸ちゃん」

花丸「なに?」

ルビィ「……善子ちゃん、どうかしたのかな?」

ルビィ「ずっと窓の外見てるよ?」

花丸「………」

花丸「あれは……病気ずら」

ルビィ「えぇっ!?」ガタッ

ルビィ「善子ちゃん病気なの!?」

ルビィ「お医者さんに見せないと!」

花丸「お医者さんには手の施しようがないずら」フイッ

ルビィ「え……」

ルビィ「よ……善子ちゃぁ!」ドンッ

善子「ぐふっ!」

ルビィ「善子ちゃん病気治るよね!?」ギュッ

善子「ぐえっ」

ルビィ「ちゃんと治るんだよね!」ユサユサ

善子「あぅあぅ゛」ユサユサ

ルビィ「善子ちゃん!」

花丸「ルビィちゃん、冗談」

ルビィ「え?」

花丸「冗談だから心配要らないずらよ」ニコッ
0107名無しで叶える物語(茸)
垢版 |
2019/02/12(火) 20:25:09.95ID:L0MTH1sY
ルビィ「………っ」

ルビィ「花丸ちゃん!」

花丸「!」ビクッ

ルビィ「そういうの……良くないと思う!」

花丸「……ごめん」

花丸「マルは、恋の病って言いたかっただけずら」

花丸「善子ちゃんの雰囲気、それっぽかったから……」

ルビィ「恋の……病?」

ルビィ「善子ちゃんが?」

善子「な、なに言ってんのよ!」

善子「そんなわけないじゃない!」

善子「私はただ……」

善子「……」

善子「……私にだって、悩みくらいあるんだから」フイッ
0108名無しで叶える物語(らっかせい)
垢版 |
2019/02/12(火) 20:49:49.04ID:HFKyZlMi
花丸「………」

花丸(恋じゃないと顔をそらした善子ちゃん)

花丸(それは確かに、嘘ではないとマルは感じたけれど)

花丸(でも……それはまるで雨上がりを待つ子供のような表情で)

花丸(口をついて出そうだった言葉は、喉の奥へと滑り落ちていく)

花丸(善子ちゃん……分かるずら。気持ちは分かるずら)

花丸(でも……)

ルビィ「善子ちゃん」

善子「?」

ルビィ「ルビィにできることがあったら手伝うから」

ルビィ「だから、何かあったら――」

善子「ん。悪いわねルビィ」

善子「でも、大丈夫よ」

善子「ありがと」
0109名無しで叶える物語(きしめん だぎゃー)
垢版 |
2019/02/12(火) 21:06:05.81ID:HvtfZowv
面白い
0110名無しで叶える物語(らっかせい)
垢版 |
2019/02/12(火) 21:12:45.39ID:HFKyZlMi
―――――
―――

ルビィ「また明日〜」フリフリ

花丸「ばいば〜い」

善子「また明日」

花丸(沼津の本屋さんに寄りたいから)

花丸(そう嘘をついて一足先にバスから降りるルビィちゃんを見送る)

花丸(バスのドアが閉じて)

花丸(疑似的な二人きりの空間が確立されてから、ため息一つ)

花丸「善子ちゃん、少し気を抜きすぎずらよ」

善子「別に気を抜いてたわけじゃないわよ」

善子「ましてや、恋の病とかそういうわけ分からないものでもない」

花丸「……ダイヤさんが戻るヒントを探してたずらか?」

善子「バスに乗っている間にダイヤさんはこっちの世界に来た」

善子「もしかしたらダイヤさんにはなんか悩みがあって」

善子「それを感じたお地蔵様が悪戯したのかも……なんて思ってみたのよ」

善子「それっぽいものは見えなかったけど」

花丸「ランニングとかで使ってるって話だから」

花丸「その辺りは曜ちゃんに聞くといいと思うずら」

善子「そうね」
0111名無しで叶える物語(らっかせい)
垢版 |
2019/02/12(火) 22:03:29.26ID:HFKyZlMi
花丸「善子ちゃんは、あのダイヤさんに残ってもらいたい?」

善子「何よ急に」

花丸「マルが読んだことある本の中には、パラレルワールドを題材にしたものもあって」

花丸「それは、パラレルワールドから迷い込んだ人物がその世界にとどまることで」

花丸「本来、そこにいたはずの人が消えかけていく……というものだったずら」

善子「何が言いたいのよ」

花丸「……こっちのダイヤさんが消える可能性もある。そう、言いたいずら」

花丸(オブラートには包まない)

花丸(善子ちゃんだって分かっていないわけがない)

花丸(だから、はっきりという)

花丸「善子ちゃん、ダイヤさんが帰れなくてもいいって、思ってるずら」

善子「………」

花丸「あのダイヤさんは優しいから、善子ちゃんを認めてくれるから」

花丸「だから――」

善子「勝手なこと言わないで!」

善子「……勝手なこと、言わないで」
0112名無しで叶える物語(らっかせい)
垢版 |
2019/02/12(火) 22:23:46.53ID:HFKyZlMi
花丸(バスの中)

花丸(大声を上げた善子ちゃんとマルに集まった視線は)

花丸(小さくなった善子ちゃんの声に興味を失ったように霧散する)

善子「……ごめん、熱くなった」フルフル

善子「あのさずら丸。ダイヤさんが一番困るでしょ、それ」

善子「ずら丸が言ったように、ダイヤさんの存在を奪うなら……って、それは無し」

善子「それじゃこっちのみんなが困るし、ダイヤさんだって困る」

善子「もう言ったけど、私は邪魔するつもりはないし協力する」

善子「そりゃ、あのダイヤさんは私のことを認めてくれるし、こっちのダイヤさんが消えるとかじゃなかったり」

善子「実は瓜二つの他人とかなら、一緒にいてくれると嬉しいとか……思うわよ」

善子「でも違う」

善子「違うでしょ……ずら丸」

花丸「………」

善子「返してあげなくちゃ、いけないでしょ」
0113名無しで叶える物語(らっかせい)
垢版 |
2019/02/12(火) 22:35:28.40ID:HFKyZlMi
花丸「……善子ちゃん、何を考えてるずら」

花丸「なにを知ってるずら……何に気付いたずら」

花丸「善子ちゃんの考えが、マルにはわからないずら」

善子「……天界の理を欺き、かくり世より顕現せしめた二人目の黒澤ダイヤ」

善子「この堕天使ヨハネの魔力をもって、送り返して見せるわ」ギランッ

花丸「……嬉しいからずらか?」

善子「………」

花丸「認めてくれるダイヤさんが嬉しいから、別れるのがつらくなるから、そんな焦ってるずら?」

善子「……ちょっとだけ、それもあるかもね」フィッ

花丸(ふいっと目を逸らした善子ちゃんは)

花丸(それ以上何も言うことはなかった)

花丸(別れがつらくなる。それはマルも同じずら)

花丸(だからこそ、善子ちゃんの没頭するような姿勢がマルには余計に分からなかった)
0114名無しで叶える物語(らっかせい)
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2019/02/12(火) 22:59:07.14ID:HFKyZlMi
―津島家―

ダイヤ「おかえりなさい」

善子「たっ……ただいま……」

花丸(善子ちゃんの家、玄関を開ければぺこりと迎えるダイヤさん)

花丸(善子ちゃんの慣れない挙動不審な返事とダイヤさんの笑顔を交互に見る)

花丸「まるで新婚さんみたいずらね」

善子「な、何言ってんのよずら丸!」

花丸「マルはお暇したほうが良いずら?」

善子「待ちなさいよっ」ガシッ

花丸「冗談ずら〜」ニコッ

ダイヤ「ところでヨハネ、花丸さん」

ダイヤ「こちらのわたくしは問題はなかったかしら?」

善子「特にこれと言って問題はなかったと思うけど……」

花丸「あったら果南さんが教えてくれてるはずずら」

ダイヤ「そうですか……そうですね……」

善子「何かあった?」

ダイヤ「いえ、今のようなわたくしの状況に類似した物語を読んだことがありまして」

ダイヤ「もしかしたら――と」

ダイヤ「ただの気苦労でよかったわ」
0115名無しで叶える物語(らっかせい)
垢版 |
2019/02/12(火) 23:10:53.49ID:HFKyZlMi
善子「…………」チラッ

花丸「………ん」

花丸「……ダイヤさん、家を出る前に少し話を聞いてもいいずらか?」

ダイヤ「ええ、構わないわ」

善子「でもその前に、これ」グイッ

善子「果南さんが貸してくれたわ」

ダイヤ「制服……」ギュッ

ダイヤ「ありがとうございます」

善子「そっちの制服は脱いだら貸して」

善子「洗うだけ洗っておくから」

ダイヤ「そこまでのご迷惑は――」

善子「あとでツケを払ってもらうから良いわよ」ニヤリ

花丸「堕天使への借金は闇金よりも酷ずらよ」

ダイヤ「…………」

ダイヤ「……わたくしにできる事なら、なんなりと」

善子「っ」

ダイヤ「ふふっ」

ダイヤ「一応――本心よ」ニコッ

タタタッ....ガチャッ

善子「…………」

花丸「善子ちゃん」

善子「………」

花丸「ヨハネちゃん」

善子「……ハッ」

善子「危うく堕天するところだったわ」

花丸「堕天使が何を言ってるずら」ポスッ
0116名無しで叶える物語(らっかせい)
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2019/02/12(火) 23:24:44.39ID:HFKyZlMi
花丸「それより、制服洗って平気ずら?」

花丸「バレない?」

善子「こっそり洗うから平気でしょ」

善子「果南さんに汚れたまま渡すわけにもいかないし」

花丸「確かにそうずらね」

善子「……あのさ、ずら丸」

花丸「?」

善子「これでうまく、返せるといいわね」

花丸「……善子ちゃんは、うまくいくと思ってる?」

花丸(失敗すると言っていた善子ちゃんのそれとは真逆の言葉に、思わず返す)

善子「………」

善子「原因を突き止められてないし、解決もできてない」

善子「だから厳しいとは思うけど、返ってくれるのならそれが一番だと思ってる」

善子「考えてみてずら丸」

善子「再現で返せなかったら、私達には打つ手が無くなるのよ」

花丸「そうずらね……手がかりもない以上、これがダメだったら0から考える必要があるずら」

善子「そう……だから。返せない可能性はあるけど、出来れば成功してほしいって、私は思ってるわ」

花丸(善子ちゃんは困った表情で、そう言った)

花丸(少しだけ伏し目がちな、表情で)
0118名無しで叶える物語(らっかせい)
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2019/02/13(水) 05:34:50.32ID:PIdPFiOs
ダイヤ「こうして着用すると、果南とのスタイルの差が身に沁みるわ」グイッ

善子「その気持ちはよーくわかるわ」チラッ

花丸「なんずらか?」

善子「べっつに」

花丸「なんでちょっと怒ってるずら……」

ダイヤ「申し訳ないけど、果南にありがとうと。伝えてね」

花丸「バスを待つ時間もあるし、その時にスマホを貸すずら」

ダイヤ「スマホ……わたくし、それの操作はあまり得意ではありませんの」

善子「電話くらいなら教えるし、簡単よ」

善子「どうせ向こうの私は世話になってるんでしょ? だったら、そのお礼に教えてとでもいえば喜ぶと思うわよ」

善子「向こうの私がどんなヤツなのかわからないけど、根本は変わらないだろうし」

ダイヤ「ありがとう、戻れたら聞いてみる――そうだわ、ヨハネ」

善子「ん」

ダイヤ「制服……申し訳ないけれど、お願いします」スッ

善子「………」ギュッ

善子「果南さんの胸がきつい発言を聞いとく」

ダイヤ「ふふっ、失礼ね」
0119名無しで叶える物語(らっかせい)
垢版 |
2019/02/13(水) 05:45:18.02ID:PIdPFiOs
花丸「それでダイヤさん」

花丸「ダイヤさん、なにか悩みがあったりはしないずらか?」

ダイヤ「悩み……?」

ダイヤ「そうね――卒業後のルビィに対する不安や心配はあるけれど」

ダイヤ「でも、深刻な悩みは、ないわね」

花丸「そっか……そのくらいなら関係ないかな」

善子「ルビィが心配すぎて家に帰りたくないとか?」

花丸「それはないずら」

善子「言ってみただけよ」

ダイヤ「わたくしの抱える悩みが、こちらの世界に連れてきたと?」

花丸「それと、元の世界に帰るためのキーになってる可能性があったずらよ」

花丸「ルビィちゃんの将来くらいならその可能性は低いから」

花丸「問題ないずらね」

善子「大小はともかく、それは良くある悩みだしね」

善子「……だからまずは、来た時の再現をするしかないわね」
0120名無しで叶える物語(らっかせい)
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2019/02/13(水) 06:02:12.27ID:PIdPFiOs
ダイヤ「浦女の方でバスに乗って、普通に降りてくる。ですわね」

善子「そう」

善子「来た時の繰り返しだから、何かある……はず」

善子「何もなかったら何もなかったで、また考えましょ」

花丸(ダイヤさんの申し訳なさそうな雰囲気を宥めるためなのか)

花丸(善子ちゃんはちょっぴりとぼけた様子で肩をすくめる)

花丸「そうずら」

花丸「マルも善子ちゃんも果南さんも。みんな手伝うずら」

花丸「だからきっと、何とかなるずらよ」

ダイヤ「花丸さん……ヨハネ」

ダイヤ「ありがとうー―こちらの世界でも、黒澤ダイヤの良き友人でいてくれて、ありがとう」ギュッ

善子「っ……もう」

善子「果南さんじゃないんだから、急なハグとか……やめてよね」ギュッ

花丸「嬉しいくせに〜」

善子「うっさいっ空気よめっ///」

花丸「出るまではもう少し時間があるから、もう少しだけ――」

ダイヤ「では、花丸さんも」

花丸「………」ギュッ

花丸「ずら〜」

善子「幸せそうな顔してるし」フンッ

善子「10分後くらいに出ましょ。それならちょうど、いつものバス停にバスが来る」
0122名無しで叶える物語(きしめん だぎゃー)
垢版 |
2019/02/13(水) 06:33:26.17ID:lgRzwmQb
続ききてた
0123名無しで叶える物語(茸)
垢版 |
2019/02/13(水) 07:33:48.83ID:GK6kGcN5
ーバス停ー


花丸「それじゃ善子ちゃん、行ってらっしゃい」

善子「ん」

花丸(浦女前のバス停で見送る係といつものバス停での観測者)

花丸(二手に別れるマル達……観測者はマルで、見送るのは善子ちゃん)

花丸「ちゃんと帰ってきてね」

花丸「歩いて」

善子「死ねと?」

花丸(夕方にもなると、浦女を通るバスは減る)

花丸(ダイヤさんに乗って貰うバスを除くと)

花丸(あと二本で本日終了また明日)

花丸(乗り遅れないようにと暗に込めた思いは届いたらしい)

花丸(善子ちゃんは笑いながら答えた)

ダイヤ「では、花丸さん」

ダイヤ「短い間でしたがお世話になりました」

花丸「中々出来ない思いが出来て嬉しかったから良いずらよ」

花丸「……こっちのダイヤさんとももう少し、距離を詰めてみたいと思えたずら」

ダイヤ「それはよかったわーーきっと、わたくしも喜びますわ」

花丸(名残を惜しみ、二人を見送る)

花丸(どうか帰りは善子ちゃんだけであって欲しいと、願った)
0124名無しで叶える物語(茸)
垢版 |
2019/02/13(水) 09:06:21.48ID:Gd4Z7sWc
続きが楽しみ
0126名無しで叶える物語(茸)
垢版 |
2019/02/13(水) 11:30:31.35ID:GK6kGcN5
花丸(……善子ちゃんは何か知ってる)

……ン

花丸(マルの知らない何かに気付いてる)

花丸(善子ちゃんのあの表情は、そういう表情だった)

…ナ……ン……

花丸(でも……なにに?)

梨子「花丸ちゃん」ツンツン

花丸「ずらぁ!」ビクッ

梨子「きゃっ」ドサッ

花丸「あ……」

梨子「いたた……ごめんね花丸ちゃん」

梨子「そんな驚くとは思わなくて」

花丸「マルこそ悪かったずら」

花丸「……梨子ちゃんはどうしてここに?」

梨子「海の方に行ってきた帰り」

梨子「良い曲作れるかな〜って」
0127名無しで叶える物語(茸)
垢版 |
2019/02/13(水) 12:56:51.14ID:GK6kGcN5
梨子「花丸ちゃんは?」サッサッ

梨子「花丸ちゃんも海?」

花丸「少ししたら善子ちゃんがバスで戻ってくるから待ってるずらよ」

花丸「忘れ物したって」

梨子「花丸ちゃんをこんな場所において!?」

梨子「いくら顔の知れた土地だからって」

梨子「こんな場所に一人なんて……善子ちゃんってばもう!」

花丸「マルがこっちで待ってるって言ったずら」

花丸「ちょっと、風に当たりたくて」

梨子「花丸ちゃん……?」
0128名無しで叶える物語(茸)
垢版 |
2019/02/13(水) 13:03:26.54ID:GK6kGcN5
花丸「……」

花丸(ダイヤさんがもう一人いる秘密)

花丸(梨子ちゃんに話したらなにか解決するかな)

花丸(マルが持ってるヒントをつまみ上げて)

花丸(善子ちゃんの考えを言い当ててくれるだろうか)

花丸(……)

梨子「花丸ちゃん」ギュッ

花丸「梨子ちゃん?」

梨子「大丈夫、私はなにも聞かない」ナデナデ

梨子「花丸ちゃんの悩みに答える自信がないから……ね」

梨子「でも、少しだけこうさせて」

梨子「なにも出来ないけど、なにもしないのは嫌だから」

梨子「もちろん、嫌だったら嫌って言ってくれて良いからね」クスッ
0129名無しで叶える物語(茸)
垢版 |
2019/02/13(水) 13:11:17.70ID:GK6kGcN5
花丸「……」

花丸「……嫌じゃ、ない」

梨子「よかった」

花丸(温かい、柔らかい)

花丸(誰かが寄り添う優しさを肌に感じる)

花丸(梨子ちゃんの、ちょっぴり大人な匂いが甘えを誘惑する)

花丸「……梨子ちゃんは」

梨子「うん」

花丸「梨子ちゃんは、パラレルワールドって信じてるずらか?」

梨子「んー……」

梨子「あったら面白いとは、思うかな」

梨子「でも同時に怖いとも思う」

花丸「怖い?」

梨子「うん」

梨子「だって、もしも別の同じ世界に行ったら」

梨子「同じみんなでも考え方が違ったり、関係が違ったり……もちろん、記憶が違ったり」

梨子「みんなといるのに……」

梨子「ううん、いるからこそ一人ぼっちで心細くなっちゃうよ」

梨子「千歌ちゃん達は、それも面白いーとか言いそうだけどね」クスクス
0130名無しで叶える物語(茸)
垢版 |
2019/02/13(水) 13:30:36.89ID:GK6kGcN5
花丸「……じゃぁ、もしもそのパラレルワールドに梨子ちゃんが意思に関係なく連れていかれたとしたら」

花丸「その原因はなに?」

梨子「答える自信がないからって言ったのに」

梨子「花丸ちゃんは欲張りね」

花丸「えへへ」

梨子「そうだなぁ……」

梨子「意思に関係ないなら特別な力とか道具」

梨子「最近の物語なんかで良く使われるのは、事故とか事件」

梨子「異世界転生とか転移とかいうらしいんだけど」

梨子「その人になにかがあった弾みで別の世界にいっちゃうってお話」

梨子「パラレルワールドとは、ちょっと違うかな」

花丸「……異世界転移?」
0132名無しで叶える物語(茸)
垢版 |
2019/02/13(水) 16:00:39.48ID:GK6kGcN5
梨子「花丸ちゃんが読むような本じゃないから、馴染みないかな?」

梨子「私も曜ちゃん達からものの流れで聞いたってくらいだからね」

花丸「そういうのも、あるずらね……」

花丸「ちなみに転移と転生はことば通りの違いずらか?」

梨子「んー私も詳しくはないけど」

梨子「そうだったと思うよ」

花丸「そっか…」

花丸「ありがとう梨子ちゃん、参考になったずら!」

梨子「よかった」

梨子「一緒に待っててあげたいけど用事があるから、ごめんね」

花丸「大丈夫、ありがとう」ニコッ

花丸(マルが笑うと梨子ちゃんも安心したように笑って)

花丸(でも少し心配そうに振り返る梨子ちゃんを、見送る)

花丸「……事件、事故」

花丸(転生転移よりも、その言葉が強く引っ掛かった)
0135名無しで叶える物語(茸)
垢版 |
2019/02/13(水) 18:32:41.86ID:gUSJy8OE
プルルル....

花丸「……」

    プルルル

ピッ

花丸「……ダイヤさんはバスに乗った?」

善子『乗ったわ』

善子『時間も日差し……って言えば良いのか分からないけど』

善子『天気も悪くない』

善子『この調子ならーー』

花丸「ねぇ……」

花丸「善子ちゃんに、聞きたいことがあるずら」

善子『聞きたいこと?』

善子『今じゃないと駄目?』

花丸「1つだけだから」

善子『ん……なに?』

花丸「異世界転生とか転移って知ってる?」
0136名無しで叶える物語(茸)
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2019/02/13(水) 18:43:53.03ID:gUSJy8OE
善子『………』

花丸(善子ちゃんはすぐには答えなかった)

花丸(時間が止まった訳じゃないぞと)

花丸(季節を先取りした少し冷たい風が楽しげに駆けていく)

花丸(長いようで短い沈黙は、唐突に終わる)

善子『はぁ……』

善子『ずら丸はそういうの興味ないって思ってたわ』

善子『………』

善子『あんたの考えてる通りよ』

善子『ダイヤさんは向こうの世界では死んでるんじゃないかって私は思ってる』

花丸「誤魔化さないずら?」

善子『足首掴まれて悪足掻きするほど、諦め悪くはないわよ』
0137名無しで叶える物語(茸)
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2019/02/13(水) 19:02:29.04ID:gUSJy8OE
善子『……果南さんがダイヤさんに言ったこと覚えてる?』

善子『ダイヤさんが不気味なこと言わないでって言ってたやつ』

花丸「海辺にいたって話?」

善子『そう』

善子『それと、飛び込むんじゃないかって話』

善子『本が好きなあんたならわかってると思うけど』

善子『低い位置にあるなら、飛び込むなんて言わない』

花丸「……そうずらね」

善子『そして果南さんが近付けない場所にいた』

善子『声が届かない場所にいた』

花丸「果南さんがそんなダイヤさんをただ見てるだけなはずがない」

花丸「なのに、朝になって確認したから……ずらね?」

花丸「果南さんがダイヤさんがいた場所にたどり着く頃には」

花丸「ダイヤさんは居なくなっていて」

花丸「ダイヤさんがそこにいた証拠も一切なかった」

花丸「だから気のせいだと思ったけど、やっぱり心配になって確認した」

花丸「善子ちゃんはそう考えてる」

花丸「……あってるずら?」
0138名無しで叶える物語(茸)
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2019/02/13(水) 19:14:52.16ID:gUSJy8OE
善子『あるいは、ダイヤさんの携帯に着信履歴が残ってた』

善子『果南さんが移動しながら電話してれば。だけど』

善子『……それが多分、バスが走る道の途中』

善子『果南さんに確認したらわかると思う』

花丸「……どうして善子ちゃんは果南さんに確認しないずら?」

善子『憶測だけなら、ただの可能性だって切り捨てられる』

善子『証拠がなければ、自分がネガティブなんだと笑える』

善子『それなら……ダイヤさんを返したくないって、馬鹿なこと言わずに済む』

善子『……分かってよ、ずら丸』

善子『分かってよ、花丸!』
0139名無しで叶える物語(なっとう)
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2019/02/13(水) 20:20:51.05ID:QkfAqb0/
期待
0140名無しで叶える物語(らっかせい)
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2019/02/13(水) 20:43:01.41ID:PIdPFiOs
花丸(善子ちゃんの悲痛な懇願)

花丸(でも、違う。そうじゃない)

花丸「果南さんに確認することで、マルに話がいくのを避けたかっただけずら」

花丸「ダイヤさんを殺すことになるって知ってるのは自分だけにしておきたかっただけずら」

花丸「でも、善子ちゃんは善子ちゃんだから悩んだ」

花丸「ダイヤさんを殺すことも、マルに嘘ついてることも」

花丸「そうでしょ? 善子ちゃん」

花丸「だからすぐに感情的になってたずら。早く返そうと焦ってたずら」

善子『……証拠なんて、ないでしょ』

花丸「マルと善子ちゃんの今までが、証拠ずら」

花丸「果南さんがダイヤさんを見間違えないと自負してるように、マルも自負してるずらよ」

花丸「その繋がりを理解しているからこそ、善子ちゃんは正直に話してくれた……でしょ?」

花丸「これ以上隠しても、どっちにも良いことなんてないって分かってたから」
0141名無しで叶える物語(禿)
垢版 |
2019/02/13(水) 20:46:29.97ID:hI29sU2b
(*> ?? ??*)ゞ「梨子ちゃんは腰骨が見えるとド変態さが増すからヒップハンガーのスカート!」

从#c*??ヮ??§ 「オラアッ!!」ゲシッ!!




(*#) ?? ??*)ゞ(千歌ちゃんも同じのが良かったのかな…?)
0142名無しで叶える物語(らっかせい)
垢版 |
2019/02/13(水) 21:53:20.49ID:PIdPFiOs
善子『……』

善子『何言ってんのか、わかんない』

花丸(さっきよりもずっとずっと短い沈黙)

花丸(顔の見えない、声だけが隣り合わせの瞬間)

花丸(それでも善子ちゃんが申し訳なさそうな顔をしてると思うのは、感じるのは)

花丸(マルが善子ちゃんのことを信じてるから……ずらね)

花丸「善子ちゃん、ダイヤさんを元の世界に返す方法は分かってるずらか?」

善子『自信はない……けど』

善子『ダイヤさんは寝ているときに事故に遭ったから、自分が死んでるなんて全く思ってない』

善子『でも、現実では死んでるから戻ることはできない』

善子『その死にながら生きている状態が、逢魔が時に重なってこっちの世界に来たのなら』

善子『ダイヤさんに死を自覚させれば戻ると思う』

花丸「そっか……」

花丸「逢魔が時によって怪奇現象に出会ったのはダイヤさんではなく、マル達ってことずらか」

花丸「………」

花丸「とりあえず、今はダイヤさんには言わないでおくから、善子ちゃんもすぐに戻ってきて」

善子『了解、しばらくしたらこっちにもそっちにもバスが来るから……またあとで』

花丸「……うん、またあとで」

花丸(近づいてくる、バスの音)

花丸(どうか降りてきませんようにと願う心は……もう、なかった)
0143名無しで叶える物語(らっかせい)
垢版 |
2019/02/13(水) 22:40:56.46ID:PIdPFiOs
―国木田家―

花丸(分かってはいたことだけど)

花丸(バスから降りてきたダイヤさんは気まずそうに頭を下げて)

花丸(ただいま。と、困ったように笑った)

花丸(その次のバスに乗ってきた善子ちゃんと合流して、またマルの家)

花丸(流石に連日ということもあって、甘えていいというマル達の言葉をよそに)

花丸(家の手伝いに向かったダイヤさん)

花丸(その間に、善子ちゃんと続きを話すことにした)

善子「ずら丸はすぐにでも話すべきだと思う?」

花丸「分からないずら」

花丸「先延ばしは良くないとは思うけど、でも……だからといって、ダイヤさんはもう死んでるよ。なんて言えない」

善子「もしかしたら……って話すのは? その可能性があるって」

善子「ダイヤさんだって普通に戻れる可能性が薄いのは分かってるだろうし――」

花丸「本気で言ってるずらか?」

善子「ごめん」

花丸「ううん、マルこそ悪いこと言ったずら」

花丸「ごめん」

花丸(二人して黙り込む)

花丸(話すことが決まっていても、いつ、どのように。それが難しくて)

花丸(聞かされたダイヤさんの心を想像するだけで、胸が痛くて)

花丸(答えは一向に出せる気がしないまま時間だけが削られていく)
0144名無しで叶える物語(きしめん だぎゃー)
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2019/02/13(水) 22:53:40.61ID:lgRzwmQb
ダイヤ…
0146名無しで叶える物語(笑)
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2019/02/13(水) 23:39:53.84ID:ruUzPi3R
こっちで暮らそうや…
0147名無しで叶える物語(茸)
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2019/02/14(木) 00:27:00.79ID:8Jxhhjqo
やりたかった事、望んだ事、悩んだ事
そういう未練も死の前では...悲しい結末になりそうで
0151名無しで叶える物語(らっかせい)
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2019/02/14(木) 05:49:45.59ID:Rf/hqmWE
花丸(答えが見つからないまま、夕食の時間)

花丸(ニコニコの親とダイヤさんのいる食卓は、なんだか不思議な感じだった)

ダイヤ「この中にわたくしが作ったものもあるわ」

ダイヤ「分かるかしら?」

善子「……この中、ねぇ」チラッ

花丸「マルに期待されても困るずら」

善子「いつも見てる花丸ならこれはおかしい。みたいなの何かあるでしょ」

花丸「定食屋じゃないし、昨日なくても今日はあるものずら」

花丸「もちろん、二日並ぶものもあるけど」

ダイヤ「長考はご飯が冷めてしまうわ――とりあえず、いただきましょう?」

花丸「そうずらね、いただきます」

善子「いただきます」

花丸(……さっぱりわからない)

善子「ん……これにするか、これにするか」チラ

ダイヤ「ふふ――そんなに見ても、ぼろを出したりはしないわ」

善子「手ごわい……っ」
0152名無しで叶える物語(茸)
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2019/02/14(木) 07:22:06.60ID:jCMHfC+w
花丸「……」モグモグ

花丸(こういう、他人の家で料理をふるまうとき)

花丸(もっとも注意することと言えば……)

花丸「ダイヤさん、質問良いずら?」

ダイヤ「ええ」

花丸「ダイヤさん、料理に自信はある?」

花丸「得意料理とかは?」

ダイヤ「長女として恥じない程度には」

ダイヤ「得意料理は秘密です」ニコッ

善子「ふーん……」

善子「なるほどね」ギラン

花丸(あの善子ちゃんの顔、見つけたずらね)
0153名無しで叶える物語(庭)
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2019/02/14(木) 07:25:10.00ID:giuzlwMr
0154名無しで叶える物語(茸)
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2019/02/14(木) 07:40:00.73ID:jCMHfC+w
花丸(今日並んだのは、昨日の煮物、卵焼き、豚肉の大根巻き、小松菜とシーチキンの和え物、豚肉版肉野菜炒め)

花丸(……と、ご飯と味噌汁)

花丸(昨日の煮物はまず除外)

花丸(ご飯も除外)

花丸(謎の豚肉押しは安かったときに良くあるから考慮外)

花丸(薄くスライスした大根で巻いたお肉もたまにあるマルの家のちょっと変わった調理……だと思うからなし)

花丸(そして定番で言えば、卵焼きずら)モグモグ

花丸(善子ちゃんが考えたのはその定番)

花丸(借りる側にとって材料が余る余らないを考えなくて良いのもポイントずら)

花丸(でも、それだけずらか?)

花丸(もうひとつ……ダイヤさんが作ったのがあるんじゃないかな?)
0155名無しで叶える物語(茸)
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2019/02/14(木) 07:52:26.51ID:jCMHfC+w
善子「……答え、1つ当てるわ」

花丸「!」ガタッ

花丸「し、質問もなしに……!」

花丸(これはブラフ?)

花丸(いや、善子ちゃんは定番を当てに来る)

ダイヤ「どうぞ」

花丸(あくまでも余裕の笑みを崩さないダイヤさん)チラッ

善子「ダイヤさんの手料理は」

花丸(自信たっぷりの……って、善子ちゃんはいつも通りずら)

花丸(善子ちゃん、卵焼きをーー)

善子「ズバリ味噌汁ね!」

花丸「毎日作って貰いたいずら」キリッ

花丸「ーーって、斜め上ずら!」

花丸「卵焼きじゃないずらか!?」

善子「ちゃんと理由あるわよ」
0156名無しで叶える物語(茸)
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2019/02/14(木) 08:26:27.09ID:jCMHfC+w
善子「ダイヤさん、長女として恥じないようにって言ったわよね」

ダイヤ「ええ」

善子「それって、この地域で名のある黒澤家としてってことでしょ?」

善子「嫁入りなのか婿受けするのかは置いておいても」

善子「名家の女として料理のひとつも出来ないのは恥」

ダイヤ「……」

善子「そして、家を継ぐということを暗に込めて代々受け継がれてきた味……」

善子「それを考えれば、答えはもう味噌汁しかない」

善子「……でしょ? ダイヤさん」ビシッ
0157名無しで叶える物語(茸)
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2019/02/14(木) 08:46:17.44ID:jCMHfC+w
花丸「確かにそれっぽい理屈ずら」

善子「ふふんっ」ドヤッ

善子「名探偵ヨハネと呼びなさい」

花丸「堕天使探偵ヨハネずら」

善子「名探偵!」

善子「それで、どう?」

ダイヤ「さすが名探偵さん。正解よ」ニコッ

ダイヤ「お味噌汁を作った理由は、定番の卵焼きを避ければばれないんじゃない?と」

ダイヤ「おばさまから提案頂いたから。だけれど」クスクス

善子「ぅ///」

善子「当てたのに嬉しくないっ!」
0158名無しで叶える物語(茸)
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2019/02/14(木) 09:50:04.32ID:vNNz/VmM
ダイヤさんかわいい
0159名無しで叶える物語(茸)
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2019/02/14(木) 13:13:55.73ID:jCMHfC+w
ダイヤ「そうねぇ」

ダイヤ「ヨハネのーーそう、魔眼だったかしら」

善子「それがなに?」

ダイヤ「魔眼で見抜いた報酬として、なにか1つ、お願いを聞いてあげても良いわよ?」

善子「1つなら何でも良いの?」

善子「あれとは、別に?」

ダイヤ「あれはあれ、これはこれ」

花丸(善子ちゃんの表情がみるみる明るくなるのがわかった)

花丸(それは晴天のように明瞭で)

花丸(見つめるダイヤさんにも容易に伝わる)

善子「1つ……1つね……」

花丸(ちょっと、羨ましいずら)

花丸(……なんて)チラッ

ダイヤ「……」ニコッ

花丸「っ!」

ダイヤ「善子さんと花丸さん、二人で一組ーーでしょ?」

花丸「……ずら」

花丸(のめり込んではいけないと)

花丸(分かっていても逃れられない)

花丸(必然の別れを見据えるがゆえに、躓く)

花丸(……道端の小石は、ダイヤモンドずらね)
0161名無しで叶える物語(茸)
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2019/02/14(木) 16:08:46.70ID:wcC5GVTw
ダイヤー!
0162名無しで叶える物語(茸)
垢版 |
2019/02/14(木) 17:06:43.28ID:wxflkaA3
ーーー
ーー


……チャポン
     サァァァ…
バシャッ
    パシャッ…ポタタッ


花丸「はふぅ……」

ダイヤ「こう、入浴すると体を伸ばしたくなるのはなぜかしらね」クスッ

花丸「そう……ずらね」フィッ

善子「……」ガシガシガシ

花丸(せっかくのお泊まりなら……と)

花丸(これを提案したのは誰だったか)

花丸(気付けば水没する船の中)

花丸(ぶくぶくぶくと溺れてみると、下がった視線に入る赤らんだ夕焼けのような景色)

花丸(目のやり場に困って背ければ)

花丸(間もなく訪れる夜の帳が微かに揺れる)

花丸(……なにしてるずらか)

花丸(こんなことしている場合じゃないのと)

花丸(同性間での言い様のない羞恥心)

花丸(二つ束ねて、マルと善子ちゃんそしてダイヤさんの3人)

花丸(お風呂真っ最中の胸中にぼやく)  
0163名無しで叶える物語(アメリカ合衆国)
垢版 |
2019/02/14(木) 18:30:03.36ID:t6l9N78S
おもろい
0164名無しで叶える物語(茸)
垢版 |
2019/02/14(木) 19:28:21.23ID:wxflkaA3
ダイヤ「帰ることが出来なかったからこそ、こうできている」

ダイヤ「そう考えると、不思議な気分になるわ」

花丸「……ダイヤさんは帰れなくても良いずらか?」

ダイヤ「………ふぅ」

  チャプン

ダイヤ「もしも、これが海外旅行のようなものであるなら」

ダイヤ「もう少しだけーーそう、思う気持ちはあるわ」

ダイヤ「けれど、違う」

ダイヤ「こうしている間にもルビィや果南」

ダイヤ「みなさんが消えたわたくしの身を案じていると思うと」

ダイヤ「穏やかな気分になることにさえ、罪悪感が沸く」

花丸(ダイヤさんは困ったように笑う)

花丸(八分咲きの心)

花丸(それでも綺麗なのは、花ゆえかーー)

ダイヤ「良くしてくださっているのに」

ダイヤ「こんなことーー失礼だとは思うけれど」

ザァァァァ....

    キュルキュルッ

 サァァァ…
     キュッ
ポタポタ

善子「そう思うのは当然でしょ」

善子「ダイヤさんにはダイヤさんのいるべき場所がある」

善子「ダイヤさんが作った関係があるんだから」
0166名無しで叶える物語(茸)
垢版 |
2019/02/14(木) 19:43:27.18ID:wxflkaA3
ダイヤ「ヨハネ……」

善子「だけど、私達に借りを作ってるだなんて思わないで良いわよ」

善子「ダイヤさんの出来ることならなんでも願いを聞く」

善子「それで、支払いは済んでるんだから」

花丸「そうずら」

花丸「困ったときはお互い様」

花丸「悪いと思うことなんてないずら」

ダイヤ「……二人は本当に、優しいわね」

ギュッ

花丸「っ」

花丸(マルの手を、ダイヤさんの立派な手が握る)

ダイヤ「……ありがとう」

花丸「うんっ」

善子「……」

善子「……ちょっと、ねぇ、花丸」

善子「少し詰めてよ、私も入りたい」

花丸「ごめんね善子ちゃん」

花丸「この浴槽は二人用ずら」ニコッ

善子「その胸潰せばいけるっ」グイッ

花丸「痛っ痛いずら!」

花丸「母乳が出なくなっちゃう!」

善子「まだ出ないでしょ!」

バシャッ
          ツーメーロー
ズーラーァー  
     バシャンッ

ダイヤ「……ふふっ」

パシャ..ゴシゴシ

ダイヤ「本当に、温かいわ」
0167名無しで叶える物語(らっかせい)
垢版 |
2019/02/14(木) 21:37:15.93ID:Rf/hqmWE
花丸「狭い」

善子「今日くらい良いでしょ」

花丸「はぁ……今日だけずらよ」

善子「ふふんっ」

ポタポタ
       チャポン
 パシャッ
     ポタッ...ポタッ...

ダイヤ「花丸さん、善子さん」

ダイヤ「明後日のお休みは、Aqoursの練習ありますか?」

善子「どうだっけ?」

花丸「午前中はやるって話だったと思うずらよ」

善子「あ、なにかあるなら大丈夫」

善子「休ませてって言えばーー」

花丸「善子ちゃんっ」

善子「あっ」

花丸(そんな言い方をすればダイヤさんは断る)

花丸(マルのその予想通りにダイヤさんは首を横にふった)

ダイヤ「練習があるなら大丈夫よ」

ダイヤ「適当に時間を潰しておくから気にしないで」

花丸「あくまで予定だから、改めて聞いておくずら」

花丸「それでもし大丈夫そうなら、話すずら」

ダイヤ「ええ……ありがとう」
0168名無しで叶える物語(らっかせい)
垢版 |
2019/02/14(木) 22:36:28.92ID:Rf/hqmWE
――――
――


善子「電気消すわよ」

花丸「小さいの」

善子「はいはい」

ダイヤ「花丸さんはお化けが怖いの?」

花丸「そういうわけじゃないずら」

花丸「ただ……夜に本を読んで、寝落ちして」

花丸「気づいたらこのくらいの明かりが一番寝やすくなってたずらよ」

カチッ
    カチカチッ
  
善子「私より厄介なことになってるわよね、それ」

花丸「厄介の自覚があるんだ……」

善子「言葉の綾よ」

ダイヤ「……わたくしの方の花丸さんは、実はお化けが怖いらしいわ」

善子「へぇ?」チラッ

花丸「マルは違うずらよ」

ダイヤ「そして、ヨハネは意外と弱虫さん」クスッ

花丸「へぇ?」チラッ

善子「真似すんのやめてっ!」
0169名無しで叶える物語(アメリカ合衆国)
垢版 |
2019/02/14(木) 23:31:43.43ID:t6l9N78S
かわいい
0171名無しで叶える物語(らっかせい)
垢版 |
2019/02/15(金) 06:37:01.94ID:eeDynHv+
花丸「ヨハネって呼んでたってことは、堕天使キャラも健在なんだよね?」

ダイヤ「そうよ――ヨハネって、善子さんは良く言ってるわ」

花丸「中二病は相変わらずなのは根強いずらね」

花丸「ダイヤさんでも更生させられない?」

ダイヤ「天使に?」

花丸「一般人に」

善子「なによ二人して馬鹿にしてっ」ペシペシッ

ダイヤ「ふっ、ふふっ、痛い痛い」ニコニコ

善子「く〜っ///」ペシペシ

ダイヤ「こちらのヨハネもそうなのかは分からないけれど」

ダイヤ「不幸だから、いつもいつも悪いことばかりだから自分は罪のある堕天使ヨハネとか地獄の使いだって考えていたわ」

ダイヤ「でも、最近は不幸だと嘆くよりも、少し特別なんだとポジティブに考えているから――無理に更生しなくても良いと思ってるわ」

ダイヤ「もちろん、それで思い悩むようなら考えるつもりよ」ギュッ

善子「っ///」

ダイヤ「ヨハネちゃんも大切な仲間ですものね――本当に不幸なのなら、手を差し伸べてあげなきゃ」

善子「〜〜〜〜〜///」

花丸「こっちのヨハネはただそういうキャラずらよ。アイドルのキャラづくりずら」

善子「わ、私にだって色々あるんだから……勝手に決めつけないでっ」

ダイヤ「それがもしも、悩みなのなら――相談、乗るわ」

善子「ぅ……うん……」フィッ

善子「あり、がと……///」

花丸「顔はもはや赤鬼ずらね」

善子「うるさいっ」
0172名無しで叶える物語(茸)
垢版 |
2019/02/15(金) 07:07:25.39ID:D0l+qPYi
花丸「堕天使は置いておいて明日はどうするずら?」

花丸「善子ちゃんの家はどう?」

善子「明日はちょっと厳しいと思う」

善子「こうやって泊まるのも帰りが遅いから許されてるみたいで」

善子「さすがに迷惑だろうから早く帰るって」

ダイヤ「そうなると、明日はヨハネとお別れね」

花丸「それなんだけど……明日は果南さんに相談したいずら」

善子「ん? 帰らせる方法について?」

花丸「それと、ダイヤさんのお泊まり」

花丸「マルは良いけど、こう続くとダイヤさんの家に連絡いくかもしれない」

花丸「そこで、果南さんに協力して貰いたいずら」
0173名無しで叶える物語(茸)
垢版 |
2019/02/15(金) 07:52:11.04ID:D0l+qPYi
ダイヤ「ご迷惑をおかけしてすみません」

花丸「気にすることないずらよ」

善子「じゃぁ、明日……って、あれ?」

善子「明後日の前に明日も練習じゃなかったっけ?」

花丸「……」

花丸「……あっ」

善子「ずら丸ぅ!」

花丸「善子ちゃんだって今の今まで忘れてたずら!」

善子「でも思い出したわよ!」

花丸「忘れてた時点で同罪ずら!」

善子「偉そうにぃ!」

花丸「ごめん」

善子「あ、うん……急に謝んないで」

善子「なんか困る」

花丸「そしたら……明日は早起きするずら」サッサッ

花丸「果南さんにも……ちょっと早く起きてもらうことになっちゃうけど」サッ...タタッ

善子「なにするの?」

花丸「隠れ家」

花丸「果南さんに隠れ家を提供して貰うずら」

花丸「寝泊まりさえ条件になければ場所はあると思うから」

善子「でも果南さんーー」

花丸「許可は今貰ったずら」スッ

善子「行く! ってずいぶん食いぎみね」

花丸「ダイヤさんに会うのが楽しみだって」

ダイヤ「果南……」

ポンッ

善子「迷惑なんて無さそうで、良かったわね」ニコッ

ダイヤ「ええーー本当に」
0175名無しで叶える物語(茸)
垢版 |
2019/02/15(金) 09:36:15.98ID:D0l+qPYi
ーーー
ーー

◇砂浜◇

果南「これが噂のダイヤ……」ジーッ

ダイヤ「か、果南?」

果南「呼び捨て!」

果南「聞いた!? あのダイヤが呼び捨てだよ!」

善子「うぅ……頭に響く……」

花丸「善子ちゃんがここまでの早起きに弱いのはともかく」

花丸「果南さん、テンション高いずらね」

果南「話に聞いたときから会ってみたかったんだよね」

果南「どんな風に違うのかなとか、どこまで一緒なのかなとか」

果南「でもやっぱり、ダイヤはダイヤでも雰囲気が違うね」

果南「……なんと言うか本物のお嬢様感あるよね」

花丸「こっちの世界のダイヤさんはエセお嬢様だったずら……?」

果南「あはははっ、冗談冗談」

果南「でも、雰囲気が違うのはほんとだよ」
0176名無しで叶える物語(庭)
垢版 |
2019/02/15(金) 11:30:48.83ID:5KdeSYpQ
0177名無しで叶える物語(茸)
垢版 |
2019/02/15(金) 11:34:45.14ID:Od9Msb4r
ダイヤ「こちらのわたくしはそんななの?」

果南「一見同じチョコレートだけど」

果南「こっちは甘い、こっちは苦いってなんとなく分かることってない?」

果南「そんな感じだよ」

果南「まぁ、それもダイヤの良いところなんだけどね」

花丸(果南さんはダイヤさんのことを嬉しそうに話しつつ)

花丸(ここにいるダイヤさんのことをじっと見る)

善子「それで、果南さん」

善子「ダイヤさんが隠れられるような場所ある?」

果南「それなら取って置きの場所があるよ」

花丸「取って置き?」

果南「そう。淡島の誰も来ないような場所」

ダイヤ「断崖絶壁とかかしら?」

果南「いや、船とかで回り込まないといけないところがあって」

果南「ダイヤや鞠莉と遊び場にしてた場所があるんだよ」

果南「食料とか用意して、そこ行こっか」

花丸「それじゃ、お願いして良いずら?」

果南「いいよ、任せて」

ダイヤ「花丸さん、善子さんありがとうございました」

花丸「マルのスマホを貸しておくずら」

花丸「何かあったら善子ちゃんか果南さんにかけて」

ダイヤ「ありがとう」

花丸(濡れないように着こんだウェットスーツ)

花丸(鮮明になるダイヤさんの体の輪郭から目をそらして)

花丸(果南さんの乗ってきたモービルに乗り込む二人を見送った)
0179名無しで叶える物語(茸)
垢版 |
2019/02/15(金) 15:24:16.47ID:7MEHtI3C
ザザァ−...
        ザザァ−...


善子「……ねぇ、花丸」ザッ...

善子「これからどうする?」

花丸「……果南さんを待つずら」

善子「そうじゃなくて」

善子「ダイヤさんのこと」

花丸「……」

善子「果南さんを見てると、案外みんな受け入れてくれそうなーー」

ヒュンッ
       パシャパシャッ
  チャポンッ

善子「気がするけど」

花丸「受け入れてもらって、どうするずら?」

花丸「黒澤家に双子として入れて貰うずらか?」

ザッ...
    ザッザッザッ...ヒュンッ
  ボチャンッ

花丸「無理ずら」

花丸「ダイヤさんは、ペットじゃない」

花丸「それに、ダイヤさん自身がきっと望まないずら」
0180名無しで叶える物語(茸)
垢版 |
2019/02/15(金) 18:32:12.68ID:7MEHtI3C
花丸「善子ちゃんの気持ちは痛いほど分かる」

花丸「殺すことになるって知った途端」

花丸「帰す方法なんて考えたくも無くなっちゃった」

花丸「後回しにして、はぐらかして」

花丸「この有耶無耶な状態のまま」

花丸「パラレルワールドの迷い子なんて摩訶不思議な現象なんだからって」

花丸「諦めることが出来たらどんなに良いか」

花丸「……でも、この世界にはちゃんとダイヤさんがいる」

花丸「パラレルワールドが存在するのなら」

花丸「世界の交錯による因果や概念の歪みといった眉唾な話や」

花丸「こっちのダイヤさんが消えちゃう可能性だって、冗談じゃ済まないずらよ」

善子「……」ヒュンッ
          パシャンッ

善子「……だったら、なにも知らない果南さんに殺させるのはやめるべきじゃないの?」

善子「ずら丸がそう考えて、果南さんと接触させたとは思ってないけど」パンッパンッ

花丸「だから昨日、帰らせる方法? って聞いてきたずらか」

花丸「話してたのはダイヤさんの居場所だったのに」
0181名無しで叶える物語(アメリカ合衆国)
垢版 |
2019/02/15(金) 18:43:03.31ID:6xWPzdn4
つらいなぁ
0182名無しで叶える物語(茸)
垢版 |
2019/02/15(金) 19:00:33.33ID:7MEHtI3C
善子「花丸」

花丸(善子ちゃんはなにか言いたげにマルを見る)

花丸(呟かれた名前には、失望が絡み付いているように感じた)

善子「ダイヤさんを帰す方法は死んだことを自覚させるしかない」

善子「海に近づけば、自分が死んだであろう環境に触れることになるし」

善子「果南さんは、海辺にいたダイヤさんの目撃者」

善子「間接的に気付いてくれないかって心のどこかで期待してる」

善子「でしょ? 花丸」

花丸「そんなことないずらよ」

善子「……ずら丸と私の今までが証拠」

花丸「………」

善子「私にだって、あんたとの関係に自負がある」

花丸(善子ちゃんは気恥ずかしさか、なんなのか)

花丸(困ったように笑って、マルを見た)

花丸(その気持ちは分かるのよ。と)

花丸(言われているんだとすぐに分かった)
0183名無しで叶える物語(茸)
垢版 |
2019/02/15(金) 19:14:59.37ID:7MEHtI3C
花丸「果南さんに殺させるつもりなんてない」

花丸「でも……期待、しちゃってるんだと思う」

花丸「そんなこと、考えてすらいなかった」

花丸「ただ果南さんの力を借りようと思っただけずら」

花丸「本当にーー」

ギュッ

善子「……ごめん」

善子「私も似たようなものだわ」

善子「ずら丸が果南さんに連絡しなかったら私がしてたと思う」

善子「ほんと、ごめん……」

花丸「善子ちゃんは悪くないずら」

花丸「マルが、自分で踏み込んだことだから」

花丸(自分がぼろを出さなければ)

花丸(マルがダイヤさんの死の可能性に触れなければ)

花丸(そうしたら悩ませなかったのに)

花丸(その謝罪を、押し退ける)

花丸「でも」ギュッ

花丸「少しだけ……善子ちゃんを汚させて」

善子「せっかく海に来たんだから、少し濡れても気にしないわよ」ナデナデ
0184名無しで叶える物語(らっかせい)
垢版 |
2019/02/15(金) 21:45:45.17ID:eeDynHv+
―――
――

◇バス車内◇

果南「いやーまさか待ってるとは思わなかったよ」

善子「あのまま学校行っても早すぎるから待ってたのよ」

善子「色々、話したいこともあったから」

果南「最初に言っておいてくれれば」

果南「ダイヤと話し込んだりしなかったのに」

花丸(ごめんねという果南さん)

花丸(淡島から戻ってくるまでに、1時間と少しの時間が経ってから)

花丸(ダイヤさんと話し込んでいたという果南さんは笑顔で)

花丸(何か楽しいことでも聞けたのかな。と、模索する)

花丸(顔と声に出さないために、極力ダイヤさんの死については考えないと善子ちゃんと決めたから)

花丸「そしたらせっかくの機会が台無しずらよ」

花丸「もしかしたら、放課後には帰ってるかもしれないから」

果南「そうだと良いね……でも、そんな簡単な話じゃないんでしょ?」
0185名無しで叶える物語(らっかせい)
垢版 |
2019/02/15(金) 21:59:07.51ID:eeDynHv+
果南「昨日の今日でまだいるってことは再現は失敗だったわけだし」

果南「そうなると、謎しか残らないよね」

善子「黒魔術に召喚の儀式もあるわ」ギランッ

花丸「召喚なら式神というのもあるずら〜」

果南「それで呼んだわけじゃないでしょ〜?」

善子「ダイヤさんなら乗ってくれるのにっ」

花丸「果南さんはノリが悪いずら」

果南「なんで私が責められてるのかな……?」

花丸(冗談ずら。と、笑う)

花丸(果南さんだって、冗談に乗ってくれる)

花丸(決して、ダメなわけじゃない)

花丸(波長がずれているのは、マル達ずら)

果南「それにするべきなのは召喚じゃなくて送り返す方だよ?」

花丸「召喚するのと同じゲートを開くずら」ギランッ

善子「私の台詞を盗らないでっ」

花丸「冗談はともかく、案外、来た時の通り道を開くのは間違いじゃないと思うずらよ」

果南「来た時の通り道ね……具体的には?」

花丸「霊道とか」

果南「!」ギュッ

善子「……果南さん?」

果南「ん? んー……どうぞ、続けて?」ギュゥゥッ

善子「いや、あの、痛い……痛いんだけど」

花丸「霊道は言葉通り、幽霊が――」

果南「!!!」グリッ

善子「折れるっ!!」
0186名無しで叶える物語(らっかせい)
垢版 |
2019/02/15(金) 22:06:30.23ID:eeDynHv+
花丸「大げさずらね、善子ちゃん」

善子「いやいやいやいや!」

善子「待って、待ってっ」グッ

果南「っ」ギュッ

善子「血がっ、血が止まるっ」ググッ

善子「放して、果南さん! ギブっ、ギブ!」ペシペシッ

果南「っ……話終わった?」パッ

花丸「まだ何も話してないずら」

果南「そ、そっか……そっか」

果南「あはは……ははっごめん、そういう系の話はちょっと苦手なんだよね」

花丸「果南さんには怖いものなんてないと思ってたずらよ」

果南「私だって苦手なものくらいあるよ〜」

善子「物理で解決できないものとか?」

果南「ん?」

善子「どぅどぅ、気のせい気のせい」
0187名無しで叶える物語(らっかせい)
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2019/02/15(金) 22:17:00.70ID:eeDynHv+
果南「何もしないよ」

果南「腕平気? 変に強く握っちゃったよね」

善子「痣ができたくらいだから平気よ」サスサス

善子「それより、苦手なら手段は置いておいて確認しておきたいことがあるんだけど」

果南「なに? 改まって」

善子「……」チラッ

花丸「もし、もしもずら」

果南「うん」

花丸「もしも、ダイヤさんを返す方法がこのまま見つけることができなかったら……どうするずら?」

花丸「探しても、考えても」

花丸「どうしても見つけられなかったら……果南さんはどうするべきだと思うずらか?」

花丸(言うかどうか悩んで、どんな言葉を使うかを考えて)

花丸(時間をかけて作り上げた問いかけ)

果南「探すよ」

花丸(それを、果南さんはいとも容易く突っぱねた)

果南「決まってるでしょ、探すし考える」

果南「花丸ちゃんや善子ちゃんがそれを考える理由は何となくだけど、わかるよ」

果南「そのうえで、悪いけど」

果南「考えてみて」

果南「海外に行って、迷子になって、それで帰れないからって諦めようと思う?」

果南「思わないよね」
0188名無しで叶える物語(らっかせい)
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2019/02/15(金) 22:30:24.66ID:eeDynHv+
善子「スケールが違うでしょ」

果南「一緒だよ」

果南「この世界の中でのことだとしても」

果南「何も知らない土地なら、それは私たちにとっての異世界みたいなものでしょ?」

果南「もしかしたら言葉が通じない分ダイヤよりも深刻かもしれないし」

果南「そもそもの問題は帰れるか帰れないか。なんだから」

花丸「………」

善子「………」

果南「そんな場所で、私たちは助けを求められたんだよ」

果南「どうにか家に帰りたい。助けて。そう、言われたんだよ」

果南「他人のことにそこまで本気にならなくてもとか言われたら、私にはもう何も言えないよ」

果南「けど、二人はさ。あのダイヤを他人だなんて思ってないでしょ?」

果南「だったらそんな暗い顔してないで、無理かもしれないなんて言わないで」

果南「ちゃんと、考えてあげよ?」
0189名無しで叶える物語(庭)
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2019/02/15(金) 22:34:04.52ID:RJKIyA6Y
考えたんだよ……果南ちゃん………
ふたりとも目一杯考えて答えはもう出ちゃってる様なもんなんだ……
0190名無しで叶える物語(らっかせい)
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2019/02/15(金) 22:46:02.44ID:eeDynHv+
果南「もちろん、無理にとは言わない」

果南「今日から本格的に関わったばかりで何言ってんだって二人は言いたいかもしれないけど」

果南「私はちゃんと、ダイヤを送り返してあげたいと思ってる」

善子「別に、諦めたわけじゃないわよ」

善子「ただ、もしも無理だったらって……」

果南「そっか」ギュッ

善子「っ」

果南「優しいね、二人は」ナデナデ

花丸「そんなこと……」

果南「もう一人の自分にご執心だなんてこっちのダイヤが知ったらぶっぶーですわ。って言いそうだね」クスクスッ

果南「…………」

果南「さっきも言ったけど、無理にとは言わないよ」

果南「まだ高校一年生の二人には難しいことだろうからね」

果南「この際だから、私に全部預けてもいいんだよ?」

果南「ダイヤを見つけて、話を信じて再現して返そうとした。立派だよ。二人は十分頑張った」

果南「ここで私に任せても、ダイヤは見捨てられたなんて思わないから大丈夫」

果南「……どうする? そろそろ、バトンタッチする?」
0191名無しで叶える物語(らっかせい)
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2019/02/15(金) 22:59:14.92ID:eeDynHv+
花丸(果南さんの優しさと、大きさ)

花丸(それはマル達が抱える悩みも包み込んで溶かしてくれそうで)

花丸(甘えてもいいんじゃないか)

花丸(十分、頑張ったんだから)

花丸(そんな考えが、脳裏をよぎる)

花丸(だから、自覚する)

花丸(善子ちゃんの言っていた心のどこかにある悪い考えは蜃気楼なんかではなかったのだと)

花丸(枯れたオアシスは確かにあったのだと――でも)

花丸「か――」

善子「考えさせて」グッ

善子「花丸と……考えさせて、果南さん」

果南「うん、全然いいよ」

善子「ありがと」

善子「花丸も、それでいいわよね?」

花丸「……うん」

花丸(でも、旅人は一人ではなかったから……そこで膝を折ることはなかった)
0192名無しで叶える物語(らっかせい)
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2019/02/15(金) 23:29:52.21ID:eeDynHv+
―――
――

◇浦の星女学院:生徒玄関◇


曜「おっはよーそろー!」 シュバッ

果南「わっ!」ビクッ

花丸「わぶっ」ボフッ

ゴツッ

善子「ごはっ」

曜「あっ……」

果南「こらっ! 危ないでしょ!」

曜「ごめんなさーい!」

花丸「大丈夫?」

善子「ん……」フルフル

花丸「唇切った?」

善子「ん」コクコクッ

善子「うぇ……気持ち悪い」

花丸「暫く血の味がするやつずらね……曜ちゃんに飲み物でも奢ってもらうしかないずら」

曜「えっ」

果南「これは曜ちゃんが悪いよ?」

曜「ぐうの音も出ないのであります……」

果南「花丸ちゃんには、私が奢ってあげるよ。ぶつかったのは私だしね」

花丸「えっそんな」

果南「良いから良いから」
0193名無しで叶える物語(らっかせい)
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2019/02/16(土) 01:21:22.08ID:QvW6pYxu
チャリンチャリン…ピッ
         ピピッ…ガチャンッ

曜「どうぞお納めくださいませ……」スッ

善子「ちょっ」

善子「パシらせてるように見えるからその献上ポーズやめてっ」

果南「はい、花丸ちゃん」

花丸「ありがとう」

果南「それで?」

曜「?」

果南「たまたまあそこにいたってわけじゃないよね。あのタイミング」

果南「私? それとも二人のどっちか?」

曜「あー!」

曜「そう、二人。花丸ちゃんと善子ちゃんに話があったんだよ」ビシッ

花丸「丸と善子ちゃんずらか? ルビィちゃんからの伝言とか?」

善子「そういう感じじゃなさそうだけど」

曜「二人って昨日、ダイヤさんと一緒にいたよね?」

花丸「えっ」

曜「なんかすっごく仲良さそうにしてたからダイヤさんと二人が仲良くなったんだって思ってさー」

曜「さっきダイヤさんによかったね。って言ったら、何がですの? って言われてね」

曜「それで二人と仲良さそうにしてたこと言ったら貴女までそんなこと……って、怒られちゃって」

善子「だから私たちに確かめたくて待ってたってわけね」

曜「そういうこと」
0194名無しで叶える物語(きしめん だぎゃー)
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2019/02/16(土) 08:54:30.47ID:ZmS72W0Z
0195名無しで叶える物語(アメリカ合衆国)
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2019/02/16(土) 10:59:51.82ID:fRGCnP4B
0198名無しで叶える物語(らっかせい)
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2019/02/16(土) 12:52:27.57ID:QvW6pYxu
花丸(ダイヤさんが、怒った……)

花丸(やっぱり、ダイヤさんを認めて貰おうなんて甘かったずらね)

花丸(一番気になるだろうルビィちゃんにも聞いてみようと思ってたなんて)

花丸(大馬鹿者ずら)

曜「花丸ちゃん?」

花丸「っ……えっと」

果南「多分、それ私と一緒にいたときじゃないかな?」サッ

花丸「!」

曜「果南ちゃんと? えーでも、ストレートに下ろしてたと思うんだけど」

果南「私が髪を下ろしてちゃいけない?」

曜「そ、そんなことは言ってないよ!」

果南「善子ちゃんがちょうどシニヨンがほどけたっていうから、試しにリボン使ってみない―? って、渡してたんだよ」

花丸(有無を言わせない、ちょっとだけの威圧的な言い方)

花丸(マルが悩むから、善子ちゃんがうまく言葉を選べないから)

花丸(果南さんがわざと、曜ちゃんの気を持っていく)

果南「でもそうかーダイヤかーダイヤに見えたかー」ニコニコ

曜「んーそう見えたよ」

果南「つまりそれって私がダイヤみたいに綺麗ってことでしょ?」

果南「嬉しいなーいやーありがとーお礼にジュースを奢ってあげよう!」グィッ

曜「わわっ」

ドレガイイ?
       ンーコレ
 コッチネ
      チガッソレダメナヤツ!

善子「……」

善子「……花丸」

花丸「何?」

善子「昼休みに、話しましょ……今後のこと」

善子「私も色々考えておくから」

善子「花丸も、考えておいて」

花丸(真剣だからこその、花丸という呼び方)

花丸(マルはその善子ちゃんの目を見ることはできなかった)
0199名無しで叶える物語(らっかせい)
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2019/02/16(土) 13:06:56.71ID:QvW6pYxu
―――
――


◇授業中◇

花丸(善子ちゃんは、どんな答えを出すんだろう?)

花丸(善子ちゃんの考えが全く分からないずら)

花丸(ダイヤさんを果南さんに預けるか、このままマル達の手で何とかするか)

花丸(もっとも確実なのは、帰す方法を分かっているマル達が続けること)

花丸(でも、その帰す方法は、ダイヤさんに死を自覚させるという悲惨なもの)

花丸(それができないから悩んでる。そうして良いのか、すべきなのか)

花丸(でも、しない場合も簡単じゃない)チラッ

ルビィ「んー」カキカキカキ

ルビィ「あっ間違えた」ゴシゴシ

ルビィ「うぅ……先生消すの早い」サッサッ

花丸(ダイヤさんに近しい人たちが)

花丸(この世界が)

花丸(二人目のダイヤさんの存在を認めるのか否か)

花丸(そもそも、パラレルワールドとの均衡が崩れちゃったらどうなるのか。それも問題)

花丸(均衡を保つためにこっちのダイヤさんが死んじゃうかもしれない、殺されるかもしれない)カタン...

  ポツッ....
        ポツッ....

「国木田? どうしたー国木田」

ルビィ「花丸ちゃん?」

ルビィ「……先生! 保健室に連れていきます!」ガタッ

「あ、ああ。頼む黒澤」

ルビィ「いこっ、花丸ちゃん」グイッ

花丸「え?」

ルビィ「良いから、行こう?」
0200名無しで叶える物語(らっかせい)
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2019/02/16(土) 13:15:02.53ID:QvW6pYxu
◇保健室◇


花丸「ル、ルビィちゃん急にどうしたずら?」

花丸「マルはどこも悪くないずらよ?」

ルビィ「怪我も、何もしてないのは分かってるよ」

花丸「なら――」

ルビィ「でも……でもね、花丸ちゃん」

ルビィ「花丸ちゃんの心は、痛いって、言ってるよ」ギュッ

花丸「っ」

ルビィ「気づかなかったの?」

ルビィ「花丸ちゃん、泣いてるんだよ? 泣いてたんだよ?」

ルビィ「頭を抱えて、凄く辛そうに泣いてたんだよ?」

ルビィ「ルビィで良ければ力になるよ。出来る事なら、なんだって手伝うよ」

ルビィ「だから花丸ちゃん、泣かないで」

ルビィ「そんなにつらそうな顔……一人でしないで」
0201名無しで叶える物語(らっかせい)
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2019/02/16(土) 13:26:40.45ID:QvW6pYxu
花丸「ルビィちゃん……」

ルビィ「それとも……ルビィには、話せないこと?」

花丸「………」

ルビィ「……そっか」

花丸(マルは何も言えなかった)

花丸(考えも気持ちもあやふやだから)

花丸(ルビィちゃんを巻き込むことも巻き込まないこともできなかった)

花丸(弱虫なのはルビィちゃんでも善子ちゃんでもなくマルずら)

ルビィ「ルビィじゃダメなのは残念だけど……でも、花丸ちゃんは一人じゃないよ」

ルビィ「お姉ちゃんだって、果南さんだって、鞠莉さんだって……千歌ちゃんたちだって、いるから」

ルビィ「だから……」

花丸「ルビィちゃん、ありがとう」

ルビィ「花丸ちゃん?」

花丸「……もう、大丈夫ずら」
0202名無しで叶える物語(らっかせい)
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2019/02/16(土) 13:38:02.78ID:QvW6pYxu
花丸(マル達の我儘が、どれだけみんなに迷惑をかけるのか)

花丸(どれだけ、心配をさせちゃうのか)

花丸(これからずっと抱えるであろう悩みに対するみんなへの迷惑、その影響)

花丸(その片鱗でも垣間見えた今、マルが出すべき答えは一つしかないと思った)

花丸(急に現れたもう一人のダイヤさんを姉と認めろって言えば、ルビィちゃんはきっと優しいから認めてくれる)

花丸(そうだ)

花丸(優しいから、善子ちゃんみたいに自分だけがって考えてくれる)

花丸(そんなの、良くない)

花丸(果南さんも力を貸してくれる。鞠莉さんだってきっと)

花丸(でも、それでどうにかなるずらか?)

花丸(ならない)

花丸(向こうの世界のダイヤさんが、自分が我慢してさえいればと、考えてくれるから)

花丸(幸せにはならない。だれも、誰かが無理をすることになるから)

花丸(だから……それが最も長引かない方法を)

花丸(――本来あるべき世界へと戻す選択を、マル達はするべきずら)
0203名無しで叶える物語(らっかせい)
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2019/02/16(土) 13:45:56.19ID:QvW6pYxu
―――
――

◇昼休み:屋上◇


花丸「そうでしょ? 善子ちゃん」

善子「………」

花丸「善子ちゃんは、マルが嫌がっててもダイヤさんに死の事実を伝えるつもりだった」

花丸「ううん……考えてみれば、初めからそうするつもりだったよね」

花丸「善子ちゃんは優しいから、自分だけの胸に真実を押し隠したままダイヤさんを返そうとしてたずら」

花丸「……徹頭徹尾、善子ちゃんの考えに変わりはなかった」

善子「買い被りすぎよ。私はそんなできた人間じゃない」

花丸「でも、誰かのためならそれができるずら」

花丸「善子ちゃんは優しいから」

善子「……」

花丸「マルも」

花丸「マルも覚悟を決めたずら」

花丸「帰そう。二人で帰そう、善子ちゃん」

花丸「一人じゃきっと、立ち直れなくなるようなことだから」

花丸「凄く、心が痛くなることだから」

花丸「二人で泣こう。二人で……ダイヤさんにごめんなさいって言おう」
0204名無しで叶える物語(なっとう)
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2019/02/16(土) 15:08:41.39ID:JAExCWrG
0208名無しで叶える物語(らっかせい)
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2019/02/16(土) 17:43:27.87ID:QvW6pYxu
善子「……汚れ役は私がやるって、決めた意味がなくなるじゃない」クスッ

善子「でも、ずら丸がそう決めたならそうしましょ」

善子「ダイヤさんがなんて来るかわからないけど……それしかないんだから」

花丸「まずは果南さんに話す必要があるずらね」

花丸「ダイヤさんを帰す方法はあるから大丈夫って」

善子「流石に、果南さんにダイヤさんを帰す方法まで言わなくてもいいわよね?」

善子「言えば私がやるとか言ってくれそうだけど」

花丸「でも、それじゃダメずら」

花丸「マル達よりもずっと、果南さんはダイヤさんのこと大事に思ってるし、好きだと思うから」

善子「今日言う?」

花丸「そうずらね……もしくは、明日」

善子「あーダイヤさんが何かしたがってたわねそういえば」

善子「それやった後にする?」

花丸「やる前に話して、楽しくなくならせるのは嫌ずら」

善子「じゃぁ、ダイヤさんのお願い? を聞いてからってことで」
0209名無しで叶える物語(らっかせい)
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2019/02/16(土) 19:58:30.39ID:QvW6pYxu
善子「でもそうなると、明日の練習休みにした方がいいんじゃない?」

花丸「そうずらね、今日の練習後に千歌さんたちにお願いするずら」

善子「二人で休むって言うと、なんか勘繰られたりしない?」

善子「だからと言ってずる休みもしたくないけど」

花丸「マルと付き合ってることにでもするずらか?」ニヤッ

善子「何言ってんのよ」

善子「明日以降毎日面倒なことになるやつでしょそれ」

善子「ダイヤさんとか、生徒会長だから不純ですわっとか言い出しそうだし」

花丸「なら、勘繰られることくらい気にしなくていいずらよ」

花丸「千歌さんはなにか言ってくると思うけど」

花丸「それこそ、ダイヤさん達が止めてくれるずら」

善子「果南さんは事情知ってるしね」

花丸(あと少しだけだから)

花丸(自分にそう言い聞かせて)

花丸(Aquorsの練習を休むこと、ルビィちゃんをまた少し心配させるかもしれないことを、決める)
0210名無しで叶える物語(らっかせい)
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2019/02/16(土) 21:22:17.54ID:QvW6pYxu
―――
――


◇Aquorsの練習後◇

花丸(ダイヤさんが練習に参加しているのは当たり前のことなのに)

花丸(何でここにいるずらって思った時はどうしようかと思ったずら)

花丸(容姿が瓜二つだから……分からなくなりそう)

ダイヤ「花丸さんも善子さんも、今日はどうしたの?」

ダイヤ「隙あらば、わたくしの方を見てましたわよね?」

善子「えっ、そ、そうだった?」

善子「ずら丸、覚えある?」チラッ

花丸「なんでそこでマルに話を振るずら」

千歌「きっとダイヤさんが凄く上手に踊ってたからだよ!」

千歌「千歌も時々見ちゃってたし」

ダイヤ「そ、それならいいですわ……コホンッ」

ダイヤ「確認しますが、お二人もわたくしの知らないわたくしの行動を見た。というわけではありませんわね?」

花丸「……どうしてそんなこと聞くずら?」

ダイヤ「ここ数日、そのような話を耳にするのですわ」

ダイヤ「今日の曜さんは……果南さんを見間違えたということらしいですが」

梨子「曜ちゃん以外にもいたんですか?」

ダイヤ「クラスメイト数名、曜さんと全く同じようなことを言われましたわ」

ダイヤ「昨日、沼津で後輩と歩くわたくしを見た。と」

ダイヤ「流石に、全員が全員果南さんとわたくしを見間違えたなどとは思えません」チラッ

果南「気のせいだよ」

果南「少なくともその後輩二人の候補に挙がってる花丸ちゃんと善子ちゃんは私と一緒にいたしね」

梨子「えっ……」
0211名無しで叶える物語(らっかせい)
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2019/02/16(土) 21:40:20.24ID:QvW6pYxu
千歌「梨子ちゃん?」

鞠莉「ダイヤは私と一緒にいたから、ほかのところにいるはずないわね」ハグッ

ダイヤ「鞠莉さん、汗かいたまま抱き着かないでくれます?」グッ

鞠莉「あんっ、ダイヤってばクールなんだから」

鞠莉「でも、ダイヤが別の場所にいるっていう話は私も聞いたわ」

鞠莉「昨日学院に善子と一緒に来た……ってね」

梨子「……」

梨子「それなら本当ですよ」

梨子「善子ちゃんは忘れ物を取りに学院に戻ったって花丸ちゃんが待ってたので」

ダイヤ「なるほど……」

梨子「でも、ダイヤさんは一緒じゃなかったです」

梨子「善子ちゃんと花丸ちゃんの二人でした」

花丸「!」

梨子「そうだったよね? 花丸ちゃん」ニコッ
0212名無しで叶える物語(笑)
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2019/02/16(土) 21:43:00.81ID:b+BIihVg
梨子やめ
0213名無しで叶える物語(らっかせい)
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2019/02/16(土) 22:07:13.49ID:QvW6pYxu
千歌「つまり、ダイヤさんはみんなの隣にいる!」ビシッ

曜「心じゃないんだ」

ルビィ「心だとお姉ちゃんが死んじゃってるように聞こえるから嫌ですっ」

ダイヤ「つまり、果南さんと一緒にいたのは?」

善子「本当」

ダイヤ「学院に戻ったのは?」

善子「本当……宿題を忘れたから取りに戻ったのよ」チラッ

果南「もう少し遊ぼうかって話になったときに、私が試験も近いから勉強もしないと。って言ったら」

果南「善子ちゃんが急にあー! 宿題置いてきたかも! って」

ダイヤ「ふむ……では、学院で見た善子さんと一緒のわたくしというのは?」

ダイヤ「それも、果南さんだったのですか?」

梨子「善子ちゃんってシニヨンが見えなかったり遠くからならダイヤさんに見えなくもないと思うし」

梨子「きっと、気のせいじゃないですか?」

果南「落ち着きなよ、ダイヤ」

果南「二人が怖がってるよ」

ダイヤ「もう一人のわたくしがただ目撃されるというだけでなく」

ダイヤ「花丸さんや善子さんと仲睦まじくしているという話を聞かされて……穏やかでいられるわけがありませんわ」

ダイヤ「まるで……」フルフル

ダイヤ「いえ、気のせいならいいですわ。見間違いならそれでいいですわ」

ダイヤ「ごめんなさい二人とも」

花丸「ううん、別に平気ずら」

花丸「その気持ちは、マルも少しだけわかるから」
0216名無しで叶える物語(らっかせい)
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2019/02/16(土) 22:25:03.87ID:QvW6pYxu
梨子「……」チラッ

花丸「……」フルフル

花丸(余計なこと言っちゃったかな? と)

花丸(申し訳なさそうに手を合わせる梨子さんに首を振る)

花丸(ダイヤさんが一緒じゃなかったことを擁護してくれただけ、有難いずら)

果案「とにかく、こんな状態じゃ明日の練習に影響も出そうだし」

果南「明日は休みにしよっか」

果南「ダイヤ、明日はゆっくりして少し落ち着こう?」

鞠莉「マリーのスゥィートなルームに招待してあげるわ」

鞠莉「千歌っち達もどう?」

千歌「スゥィートルーム! 行く! 行きたい!」

梨子「あっ、私は午後からなら。お昼までは家にいないといけないので」

曜「私も行きたい」

善子「私は無理だわ。ちょっと用事があるのよ」

梨子「用事〜? いつもの生放送じゃなくて〜?」

善子「馬鹿にしてるでしょ!」

花丸「マルはお寺のお手伝いがあるから無理ずら」

ルビィ「ルビィはお姉ちゃんと一緒にいるっ」

ダイヤ「はぁ……仕方がありませんわね」

花丸(賑やかに、なっていく)

花丸(二人のダイヤさんの話などなかったかのように)

花丸(でも、いつまでもは誤魔化せない)

花丸(その危うさが明確化してきていて)

花丸(マル達の決めた覚悟をせかすように突き飛ばした)
0217名無しで叶える物語(らっかせい)
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2019/02/16(土) 23:05:17.84ID:QvW6pYxu
果南「二人ともどうする?」

花丸「このまま帰る予定ずら」

果南「違う違う」チラッ

善子「……なるほど」

花丸(果南さんの視線の先にいるダイヤさんに気付いて)

花丸(善子ちゃんが小さく言う)

花丸(これからどうするのか……)

花丸(ダイヤさんが疑念を抱き始めた今、マル達が一緒に行動することをあまり快く思わないかもしれない)

花丸(だから、今ここで聞いておこう。ってことずらね)

花丸「平気ずらよ」

花丸「宿題は、善子ちゃんと何とかするずら」

果南「そっか」

果南「二人がそう決めたならそれでいいよ」

果南「でも、もし分からなくなったら……いつでも頼るんだよ?」

善子「ありがと果南さん」

善子「果南さんって思ってた以上に優しいわよね」

果南「へぇ〜元々どんな印象だったの?」ニッコリ

花丸「善子ちゃんは思っていた以上に、言葉が多いずらね」ハァ

善子「い、いやっ元々優しいと思ってたわよ!」

善子「でも、それよりも優しいっていうか……そ、そう!」

善子「テレビで見るよりきれいな芸能人ってよく聞くでしょ? あれよ、あれ!」

果南「そういうことにしておいてあげる」

果南「今朝のところに、連れていくからね」

花丸「うん、お願いするずら」
0218名無しで叶える物語(らっかせい)
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2019/02/16(土) 23:37:24.35ID:QvW6pYxu
―――
――


◇国木田家◇

花丸(善子ちゃんはさすがに3日目もお泊りする……なんてことは出来なかったらしく)

花丸(電話越しに聞こえる怒った声にペコペコ頭を下げたあと)

花丸(砂浜で合流したダイヤさんに、ごめんなさい。と告げて帰ってしまった)

花丸(ダイヤさんを見つけてから……思えば初めて二人きりになる)

善子『もしもーし!』

花丸(……電話でつながってるけど)

ダイヤ「そしたら、明日は時間があるのね」

花丸「そういうことになるずら」

善子『泊まるのは無理だけど、遊ぶなら大丈夫よ』

ダイヤ「………」

ダイヤ「それなら、少し付き合って貰えないかしら」

ダイヤ「せっかく黒澤家のしがらみから解放されているんだもの」

ダイヤ「今のうちに周りを気にせずに疑似デートをしてみたいわ」

善子『疑似デートって……』コホンッ

善子『ダイヤさん、申し訳ないんだけどこっちの世界のダイヤさんもいるから』

善子『ダイヤさんだって分からないような変装チックな服装じゃないとダメだけど、平気?』

ダイヤ「そうね――こっちの世界のわたくしに迷惑をかけたくないわ」

ダイヤ「花丸さん、何かお洋服を貸してもらっても――良いかしら?」

花丸「マルは良いずらよ」

花丸「地味に、なるけど」

ダイヤ「花丸さんも十分おしゃれなお洋服を持っていると思うわ」

善子『ちょっと! 私もいるんだけど!』

ダイヤ「もちろん、ヨハネもおしゃれだったわ」

ダイヤ「見せて頂いたから、知ってる」クスクス

善子『お、おしゃれなら笑わないでよっ///』
0219名無しで叶える物語(らっかせい)
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2019/02/17(日) 00:09:29.78ID:4Qa5+Sfk
花丸「なら、明日はダイヤさんと沼津デートするずら」

花丸「もしあれなら、市外県外に行くという手もあるずらよ」

花丸「ラブライブの聖地と言われてる秋葉原とか」

ダイヤ「流石に、自分のポケットに入っていたお金以上のことはできないわ」

ダイヤ「秋葉原って東京でしょう? 結構な金額になるから――駄目よ」

善子『ダイヤさんが行きたいところに行きましょ』

善子『私たちのお願いなら連れまわしてもいいけど、今回はダイヤさんのしてみたいことだし』

花丸「そうずらね」

ダイヤ「では、ヨハネ――良い眠りを」

善子『ふ、普通で良いわよ……お休みっ///』

ダイヤ「あら」

ダイヤ「――ふふっ。善子さんは本当、可愛らしい反応をするわね」

花丸「善子ちゃんもだけど、ダイヤさんも嬉しそうずらね」

ダイヤ「善子さんが嬉しそうな反応をしてくれるから、わたくしも嬉しくなって――つい」

花丸「……」

花丸(善子ちゃんの恥ずかしそうで、嬉しそうな声)

花丸(からかうようなダイヤさんの優しい声)

花丸(マルの、予備の寝間着を着る湯上りのダイヤさん)

花丸(それも、今日まで)

花丸「ダイヤさん……報酬の一回限りのお願いしてもいいずらか?」

ダイヤ「え?」

花丸「今日は――一緒の布団で寝たいずら」

花丸(失う温もりを)

花丸(これからもずっと、心の中に宿し続けるために)

花丸(最初で最後の大切な願いを、ダイヤさんに求めた)
0220名無しで叶える物語(きしめん だぎゃー)
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2019/02/17(日) 00:19:22.84ID:2LvGZXX0
応援
0222名無しで叶える物語(らっかせい)
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2019/02/17(日) 10:39:41.04ID:4Qa5+Sfk
ダイヤ「一緒の布団?」

ダイヤ「………」

ダイヤ「私にできる事なら何でもって――話だったわね」バサッ

ダイヤ「少し狭いけれど、どうぞ」

花丸「お邪魔……するずら」モゾモゾ

花丸(ダイヤさんの使う一人分の布団)

花丸(ダイヤさんの温かさが、全身を包んでくれる)

花丸(あぁ……あぁ……)ギュッ

ダイヤ「花丸さん……?」

花丸(お風呂に入ったときの、心地よさ)

花丸(ダイヤさんの体を伸ばしたくなるという言葉の意味が、わかった気がする)

花丸(心が解けていくずら)

花丸(色んなしがらみなんて関係なく広がっていく)

花丸(だから、体を伸ばしたくなる……伸びていくずら)

ダイヤ「……」ギュッ

花丸「!」

ダイヤ「……わたくしの方がお姉さんですから」ナデナデ

ダイヤ「いつもできない分、甘えていいわ」
0223名無しで叶える物語(らっかせい)
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2019/02/17(日) 10:53:18.28ID:4Qa5+Sfk
花丸「一回限りのお願いに、オプション付けてもいいずらか?」

ダイヤ「ええ」

花丸「じゃぁ、このままが良いずら」

花丸(くぐもったマルの声は、抱き着いているせい)

花丸(じんわり感じる湿った感覚は、抱きしめられる温もりの産物)

花丸(温かい……優しい)

花丸(マルと一緒のシャンプーでも、ダイヤさんの良い匂いがする)

花丸(まだ寝たくないずら)

花丸(もっと話していたいずらよ……)

花丸(なのに……意識はどんどん持っていかれる)

花丸(ここにダイヤさんを連れてきた神様)

花丸(ダイヤさんに気付くのをマルにした神様)

花丸(ダイヤさんを、死なせることにした神様)

花丸(みんな……みんな、神様は理不尽ずら)

花丸「せっかくの自由ずら」

花丸「……ダイヤさん、明日、めいいっぱい楽しもう」

ダイヤ「ええ、でもお二人にも楽しんでいただけるような場所をめぐる予定だから」

ダイヤ「みなさんで、楽しみましょう」

花丸「うん……」

ダイヤ「ふふっ」

ダイヤ「無理せずに、休みましょう?」

ダイヤ「わたくしも――もう眠りますから」

ダイヤ「おやすみなさい、花丸さん」ナデナデ
0224名無しで叶える物語(きしめん だぎゃー)
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2019/02/17(日) 11:37:46.64ID:2LvGZXX0
0225名無しで叶える物語(カボス)
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2019/02/17(日) 11:38:21.14ID:ZAGl0tEA
0226名無しで叶える物語(らっかせい)
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2019/02/17(日) 11:56:59.12ID:4Qa5+Sfk
―沼津駅前―

◇朝◇


花丸「善子ちゃんはもう来てるって」

ダイヤ「駅前にいるのよね……?」

花丸「黒くて堕天使っぽければそれが善子ちゃんずら」キョロキョロ

善子「ずら丸」

花丸「今、善子ちゃんの声が……」

花丸「でも黒くて堕天使みたいな人がいないずらっ」

善子「ずーらーまーるーっ!」

花丸「ハッ……まさかもうお空にっ」

ペシッ

花丸「ずらっ」

善子「無視すんなっ!」

花丸「善子ちゃんが黒くないから悪いずら」

善子「ずら丸の中の私はどうなってんのよ」

善子「私だって普通の洋服くらい持ってるわよ」

善子「……ところで」チラッ

ダイヤ「?」

善子「めっっちゃダイヤさんじゃない!?」ビシッ

善子「ダイヤさんの変装任せろとか言ってなかった?」

善子「ダイヤさんの気品とか輝きとか一片の曇りもなくあふれ出てる!」

花丸「これでも頑張ってカジュアル? な服装にしたずら」

善子「ずら丸がそもそもお嬢様っていうか、品を損なわない洋服しか持ってないのが問題なのよ……」

善子「いや、それでいいんだけど」フルフル

花丸「言っておくけど、マルの洋服はサイズが合わないから全部お母さんの洋服ずら」

善子「添えられた大人っぽさはそれかッ」
0227名無しで叶える物語(らっかせい)
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2019/02/17(日) 12:30:36.20ID:4Qa5+Sfk
ダイヤ「出来る限り髪などは隠したのだけど――まだ、わたくしかしら?」

善子「なんというか立ち居振る舞いがもうダイヤさんなのよ」

善子「シンプルな服にすればするほど、ダイヤさんの味が出る」

花丸「立ち居振る舞いは……というのはともかく」

花丸「姿勢が綺麗だから変装しててもなんかわかるというか」

花丸「オーラがあるというのは同意するずらよ」

善子「じゃ、ギャグメガネでもつける?」

花丸「これでも遠くからなら分からないと思うし、良いんじゃないかな?」

善子「んーまぁ、Aqoursのみんなは鞠莉さんのホテルにいるし」

善子「万が一みられでもしたら全力で逃げれば何とかなるでしょ」

ダイヤ「目の前で逃げるのは後で問い詰められるわ」

ダイヤ「あくまで気づかないふりをしつつ、視界の外で全力で逃げるのが得策よ」

花丸「ダイヤさん……ちょっと楽しもうとしてるずらね」

ダイヤ「ふふっ」

ダイヤ「少しだけ、胸が躍るわ」

善子「そしたら、さっさと行きましょ」

善子「一日中鞠莉さんのところにいるとは思えないし」

善子「楽しめるうちに」ギュッ

花丸「レッツゴーずら〜」ギュッ

ダイヤ「あらあら――今日はわたくし、両手に花ね」ニコッ
0229名無しで叶える物語(らっかせい)
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2019/02/17(日) 13:19:29.94ID:4Qa5+Sfk
―沼津:深海水族館―


ダイヤ「まずはここよ」

ダイヤ「淡島マリンパークはAqoursのみなさんがいるという話ですし」

ダイヤ「それなら、深海水族館を回りましょう」

花丸「ダイヤさんって深海魚好きずらか?」

ダイヤ「好きよ」

ダイヤ「光さえ届かないような世界で」

ダイヤ「懸命に生きてきた立派な魚たち」

ダイヤ「その姿は醜いと言われることもあるけれど」

ダイヤ「わたくしは、生の過酷さを体現しているからこそのものであると、思っているの」

ダイヤ「だから、むしろ立派だと思うわ」

ダイヤ「なにより、自分たちよりもずっと小さな体でこんなにも頑張っているのだから」

ダイヤ「些細なことで挫けてなんていられないって、力をくれる気がするのよ」

善子「もしかして小さいころから来てる?」

ダイヤ「昔は今ほど強くはなかったから――ね」

ダイヤ「わたくし達だけの秘密よ?」ニコッ

善子「い、言いふらしたりなんてしないわよ……」

善子「でも」チラッ

善子「そう……勇気をくれるのね。深海魚って」ジーッ
0230名無しで叶える物語(らっかせい)
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2019/02/17(日) 13:32:45.77ID:4Qa5+Sfk
善子「ダイヤさんには悪いけど、正直馬鹿にしてたわ」

善子「ブサイクとか、可愛くないとか」

善子「でも、確かにダイヤさんの言う通りなんだと思う」

花丸「そうずらね」

花丸「深海で生きていくために進化したのが、この姿」

花丸「それを笑うのは、職人さんの傷だらけの手を笑うのと同じことずら」

ダイヤ「お二人は本当にいい子ね」ナデナデ

花丸「っ」

善子「だ、ダイヤさん?」

ダイヤ「でも、そこまで思いつめなくてもいいのよ」

ダイヤ「好きを好き、嫌いを嫌い。それは仕方のないことでしょう?」

花丸「それはそうずら」

花丸「でも」

ダイヤ「わたくしが語ったことだって、わたくしの価値観。事実は彼らにしか分からないことなのだから」ニコッ

ダイヤ「それでも、過去の考えが誤りだったと自身を責めるのなら」

ダイヤ「少し、ほんの少し」

ダイヤ「どうして? と、疑問を持つだけでいいの」

ダイヤ「それがきっと、相手の気持ちを考えるための一歩になる」

ダイヤ「花丸さんと善子さん」

ダイヤ「お二人が、大人としての考え方を出来るようになる大切な始まりになる」

ダイヤ「――気を落とすよりも、前を見ましょう」

ダイヤ「先はまだ、長いですから」
0231名無しで叶える物語(らっかせい)
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2019/02/17(日) 13:54:03.93ID:4Qa5+Sfk
花丸(ダイヤさんの諭す声は、心に沁みるずらね)

花丸(もうすぐいなくなっちゃうから……きっと)

花丸(より強く、書き留めなきゃって気持ちになるずら)

ダイヤ「花丸さん、善子さん。メンダコがいるわ」

ダイヤ「ほら、こっちよ」ギュッ

善子「わわっ、ちょっ」

花丸「善子ちゃん転ばないでね?」

善子「つ、躓いただけよ」

花丸「それが転ぶっていうずら」

花丸(ダイヤさんに手を引かれて、三人で深海水族館をめぐる)

花丸(深海魚のためのほの暗い部屋の中)

花丸(ダイヤさんとつないだ手が、光よりも頼もしく感じる)

花丸「……それなのに」ボソッ

ダイヤ「ほら見て、可愛らしいでしょうっ」

花丸(はしゃぐダイヤさんの方が可愛いずら)

善子「分かる」

花丸「人の心に答えないで欲しいずら」

善子「いや、だって……見るからにテンション高いのよ?」

善子「それにものすごくいい笑顔だし」

善子「深海魚よりダイヤさん見てる気がする」

花丸「分かるずら」

ダイヤ「お二人とも〜」フリフリ

善子「デートよね。これ、デートでしょ」タタタッ

花丸「デートずら。女三人だから嫉妬も妬みもなく純粋に楽しむデートずら」タタタッ

花丸(深海水族館が薄暗いことに、強く感謝を述べて)

花丸(手を振るダイヤさんへと、駆け寄っていく)
0233名無しで叶える物語(らっかせい)
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2019/02/17(日) 14:48:17.35ID:4Qa5+Sfk
ーーー
ーー


◇深海水族館:昼◇

花丸(深海水族館に来てから、気づけばお昼)

花丸(館内にある飲食店に立ち寄って)

花丸(テーブル席で向かい合う)

善子「なんだかんだ楽しんだわ」

花丸「メンダコが限定って言うことに驚きずら」

善子「えっとダイオウ……」

ダイヤ「グソクムシ?」

善子「そうそれ」

善子「それよりも良いキャラしてるように思うんだけど」

ダイヤ「メンダコはメンダコで人気はあるわ」

ダイヤ「ダイオウグソクムシも、シーラカンスも」

花丸「シーラカンスのぬいぐるみは」

花丸「色違いのジンベエザメに見えるずらよ」

善子「いや……それは結構違ってない?」

善子「尻尾とか尾びれとか」

花丸「それは分かってるずら」

花丸「でも、一見それっぽいずら」
0234名無しで叶える物語(らっかせい)
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2019/02/17(日) 15:13:00.57ID:4Qa5+Sfk
ダイヤ「二人が楽しんでくれてよかったわ」

花丸「意外に良いスポットだったずら」

善子「イルカショー的なものもないのにね」

善子「珍しさもあるけど」

花丸(……ダイヤさんがいたからというのもあるずら)

花丸(なんて)

花丸(善子ちゃんの視線を受けながら、つぶやかない)

ダイヤ「ここに来た時の話で察しがついているかもしれないけれど」

ダイヤ「わたくしのお気に入りスポットの一つなのよ」

ダイヤ「何となく、お二人には共有したかったの」クスッ

善子「………」グッ

善子「あ、あのさっ」ガタッ

ダイヤ「?」

善子「次は?」

善子「ダイヤさんのことだから、ここに行くことしか考えてなかったってわけじゃないんでしょ?」

花丸「そうずらっ」

花丸「一日はまだ……もうお昼だけど」

花丸「まだ時間はあるずらっ」

ダイヤ「ふふっ……ええ、まだあるわ」

ダイヤ「次は見たい映画があるの」

ダイヤ「昨日花丸さんに携帯を貸していただいた時の暇つぶしで見ていたのだけど」

ダイヤ「見てみたい映画があって」

ダイヤ「どうかしら?」
0235名無しで叶える物語(らっかせい)
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2019/02/17(日) 15:34:00.91ID:4Qa5+Sfk
花丸「行くずら」

善子「もちろん、私も行くわ」

ダイヤ「ふふ――乗り気で嬉しいわ」

ダイヤ「わたくしは、本来あまり賑やかなのは……と、思っていたけれど」

ダイヤ「案外、良いものね」

善子「だとしたら、ダイヤさんは発声上映とか行けなさそう」

花丸「発声上映ってなにずら?」

花丸「声だけの映画?」

善子「観客が声出していい映画のことよ」

善子「ほら。映画って基本的に静かに……ってなってるでしょ?」

善子「発声上映はそういうの無しで、応援と貸していい映画上映のこと」

花丸「へぇ〜知らなかったずら」

ダイヤ「そうね……わたくしには不向きかもしれないわね」

ダイヤ「でも、体験してみるのも悪くはないかしら」

ダイヤ「今日は、そういう映画ではないけれど」

善子「戻れてからでいいんじゃない?」

ダイヤ「ええ、戻れたらヨハネと行こうかしら」

善子「なんか狡いっ」

花丸「マルは? マルも一緒じゃないずら?」

ダイヤ「もちろん、花丸さんもよ」

善子「向こうの世界のヨハネめ……」

花丸「マル達だってデートしてるからおあいこずらよ〜」

善子「それはそれ、これはこれっ」
0236名無しで叶える物語(らっかせい)
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2019/02/17(日) 16:15:17.64ID:4Qa5+Sfk
善子「そうだ……何かお土産でも買って行きましょ」

善子「キーホルダーとか」

花丸「交換し合うずらか?」

ダイヤ「あら、面白そうね」

ダイヤ「自分の住んでいる地元でお土産っていうのはなんだか不思議だけれど」

善子「ダイヤさんの空間旅行土産ってことで」

花丸「そして起こるバタフライエフェクト、タイムパラドックス」

花丸「善子ちゃんの小さな発言が世界を巻き込む大事件にっ」ガタガタ

善子「怖いこといわないでよっ!」

ダイヤ「過去に戻っているわけではないから大丈夫よ」

ダイヤ「それに、お二人に出会った記念として……ね」

花丸「そしたら、マルたち二人と、ダイヤさんで交換するずら」

善子「ダイヤさんもわざわざ二つ買わなくていいからね?」

花丸「あくまで二人一組、二人で一つずら」

ダイヤ「ふふっ、それはそれで選ぶのが難しくなりそうね」

ダイヤ「でも――二人が喜びそうなものを選んで見せるわ」

花丸(大切な思い出だから)

花丸(向こうの世界に持ち込めるかは分からないけれど)

花丸(持ち込めることを願って――ダイヤさんへのプレゼントを、善子ちゃんと一緒に選ぶことにした)
0237名無しで叶える物語(プーアル茶)
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2019/02/17(日) 16:50:04.68ID:jzIV0SxI
>>230
ダイヤさんのバブみがカンストしてる
0238名無しで叶える物語(らっかせい)
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2019/02/17(日) 17:03:22.48ID:4Qa5+Sfk
花丸(同じお店の中、見られることがないようにと)

花丸(お店に入るのは片方が戻ってきてからという決まりにしたおかげで)

花丸(互いに何を選んだのかは分からない)

ダイヤ「開けて良いかしら?」

善子「こっちも開けていい?」

ガサッ
   ガサガサッ
 ピリッ

善子「これ」

ダイヤ「あら……」

花丸「だっダイヤさんっ」

ダイヤ「少し、余裕があったの」ニコッ

花丸(ダイヤさんから送られてきたのは、メンダコと、シーラカンスのキーホルダー)

花丸(メンダコはきっと善子ちゃんで)

花丸(シーラカンスはマルのためのものずら)

花丸(さっき、話してたから)

ダイヤ「キーホルダーは鞄などに付けるものでしょう?」

ダイヤ「それならやっぱり、二人それぞれに。ね」

花丸(貰ったマル達よりも、楽しそうにダイヤさんは話して)

花丸(マル達が送ったプレゼントを見つめる)

ダイヤ「お二人も、キーホルダーという話だったでしょう?」

ダイヤ「なのに――」

善子「キーホルダーじゃ、落とすかもしれないし」

善子「持っていけないかもしれない」

花丸「でも、身に着けるものなら洋服や制服と一緒に身に着けたままかもしれないから」

花丸「だから、善子ちゃんと一緒に決めたずら」

ダイヤ「付けてもいい?」

善子「ん……つけてあげる」

花丸(ダイヤさんは、マル達の送ったサメの歯のペンダントをつけると)

花丸(似合うかしら。と、少し照れくさそうに綺麗な笑顔を見せた)
0239名無しで叶える物語(庭)
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2019/02/17(日) 17:04:19.40ID:X2OZCajv
0240名無しで叶える物語(らっかせい)
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2019/02/17(日) 17:29:37.34ID:4Qa5+Sfk
―――――
―――
――

◇映画館:夕方◇


花丸(マル達は鞄に、ダイヤさんは首に)

花丸(プレゼントしあったものをつけたまま、向かった映画館)

花丸(ダイヤさんが見たいと言っていた映画は家族で見るような家族愛を感じさせる映画で)

花丸(ハッピーエンドでの結末に、良かった。と、そろって胸を撫で下ろして)

花丸「ぁ……」

花丸(映画館から出て見えた夕焼けに、心を揺さぶられる)

善子「どうしたのよ、ずら丸」

花丸「……もう、夕方ずら」

花丸(一日があっという間に終わるから、今日は言えなくても仕方ない)

花丸(そんな言い訳が、頭に浮かぶ)

花丸(でも、ダメずらよ。それは、ダメずら)

花丸(そう言い聞かせていると、善子ちゃんの手がマルの手を握る)

善子「私も、言うから」ボソッ

善子「花丸。あんたも一緒に、背負うんでしょ?」

花丸(本心を感じる震える手を握り返して、頷く)

善子「ダイヤさん」

ダイヤ「どうしたの?」

花丸「大事な話があるずら。だからこの後、一緒に行きたいところがあるずら」

ダイヤ「………」

ダイヤ「浦の星女学院は、わたくしも最期に行きたいと思っていたわ」

花丸「ぇ……」

ダイヤ「ね?」ニコッ

花丸(それは、分かっている顔だった)

花丸(初めから、そうするつもりだったと語る、儚さを感じる笑顔だった)
0241名無しで叶える物語(プーアル茶)
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2019/02/17(日) 17:30:36.98ID:MgpQo5ll
最期…
0242名無しで叶える物語(らっかせい)
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2019/02/17(日) 17:59:30.51ID:4Qa5+Sfk
善子「ダイヤさん……?」

ダイヤ「再現をした時に、ふと感じたことがあったわ」

ダイヤ「わたくしはただパラレルワールドに来ただけなのか――って」

ダイヤ「本当は、別の世界で死んでしまったからこの世界に来たのではないか」

ダイヤ「魂が完全に消滅する前に、いい夢を見せてくれているのではないかって」

ダイヤ「……半信半疑、だったけれど」

ダイヤ「再現を終えた後から、お二人はどこか無理をしているように見えて」

ダイヤ「あぁ、そういうことなのね。と……理解した」

善子「……そう。そうなのね」

ダイヤ「黒魔術に詳しいヨハネ、寺の娘である花丸さん」

ダイヤ「お二人が顔を曇らせる最悪の答えは、それ以外にない」

花丸「……だから」

花丸「だから今日、時間があるかどうか聞いてきたずらか?」

花丸「最期に思い出を作って、それで……それでいなくなろうって」

ダイヤ「騙すようで申し訳ないと思っていたわ」

ダイヤ「でも本当なら、この場にいるのは果南……いえ、果南さんの予定だったのよ」

花丸「え?」

ダイヤ「昨日、果南さんに会わせてくれたでしょう? その時にお願いしたのよ」

善子「なんで果南さんが出てくるのよ」

善子「普通、私達じゃ――」

ダイヤ「優しい貴女達には、とても辛いことだと思ったから」

ダイヤ「わたくしを送り返すということは、死なせること。それはすなわち、殺人の罪と同等にまで考えるのではないか」

ダイヤ「お二人と過ごしたこの数日、与えられた優しさから――そう、思ったの」チラッ

花丸「………っ」
0243名無しで叶える物語(らっかせい)
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2019/02/17(日) 18:22:21.34ID:4Qa5+Sfk
ダイヤ「でも果南さんは言ったわ」

ダイヤ「きっと二人は悩んでるんだよって、私が勝手に終わらせるわけにはいかないよって」

ダイヤ「悩んでる今、自分が代わると言えばそれは救いになるはず」

ダイヤ「でも、それでも自分たちがやると言った時は、私はその役目を負う気はないよ……と」クスッ

ダイヤ「拒絶され、懐柔され……結果は、わたくしの目の前に二人がいる」

ダイヤ「……ですから、わたくしも迷いません」

ダイヤ「どうか、わたくしを見送っては頂けませんか?」

ダイヤ「もしも死が事実であるなら」

ダイヤ「わたくしはあのバスに乗って、向こう側へと還っていく」

ダイヤ「そのおくりびとを、請け負ってください」

善子「……っ」

善子「元から……そのつもりよ」ギュッ

花丸「そうずらね」

花丸「マル達はその覚悟をして、ここにきてる」

花丸「行こう。ダイヤさん、善子ちゃん」

花丸「今日で全部、終わりにするずら」

花丸(善子ちゃんと手をつないだまま)

花丸(ダイヤさんと一緒に、浦の星女学院の方に向かうバスに乗り込む)

花丸(一つ一つ、バス停を通り過ぎるカウントダウンが始まる)

花丸(まるで、マル達を苦しめたがる悪魔のように)

花丸(信号の青色は……続いた)
0244名無しで叶える物語(らっかせい)
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2019/02/17(日) 18:32:36.41ID:4Qa5+Sfk
―浦の星女学院前:バス停―


ダイヤ「どちらか、観測者として残らなくてよかったの?」

花丸「そんなことしたら、お別れする時間が無くなるずら」

ダイヤ「……そう」

善子「怖くないの?」

善子「死ぬのよ……? ダイヤさん」

ダイヤ「怖くないと言えば、嘘になるわ」

ダイヤ「でも、状況から言ってわたくしの死は誰にも看取られることのなかった孤独な死」

ダイヤ「それがこうして、花丸さんやヨハネ……善子さんとともに温かな日々を過ごし」

ダイヤ「そのお二人に見送っていただけるのだから……大丈夫」ニコッ

花丸「……ダイヤさんは、やっぱり。マル達の憧れずら」

ダイヤ「ふふっ、その言葉は本当の黒澤ダイヤに聞かせてあげて」

ダイヤ「同じく黒澤ダイヤなのなら」

ダイヤ「後輩である貴女達と親しくできる事を、心から嬉しく思うはずだから」

花丸「こっちの世界のダイヤさんはアイドルが好きで、凄く、話ししやすいずらよ」

善子「そうそう、ちょっとガチすぎて困ることもあるけど」

善子「結構仲良くやってるわ」

善子「だから……心配なんていらない」

ダイヤ「あら――そうなのね」

ダイヤ「それは、安心だわ」

善子「………」

花丸「………」
0245名無しで叶える物語(らっかせい)
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2019/02/17(日) 18:41:03.84ID:4Qa5+Sfk
花丸「えっと……キーホルダー大事にするずら」

善子「そ、そう!」

善子「深海水族館、私も年パス買うかも!」

花丸「マルも買うから一緒に行くずらよ」

善子「ずら丸買えるの?」

善子「去年なら二人分で今の一人分だって知ってた? 高くない?」

花丸「そんなするずらか……」

花丸「でも、本を買うのを我慢すれば買えると思う」

花丸「ううん、買う!」

善子「それじゃ、今度一緒に買いに行きましょ」

ダイヤ「……善子さん、花丸さん」

ダイヤ「メンダコは、期間が限られている貴重な生き物だから」

ダイヤ「気に入ったのなら、展示しているかどうか調べてからにするのをお勧めするわ」

善子「シーラカンスも悪くないわ」

花丸「リュウグウノツカイも格好良かったずらっ」

ダイヤ「ふふっ気に入ってくれて嬉しいわ」

ダイヤ「その調子なら」

ダイヤ「一年間も通えば、立派な深海生物の博士になれるわね」
0246名無しで叶える物語(らっかせい)
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2019/02/17(日) 18:52:59.01ID:4Qa5+Sfk
善子「これからは堕天使ヨハネじゃなく、深海博士でいくわ」ギランッ

花丸「あははっ、それはごろが悪いずらよ」

花丸(音がする)

善子「笑うなぁっ」

善子「なんかいい名前考えておくからいいのっ!」

花丸(聞きなれた……いつもは、まだかまだかと待つ音が)

ダイヤ「深海博士を名乗るなら、ヨハネではなく津島で名乗ると博士のように感じない?」

善子「深海博士津島……? 生きる深海図鑑、津島博士?」ビシッ

花丸「ネーミングセンスないずら」

善子「……」グッ

花丸(ヨハネを捨てるほど、善子ちゃんが嫌がる音)

花丸(マル達の笑い声ではかき消せない)

花丸(本当に必要な感情の欠けた笑い声なんて)

花丸(なにも覆い隠すことなんて――できないずら)

プシューッ
      ガチャッガタンッ

善子「ぁ……」

ダイヤ「……では、善子さん。花丸さん」

ダイヤ「どうか、お元気で」

花丸「っ……」

花丸(無情にも到着したバス)

花丸(笑顔で去っていこうとするダイヤさん)

花丸(まだ言いたいことはあるのにと)

花丸(口を開きかけたマルの横を、黒い影が抜けていく)

善子「行かないでッ!」ギュッ

ダイヤ「っ」

善子「やっぱり……いかないで」
0247名無しで叶える物語(中部地方)
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2019/02/17(日) 19:00:36.94ID:zKnoK3np
いかないで…
0248名無しで叶える物語(らっかせい)
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2019/02/17(日) 19:03:39.00ID:4Qa5+Sfk
花丸「よ、善子ちゃ――」

善子「お願い聞いてもらってない!」

ダイヤ「………」

善子「私はまだ、何でものお願い……聞いてもらってない」

善子「今から3分間、動かないで」ギュッ

ダイヤ「善子さん……」

花丸(3分も経てば、バスは出る)

花丸(再現と等しい黄昏の時は過ぎて)

花丸(ダイヤさんは帰ることが出来なくなるかもしれない)

花丸(でも……)

ダイヤ「ごめんね、ヨハネ」ギュッ

善子「っ」

ダイヤ「そのお願いは、聞くことはできないわ」グイッ

善子「なんで……できるでしょ」

善子「何もしないだけ……ただ、ここで立っているだけでいいのに……っ」

ダイヤ「それに、わたくしはもう貴女の願いを一つ聞いているわ」

善子「え……」

ダイヤ「黒澤ダイヤは、堕天使ヨハネのリトルデーモンになる」

ダイヤ「……この、決して切れない契約がわたくし達にはある」スッ

花丸(マル達のあげたペンダント……)

ダイヤ「だから、ごめんなさい」

ダイヤ「そして――ありがとう」
0249名無しで叶える物語(らっかせい)
垢版 |
2019/02/17(日) 19:12:29.43ID:4Qa5+Sfk
善子「や……」

善子「ダイヤさ――」

花丸「善子ちゃんッ!」ギュッ

花丸「ダメだよ……ダメだよ、善子ちゃん」

善子「ダイヤさんが、だって……」

ピピーッ
     ガシャンッ

善子「あっ……あぁっ」

花丸「っ」ギュッ

花丸(冷酷、無情)

花丸(そうじゃない、これは当たり前であり、必然)

花丸(定刻通りにバスの出入り口は閉じて、エンジンの音が響く)

善子「うぅ……」

花丸「泣こう……一緒に」

花丸(堕天使ヨハネという自分)

花丸(それを認めてくれた、否定しなかった)

花丸(寄り添い、楽しんでくれたダイヤさんを一番失いたくなかったのは、善子ちゃんずら)

花丸(だから、満足するまで)

花丸(たとえ、帰りのバスが無くなるとしても――)

花丸「最後まで、マルが付き合ってあげるから」

花丸(一緒に背負うと決めたから)

花丸(マルは崩れ落ちた善子ちゃんを、抱きしめ続ける)
0250名無しで叶える物語(らっかせい)
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2019/02/17(日) 19:42:45.47ID:4Qa5+Sfk
―――――
―――
――

◇浦女前バス停:夜◇


善子「…………」

花丸「……善子ちゃん」

善子「……分かってる、こうするしかなかった。これが正しいって」

善子「覚悟もしてた」

善子「でも……楽しかったの!」

善子「凄く……凄く……」ギュッ

花丸「マルも楽しかったずら。幸せだったずら」

花丸「だからこそ、ダイヤさんがここに来たことを悲しませるようなことをしてたらダメずらよ」

花丸(この苦しみと悲しさが)

花丸(ダイヤさんのせいで永劫に続くなんて言うことは、ダイヤさんすらも悲しませてしまうから)

善子「……泊まる」

花丸「?」

善子「今日、花丸のとこ泊まる」

花丸「お母さんに怒られないずらか?」

善子「もう遅い」

花丸「あぁ……」

花丸(もう辺りも暗くなった時間)

花丸(お怒りの連絡が来てそうだと善子ちゃんがスマホを取り出すと、着信履歴は……0件だった)

善子「なんで」

花丸(それに驚く間もなく真っ暗な世界にまばゆい光)

花丸(目立つタクシーマークの車がバス停の前に止まった)

花丸「ずら……?」

果南「迎えに来たよ〜」バタンッ

果南「自分の運転じゃなくて、かっこはつかないかもしれないけどね」

花丸(かっこがつくつかないの問題じゃないずら……)
0252名無しで叶える物語(らっかせい)
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2019/02/17(日) 20:03:02.20ID:4Qa5+Sfk
花丸「果南さん、知ってたずらね」 

果南「ん……まぁ、ね」 

果南「……ダイヤから相談されたんだよ」 

果南「ごめんね」 

善子「……いいわよ、別に」 

善子「あれに助けられた部分も、あるから」ギュッ 

花丸「……それに、迎えにも来てくれたずら」 

果南「ここにいるだろうことは、予想できたからね」 

果南「善子ちゃんの家には、うちに泊めますって連絡入れておいたから大丈夫だよ」 

善子「あぁ、それで」 

花丸「どうする? 果南さんの家に行く?」 

善子「花丸の方にする」 

果南「えっ」 

善子「最後にもう一回だけ……あの部屋で寝たい」 

花丸(マルと、善子ちゃんとダイヤさん) 

花丸(三人で寝た部屋ずらね……) 

花丸(あそこならまだ、ダイヤさんを感じられるから) 

果南「えーっと……」 

果南「……」 

果南「私も一緒とか……許されるかな?」
0253名無しで叶える物語(らっかせい)
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2019/02/17(日) 20:11:31.70ID:4Qa5+Sfk
花丸「果南さんも?」

果南「友達と泊まるって言った手前一人で帰るとか辛いからね……」

果南「お願い花丸ちゃん」

花丸(ぱんっと手を合わせて願う果南さん)

花丸(善子ちゃんを見るとまんざらでもなさそうで、一息)

花丸「多分、平気ずらよ」

果南「良かった……ごめんね。ほんと、ごめんね」

花丸(果南さんがいたほうが、精神的には良いずら)

花丸(きっと、寂しくなるから)

花丸「そしたら、果南さん」

果南「ん?」

花丸「お札、もう必要ないから返して欲しいずら」

花丸「あれは普通のお守りと違って力の強いちゃんとした護符だから」

花丸「ちゃんと戻さないといけないずらよ」

果南「え゛」

花丸「果南さん?」

果南「戻さないと……ダメだった?」

花丸「そういってるずら」

果南「……ちゃった」

花丸「え?」

果南「ダイヤにあげちゃいました――ごめんなさい!」

花丸「ずらぁっ!?」
0254名無しで叶える物語(プーアル茶)
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2019/02/17(日) 20:17:20.65ID:nLmTnjlb
流れ変わったな
0257名無しで叶える物語(らっかせい)
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2019/02/17(日) 20:27:03.20ID:4Qa5+Sfk
花丸「ダイヤさんにあげちゃったって、どっちの?」

果南「それはもちろん、向こうの世界? の」

花丸「……う、う〜ん」

善子「何か不味いの? ずら丸」

花丸「多分、大丈夫だと思うけど……勝手に渡したりされると困るずら」

果南「ごめん、ごめんね」

花丸「別にいいずらよ」

花丸「果南さんだって、ダイヤさんのことが心配だから渡したんだと思うし」

花丸「気遣いの心なら、護符も悪さはしないはずずら」

果南「次から気を付ける」

善子「……帰りましょ、ずら丸。果南さん」

善子「タクシーの人が料金割り増しに踏み切る前に」

果南「あぁーっ!」

果南「お金はあるけどそれは困るっ」

果南「花丸ちゃん、善子ちゃん、急いで!」

花丸(ダイヤさん)

花丸(マル達はきっと、これからもうまくやっていけるずら)

花丸(ダイヤさんは、あまり好きじゃないかもしれないけど)

花丸(こっちの世界のダイヤさんも、果南さんも、鞠莉さんもみんな賑やかで、楽しいから)

花丸「……大事に、大事に」

花丸(ダイヤさんから送られたキーホルダーを大事に握りしめて)

花丸(マル達はまた……3人で、マルの家へと帰るのだった)
0258名無しで叶える物語(らっかせい)
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2019/02/17(日) 20:45:18.46ID:4Qa5+Sfk
――――――
――――
―――
――


◇沼津:???◇


ダイヤ「ん……ここは……」

ダイヤ「びょう……いん……?」

ダイヤ(規則正しい電子音と、清潔なにおい)

ダイヤ(一目もなくても病院と分かる感覚を覚えて……)

ダイヤ「痛っ!?」ビクッ

ダイヤ(まるで出待ちをしていたかのような全身の激痛に呻く)

ダイヤ(それを皮切りに、Aqoursのみなさんが一斉に動き出した)

鞠莉「っ……ダ、ダイヤ!」

ダイヤ「っ……ま……り……?」

鞠莉「良かった……目が覚めて、本当に……良かった」

ルビィ「お姉ちゃん……っお姉ちゃん……っ」

ルビィ「ルビィ……死んじゃったかと思って――うぇぇぇぇん!」

花丸「だからおらは言ったずら。きっと大丈夫って」ギュッ

花丸「よしよし」ナデナデ

ダイヤ「…………」

ダイヤ「……そう」

ダイヤ「わたくしは……生きて、いるのね……」

千歌「果南ちゃんに感謝感謝の大感謝だよ!」

千歌「バスの事故で放り出されたダイヤちゃんを海で見つけて助け出したんだから」

果南「だからそれは……まぁいいや」

果南「何はともあれ、無事で何よりだよ」
0259名無しで叶える物語(らっかせい)
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2019/02/17(日) 20:56:58.26ID:4Qa5+Sfk
善子「ふ、不幸は私だけで良いんだからっ」

梨子「あ、あのっ」

梨子「あんまり騒がしくすると迷惑に――」

鞠莉「そうよみんな! シャーラップ!」

曜「鞠ちゃん退場〜」

鞠莉「えぇっ!?」

果南「ほらほら、みんなも一旦出よう出よう」

果南「ずっと休んでないんだから」

千歌「は〜い」

千歌「ダイヤちゃん! また後で来るからね!」

花丸「おらは約束通り、少しだけ話していくずら」

果南「ん、じゃぁ先に下で待ってるね」

花丸「うん」

ダイヤ(花丸さん……いえ、マルちゃんだけを残して)

ダイヤ(みんなが病室から出ていく)

ダイヤ(マルちゃんとわたくしだけの秘密の話)

ダイヤ(きっと、そのために)
0260名無しで叶える物語(らっかせい)
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2019/02/17(日) 21:08:27.57ID:4Qa5+Sfk
花丸「ダイヤちゃん、これ見覚えある?」スッ

ダイヤ「それは……」

花丸「ダイヤちゃんの傍で見つかった護符ずら」

ダイヤ「頂いたのよ」

ダイヤ「それが、どうかしたの?」

花丸「……護符の力を強める目的なのか、偶然か」

花丸「一部に誰かの血が使われてるずら」

ダイヤ「え……?」

花丸「血を使ったことで、その人や護符を作った人のダイヤちゃんを守りたいという思いが」

花丸「きっと、人の形となって海から助け出したんだと思う」

花丸「不思議なのは、これがおらの寺で作られた護符ということ」

花丸「ダイヤちゃんに渡したことはないし、ここ数年作ってもないってお祖父ちゃんには言われたずら」

ダイヤ「…………」

花丸「……奇跡」

花丸「そういうことにしておいた方が、良さそうずらね」

花丸「おらはあんまり、好きじゃないから」ニコッ

ダイヤ「……そうね」

ダイヤ(違う)

ダイヤ(あの世界の花丸さんとは違う)

ダイヤ(でも、これがわたくしの世界)

ダイヤ(違っていても、等しく温かくそしてみんなのいるわたくしの世界)

ダイヤ(ありがとう、花丸さん、善子さん、果南さん)

ダイヤ(一度は失ったはずの命)

ダイヤ(だからこそ、これからも精いっぱい生きていこうと思う)

ダイヤ(抜けては生える……サメの歯のように力強く)
0261名無しで叶える物語(らっかせい)
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2019/02/17(日) 21:11:55.88ID:4Qa5+Sfk
これで終わり。
思っていたよりも長くなってしまった

若干冗長感あったけど、ここまで見てくれてありがとうございました
0268名無しで叶える物語(らっかせい)
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2019/02/17(日) 21:24:24.11ID:4Qa5+Sfk
念のためですが>>266は違います
0272名無しで叶える物語(アメリカ合衆国)
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2019/02/17(日) 21:42:47.58ID:vM3Cx2AK
おつ 面白かった

ルビィが一週間G'sルビィになってしまうss思い出した
0276名無しで叶える物語(やわらか銀行)
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2019/02/17(日) 22:58:48.54ID:APnd56jE
おつ
爽やかなラストで良かった
0278名無しで叶える物語(神宮)
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2019/02/17(日) 23:13:06.56ID:zVPGOE7L
おつ!
雰囲気、心理描写がとても美しくて引き込まれた!
ダイヤさん、生きて帰れてホントによかった
0285名無しで叶える物語(しまむら)
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2019/02/18(月) 02:03:18.52ID:+hRmt5xe
お札に血なんてついてたっけと思って読み返したらそういや果南ちゃん指切ってたな
悪いことが起こる予兆ぐらいに思ってたが良い方の伏線で良かった
0286名無しで叶える物語(プーアル茶)
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2019/02/18(月) 03:34:32.04ID:MPphQBVI

心理描写とキャラの描き方がすごく丁寧で、G'sダイヤがG'sダイヤしてたし、花丸がどこか悟った文学少女しててほんとによかった
おかげで話にも引き込まれたしまた書いてくれ
0287名無しで叶える物語(庭)
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2019/02/18(月) 04:21:32.82ID:1e8tQwQZ
とても良かったです。作者さんが知りたい
0289名無しで叶える物語(茸)
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2019/02/18(月) 07:42:08.08ID:DgO1aJrf
物語はこういうハッピーエンドがいいんだよ!
0295名無しで叶える物語(茸)
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2019/02/18(月) 20:02:24.61ID:+zvQj8Qg
最初ふたりはもう考えてるのにって思ってたけど
果南もそれが分かった上で>>188からの話をしてるんだって分かるとやっぱり果南も優しくてちゃんと3年生なんだなって感じる
読み返してこそのSSかもしれない
0296名無しで叶える物語(庭)
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2019/02/18(月) 20:41:53.15ID:YrEPuKnc
完結乙です
丁寧な心理描写と言葉選びのセンスが良くて凄い好きな雰囲気のお話でした
特にG'sダイヤちゃんの雰囲気がらしくて凄い良かった

この花丸の文学少女らしい語りの感じはアナル弱いダイヤさんの人かな?
あれも凄い良い雰囲気で好きだったわ
0298名無しで叶える物語(はんぺん)
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2019/02/19(火) 05:45:43.35ID:apA+JtZS
>>297
G’s果南はダイヤを助けたのを否定しているような反応をしていた
護符の力の源とその効果はどう言われていたか
つまり果南はアニメ時空に転移した後のダイヤではなく…
0300名無しで叶える物語(もんじゃ)
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2019/02/19(火) 17:07:59.05ID:GE2LYNo9
見送ったほうの花丸たちに、ダイヤは無事だったって伝えてあげたい。
0301名無しで叶える物語(茸)
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2019/02/19(火) 17:32:28.53ID:IhfzCidh
>>300
花丸が渡したお札が使われた=ダイヤが助かった、みたいに伝わればあるいは。
次元を越えて伝わった理由は最後の奇跡ってことで。
0303名無しで叶える物語(茸)
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2019/02/19(火) 18:05:11.84ID:IhfzCidh
>>302
難しいところだよね。でも自分はハッピーエンド大好き人間だから、最後は全員が笑ってるほうが好き。
映画ならスタッフロール後にワンシーン挟んでくれるぐらいで十分。
0305名無しで叶える物語(茸)
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2019/02/19(火) 18:22:37.38ID:IhfzCidh
パクりとかじゃなくて、この感覚なんか覚えがあると思ったらFFXを思い出すんだ。
0306名無しで叶える物語(茸)
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2019/02/19(火) 18:30:28.32ID:DcgIJ0yO
完結済みなんだからあげるな
でもせっかくだから>>1が見てたら過去作知りたい
ここまで反響あっても否定だけして過去作晒さないのはポリシーなのかね
0307名無しで叶える物語(茸)
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2019/02/19(火) 18:36:12.01ID:IhfzCidh
え、SSスレって完結したら書き込まないのがマナーなの?
0308名無しで叶える物語(はんぺん)
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2019/02/19(火) 18:42:20.57ID:apA+JtZS
自分はとやかく言うつもりはないがメール欄にsageと入れておくとこのスレッドが目立たず
無駄な書き込みを誘引しにくいらしい
0309名無しで叶える物語(茸)
垢版 |
2019/02/19(火) 18:50:05.49ID:IhfzCidh
>>308
ああ、2ちゃんねるの時みたいにここでもsage進行の考えってあるんだ。
0310名無しで叶える物語(はんぺん)
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2019/02/19(火) 18:54:24.31ID:apA+JtZS
2chの正統後継掲示板だし特にここは酷い埋め立て荒らしが常駐していた板だからね
人気作への嫉妬や公式作品との落差など火種も多い
0311名無しで叶える物語(茸)
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2019/02/19(火) 19:00:35.96ID:IhfzCidh
んー、考えとは分かるけどこういうスレの場合はどっちがいいんだろう?
キレイなままスレを残して流すのもありだと思うけど、今みたいにせっかくだから完結後もまだ話せる場になるのもいいとおもうんだけだなあ。
0312名無しで叶える物語(茸)
垢版 |
2019/02/19(火) 19:01:14.64ID:DcgIJ0yO
そしていつまでも落ちないからわりと荒れる原因にもなる
sageてたほうが平和に語れる
0313名無しで叶える物語(大酒)
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2019/02/19(火) 19:39:50.44ID:hSLjE3qh
まーまた書いてほしいから
sage進行でやんのはいいかと
というかこのパターン懐かしささえある
0314名無しで叶える物語(庭)
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2019/02/19(火) 20:35:29.37ID:NSd4GjYi
SSスレは基本的に作者以外はsageで書き込むのが暗黙の了解というかマナーだと思ってる
下手にageると更新だと思って見に来た人がキレて雰囲気悪くなるときあるし

このSSが良い作品だったから語りたいってのはわからんでもないけどね
0317名無しで叶える物語(茸)
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2019/02/20(水) 11:44:34.94ID:GSl178GH
水族館のダイヤの考え方とかどこで学んでるんだろう
>>230はほんとダイヤさんすげぇって思った
これは生徒会長だよ
0319名無しで叶える物語(茸)
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2019/02/20(水) 13:13:38.64ID:naf5eau9
そういうもんなのか
>>230は読み返すと死を悟ってることが分かるし
果南の描写もただ元気なわけじゃなく上級生としてしっかりしてるのが分かる
水族館での善子達の若干の気まずさや最期のバス停でのやり取りの描写とか

一筋にやってきた人だと思わないと色々気に食わないんだが…
0321名無しで叶える物語(はんぺん)
垢版 |
2019/02/20(水) 20:03:52.70ID:olRSPRS+
>>319
きちんと形にできる十分な創作経験の他に多様な読書や人間観察の経験が必要かも
アニヲタがアニメ作るようになってレベルが落ちた的なことを言う巨匠もいる
0323名無しで叶える物語(茸)
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2019/02/20(水) 22:31:52.86ID:naf5eau9
>>321
なるほどなぁ…つまり>>1は花丸ちゃんってことか
それにしてもここまで伸びてて晒さないとか奥手過ぎるでしょ…他になに書いてるか分かる人いないかな
参考にしたい
0327名無しで叶える物語(はんぺん)
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2019/02/22(金) 05:15:01.61ID:nAggR+68
>>1
>ダイヤ「人のこと言える立場ではないけれど、あまり寄り道はしないように」

>>6
>花丸(黒魔術と言えど、一概に人を不幸にするためだけに存在するのではない)
>花丸(黒魔術にも、人を幸せにするためのものは多々ある)
>花丸(しかし、その代償あるいは魔術に用いる素材が人道に反するために)
>花丸(黒魔術に属されている)

この辺も最初読んだ時とは違う意味に思えてくるね
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