志満「それじゃあ、曜ちゃん送って行くわね」
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初めては中学2年の時だった
飛び込みの記録会で全然調子が出なかった私は、千歌ちゃんに慰められても、涙をこらえるのに必死で、なにも喋れなかった
志満姉に家に送られていく車内でも、うつ向いたままで
不意に志満姉が車を止めた
家に着くにはまだ早い
顔を上げると、知らない場所。 林の中、川の音がする
私が何か言うよりも早く、志満姉の顔が近づいてきた
今まで見たこともない顔をしてた
いつの間にか、志満姉がシートベルトを外していた
運転席から、サイドブレーキとシフトレバーを窮屈そうに乗り越えて、上半身を助手席の私のところへ伸ばしてくる (*> ᴗ <*)ゞ しまさん!出るでありますっ!!ピュッピュ 「どうしたの――」
私がようやくそれだけ言うと、志満姉の顔がさらに近くなる、息が当たる
カチリ
志満姉が、私のシートベルトを外す。
そして、なぜかそのベルトをつかんで、音がしないように、ゆっくりと戻していった。
志満姉の顔は、ずっと私を見つめてる 志満姉は何も言わず、じっと私を見つめてる
微笑んでるような、いつもの優しい目を細めて、薄く口角を上げて
けれどどこか、影があるような
見たことのない顔だった
気付いた時には、その顔は目の前に迫っていた
ゆっくりと近づいて来ている
反射的に首をすくめようとしたら、さっきシートベルトを戻していた手が、私の頬に添えられていた 志満姉の顔がさらに近くなる
お互いの鼻息がかかる
私だけ呼吸が早くなっている気がする
「曜ちゃん」
不意に志満姉が喋った
その唇の動きが、空気の振動で伝わるぐらいの距離で
そして――これはきっと私の欠点だ。一つの事に気を取られると、別の事に目がいかなくなってしまう
いつのまにか、志満姉の手が、私の右手の重ねられていた もう身動きが取れない
志満姉のしようとしていることは、きっと予想がついている、でもまさか
そんな風に考える私の最後の抵抗として、ギュっと目をつむる。
柔らかくて、暖かい物が唇に当たる。
――キスしてる、志満姉と
ほっぺたにあった手が、私の首を撫でて、鎖骨まで降りてくる
志満姉の唇は、まだ離れない
志満姉の舌が、私の唇を撫でてる 志満姉の指が、私のシャツの首元をひっかけている
私は動けない
どう反応したらいいのか、どうすれば正解なのか、なんて考える余地もなかった
それができるほど頭もよくないし、経験豊富でもない
現状を理解することさえ追いつかない
きっと顔が赤くなっているから、バレたら恥ずかしいな。とか、そんなことを考えてた 続けるならよし
そうでないなら一族根絶やしにするわよ ■ このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています