花陽「日雇い8000円のネカフェ暮らし……辛いよお」
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歌舞伎町 ネットカフェ
花陽「…………」カタカタターン
ネカフェ2年目だけど質問ある?(874)
年収1千万以上なんだが(252)
深夜のラーメンテロスレ(600)
花陽「ふうー……また同じスレ巡回しちゃってるよ」
花陽「漫画は大体読んじゃったもんね、ドリンクなんて何回同じ物飲んだんだろう」
花陽「……あ、おしっこしてこよ」 ミナリンスキー「お待たせしました〜、こちらカップルジュースになりますっ♡」
絵里「へえ、結構大きいわね」
花陽「本当にストローがハートマークだよ……!」
絵里「さて飲みましょう?」チュー
花陽「う、うん」チュー
花陽(近いぃぃ///そういえば最近こんな近くで人と接した事ない……)フーフー
絵里(照れてるのかしら、鼻息がくすぐったいわ……あ、味は良いわね)
花陽(近くで見ると絵里ちゃん凄い綺麗……ていうか味分かんないよぉ)ギュッ
絵里(あら、目を閉じちゃった……やっぱり照れ屋さんね)
絵里「御馳走様」
花陽「ご、ご馳走様でした……」 ミナリンスキー「ありがとうございました♪またお越し下さいご主人様♡」
花陽「す、凄かったよね!」
絵里「ええ、花陽の可愛い顔も見れたわ」
花陽「も、もうからかわないでよ///」
絵里「照れちゃって」ウフフ 絵里「しかしジュース飲むなら牛乳はやめておくべきだったわね、お腹がタプタプだわ」
花陽「そ、そうだね……でもお風呂上りの牛乳はどうやっても外せないよぉ」
絵里「分かるわ。ふふ、やっぱり私達気が合いそうね」
花陽「じゃ、じゃあまた……」
絵里「ええ。一緒に銭湯行きましょう?」
花陽「やったあ……!」
絵里「ふふっ。じゃあ今度ね」
花陽「うん、また会おうね!」 花陽「はぁー……今日は楽しかったなあ」
「あー、ちょっとそこの君良いかな?」
花陽「は、はい?」
「カバンの中見せてくれる?」
花陽「あ、はい……」
花陽(職務質問だ……)
「うーん……特に怪しい物は無いね」
花陽「あ、あの何かあったんですか……?」
「いやー実はこの辺で違法営業があってね。警戒中なんだ」
花陽(違法営業……あ、そういえば絵里ちゃんが何か言ってた様な)
「足を止めてごめんね、じゃあ気をつけて」
花陽「は、はい……お仕事頑張って下さい」
「ありがとうね」 ネカフェ
花陽「はぁー……」カタカタ
花陽(職務質問されるなんて……花陽がネカフェ暮らしなんて知られなくて危ない所だったよ)
花陽(ううん、警察の人もお仕事でやってるんだ。外出中は気を付けなきゃ)
花陽「ふわ……ゆっくりお湯に浸かったから眠いよぉ」
花陽「あ、腰がちょっと楽になってる……今日は良い夢見れそうだね」
花陽「お休み……」
歌舞伎町地下のメイド喫茶に行ってみたよ(373) 派遣会社
「小泉さん、今日はここに行ってくれる?」
花陽「は、はい……」
花陽(力仕事だ……花陽の苦手なジャンルだなあ)
花陽(でもお金貰わなきゃ……頑張ろう!) 「では小泉さんはここにある土を運んでください」
花陽「は、はい!」
「無理をしないで下さいね」ニコッ
花陽(良かった……優しそうな人だ)
ヨロ……ヨロ……
花陽「ふう……ふう……」
花陽(思ったより重くて疲れるよ……)
「おー、頑張ってるね!」
花陽「あ、いえ……」
「この作業終わったら休憩行こうよ!」
花陽「え、もうそんな時間ですか?」
「うん、早く終わらせよう!」
花陽「はい!」
花陽(やった……!もう汗びしょびしょだよ……) 休憩所
「いやー、疲れたよー!」
花陽「は、はい……」
「あ、喉乾いてるよね。これ飲んで良いよ!」スッ
花陽「あ、ありがとうございます!」
花陽(この人も優しい……今日は良い現場引いたよ) 「そういえば名前聞いて無かったかな?」
花陽「あ、小泉花陽です」
「そっか、じゃあ花陽ちゃんだね!」
花陽(ちゃ、ちゃん!?)
「私は穂乃果!高坂穂乃果だよっ!」
花陽「穂乃果さんですか」
穂乃果「穂乃果で良いよ!」
花陽「……じゃあ……穂乃果さ……ちゃん……///」
穂乃果「へへー、花陽ちゃん可愛いね!」ナデナデ 花陽「あ、ああう……//」
穂乃果「ごめんごめん。でも花陽ちゃんって日雇いの人だよね?」
穂乃果「折角仲良くなれそうなのに今日限りなんて寂しいなー……」シュン
花陽「あ……」
穂乃果「そうだ!花陽ちゃんLINEしてるよね?交換しよっ!」
花陽「え、良いんですか?」
穂乃果「もちろん!今度飲みに行こうよ!」ニカッ
花陽「……はい!」
花陽(……本当に今日は良い日だな)ホッ 花陽「そういえば給料は担当の人から手渡しだったね……よし」コンコン
「どうぞ」
花陽「失礼します……」
「こちらにお掛け下さい」
花陽「はい」スッ
花陽(給料貰うだけなのに……何か緊張するよ) 「小泉さん、本日はどうもお疲れ様でした」ペコリ
花陽「あ……はい」
「こちらが本日分の給料です」スッ
花陽「ありがとうございます!……わっ、ちょっと多い様な……」
「ええ、貴方の働き具合を評価した分ですよ」
花陽「そ、そうなんですか?」
「本来なら日雇い分の一万円だけですが小泉さんはそれ以上に頑張ってくださいましたから」
「私としては是非正規の社員として迎え入れたい所ですね」
花陽「ほ、褒め過ぎですよ……」
「……良ければこちらを受け取って下さい」スッ 花陽「め、名刺ですか?」
園田建設社長兼代表取締役 園田海未
花陽(ひゃあ……凄い肩書……)
海未「もし仕事に困ったらこちらの名刺を使って連絡を下さい」
花陽「それって……」
海未「はい。社員として迎えますよ」ニコッ
花陽「あ、ありがとうございます!!」ガバッ
海未「ではその時が来たら一緒にお仕事しましょう。それでは」ペコッ
花陽「は、はい!失礼しました!」
ガチャ ネカフェ
花陽(ひゃあああああ〜〜〜!!)
花陽(何か社員さんになれる道が開けたよぉー!)
花陽(いつもより多くお金も貰えたし……今日は豪遊だね!)
花陽「力仕事で汗もかいちゃったし、銭湯行こう!」 花陽「ふうー……やっぱりここのスーパー銭湯は最高ですぅ」
凛「かよちーん!」ギュッ
花陽「ひゃああ!」バシャ
凛「久し振りだにゃー!」
花陽「凛ちゃんいきなりびっくりするよぉ〜」 凛「えへへ、ごめんだにゃー」
花陽「もう……でも凛ちゃんが銭湯って珍しいよね?」
凛「ふっふー、今日は凛にとって最高の日なんだにゃ」
花陽「何か嬉しい事でもあったの?」
凛「なんと……ギャンブルで10万勝っちゃったんだ!」
花陽「ええええー!?す、凄いよ凛ちゃん!」 花陽「でも、ギャンブルってこの近くだとニシキノグループが関わってるあの……」
凛「そう、裏カジノだにゃー」
花陽「やっぱり……日本で唯一のカジノ場って言われてる所だよね」
凛「実は前々から会員証を作って通ってたんだけど、そこのポーカーで大勝ちしたんだ!」
花陽「い、色んな意味で凄いね……会員証ってあるんだね」
凛「うん。ちょっとプレイ費が安くなるんだ」
花陽「詳しいね……」 凛「今度かよちんも行こうよ!もし大勝ちしたらご飯沢山食べられるよ?」
花陽「それは魅力的だけど……私はギャンブル苦手だから……」
凛「そういえば前に誘った時もノリノリじゃ無かったね、まあ仕方ないにゃ」
凛「でも一人で行くのはなあ……あ、にこちゃんでも誘おう」
花陽「あんまり危ない橋渡っちゃダメだよ?」
凛「何言ってるのかよちん!折角天下の歌舞伎町でギリギリの暮らししてるんだよ」
凛「危ない橋を渡って一発逆転を夢見るのがロマンって物だにゃ」
花陽「それは分かるよ」
花陽(社員の話しようと思ったけど……やっぱりやめておこうかな) 花陽「凛ちゃんこれからどうするの?」
凛「前から気になってた中華料理屋に行ってくるにゃー!かよちんも行く?」
花陽「花陽はここの食堂でゆっくりご飯でも食べようかな」
凛「そういえばここのスーパー銭湯食堂あったね、じゃあ今日はバイバイにゃー!」
花陽「またね」
凛「今度飲みに行こうねー!」ブンブン
花陽「うん!」 おばちゃん「はい、定食とビールお待ちー」
花陽「ありがとうございますっ」
花陽「んっ……んっ……ぷは、牛乳も良いけど湯上りのビールも最高だよぉ」
花陽「定食も美味しい〜♡」
花陽「そしてビールを……んっ……ぷはー!」
花陽「幸せぇ〜♡」 花陽「あ、そうだ……スレ立てておこう」
花陽「スマホでも掲示板でスレ立ては出来ますっ」スッスッ
花陽「食べて寝てスレ立てて……これが今の花陽の生きがいだよぉ」
モブ1「あそこのキャバ行こうぜ!」
モブ2「え、格安って聞いたけど危なくねえか……?」
モブ1「何言ってんだよ、危ない橋渡ってこそ人生だろうが」 花陽「ごくごく……ふう」
花陽(危ない橋を渡る……凛ちゃんも言ってたね)
花陽(確かに一度きりの人生なんだしちょっとは危険な事しても良いのかも)
花陽「んぅ……ねむい……」ウトウト
花陽(でも臆病者の花陽はビールで気持ちを誤魔化します)
花陽(既に日雇いのネカフェ暮らしという危ない橋を渡ってるんだもん……これ以上は心が持たないよ)
花陽(園田建設の社員……考えてみても良いよね……)
花陽「ふわ……ここ24時間だからちょっと寝ても良いよね……」
花陽「お休み……んっ……すぅー」
ポトッ
日雇いだが社員のお誘いが来た……(596) おばちゃん「ちょっと、お客さん?」トントン
花陽「ん、んん〜……?」
おばちゃん「随分寝てたけど大丈夫かい?朝の9時だけど」
花陽「9時……?……あっ!」
おばちゃん「目が覚めたね。温かいお茶いる?」
花陽「いえ!どうもすみませんでしたぁ!」
花陽(やばい、寝すぎたよ!) 花陽「はぁ〜……24時間で良かったよ……」
花陽「でも花陽以外にも割と寝てる人居たけど……まさかね」
花陽「うーん……もう9時だけどお仕事無いかな?」
花陽「お金はあるから今日一日ぐらいならなんとかなるけど……」
花陽「……やっぱり探そう、今からでもあるよね」
花陽「よーし……え、あれ?スマホは??」ゴソゴソ 花陽「慌てて飛び出してきたから置いてきちゃったかな!?」
花陽「今から戻るのは恥ずかしいな……でもしょうがないね」
おばちゃん「スマホ?あぁ携帯の事かい」
花陽「はい、緑色ですけど……」
おばちゃん「緑ねぇ。ちょっと待っててね」
花陽「はい」
おばちゃん「ごめんね、緑色のは無かったって」
花陽「あ、そうなんですか……」
おばちゃん「どうしてもって時は公衆電話ならこの近くにあるからね」
花陽「はい、ご親切にどうもありがとうございます」ペコリ ビル前
花陽「あ、あった!あれが公衆電話だね」
花陽「使った事無いから分からないなあ……えーっと」
プルルルル
花陽「やっと掛かったよ……」
「現在、9時25分です」
花陽「うん。ちゃんと使えるね」
花陽「じゃあ自分の番号に掛けてみよう」
プルルルルル…… 「もしもし」
花陽(あれ……?低い声……?)
花陽「あ、もしもし……」
「誰だ?もしかしてこの携帯の持ち主か?」
花陽「あ、はい……」
「すまない。諸事情で今は私の手に渡っているんだ」
「手間掛けるだろうが、今から言う場所に向かってくれないか」
花陽「じゃ、じゃあ返してくれるんですか……?」
「もちろんだ。お互い穏便に行こうじゃないか」 「場所はUTXビル前だ」
花陽「え!?」
「どうした?」
花陽「あ、なな……何でもないデス……」
「そうか、出来れば早く頼むぞ……では」
ツーツー
花陽「……UTXって……まさかあのアライズの……?」 花陽「……って、UTXビル前って言ってもどこにあるのか分からないよぉ!」
絵里「はぁい♡」
花陽「あ、絵里ちゃん!」
絵里「どうしたの?UTXのビル前に居るけど」
花陽「……え、もしかして」クルッ
案内板「UTXビル」
花陽「ええー!?」
絵里「?」 花陽「全然気付かなかった……」
絵里「何かあったの?このビルってVIPしか入れないって所だけど」
花陽「そうなの!?いや、実は……」
絵里「へえ……それって罠とかじゃなくて?」
花陽「怖い事言わないでよぉ……」
絵里「分かったわ、私がボディーガードするから」
花陽「心強いよ……!」
絵里「じゃあ行きましょう」 ウィーン
花陽「わあ、エレベーターがガラス張りだあ」
絵里「良い景色が眺めるわね」 絵里「へえ、やっぱりVIPしか入れないって本当ね」
花陽「え?」
絵里「見て、入口がカード認証システムなのよ」
花陽「本当だ……花陽入れません……」
絵里「任せて」ピッ
ウィーン 絵里「開いたわよ」
花陽「絵里ちゃんカード持ってたの?」
絵里「ふふ、ちょっとね」
花陽「流石警察です……!」キラキラ
絵里「さてと。あら」
ガチャン
絵里「扉が閉まったわね……オートロックの様ね」
花陽「え」 「構えろ!」
カチャ……ガチャガチャ
花陽「ひゃぁっ!!」
絵里「待って、私達は敵じゃないわ」
花陽「そ、そそそそうですっ!あの……携帯を持ってる人にここに来てと頼まれて……」
「なんだと……?わざわざそんな嘘を付きに来たのか?」
花陽「う、嘘じゃないですよぉ!」
「待て」 英玲奈「お前達やめろ、相手は素人と警察の役人様だ」
「姐さん、しかし……」
英玲奈「下がっていろ」
「……分かりました」
絵里「流石ね」
花陽(……え?) 英玲奈「さてと、まずはウチの若い者が驚かせてすまなかった」
絵里「本当よ。私の彼女が腰引けちゃって」
英玲奈「ほう……?」ニヤ
花陽「ち、違いますよ!絵里ちゃんも何勝手言ってるの!」
絵里「冗談よ」
英玲奈「ふふ、お前が言うと冗談には聞こえないぞ」
絵里「そうかしら」 花陽「あ、あの……さっきから気になってたんだけど」
花陽「2人は知り合いなの?結構仲良い様に見えるよ……」
絵里「そうね……犯罪者と警察官の腐れ縁って感じね」
英玲奈「きつい言い方だ、だが事実だな」
花陽「やっぱりそうなんだ……」
英玲奈「何、私はビジネスとして割り切っている。みだりに人命を奪う事などしない」
絵里「アライズの幹部ってだけで本来ならムショ行きなんだけど?」
英玲奈「ふふ、それもそうだな」
花陽「アライズ……」
絵里「どうしたの?」 花陽「ネットで見た事あります、アライズというマフィアグループが歌舞伎町に来ているって」
英玲奈「ほう……私達も有名になったもんだ」
絵里「ていうかこんな目立つビルをアジトにしていたら誰でも気付くわよ」
英玲奈「気付いた所で……私達を捕まえられるわけが無い。そうだろう?」
絵里「ええ、痛い程分かってるから」
花陽「絵里ちゃん……」 英玲奈「無論このビルはVIPという名の権力者達の隠れ家としても機能している」
英玲奈「仮に現場の警察達が正義感に燃えようと、上層部が良い顔をしないだろうな」
絵里「……そうね」
花陽「……」
英玲奈「おっと、話が逸れてしまった。これは返そう」
花陽「あ、花陽のスマホ!」
英玲奈「私の部下がどういう訳かスーパー銭湯で盗ってきたと言ってな」
英玲奈「遊び好きな部下を持つと困るものだ……」
花陽「は、はは……」
絵里「用事は済んだわね。じゃあ私達は帰るわよ」
英玲奈「ああ、また顔を見せてくれ」
花陽「じゃ、じゃあさようなら!」ペコリ 路上
花陽「ああー……!怖かったよぉ……!」
絵里「……ふう、危なかったわね」
花陽「あ、絵里ちゃん一緒に行ってくれてありがとう」
絵里「ええ」
花陽「……絵里ちゃん?何か顔が怖いよ……」
絵里「いつか捕まえてみせるわ……英玲奈」
花陽「……それって上層部がどうとか」
絵里「あの子はそう言うけど私は関係無い。上が文句言ってくるなら自分から辞表を叩き付けてやるわ」
花陽「何かあったの……?」
絵里「……花陽には知らなくて良いわ。じゃあね」
花陽「あっ……」 ネカフェ
花陽「絵里ちゃん……絶対英玲奈って人と何かあったよね……」カタカタ
花陽「でもあんなに怖い顔してるなら聞けないなあ……」カタカタ
花陽「……まあ良いかな、花陽が気にする事じゃないし絵里ちゃんも優しい顔に戻るよね」
花陽「……よし、スレは立てたし今日は寝よう」ターン
花陽「お休み……」
【速報】マフィアグループ『アライズ』のアジトに行ってみた【やばい】(1000) ヒデコ「はー……疲れたー」
にこ「ちょっと、今いける?」
ヒデコ「はっ。いらっしゃいませー!」
にこ「これ身分証だから」スッ
ヒデコ「どうも。ではオープンとボックスどちらにしますか?」
にこ「ボックスで頼むわ。ナイトパックの12時間ね」
ヒデコ「畏まりましたー、こちらが伝票になります」スッ
ヒデコ「お帰りの際に提示下さい。ごゆっくりどうぞ」
にこ「ありがとうね」スタスタ ヒデコ(ふう……やっぱり夜は泊まり利用が多いな)
ヒデコ(泊まりと言えば……今日もあの人来るんだろうな)
花陽「あ、ヒデコさん!」
ヒデコ「やっぱり」
花陽「へ?」
ヒデコ「いえ、今日もいつもの席で良いですよね」
花陽「はい!いつもすいません」ペコリ
ヒデコ「いえいえ、ごゆっくりどうぞー」
花陽「本当にありがとうございます」ペコペコ
ヒデコ(天使だ、天使が居る) ヒデコ(ネカフェバイトで3年目、ほぼ毎日花陽さんが来る)
ヒデコ(日雇いの人がメインのここネカフェで唯一と言って良い程の良客で)
ヒデコ(噂では花陽さんも日雇い生活者らしいけど……それであの礼儀正しさは奇跡的だよ)
ヒデコ(っと、今日もまた魑魅魍魎の夜が始まるな……気合入れていかないと)
客1「おい」 ヒデコ「はい、どうしました?」
客1「ここのネカフェは煙草吸えないのか?」
ヒデコ「すいません当店は禁煙です」
客1「ちっ、んだよ……どうせお前ら従業員も裏で煙草吸ってんだろ?」
ヒデコ「とんでもありません。とにかく禁煙ですので」
客1「ロボットかよ、もう良いよ外で吸ってくるわ」 ヒデコ「あ、すみませんお客様。外出の際は預かり金をお支払い下さい」
客1「ああ!?ちょっと煙草吸ってくるだけだろうが!」ドン
ヒデコ「っ!すいません……ですがルールですので」
客1「高々バイトがルール語ってんじゃねえよ」
ヒデコ「すいません……ですが料金は支払って下さい……」
客1「めんどくせえな……ほらよ」ボスッ
ヒデコ「ありがとうございます……」 アァンッ……イチャイチャ……チュッチュ
ヒデコ(出たー……ボックスのカップル席でイチャイチャする男女)
ヒデコ(やるならラブホでやってほしいよね……)
ヒデコ(周りの人達にも迷惑だし注意しないと)コンコン
ガタガタッ!
ヒデコ「すいませーん」
カップル男「はい!?な、なんでしょう?」
カップル女「あっ……あはは……」カァー
ヒデコ(うわ、ベタだなー) ヒデコ「あの……そういった行為は周りに迷惑を掛けるので控えて頂きますか?」
男「あ、はい……すいません」
女「えー……謝っちゃうの?」
男「しょうがないだろ、ホテル行こうよ」
女「んー。帰るね」スタスタ
男「何で!?」
女「ペコペコしてる人ってダサいしテンション下がるんだよね」
男「おい、ちょっと待ってくれよ!」ダッ
ヒデコ(あちゃー、揉めちゃった) 女「じゃあねー」
男「ちょ、おいおいおいっ!」
男「何だよもう……アンタのせいだぞ!」
ヒデコ「も、申し訳ありませんでした」
男「金は置いてくからな、片付けしとけよ」
ヒデコ「はい」
ヒデコ(もう来ないでね) ヒデコ(うわ、ティッシュ置きっぱなしだ)
ヒデコ(お金も全然足りないし……あのカップル出禁にしよ)
ヒデコ(よし、綺麗になったね)
客3「ぐがー……」
ヒデコ(あ、次の爆弾だ) ヒデコ「すいません、お客様」
客3「あ……んあ?」
ヒデコ「大きないびきを立てられるとご迷惑になるので……」
客3「ちょっとくらい良いだろ……」
客3「俺だって疲れてんだから寝かせてくれよ」
ヒデコ「疲れているのは分かりますが……」
客3「あのな、昼間は重労働で疲れてな」
客3「ここで寝なきゃ次の日仕事出来なくなるんだよ、分かる?」
ヒデコ「はい……」
ヒデコ(皆一緒だよ) 客3「アンタが起こすから眠くなくなったよ、どうしてくれんだ?」
ヒデコ「すいません……」
客3「もう良いわ。早く他行け」
ヒデコ「はい……」
ヒデコ(めんどくさ) ヒデコ「お客様、あまり多くのコップを使わないで頂けると……」
「たった10個だろ?良いじゃねえか」
ヒデコ「あ、お客様。裸で徘徊はご遠慮下さい」
「あ〜そう?ごめんねえ、お詫びに飴ちゃんあげる」カサッ
ヒデコ「お客様。漫画を汚すのはおやめ下さい」
「すいませんでした〜ぁ……ちっ、うるせぇな……」ボソッ
ヒデコ(やばい、キレそう) ヒデコ(大学生だったりおばさんだったりおっさんだったり……何でこんなに常識無いんだろう)
ヒデコ(昔からアウトロー系の漫画や映画が好きでこういう非日常の世界に飛び込んで見たくて始めたアルバイト)
ヒデコ(今となってはそんな判断をした3年前の自分を思いっきり殴りたい気分だよ)
花陽「あ、ヒデコさん」
ヒデコ「は、はい!」
花陽「あの……お握り下さい」
ヒデコ「……畏まりました!お席までお持ちしますね」
花陽「はい!ありがとうございます」ニコッ
ヒデコ(やっぱり天使だ) ヒデコ「こちらお握りになります!」スッ
花陽「わあ……いつもありがとうございます」パァッ
ヒデコ「ごゆっくりどうぞ」
カウンター
ヒデコ(うん……後少しは頑張れるね) ほぼ毎日かよちんが来るなら俺もネカフェで働きたいわ ネカフェで働くと>>149->>158みたいなカス共相手にしなきゃならないから客として行くのが良いんじゃないかな
かよちんは女神 花陽「ふわ〜……今日はお仕事いかないとね」
にこ「花陽」
花陽「ひゃあっ!どうしてにこちゃんがネカフェに?」
にこ「ちょっとね。しばらくここに居る事になるわ」
花陽「そうなんだあ……一人だと心細かったから嬉しいな」ニコッ
にこ(天使だわ)
にこ「それよりにこも日雇いしたいんだけど」
花陽「あ、じゃあ花陽と一緒の現場行こう?」 にこ「すいませ〜ん、ティッシュ要りませんか〜?」
「結構」
花陽「あ、ティッシュどうですか……?」
「ありがとう」
にこ「花陽、アンタどう?」
花陽「うん。これだけ捌けたかな」
にこ「私の方は全然受け取ってくれないんだけど」
花陽「にこちゃん頑張って♡」
にこ「何か腑に落ちないわね……」 にこ「ティッシュどうですか〜?」
「あら、ありがとう」
花陽「……あ、絵里ちゃん!」
絵里「花陽!」
にこ「え、知り合い?」
絵里「ええ。裸の付き合いをした仲だわ」
花陽「絵里ちゃん!?」
にこ「……アンタ進んでるわね」ニヤッ
花陽「ち、違うからぁ///」 花陽(でも良かった、絵里ちゃんが怖い絵里ちゃんじゃなくて)ホッ
絵里「健全な仲よ、そういう貴方は?」
にこ「飲み仲間の常連客ってとこね」
絵里「客?」
にこ「私、食堂経営してるから」
花陽「うん。そこでいつも定食食べながら飲むんだあ」
絵里「それってあの矢澤食堂?」
にこ「あ、知ってんの?」
絵里「たまに行くんだけど……覚えてないかしら」
にこ「あ……ああー!あの金髪のお客さん?」
絵里「そうよ、ボトルキープしてるあの客よ」
花陽(絵里ちゃんキープしてるの!?) にこ「それなら今度来た時サービスでもしてやりたいんだけどねえ……」
絵里「何かあったの?」
にこ「いや……また後でゆっくり話すわ」
花陽「あ、そういえばティッシュ配りしてたんだ!」
絵里「あら、悪いわね……じゃあ仕事が終わったら飲みにいきましょう?」
にこ「おっけー。予約入れておくわ」
花陽「うん!お仕事頑張って終わらせるね」 「お疲れ様でした、今日の分どうぞ」
にこ「ありがとうございます〜♪」
花陽「あ、ありがとうございます」
にこ「ふんふん……ちぇっしょっぱいわね」ピラピラ
花陽「しょうがないよぉ。明日も頑張ろう?」
にこ「そうね。じゃあ……行く?」クイッ
花陽「うん、絵里ちゃんも今終わったって」
にこ「丁度良いわね。行きましょ」
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