花陽「日雇い8000円のネカフェ暮らし……辛いよお」
■ このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています
歌舞伎町 ネットカフェ
花陽「…………」カタカタターン
ネカフェ2年目だけど質問ある?(874)
年収1千万以上なんだが(252)
深夜のラーメンテロスレ(600)
花陽「ふうー……また同じスレ巡回しちゃってるよ」
花陽「漫画は大体読んじゃったもんね、ドリンクなんて何回同じ物飲んだんだろう」
花陽「……あ、おしっこしてこよ」 花陽「じゃあにこちゃん頑張ってね!」
にこ「ちょっと見て貰うだけよ」
にこ「じゃ、行ってくるわ……いたたた」ヨロヨロ
花陽「大丈夫かなぁ……」
「今日はどんな御用でしょうか」
にこ「ちょっと怪我してるんだけど見てくれない?」
「そうですか、では失礼」スッ
にこ「いたっ!」 「これは……2、3日入院した方が良いかと」
にこ「入院!?」
「すいません、西木野先生が居ればすぐに治療できるのですが……」
にこ「その先生は今居ないの?」
「お忙しい方ですので……それに今は緊急事態で使用できるベットが無いんですよ」
「ですので少しお時間を頂ければ空き次第案内致します」
にこ「そう、ならそうさせて貰うわ」
「すいません、こちら応急処置として痛み止めと包帯です」
にこ「ああ、ありがとう……じゃあ空いたら呼んでよ」ヨロヨロ
「分かりました」 花陽「あ、にこちゃん!どうだった?」
にこ「ちょっとの間入院する事になったわ……しかも今ベット空いてないから待たなきゃダメだって」
花陽「にゅ、入院!?」
花陽「にこちゃん……」ウルウル
にこ「ちょっ!死ぬわけじゃないから大丈夫よぉ!」
花陽「よ、良かったぁ……」 待合室
「た、助けて……!」
「ごはっ!ごほっごほっ!」
「うう……」
「おい、早く担架を!」
「はい!」
にこ「それにしても、やけに人が運ばれてるわよね」
花陽「ほんとだ……ちょっとスマホでネットニュース見てみますっ」
ピッピッ
花陽「…………え?」
花陽「嘘…………」ポトッ
にこ「花陽、花陽?どうしたのよ」
にこ「……はっ!?」
”歌舞伎町某ネットカフェで火災発生。200人に及ぶ大被害に” 花陽「火災……?ネットカフェ燃えたの……」
にこ「この写真……野次馬が盗ったんでしょうね」
花陽「何で?何でこんな事になってるの!?」
にこ「落ち着きなさい花陽!」
花陽「…………もしかしてあの人達がやったのかな」
にこ「それは……そうでしょう。他にこんな事する奴居ないわ」 花陽「やっぱり私があんな書き込みしちゃったから……」ブルブル
にこ「アンタのせいじゃないって」
花陽「でもそれ以外にないよ……私が、私のせいで!!」ガタッ
にこ「待って、興奮しちゃ駄目よ!」
花陽「じゃあどうすれば……!?」
にこ「どうって……」
花陽「……もう、分かんないよ」ガクッ 花陽「分かんない、何も分かんないよ……」
花陽「何でこんな事になっちゃったの……」ポロポロ
にこ「花陽……」
ギュッ
花陽「にこちゃん……?」
にこ「アンタはいつもそう、全部自分のせいって背負い込んで」
にこ「今回ばかりはアイツらが悪いわ。アンタは匿名で書き込んだだけ」
花陽「そんな……そんな事……」
にこ「第一アンタの書き込みだって100%事実とは分からないのに、向こう側が躍起になってるだけよ」
花陽「でも……実際に沢山の人が被害に……」
にこ「……不幸中の幸いってこの事かもね」
花陽「……え?」
にこ「ネットニュースのここ。見てみなさい」スッ 花陽「怪我200人……死者は幸いにも0人……!?」
にこ「アルバイトが活躍したおかげで殆どの人が軽症で済んだってね」
花陽「す、凄い……!」
にこ「怪我人は出てるけど、むしろこの被害で済んでいるのが奇跡なぐらいよ……」
花陽「……そっか、良かった……皆生きてて」
花陽「良かった……」ポロッ
にこ(それにしても……赤の他人にここまで感情的になれるのは花陽ぐらいのもんね) 絵里「花陽、にこ!」
花陽「わあっ!」
にこ「あ、アンタ仕事は終わったの?」
絵里「いえ。ここの病院に怪我人が搬送されてるから様子見と警備に来たわ」
花陽「そうなんだ……」 絵里「しかし……酷い話よね」
絵里「今回の件はアライズの構成員達が独断で行ったのよ」
花陽「やっぱり……」
にこ「それは……花陽の?」
絵里「ええ、だけどここまで悪質かつ外道な行為を働くなんて……腐ってもマフィアって所ね」
花陽「あ、そういえば絵里ちゃん。皆生きてるって話だったけど……」
絵里「そうそう、それについてはあの子から話して貰った方が良いわね」
にこ「え、誰?」
絵里「貴方達も良く知ってる顔よ、さあいらっしゃい」
ヒデコ「あ、どうも……」ペコペコ
花陽「ヒデコさん!」 ひ 普通の髪 0
ふ ポニーテール 1
み 2つ結び 2 にこ「あ、アンタってあの……!」
ヒデコ「あ、そうっす。夜勤バイトのヒデコですどうも」ペコペコ
花陽「いつもお握り持ってきてくれてありがとうございます」ペコ
ヒデコ「こ、こちらこそいつもご利用頂き……」ペコペコ
絵里「はいはい。これ以上は話が進まないから説明してちょうだい?」
ヒデコ「分かりました……実は」 少し前のネカフェ
ゴゴォォッ!パチパチ……
ヒデコ「あ、あわわわわ……!こういう時は消火器か……?」
ヒデコ「どこだどこだ……あった!」
ヒデコ「これで……どうだっ!」
プシュウウウウウ……! プスプス……
ヒデコ「や、やった」
ヒデコ「後は……人を誘導しなきゃ!」
「うう……!」
「ごほっごほっ!!」
「た、助けてくれ……!」
ヒデコ「とりあえず、自力で歩ける方は外に出て下さい!」
「店員さん……苦しいです……!」
ヒデコ(救急車はまだなの……!?) 「おい、肩貸すぞ!」
「あ、ありがとうございます……!」
ヒデコ「お客様!」
ヒデコ(この前イビキかいてたおじさんだ……!)
「こんな時こそ助け合わないとな。他にも力のある奴は動けない奴を助けてやれ!」
『はいっ!!』
ヒデコ「……はっ、私も運ぶの手伝わないと!」 パチパチ……ボオッ
ヒデコ「っ!?また火が!」
「確か……火って再燃するって聞いた様な……!」
ヒデコ「そんな……よし、これしかない!!」
ヒデコ「そこのお客様、これを持ち上げるの手伝ってください!」
「僕ですか?任せて下さい!」
ヒデコ「よいしょっ!」
「よいしょ!」
ガッ 「でもドリンクバー補充用のタンクなんて持ち上げてどうするんですか?」
ヒデコ「火を消します!」グワッ
ザッパーン……!
シュウウゥゥゥ……
「き、消えましたね……!」
ヒデコ「はい、ご協力頂き有難う御座いました!」
ヒデコ(よし、後は消防車が来るだけだ!) ヒデコ「……そして、駆け付けた救急車と消防車。更に警察の方達に事情を説明したわけなんです」
花陽「そ、そうだったんですね……」
にこ「凄い活躍ね……」
ヒデコ「いやいや、皆が協力してくれなかったら死人が出てましたから……」
絵里「それもそうだけど貴方の勇気ある行動が良い方に転がったのよ、英雄だわ」
花陽「うん!皆の命の恩人ですっ!」
ヒデコ「恩人なんて恐れ多いです……」ペコペコ にこ「なんにせよ、世の中捨てたもんじゃないわね」
ヒデコ「はい。でもネカフェはどうなるんですかね?」
絵里「良くて長期の営業停止か、最悪取り壊しだと思うわ」
花陽「えっ……!?」
絵里「火災が原因でパソコンの殆どがダメになってるし……建物全体が崩壊寸前だもの」
絵里「何より火災の起きたネットカフェなんて縁起が悪くて客足が遠のいて、結果的に……ね」
花陽「や、やっぱりそうなるんだね……」シュン ヒデコ「いやー、自分も今後どこでバイトすれば……」
にこ「定職見つけないと苦労するわよー」
ヒデコ(日雇いするしか無さそうだな……)
花陽「じゃ、じゃあ花陽とにこちゃんはこれから先どこに泊まれば良いんだろう……?」
絵里「他のネットカフェは?」
花陽「うーん……でもそれだと変わらない様な気がして」
絵里「そうね……」 プルルル
にこ「はい……え、ベットが空いた?分かったわ!」
絵里「どうしたの?」
花陽「あ、にこちゃんは2,3日入院するんだ」
絵里「その怪我じゃ仕方ないわね……すぐ行ってきなさい」
にこ「悪いわね。あ、花陽!」
花陽「えっ?」
にこ「私の事は気にしなくて良いから、これからの生活をしっかり考えなさいよ?」
花陽「にこちゃん……うん!」コクッ
にこ「じゃ、行ってくるわ……いたた」
絵里「気をつけなさいよー!」
にこ「分かってるわよ…………いたっ!」ヨロヨロ
花陽(にこちゃん大丈夫かな……?) おつおつ
イビキかいてたおじさんは仕事中は有能マンなのかな? 絵里「さて、貴方は今回の件で重要な証言者として警察側で保護させて貰うわ」
ヒデコ「マジっすか、お手柔らかにお願いします……」
絵里「悪い様にはしないわ。少しの間だけ事務所に居るだけだからね」
ヒデコ「分かりました」コクリ
絵里「で、私はこの子連れて行くけど……花陽はこれからどうするの?」
花陽「私は……」
花陽「少し外に出て考え事したいな」
絵里「そう……身の安全に気をつけてね」
花陽「うん」 歌舞伎町 元ネットカフェ前
ガヤガヤ パシャッ
「危ないので下がってください!」
花陽(わあ……)
花陽(火は消えてるけど、もうネカフェとして機能はしなさそうだね……)
花陽(2年ぐらいお世話になったけど……なんだろうあんまり名残惜しさは無いな……)
花陽「やっぱり心のどこかでアパート暮らしした方が良いって思ってるからだよね……」
「アパート?」
花陽「うん、花陽はネットカフェ暮らしだったから……えっ?誰?」
「私ですよ」 花陽「あ、園田さん!」
海未「騒ぎになっていたので何かと思えば……小泉さんもこのネカフェに暮らしていたのですね」
花陽「さんもって事は園田さんも……?」
海未「いえ、穂乃果の事です」
花陽「穂乃果ちゃ……高坂さんが!?」 海未「穂乃果で良いですよ。ええ、少し前まで」
花陽「そ、そうだったんですね……」
海未「穂乃果が小泉さんの事を気に入っていた様ですが、同じ境遇を察したのでしょうね」
花陽「あ、あはは……お恥ずかしい限りで」
海未「そんな事はありません。真面目に仕事に取組んでいるのならネカフェ暮らしでも立派だと思います」
花陽「園田さん……」 海未「しかし小泉さん、これからどこを宿にするつもりですか?」
花陽「あ、それは……」
海未「またネカフェ暮らしでしょうか、ですが再びこの様な惨劇が起きては危険ですよ」
花陽「そうなんです、どこか安くて良い所があれば……」
海未「そうですね……では私と来て下さいませんか?」スッ
花陽「え、それって……」
海未「社員の話、受けて下さるなら今すぐにでも宿を手配いたします」
花陽「ほ、本当ですか!?」
海未「勿論強制はしません、小泉さんのお好きな様に選択して下さい」ニコッ 花陽「す、少し考えさせて下さい」
海未「どうぞ」
花陽(社員か……本当はすぐにでも受けたかったけど)
花陽(私はドジだから園田さん達に迷惑掛けちゃうと思って、今まで避けてたんだよね……)
花陽(でもこのままネカフェ暮らし続けても体を壊しちゃうだけだから……よし、受けてみよう!)
花陽「園田建設に入社させて頂きます!よろしくお願いします!」ペコッ
海未「良い返事を有難う御座います、こちらこそ宜しく御願い致します」ペコッ
花陽「じゃあ早速……」
海未「ええ、これから忙しくなりますよ」
海未「まずは諸々の手続き、準備をしていきましょう」
花陽「はいっ!」 穂乃果「……へえ!じゃあ花陽ちゃん今日から一緒にお仕事するんだね!」
花陽「穂乃果ちゃん、改めてよろしくお願いします!」
穂乃果「よろしくー!じゃ、握手しよっ」スッ
花陽「は、はい!」ギュッ
穂乃果「うーん、やっぱり花陽ちゃんって落ち着くー」ギュー
花陽「ひやああああ……///」 ガチャ
海未「穂乃果、あまり新入社員を困らせない様に」
穂乃果「はあーい。ごめんなさい海未ちゃん」
海未「仕事の時は社長と呼びなさい!」
穂乃果「ひえーん、怖いよー!」
花陽「あ、あはは……」 海未「小泉さんおはよううございます。寮の内装など不満はありませんか?」
花陽「いえいえ!むしろあんなに綺麗で立派な部屋に住めるって考えたら嬉しいです……」
穂乃果「へへー、あの寮は海未ちゃんが作ったんだよね!」
花陽「ええ!?す、凄い……」
海未「とんでもない。社長として当然の事をしたまでです」
海未「穂乃果はもちろん、小泉さんも綺麗に使って下さいね」
花陽「分かりました!」
穂乃果「はーい」 海未「では本日の仕事はガラスの張替えです」
穂乃果「おー、楽そうで良かった」
海未「穂乃果?」
穂乃果「い、いやー!今日も仕事頑張るぞー!」
花陽「ガラスの張替えですか?」
海未「ええ、これも建設業の一つですよ」
穂乃果「うんうん。お家建てたりするだけじゃなくて色々種類があるんだよねー」
花陽「成る程……」メモメモ 「あ、工事の人?」
海未「ええ。本日はご依頼ありがとうございます」
「ちょっとねーあそこの窓見てくれるかな」
穂乃果「わあ、割れちゃってる」
花陽「原因は……?」
「多分誰かのイタズラか、喧嘩しててぶつかったか……」
海未「最近は特に物騒ですからね」
「まあ取り替えてくれ。俺は仕込みしてくるから」
海未「はい。終わり次第呼びますので」
「頼むよー」 海未「では早速取り替え作業に取り掛かりますよ」シュルッ
花陽「は、はいっ!」
穂乃果「あ、花陽ちゃん手袋した方が良いよ?ガラスで手を切っちゃうから」シュルッ
花陽「成る程……分かりました!」シュルッ
海未「ふふ、何度も切った穂乃果が言うと説得力ありますね」
花陽「ええ!?」
穂乃果「もーっ!海未ちゃん言わなくて良いよー!」 穂乃果「じゃあ取り替えるよー、そっち持って!」
花陽「はい!」
ほのぱな『よいしょ、よいしょ……』
穂乃果「じゃあ新品を付けるよー」
花陽「分かりました!」
穂乃果「サッシにしっかり嵌る様にね」
花陽「はい!」
スッ キュッキュッ 海未「ふう、終わりましたね」
穂乃果「うん!」
花陽「やった……出来た!」
海未「お二人ともお疲れ様でした」
「おっ、綺麗になってる。お疲れさま」
海未「見積もりはこちらになっています」
「分かったよ。払っておくから」
海未「またご利用下さい……それでは失礼します」ペコッ 事務所
海未「穂乃果、小泉さん。今日はお疲れ様です」
穂乃果「いやー、1件だけだったけど疲れたよー」
花陽「緊張しました……花陽、ちゃんとやれてたかな……」
海未「もちろんです、これからも精進して下さいね」
花陽「分かりました、よろしくお願いします!」 穂乃果「よーし、じゃあ仕事終わったし今日は飲みに行こう!」
花陽「え、良いの?」
穂乃果「うん!先輩である穂乃果が奢ってあげようー」
海未「明日もあるのですから量は飲まない様に」
穂乃果「分かってるよー!じゃあ行こう花陽ちゃん!」タッタッタ
花陽「は、はいい!」タタタ かよちんがネカフェ暮らしじゃ無くなってしまった・・・
いや、その方が良いんだけどなんか・・・ね ■ このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています