小林「異世界召喚?」
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小林「あれ、ここどこ?」
小林「森の中?なんで?」
小林「おっかしいなー、散歩してたはずなのに」
小林「東京にこんなとこあったっけ」
小林「スマホで位置確認しよっと」
小林「……でない」
小林「もしかして、迷子?」
小林「ヨハちゃんと同じで不幸な目にあってるんだ!」
小林「いやー、困っちゃうなー」 ガサガサ
小林「ん?何?」
揺れた草むらの方へと小林が視線を向けると、見慣れない生き物が姿を見せる。
粗末な木の板と錆び付いた剣を握った、醜悪な小鬼。
小林を見つけると、ギィギィ、と汚らしい声を上げる。
小林「うわー、なにあれ」
小林「あんな生き物いたかなー」
小林「あ、分かった!これ映画のロケだ!」
小林「おーい!こんにちはー!」 無論、これは映画の撮影などではない。
無警戒に手を振っている小林は小鬼……この世界では『ゴブリン』と評されるモンスターの格好の餌でしかないのだ。
ゴブリン「ギギィ!」
小林「え、なに?」
ボロボロの剣を振り上げて小走りに駆けてくるゴブリンを見て、流石の小林も少しだけ焦りを覚える。
恐怖に駆られ駆け出した小林を、ゴブリンは夢中になって追いかける。
小林は知らないが、ゴブリンと呼ばれる生き物にはメスがおらず、他種族のメスを苗床にして繁殖させるのだ。
つまり、今は小林が思っているよりも遥かに危険な状態なのである。 小林「うわっ!?」
必死に走っていたせいで足元の小石に躓き、小林は地面へと倒れ込んだ。
普段であれば『リトルデーモンだから仕方ないよねー』と喜ぶところではあるが、命の危険を感じている今では喜ぶことができない。
小林「ひっ!」
慌てて起き上がろうとするが、目の前にはもうゴブリンが迫っており、間に合わないことが明白である。
小林「ま、まって!やめっ!」
振りかぶらた剣から身を守るように、右手を前へと突き出す。
本来であればそれは無意味な行為。
だが、今回は結果が違った。
突き出した右手からは、漆黒の剣が飛び出し、ゴブリンの胸を貫いていた。 ゴブリン「ギィ……」
苦しそうな悲鳴と共に血肉を飛び散らせ、ゴブリンは肉塊へと変わる。
小林「嘘……なにこれ……」
無意識に作り出した『剣』。それが目の前の化け物を殺した。
小林「私がやったの?」
醜い生き物とはいえ、人型の生き物である。
常人であれば、罪悪感に晒されることであるだろう。
ましてや小林は争いの無い世界にいたこともあり、生き物を自分で殺したという現実が重くのし掛かるはずである。
小林「凄い、なにこの剣!ヨハちゃんみたい!やっと私も本物のリトルデーモンになれたのね!」
しかし小林は常人ではなく、ただのアホであった。 小林「それにしても、本当にここ何処なんだろう」
小林「ヨハちゃんがいればいろいろ教えてくれるのになー」
善子『呼んだわね、小林』
小林「ヨハちゃん!ヨハちゃんも一緒に迷子になってたんだね!」
善子『迷子じゃないわよ』
善子『私たちは異世界召喚されたのよ』
小林「異世界召喚?」
善子『ええ。ここは私たちのいた世界じゃない』
善子『異世界よ』 小林「へー、そうなんだ」
善子『それより、私たちはこれからこの世界で生きていかなくちゃいけないわ』
善子『まずは街に行くわよ』
小林「どっちに行けばいいの?」
善子『北よ。それより、ゴブリンの耳を切り落として持っていきなさい』
小林「なんで?」
善子『こういうのは定番なのよ』
善子『討伐した証拠をギルドに持って行ってお金を貰うの』
小林「うん、分かった!」 〜ギルド〜
小林「こ、こんにちは〜」
小林(怖い人がいっぱいいる……)
善子『カウンターに行くのよ、小林』
小林「うん」
小林「あのー、すいません」
受付嬢「はい、どうしました?」
小林「えーと、ギルドに登録したいんですけど」
受付嬢「分かりました。こちらに必要事項を記入してください」
小林「はーい」
小林「えーと……名前は『小林愛香』で、職業は『リトルデーモン』っと」
受付嬢「…………」
小林「好きな物は『ヨハちゃん』でー」
受付嬢「そんな項目はありませんので結構です」 小林「結構簡単になれたねー」
小林「ヨハちゃんはギルドに登録しなくて良かったの?」
善子『私はいいわよ。小林が活躍してるのを見てるわ』
小林「ヨハちゃんに見られてるんなら頑張らないとね!」
小林「今日はもう宿に泊まっちゃおうか」
小林「あそこでいいよね?」
善子『何処でもいいわよ』
小林「すいませーん、泊まりたいんですけど」
店主「はいよ。一泊でいいかい?」
小林「はい。部屋は同じでお願いします」
店主「は?」 店主「連れの人がいるのか?」
小林「いるよー」
店主「どこに?」
小林「え、ここに」
店主「???」
小林「???」
店主「あー……」
店主「分かった。一部屋な。うん」
店主「ほれ、鍵だ」
小林「はーい」
店主「その、なんだ、辛いことばっかりかもしれないけど頑張ってくれよ」
小林「?ありがとうございます?」 小林「なんかおかしな人だったねー」
善子『そうね。まあ別にいいじゃない』
善子『それよりも、明日からのことを考えないと』
小林「何しよう?」
善子『そうね、まずはギルドで依頼をこなしつつ、情報を集めましょう』
小林「はーい」
小林「そうだ、ベッド一つしかないけど大丈夫?」
善子『いつも通りじゃない。寝相で蹴飛ばさないでよ』
小林「いやいや寝相はいい方だって」
善子『はいはい、分かってるわよ』
小林「ヨハちゃーん、大好きだよー」
善子『知ってるわ』 〜数日後〜
小林「ヨハちゃん!今日はこの依頼受けよっか!」
善子『そうね。小林は強いからちょっと難しめのやつでも大丈夫よ』
善子『立派なリトルデーモンになれたみたいね』
小林「うんうん、ヨハちゃんのお陰だよ」
小林「なんだっけ、なんとかズリーとかいうモンスターも倒せたもんね」
善子『グリズリーよ。Dランクのモンスターね』
善子『あれを簡単に倒せるってことは、割と強いってことよ』
小林「へー、そうなんだ」 〜湿地〜
小林「ヨハちゃん!行くよ!」
善子『ええ、リトルデーモンの力、見せてあげなさい!』
小林がの視線の先にいるのは、人型をした緑色の蜥蜴、いや、竜と言い換えた方がいいのだろうか。
緑色の鱗に覆われた皮膚を持ち、三俣の槍を侵入者である小林へと構えているその生き物は、リザードマンと呼ばれている。
一匹一匹はDランクと評されているが、群れとなれば危険度は一気に跳ね上がる。
ましてや、ここはリザードマンの巣。数は軽くみても50はくだらないだろう。 だが、その数を見ても小林に恐れはない。
なぜなら、どれだけリザードマンがいたところで脅威ではないと分かっているからだ。
小林「闇へと還りなさい、【煉獄の焔】!」
翳した右手から闇の焔が迸り、巣全体を包み込んだ。
それは一言で言うなら『虐殺』だろう。
闇に飲み込まれたリザードマンは一瞬のうちに灼け爛れ、その命を削り取られる。
水の中へと逃げ込んでも結果は変わらない。水の中でも燃え盛る煉獄の業火は、一匹残らず全てのリザードマンを燃やし尽くした。
小林「よーし、今日も依頼達成できたね!」
善子『流石小林ね。これならギルドのランクもすぐに上がりそうよ』 待って、今気づいた、異世界に来る前から当たり前のようにヨハちゃんと過ごしてないか?
と思ったけど、小林ならそれが普通か >>31
黒澤ダイヤは死ね・くたばれ・消えろ・失せろ・潰れろ・盲滅法・バカ・アホ・間抜け・ドジ・かさっかき・ポンコツ・トンチキ・ガラクタ・クズ・ゴミ・カス。
最低以下・下等種族・隠坊・妾・劣等種・合いの子・アメ公・下衆野郎・腐れ外道・邪道・外道・非道・ウジ虫・害虫・ガン細胞・非人。
ウィルス・ばい菌・疫病神・病原体・汚染源・公害・ダイオキシン・有毒物質・当て馬・人非人・廃棄物・発ガン物質・有害物質・猛毒・土人。
毒物・アメーバ・ダニ・ゴキブリ・シラミ・穢多・毛唐・ノミ・毛虫・電波・蚊・ボウフラ・芋虫・チャンコロ・掃き溜め・うんこ・汚物・ゲロ・DQN。
糞虫野郎・ほら吹き・基地外・ポコペン・うんつく・三太郎・穀潰し・ろくでなし・ごろつき・部落民・落ちこぼれ・ヤクザ者・社会の敵・犯罪者。
鈍太郎・前科者・インチキ・エロ・痴漢・ゴミ・下女・阿婆擦れ・下男・跛・シデムシ・ゴミ虫・毒虫・便所コオロギ・詐欺師・ペテン師・道化師。
ジプシー・狂人・自閉症児・危険分子・南鮮人・北鮮人・三国人・痴呆・白痴・役立たず・魔物・妖怪・娼婦・悪霊・怨霊・死神・貧乏神・畜生。
奇天烈・奇人・変人・毒ガス・やだ、母乳が止まらない…・クソブタ・四つ足・鬼っ子・腰折れ・イペリット・屠殺人・ナオン・淫売・エスキモー。
鬼畜・悪鬼・馬鹿・莫迦・膿・馬鹿に付ける薬はない・上方の贅六・戯け者・愚者・耳廃・愚鈍・魯鈍・頓馬・唐変木・阿呆・阿房・道楽息子。
雌犬・邪気・邪鬼・未開人・ペイ中・AIDS・パンパン・躄・阿呆に付ける薬なし・阿呆の足下使い・阿呆の三杯汁・痴人・大痴・間抜け・醜男。
皮被り・伊勢乞食・のろ作・凡暗・木偶の坊・無才・菲才・不才・鈍才・不器量・能無し・腕無し・色盲・こけ・盲・跛・聾・唖・片目・放蕩息子。
片端・パン助・半島人・苦力・落人部落民・カッペ・売女・片手落ち・狂女・愚・オールドミス・ストーカー・クレイジー・ファッキン・サノバビッチ。
ガッデム・シット・ボロ・ジュー・ダッチマン・チビ・バカチョン・ボッコ・小便・便所の落書き・不要物・障害物・邪魔者・情婦・不可触民・傴僂。
除け者・異端者・アウトサイダー・土左衛門・腐乱・腐臭・キ印・落伍者・犯人・厄介者・心障者・スケ・三助・ならず者・チンカス・垢・黒ん坊。
フケ・化膿菌・放射能・放射線・与太郎・異端者・支那人・ブス・妄想・沖仲仕・邪宗・異教徒・恥垢・陰毛・白ブタ・ケダモノ・ボッコ・開き盲。
キムチ・駝背・知恵遅れ・ブルシット・亀背・ろくでなし・めっかち・情夫・日共・愚劣・乞食・浮浪者・ルンペン・腐ったミカン・ジュー・脳タリン。
物乞い・放射性廃棄物・余命1年・無能力・悪魔・割れたコップ・精神年齢7歳・徳利児・不良品・規格外・欠陥品・埃・掃き溜め・ブタ野郎。
吹き溜まり・塵埃・居直り・太太しい・狂信者・誇大妄想狂・腐れ根性・盗人・盗賊・残忍・残酷・冷酷・非情・薄情者・ガキ・クソガキ・不良。
妄信・大馬鹿者・下賎・ニート・他人の悪口は山ほどほざくが反省は一切しないガキ根性野郎・狭量・ボケ・腐って歪んだプライドの持ち主。
ボケナス・アホンダラ・HIV感染者・たわけ者・怠け者・脳軟化症患者・単細胞腐敗物・下劣・下等生物・マッドサイエンティスト・ストーカー。
人格障害・守銭奴・唖黙る・見栄っ張り・ええ格好しい・ロンパリ・粗製濫造品・偽物・いかれぽんち・浮浪者・狼藉者・アスペルガー症候群。
極道息子・不良品・カビ・乞食・大虐殺者・たらこ唇・藪にらみ・引きこもり・ポルポト派らと同類・消防・ぬけ作・厨房・工房・宇宙人・痴愚。
殺人鬼・肥満・近所迷惑・馬耳東風・馬脚をあらわす・露助・淫婦・短小包茎・仮性包茎・無知無能・低能・エロゲヲタク・親のすねかじり・癩。
糞・蠅・厨二病・邪気眼を持つ者・気違い・キチガイ・足萎え・ぬるぽ基地外・嫌われ者・奴隷・かったい・論理的思考能力の欠如している池沼 この世界のモンスターは危険度によってランク分けされている。
下はFから上はSSランクまで。
一般人から見ればFランクでも脅威であり、Dランクモンスターをこれだけ一方的に虐殺できる小林の強さは相当なものだろう。
善子『何か来るわよ、小林!』
小林「ほえ?」
小林が間の抜けた声を出すと、突如地面を抉り取るような轟音が響く。
巻き上げられた砂塵の先にいたのは、巨大な体躯にビッシリと黒い鱗を生やした巨大な生き物。
本物のドラゴンであった。 小林「ドラゴン!ヨハちゃん、本物のドラゴンだよ!」
漫画やアニメの中でしか見たことがない伝説の生き物が目の前におり、小林は興奮を隠すことができない。
ましてや、善子もドラゴンが好きだった記憶があり、小林の頭の中には危機感よりもドラゴンを間近で見れたという喜びが優っていた。
善子『そんなこと言ってる場合じゃないわよ!逃げなさい!』
小林「なんで?」
小林はこの世界に疎く、モンスターの強さにイマイチピンと来ていない。
ドラゴンだから強い、という意識はあるが、今までの戦いのせいでモンスターを脅威と感じることがないのだ。
善子『ドラゴンだから強いに決まってるでしょ!』
小林「大丈夫だって。【堕天使の息吹】!」 禍々しく黒ずんだ冷気が大気を走り、あらゆる物を凍り付くしていく。
小林は今回もこれで勝てると勝利を確信しており、目の前のドラゴンがSランクに分類されるものだとは知らなかったのだ。
ドラゴン「ゴァァァァァァァァッッッ!」
空気を切り裂くような咆哮と共に、口から炎のブレスが吐き出され、凍り付いた大地が灼熱へと包まれる。
小林の冷気はそのブレスと相殺され、後には無傷のままのドラゴンがその場にいた。
小林「え、嘘」
善子『逃げるのよ、小林。まだあいつと戦う時じゃないわ』 小林「いやいやいや!なんで!?リトルデーモンパワーが効いてない!?」
善子『いいから早く逃げなさい!』
小林「ていうかなんでドラゴンがここにいるの!?普通そういう強いのは最後の方でしょ!?」
善子『ここはゲームじゃないのよ。いい加減目を覚ましなさい』
小林「助けてヨハちゃん!」
善子『小林ならなんとかできるわ』
小林「本当!?」
善子『……うん。本当よ。多分』
小林「じゃあこいつを退治……きゃっ!?」 振り向こうとした一瞬の隙に、巨大な手で振り払われ小林は地面を転がる。
常人であれば体が潰されるはずではあるが、小林はかすり傷で済んでいた。
小林「いったぁ……」
ドズン、と重量感のある音が目の前でし、そちらへと目を向けると、大きな口を開けてゆっくりと小林へと近付いてくるドラゴンの姿があった。
小林「え、いや、まって、私美味しくないよ!?お腹壊しちゃうよ!?」
だが、ドラゴンにそんな言葉が通じるはずもなく、鋭利な歯を見せながら、その口を小林へと近づける。
小林「ひぃぃぃっ!」
思わず小林が目を覆うと、ズチャリと大きな音を立て、ドラゴンの体が真っ二つへと引き裂かれた。 「大丈夫?」
小林「ありがとうござい……え!?」
「え、あいきゃん!?」
小林「しゅかー!」
朱夏「えー、びっくり。まさかここであいきゃんに会うなんて」
小林「私もびっくりだよ。しゅかもこっちに来てたんだね」
朱夏「うん、まあね」
小林「曜ちゃんは一緒に来てないの?」
朱夏「……うん。曜ちゃんは家でお留守番だから」
小林「そっかー、それなら仕方ないね」 小林「そうだ、助けてくれてありがとう!」
小林「朱夏って強いんだね」
朱夏「うーん、そうなのかな?」
朱夏「よくわかんないんだよねー、こういうゲームみたいなの」
小林「朱夏は今何してるの?」
朱夏「なんか、ギルドってのに入ってるよ」
小林「おおー、同じだね」
小林「私もヨハちゃんに勧められてギルドに入ったの」
善子『小林。しゅかも同じ境遇みたいだし、情報交換するわよ」
善子『ご飯に誘いなさい』
小林「ねえねえ、ヨハちゃんがご飯一緒に食べようって」
朱夏「いいよー」 ほう、他メンバーもこっちに来てるのか
さらにわくわくしてきた 小林「しゅかはいつこっちに来たの?」
朱夏「数日前だよー」
朱夏「あんじゅと出かけてたらいきなり知らない街にいたの」
朱夏「もー、びっくりしちゃったよー」
小林「あんちゃんもこっちに来てるの?」
朱夏「分かんない」
朱夏「多分来てるんじゃない?あいきゃんもいるし」
小林「確かに……これならみんな来てるって考えた方が自然よね」 小林「しゅかは今一人なの?」
朱夏「そうだよー」
朱夏「仲間になりたいって人はいたけど、断っちゃった」
小林「そうなんだ」
朱夏「これからどうしようねー」
小林「うーん、ヨハちゃんはどう思う?」
善子『そうね。まずはこの世界の情報を集めるべきよ』
善子『今何処の国にいるのか、危険はないか、そういったことを調べるの』
善子『それと、こっちに来ているAqoursのみんなを集めましょう』
小林「だってさ、しゅか」
朱夏「……ごめん、ちゃんと聞いてなかったから、あいきゃんから説明してもらってもいい?」
小林「もー、ちゃんとヨハちゃんの話も聞いてあげないとだめだよ!」
小林「情報収集しながら他のみんなを探すの!」 朱夏「おおー、いいね!」
朱夏「あいきゃん天才じゃんー!」
小林「思い付いたのはヨハちゃんだよ?」
朱夏「あー、そうだった」
朱夏「じゃあ明日からだねー、今日は疲れたから宿に行って寝よう」
小林「そうだね。しゅかとお泊りなんていういつ以来だろう」
朱夏「うーん、あんまりないよねー」
朱夏「最近はあんまり家で飲んだりもしなかったし」
小林「ヨハちゃんがお酒飲めないからね」 朱夏「おおー、ベッドが二つある」
朱夏「これなら一部屋で良さそうだね」
小林「私はヨハちゃんと寝るから二つで大丈夫だもんね」
朱夏「……明日は何処に行くの?」
小林「えーと、ギルドに行って、いろいろ聞けって」
小林「ヨハちゃんが」
朱夏「あー、なるほど」
朱夏「よーし、じゃあおやすみー」
小林「おやすみー」 〜翌日・ギルド〜
受付嬢「ここの地域について知りたい?」
朱夏「そうなんですー、私たち遠くから来たから全然ここのあたりのこと知らなくって」
受付嬢「そうですか。ではこちらへお掛けください」
朱夏「はーい」
受付嬢「ここは大陸の西部に位置する国です」
受付嬢「北部と違って年中争いもしていませんし、国同士の戦争あまりありません」
小林「え、年中戦ってるところがあるの?」
受付嬢「北部には魔界の境界もありますし、魔族との争いが絶えませんよ」
小林「魔界?魔族?」
善子『心が躍る単語ね』 朱夏「いろいろ教えてくれてありがとうねー」
受付嬢「いえいえ」
朱夏「そうだ、最近ギルドに入った人で、物凄く強いって噂の人はいない?」
受付嬢「そうですね……記憶にはいません」
小林「いきなりどうしたの?」
朱夏「もし誰かがギルドに入ってたら、そういう情報が出てくるのかなって思って」
朱夏「やっぱり自分で探すしかないかー」
小林「そうね。三人で頑張りましょう」
受付嬢「あの、私を数に入れないでいただけますか?」
小林「え、入ってないけど?」
受付嬢「???」
小林「???」
朱夏「よし、あいきゃん行くよ!ありがとうございました!」 小林「もー、急にどうしたのよ」
朱夏「いや、うん。まあ急ごうかなって」
小林「ま、いいけど」
朱夏「この街にいても意味なさそうだし、みんなを探しにいこうか」
小林「そうね。どっちの方に行く?」
朱夏「うーん、南の方にしよう」
朱夏「北は危ないって行ってたし」
小林「了解。じゃあいろいろ準備しましょう」
朱夏「そうだね。長い旅になりそうだもんね」
小林「ちょっと楽しみかも」
朱夏「凄いわかるー」 街を出発した二人は、西を目指して進んでいた。
道の整備は進んでいるものの、魔物による被害が完全に抑えられているわけではないため、二人は何度も戦闘することとなった。
朱夏「結構多いねー、魔物」
背後から襲いかかる魔物に一瞥もせず、軽く手を振った風圧で魔物を葬っている。
さっきから襲いかかってくるのはワイルドウルフと呼ばれるCランクモンスターだ。
群で動く習性があり、油断をすれば上位の冒険者であっても命を落とすことがある。
小林「うーん、しゅかなんとかできない?」
朱夏「この辺更地にしていいならできるよー」
小林「よーし、やっちゃおやっちゃお」
善子『やめさせない小林!』 小林「ヨハちゃんがダメだってさ」
朱夏「そりゃそうだよねー」
小林「よーし、じゃあここは私がリトルデーモンの力を見せるぞー」
小林「【堕天・荊姫】!」
二人を囲むワイルドウルフの群れが、突如静寂に静まり返る。
影から飛び出した無数の棘がワイルドウルフ達を貫き、辺りからは濃厚な血の匂いを漂わせる。
その光景は誰が見ても恐怖を抱かずにはいられないものであるが、小林は特に気にした様子も無かった。 朱夏「あいきゃんの技ってなんかやばくない?」
小林「え、そうかな?普通だよ、ここ異世界だし」
朱夏「いやいやいや、どう見てもやばいでしょ」
朱夏「だってなんかこう、めっちゃ悪っぽくない?」
小林「リトルデーモンだから当然よ、ね、ヨハちゃん」
朱夏「それならしょうがないねー」
小林「今日はここで野宿する?」
朱夏「ここで野宿って絶対臭いじゃんやだもー」
小林「そっかー。じゃあもうすこし行こう」 朱夏「あれ村じゃない!?」
小林「本当だ!」
小林「今日は野宿しなくて良さそうだね!」
朱夏「……あれ、でもなんかおかしくない?」
小林「どうしたの?」
朱夏「なんかみんな集まってるし」
小林「とりあえず行ってみようかー」 二人が村の中へ入っていくと、村の中心に村人が集まっていた。
朱夏「あのー、どうしたんですか?」
村人「ああ、村の近くでオークの群れが出たみたいでな」
村人「何人も被害にあっているし、みんなも不安がって眠れないんだ」
小林「よーし、朱夏、行くよ!」
朱夏「いや、まだ早いって。最後まで話を聞こう」
村人「実はあんた達の前にも一人若い女性が来てな」
村人「『私に任せてください』って退治に向かったんだよ」
善子『それは心配ね』
小林「そうだね。殺されちゃうかもだもんね」
善子『いえ、オークは女を殺したりしないわ。だいたい死ぬまで苗床にされるわよ。エロ同人みたいに』
小林「ええっ!朱夏!大変だよ!オークに負けるとえっちなことされるんだって!」
朱夏「大きな声で言わないで」 教えてくれた村人と別れ、二人はオークの発見された場所へと走り出した。
村人の中でも被害にあっているのは女性が多く、その全てがオークの巣へと攫われている。
小林「ねえねえ、しゅか」
朱夏「んー?」
小林「私たちも負けたらえっちなことされちゃうのかな」
朱夏「……されたいの?」
小林「そんなことないよ!私の初めてはヨハちゃんにあげるんだから!」
朱夏「そっか。うん、頑張ってね」
善子『お喋りしてるんじゃないわよ、小林』
善子『そろそろ近いわよ』 オークの住処らしき洞窟はすぐに見つかった。
なぜなら、そこにはオークの死体が散乱していたからだ。
氷漬けにされたものや、バラバラに切り刻まれたもの、丸焦げになったものまである。
小林「おおー、これ前に行った人がやったのかな?」
小林「凄いねー」
呑気に辺りを見回す小林とは正反対に、朱夏の視線は洞窟の中へと向けられていた。
洞窟の中から漂う強者の気配。肌に突き刺すようなその気配を、朱夏は感じ取っていたのだ。
朱夏「あいきゃん、気をつけて」
朱夏「何か来る」 どずん、どずん、と重量感のある音が聞こえる。
洞窟の中から姿を見せたのは、巨大なオーク……いや、この世界ではオークキングと呼ばれる災害級モンスター……Sランクの魔物である。
ギルドが情報を掴めばすぐに冒険者を掻き集め、総出で倒しにかからなくてはならないほど危険であり、過去にオークキングのせいで国が滅びたこともあるのだ。
オークキング「ギ……グ……」
小林「おおー、おっきい!」
小林「ねーねー!この子もリトルデーモンにしちゃう?」
善子『落ち着きなさい、小林』
朱夏「あいきゃん、援護お願い」
朱夏「私が突っ込むから」 朱夏の手には、いつの間にか巨大な剣が握られていた。
常人であればまず持ち上げることさえできない重量のそれを、朱夏は軽々と持ち上げ、オークキングに向けて構えている。
小林「しゅかー!頑張れー!」
「……しゅか?」
その時、オークキングから、いや、オークキングの背後から声がした。
それと同時にオークキングは大きな音を立てて地面へと崩れ落ち、絶命した。
オークキングは逃げていただけであり、洞窟を出る前に致命傷を受けていたのだ。 巻き上がった砂埃が無くなると、1人の女性がそこには立っていた。
杏樹「あー!やっぱりしゅかだー!」
朱夏「おー、なんだあんじゅじゃーん、良かったー」
朱夏に駆け寄ると、杏樹は思い切り朱夏へと抱き着いた。
頬擦りをしているその光景を見ると、さっきまでオーク達を虐殺していた人間だとは誰も想像すらできないだろう。
小林「あんちゃんもこっち来てたんだー」
杏樹「うん。朱夏とデートしてたらいつのまにかはぐれてて」
杏樹「見つかって良かったー」 朱夏「オークを倒したのはあんじゅなの?」
杏樹「そうだよー。女の子を攫ってるって聞いてさ」
杏樹「もしかして朱夏が攫われたのかもって思って急いで皆殺しにしたの」
杏樹「捕まった人たちもみんな無事だよ」
朱夏「そうなんだー、いやー、流石あんじゅだねー」
朱夏「それじゃあ村に戻ってみんなを安心させてあげよう」
小林「今夜はベッドで寝られそうだね」
朱夏「そうだねー、久しぶりにぐっすり寝たいよね」 小林ボッチになっちゃうと思ったけど一人じゃなかった 小林にはヨハちゃんがいるから一人なんてならないだろ? 朱夏「いやいや、道に迷うってありえなくない?」
朱夏「来た道戻るだけじゃん?」
杏樹「暗いからしょうがないよ」
杏樹「ほら、あいきゃんも元気出して」
小林「なんで私が悪いことになってんの!?」
善子『可哀想ね、小林』
小林「うう〜ヨハちゃん〜」
朱夏「これ以上歩き回っても変なところ行っちゃうかもだし、ここで野宿する?」
杏樹「そうしよっかー」 朱夏「じゃあ私道具の用意するから、二人で燃えそうなもの探して来てくれる?」
杏樹「いいよー。行こう、あいきゃん」
小林「了解ー」
小林「燃えるものって木でいいのよね?」
善子『木を燃やしたら火事になるわよ』
小林「分かってるわよ!枝のこと!」
小林「ヨハちゃんはすぐにそうやってからかうんだから!」
杏樹「…………」
朱夏「あんじゅ、もしあれなら」
杏樹「んー?大丈夫だよ、しゅか」
朱夏「……ありがとう」 ガサガサ
小林「あ!これ燃えそう!」
小林「これも!こっちも!」
善子『そりゃ枝なんだから全部燃えるわよ』
小林「そうだった!」
小林「それにしても、あんちゃんも見つけられて良かったー」
杏樹「私も二人に会えて嬉しいよ」ニコニコ
杏樹「あいきゃんは、しゅかと初めてあったの?」
小林「そうそう。最初はしゅかに助けられたんだよねー」
小林「その後は一緒の部屋に泊まってー、一緒に旅しよってことになったの」
杏樹「へぇ……そうだったんだ」
杏樹「ねぇ、あいきゃん」
小林「ん?なーに?」
振り向いた小林の頬を掠め、銀色の輝きが木へと突き刺さる。
杏樹「死んで?」ニコッ 小林「え……?え?ええっ!?」
小林「あ、あの、あん、じゅ、さん?」
杏樹「どうしたの?」
小林「いや、今、なんか、な、ナイフみたいなのが飛んで来た気が」
小林「そんなことしたら……危ないよ?」
杏樹「別にいいんだよ」
杏樹「『私』のしゅかにちょっかいかける女狐は全員始末しないといけないんだから」ニコニコ
小林「ひっ!?」 まともじゃないのあいきゃんだけじゃなかったぁぁぁぁぁぁ 善子『逃げるのよ小林!』
小林「う、うん!」
杏樹「逃すわけないでしょ?」
杏樹「『怨嗟の呪縛』」
突如として小林の耳に鳴り響く悲鳴。
小林へと助けを求める声が鼓膜にこびりつき、振り払おうとしても直接脳へと伝わるソレが少しずつ小林を闇へと誘い、体の自由を奪いとっていく。
小林「な、なんで?」
杏樹「ん?」
小林「なんで、こんなこと……」
杏樹「あいきゃんはさー、この世界に来た時どう思った?」 小林「どう思ったって……」
杏樹「この世界でしかできないこと、考えなかった?」
小林「この世界でしか、できないこと?」
杏樹「そう。魔法を使ったり、モンスターを倒したり」
杏樹「あいきゃんはいっぱい堕天使気分味わったよね」
杏樹「そういうこと、したかったんでしょ?」
小林「それは、そうだけど……」
杏樹「それとおなじで、私もしたいことがあったの」
小林「あんちゃんの、したいこと?」
小林「……一体、何?」
小林の頭によぎるのは、世界征服や、大量虐殺等の行為だ。
今の彼女たちにはその力がある。
いきなり手に入れた力に溺れ、存分に奮いたいという欲求に飲まれてもおかしくなどないだろう。
杏樹「それはねー」
小林「……っ」ゴクッ
杏樹「しゅかと結婚することだよ」
小林「は?」 ■ このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています