果南「マルがかりんとうをぶつけてくる……」
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果南「ねえ、何でだと思う?」
鞠莉「え、知らないわよ」
ダイヤ「鞠莉さん、そこの書類を取っていただけます?」
鞠莉「これ?はいどーぞ」
ダイヤ「ありがとうございます」
果南「二人とももうちょっと興味持ってくれても良いんじゃない?」 果南「おい!真剣に悩んでるんだよこっちは!」バンバン
ダイヤ「机を叩かないでくださる?」
鞠莉「Shut up. 果南」
果南「冷たい、夜の海より冷たいよ二人とも」
鞠莉「だって花丸の奇行なんて今に始まったことじゃないでしょ」
ダイヤ「考えるだけ時間の無駄ですわ」
鞠莉「そういうわけで、仕事の邪魔よ、果南」
果南「ここだけ氷河期かな?」 鞠莉「で?何をそんなにエキサイトしてるのよ果南は」
果南「あ、聞いてくれるんだ」
ダイヤ「まあ、放っておいたら騒がしくて仕事になりませんし」
鞠莉「聞くだけ聞いてあげるわよ」
ダイヤ「幼馴染のよしみですわ」
果南「ダイヤ……鞠莉……」
果南「だったら最初から黙って聞いてくれれば良いのに」
ダイヤ「摘まみ出しますわよ」 果南「最近ね、マルがかりんとうを投げつけてくるんだよ」
鞠莉「さっき聞いた」
ダイヤ「話したいことはそれだけですの?」
果南「それだけって……かりんとう投げられるって中々あるもんじゃないよ」
ダイヤ「まあそうですが……」
鞠莉「剥き出しで投げてくるの?」
果南「いや、小袋で個包装されてる」
ダイヤ「えぇ……?」
鞠莉「食べ物を粗末にはしないのね。……いや投げてる時点でダメか」
ダイヤ「投げられたかりんとうはどうしてるんですの?」
果南「食べるよ。勿体無いし」
鞠莉「食べるんだ……」 鞠莉「ていうか本人に直接聞けば良いんじゃない?そっちの方が手っ取り早いでしょ」
果南「それが、いつも背後から隠れてかりんとうぶつけてきて、こっちが気付いて追い掛けようとしたらすぐ逃げちゃうんだ」
ダイヤ「そのまま追い掛ければ良いじゃないですか。果南さんの足なら追い付けるでしょうに」
果南「やたらと障害物の多いところや、道が入り組んでるところを狙ってくるんだよね。気付いたら見失ってる」
ダイヤ「策士ですわね……」 果南「何故だ、何故かりんとうを……」
ダイヤ「果南さんが知らないうちに、花丸さんに何か嫌なことをしてその報復を受けているのでは?」
果南「心当たりがないよ。逆パターンならいくらでもあるけど」
鞠莉「かりんとうスローしてる時の花丸はどんな様子なの?」
果南「うーん、いつもちらっとしか見えないけど、あれは……うーん?」
ダイヤ「歯切れが悪いですわね」
果南「いやどういう表情なのかよく分かんなくてさ。なんだか焦ってるような、困ってるような……」
鞠莉「んー?何か果南に伝えたいメッセージがあるとか?」
ダイヤ「かりんとうで?」
果南「意味わかんないよ……」 ダイヤ「とにかく、何の意味も無しにそんな奇行に走る訳がないのですから、その行為に何か意味があると考えるのが筋なのでは?」
果南「かりんとうに込められたメッセージ、ねえ」
鞠莉「案外おやつを分けてくれてるだけじゃないの?」
ダイヤ「だったら普通に渡せば良いのでは?」
果南「何で投げる必要があるのさ……あーもうワケわかんないよ!」ポコッ
果南「!」
鞠莉「Oh, これは……」
ダイヤ「かりんとう……ですわね。それも丁寧に包装された」
果南「……てことはマル!!」
「!」サッ
果南「! そこだな!」ガラッ
ダイヤ「まさか、あの上の小窓から?」
鞠莉「何というコントロール……」
果南「待てえええええ!!今度という今度は逃がさないよ!!」ダダダダダポリポリ
ダイヤ「廊下は走らない!!」
鞠莉「律儀に食べるのね」 鞠莉(それにしても、一瞬見えた花丸のあの表情、あれは……)
鞠莉「まさか、ね」
ダイヤ「?」 千歌「ーーそれでね?変化を見切ったしいたけが、曜ちゃんのまわしを掴もうとするんだけど……」
梨子「ま、前足じゃ掴めるわけないじゃない……」ククッ
曜「あーー!千歌ちゃんもうその話やめよ!!その後私が恥ずかしくなるだけじゃん!!」
梨子「尚更気になるんだけど……」
千歌「プフッ……でね、しいたけがまごついてる間に曜ちゃんも負けじとまわしを狙おうとしたんだよね。でもしいたけまわし着けてないの」
梨子「そりゃ犬だし着けてないでしょーっ!」ブフォッ
曜「もー!あの時はちょっと白熱してて気付かなかったんだってば!!」 千歌「その後ね、二人の取り組みを見てた果南ちゃんがおもむろに……」
バッ
千歌「うわっ!?」
花丸「ごめんずら!」タタタッ
千歌「びっくりした……」
梨子「大丈夫?千歌ちゃん」
千歌「う、うん」
曜「今のって花丸ちゃん?あんなに急いでどうしたんだろ」 果南「まぁぁぁぁてぇぇぇぇ!!!」ダダダッ
千歌「うぉわっ!?」
曜「か、果南ちゃん!?」
果南「あ!千歌、マルこっちに来なかった!?」ズイッ
千歌「うぇ!?」
梨子「は、花丸ちゃんならあっちの方に走って行きましたけど……」
果南「あっちね!?分かったありがと!」ダダダッ
千歌「……ふぇぇ」ドキドキ
曜「な、なんだったんでありましょうか」
梨子「さあ……」 果南「はあ、はあ……ダメだ、見失った」
果南「くそ、毎度の事ながら逃げ足の速い……。ん?あれは……」
善子「ーーそれでその過激派の歴史の教師に言ってやったのよ。『このヨハネが新世界の神となる』ってね」
ルビィ「すごーい!流石善子ちゃん!」
善子「クックック、好きな歴史の人物なんてこのヨハネには必要ない。何故ならこのヨハネこそが人間達にとっての偉人も同然なのだから!」
ルビィ「善子ちゃん中学の頃からカッコよかったんだねぇ!」
善子「さっきから聞いてりゃヨハネよ!……ちなみにルビィはお気に入りの偉人とかいるの?ま、今の話を聞いた後じゃこの新世界の神、ヨハネ以外の選択肢はないと思うけど?」
ルビィ「ううん。ルビィはニーチェかなあ。『神は死んだ』って格好良いよねえ」
善子「私死ぬの?」
ルビィ「? 善子ちゃんは堕天使でしょ?」
善子「ああ……そうだったわ」 果南「やっ、ルビィちゃんに善子ちゃん」
ルビィ「あっ、果南ちゃん」
善子「どうしたのよこんなところで」
果南「マルを探してるんだけど、見てない?」
ルビィ「花丸ちゃん?ううん、HR終わった後すぐに出てっちゃったから……」
善子「右に同じね」
果南「二人も見てないか……。うーん、どこへ逃げた……?」
善子「ずら丸がどうかしたの?」
果南「うーん、話せば長くなるんだけど……」 カクカクシカコ
果南「ーーというわけなんだ」
善子「めっちゃ短いじゃないのよ」
ルビィ「花丸ちゃんがかりんとうを?何でだろう?」
果南「それがどうしてなのか考えても全然分かんなくてさ。とっちめて聞き出そうと思ったけど逃げられちゃったんだ」
善子「なるほどね」
果南「二人はかりんとう丸に何か心当たりある?」
善子「何雑な略し方してんのよ。てかそんな奇行の心当たりなんてあるわけないでしょ」
果南「奇行なら善子ちゃんも大概でしょ」
善子「うっさいわ!」 ルビィ「ルビィもちょっと分かんないなぁ」
果南「うーん、二人でも分からないか……」
果南「この際直接関係無さそうな事でも良いからさ、最近何かマルの様子がおかしかった事とかなかった?」
善子「そんな漠然としたこと言われてもねぇ」
ルビィ「善子ちゃんの様子ならいつもおかしいんだけど……」
果南「それは知ってる」
善子「何なのよアンタ達!ケンカ売ってんの!?」 ルビィ「あっ、そういえば」
果南「ん、何か思い出した?」
ルビィ「はい、先週花丸ちゃんと善子ちゃんと、3人で動物園に行ってきたんですけど」
善子「ああ、日曜日に行ったわね」
ルビィ「その時の花丸ちゃんがちょっと様子が変だったような……」
善子「そう?確かにちょっとボーッとしてた気がするけど、普段からあんなもんじゃない?」
果南「些細なことでもいいよ。こっちは何もヒントが無くて困ってるんだ。お願い話して!」
ルビィ「は、はい!」 1週間前 in 動物園
ルビィ「さっきのフラミンゴさん、可愛かったねぇ〜」
花丸「1本足で立ってるフラミンゴさん、凛々しかったずら〜」
善子「クックック、鳥類特有の愛らしいフォルム、悠々と片足でバランスを保つ凛々しさ、そして何より返り血で染まった深紅の羽……ヨハネの下僕として不足はないわね!」
ルビィ「ピギャッ!?フラミンゴさんの赤色はち、血の色なのぉ!?」
善子「そうよ!その鋭利な嘴で満足に抵抗もできないまま鮮血を散らすしかない、哀れな獲物によってフラミンゴの身体は真っ赤に染め上げられるのよ!」
ルビィ「ピギィィィィィィ!!!」ブルブル 花丸「やめるずら」ポコッ
善子「いてっ」
花丸「ルビィちゃんが怖がってるずら。それにそんな真っ赤な嘘をよくも自信満々に吐けるずらね」
ルビィ「……え?嘘なの?」
花丸「嘘も嘘、嘘っぱちずら。フラミンゴさんの身体が赤いのは、餌としている藍藻類に含まれる色素が関係していると言われているずら」
花丸「大体、もし本当に返り血で染まったのなら水に浸かれば色が落ちちゃうずら」
善子「ぐっ……」
ルビィ「花丸ちゃんすごーい!」
花丸「さっき横にあった看板に書いてあっただけだよ。……それで善子ちゃん?適当な事言ってルビィちゃんを怖がらせちゃダメずらよ?」
善子「わ、悪かったわよ……悪ふざけして……」
ルビィ「ううん、ルビィは別に気にしてないよ」
花丸「ルビィちゃんは優しいずら〜」 ルビィ「……あ!ここにも何かいるみたいだよ!」
善子「あら、ここは随分と深く掘ってあるのね。何がいるのかしら」
花丸「えーと、ここにはゴリラが2頭いるみたいだね」
ルビィ「ゴリラさんかあ」
善子「あ、あそこにいるわね。……何してるのかしら」
ルビィ「2匹で……泥?をかけあってるね?」
善子「ケンカしてるのかしら」
ルビィ「ええ……?仲悪いのかな?」
善子「あ、こっち見た」
ゴリラ「」ブンッ
ゴリラ「」ブンッ
ベチョッ ベチョッ
善子「うわくっさ!?これうん◯じゃない!」
ルビィ「善子ちゃん言葉遣いが汚いよ」
花丸「壁に当たったのが幸いずらね……」 善子「何よあのゴリラども!このヨハネに楯突こうとは良い度胸じゃない!」
ルビィ「あはは……。ん?何々……」
ゴリラ「」ブンッ
ベチョッ
善子「ぎゃっ!またやりやがったわね!こんな所早く離れましょ!」
ルビィ「待って善子ちゃん!」
善子「何よ!!」
ルビィ「これ見てこれ!」
花丸「この看板?えーと、『ゴリラが自分の糞を相手に投げるのは、攻撃の為ではなく友好の証です』?」
善子「それってつまり……」
ルビィ「善子ちゃん、ゴリラさんに好かれてるんだよ!」
善子「何かあんまり嬉しくない……」 善子「どっちみち臭いし早く離れるわよこんな所!」
ルビィ「あっ待って善子ちゃん!」
花丸「……」
ルビィ「花丸ちゃん?」
花丸「…………これなら……」
ルビィ「花丸ちゃーん?」
花丸「ずらっ!?る、ルビィちゃん!?」
ルビィ「どうしたの花丸ちゃん?看板をじっと見てたけど……」
花丸「な、なんでもないずら」
ルビィ「そう……?疲れたなら無理しないでね?」
花丸「だ、大丈夫だよ。まだまだ元気一杯ずら!」
ルビィ「なら良いけど……」
オーイ、ハヤクキナサイヨー
ルビィ「あっ、善子ちゃんもうあんな遠くに!いこっ花丸ちゃん!」
花丸「うんっ!」 ルビィ「ーーそんな感じで、花丸ちゃん、なんだか考え事してたみたいで」
善子「あのゴリラの堀のところね。うえっ、思い出しただけで臭いが……」
ルビィ「あはは、でもゴリラさんも善子ちゃんのことが好きって伝えたかっただけなんだし」
善子「それで糞を投げられる身にもなりなさいよ……複雑だわ」
果南「……」
ルビィ「果南ちゃん?」
果南「……うん、ありがとう二人とも。ちょっと分かった気がする」
善子「えっ、今の話で?」
果南「じゃあ、私またマルを探してくるから、また今度お礼するよ!」タッ
ルビィ「あっ果南ちゃん!」
果南「?」
ルビィ「花丸ちゃん、昨日図書室に本を忘れてたから多分そこに行けば会えると思うよ!」
果南「ありがとうルビィ!」タッタッタッ
善子「……何だったのかしら」 in 図書室
花丸「……あったあったずら。よし、撒いたから大丈夫だと思うけど、後は果南ちゃんに捕まらないように帰ろう」
果南「誰に捕まらないようにって?」
花丸「!?」
果南「やっと追い詰めたよマル」
花丸「……ッ!」タッ
果南「おっと、通すわけないでしょ」ガシッ
花丸「は、離せ!離すずら!」ジタバタ
果南「話すのはそっちだよ。ここ数日かりんとうをぶつけてきた理由をね」
花丸「……!」
果南「さあ、話してもらおうか」
花丸「……黙秘権を行使するずら」
果南「ふーん?まあそれでも良いけど」
果南「じゃ、その代わり答え合わせに付き合ってもらうよ」
花丸「え?」 果南「ーーゴリラ」
花丸「!?」ビクッ
果南「ゴリラの求愛行動の真似事ってとこかな」
果南「さしずめかりんとうは糞の代わりだろうね」
花丸「……」プルプル
果南「……自分でも半信半疑だったけど、その耳まで赤くなった顔を見るに図星っぽいね」
花丸「……」
果南「そんな面倒なことしなくても、普通に愛情表現してくれれば良いのに」
花丸「……か」
果南「ん?」
花丸「か、果南ちゃんが悪いずら!果南ちゃんはゴリ、水ゴリラだから、どうせ何を言っても分かんないだろうと思って、動物に餌をやる感覚で施しを与えてただけずら!別に果南ちゃんのことがす、好き、とか、そんなんじゃ決してないずら!!!」
果南「私はマルのこと好きだよ?」
花丸「!!?」ボンッ 果南「マルは私のこと嫌い?」
花丸「……」
果南「……」
花丸「……」
果南「……」
花丸「……」ゴソゴソ
果南「……」
花丸「……」ポイッ
ペチッ
果南「……かりんとう」
花丸「……そ、それが答えずら」カアアアア 果南「ん、良かった」
果南「これは私のこと、好きってことで良いんだよね?」
花丸「ど、どう解釈するかは本人の自由ずら!」
果南「素直じゃないマルも可愛いなあ」
花丸「も、もう良いでしょ!?早く離れるずら!!」
果南「んー、その前に大事なことが一つ、残ってるんだよね」
花丸「え?」 果南「だーれが水ゴリラだってぇえええ!!?」
花丸「ひっ……!」 ぎいぃいいぃいやぁ〜〜!!何するずらァー!!!
やめてずら!!!マルが何したって言うんずらぁー!!!!!!
痛いずらよぉー!!!!!!!
読書が出来なくなっちゃうずら・・・
ペンも握れなくなっちゃうずらよぉー!!
千歌ちゃーん!!!!助けるずらぁー!!!!!!!!
∫∫( c||^ヮ^|| ノcノ,,^o^,,ノレ 果南の「ルビィ」or「ルビィちゃん」呼び統一して欲しかった >>39
すまんずら
「ルビィちゃん」で脳内統一しといてほしいずら >>40
細かい事気にしてすまん。
話はめっちゃ面白かった👍 キレイなかなまるかと思いきや水ゴリラとはw
やられたぜコンチクショー なるほどこの後花丸ちゃんバースデーの花嫁姿が見られるわけだな
おつおつ 水ゴリラってワードを使う時点でアンチにしか見えんわ
丁寧にながながとよくも書いてくれたな ■ このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています