海未「やはりバッハを分析するには対位法を勉強した方がいいのでしょうか…」
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海未「今日はパルティータ1番X.メヌエットの分析をしましょう」
海未「『楽しいレッスン』みたいな感じの曲ですね。可愛い子供向けって感じです」
〜分析中〜
15分後
海未「う〜ん、単純なんですけど、和音がなくて2声だから、和声がぱっと見分かんなかったりしますね」
海未「こんな子供みたいな簡単そうな曲で苦戦してるなんて…」
海未「やはりバッハを分析するには対位法を勉強した方がいいのでしょうか…?」
ガチャ…
花陽「あ、海未ちゃん!」
海未「あ、花陽、こんにちは」 海未「花陽が音楽室に来るなんて珍しいですね。どうしたんですか?」
花陽「えーっと…何となく…かな」
花陽(本当は真姫ちゃんと二人でお話ししたかったからなんだけど…恥ずかしいから黙っとこ…)
海未「そうですか…」
海未「まぁ、座ってください」
花陽「う、うん…」スタスタ…ポスン
花陽(真姫ちゃんいないなら帰ろうと思ったんだけど、つい座っちゃった…どうしようかな…)
ピアノ椅子に座り直す海未
海未「…」カキカキ…
海未「…ふぅむ…」
花陽「…」
花陽(…なんか気まずいなぁ…) 花陽(いつも部活で仲良しな気がしてたけど、海未ちゃんとは実際二人で接することはあんまりないし、正直親しくはないよね…)
海未「…」ポーン…
花陽(な、なんか話さなきゃ…)
花陽「う、海未ちゃん…!」
海未「ん?何ですか?」
花陽「海未ちゃんは何やってるの?ピアノに向かって」
海未「ああ、ピアノの譜面を見て分析してるんですよ」
花陽「へぇ〜」
海未「バッハのパルティータという曲なんですけどね」
花陽「バッハのパルティータ!?」
海未「…そうです。花陽知ってるんですか?」
花陽「うん!」
花陽「メヌエットだね?小学生の頃ピアノの発表会で弾いたことがあるんです!」
海未「おお、そうですか!」 花陽(ああ、話題が見つかって良かった…)
海未「花陽今もピアノをやってるんですか?」
花陽「ううん、中学生になってしばらく経ってやめちゃったの…」
海未「そうですか」
海未(確かに、花陽は今まで音楽ができる素ぶりは見せてませんでしたからね…)
花陽「でもね、バッハが好きで、ピアノやめてからもバッハの曲ばっかり弾いたりしてたんだ」
海未「へぇ…熱心なんですね」
花陽「えへへ…」
海未「確かに、花陽ってバッハ好きそうですよね」
花陽「そう?なんで〜?」
海未「ふふっ、雰囲気ですよ。なんか優しい感じというか…とにかく花陽はバッハって感じなんですよ!」
花陽「そうかな?///」 花陽「この曲も分析したことあるよ。2年くらい前だけど」
海未「!本当ですか!?」
花陽「うん!良かったら教えてあげよっか…?」
海未「!是非お願いします!助かります」
花陽「えへへ♪じゃあ、そうだな…花陽が和声とかメモ書き込んでってあげるね。海未ちゃんはゆっくりしてて」
海未「はい、わかりました!」 15分後
海未「…、……、…」ウトッ…ウトッ…
花陽「海未ちゃん、出来たよ!」
海未「…!?あ、はいぃ!」ガタッ
花陽「大体書けることは書いたかな」
海未「おぉ…!わかりやすいです!スゴイです花陽!」
海未「ほう…あ、こういう和音だったんですね……あ、ここはもうこの箇所からEs durでとった方が分かりやすいんですね!」
花陽「えへへ、役に立てたかな…?」
海未「十分です!ありがとうございます、花陽」
花陽「えへへ♪」
海未「今日はもう遅いので家に帰ったら勉強しますね」
花陽「そうだね。一緒に帰ろっか?」
海未「ええ、行きましょう」 帰り道
海未「ところで花陽はどうしてこんなにもバッハの曲は詳しいんですか?」
花陽「バッハが好きすぎて一時期分析とかにハマっちゃって…取り憑かれたように色々勉強してたんだ」
花陽「パルティータは大体やったかな。あとゴールドベルグ変奏曲とか、インヴェンション、平均律クラヴィーア、あと有名な器楽曲とか…」
海未「え、スゴイですね…」
海未(もしかして真姫に匹敵するくらい音楽力あるんじゃないですか…?)
花陽「バッハのために、曲がりなりにだけど和声とか対位法もかじったから、ちょっとなら教えてあげられるかも…」
海未「おお、それは頼もしいですね!ちょうど対位法の知識が必要かと思っていたところなんですよ」 中学生でそこまで弾いたとかグールドの生まれ変わりかな? ..ィ⌒¨¨:.:.......
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|_________//./ // _______..| . : : :.. | ´ / |/
//l/ // l| / / }: : : : : : : . . : : : : : :.|.ィ | 花陽「じゃあ今度花陽が使ってた対位法の本貸してあげるね」
海未「ほんとですか?ありがとうございます!」
海未「ところで花陽はバッハのどういうところが好きなんですか?」
花陽「うーん、なんか、柔らかくて可愛い感じがして、そういうところが好きかな…」
海未「あ、分かりますよ!今日弾いていた曲パルティータ1番5.メヌエットも可愛い感じですよね」
花陽「あと、お父さんみたいな安心感もあるんだよね」
海未「そうですね。敬虔なカトリック教徒、可愛い沢山の子供を育てる大黒柱って感じが出てますよね」
花「あとは対位法的なところかな…?
花陽「和音の音楽ももちろんいいんだけど、
メロディーに対して応答するカウンターメロディーがちゃんとあって、
それらが絶妙なバランスで絡まりあって、和声的には不協和なのに美しかったりして、
それが幾多にも折り重なって大きな音楽的構造を作っていくさまが、奇跡みたいに思えるの」
海未「ええ、分かります!分かりますよ、花陽!」
海未「ああ、なんだか対位法を勉強したい気持ちが燃え上がってきました…フーガとかかけるようになったらなぁ…」 花陽「あ、じゃあ海未ちゃん、花陽はお家こっちだから、またね」
海未「ええ、さようなら。またお話しましょうね」
花陽「うん♪バイバイ!」
スタスタスタ…
花陽(まさか海未ちゃんとこんな共通点ができるなんて…ああ、勇気出して海未ちゃんに話しかけて良かったな…ありがとうバッハさん)
花陽(これをきっかけに海未ちゃんとも仲良くなれるかな…?)
海未(花陽がクラシック音楽に嗜みがあるとは、意外でしたね。音楽仲間ができて嬉しいです!)
海未(でもそれ以上に、花陽と仲良くなるきっかけが出来たのが嬉しいです。今までどこか距離があったので…) 夜 かよルーム
花陽「今日は海未ちゃんとお話出来て楽しかったな♪」
花陽「しかもこんな花陽が海未ちゃんの力になれるなんて、嬉しいよ…。バッハやっといて良かったなぁ…」
花陽「そうだ、海未ちゃんが好きそうなバッハの曲のプレイリスト作っちゃおっかな…?」
花陽「いや、それより海未ちゃんのための音楽勉強用にノートを作ってあげた方が…」
花陽「…って…なんか海未ちゃんのことばっかり考えちゃってるな 笑」
花陽「海未ちゃんとちょっと仲良くなれそうってだけではりきっちゃって、これじゃなんか恋する乙女みたいだね///」
花陽「でも嬉しい気持ちは本当だもんね」
花陽「海未ちゃん、これからよろしくね♪…なんてねっ、ふふっ♪」 夜 海未ルーム
海未「さあ、花陽に作ってもらった分析メモを元に勉強しましょう」
シュババババッ!
勉強終了
海未「なるほど、だいたい頭に入りましたね。あとは覚えるだけです」
海未「それにしても、花陽のメモは分かりやすくて頭にすっと入ってきますから助かりますね」
海未「…」
海未「花陽の字、可愛いですね…。花陽の字を見ていると、あどけなさと健気さ、真心を感じて、心が温かくなってきます…」
海未「…可愛い花陽、あどけない花陽、健気な花陽、バッハが好きな花陽…」
海未「花陽…好きですよ。ふふっ♪」
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