にこ「ほんとはね」
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真姫「ねえ、にこちゃん」
にこ「ん、どうしたの、真姫ちゃん」
真姫「にこちゃんって、犬を飼ったことはある?」
にこ「犬?どうしたのよ突然」
真姫「別に。昨日、昔の写真を整理していたら、小学生の頃にうちで飼っていた犬の写真が出てきたから、つい思い出して」
真姫「にこちゃんは飼ったことがあるのかなって思っただけよ」 にこ「今度写真見せてよ、そのワンちゃん」
真姫「にこちゃんよりもかわいいから、かわいさに嫉妬するかもしれないわよ?」
にこ「えーー!?真姫ちゃんのワンちゃんもかわいいだろうけど、にこもかわいいわよ?」フリフリ
真姫「はいはい、気持ち悪い」
にこ「ぬぅわんですって!つれないわね!」
真姫「で、犬を飼ったことはあるの?」
にこ「んー、にこの家では飼ったことはないけど、小学生のとき、学校の裏山に捨て犬がいて」
にこ「その捨て犬の世話を友達みんなでしたことはあるわ」 真姫「あら、その子、結局どうなったの?野良犬のまま?」
にこ「まさか、にこ達で里親を見つけてあげたのよ」フフン
真姫「にこちゃんにそのまま飼われるよりはマシだったかもね」フフッ
にこ「もー!喧嘩売ってんの!?」
真姫「ふふっ。捨て犬ってことは、誰かが飼いきれなくなって捨てたのかしら。雑種?」
にこ「多分ね。クレヨンしんちゃんに出てるシロみたいな犬だったから」
にこ「真姫ちゃんの犬の種類は?」
真姫「うちのスーザンはダルメシアンよ、当時私が101匹ワンちゃんの映画が好きだったから、パパに買ってもらったの」
にこ「真姫ちゃんペットにつける名前のセンスなーい」クスクス
真姫「パパがつけたのよ!ていうか世界中のスーザンさんに謝りなさいよ……」
にこ「あはははは!」 私とにこちゃんは、何もかも違う。
今、にこちゃんが飼っていた(厳密には飼ってはいなかったんだけど)犬と、私が飼っていた犬の種類が違うことを知った。
出身も違うかもしれない。私は病院の関係上ずっとこの土地で生活していたけど、にこちゃんはどうかわからないからだ。
私は中学の頃、勉強やピアノのことをこっそりと悩んでいたけれど、にこちゃんはそういった悩みとは無縁だろう。
私の家は病院を経営しているだけあってお金持ちだけど、にこちゃんの家はお金持ちではあい。
風に運ばれないような根強い夢こそお互いに持っているとはいえ、夢自体は違う。私は医者を目指しているし、にこちゃんはアイドル志望だ。
同じなのは、今、夢中になっているμ’sとしてのアイドル活動くらいだろうか。 私もだんだんと大人になって、やりたいことをやるだけではなく、作り笑いが必要なことを学んだ。
思い描いた理想と現実の折り合いが必要だと学んだ。
少しづつ慣れてきたとはいえ、まだまだ私には難しいことだらけだ。
そんな中、遠慮せずなんでも言い合えるような、心を通わせることができるμ’sという仲間が出来たことは、本当にありがたい。
今、部室で一緒にお弁当を食べているにこちゃんもその仲間のひとり。
μ’sの仲間の中で、にこちゃんとは共に行動することが多い。今日も、2人きりでお弁当を食べながら、2人しかいない空間を満喫している。
私は、この時間を気に入っている。仲間内で順位をつけるわけではないけれど、にこちゃんといると、本当に何でも言い合えて、本当に心地よいから。
でも、そんなにこちゃんを相手に、ひとつだけ言えていないことがあった。 にこ「真姫ちゃーん」スリスリ
真姫「なによ、暑苦しいわね」
にこ「だってー、お弁当食べたあとの昼休みって、暇なんだもーん」
真姫「そこにあるアイドルDVDでも観たら?私は作曲で忙しいの」
にこ「ふーん、作曲がしたいなら音楽室にでも行けばいいのにー」
にこ「でも、真姫ちゃんは音楽室に行かないよねー!それって、にこのこと、好きだからー?」
真姫「もう、からかわないで!」
にこ「あれ?ちょっと赤くなっちゃった?真姫ちゃん」ニヤニヤ 真姫「別に、私がここから出て行ったらにこちゃんが独りぼっちになっちゃうから、仕方なくよ」
にこ「にこは真姫ちゃんがいなくなったら教室に戻って他の友達と遊ぶもーん」
真姫「……混ざれるの?」
にこ「……多分」
真姫「なによそれ」フフッ
にこ「ふん、うるさいわね!いざとなったら希か絵里のとこに行くわよ!」
真姫「そもそも私が出て行かないから安心してよね。にこちゃんが可哀想だし」
にこ「まあそういうことにしといてあげるわよ」
真姫「イミワカンナイ」 私は、にこちゃんのことが好きだ。
友達同士としてではなく、本当の意味での「好き」。
お弁当を食べ終わったばかりのにこちゃんが、私にすり寄ってきた今だって、すごく嬉しかった。
寄せ付けてきた身体を、一気に抱きしめてにこちゃんをびっくりさせてやろうかと考えたけれど、私の本能がそれを制止してしまう。
仮に私がにこちゃんに抱きついたとしても、にこちゃんは受け入れてはくれるだろう。にこちゃんもたまにやってくるし、凛や花陽なんかは毎日のように抱き合っている。私からギュッてしたとしても、不思議ではないはずだ。
でも、一歩を踏み出す勇気がない。
そのせいで、「にこちゃんが好き」という、溢れんばかりの想いを言えないままでいた。
本当のことなのに。相手は何でも言い合えるはずの、大切な仲間であるはずなのに。その一言だけは、にこちゃんに届けることができないでいた。 言葉にするのは簡単だ。にこちゃんのことが好きな理由はたくさんあるから。
そして、それを伝える言葉も、きっとすぐに見つかる。私の、嘘偽りない本心だから。
ただ、声にすることができない。
どうしても、臆病な自分が足を引っ張ってしまう。
本当は伝えたい。にこちゃんのことを好きだという想いを届けたい。にこちゃんの本当の気持ちが知りたい。でも、私の想いは気持ちとは裏腹に、勝手に隠れてしまう。
そんな日々が、ずっと続いている。
たった今、にこちゃんに「にこのこと好きだから?」と聞かれたときに、たとえそんな雰囲気でなかったとしても、冗談と思われたとしても、私が一言「好き」と言うことができたなら、どんなに楽になっただろうか。
こんなにもそばにいるのに、素直になれない――― にこ「………」ポチポチ
真姫「………」
にこ「………」ポチポチ
真姫「ねえ、にこちゃん、急に黙んないでよ」
にこ「あれ?さっきは暑苦しいとか言ってたのに?」
真姫「静かになられるとそれはそれで気味が悪いのよ。何か企んでそうで」
にこ「Twitter更新してるだけよ!」
真姫「へぇ、なんて書いたの?」 にこ「『真姫ちゃんがツンツンしててにこつまんなーい』って書いたわよ」
真姫「………」
にこ「ギューってしても返してくれないし、にこのこと邪険に扱うしぃ〜」
真姫「………」プイッ
にこ「あれ?真姫ちゃん、怒っちゃった?」
にこ「嘘よ嘘!にこにージョーク!」ギュッ
真姫「………」プイッ
にこ「もー!そんなことでいじけないでよ!本当につまんないと思ってるなら、それこそ教室に戻ってるわよ」ギューー
真姫「………」 真姫「私と一緒にいたい?」
にこ「もちろん♪」
真姫「………」
真姫「にこちゃんがそういうなら仕方ないわね。一緒にいてあげるわよ」
にこ「もー!真姫ちゃんかわいくない!」
真姫「ふふっ、本当はなんてツイートしたの?」
にこ「えー、内緒。自分で見てみれば?」
真姫「見てやろうじゃない、どれどれ……」 矢澤にこにー @24920niko 9月24日
久しぶりにママがお弁当作ってくれたJ(*‘ヮ‘*)し
しかも真姫ちゃんとお弁当なうだから超にこにこ( *´艸`)
真姫(にこちゃんのお弁当、いつもと違うと思ったら、今日はママが作ってくれたんだ)
真姫(にこちゃんがさっきまで食べていたお弁当の画像と、私が部室で作曲している画像が貼られている)
真姫「って、にこちゃん隠し撮りしたでしょ!!」
にこ「えーー?にこ、なんのことだかわかんなーい」フリフリ
真姫「もう!勝手にトラナイデ!」プンスカ
にこ「真姫ちゃんのことかわいく撮れたと思ったのに〜」
真姫「もう……しかも『超にこにこ』とかますますイミワカンナイし」
真姫「ていうか、なんなのよにこちゃんのアカウントの数字。2525とかならわかるけど、なによ24920って」
にこ「ナイショよ、ナイショ♪」 いつもの笑顔ではない笑顔を、私に向けるにこちゃん。
含み笑いというやつだろうか。
そんな笑顔をみせるにこちゃんも、大好き。
ねえ、にこちゃん。ほんとはね。
ただ、かまってほしいだけ。
かまってほしいから、今みたいに「プイッ」ってそっぽを向いてしまうだけ。
子供のような私のいじけに、にこちゃんは毎回かまってくれる。
決まって、私を優しく包み込んでくれる。素直じゃない私を、受け入れてくれるかのように。 そんなにこちゃんのことが、好きで好きで、おかしくなりそう。
でも、おかしくなったからといって、私は何かを行動に移すことはできないかもしれない。
にこちゃんが好きなこの気持ちは、誰よりも大きな自信がある。
だから、にこちゃんのことを想うと、心安らぐ気持ちになるのと同時に、胸が締め付けられるように痛い。
この気持ちを伝えられないからだ。
「好き」って伝えて、「嫌い」って言われるのが怖いから。
もちろん、にこちゃんはそんなこと言わないし、私のことを仲間だと思ってくれていることはわかってる。
でも、にこちゃんの思いが、私と同じ「恋心」かどうかは、自信がない。
ただの、仲のいい友達としか見てくれていないかもしれない。それも充分に贅沢なことだということも分かっているけれど、それでも、私の恋心を否定されるかもしれないって思うと、不安で不安で仕方なくなってしまう。
結果、前に進めない。 今だって、できるだけ平然を装ってにこちゃんと昼休みを過ごしている。
その時間は、私にとって何物にも代えられない時間だ。
本当に大切で、大切で、少しでも昼休みが長くなればいいのにって、いつも思っている。
でも、その至福の時間の後の満たされた気持ちに紛れて、心が軋む音が聞こえてくるのもわかる。
「にこちゃんと離れちゃった、寂しい」っていうある種の孤独感と、「にこちゃんも私と同じ気持ちなのかな」っていう、わずかな期待とたくさんの不安。
もっともっと、にこちゃんと一緒に居たい。
2人きりで、こうやってたくさんお話をしたい。
そして、出来ることなら、その時間が限りなく永遠であってほしい。 キンコンカンコーーーン
そんな私の想い虚しく。昼休みの終わりを告げるチャイムが鳴り響いてしまう。
にこ「あ、もうこんな時間か」
真姫「次の授業はなんだったかしら。確か、国語総合だったから移動教室はなかったわね」
にこ「にこなんか体育よ体育。お昼休みの後の体育は本当にテンションが上がらないわ……」
真姫「ていうか、着替えに戻らなくていいの?」
にこ「まあ、戻ったら急いで着替えるわよ。ほら、さっさと出るわよ。鍵閉めなきゃいけないしね」
真姫「ええ……」 にこ「途中まで一緒に行こ」
真姫「もちろん」
途中まで、と言っても、本当にすぐそこでにこちゃんとは別れなくてはいけない。
1年生の教室は1階で、3年生の教室は3階だからだ。
いつも教室に戻る道を一緒に歩いているけれど、時間で言うとほんの1分くらいだ。
にこちゃんの次の授業は体育だから、やや急ぎ足になっているみたいだけど、にこちゃんはそれでも走ったりせず、私とおしゃべりを続けてくれた。
そんな時間も、終わりが来てしまう。
階段前。いつもならもうちょっとだけお話しているんだけど、にこちゃんの授業のせいで、今日は階段前の談笑はお流れだろう。
体育のことをこんなに恨むことになるとは、思わなかった。 にこ「じゃあね、真姫ちゃん、また練習で!」
真姫「ええ」
にこちゃんが、階段を駆け上がる。
小さな身体が、まるで凛のように元気いっぱいで、花陽のように華奢に感じる。
ピンク色のカーディガンが少しずつ小さくなり、心に寂しさを覚える。この時間が、一番嫌いだ。
この可愛らしい背中を抱きしめることができる日が、いつか来るのだろうか。
そんなことを考えながら、駆け上がるにこちゃんを眺めていると、にこちゃんが振り向いた。
真姫「………!」ドキッ
にこ「………」ニコッ
にこちゃんは、私に向けて小さく手を振った。本当に愛おしい笑顔のおまけつきだ。 真姫「………」
にこちゃんの最高のプレゼントにお返しするかのように、私も最高の笑顔で、にこちゃんに手を振った。
でも、笑顔が笑顔になっていなかったような気がする。にこちゃんに魅せられてしまったから、緊張していたのだろうか。
ついに、にこちゃんの姿が見えなくなってしまった。
もちろん、教室に戻って、寂しい思いをするわけではない。凛や花陽がいるのだから。
それに、放課後になればもう一度にこちゃんと会える。一緒に練習ができる。
それらの時間を大切にしていけば、いつか、勇気を振り絞ることができるかもしれない。 「愛してる」なんて言葉を私に教えてくれたにこちゃんが大好き。
強く根付いているこの気持ちは、絶対にぶれることはない。
愛の深さなら、絶対に誰にも負けない。
あとは、この想いをにこちゃんに届けるだけ。もっとも、その道のりはまだまだ遠いけれど。
でも、前に進むためには、気持ちを伝えることが大事だってのはわかる。
いつか、愛してるっていう気持ちを、にこちゃんに届けなくっちゃね。
それまで、できればこれからもずっと、あなたのそばに居させてください―――
END >>31
あーなるほど
2を90度回転させるのか
ありがとう 言うほどではないのに本体のゴミっぷりの対比からよく見える 祭りスレで浄化されたカボス
亜里沙の続き待ってるからな ■ このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています