真姫「希先輩と素直な私」
■ このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています
私と希には二人だけの秘密がある。
毎週金曜日の部活終わりの視聴覚室。
真姫「そう言えば…どうしてここの鍵なんて持ってるのよ」
希「生徒会やってる時にスペアの鍵を拾ってね。役得やね」
真姫「それって…いいの?元副会長がそんな事して?」
希「あのな、人は良い事も悪い事も経験して大人になって行くんだよ」
イタズラっぽく笑う希の顔はいつもより少し子供っぽく見えた。 01
ガチャ
希「遅かったやん」
真姫「まあ…凛と花陽がね」
希「二人も連れてくればええのに」
確かに。希の言う通り凛と花陽も連れて来れば良いのだけど。何故か私はここの事は二人だけの秘密にしたいと思っていた。
希「あまり遅い時間まで学校にいると宿直の先生に見つかったら厄介やからね」
良く言うわよ、この不良娘。 真姫「それで?今日は何を観るの?」
希「今日はな…」
毎週金曜日に私と希が何をしているのかと言うと視聴覚室のプロジェクターを使って二人で観る。ただ、それだけの事。
部活終わりにたまにふらっと居なくなる希を不審に思って後をつけたのが始まりだった。
希「さて、そろそろ始めようか?」
真姫「ええ」
カチッ そう言って希は部屋の明かりを消して視聴覚室の一番後ろの席に座った。
希「おっ!あの映画な、めっちゃ面白いんよ」
真姫「そうなの?」
希「今度借りて来て観ような」
本物の映画館の雰囲気が出るからって予告を飛ばさずに観るのが希の流儀らしい。
希「おっ!そろそろ始まる」
真姫「うん」
希は映画が始まるこの瞬間が好きだそうで。
希「なんだか特別な感じがしない?凄いワクワクするって言うか…ここから全てが始まる感じが…凄い好き」 そして、映画が始まる。
大画面に映る殺し屋の男と少女の切ない愛の物語。
愛を知らなかった男が少女の為に不器用に感情を剥き出しにするシーンに私は思わず鳥肌が立った。と同時にこの不器用な男にどこか自分を重ねていた。
希「ん〜やっぱり名作やなぁ…って真姫ちゃん?」
真姫「な、何よ?グスッ…」
希「いや…ふふっ。感想を聞かなくてもいいみたいやね」
真姫「…うるさいわよ」 ■ このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています