ダイヤ「届かない想いを」
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『仲良し三人組』
とても素敵な言葉。
私の横にはいつも果南さんと鞠莉さんがいた。
つまらないことで喧嘩別れした二年間以外、ずっと仲良しの三人組として。
鞠莉「ダイヤ、今日の練習は何をするんだっけ」
ダイヤ「ダンスのフォーメーションの確認ですわよ」
果南「えー、今日は身体を動かしたい気分だから、体力トレにしない?」
ダイヤ「駄目です、本番も近いのですから」 鞠莉「もー、本当にダイヤの頭は固いなぁ」
ダイヤ「普通ですわよ、これぐらい」
果南「そんなダイヤには――こうだ!」
ダイヤ「ちょ、急にハグしないでください!?」
鞠莉「あー、ズルいわよダイヤ。私もハグされたい」
果南「ハイハイ、鞠莉もハグッ」
ダイヤ「……」 私たちは『三人組』。
それなのに、常にどこか疎外感を感じる。
鞠莉さんは果南さんを、果南さんは鞠莉さんを常に見ている。
それぞれに優先順位を付けるとしたら、私は二人にとって二番目の存在に過ぎない。
果南「ダイヤ、どうしたの?」
鞠莉「急にボーっとして、体調でも悪い?」
ダイヤ「……いえ、何でもありませんわ」 だけど二人は悪いわけじゃない。
惹かれあう二人が仲睦まじく過ごすのは、自然の事。
むしろその二人の間にいる私の存在こそ、お邪魔虫なのだ。
鞠莉「そういえば、今日うちに美味しいケーキが届いたのよ」
鞠莉「良かったら、二人とも練習の後に食べに来ない?」
果南「いいね、鞠莉が美味しいって言うぐらいなら凄そうだし」
鞠莉「ええ、それはもうスペシャルなケーキよ」 鞠莉「もちろんダイヤも来るわよね」
ダイヤ「そうですね……」
ダイヤ「私は――遠慮しておきますわ」
鞠莉「えー、どうして?」
ダイヤ「鞠莉さんの誘いはありがたいのですが、今日は少し家の用がありまして」
果南「ありゃ、タイミングが悪い」
鞠莉「それなら仕方ないわね」
果南「ダイヤが来れないなら、ケーキはまた今度にする?」
鞠莉「そうね、ダイヤがいないなら今日じゃなくても」 ダイヤ「いえ、私の事は気にせずに、二人で楽しんでください」
鞠莉「でも――」
ダイヤ「ケーキなら今日中に食べた方がいいでしょう」
ダイヤ「私はまた別の機会に誘っていただければ充分ですから」
鞠莉「まあ、ダイヤがそういうなら」
ダイヤ「ほら、それよりも今は練習ですよ」
ダイヤ「ラブライブまで時間もないんですから」
鞠莉「ええ、そうね」 ※
練習後、一人残った生徒会室。
ダイヤ「はぁ」
書類の整理をしながら、思わず漏れるため息。
もちろん、本当は用なんてない。
二人との時間も、美味しいケーキも、正直名残惜しかった。
でもつい、二人に気を遣って身を引いてしまう。
それが私という人間の性。 この距離感も、ある意味でそんな行動の積み重ねが生んでしまった結果。
幼いころから、聡い方ではあったと思う。
だから早い段階から気づいた、鞠莉さんの果南さんへの想い。
もし気づかなければ、私と二人はもっと近い関係だったかもしれない。
ダイヤ「はぁ」
また漏れるため息。
なんと女々しい仮定をしているのだろう、私は。
そんな事よりもせっかくできた時間、溜まった仕事を片付けて―― ダイヤ「あら」
ふと目を下すと見える中庭。
そこにポツリと存在する一人の後輩。
ダイヤ「善子さん?」
確か練習後、一年生は三人で帰ったはずなのに。
揃って学校に残った?
でもルビィと花丸さんの姿は見えない。 ダイヤ「まさか」
一人だけはぶかれている? いじめ?
あぁ、この平和な浦の星にもそんな事態が――
ダイヤ「あるわけないですわね」
独特の感性を持つ善子さん。
普通ならその可能性もなくはないけど、あの子たちに限ってそれはないだろう。
仲良しなのはもちろんのこと、ルビィも花丸さんもやさしく、意識的に人を傷つけられるような性格ではない。 善子さんの今の状態にも、何か事情があるのだろう。
口を挟むようなことではない程度の、些細な事情が。
けど少しうつむき、落ち込んだ様子。
普段の道化のように皆を笑わせる彼女からは、あまり想像もできない姿。
気づいてしまったからには放っておくわけにはいかない。
一応、話しぐらい聞きに行こうかしら。 中庭に降りると、そこには変わらずに後輩の姿。
私はゆっくり近づいて声をかける。
ダイヤ「善子さん」
善子「ダイヤ?」
突然の現れた私の存在に、驚いたような表情を見せる善子さん。
善子「どうしたのよ、こんなところ」
ダイヤ「生徒会室で仕事をしていたら、善子さんを見かけたので」 善子「仕事、一人で?」
ダイヤ「ええ」
善子「練習後に一人って、やっぱり生徒会の仕事って忙しいのね」
ダイヤ「そうですね、それなりには」
善子「凄いと思うわよ」
善子「いくら生徒が少ないからって、部活をしながら一人で仕事をこなすのは」
ダイヤ「まあ、最近は鞠莉さんや果南さんも手伝ってくれますから」 善子「へぇ、なら今日も三人で?」
ダイヤ「いえ、今日は一人です」
善子「あら、二人とも冷たいのね」
ダイヤ「ふふっ、そうですね」
ダイヤ「そう言う善子さんこそ一人なんですね」
善子「そうよ、悪い?」
ダイヤ「いえ」
ダイヤ「ただルビィ達と一緒に帰ったと思ったので」 善子「一応、三人で遊びに行こうって話になってたんだけどね」
善子「私なりに気を使って、二人きりにしてあげたのよ」
善子「いつもいちゃついて、困ったものだわ」
ダイヤ「申し訳ありません、いつも妹が」
善子「ダイヤが謝ることじゃないわよ、別に」
私は知っている、善子さんの気持ちを。
遥か昔、仲良しだった幼馴染。
彼女と運命的に再会し、惹かれていった。
それは自然な事。 それだけなら、美しい恋。そう、それだけなら。
その幼馴染には、既に付き合っている相手がいた。
中学の時に出会った親友。
善子さんより遅く出会いながら、善子さん以上に長く、濃密な時間を築いた私の妹。
幼馴染の心は既に、その子に奪われていた。
誰も悪意を持たない、変えることも誰かを責めることもできないもどかしい現実。
なんて残酷なんでしょうね、運命というものは。 善子「ダイヤは生徒会室に戻るの?」
ダイヤ「ええ、そのつもりです」
善子「私も一緒に行っていいかしら」
善子「ちょうど暇だし、仕事手伝うから」
ダイヤ「あら、どういう風の吹き回しですか」
善子「可哀想な生徒会長を助けてあげようと思っただけよ」
ダイヤ「そうですか」 似てますね、貴女と私は。
仲良し三人組に属しながら、離れている。
三人の中で、特別な二人を輝かせるための道化。
自然と目に宿る、孤独な光。
そんな自分と同じ光に惹かれてしまうのは、いけないことなのでしょうか。
この想いは届かない。
善子さんは、花丸さんが好き。
誠実な彼女がそれを変えることは、おそらくない。
でもいいのです、私は慣れていますから。 善子「どうしたの、急に黙り込んで」
ダイヤ「……いえ、なんでもありませんわ」
善子「そう?」
ダイヤ「ええ」
善子「それなら早く行きましょう」
善子「仕事、たくさんあるんでしょ」
ダイヤ「……ええ」 ゆっくりとしか一歩を踏み出すことができない、臆病な私。
ダイヤ「善子さん、今日は夜まで時間がありますか?」
善子「ええ、どうせお母さんの帰りは遅いから」
ダイヤ「それなら、帰りにケーキを食べて帰りましょう」
ダイヤ「手伝っていただくお礼に、ご馳走しますよ」
善子「えっ、本当に!?」
ダイヤ「ええ」 ルビまる幼なじみ時空じゃないのかよ
これだからよしまる厨は いつか、この想いを口にすることはできるのでしょうか。
善子「それは楽しみね、がぜんやる気が出てきたわ」
ダイヤ「ふふっ、それは良かったですわ」
善子「でもいいの、ルビィにあとで何か言われそうだけど」
ダイヤ「ルビィは花丸さんと二人で楽しんでいるのでしょう」
ダイヤ「私たちは置いていかれた者同士、文句を言われる筋合いはありませんわ」
善子「……あはは、それもそうね」
分からない、この先どうなるか。
でも今は素直に楽しむとしましょう。
私によく似た、大切な人との時間を。 以上です
読んでくださった方、ありがとうございます やはりかなまりをとりあえずくっつけとけって奴には果南鞠莉ダイヤはこう映るのか ダイよし大好きだけどカプからはぶられた同士のシンパシーは違うと思う >>28
アニメ善子なら尚更梨子とらーぶらーぶしてるしな
ダイヤもアニメは常に3人セット ダイよし要素は少ないし他のカプ要素見せられるし酷いよ…
かなまりは予想出来たから耐えれたけど
よしまるは想定してなかったわ
アニメ時空なのに善子→花丸っていう追い討ちをかけてきたし
ダイよし要素がもっとあれば黙ってあげたけどこれは流石に言わせてもらうわ かなまり+ルビまるとか1期で死んだ組み合わせやん
ダイルビ ようちか よしりこ そして余り物かなまりと花丸ソロだぞ 一歩引く恋
見守る恋
忍ぶ恋
“恋”が適切でなけりゃ“思い”とかかもしれないけどさ、そういうものを描きたかったんだろ
世の中の全ての人の思慕の思いが、望みどおり叶うわけじゃないんだから
一歩引いて、陰に甘んじて、誰かと誰かをくっつけて
裏で涙を拭って「これでよかったんだ」と自嘲する
自分より誰かの幸せを優先する、限りなく不器用な人たち
俺は好きだし、こういうの有りだと思うよ
ありがとう 乙
欲を言えばこういう雰囲気の話好きだからもう少し読みたかったわ ■ このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています