希「ウチの喫茶店の味は」
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■Scene01
サァー…
カランコロン
希「いらっしゃいませー♪」
花陽『はたら…かせて…ください…っ!!』
希「あの目…」
希「あの力強い視線に、誰かと同じ意思の強さを感じたんよなぁ――…」
海未「…」クス
海未「希さんの顔…どんどん母親のようになって行きますね」
希「え? 海未ちゃんもおしおきされたいん?」ニギニギ
海未「あ、い、いえ! な、なんというかその…悪口ではないんですよ…?///」アワアワ
希「…この歳で母親なんて言われて喜ぶ方が少ないわ」
海未「すすす、すみません…///」ペコペコ
希「まぁでも…」
花陽「…っ」コポポ…
希「…」クス
希「お母さんも、こんな気持ちやったんかなぁ――…」
海未「…大事にしてあげてくださいね」ニコ
……。
カランコロン
凛「ありがとうございましたー♪」
希「…♪」フリフリ
凛「…」チラ
希「どうしたんー?」
凛「…あのお客さんとすっごい仲よさそうに話してたけど、いっつもあんな感じなの?」
希「んー…まぁお客さんとはみんな大体あんな感じやと思うけどー…」
凛「ふぅん…」
希「なんかあったん?」
凛「…べっつにー。ただ、人でなしの割に人気あるんだなぁーって…」
希「いい加減、人でなしって言うんやめよかー…?」
凛「べーだ!」 希「…はぁ」
希「とは言っても、お客さんは実際少ないし…なんでウチみたいなのに人気があるのかもよーわからんけどな」アハハ
希「まぁ、来てくれるお客さんが笑顔になって帰ってくれればそれでええけどな♪」
凛「…」
凛「…こういうところがかよちんは好きなのかなぁ――…」ボソ
希「なんか言った?」
凛「う、ううん! なんでも!」
凛「さぁーて、片付けするにゃー!! かよちーん!!」トテテ
希「…」クス
カランコロン
真姫「あっ…///」ビク
希「あ…ま、真姫ちゃん」
真姫「…///」
希「…///」
希「は、入ったら?」
真姫「え、ええ…そうするわ」
凛「いらっしゃいませー…って」
真姫「…あら?」
凛「あーーーーっ!! ヤブ医者―ーーー!! なんでここにーーーーー!!?」
真姫「や、ヤブ医者じゃないわよっ!!」
希「へ…二人とも面識あるん…?」
真姫「え、ええ…ちょっとね…」ハァ
凛「ちょっとどころじゃないよっ! なんでここにいるのヤブ医者!!」
希「真姫ちゃん、ヤブ医者やったん…?」チラ
真姫「ち、違うわよ! そんな訳ないでしょ!!///」 凛「ウソだよ! 全然かよちんのこと治してくれなかった癖に…この嘘つきヤブ医者!!」
真姫「だから…それは誤解って言ってるでしょ…!」
凛「誤解なんかじゃないっ!」フー!
真姫「…はぁ」
希「真姫ちゃん…かよちんと何かあったん…?」
真姫「かよちんって…」
真姫「あ…星空さんがここにいるってことは…」
花陽「…///」ヒョコ
真姫「…こんにちわ、小泉さん」
花陽「…っ///」ペコペコ
コト
希「…はい、真姫ちゃん」
真姫「ありがとう」
凛「…っ」フシャー
花陽「〜〜///」アセアセ
希「…遠くからめっちゃ威嚇しとるで凛ちゃん」
真姫「別にいつものことだから慣れてはいるけど…。彼女たちはなんで…?」
希「あー…あの子らがウチで働きたいって言ったから採用したんよ。調度穂乃果ちゃんが抜けちゃったあとやったしな」
真姫「…そう言えば、穂乃果さんはもういなくなったのね」
希「うん…。その…こ、恋人と結婚するからって辞めてったわ…」
真姫「…そ、そう///」
希「…///」
ズズ…
真姫「…!」
希「…あ、お、美味しい?」
真姫「…」
真姫「…美味しいわ」
真姫「ずっと…味わっていたい――…」
希「…///」
カタ…
真姫「…」チラ
凛「…っ」フー…!
花陽「〜〜っ」アワアワ
真姫「…あの二人、制服がとっても似合ってるわね」
希「あ、ああ、そうやね」
真姫「星空さんと一緒に仕事するのは大変そうではあるけど…」
希「あはは…。まぁ、凛ちゃんは色々と文句も多いけど…意外と頑張ってくれてるし、なにより可愛いやんな♪」
真姫「小泉さんもしっかりやれてるのかしら…?」
希「小泉さんって…ああ、かよちんのことかー。うん、頑張ってくれてるよ♪」 真姫「…彼女、あまり喋らないでしょ?」
希「あー…うん、そうやね。随分人見知りな子やなーと思ったけど…」
真姫「…」
希「なんかあるん…?」
真姫「…小泉さんね、私の患者なの」
希「あ…さっき、凛ちゃんが言ってた…? ヤブ医者ー! とか言ってたけど…」
真姫「それは否定させて貰うわ」
希「まぁ…凛ちゃんが口悪い子っていうのは身をもって体験してるから、誤解があるのは分かるけどな…」アハハ
真姫「…ある事故があったのよ」
希「事故?」
真姫「あまり詳しくは彼女のプライバシーの問題に関わるから言えないけど、小泉さん…その昔、学校でイジメを受けてたらしいの」
希「イジメ…」チラ
花陽「〜〜っ」ビク
真姫「…イジメる相手とのイザコザが原因で起きた事故でね。小泉さん、当時は本当に悲惨で…あと一歩手遅れだったらどうなっていたことか」
真姫「なんとか手術で一命を取り留めたのは良かったんだけど…後遺症が残ってしまったの」
希「もしかして、その後遺症が原因で…」
真姫「そう…。上手く言葉を紡げなくなってしまったの…」
希「…」 真姫「正確には違うらしいけど、自閉症の一種らしいわ。専門じゃないから、その辺は同期の精神科医に聞いただけの情報で分からないのだけど…」
希「自閉症って…」
真姫「自閉症とは言っても、小泉さんの場合は普通にコミュニケーションも取れるし、生活する分には何の問題もないのよ」
真姫「ただ…必要最低限の言葉しか喋れないという感じなの…」
希「…」
真姫「症状の原因が事故によるものなのか、イジメによるものなのかは分からない…。ただ、その一件から小泉さんは数年間、ずっとあんな感じのままなの…」
希「そうだったんや…」
花陽「〜〜…?」
真姫「…それからというもの、定期的に検診で彼女のことは見ているんだけど…一緒についてくる星空さんに目の敵にされちゃっててね」
希「あー…」 真姫「絶対に治してあげるからって、手術の前に言ったんだけど…後遺症が残ったことでずっとそれを言われ続けてるのよね」
凛「…っ」フー…
真姫「彼女にとって、小泉さんは一番の親友らしくて…小さい頃からずっと一緒だったらしいわ」
真姫「だから事故の直後は、本当に真っ青な顔をして小泉さんの傍についていたのを今でも覚えているわ…」
希「…」
真姫「以前と同じように接することができなくて、不安な気持ちは分かるのだけれど…」
希「まぁ、それ以上に凛ちゃんは…」
真姫「ええ、小泉さんのことが好きみたいだしね――…」
希「…///」
真姫「…///」
真姫「…まぁそれでも小泉さんは私に懐いてくれていたし、星空さんが来ないときはよく二人で話すこともあったわ」
希「へぇ…」
真姫「なんだかんだ、お互い人付き合い下手なところあるし…気が合ったのかもね」
希「確かになぁ」クス
真姫「…その時に、ここの喫茶店の話をしていたんだけど…それが彼女の興味を惹いたのかしら?」
希「病院で患者さんにそんなこと話してるん…? 恥ずかしいなぁ…」
真姫「こ、小泉さんは特別よ! 別に私は精神科医って訳じゃないし…///」
希「それやったらええけど…」
真姫「でもまさか…小泉さんがこの喫茶店で働くことになるとはね」
希「ウチもびっくりやったよ…急に働きたいって言うもんやから…」
真姫「…彼女、妙なところで行動力はあるのよね」 真姫「でも…そんな行動力も、星空さんがずっと傍についてることによって阻害されてしまってるの…」
希「…」
真姫「同期の精神科医の話では、余りサポートのしすぎは良くないと言われてるんだけど…星空さん、あの性格でしょう?」
希「あー…」チラ
凛「…っ」シャー
真姫「それで、こっちもどうしたらいいものか分からなくて困り果てて…」
真姫「外傷自体はとっくに完治してるし、あとは心の問題だけのはずなんだけど…一向に進展がなくてね」
真姫「――そんな時に、私もこの喫茶店を見つけたの」
希「…そうだったんや」
真姫「…病院内のことだし、さすがに他人に話すこともないと思ってたけれど」
真姫「結局、希には話すことになってしまったわね…」
希「…そう、やね」
真姫「なんだかこの喫茶店って…不思議よね」
希「不思議…?」
真姫「色んな人がこの喫茶店に集まって…様々な想いを残して、そして誰かが受け取っていく…」
真姫「…勿論、私もそんな中の一人」
希「…」
真姫「…」
真姫「…なんだか、この間の一言のせいで変な空気にさせてごめんなさい」
希「あ、いやいや! その…別に真姫ちゃんが悪いわけじゃ…///」
真姫「…希は優しいわね」クス
ズズ…
真姫「私にはこのコーヒーがあれば…今はそれで充分よ…」
希「真姫ちゃん…」
真姫「希、きっと小泉さんは…あなたならなんとかできるんじゃないかと思うわ」
希「なんとかって…」
真姫「だから…二人のことお願いね」
……。
カランコロン
希「…」フリフリ
凛「かよちんっ! あのヤブ医者が常連のような店なんてやっぱり危ないよ! 今すぐやめよう!」
花陽「…西木野…先生は…悪い人じゃない…よ…」アセアセ
凛「一番の悪人だよ! あの人でなしといい、悪い人が集まる喫茶店なんだよ!」
花陽「そ、そんなこと…ないよぉ…」アワアワ
希「…」ハァ
希「…♪」クス
ギニャーーーーーーーー!!!
……。
この凛ちゃんが周りの人遠ざけてるから一向に良くなってないね
■Scene23
カランコロン
凛「いらっしゃいませー♪」
花陽「…い…いら…しゃいま…せ…///」ペコ
コト
花陽「ご…ご注文は…お決まり…でしょ…うか…?///」アセアセ
凛「…はーい! かしこまりましたにゃ♪」
コポポ…
凛「かよちん、大丈夫? 手伝おうか?」
花陽「ううん…大丈夫だよ…♪ 凛ちゃんは…お客さんについてあげて…?」
凛「でもかよちん一人だと心配だし…あ、溢れちゃうよ!」
花陽「ぁ…!」アセアセ
凛「…危なかったぁ〜。ほら、凛も手伝うよー♪」
花陽「…」シュン
コト
凛「おまたせしましたー♪」
花陽「〜〜…っ///」ペコ
凛「…それではごゆっくりー♪」
花陽「…」ハァ
凛「かよちーん、一緒に掃除するにゃー♪」
花陽「う、ん…」トテテ
希「…」
カランコロン
凛「ありがとうございましたー♪」
花陽「〜〜まし、た…///」ペコ
凛「ふー、あんまお客さんこないけど、たまに来ると楽しいねー♪」
花陽「ぁ…う、うん…///」キョロキョロ
凛「さーってと、片付け…あ、そーだ、さっきコーヒー作ろうとしたら豆が無かったんだった…」
花陽「あ…お、奥にあったと思う…から…私、もってくるよ…?」
凛「かよちん一人で大丈夫ー…?」
花陽「平気…だよ…♪」
トコトコ…
凛「…心配しすぎ、かなぁ」
凛「…」
凛「…あれ? そう言えばあの人でなしは…?」キョロキョロ
希「ん〜? 凛ちゃん一人でサボリ〜? 感心せんなぁ〜?」ニギニギ
凛「ふにゃ!?///」バッ
凛「ま、またおっぱい揉む気!? このヘンタイ!! 凛、ちゃんとお仕事してたよ…!?///」ギュ
希「本当かなぁ〜…」キシシ
凛「本当だよっ!!///」 希「ま、冗談やけどな…♪ 凛ちゃんは熱心で真面目だし、ちゃんとやってるんやったらなんもせーへんよ」
凛「…人でなしの言うことなんて信用できない///」
希「本当に全く名前で呼んでくれないんやね、凛ちゃんは…」ハァ
凛「…だ、だって…そんな気軽に店長のことを…名前でなんて呼べないし…」
希「え? そんなこと気にしてたん?」
凛「そんなことって…」
希「普段から口開けば悪口しか言わん子やのに…案外可愛いとこあるやん♪」キシシ
凛「うぅ…うるさい! 笑うな人でなしーっ!!///」
希「その悪口も恥ずかしさ誤魔化す為だったりしてー…」
凛「…///」
希「あっはは! 冗談やってー、別に好きに呼んでくれてええよー♪」
凛「…ふ、ふん!」プイ 希「…かよちんとは随分仲良いみたいやけど、二人はどれぐらい長い付き合いなん?」
凛「え…? な、なに急に…。なんでそんなこと教えなくちゃいけないの…?」
希「んー…まぁなんとなく興味あるやん? 折角だから二人のこと教えてよー」
凛「…折角って…。凛たちのこと知ってどうする気…?」ジト
希「そんな隠すことでもないやろー、別に個人情報を悪用する訳でもなし?」
凛「ん〜〜…」
希「全然信用しとらん顔やな…。これでも一応職場の上司なんやけどなぁ」ハァ
希「お、そうだ。…それじゃあ改めて面接ってのはどうやー?」
凛「め、面接…?」 希「二人共ロクな話も聞かずにいきなり採用しちゃったからなー」
希「ウチ、こないだまで二人の名字も知らんかったやでー? 普通の店やったらありえんわなぁ…」クス
凛「な、なにそれ…答えなかったらどうなるの…?」
希「んー…クビ?」
凛「ふぇ!? ク、クビ…!? なんで!?」
希「や、そりゃー一企業として? いい加減な子に働かせる訳にはいかんしなぁー…」チラ
凛「そんな…」
凛「そ、それってもしかして…かよちんも…?」
希「あーうん、まぁ、そうやね…連帯責任みたいなんもあるかもなー(嘘)」
凛「ひ、人でなし! 悪魔ッ!!」
希「おーこわ! 遂に悪魔まで言われちゃったかー…」
希「でも、凛ちゃんがそういう暴言吐き続けるならすぐに二人ともクビにせなアカンかもなぁー…?」
凛「ぅぅ…ズルイよ…」
凛「…分かったよ…答えるよ…」
希「うんうん、いい子やね♪」クス 凛「…かよちんとは小学生の頃に知り合ったんだ」
希「それはまたえらく長い付き合いやねぇ…」
凛「そうだね…すっごく長いね…。いっつも一緒にいるから、あんまり気にしたことなかったけど…」
希「普通の友達同士でそれだけ一緒にいるって、珍しいなぁ」
凛「…かよちん、昔からあんな感じのおとなしい性格だったから、よくいじめっ子のターゲットにされてたんだよ…」
凛「それを凛が助けてあげたのが最初に仲良くなったきっかけ」
凛「で、それからも…何かあるたびにかよちんを助けてあげてたりしたから…自然とずっと一緒にいることが多かったんだ」
希「エライなぁ…。凛ちゃんは明るいし、元気な子だし、そういうイジメとかは無縁だったんかな?」
凛「ううん、そんなこともないよ…。凛は逆に女の子なのに男っぽいみたいな感じで、よく男の子からイジメられてたりしたし…」
希「そっかぁ…」
凛「でも、そうやって男の子に言われる度に、かよちんが凛のこと可愛いって言ってくれたりして…嬉しかったなぁ…♪」
希「…」クス 凛「…話すの、もうこれぐらいでいい…? 恥ずかしいんだけど…///」
希「えー…面接はまだまだ終わらへんよー?」キシシ
凛「うぅ…///」
希「んー、まぁなんとなく二人の子供の頃の関係性は分かったかなぁ♪」
凛「…この話、面接に必要あるの…?」ブツブツ
希「あるあるー、人のことを一から知るのは、仕事上ではだいーじなことやでー?(大嘘)」ウンウン
凛「ホントー…?」ジー
希「まぁでも子供の頃はともかくとして…なんで今でもかよちんとずっと一緒なん?」
凛「なんでって…一緒にいちゃいけない?」
希「そりゃ仲良きことは美しきかなやけど…。この店に来る時も本当は一緒のつもりだったみたいなこと言ってたし…いくら何でもベタベタ過ぎるんやない?」
凛「それは…」
希「それとも、まだイジメみたいなのはあったりするんかな…?」
凛「まさかー! 学校なんて下らない場所卒業しちゃったし、そんなのはもうないよー!」
凛「それに…まだかよちんに近寄ってくるつもりなら、凛が許さないよ…っ」
希「…」 希「…それじゃあ尚更、今でもずっと一緒にいる必要はないんちゃう…?」
凛「…」
希「もしかして――事故が原因だったりするんやない…?」
凛「…あのヤブ医者から何聞いたの」ギロ
希「…かよちんの病気のことを、少しな」
凛「…っ」ギリ…
希「…」
凛「…そうだよ」
凛「…イジメられてた時の事故が原因で、かよちんは上手く喋れなくなっちゃったんだよ…」
凛「昔は…あんなに沢山凛に語りかけてくれたのに…」
凛「沢山可愛いって言ってくれたのに…」
凛「手術のあと…病室に行ったら…全然声が聞けなくて…!」
凛「凛…もう、どうしていいかわからなくて…」
凛「凛が…凛が、助けてあげられなかったから…」
凛「だから…ずっとかよちんの傍にいてあげなきゃって…!」
凛「そう思ったんだよ…」
希「…」
希「真姫ちゃんに少し話聞いただけやけど…当時は悲惨だったらしいな…」
凛「そうだよ…!」
凛「本当に…ひどかったんだよ…! かよちん…死んじゃうかもしれないって思ったんだよ…!」
凛「かよちんが死んじゃったら…凛は…っ!」
凛「うぅ…っ!」
凛「…あのヤブ医者は、かよちんのこと絶対に助けてあげるって言ったクセに…!」
凛「全然治してくれなくて…っ!」
希「真姫ちゃんは関係ないんやない…?」
凛「関係なくなんかない!!」
凛「関係なくなんか…っ!!」
希「だって、真姫ちゃんはかよちんのケガ自体は治してくれたんやろ…?」
凛「そう…だけど…っ」
希「かよちんの病気の原因は別のところにある――…」
希「それが何なのかは分からんって、真姫ちゃんも言ってたけど…」
希「そのことで真姫ちゃんを恨むのは、違うんやない…?」
凛「…」グス
凛「…そんなの、分かってるよ…」
凛「あの先生が悪くないことぐらい…バカな凛にだって分かるよ…」
希「…自分のことバカなんて言うんやないよ」
凛「…だって、本当はかよちん――…!」
凛「凛が助けてあげられなかったから…」
凛「…いつも一緒にいるって約束してたのに、助けられなかったバカな凛のせいだから…!」
凛「だからかよちん…なんにも喋れなくなっちゃったんだよ…!」
希「…」ハァ
ポン
希「…それは違うで」
凛「ふぇ…?」
希「もしかしたらそうかもしれへん――…」
希「けど、それが本当かどうかなんて確かめようがないやろ?」
凛「それは…そうだけど…でも…っ!」
希「まぁ…かよちんの病気がひょっこり出てきて、凛ちゃんが悪いーって言ってくれるんやったら別だけどー?」クスクス
凛「ふ、ふざけないでよ…っ!」キッ
希「ふふ…ごめん」ナデナデ
希「…でも、そういうことやろ? 誰かがこうです! って言わない限り、かよちんの病気の原因はだーれにも分からないんよ」
凛「…」 希「それにな、こういうのは別に誰が悪いーとか、無いんやって」
希「物事に悪人が必ずいるなんて決めてかかったら、みーんな心がギスギスしてまうでー?」
凛「…だって」
希「かよちんがこうなってしまった事実はもう変えられないんやから、それはもう運命だと思うしか無い」
凛「運命って…そんな無責任なこと…!!」
希「しょうがないんよ…」
希「だって――そうでも思わなきゃ辛いやんか…」
凛「…?」
希「ふふ…凛ちゃんは人に対して当たりが強いからな、もっと気楽に考えなアカンよ?」
凛「そんなこと…言われても…」
希「かよちんとずっと一緒にいるってのも、自分が全部悪いーみたいな責任感からやろー?」
凛「それの…何が悪いの…?」
希「ぜーんぶ悪い」ビシ
凛「いたっ! なにするにゃー!!」
希「凛ちゃん…責任感でずっと一緒にいても、相手は嬉しいとは思わんよー?」
凛「…嬉しい嬉しくないの問題じゃ…」
希「あのな? もっと素直で感情でええんやでー…?」
凛「素直…?」
希「凛ちゃん――かよちんのこと好きやろ?」
凜「ふぇ―――!?///」ズザザー
希「ふふ…図星やね♪」
凜「そそそ、そんなことない…よよよ…!!///」ブンブン
希「わっかりやすいなぁー…」クスクス
凛「///」カァー
希「まぁ…そのことは別にええんよ、隠すことは無い♪」
希「それだけ昔から一緒にいて、お互いに支えあって生きてるなら…それも必然ってもんやと思うし」
凜「ぅぅ…///」 希「ただ――今のままやとアカン」
凛「なんで…?」
希「…責任という盾を背負って相手に押し付けるのは、きっとお互いにいいことなんてないんよ」
凛「意味が…わからないよ…」
希「…」フゥ
希「…もっと素直になれってことだよ♪」ドン
……。
本当はこのSceneもう少し続くんだけど、ちょっと間に合わないのでここで一旦切ります…申し訳ない
あと最近のは見返したら結構誤字脱字あったりして、その辺も申し訳ないです 更新乙です
毎日更新してくれるだけでもありがたいんで無理せずやってくださいな
■Scene23.5
コポポ…
希「…」クス
希「――素直に、やって」
希「まるで自分に言い聞かせてるみたいやなぁ…」クス
トテテ…
花陽「よい、しょ…」ギュ
花陽「あ…あの…奥から豆を…持って…きたんですけど…」
希「ああ、ごくろーさん♪ そこに置いといてなー」
花陽「は、はい…」ドサ
花陽「…?」キョロキョロ
希「…凜ちゃん探してるん?」クス
花陽「ぁ…え、と…///」
希「凜ちゃんなら、仕事サボってた罰としてお仕置きの刑に処したからしばらく帰ってこんで〜…」ニギニギ
花陽「ふぇ…っ///」アセアセ
希「…なーんて、ウソや♪」
希「…本当は買い出し頼んでるだけやから、安心しー♪」
花陽「〜〜…」ホッ
コト
希「これ、飲んでええで♪」
花陽「…ありがとう…ござい…ます///」ペコリ
希「…かよちん、お仕事楽しい?」
花陽「ぁ…は、い…」コク
希「そか♪」
花陽「…?」チラ
ズズ…
花陽「〜〜…///」フゥ
希「かよちんはいつも、えらい美味しそうに飲んでくれるなぁ…♪」
花陽「…て、店長…さんのコーヒー…は美味しい…です、から…///」
希「ふふ…ありがとなー♪ でも、かよちんの淹れるコーヒーも中々やでー?」
花陽「そ、そんな…///」
希「教え方がよかったんかなぁー? ウチの教え方も大したもんやで…」ウンウン
花陽「…はい…♪」クス 希「…かよちん、だんだん喋ってくれるようになってきてくれて嬉しいわ♪」
花陽「ぇ…///」
希「ウチと仲良くなってくれたーって考えてもええんかな?」
花陽「ぁ…ぅ…///」
希「凛ちゃんとはいっつも沢山喋ってるしなー? ウチ、ちょっと寂しかったんやで…?」
花陽「ぁ…そ、それ…は…///」アワアワ
希「こうやって話してくれてるってことは、凛ちゃんと同じぐらい仲良しってことやんー?」ギュー
花陽「は、はわわ…///」カァー
希「…なーんて、嘘やよ♪ さすがにそれぐらいで凛ちゃんと同じにはならんわなぁー」クス
花陽「そ、それは…」アセアセ 希「凛ちゃんとは子供の頃からずっと仲良しなんやろー?」
花陽「は、はい…」
希「凛ちゃんから色々聞いたでー? かよちんは子供の頃から可愛かったーとかな♪」
花陽「あ…あぅ…り、凛ちゃんが…言ったん…ですか…?///」
希「せやでー、頼みもしないのにポロポロ喋ってたでー?」クスクス
花陽「ぅぅ…?///」
希「…ふふ、凛ちゃんはかよちんのこと大好きみたいやからなぁ…♪」
花陽「///」カァー 希「かよちんの方は、どうやー?」
花陽「ふぇ…?///」
希「かよちんは凛ちゃんのこと、好き?」
花陽「〜〜…っ///」ボン
希「あはは、かよちんも顔真っ赤やでー? 言葉にしなくても分かってまうわ」クスクス
花陽「///」
希「…ずーっと一緒やったんやもんな。その気持ちは分かるで…」
花陽「…///」 花陽「凛ちゃん…のことは…好き…です///」
花陽「けど…」
花陽「私…なんかが…好きになって…いいのかな…って思ってしまって…」
希「…なんで、そう思うん?」
花陽「こんな…性格です…し…」
花陽「上手く…喋れ…ませんし…」
花陽「…それに…いつも…迷惑かけてます…から…」
希「でもそれは…かよちんのせいじゃないやろ?」
花陽「…っ」ビク
花陽「…えっ…と…」チラ
希「病気のこと、聞いたで」
花陽「ぁ…」
希「あ、ちなみにこの話は真姫ちゃんから聞いたもんやから安心してな。凛ちゃんからは何も聞いてへんよ?」
花陽「…西木野先生…ですか…?」
希「うん…この間店に来てくれた時に、ちょっとな」
花陽「そう…だったん…ですね…」
希「病気のこととか、事故のこととか…色々聞いた」
花陽「…」
花陽「…ごめんなさい」ペコリ
花陽「今まで…病気のこと…黙ってて…」
希「別に、それはええよー。かよちん、頑張って働いてくれてるしな♪」
花陽「ありがとう…ございます…」
花陽「…」
花陽「私は…元からこんな…引っ込み思案な性格だったのに…」
花陽「突然…ヘンな病気に…かかっちゃって…更に言葉が…上手く喋れなくて…」
花陽「凛ちゃんに…すごい迷惑を…かけてるん…です…」
花陽「この店で…働いてることだって…私の我儘に…巻き込んでしまった…形ですし…」
希「我儘…?」 花陽「このお店を…西木野先生に教えて…もらって…」
希「あー…そう言えば、真姫ちゃんそんなこと言ってたなぁ…」
花陽「…とっても…素敵な店員さんがいる喫茶店…って、西木野先生が…言っていました…」
希「へ、へぇ…素敵な店員…ね…///」
花陽「…西木野先生が…このお店のことを話す時は…すごい…優しい目をしているんです…」
花陽「だから…私も…興味が湧いて…」
花陽「西木野先生は…とっても優しくて…手術の後も…沢山お話してくれたし…いつでも私の味方をしてくれたから…」
希「///」
花陽「…」
花陽「…私は、それまで…ずっと凛ちゃんに…助けてもらってばかりでした…」
花陽「一人じゃなんにもできない…弱い人間…でした…」
花陽「…だから…凛ちゃんに迷惑を…かけないように…」
花陽「一人で…生きていけるんだっていうことを…見せるために…」
花陽「この店で…働いてみよう!…って、思ったん…です…」
花陽「…でも…お店の前に来ても…何度も…逃げ帰ったりして…」
花陽「中々…一歩を踏み出すことが…できませんでした…」
花陽「結局…凛ちゃんを…巻き込む形になっちゃいましたし…」
花陽「…」
花陽「なんで…私は…こんなに弱い…のかな…」
花陽「こんな弱い子に…凛ちゃんを好きになる資格なんて…」グス
ポン
花陽「ふぇ…?///」
希「かよちんは…全然弱くないよ」ナデナデ
花陽「…?///」
希「ウチなんかに比べれば…全然…弱くなんかない――…」
花陽「…店長…さん…?」
希「…そこまで凛ちゃんのこと考えてるのに、好きになる資格がないなんて…ある訳ないやろ?」クス
花陽「で、でも…」
希「…」ハァ
希「なぁ…かよちんが働きたいって言った時のこと、覚えてるー?」
花陽「え…と…」
花陽『はたら…かせて…ください…っ!!』
花陽「…///」カァー
希「あの時の目…ウチは忘れられん」
希「あんな目で見つめられたの、穂乃果ちゃん以外にいなかったからな…」
花陽「穂乃果…ちゃん…?」 希「…かよちんが来てる制服の前任者や? かよちんと違って元気だけが取り柄のような子やったわ」
花陽「そうなん…ですか…」
希「その穂乃果ちゃんが言ってたんよ。人それぞれ、いろんな強さを持ってるってなー」
希「ウチもあの子には色々教えてもらったわ…♪」
花陽「…」
希「だから、かよちんにもな? かよちんの強さがある」
花陽「私の…強さ…?」
希「せやでー? そんな大変な病気にかかってもなお、相手のことを思いやりながら自分を震え立たせて…ウチの門を叩いた…」
希「そんなん、普通にできることやないと思うよ?」
花陽「そう…なんでしょうか…」
希「少なくとも――ウチはできんかった」
花陽「店長…さんが…?」
希「さらに言わせて貰えば…かよちんと違って病気にかかってないから、もっと弱々、ダメダメやんね」クス
花陽「そ、そんな…」
希「大体花陽ちゃん、病気に打ち勝つ力みたいなんあると思うでー?」
花陽「ぇ…?」
希「真姫ちゃんも言ってたけど、自閉症みたいなんは心の持ちよう次第やろ?」
花陽「は、はい…」
希「かよちん…今こうやって、ウチにいろんな恥ずかしい想いを告白してくれたりしてるやん? 十分強い心持っとるで」キシシ
花陽「ふぇ…?」 希「え、気付いてなかったん? さっきから熱ーい愛の告白から懺悔まで、この耳で色々聞かせてもらったでー?」
花陽「そ…そんな…私…? ふぇ…?///」カァー
希「無意識で言ってたん…? 大した器やんな…」
花陽「///」ボン
希「…ほんっと、ウチとは大違いや」
希「ウチとそっくり…?」
希「ウチが一番の大バカもんやで――…」
花陽「///」ジュー
希「かよちん?」
花陽「ぴゃい!?///」ビク
希「…とにかくな、あんまり自分に自信がないとか資格ないとか、そんなんは考えないでええねん」
花陽「…え…と…///」
希「かよちんは凛ちゃんのこと…好きなんやろ?」
花陽「…///」
花陽「す…好き…///」
花陽「です…けど…」
花陽「…でも…凛ちゃんの…迷惑になってる…なら…」
希「あーもう、面倒くさいなー!」
花陽「め、面倒…」アセアセ
希「面倒やー、本当に面倒!」
花陽「あぅ…///」
希「そんな面倒な事考えずに…かよちんの大胆さをもっと、素直に表現すればいいんよ」
花陽「す、素直…に…?///」
希「凛ちゃん大好き! 抱いて!! ぐらい直球でええんやない?」
花陽「あわわわわわわ!!!!//////」ジュー
希「…まぁそれは別の意味で精神がもたんか…。穂乃果ちゃんじゃないんやし」クス
カランコロン
凛「ただいまー…」
花陽「!!?///」ビクゥ!
希「お、調度いいタイミングで帰ってきたやん♪」
凛「買い出し行ってきたよー…。もー、なんで凛がこんなこと…」ブツブツ
凛「って」チラ
花陽「///」カァー
凛「かよちん!?」バッ
凛「ど、どうしたの顔真っ赤だよ!? 大丈夫!?」バッ
花陽「///」ジュー
凛「にゃー!! どんどん熱くなってくよー!? きゅ、救急車!?」オロオロ
希「あっはは♪ 別に心配せんでもええよ、自分の発言に恥ずかしがってるだけなんやから♪」
凛「…っ! かよちんになんかしたの…ッ!?」キッ
希「ウチはなんもしてへんよー♪」
凛「…かよちんに何かしたら…許さないよ…ッ!!」
花陽「ぁ…だ、だめだよ…店長さんは…何もしてない…から…///」ギュ
凛「か、かよちん…」 希「…凛ちゃんはかよちんのことになると怖いなぁ。相当かよちんのこと、す――…」
凛「にゃ!? ちょ、ちょっと何言ってるにゃ!!///」カァー
花陽「り、凛ちゃんも…顔が真っ赤…だよ…?」
凛「あわわわ…///」バタバタ
希「…♪」キシシ
凛「…絶対殺す…ッ!///」キッ
花陽「り、凛ちゃん…」アセアセ 凛「…やっぱりこんなとこ辞めようかよちん? あんな人でなしのおっぱい悪魔のところで働いてたら心が病んじゃうよ…」
花陽「〜〜…っ」チラ
希「散々言うてくれるやん…」
凛「凛ならどこでもかよちんについていってあげるし、助けてあげられるから…!」
凛「凛はいつだってかよちんの味方だよ…!」
凛「だから…!」グイ
花陽「〜〜っ」ギュ
凛「かよ…ちん…?」
花陽「…凛…ちゃん…」
花陽「…」
花陽「凛ちゃんは…私のこと…迷惑じゃない…?」
凛「め、迷惑って…急にどうしたの…?」
花陽「いつも…一緒にいてもらって…病気なんかしてる…私の手助けなんかして…」
花陽「邪魔だと…思ったこと…ない…?」
凛「な、なんで!? 邪魔なんて…そんなこと思うわけ無いじゃん…!」
花陽「本当…?」
凛「…ッ! あいつになんか言われたの…ッ!?」キッ
花陽「…っ、店長さん…は…関係…ないよ…っ」ギュ
凛「…っ」 花陽「…ごめんね…いつも…こんな感じで…心配ばかりかけちゃって…」
凛「そんな…こと…!」
凛「だって…それは…凛のせいだし…!」
凛「凛が…あの時助けてあげられなかったから…! こんなことに…っ!!」
花陽「ううん…違うよ…凛ちゃんのせいじゃ…ないよ…?」
凛「凛のせいだよ…全部…凛が悪いんだよ…っ!」
花陽「…そんなこと…ないから…」
花陽「私が…一人で何もできなかったから…迷惑かけちゃってるし…」
凛「迷惑だなんて思ってないよ…!」
花陽「でも…」
希「…だぁ〜かぁ〜らぁ〜」ユラ
花陽「ひっ!?」
凛「にゃっ!?」
ダブルワシワシスペシャルーーーーーー!!!!
ピャァーーーーーーーーーーーー!!!!
フニャーーーーーーーーーーーーー!!!!
希「…二人とも面倒くさいって言ってるやん?」パンパン
花陽「ふぇぇ…///」ピヨピヨ
凛「にゃぁぁ…///」ピヨピヨ
希「さっきまでのウチとのやり取り、全無視やんか。何のために二人バラバラにさせたと思ってんねん」
凛「そ、そんなこと…知らないにゃ…」クルクル
希「――まぁ…長い年月かけて擦れ違った想いなんやから、そう簡単にいかんやろうけど…」
花陽「…///」
希「――直球で聞くでー?」
凛「…っ///」
花陽「〜〜っ///」
希「凛ちゃん、かよちんのこと好き?」
凛「にゃにゃぁぁぁ!!? そ、そそそそんなこと…!!///」
希「じゃあかよちんは? 凛ちゃんのこと好き――?」
凛「ちょ、ちょっとなんてこと聞いてるの!? この人でな――…!」
花陽「…好き///」
凛「ッ!?///」ボン
希「…♪」ハァ
花陽「…私は…こんな性格だし…病気になっちゃってるし…迷惑も…たくさんかけてる…」
花陽「…けど」
花陽「それでも…いつでも…傍で助けてくれる…凛ちゃんが…好き…///」
凛「///」カァー
花陽「…こんな私でも…ずっと傍に…」
花陽「いてくれますか…?」
凛「…///」
凛「凛なんかが…ずっと傍にいても…いいの…?」
花陽「…! う、うん…!」
凛「…かよちんのこと…助けてあげられなかったし…きっと、かよちんは凛のこと…恨んでるだろうなって…」
凛「一緒にいる凛のこと…キライなのかなって…思ってた…」
花陽「そんなこと…あるわけないよ…!」
凛「ほんと…?」
花陽「ほんと…だよ…!」
凛「…」
凛「凛は…」
凛「かよちんの為に…病気が治るまで…」
凛「例え死ぬまで病気が治らなくても…凛が傍で…償わなければいけないと思ってた…」
凛「だから…凛は…かよちんのこと…好きになっちゃいけないと…思ってた…」
凛「けど…」
凛「…凛は…かよちんのこと…好きでも…いいの…?」
花陽「うん…! 大丈夫…だよ…!」
凛「本当に…? 本当にかよちんのこと…」
花陽「好きだよ…! 凛ちゃん…!」
凛「…」
凛「〜〜っ」グス
凛「…うわぁぁぁぁぁぁぁん!! かよち〜〜〜〜〜〜〜ん!!!」ボロボロ
花陽「凛ちゃん…っ!!」ポロ…
凛「ずっと昔からかよちんのこと…好きだったよぉぉ…っ!!」ボロボロ
花陽「…私も…っ」ボロボロ
希「…」グス
希「まーったく…最初から答えなんか出とるやん…」
希「なんで好きって言えへんの…」
希「本当――どうしようもないで…」
……。
■Scene24
カランコロン
花陽「い、いらっしゃい…ませ…っ///」ペコリ
コト
花陽「…ご、ご注文は…お決まりでしょう…か…///」
花陽「か、かしこまりました…」ペコ
花陽「凛ちゃん…! コーヒーを…お願い…っ」
凛「はーい! お客さん少々おまちくださいにゃー!」
ゴツン
凛「ふにゃ!?」
希「こーら、奥からそんな大声だすんやないー。お客さんに迷惑やろー?」
凛「も、もうー!! すぐ頭ぶたないでよのぞみちゃん…!」
希「あれー? 頭やなくてその小ぶりなおっぱいを揉んであげた方がよかったん〜…?」ニギニギ
凛「ひっ…! それだけは…///」バッ
希「えー、つまらんなぁー」
凛「つまらなくないよ! この人でなしっ!!///」
花陽「…♪」クスクス
カランコロン
花陽「ありがとう…ございました…っ///」ペコ
凛「また来てねーっ♪」ブンブン
花陽「はぁー…」
凛「かよちん、お疲れ様ー♪」
花陽「凛ちゃんも…お疲れ様…♪」
凛「かよちん、だんだん接客なれてきたんじゃないー? 今のお客さん、絶対かよちんのこと気に入ってたよー♪」
花陽「そそそ、そんなこと、ないと思う…けど…///」
凛「かよちん可愛いもんー♪ のぞみちゃんなんかより人気あるよー!」
花陽「そ、そんな…///」
凛「…でも、かよちんに手を出したら凛が許さないけど…ッ」キッ
ゴツン
凛「いたっ!」
希「だーから、物騒なこと口走るんやないでー?」
凛「ふにゃあ…痛いにゃ〜…」
花陽「あ…希さん…お疲れ様です…」ペコ
希「二人ともお疲れ様ー♪」
凛「もう…すぐ希ちゃんはぶつんだからー…」サスサス
希「ワシワシしないだけマシだと思っとき」
凛「うー…」
花陽「…♪」クス 希「それにしても二人のおかげで、なんか最近お客増えてきた気がするわ」
花陽「本当…ですか…?」
希「本当やでー♪ 今日はお客さん、四人も来てくれたからなー!」バーン
凛「…それ、本当に増えてるの?」ジト
希「…」ニギニギ
凛「うわーい! すごい増えてるにゃー!!」ピョーン
希「うんうん♪」
凛「…はぁ」
希「さっきのお客さんも言うとったけど、かよちんの人気が強いのかもなぁ」
花陽「わ、私…!?///」アセアセ
凛「ほらぁー! やっぱりかよちん、人気あるんだよー!」
花陽「あわあわ…///」カァー
希「そうそう、その真っ赤になったところが可愛いって言うとったでー…?」キシシ
花陽「///」ボン
凛「にゃー!? かよちんの顔が爆発したー!!」
希「あっはは♪ かよちんは可愛ええなぁー♪」
凛「笑ってる場合じゃないよ!!」アセアセ 希「あーそうそう、あと凛ちゃんのことも褒めとったでー?」
凛「ぇ…?」
凛「…凛のこと…も…?」
希「ウチのコーヒーには適わないけど、丁寧で優しい味のするコーヒーを淹れてくれる子ー…やってさ♪」
凛「ぁ…そう…なんだ…」
希「…だから、二人のおかげやんな♪」
凛「…///」
花陽「〜〜///」グルグル
……。
カチャカチャ
凛「…よいしょ…よいしょ…」
凛「…これでよし…っと、片付けおーわり!」
凛「そしたら次は…」
凛「のっぞみちゃーん!」
希「んー、なんやー?」
凛「お片付け終わったから、コーヒー淹れる練習していいー!?」
希「えー…? それもちゃんと片付けるんやよー?」
凛「もちろんだよーっ!」
希「それやったらええよ、好きにしてええで♪」
凛「ありがとうのぞみちゃんー♪」
希「…ふぅ」
カタ…
花陽「…あ、希さん…。掃除…終わりました」
希「お、ごくろーさん♪ 休憩入ってええでー?」
花陽「はい…♪」
花陽「…凛ちゃん…?」キョロキョロ
希「…凛ちゃんなら向こうで練習してるでー?」クス
凛「むむむ…」
花陽「…♪」
希「…凛ちゃん、なんだかんだここで働くの、好きなんやろうなぁ…」
花陽「…そう…ですね」
希「冗談でクビって言ったときは、本当に不安げに聞き返してくるもんやから…さすがに心が痛んだわ…」
花陽「本当…ですか…?」ジト
希「もっちろん嘘やわー…♪ あの時の凛ちゃんの表情、中々にそそるもんがあったで…?」
花陽「…もう…凛ちゃんをあまり…苛めないであげてくださいね…?」
希「ふふ…かよちんも中々言うようになったやん?」
花陽「あぅ…///」 希「全く、かよちんも凛ちゃんのことになると怖いんやから…」
花陽「…あ、あの…希さん…。名前…///」モジモジ
希「名前…?」
花陽「///」コク
希「…あー…そっかそっか。花陽ちゃん…ね♪」
花陽「はい…♪」
希「ウチ的にはもう慣れたし、かよちんのままの方がええんやけどなー」
花陽「…それでも…いいんですけど…」
花陽「でも…かよちんっていう呼び方は…凛ちゃんだけのものだったから…///」
希「おーおー、えらいノロケ発言してくれるなぁー」ニヤニヤ
花陽「あぅ…///」カァー
希「わかったで、花陽ちゃん♪」
花陽「…ありがとう…ございます…♪」ニコ
凛「にゃーっ! 苦いにゃーっ!」ベー
凛「…あれー? おっかしいなぁー…。よーし、もう一回やるよ!」
希「…頑張ってるなぁ」クス
花陽「…そうですね…」クスクス
希「本当、口調に反して可愛い子やで…♪」
花陽「そうでも…ないですよ…?」
希「お?」
花陽「ふふ…あの凛ちゃんの…にゃーって口癖…あるじゃないですか…?」
希「あー、たまに言うとるなぁ」
花陽「あれ…昔、子供の頃に…男の子みたいってからかわれてから…自分でなんとか可愛く見せようと考えて生まれたのが、あの猫真似なんです」
希「へぇ…。ちょっとズレてるのが、凛ちゃんらしいというかなんというか…」クスクス
花陽「可愛いですよね…♪」クスクス ■ このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています