「終点、東京、東京です。ご乗車、ありがとうございました。お忘れ物をなさいませんよう、ご注意下さい」

マイクのスイッチを切ってから、ふうっと息を吐き出す。
凝った首と肩を軽く回してホームに降り立つと、夜の冷たい空気が身に染みた。
これから今日最後の仕事として、各車両に忘れ物や異常がないかまわって確認しなければならない。
人が降りたのを見計らって、さっさと済ませちゃおうと早足で歩き出した。