梨子「ヤマなしオチなし」善子「よしりこ短編集」
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#1 よしりこのファーストキスにありがちなこと
〜善子の部屋〜
善子「ふ〜ん……」ペラッ
梨子「……」
善子「ファーストキスって、レモン味なんだって」ペラッ
梨子「そうなんだ……」
善子「本当なのかな?」
梨子「さ、さぁ……」
善子「梨子ちゃんはキスしたこと無いの?」
梨子「ないよぅ……」
善子「だよね」
梨子「あっさり納得されるのも心外な気が……。よっちゃんは?」
善子「ヨハネは……あるわよ!」 梨子「えぇっ!? 本当に!? いつ!? 誰と!?」
善子「昔、パパのほっぺに……」
梨子「なんだぁ……」ホッ
善子「味は、しなかったわ……」
梨子「唇同士じゃないと、ダメなんじゃあないかなぁ?」
善子「そうよね……」
梨子「……」
善子「気になるわ……」
梨子「えっ?」
善子「本当にレモン味なのか……、何故レモンの味がするのか……」
梨子「確かに……」 梨子「……ね」
善子「ん?」
梨子「きっ、キス、してみる?」
善子「えぇっ!?」
梨子「えっと、気になるなら、確かめてみればいいんじゃあないかなぁ、って思って」
善子「女の子同士よ!?」
梨子「あ、うん。そうだよね……」
梨子「で、でも、最近は結構、友達同士でもキスするのとか、あるらしいよ?」
善子「そ、そうなの?」
梨子「そういうプリ、友達に見せてもらったし……」
梨子(頬にチュウしているだけだったけど……) 善子「へ、へー。最近の子は進んでいるのね」
善子(な、なんて事なの……? 普通は友達同士でキスとか、するものなの?)
善子(ううっ、そこまで仲の良い友達ができた事がなかったから、わからない……)
梨子「よっちゃんも最近の子でしょ……。でも……そういう話を聞いたから、ちょっと試してみようかなって思ったけど、よっちゃんがイヤなら……」
善子「い、嫌ではないけれど……」
梨子「ご、ごめん。忘れて」
善子「……」
善子「……してみる?」
梨子「えっ?」
善子「キス……」
梨子「えっ……、いいの?」
善子「いいのって言うか……梨子ちゃんの方こそ、良いの? その、ファーストキスが女の子で……、っていうか、私で……」
梨子「う、うん! よっちゃんは、その……、特別な、友達だと思っているから……」 善子「そっ、そう! じゃあ……してみる?」
梨子「ハイ……」
善子「……」
梨子「……」
善子「えっと」
梨子「?」
善子「どっちから、する?」ドキドキ
梨子「あ……」
梨子「……よっちゃんから、してほしいなぁ……」
善子「うっ……」 梨子「んっ……」メツムリ
善子「うぅ……」ドキドキ
梨子「……」ドキドキ
善子「……」ドキドキ
梨子「……」ドキドキドキドキ
チュッ
善子「……ど、どう?///」カァァ
梨子「えっと……、わからなかった、かなぁ///」ドキドキ
善子「わ、私も……///」ドキドキ
梨子「味なんて、わからないよね……」
善子「うん……。ドキドキしすぎて、それどころじゃあ無かったわ……」
梨子「……」
善子「……」
善子・梨子(な、何この雰囲気〜!!) #2 よしりこのセカンドキスにありがちなこと
〜ケーキ屋さん〜
善子「むぅ、迷う……」
梨子「どれも美味しそうだよね」
善子「イチゴか、チョコか……」
梨子「……」
善子「迷う……」
梨子「イチゴショートとチョコケーキで迷ってるの?」
善子「うん……」
梨子「じゃあ、私はよっちゃんの選ばなかったほうにするよ。それで、よっちゃんに少しあげる」
善子「いいの? 梨子ちゃんは食べたいの、無いの?」
梨子「うん。どれも美味しそうだし、私はどれでも大丈夫だから」
善子「梨子ちゃん……、ありがとう!」パァァ
梨子「えへへっ」 ……
梨子「よっちゃん、お誕生日おめでとう!」
善子「ありがとう、梨子ちゃん!」
梨子「これ、プレゼント!」ハイ
善子「ありがとう! 開けても良い?」
梨子「うん!」
善子「あっ、ピンキーリング? 可愛い!」
梨子「安物だけど……。よっちゃんに似合うと思って」
善子「えへへ、どうかな?」
梨子「思ったとおり、似合ってる!」
善子「ありがとう……、梨子ちゃん。大事にするわね!」
梨子「うん!」 善子・梨子「いただきまーす」
善子「ん〜、美味しいわ」
梨子「はい、私のもあげる」
善子「ありがとう!」
梨子「はい、アーン」スッ
善子「ぱくっ」パクッ
善子「んん、こっちも美味しい!」
善子「ヨハネのもあげるわね」
善子「はい、アーン」スッ
梨子「ぱくっ」パクッ
梨子「あっ、美味しい!」
<クスクス ねぇ見て、食べさせあってる
<カワイイねあの子達
善子・梨子「〜っ!///」カァァァ ……
〜帰り道〜
梨子「美味しかったね」
善子「ええ!」
梨子「……ねぇ、よっちゃん」
善子「ん?」
梨子「あの、この前ファーストキスはレモン味がするってお話、したよね///」
善子「え、ええ。したわね……///」カァァ
梨子「今、キスしたら……、ケーキの味になるんじゃあないかな///」
善子「うえぇっ!?」
梨子「えっと……、ファーストキスは、味がしなかったから……、今なら、ちゃんと味がするんじゃあないかなって」
善子「ま、まぁ、確かに、しそうだけれど……」
梨子「……してみない?」 善子「……」
梨子「……」
善子「……、今度は、梨子ちゃんから、してくれるなら……」
梨子「う、うん。じゃあ、今度は私から……」
梨子「……いくね?」
善子「ん……」メツムリ
梨子「んー……」ドキドキ
善子「……」ドキドキ
チュウ
梨子「ど、どうだった?」
善子「……ちょっと、苺の味がしたかも……」
梨子「私も、少しチョコの風味がした……」 善子「……」
梨子「……」
善子「……って、そういう話だっけ?」
梨子「そういえば、ファーストキスはレモンの味がするのか、っていう話だった気がする」
善子「……」
梨子「ま、まぁ、セカンドキスは甘い味がしたからいいんじゃあないかな!?」
善子「むうぅ……」 #3 学校統廃合後のよしりこにありがちなこと
善子「フッフッフ……!」
梨子「どうしたのよっちゃん」
善子「見なさいこれを!」バーン
梨子「? 封筒がどうかしたの?」
善子「ただの封筒じゃあないわよ! これは噂に聞く、伝説のリア充への象徴! 妄執と狂気に満ちた、魂の煉獄への招待状――ラヴレター……」ギラン
梨子「貰ったの!?」
善子「そうよ! ふふっ、いまどきこんな古風な事をする者がいるのかと、驚きはしたけれど……。神さえも落嫉妬する我が美貌、下賎な人間を惑わしてしまうのも、仕方が無いことよね。ああ、ヨハネってば罪なアクマ……」
梨子「……よっちゃん、見て」スッ
善子「!! ま、まさかそれは!?」
梨子「そう。しかも……」スススッ
善子「3通も!?」 梨子「ああっ、こんなにも多くの人を悲しませてしまうなんて! リリーってば罪な女……」
善子「ま、負けたっ……! 流石に梨子ちゃんはモテるわね……!」
梨子「う、うーん……。私なんて、地味だし……。多分、物珍しさなんじゃあないかなぁ」
善子「この余裕が憎いっ!」
梨子「ち、違うよぉ……」
梨子「ところで、返事は出したの?」
善子「ええ。悪いけど、リトルデーモン以上の対象には見られない、って言っておいたわ」
梨子「そっか、ふふふっ」ホッ
善子「そういう梨子ちゃんは、どうしたのよ?」
梨子「みんな断ったよ……。よく知らない人だし、男の子はなんだか怖いし……」
善子「へぇ。よかった」
梨子「えっ?」 善子「だって、梨子ちゃんに彼氏なんて出来ちゃったら、今までみたいに遊べなくなっちゃいそうだし」
梨子(なーんだ……)
梨子「心配しなくとも、今は友達と遊んでいる方が楽しいよ、私は」
善子「クククッ、その鋼のような忠誠心、誠に立派よ。それでこそヨハネの上級リトルデーモン、リリーだわ!」
梨子「そんなものになった覚えはありません」
善子「ま、ヨハネも今はリトルデーモン達と遊んでいる方が楽しいのだけれどね」
善子「それで、梨子ちゃんはどんな人がタイプなの?」
梨子「えっ!?」
善子「3人も振るって事は、なかなか理想が高いんじゃあない?」
梨子「全然、そんな事ないよ!」
善子「そうなの?」
梨子「そうだよ。そういうよっちゃんはどうなの?」 善子「ヨハネのタイプは……、まず、このヨハネと釣り合うには、悪魔か魔王のような魅力が無いとダメね。そして何より魔法が使えないと論外よ!」
梨子「もう、なにそれ。ちゃんと答えてよー」
善子「ちゃんと答えたじゃない!」
梨子「ホントはどんな人がタイプなの?」
善子「むぅ〜」
善子「わからないわ、そんなの」
梨子「将来一緒にいるなら、こんな人がいいなーとか、ないの?」
善子「う〜ん……。それなら……気を使わなくて良い、一緒にいて落ち着ける人がいいかな?」
梨子「見た目とかじゃあないの?」
善子「そういえば……、あまりそういうの、考えた事はなかったわね」
梨子「ふーん……」 善子「それより梨子ちゃんはどうなの?」
梨子「私は……、善い子……かな?///」カァァ
善子「うんうん、それから?」
梨子「えっ?」
善子「えっ?」
梨子「そ、それだけ……」
善子「ええっ!? 良い子なら誰でもいいの?」
梨子「だ、誰でもっていうか……、うーん……?」
善子「何かはっきりしないわね……」
梨子「誰でもよさそうに見えて、良くないんだよ」
善子「意味がわからないのだけど……。ま、でもこの調子だと、ヨハネたちに恋愛なんて、まだまだ遠そうね」
梨子「ホント、そうなのかも」 梨子「でも、もし好きな人が出来たら、絶対に教えてね?」
善子「ええ。梨子ちゃんも教えてね」
梨子「んー……、私は秘密にしようかなぁ?」
善子「何それ! ずるい!」
梨子「いつか、勇気が出たら教えるね?」
善子「まさか、もういるの!?」
梨子「どうかなー?」
善子「教えなさいよー!」
梨子「秘密だよー」 #4 梨子が卒業するときにありがちなこと
〜梨子の部屋〜
梨子「よっちゃん……」
善子「何?」
梨子「私、東京の大学に行こうと思うんだ」
善子「え゙っ!」
梨子「どうしても行きたい所があって……」
善子「そう、なんだ……」
梨子「私もやりたい事が、できたの」
善子「そう……」
善子「うん、梨子ちゃんが決めた事なら、ヨハネも応援するわ!」
梨子「……、うん。ありがとう」ニコ 善子「フフフ……! このヨハネの加護があれば、どんな難関だろうが突破できるでしょう!」
梨子「えー、逆に不幸になりそう……」
善子「なんでよ!」
梨子「冗談だよー」
善子「……別に、東京なんて、会おうと思えばいつでも会いにいける距離だしね。向こうに行っても、たまにこうして遊んでよね」
梨子「もちろんだよ」
善子「そうなると……、こうして梨子っちの部屋に来るのも、控えた方がいいのかな」
梨子「ううん、気にしなくてもいいよ」
善子「そう……? でも、勉強の邪魔になったりしない?」
梨子「んー……、えっと、それなんだけど」
梨子「むしろ、よっちゃんがいてくれたほうが、集中できるかも……」 善子「えっ? な、何で?」
梨子「よっちゃんからマイナスイオンが出ているから……」
善子「はいはい。魔界のマイナスイオンは効くわよ? で、何で?」
梨子「んー、なんでだろう? わからないけど、よっちゃんがいるとリラックスできるんだよね」
善子「そ、そうなの? まさか、ヨハネの隠された魔力が開放されたっ……!?」
梨子「だから、よっちゃんさえよければ、今までと変わらず来て欲しいなぁ」
梨子「私は勉強しているから、つまらないかもしれないけど……」
善子「そう。そういう事なら……、お言葉に、甘えようかな」
梨子「ふふっ」 〜卒業式の日〜
曜「あっ」
千歌「と言う間にチカたちも卒業かぁ」
梨子「振り返ると、短かったように思えるけど……いろんなことがあったよね」
千歌「学校が無くなったりね」
梨子「私なんて、1年ごとに違う高校になったんだよ〜?」
曜「よっ、3つの高校を股に掛ける女!」
善子「梨子ちゃーん!」タッタッタッ
梨子「あっ、よっちゃん」
千歌「おやおや」
曜「まぁまぁ」
千歌「これはお邪魔虫になる前に」
曜「退散しますか」
梨子「な、何言ってるの二人とも〜!」アセアセ 千歌「じゃあねー! 梨子ちゃん、善子ちゃんもいいけどクラスの打ち上げにもちゃんと参加してねー」タタタッ
曜「頑張ってね梨子ちゃん! また後で!」タタタッ
梨子「あっ! も、もう〜!」
善子「あれ? 千歌ちゃんたちは? さっきまでいたよね?」
梨子「えっと、別の用事があるって行っちゃった」
善子「そっか。ねぇねぇ、男子に告白された?」
梨子「えっ? 連絡先なら、何人かに聞かれたけど……」
善子「お〜、流石、モテるわね」
梨子「だから違うって〜」 善子「ねぇ梨子っち、リボン頂戴」
梨子「ふふっ、はいはい」スルッ
善子「クククッ、これで再び契約は果たされたわ。梨子ちゃんがどこにいようと、我がリトルデーモンとして……グスッ」
善子「ううっ……」ウルッ
梨子「よっちゃん……」
善子「梨子ちゃん……卒業しないでよ……」グスッ
梨子「私も……できればしたくないよ……」
善子「ううっ、梨子ちゃん……、梨子ちゃん」グスッ
梨子「わ、私だって寂しいのに……、よっちゃんばっかり泣かないでよぉ……」グスッ
善子「だ、だって、うう〜っ」グスッ
梨子「よっちゃん……」ダキッ
梨子「遊びに、来てくれるんでしょ?」 善子「うん……」
梨子「新しい生活が始まっても、よっちゃんとの関係は変わらないよ」
善子「絶対、会いに行くから!」
善子「向こうで新しい友達作って、私の事忘れそうになっても……押し掛けるからね!」
梨子「うん……、私も、たまに帰ってくるから」
善子「来年、私も絶対梨子ちゃんと同じ大学に行くから!」
梨子「うん……」
善子「だから……待っててね!」 #5 よしりこのラインにありがちなこと
ヨハネ:彼氏できた?
梨子:ません
ヨハネ:安心した(・ω・ゞ-☆
梨子:1週間おきに聞いてくるのやめてよー
ヨハネ:気になるもん
梨子:やきもち??
ヨハネ:梨子が心配なのよ
ヨハネ:どこの馬の骨ともわからない男にたぶらかされていないか
ヨハネ:大学生は遊んでばかりだって聞いたし
梨子:そんなことないよ
梨子:それに心配してくれなくても自分の身は自分で守れます(ง `ω´)ง ヨハネ:本当かなぁ?(´σ `)?
梨子:そういうよっちゃんはー?
ヨハネ:勉強に必死でそれどころではないわ(。✖д✖。)
梨子:ちゃんと勉強してるんだ
梨子:えらいえらいd(‘ェ’*)
ヨハネ:このヨハネに不可能は無い……
梨子:(パンケーキの写真)
梨子:美味しい( ᵕ́ૢ‧̮ᵕ̀ૢ)‧̊·*
ヨハネ:いいなー
ヨハネ:美味しそう
梨子:有名なお店なんだよ
ヨハネ:太れ
梨子:今度来たとき連れて行ってあげようかと思ったけどやめた ヨハネ:冗談ですりこ様
ヨハネ:あっ
ヨハネ:それで思い出した
ヨハネ:次の土日泊まりに行くから
梨子:また?
ヨハネ:何よーダメなの?
梨子:勉強
ヨハネ:٩( ⺤◊⺤)۶
ヨハネ:息抜きも必要
梨子:息抜きが多すぎる気がします
梨子:今度来るときは勉強道具を持ってくること!
梨子:私が受験対策を叩き込んであげます
ヨハネ:えー! 梨子:B判定だったんでしょ?
ヨハネ:凄いでしょ!
梨子:油断しちゃダメ!
梨子:Aになるまで頑張ること!
ヨハネ:(σ´・ω・)
ヨハネ:りこちゃんが厳しくなった
梨子:合格するまで厳しくする事にしました
梨子:同じ学校通いたいんでしょ?
ヨハネ:それを言われるとつらい
梨子:ならもう少し頑張ろ?
梨子:私もよっちゃんと一緒に授業受けたいから( ᵕ̤ɜ)ᵕ̤ૢᴗᵕ̤ૢ )
ヨハネ:ズルイ
ヨハネ:がんばろ٩(๑òωó๑)۶
梨子:ฅ^>ω<^ฅ #6 善子の受験にありがちなこと
善子「一人暮らしって大変そうね」
梨子「んー……、最初はそうだったけど、慣れれば気楽でいいよ」
梨子「何より自由だし」
善子「そうなんだ。自炊とか大変じゃあないの?」
梨子「元々料理は嫌いじゃないから、そんなに苦でもないよ」
梨子「面倒くさいときはインスタント食品とかにしちゃうけど……」
善子「それでも十分すごいわね」
善子「私が一人暮らしする時は梨子ちゃんちの近くに住もうかな」
善子「いろいろと助けてもらえそうだし」
梨子「……それならいっそ、ルームシェアする?」
善子「ルームシェア?」 梨子「うん。家賃とかは半分ずつ出せばいいから、ちょっと良いお部屋に住めるし……」
善子「お、おお……! 大人っぽい!」
梨子「家事も二人で分担すれば、お互い楽できるよ」
善子「……うん。確かによさそうね!」
梨子「でも、プライベートとか、一人になれる時間はほとんどなくなっちゃうけど……」
善子「梨子ちゃんが相手なら大丈夫よ」
梨子「えっ?」
善子「梨子ちゃんとなら一緒に暮らしていても、苦にはならないと思うの」
梨子「そ、そっか///」
善子「り、梨子っちは……?」
梨子「私も、よっちゃんとなら……///」
善子「そっか……///」
梨子「///」 〜一般入試前日・梨子の部屋〜
善子「うう、緊張してきた……」
善子「こ、こんなときに限って、風邪を引いたり、お腹が痛くなったりするのが何時もの私なのよ……」
善子「な、何もないと良いけど……」ガクガク
梨子「落ち着いて、よっちゃん」
善子「で、でもぉ……」
梨子「じゃあよっちゃん、梨子ちゃん特製のお守りをあげる」
善子「お守り?」
梨子「ハイ、これ」
善子「えっ……、これ、鍵?」 梨子「うん。この部屋の鍵」
梨子「あの……、前に言っていた、ルームシェアするって話……」
梨子「よっちゃんが合格したら、一緒に住みたいな……」
善子「えっ!?」
梨子「第一志望に合格したらだよ?」
善子「そ、それ以外だと……?」
梨子「この話はなかった事にします」
善子「えー! なんでよぉ!」
梨子「なんででも! ほら、頑張ったらご褒美にチョコ用意しておくから」
善子「……ばか梨子! そんなの絶対、合格しなくちゃあいけないじゃない!」
梨子「そうだよ?」
善子「ばかばかばか! もう、待ってなさいよ! 絶対合格してくるから!」
梨子「うん、待ってるね」ニコ #7 二人暮らしを始めたよしりこにありがちなこと
〜ショッピングモール〜
梨子「このカップ可愛い」
善子「私の趣味じゃあないわね」
梨子「じゃあこっちは?」
善子「んんー……、いいかも」
梨子「じゃあこれ2つ買おうっと」
善子「何故2つ?」
梨子「よっちゃんと私の分だよ」
善子「お揃い……」
梨子「ルームシェア記念、みたいな感じで……」
善子「そうね。思い出になりそうでいいかも」
梨子「うん!」 ……
梨子「これ、パジャマに丁度よさそう」
善子「あ、可愛い!」
梨子「じゃあこれ、2着買おうかな」
善子「何故2着?」
梨子「え? よっちゃんと私の分だけど……」
善子「はぁ!?」
梨子「い、嫌だった……?」
善子「さ、流石にペアルックは……」
梨子「ええー、そうかなぁ。部屋着だし、誰かに見られるわけでもないのに」
善子「う、う〜ん……」
梨子「買って来るね」
善子「あっ、ちょっと!」
善子「……まぁ、いっか」 ……
梨子「後はー、お蕎麦の材料かな?」
善子「蕎麦?」
梨子「引越しといえばお蕎麦じゃない?」
善子「ふーん」
モブ子「あれっ」
モブ美「ん? あっ、梨子じゃーん!」フリフリ
梨子「あっ……、モブ子ちゃんにモブ美ちゃん」
モブ子「買い物ー? 偶然だね」
梨子「うん、偶然だねー」
モブ美「何買ったの? 見せて見せてー」
梨子「あっ、ダメだよー、内緒」
ワイワイキャッキャ
善子(むぅ〜) 善子「梨子ちゃんの友達?」
梨子「あ、うん。そうだよ。同じ学部の友達」
モブ美「お、この子がもしかして噂の後輩ちゃん?」
善子「初めまして、津島善子です」
梨子「今度から同じ大学に通うんだよ」
モブ美「へー、よろしくね」
善子「よろしくお願いします」
モブ子「可愛いねー、この子もスクールアイドルやってたの?」
梨子「そうだよー」
モブ子「すごーい、可愛いー!」
モブ美「ホント可愛い」
善子「そ、そんなこと無いですよ///」テレッ
モブ子「髪キレー」
モブ美「肌白っ」
チヤホヤチヤホヤ
梨子(むぅ〜) ……
モブ美「じゃあ私たちそろそろ行くね」
モブ子「梨子も春休み中、たまには一緒に遊ぼうよ」
梨子「うん。そうだねー」
モブ子「それじゃ、バイバーイ」フリフリ
モブ美「またねー」フリフリ
梨子「またねー」フリフリ
善子「……」ペコリ
梨子「モテモテだねー、よっちゃん?」
善子「な、何よ」 梨子「別に〜? 嬉しそうだったなーって」
善子「べ、別に嬉しくないわよ! 梨子ちゃん以外に褒められても嬉しくないし!」
梨子「えっ?」
善子「あれ?」
善子「……ゴホン、そっ、それに梨子ちゃんだって楽しそうに話していたじゃない!」
梨子「別に、よっちゃんとお話してる時のほうが楽しいもん」
善子「ん?」
梨子「んん?」
梨子「……お蕎麦の材料買って帰ろうか」
善子「……そうね」 #8 よしりこのキャンパスライフにありがちなこと
〜善子と梨子の通う大学〜
善子「梨子ちゃーん、教えてー」
梨子「どうしたの?」
善子「どの授業取ればいいかな?」
梨子「よっちゃんと私は学部が違うからあれだけど……、あ、これは楽だったよ」
善子「なるほど」
梨子「あ、あとこれはうちの学部と共通だから、一緒に受けられるよ」
梨子「それからね……」 ……
善子「ありがとう。助かったわ! 梨子ちゃん!」
梨子「ううん、どうせなら私もよっちゃんと同じ感じの時間割にしたいから、丁度よかったよ」
梨子「それによっちゃんに任せると、休みの曜日作るために無理矢理詰め込みそうだし……」
善子「なっ!」グサッ
梨子「図星でしょー?」
善子「と、とにかく、これで一緒に学校通えるわね!」
梨子「うん!」
梨子「あっ、そうだ。よっちゃん、サークルとか入る予定あるの?」
善子「え? うーん……気になっているのはいくつかあるけど……」
梨子「新歓とか行ってみる?」
善子「し……新歓とはまさか、新入生歓迎コンパの事!?」 梨子「うん」
善子「な、何てリア充な響きなの!?」
梨子「うーん……、リア充なのかなぁ? 参加するだけなら誰でも出来るし……」
善子「新入生歓迎コンパ……、それはしこたまお酒を飲まされて、酔い潰された後は即座にお持ち帰りされ、そのままいただかれてしまうという禁断のサバト……」
梨子「知識が偏りすぎ! そんなの殆ど無いからね!?」
善子「そうなの?」
梨子「そうだよぉ……。大抵のところは健全に楽しんでいると思うよ?」
善子「へぇ……」 梨子「でも、飲みすぎには本当に気をつけたほうがいいよ。羽目を外して飲みすぎると、後々大変なことになるからね」
梨子「さっきよっちゃんが言っていたような事も、実際に無いわけではないんだよ。そうでなくとも、飲みすぎて吐くだけならまだしも、そのまま意識を失って入院とか、最悪死んじゃうことだってあるんだから」
善子「ま、まるで経験したかのような口ぶりね」
梨子「気のせいだよ。私はすぐ酔っちゃうし、あんまり飲めないから」
善子「そう……。肝に銘じておくわ」
梨子「ふふっ、でも大丈夫だよ。よっちゃんは私が守るから」キリッ
善子「……少し頼りないわね」
梨子「ヒドイ!」
善子「なんてね。梨子ちゃんがいると、安心できるわ」
梨子「そ、そう?」
善子「ええ。これからもよろしくね」
梨子「こちらこそ」ニコッ #9 片思いをこじらせた梨子にありがちなこと
モブ男「結構遅くなりましたねー」
梨子「そうですね……。お疲れ様でした」ペコリ
モブ男「桜内さん、この後食事でもどうですか?」
梨子「ご、ごめんなさい。今日はちょっと用事があって……」
モブ男「あちゃー、やっぱりダメですか」
桜内「ええと、すみません……」
モブ男「いえいえ。でも、たまにはお願いしますよー?」
桜内「え、ええ。では、お疲れ様でした」
モブ男「お疲れ様でしたー」 〜電車〜
梨子(最近よく誘われるなぁ……)
梨子(私だって馬鹿じゃない。向こうの好意には気付いている)
梨子(男の人と恋愛だなんて、考えたこともなかったけど……)
梨子(それが普通なんだよね。私くらいの年齢なら、そろそろ……)
梨子(でも、私はよっちゃんが好き)
梨子(はぁ、いつまでもこのままでいいのかな)
梨子(ずっと一緒にいて、今では一緒にいることが当たり前になったけど)
梨子(私たちの関係は、一歩も進まないまま)
梨子(よっちゃんといると凄く落ち着く。家に帰るとよっちゃんがいてくれる事がとても幸せ)
梨子(他に幸せな事なんて……) 梨子(ずっと、好きだったのに……、ずっと伝えられないまま、ずるずるとここまで来てしまった)
梨子(よっちゃんにとって私は何だろう……? 親友?)
梨子(そういえば、高校生のとき……キスしたことあったなぁ)
梨子(今思うと……無理のあるファーストキスだけど……)
梨子(よっちゃんのばか! おばかよっちゃん! いくら仲のいい友達同士でも、唇にキスなんてするわけないじゃない!)
梨子(よっちゃんはいくらアピールしても気付かないし……、やっぱり女の子同士だから?)
梨子(このままいても、余計別れが辛くなるだけ。そうなる前に……)
梨子(よっちゃん離れ、しないといけないのかなぁ……)
梨子(よっちゃんもいつかは、彼氏が出来て……きっと、私たちのこの生活も終わりになる)
梨子(ていうか、よっちゃん普通に美少女だし……、絶対、いろんな男性に声かけられているよね)
梨子(ううん……よっちゃんが男の人に取られちゃうのかぁ……)
梨子(それは、嫌だなぁ)
梨子(よっちゃんも私の事が好きならいいのに) #10 よしりこのプロポーズにありがちなこと
〜梨子と善子の部屋〜
梨子「ただいまー」ガチャ
善子「おかえりこ」ドタドタ
梨子「お菓子買ってきたよー」
善子「ありがとう!」
善子「ご飯の用意、できてるわよ」
……
梨子「ねぇ、よっちゃん」
善子「んー?」
梨子「えっとね……」
梨子「その……」
梨子「……」ドキドキ 善子「ど、どうしたのよ?」
梨子「この、同居生活の事なんだけど……」
善子「え……」
梨子「……」
梨子「無期限に、延期できないかな……?」
善子「へ?」
梨子「……」
善子「元々、期限なんて決めていたっけ?」
梨子「ううん、そうなんだけど……。つまり、ずっと一緒にいて欲しいなぁ、って事……///」カァァ
善子「ん……」
善子「んんっ!?」
梨子「わかりやすく言うと……、善子ちゃん。私と、結婚してください!」
善子「はぁぁぁぁぁぁ!?」 梨子「ご、ごめんね」
善子「話が唐突すぎるわよ!」
善子「っていうか、結婚って!」
善子「話をすっ飛ばしすぎよ! 私たち付き合ってすらなかったと思うんだけどぉ!?」
梨子「あ、えっと、ごめんなさい。気持ちが先走っちゃった」
善子「先走りすぎよ!」
梨子「私、本当は、よっちゃんの事が好き。ずっと二人で暮らしていたいし、他の人に取られるのなんて想像もしたくない」
善子「……」
梨子「女の子同士でも、キスしたいし、その先のこともしたいって思っているの」
梨子「急にこんな事……、迷惑かもしれないけど……」
善子「はぁ……、やっと言ってくれたと思ったら、いきなりプロポーズなんて……」
梨子「えっ……、やっと?」 善子「梨子ちゃん、私も梨子ちゃんが好き。私が一番落ち着けるのは、梨子ちゃんの傍にいるとき」
善子「今のこの暮らしは、私にとって、とても幸せなものなの」
善子「だから……、こんな私でもよければ……。喜んで、結婚、したいわ」
梨子「えっ?」
善子「だから、私もずっと梨子ちゃんの事が好きだったの!」
梨子「えええぇぇぇ〜〜〜!」
善子「好きじゃなきゃ、わざわざ東京まで追ってきたりしないわよ……」
梨子「どうして言ってくれなかったの!?」
善子「えと、梨子ちゃんの気持ちには、薄々気付いていたけれど……。告白するよりも……されたかったの!」
梨子「なにそれ意味わかんない! ヒドイよ! ばかよっちゃん! おばか!」
善子「だ、だってぇ……、女の子なのよ? するよりも、されたいじゃない……」 梨子「私も女の子だよ! もう、本当に信じられない!」
梨子「私ずっと片思いで、ずっと悩んでいたのに!」
善子「ご、ごめんなさい」
梨子「もう本当にばか! ばかばかばか!」
善子「わ、私だって、ずっと待たせるようならこっちから行くつもりだったのよぉ……」
梨子「もっと早く来てよ! ずっと両思いだったなんて……馬鹿みたいじゃない!」グスッ
梨子「……でもっ、嬉しいから! 全部許しちゃう!」
善子「梨子ちゃん……」パァァ
梨子「嬉しいよぉ!」ウワァァン
善子「わ、私も嬉しいわよ!」ギュッ ……
善子「落ち着いた?」サスサス
梨子「ご、ごめんね」
善子「別にいいわよ、このくらい」
梨子「よっちゃんはいつから私の事が好きだったの?」
善子「え? うーん……、気付いたのは、梨子ちゃんが卒業したときだったけれど」
梨子「そっか……」
善子「梨子ちゃんは?」
梨子「私? 私は出会ったときからだよ」
善子「えっ!?」
梨子「一目惚れ……だったのかなぁ……」
善子「そうなんだ……」
梨子「……よっちゃん」
善子「ん?」
梨子「キス、しよ」
善子「……」コクッ 〜数日後〜
モブ男「お疲れ様でしたー」
梨子「お疲れ様でした!」ペコリ
先輩「おつかれぇぇぇぇぇぇい! よっしゃ酒盛りじゃーーーーーーーーーー!」
モブ男「またですかぁ?」
梨子「ごめんなさい、家で待ってくれている人がいるので!」
モブ男「えっ」
先輩「なんだぁ、男かぁ!?」
モブ男「ええっ!?」
梨子「ちち、違いますよぉ! お疲れ様です!」タタッ
モブ男「あ、お疲れ様です」
先輩「私より先に結婚したら許さないゾ☆」
梨子「ごめんなさーい!」タタタッ
先輩「最近元気ね、あの子」
先輩「間違いない、ありゃあ男ができたな」
モブ男「くぅ〜、終わりましたw これにて失恋です!」 #11 アラサーのよしりこにありがちなこと
梨子「ふふっ」ニコニコ
善子「何、ニヤニヤしているのよ? 気持ち悪い」
梨子「ヒドイなぁ……もう」
梨子「少し、昔の事を思い出していたんだよ」
善子「昔?」
梨子「うん。高校生のときの事」
善子「そ、そう……。私はそんな昔の事、もう忘れたわ」
梨子「えー、ホントに?」
善子「私は過去には囚われない。常に未来を見て生きているのよ!」 梨子「堕天使だった時の事も忘れたの?」
善子「うぐっ!」
梨子「学校で堕天使披露して軽く不登校になった事も忘れた?」
善子「うぐぐっ!」
梨子「他には――」
善子「もういいから! もうやめてぇ!」
梨子「ふふっ、ファーストキスの事も忘れた?」
善子「んっ……、それは、覚えているわ……」
梨子「若気の至りだね」
善子「ホントよ……。で、どんな事思い出していたの?」
梨子「私が卒業するとき、善子が大泣きした時のこと」
善子「なぁっ!? お、大泣きはしてないわよぉ」
梨子「そうだっけ? 『うわぁぁぁん、梨子が東京へ行っちゃうよ〜!』って、泣き喚いてなかった?」 善子「な、泣きはしたけれど、そんな風ではなかったでしょう!」ムキー
梨子「あの頃の善子は本当に天使だったなぁ」
善子「今はどうだって言うのよ……」
梨子「私の可愛い恋人♪」ピトッ
善子「んもう! 馬鹿にしてぇ……」
善子「大体、梨子が私を置いて行くのが悪いのよ」
梨子「一人にしてゴメンね」ギュッ ナデナデ
善子「もう!」
善子「……貯めていたバイト代は殆どここに来る費用で消えていたし、あの頃は辛かったわ」
梨子「私だって辛かったんだよー? よっちゃんと離れ離れになって寂しかったし」
善子「静岡から通えばよかったのに」
梨子「できない事は無いけど……」
善子「私への愛が足りていなかったのよ!」
梨子「はいはい。ごめんね」ナデナデ 善子「……まぁ、だからこそ、今こうして一緒に暮らせているのかもしれないけれど」
梨子「そうだよー。あの時の決断のおかげで、今の幸せな暮らしがあるんだよ?」
梨子「よしっ、ケーキの準備完了!」
善子「紅茶も沸いたみたい」
……
梨子「善子はチョコケーキね」
善子「わーい」
梨子「ハッピバースデートゥーユー♪」
善子「あんまり、ハッピーじゃあないわ」
梨子「まぁまぁ、そんな事言わずに。お誕生日おめでとう!」
善子「はぁ、この年になると憂鬱なだけよぉ……」ドヨーン
梨子「あはは……。まぁ、そうだよね」
善子「親には結婚の事ばかり言われるし」
梨子「私は最近、ついに言われなくなったよ。察されたのかな?」
善子「ああ、やっぱりそろそろ打ち明けるべきなのかしら?」
梨子「まぁ、そろそろ、言ったほうがいいとは思うけど」 善子「時の流れが憎いわ」
梨子「堕天使なのに」
善子「やめてよ! それはもう言わないで!」カァァ
梨子「ふふ、ごめんごめん。ハイ、これがプレゼントだよ」
善子「ありがとう。開けてもいい?」
梨子「どうぞ」
善子「あっ、フラワーボックスね。うん、綺麗だわ! ありがとう!」
梨子「どういたしまして」
善子「そしてケーキも……。いただきまーす」パクッ
梨子「いただきまーす」パクッ
善子「んー、美味しい!」
梨子「このお店、本当に美味しいよね」
善子「そういえば、このカップ……私たちが同居し始めたときに買ったやつだっけ?」
梨子「そうだよ。二人で選んだ思い出の品だよー」 善子「懐かしい……、もうこんなに使い込んじゃって」
梨子「10年前だからね」
善子「もうそんなに経ったのね」
梨子「早かったねぇ」
善子「きっと気付いたら、そのうちに『これで20年目ねぇ』とか言っているのよ……」
梨子「10年後も一緒にいてくれるんだ?」ニコ
善子「こうなれば、死なば諸共よ」
梨子「死ぬまで一緒にいてくれるってこと?」
善子「気が変わらなければね」
梨子「そこはハイって言うところでしょ?」
善子「ハイ」
梨子「善子、こっちも一口食べる?」
善子「ん」パクッ
善子「あ、美味しい」 梨子「うん。ここのケーキはどれも美味しいよね」
善子「私のも一口あげる」
梨子「ありがとう」パクッ
善子「しっかし、私たちももうアラサーだって言うのに、何も無いわね」
梨子「そう? 色々あったと思うけど……。デートはいっぱいしているし、旅行だっていろんな場所に行ったよ?」
善子「そういう事ではなくて……。ただ、あまりにも平和すぎたかなって」
梨子「いい事だね」
善子「たまには、大事件発生! 二人で乗り越える障害、そうして深まる二人の絆……みたいなのを期待したりしない?」
梨子「しない、といえば嘘になるけど……」
善子「高校生活が充実していた反動かしら。それ以降ずっとのんびり過ごしているような感じなのよね」
梨子「あはは、確かに」
善子「ま、別に今の生活が気に入っていないわけじゃあないんだけど」
梨子「うんうん。別に何もなくていいんだよ。何も起きない平和なまま、こうして善子とケーキを食べられれば私は幸せだよ」
梨子「だから10年後も、20年後も、その次も。二人で一緒にケーキを食べようね」
善子「恥ずかしい台詞禁止!」 梨子「えー、本心なのに」
善子「全く……、でも、こうなったら梨子には、死ぬまで私に付き合ってもらうんだからね」
梨子「善子こそ」
善子「この堕天使ヨハネに一生付き従う覚悟はあるようね!」ギラン
梨子「甘いわっ! 我が魅力の前に平伏すのは貴女の方よっ!」
梨子「ふふっ」
善子「あははっ」
梨子「ねぇ、次にやりたい事が決まったよ」
善子「何よ?」
梨子「結婚式!」
善子「……そういえば、結婚していたっけ、私たち」 梨子「さすがに、式場を借りて……っていうのは、難しいかもしれないけれど……」
善子「二人でウェディングドレス……も難しそうね。でも、綺麗なドレスを着ましょう」
梨子「Aqoursのみんなを呼んで」
善子「指輪交換は外せないわね」
梨子「誓いのキスもしちゃう?」
善子「式が終わればパーティーね。ケーキを用意しなくちゃあ」
梨子「ふふ、楽しみ」
善子「そうとなれば早速計画を立てるわよ!」
梨子「ねぇ、善子」
善子「ん?」
梨子「おばあちゃんになっても、一緒にいてね?」ニコ
オワリ 全然短編集じゃないし無駄に長々としちゃいましたが読んでくれた方ありがとうございます。 呼び方がどんどん変わって行ってるところとかとってもよかった ■ このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています