【SS】μ'sVSAqours!?2
■ このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています
二人は素早く図書室に入り、中を見渡した。
梨子「誰も、いないみたいですね」コソッ
ダイヤ「ええ…しかし、この声。私が間違えるはずはありません」
ダイヤ「エリーチカと南ことりさん。微かに東條希さんの声も」
ダイヤ「やはり、μ'sが相手なのですね…」 梨子「…というか、衝撃が強すぎて忘れてたけど、二人とも大丈夫かな…」
ダイヤ「争いの跡はあったものの血などは見られませんでしたし、大事ではないかと」
ダイヤ「残り時間もありませんし、図書室を見て回りましょう」
----------------------------- 星空凛は、最初にいた2階南側教室に戻ってきていた。
ガラガラッ
凛「…」ササッ
誰もいないことを確認したその時。何者かの気配を感じ振り返ると同時に、凛は動きを封じられた。 希「もう、心配したんだよ…?」ギュッ
凛「…のぞ、みちゃん」ギュッ
希「急にいなくなったから、すごく焦って…」グスッ
凛「…ごめんにゃ」ナデ
----------------------------- ジリリリリ
『皆盛り上がってるところごめんね〜今日はここまでにして、明日にしよってことになったからさ、外から北側に集まってよ』
一同が集まる。北側は、入口がそれぞれのチームに分かれた、合宿所のようなところだった。
『とりあえず今日は、その中で自由にしてればいいからね〜、日常的な物なら、欲しいものはリストアップしてくれれば送ってあげるよ。あ、覗いたり盗み聞きしたりする趣味はないから、はっちゃけても大丈夫〜!』プツッ
沈黙と、交錯する視線。
絵里「入りましょう?こんな所で睨み合っていても埒が明かないわよ」
真姫「…そうね」
ガチャ 善子「はあ…何で隣りの部屋なのよ」
曜「他にも空いてそうなのになぁ…」
ガチャ
ダイヤ「畳敷きの寝室に、居間、台所、お風呂…」
果南「思ったよりちゃんと泊まれそうだけど、このトイレの貼り紙…」
古障中!校舎内のを使ってね!
ダイヤ「…漢字を間違えてますわね」 鞠莉「武器は物置に入れちゃいましょ?出しっぱなしは危ないわ」
ルビィ「物置が武器庫になっちゃった…」
花丸「はーい、マルに提案があるずら」
梨子「どうしたの?」
花丸「お腹すいたから、お昼にしたいなって…」エヘヘ
梨子「ふふっ、冷蔵庫のもので皆の分も作っちゃおっか」
花丸「頑張ります」フンッ
----------------------------- 曜「ごちそうさま」
花丸「お粗末さまでした」
ダイヤ「さて、どう致しましょう…」ボソッ
ルビィ「必要な物がないか、確認するのがいいんじゃないかな…?」
果南「そうだね、手分けしよっか」
鞠莉「とりあえず、これでリスト送るわね」
食材・タオル・着替え・ノートパソコンを送って頂戴。さっき言ってたこと、嘘は無いわよね?
梨子「よっちゃん…」
善子「じょ、情報収集よ」
ダイヤ「そういえば、私達を閉じ込めましたわ よ ね?」
鞠莉「Sorry〜鍵を試しておきたくて――」
----------------------------- 凛「わ、綺麗なお花…」
にこ「この青い薔薇って遺伝子組み換え的なやつでしょ?」
花陽「他に、白い薔薇に色水を吸わせて染める作り方もあるみたいだよ」
真姫「ふーん…」 ことり「あれ、海未ちゃんと絵里ちゃんがいないよ?」
希「……外にいるよ」
絵里「…ふふ、早く始めましょう?」スッ
海未「ええ、お手柔らかに」ザッ
----------------------------- 果南「あ、届いたみたいだね」
ルビィ「あれ、これって…」ガサゴソ
善子「私達のものじゃない」
花丸「ルビィちゃんと善子ちゃんのパソコンに、皆のパジャマと制服、パーカーも…」
鞠莉「家にあるものなら届けてくれるってことかしら」ピロン
もちろん。他に必要な物があれば今日中に。
ダイヤ(これなら、話せるわね)チラッ
ダイヤ「…皆さんに、お話が」 梨子「――っていうことなんです」
善子「意外…ダイヤさんは慎重派だと思ってた」
ダイヤ「μ'sだと思ったら、焦ってしまって…」
曜「…もし、協力することになったらどうする?」
ルビィ「お互いの情報を共有して、作戦を立てたりとか…?」
果南「まあ、まだ決まったわけじゃないし、あっちの返事を聞いてからだね」
花丸「今の時点ではまだ敵チーム。情報収集始めるずら」
鞠莉「…ダイヤ、外に来て」コソッ
----------------------------- ダイヤ「…私を連れ出して何の話ですか?」
鞠莉「μ'sだから、協力を持ちかけたの?」
ダイヤは押し黙ってしまう。
鞠莉「答えて」
ダイヤ「…人数や強さも考慮した上です。しかし――」
ダイヤ「――違う、とは言いきれません」
鞠莉「もっと冷静になりなさい。大事な時に躊躇わないように」
鞠莉「……先に、戻ってるね」 私の甘さが、安易な行動を起こしたのです。倒すべき相手が誰であろうと、関係の無い事のはず。お覚悟など、到底言えたものではありませんわね。
----------------------------- 善子「さて――って、μ'sのホームページが消されてる!」
果南「やられたね…」
ルビィ「あ、Aqoursのホームページって…」
梨子「千歌ちゃんがいつもしてたから」
曜「消せないってことだね、どうしよう…」 花丸「でもこっちにはダイヤさんとルビィちゃんがいるし、情報戦は引き分けのはず」
善子「なるほど。リトルデーモン4号の蓄えた力を解放する時が来たわ…」フフ‥
果南「ふふっ、いつもの善子が出てきたね」
善子「…はっ!こ、これは…」
果南「こんな状況だからこそ、皆無理せずいつも通りの方がいいと思うんだ」
果南「ずっと気を張ってたら、疲れちゃうからね」 本当は、誰かさんにも言ってあげたい事があるんだけどね…言ったらきっと、意固地になるだろうから。
曜「…」
果南「…曜、怪我してるでしょ。夕飯まで休んだら?」
曜「うん、そうするよ」
----------------------------- 真姫「さっきの、言い過ぎだったんじゃない?」
花陽「…聞いてたんだ」
花陽「あんまり私らしくないよね…」 《倒せる覚悟ですか?選べる覚悟ですか?》
真姫「覚悟、ね……」
真っ赤な薔薇は、青く染まらないのかしら。
----------------------------- 果南「μ's情報聴いてたら、いつの間にか夕方なんだけど…」
花丸「マルたちはどうすればいいかな?」
果南「マルたちは――うーん。とりあえず、私とマルでご飯作るね」
果南「ルビィと善子はお風呂沸かして布団敷いてくれる?」
善子「承知」フッ‥
ルビィ「がんばルビィ!」 果南「マルは魚捌ける?」
花丸(いつの間にか呼び方変わったずら…)
善子「起こさないように…」ヒソヒソ
ルビィ「うゅ…」ヒソヒソ
曜「おと、さん…ぎゅう…」ギュッ
ルビィ「ふふ、可愛い…」ニコニコ
善子「寂しくて夢に出てくるのね」ツンツン
曜「ぁ…ちゃん…めてよぉ…」プニプニ
曜「…いかな、で…」
曜の頬に一筋の涙が伝った。
善子「…」ギュッ
ルビィ「…」ナデナデ
----------------------------- 鞠莉「梨子、少し遅くない?」
ダイヤ「…私が様子を見てきます」
ダイヤが行ってからしばらく経つけど…私も見に行った方がいいのかな。
ガチャ
ダイヤ「鞠莉さんっ、タオルを持ってきてください」
鞠莉「…梨子はどうしたの?」
ダイヤ「その、…体調不良で。少し離れたところで待っています」
鞠莉「…ああ、なるほど。はい、目立たない色にしておいたわ」
あ、着替えも必要よね。 ダイヤ「梨子さん、貰ってきましたわっ」
鞠莉「…ねえダイヤ」
ダイヤ「っ!いつの間についてきて…っ」バッ
鞠莉「何で、梨子の髪が濡れてるの…?」
----------------------------- ダイヤ「1番近いトイレは…」タタタ
寮を出て一向に戻らない梨子を探し、ダイヤは校舎に来ていた。
ダイヤ「り、こさん…?」
視界に飛び込んできたのは、水の張られた手洗い場に浮かんだ頭。 ダイヤ「梨子さん!」
ダイヤが軽く揺すると、梨子はすぐに息を吹き返した。
梨子「けほっ!けほ…」
ダイヤ「大丈夫ですか!?一体誰に――」
梨子「誰にも言わないで!」
梨子「…お願い、します」
ダイヤ「……戻りましょう。風邪ひきますわよ」
ダイヤ「ここで待っていて下さい。タオルを取ってきますわ」
----------------------------- 鞠莉「ふぅん…それでGirl's Dayなんて嘘ついたんだ」
梨子「皆には言わないでください、混乱させると思うから」
鞠莉「梨子は優しいのね。マリーは許せないけどっ☆」
ダイヤ「鞠莉さん…?」
鞠莉「じゃあそういう事にしておいてあげる。先に戻ってるわね〜」
鞠莉「ふふっ。宣戦布告にしてはまた手荒な…」
二人とも、気付いてなかったみたい。梨子のパーカーのフードに入ってたコレ、返してあげなくちゃね。
----------------------------- チャプン
《あんたはそれでいいの?》
μ'sと手を組もうが組むまいが…戦うことは避けられない。
戦うのが怖い?ううん。自然の摂理、弱肉強食なんて思ってたら、怖さなんて消えちゃってた。
だったら、今のおらを引き止めてるのは…?
花丸「…決めた」ザバッ 善子「新聞紙とハサミ?髪でも切るつもり?」
花丸「うん、そうだよ」
《ルビィちゃん。おら、願掛けする。願いが叶うまで髪は切らない!》
《花丸ちゃん、来世まで切れなくなっちゃうよ…?》
《それなら、結べばいいずら》 人殺しなんてしたら、もう来世で逢えないかもしれないなぁ…でも、マルのちっぽけな倫理観や、思想や、願いより――
大事なのは、今のみんなだから。 バイバイ。昨日までの、花丸。
ザクッ パラパラ…
ルビィ「お風呂上がってるー?」ヒョコ
ルビィ「あ…髪、切ったんだね」
花丸「うん、もうマルに願掛けは要らないずら」
ルビィ「…そう、なんだ」
----------------------------- コンコン
ガチャ
真姫「…何」
鞠莉「交渉決裂ってことよね?それと、これ――」 銃を片手に持つ無愛想な顔の彼女に、鞠莉は薄桃色のシュシュを差し出した。
鞠莉「――お友達の落し物だよ?」
----------------------------- 凛「希ちゃん、それ…」
希「あれ、一つちぎれちゃった。うーん。スペアも無くなってるし、明日はひとつ結びやね」
真姫「…」
どうみても希のシュシュだけど、怪しい。そのまま返すわけにはいかないし…ごめん希。
真姫はシュシュをゴミ箱に突っ込んだ。
ことり「あれ、海未ちゃんも絵里ちゃんも、まだ戦ってるの?」
花陽「うん……そろそろ止めてくるね」 にこ「柔軟剤は置いておくでしょ、普通」
にこ「あ、リストで頼んでおけば良かったわ…もうこのまま洗うしかないわね」ハア
----------------------------- 曜「そういえば鞠莉さん、ナイフ投げなんてしてたんですね」
鞠莉「あれも嘘、ダーツとベースボールをしてたの。でも得意なのはホントよ?」
曜「野球かあ、意外…あと、さっきから何してるんですか?」
鞠莉「ふふっ、ちょっとイイこと思いついちゃって。にしても、ナイフが減らないなんて不思議よね〜☆」 鞠莉「〜♪」ポチポチ
ピロン
鞠莉「…ふふふっ」
曜「何頼んだの?」
鞠莉「黒澤家に残っている、毒物漁法の遺産よ」
曜「…?」
鞠莉「あと、香水瓶もね☆」
----------------------------- 珍しく、今日はなかなか寝付けません。
海未の脳裏には、敵に付けた傷と、そこから滲む血が焼きついていた。
同時に、嫌な想像が彼女を覆う。
そうです。
きっと、こんな状況で疲れているのです。そんな事は有り得ません。
決して。
----------------------------- 草木も眠る丑三つ時。
真姫「…すぅ、すぅ…」
寝息と風の音の中に、無機質な開閉音が響く。
ガチャリ
カッ ゴロゴロ‥
細い糸状のものが、雷光を反射する。 人影が真姫に跨り、首元に手を伸ばした。
真姫「あっ…がっ…!」
真姫「は、なしっ…っ!」
海未「誰ですっ!?」
騒ぎに気づいた海未が叫ぶ。すると真姫にのしかかる重みが消えた。
真姫「はっ、はっ…!」
ことり「ふあぁ…まだ真夜中だよ、海未ちゃん…」
海未「気をつけて。誰かいます…」
にこ「誰かって――」
ガチャ
花陽「出てったみたい…?」
絵里「…」
絵里が部屋の電気をつける。
凛「真姫、ちゃん…?」 先程まで震えていた彼女は、既に布団に入っていた。
真姫「まき、ねむい。みんなも早ね早おきするの…」
海未「真姫…?」
ことり「何か様子が…」
希「……」
希「にこっちを抱き枕にすると、あったかいんよ」
真姫「ん、ぎゅうしてねる…」ギュッ
にこ「え、この状態で寝るの?」 真姫「…すぅ、すぅ…」
にこ「…やっと寝たわよ」ヒソヒソ
希「ありがとね、にこっち」ヒソヒソ
にこ「捕まえられてて、布団から出れないんだけど」ヒソヒソ
希「んー…そのまま寝ればええやん」ヒソヒソ
にこ「寝違えないといいけど…」ヒソヒソ
希「起きてるのは、ウチとことりちゃんと花陽ちゃんだけか。皆疲れて寝ちゃったんやね」ヒソヒソ
花陽「なんだか、申し訳ないなあ…」ヒソヒソ
ことり「うん…次は、がんばろ?」ヒソヒソ
希「真姫ちゃんのことは、朝皆で話そっか」ヒソヒソ
希「戸締りも確認したし。おやすみ」ヒソヒソ
----------------------------- ??「漁の道具ねえ。確かに武器ではないんですけど…」
??「ねぇ、どう思う――って二人ともどこいったよ…?」
----------------------------- 非日常に投げ込まれた少女達――
希「戦略的撤退と言ってほしいやん?」
果南「認めなよ、私と同じだって…!」
絵里「…興ざめだわ」
鞠莉「ふふっ。Rock on…♡」
凛「もう戻れないのかな…」
ダイヤ「…お待ちなさい」
真姫「もう、逃げないんだから!」
善子「私の我儘、聞いてくれるわよね」 正気を保つ者、壊れてしまう者――
ルビィ「…あはは…あはははははっ♡」
海未「これは穂乃果のためなのです」
曜「誰かがいなかったら、悲しむから」
花陽「これが覚悟、だよね…」
花丸「さよなら…っ」
にこ「っ…あったりまえでしょー?」
梨子「信じられないよっ!」
ことり「ごめんなさいごめんなさいごめんなさ――」 ――最後に笑うのは、誰だ?
……To be continued
----------------------------- ??「はぁー、やっと前半のチェック終わった」ボフッ
??「というか、若い子達の中なんだし少し修正する気遣いが欲しいんだけど…」
??「後半チェックもあるし……給料は良いんだけどなあ〜」 前半終わりです。後半はまだまだ書けてませんが、読んでもらえたら嬉しいです。 ■ このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています