千歌「ロボットに乗ろうよ!」
■ このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています
果南「!」
曜「はあ」
千歌「曜ちゃん! 果南ちゃん! ロボット部作ろうよ!」
曜「突然どうしたの、ロボット部って」
千歌「ロボットだよロボット! 最近テレビでもやってるじゃん!」
曜「あー、ヴァーチャル世界でロボットに乗って……ってやつ?」
果南「……VFC?」
曜「たしか、最近正式なスポーツとして認められたんだっけ」
千歌「そう!ヴァーチャル分野では初のスポーツ認定!」
果南「だいぶ前から、話はあったみたいだけどね」
千歌「そして全国大会が開催!」
曜「で、それをやりたいの?」
千歌「うん! 絶対楽しいよ!」
果南「…………」
曜「でも私はプログラミングの方が忙しいし……」
千歌「プログラミング大会最終選考だっけ?」
曜「うん、もう少しで日本一なんだ」
千歌「頑張ってね!」
曜「うん!」
千歌「ロボットやろうよ!」
曜「話聞いてた?」 ー海沿いの道ー
千歌「いやぁ、すごかったね!」テクテク
千歌「本当にロボットに乗ることができるなんて……」
曜「まさかあんなに動けるなんて……」
花丸「驚きましたよ、初心者とは思えなかったずら……」
曜「上手い人はあんなものなの?」
花丸「いや、さすがに……」
千歌「あ、コンビニ見えた! なんか買ってくるよ!」
曜「あ、私は適当に飲み物で」
花丸「あ、おらも……」
千歌「はーい!」タッタッ
曜「…………」
曜「……ね、やっぱり」
花丸「そうですね、あれは少し……普通ではないずら」
曜「あんな動きを、初心者が……」
花丸「三本脚の回転なんて、並の判断力と空間認識能力ではできません、もはや、三本脚を自分の身体と信じ込むような脳でもないと」
曜「しかもたぶん、無意識に遠心力を利用してるよね……」
花丸「えぇ……おそらく、千歌さんは」
花丸「第六感の持ち主でしょうか」
…………
………
ーコンビニー
千歌「えと……花丸ちゃんはどれにしよ」ボソッ
ルビィ「!」ピクッ
千歌「?」
ルビィ「…………」フイ
千歌(……どこかで見たことある顔だなぁ)
千歌「……早く買って帰ろ!」 ー次の日ー
果南「どうしたの千歌、やけに機嫌いいね」
千歌「んっふふー、わかるー?」
曜「目に見えて……」
果南「最近すぐどこかに出かけてるけど、何かしてるの?」
千歌「うん、花丸ちゃんの家で、VFCやってるの!」
果南「」ピクッ
曜「?」
千歌「こーね、EVRの中でロボットに乗って、自分の手足みたいにねー」
果南「……へぇ、そうなんだ」
千歌「そうだ! 果南ちゃんもやってみない?」
果南「……いいよ、私は」
千歌「えー、果南ちゃんもやろーよー、せっかくだしー」
果南「いいってば」
千歌「果南ちゃーん」
曜「ちょ、千歌ちゃん」アセアセ
果南「……だから」ボソッ
千歌「……え?」
果南「だからやらないってば!」
千歌「」ビクッ 曜「……千歌ちゃん」
千歌「ご、ごめん……」
果南「…………」
果南「……いや、こっちこそ、大声出してごめん」
千歌「…………」
果南「……先、行ってるね」
果南「…………」スタスタ
曜「……怒らせちゃったね」
千歌「うん……」
曜「……まっ、まあ、今日も練習するんでしょ?」
曜「早く上達しないとね!」
千歌「そ……そうだね! がんばる!」 ーー
千歌:三本脚完成したよ! あとは練習あるのみです!
鞠莉「ふむ……完成したみたいね」
鞠莉「じゃあ、改めてお願いできるかしら、この子……千歌との練習試合を」
??「えぇ……まあ、試合後の整備を頼めるなら」
鞠莉「もちろん、それはいくらでも」
鞠莉「でも、本当に謝礼はいいの?」
??「試合させてもらうのは、私も同じですし」
鞠莉「貴女がいいならいいけど……望むなら、家でも、土地でも、なんなら転校とかでもいいわよ」
??「……そうですね、何かあったら考えておきます」
鞠莉「ま、転校続きらしい貴女からすれば慣れたものといえば慣れたものなのかしらね」
鞠莉「……桜内梨子さん」
梨子「…………」 乙
同じ県内の藤木君に真・世界征服ロボを作ってもらおう(錯乱) あのさあ、ラブライブ!でロボットアニメなんてありえないよ(笑)
そんなこと言ってたらアイドルマスターがサンライズ製作花田脚本でロボットアニメとしてTV放送されてなきゃ駄目じゃないか >>72
同じ作者さんだったか、最初パクリと勘違いした ープレハブ小屋ー
千歌「高海千歌です! 今日はよろしく!」
梨子「私は桜内梨子です、よろしくお願いします」
花丸「そ、そんな……相手が桜内梨子だなんて」
曜「有名なの?」
花丸「有名……というか、知る人ぞ知る、って感じです」
花丸「親の都合で転校が多いそうなので、小さな大会や練習試合での記録は驚くほど少ないのですが、その強さは目を見張るものがあります……」
曜「お、おぉ……」
曜「というか、全国大会はなくても、小さい大会とかはあったんだ」
花丸「えぇ、競技人口が多ければそれだけ見たい人も増えてきますし、何よりこのVFCのすごいところは、試合が見やすく、どこでも楽しめるんです」
曜「あ、なるほど! EVRの中ってことは、カメラがなくても映像に映し出せるんだ!」
花丸「そうです。風景を撮影して、そのデータを写すのではなく、もとからデータとしてあるものを写せばいいので……まあ多少の調整は必要だけど」
曜「なるほど……だから、たまにテレビでも見るんだ」
花丸「えぇ、全国大会では全国中継もあるみたいずら……」
曜「それは……すごいね」 鞠莉「では、既にお二人のSFはEVRに入れてありますので、早速ヘルメットを被ってー!」
千歌「はい!」カパッ
梨子「…………」キュポッ
ダイヤ「全く……校内にこんな立派な機械を持ち込むなんて」
鞠莉「まーまー、そうお堅いこと言わないの」
鞠莉「……果南は来ないの?」
ダイヤ「……まあ」
曜「果南ちゃん?」
ダイヤ「……あとで、話は聞かせていただきますよ」
鞠莉「……わかってるわ」
花丸「…………」
曜「……?」 鞠莉「……では、お二人とも準備はオッケー?」
千歌『はーい! あとは起動するだけです!』
梨子『私も、大丈夫です』
鞠莉「ではルールの再確認よ!」
曜「えっと、今回はVFではなくSFということもあり、殲滅戦ではなくポイント戦になります」
曜「両者、武装は30ミリマシンガンのみ、ワイヤーやブースターなどの特殊武器はなしとなっています」
鞠莉「ポイントは3点先取! 千歌は素人とはいえ、手加減はいらないからね!」
梨子『……わかってます』
鞠莉「では、3、2、1……はじめ!」
千歌『高海千歌! 試作2号機! いっきまーす!』
梨子『…………』
梨子『桜内梨子、出ます』 ➖フィールド・市街地➖
千歌『よっし、これで鞠莉さんに認められて、ついでにダイヤさんにも認めてもらえれば……!』ガシャンッ
千歌(大丈夫……市街地戦はこの数日花丸ちゃんとやり込んだ……慣れてはいるはずだよね)
千歌(とにかく市街地戦のポイントは、どうにかして相手を細道に追い込んで、直線で狙うか)
千歌(でも、逆に行き止まりに追い込まれたらわたしは不利……むしろ、わたしは大通りの方が得意かも)
千歌(旋回を生かして距離を詰めて、相手の機体に傷をつける)
千歌(だいたいはこの作戦で行こう!)
千歌『えと……レーダーは……』
千歌(距離は……8km地点の大通りで動かないで止まってる)
千歌(よしっ! これなら誘い込む手間が省ける!)ギュインッ
千歌『まずは不意をついて直線で突っ込むよ!』 千歌『このあたりのはず……』
千歌(まずは細道から伺いつつ梨子ちゃんを探そう)
千歌(理想的には相手に見つからずに1ポイント先取することだけ……)ベチャッ
油断だった。数日の花丸との特訓で自信の付いていた千歌には、見えない範囲からの射撃など、想定の範囲にはなかった。
千歌『……え?』
鞠莉:はぁいまずは梨子! 1ポイント!
千歌『うそ……』
あっけに取られながらも、ぼぉっとしていれば次を取られてしまう。細かく移動しながら、辺りを見渡す。
千歌(どこから……いや、むしろどこに当たったの……)キョロキョロ
梨子『突っ立つ待てるなら、続けて点もらうわね』ガシャッ
動揺する千歌の機体に、思わぬ方向から3本脚が向かってくる。
試作2号機よりもふた回りほど大きな機体に、千歌はさらに動揺する。
千歌『うわぁっ』キキィッ
千歌(物陰に隠れてた……近い!)
梨子『直線で逃げても、いい的よ』パシュッ
千歌『似たようなセリフ……この間聞いたよ!』グルンッ
動揺はしていても、この数日で身体に刻みつけた動きは、遺憾なく発揮された。
梨子の機体から飛び出したペイント弾は、大きく回転した機体には当たることはなかった。
梨子『なっ……!?』
千歌(あちゃ……なるべく隠しておきたかったけど、この際仕方ないよね!) 梨子『かわされたけど……あれくらいなら』
千歌『こっちだって!』パシュッ
やみくもに打った弾は、迷いのない梨子の動きでなんなく後ろのコンクリートにぶつかってしまう。
梨子『なに、試し射ちでもしてるの?』サッ
千歌(動きが滑らか……!)
千歌『ぐぅ……っ』パシュッパシュッ
梨子『弾を打ってるときは動きが止まるわね……そんなのだと、すぐ当てられるよ』パシュッ
千歌『うわっ!』ベチャッ
鞠莉:梨子、続けて2ポイント! もう勝負は終わりかしら?
千歌(このままじゃ負けちゃう……だったら!)
千歌『真正面から!』キキィッ
梨子『こっちに向かって真っ直ぐ……諦めたのかしら』
梨子『それこそ、的よ』パシュッ
千歌『この練習は何回もしたもんね!』グルンッ
梨子『そうだった、右方向に回転してるから……』
その淡々とした口調に、千歌は違和感を感じた。
口の中でほぞほぞするような感覚を覚えながら、小さく首をかしげる。
千歌『……?』
千歌(なんか、違和感が……いや、今はそんなこと気にしてる場合じゃない!) 梨子『なるほど……そういうこと』ギュインッ
そんな千歌にお構いはなく、梨子の機体はゆっくりと後ろに下がる。前に走ることのみを考えられた3本脚では、バックでのスピードはあまり誇れるものではない。
千歌『あっ、後ろ向きに!?』
梨子『まさか、SF戦で接近戦をしてくる人がいるなんてね』
千歌『でも、バックと直進だったら、直進の方がスピードは上!』
梨子『そうね……でも』パシュッ
梨子が威嚇射撃をするたびに、全身の力を持って避けなければならない千歌の機体は、少し付く勢いを落とし始めていた。
千歌『ぐぅっ』グルンッ
梨子『回転するたびにスピードは落ちるんじゃないの?』
千歌『…………』
千歌(弱点が見抜かれてる……でももう目と鼻の先!)
千歌『うおおおぉ!』ギュイイィンッ
機体の角をぶつけようとする千歌のカメラアイには、梨子が小さく動かした脚の挙動は、移ることはなかった。
梨子『…………』サッ
千歌『そこだぁ!』ガゴォンッ
甲高い音を響かせて、梨子の機体に大きな傷が走る。角をぶつけた千歌の機体は、せいぜい角が欠けた程度で、この後の動きに支障が出るほどのものではなかった。
鞠莉『千歌、1ポイント!』
梨子『……でも』
瞬時にその場から離れようとした試作2号機は、そのときやっと機体の異変に気付いた。
千歌『あ、あれ? 脚が……』ガクッ
梨子『私の脚にぶつけるコースに置いたわ……私も動かなくなったけど、これなら』グインッ
2機の3本脚の足が、一本づつぶつかって砕けてしまっている。
これではもう身動きは取れない。
千歌『あ……』
梨子『勝負ありね』パシュッ
…………
…… ーー
千歌「いやぁ、一瞬だった!」
梨子「……手加減なし、って言われてたからね」
花丸「歯が立たない、とはこのことずら……」
曜「だね……」
千歌「でも楽しかったよ! ありがとう!」
梨子「……どうも」
鞠莉「今日はわざわざありがとうね」
ダイヤ「すみません、こんなところまで呼びつけてしまって」
梨子「いえ、これくらいなら……」
梨子「あの、バスの時間近いんで帰りますね」
鞠莉「あら、車くらい出すわよ?」
梨子「いえ、大丈夫、では……」ガチャッ
千歌「疲れたのかな?」
曜「さぁ……」 千歌「……で! 鞠莉さん!」
鞠莉「そうね……千歌、今の試合は楽しかった?」
千歌「はい! とっても!」
鞠莉「……わかった、私も力を貸すわ」
鞠莉「機材も貸すし、私も少しなら機体の整備ができるわ」
千歌「やったー!」
ダイヤ「…………」
千歌「ダイヤさん!」
千歌「設部を……」
ダイヤ「……ひとつ」
千歌「?」
ダイヤ「一つ条件があります」
鞠莉「…………」 千歌「条件って?」
ダイヤ「果南さんをロボット部に誘って、入部の約束をしてください」
千歌「……果南ちゃん?」
曜「……!」
ダイヤ「そうすれば、ロボット部の設部を認めましょう」
千歌「ちょうどよかった」ボソッ
花丸「?」
ダイヤ「それから、花丸さん」
花丸「……っ」ビクッ
ダイヤ「あなたも入部して、学校に通うこと」
曜「えっ?」
ダイヤ「……もうあの話は終わったのです。私たちが引きずっていても、何もならない」
花丸「……はい」
ダイヤ「気まずいのは分かりますが、私も出来る限りの事はします」
千歌「?」
千歌「とりあえず、果南ちゃんを誘えばいいんだよね?」
ダイヤ「そうですわ」
千歌「だったら、今から行ってくる!」タタッ
曜「あっ、ちょっと千歌ちゃん!」
花丸「……おらも、さきに帰ります」 鞠莉「…………」
曜「……あの、鞠莉さん」
曜「もしかして果南ちゃんのことって、千歌ちゃんを誘ったのに関係してますか?」
鞠莉「…………」
曜「それから、利用した、って、もしかしていまのダイヤさんの条件も……」
ダイヤ「…………」
鞠莉「……えぇ、その通りよ」
鞠莉「果南を誘ってもらうために、千歌にVFCを勧めたわ」
曜「…………」
鞠莉「もちろん良くないことなのはわかってる……だからその上で話を聞いてほしいの」
ダイヤ「…………」
鞠莉「私は2年前……ダイヤと果南が高1の時も、内浦に来ていたわ」
曜「!」
鞠莉「そして、その時、ダイヤと果南にVFCを勧めたのも私」
曜「えっ……」
ダイヤ「……黙っていてすみません」
曜「じゃあ……」
鞠莉「内浦で一番初めのパイロットは、果南よ」 |#|| = .益 = || pileダーオンデスワ ■ このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています