希「お泊り合宿と豆マキ」
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オカルト研究部の小泉花陽です
前回までのあらすじは
ある日の放課後、凛ちゃんが街で見かけた真姫ちゃんに似たそっくりさん
それが騒動の始まりだったんです
それはの正体はなんとドッペルゲンガー、真姫ちゃんの身に危険が!
花陽達は皆で真姫ちゃんを守ることに
そんな中、真姫ちゃんは皆を危険な目にあわせたくないからって諦めモードに
でも、皆で力を合わせて真姫ちゃんを助けることに成功したの!
けど、あのドッペルゲンガーが最後に言ってた何年後って言葉、それがずっと気がかりなのは、真姫ちゃんには内緒だよ? ♯5
希「お泊り合宿をしたい!」
真姫「合宿って夏にやったじゃない」
希「それは夏の話やん?今の季節は?」
真姫「...時系列が怪しいけど、冬?」
希「そう!時期は具体的には言わないけど!」
真姫「それで私にどうしろと?」
希「他の別荘とかあったりしないの?山とかに」
真姫「まぁ、あることはあるけど」
希「なら決まりやね!」 真姫「決まりってなんで勝手に決めるのよ」
希「部長命令だよ?」
真姫「部長って...部長らしいことなにもしてないじゃない」
希「いやいや、うち結構やってるよ?」
真姫「具体的には?」
希「まずは部員が4倍になった」
真姫「まぁ、元々は希一人だけだから、4倍って言っても3人入っただけどね」
真姫「それに半分はお情けみたいなものじゃない」
希「ぐぬぬ.....」 希「合宿したいの!!合宿!!」ジタバタ
真姫「ちょっと、暴れないでよ」
希「真姫ちゃんの別荘で合宿っ!!」ジタバタ
真姫「...パンツが見えるわよ、そんなジタバタしてると」
希「!?」
真姫「全く、子供じゃないんだから」
希「........」
真姫「希?」
希「真姫ちゃんのすけべ...」
真姫「えー.....」 真姫「すけべって貴方が暴れるからでしょ」
希「うぅ......」もじもじ
真姫「今更、恥ずかしがってどうするのよ」
希「だってぇ....」
真姫「そもそも見えてないから」
希「...本当かなー?」
真姫「なんで信じないのよ」 希「じゃあ、うちのパンツを見たってことで、その罪滅ぼしで合宿決定やね」
真姫「だから見てないっての!!」
希「チャラにしてあげるね♪」
真姫「人の話を聞きなさい!」
希「合宿!お泊り合宿♪」
真姫「....なら、ちゃんと見せないよ」
希「え?」
真姫「じょ、冗談よ!!」
希「....すけべ」 希「ん〜、空気が美味しい!」
真姫「そうね、寒いけど」
希「〜♪」
真姫「ご機嫌ね」
希「だって、友達の別荘お泊りなんてわくわくするやん?」
真姫「本当に子供なんだから」
希「でも、凛ちゃん....」
真姫「あれは自業自得よ」 希「まさか、このタイミングで追試になるなんて」
真姫「むしろ、希が追試にならなかったことの方が驚きなんだけど」
希「んー?それはうちのことを馬鹿って言いたいのかなー?」
真姫「あら、よくわかってるじゃない」
希「うち、先輩だよ!?」
真姫「試験前に二つも下の後輩に泣きついたのは誰かしら?」
希「っぐ....」
真姫「これじゃあ、どっちが先輩かわからないわね」
希「うちが先輩だって!!」 真姫「それに比べて花陽は優しいわよね、凛の付き添いで残るなんて」
希「どうせなら4人で来たかったよね」
真姫「そうね、でも...無理をしてお願いにしたのにキャンセルなんて言えないし」
希「二人っきりだね♪」
真姫「....はぁ.....」
希「なんで溜息!?」
真姫「花陽、残念だわ」
希「........」 真姫「さて、着いたわよ」
希「......」
真姫「掃除はされてるらしいから、適当な部屋を使って」
希「.......」
真姫「希?」
希「........」ムスッ
真姫「なにむくれてんのよ」
希「別にぃ....」
真姫「いや、どうみてもむくれてるじゃない」 真姫「ふぅ....」ドサッ
真姫「さてと、来たのはいいけど...なにをするの?希」
希「ふーんだ....」
真姫「なんで拗ねてるのよ、貴方が来たいっていうから来たんでしょ?」
希「どうせ真姫ちゃんはうちとじゃ、楽しくないんでしょ?」
真姫「......ん?」
希「花陽ちゃんや凛ちゃんとかじゃないもんね!」
真姫「あー....そういうことね」
希「.......」
真姫「全く、めんどうなんだから」 希「どーせ...うちなんて...」いじいじ
真姫「もう...せっかく、この真姫ちゃんがわざわざ私の家の別荘に招待してあげたっていうのに」
希「別にうちじゃなくてもよかったんでしょ?」
真姫「そんなことは一言も言ってないでしょ?」
希「どうなんだか....」
真姫「本当に貴方、先輩よね?」
希「先輩は禁止...」
真姫「言ってることが滅茶苦茶ね」
希「うー....」 真姫「はぁ...機嫌を直しなさいよ」
希「.......」
真姫「...それとも私と二人は嫌?」
希「!そ、そんなことは!」
真姫「そう...まぁ、私もちょっと意地悪だったかもね...ちゃんと後で埋め合わせはするから」
希「埋め合わせ?」
真姫「えぇ、だから機嫌を直して?せっかくの合宿なんでしょ?」
希「うん...そうやね、ごめん、うちもわがままばっか言ってごめんね?」
真姫「別にいいわよ、いつものことだし」
希「え」 真姫「残念な夕飯だったわね」
希「二人共料理スキルがなかったの忘れてたね」
真姫「これじゃあ、凛のことを馬鹿にできないわね」
希「.........」
真姫「まぁ、これも思い出ってことで」
希「上手く濁したね」 真姫「そろそろいい時間ね」
希「時間?」
真姫「ちょっと散歩でもしましょう?」
希「こんな時間に?もう遅いよ?」
真姫「いいから、行くわよ」グイッ
希「わわっ!引っ張らないでよ!」 真姫「........」
希「真姫ちゃーん?どこに行くのー?」
真姫「着けばわかるわ」
希「んー....わかった」
真姫「.........」
真姫「着いたわ」
希「わぁ....綺麗...」
真姫「この場所は私のお気に入りの場所なの」
希「いい...場所だね」 真姫「一応、天体観測が趣味なの、私」
希「ロマンチックな趣味やね」
真姫「ありがとう、この場所を教えたのは希が初めてよ」
希「本当?」
真姫「えぇ、ここは私だけの秘密の場所なのよ」
希「そんな場所をうちに簡単に教えてよかったの?」
真姫「埋め合わせはするって言ったでしょ?」
希「真姫ちゃん...」
真姫「今日が晴れてくれてよかったわ」
希「そうやね」 希「あ、流れ星!」
真姫「あら、珍しいわね」
希「........」ブツブツ
真姫「お願い事?」
希「うん、せっかくだしね」
真姫「何をお願いしたの?」
希「ひーみーつ」 真姫「さて...そろそろ戻りましょうか?冷えてきたし」
希「......」
真姫「希?ほら立って?帰るわよ?」
希「zzzzz」コテン
真姫「え?寝てるの?ちょっと、寄りかからないでよ」
希「んー...真姫ちゃん....zzzzz」
真姫「今日はそんなに気温は低くはないけど、よく寝れるわね」
希「zzzzzzzz」
真姫「また、はりきってちゃんと寝てなかったのかしら?...全く、子供みたいなんだから」
希「zzzzzzzz」
真姫「まぁ、少しくらいならたまには許してあげるわ」 杉原夢菜 様 http://wayukan-marutoyo.com/images/204/ok16.jpg
(お母様)
振袖選びには迷いましたが、着ると
したら赤色の振袖かなとは思ってい
ました。他のお店とも見比べました
が、丸豊さんの振袖を見たら素敵な
ものばかりだったので、母とも相談
し、こちらで決めました。
成人式前の前撮り撮影会がとても良
かったので、両親とも喜んでいます。
素敵なお写真ばかりだったので、振
袖と一緒で選ぶのに悩みましたが、
想い出に残るアルバムが作れたと感
謝しています 。 希「んー...へっくし!」
希「ん...あれ?うち寝てた?」
真姫「すー...zzzzzz」
希「!?」
真姫「zzzzzzzzz」
希「...OK!状況を整理しよう、うちは寝てた、そして起きたら隣で真姫ちゃんがうちに寄りかかって寝てる」
真姫「んー....」
希「!!」
真姫「zzzzz」
希「ほっ.....」 希「って、なんでほっとしてるんよ、うちは!別に悪い事した訳じゃないのに」
希「それにしても...温かいなぁ、真姫ちゃん...」
希「もう...少しだけ起こさなくてもいいよね?」
真姫「寒い....」ブルブル
希「冷えちゃったね」
真姫「もう...希が寝ちゃうからよ」
希「真姫ちゃんだって寝てたやん」
真姫「っぐ...まぁ、いいわ...別荘に戻りましょう?お風呂に入って温まらないと」
希「そうだ!お風呂、一緒に入る?」
真姫「オコトワリシマス」 希「おっきいベット!!」ボフッ
真姫「こーら、ベッドで遊ばないの」
希「ふわふわで最高やん♪気持ちええなー...」ゴロゴロ
真姫「...なんで一緒の部屋で寝るのよ」
希「お泊りって言ったら一緒の部屋で皆で寝るっていうのが醍醐味だよ?」
真姫「でも今回は二人じゃない」
希「真姫ちゃんはうちと一緒は嫌...?」シュン
真姫「そこまでは言ってないけど」
希「ならええやん♪」
真姫「はぁ...もう勝手にしなさい」 真姫「.........」
希「んー.....」
真姫(希と出会って...もう、結構立つのよね...)
「あー!!そこの君!ちょっといいかな!!」
真姫「!....私?」
「そう!!そこの君!!ちょっといいかな?」
真姫「.....はい」
希「真姫ちゃん!!いきなりだけどオカルトって興味ある?」
真姫「興味どころから...オカルト的なことばっかりよ、貴方と出会ってから」 真姫「結局、合宿って言ってもなにもしなかったわね」
希「釣り楽しかったね」
真姫「なんか部活が変わってるわよ」
希「思い出作り、思い出作り」
真姫「いい加減なんだから」
希「うちは楽しかったよ?真姫ちゃんは楽しくなかった?」
真姫「..まぁまぁ、かしら」
希「素直じゃないんだからー」
真姫「うるさい」 希「さてと...そろそろ音ノ木坂に着くね」
真姫「そうね....」
希「凛ちゃんは追試大丈夫だったのかなー?」
真姫「そうね、気になって聞いたんだけど、返信がないのよね」
希「ふーん、珍しいね」
真姫「追試で力尽きてるのかもしれないわね」
希「じゃあ、お土産をちゃんと渡してあげないとね」
真姫「........」
真姫(花陽からも返信がないんだけど、なにかあったのかしら?...考えすぎか) 希「到着!!」
真姫「元気ね、貴方は」
希「お家に帰るまでが合宿だから」
真姫「遠足か!.....!?」
希「どうしたの?真姫ちゃん?」
真姫「いえ...なんでもないわ」
希「...?そう?」
真姫「さぁ、家に帰りましょう」
希「そうやね」 真姫「........」
希「ねぇ、真姫ちゃん」
真姫「なに?」
希「今って昼間だよね?」
真姫「そうね」
希「なんでさっきからこんなに人気がないの?」
真姫「たまたまでしょ?」
希「おかしいよ!いつも歩いてたもっと人に会うはずだよ!」
真姫「.......」
真姫(たしかにおかしいわね...さっきから嫌な感じがずっとするし、まさか...なにかが?) 希「真姫ちゃん、なにか隠してない?」
真姫「別に隠してないわよ」
希「でも、これはきっとなにかが起きてるってことだよ、真姫ちゃんもなにか感じてるんじゃないの?」
真姫「...まぁ、嫌な感じはするわ」
希「やっぱり...また霊的なかんじなの?」
真姫「わからないわ、ただ...嫌な感じがするだけよ」
希「嫌な感じ....」
真姫「希、私から離れないで」
希「う、うん...」
真姫「さて...どうしたもんなのかしら?」 真姫「不気味ね、まるでゴーストタウンだわ」
希「なんで皆いないんだろう?」
真姫「さぁね、花陽達とも連絡が取れないし...私達が街を出てた間になにかがあったってことね」
希「花陽ちゃんと凛ちゃんとも連絡が取れないの!?」
真姫「えぇ、返信が来ないって言ったでしょ」
希「そうだ、エリチ!」
真姫「無駄よ、花陽達も出ないのに、絢瀬先輩が出るなんて」
希「もしもし、エリチ?」
真姫「って、出るんかい」 希「もしもし、エリチは今どこいるの?」
絵里『空港だけど』
希「空港?どうしてまたそんなところに?」
絵里『ちょっと用事があってね』
希「そっか...じゃあ、エリチも何日か開けてたかんじ?」
絵里『そうね、どうかしたの?』
希「まぁ、ちょっと色々ありまして」
絵里『色々?』
希「無事ならええんよ、また後で連絡するね」
絵里『え?どういう意味よ、それって』ブチッ
真姫「どうやら無事みたいね」
希「そうやね」 真姫「これは....」
希「壁?」コンコン
真姫「どうやらこれのせいで、街から出られなくなってるわね」
希「ようは結界ってことかな?」
真姫「かもね...一体、何がなんやら」
希「そうだ、エリチに電話をして」
真姫「......」
希「...あれ?繋がらない?」
真姫「どうやら簡単にはいかないみたいね」 真姫「状況を整理しましょう」
希「うん」
真姫「街には人気がなくて、電話も通じない」
希「車も走ってないね」
真姫「あくまで推測だけど、入ることはできるけど、出ることはできない...時間が経てば影響を多く受ける」
希「時間?」
真姫「最初は絢瀬先輩に電話が繋がったけど、二回目は繋がらなかったでしょ」
希「成程ね」
真姫「問題はなんでこの街がこういう状況に陥っているのかということよ」 真姫「とりあえず、私の家に行ってみましょう」
希「真姫ちゃんのお家?」
真姫「えぇ、両親は今、この街にはいないけど、お手伝いさん達ならいるかもしれないから」
希「お手伝いさんなんて、さすがお嬢様」
真姫「あら?前に家に来た時に見なかった?」
希「見てないよ」
真姫「そう、とりあえず家に向かいましょう」
希「うん」 真姫「うーん...鍵もかかってたし、誰もいないみたいね」
希「皆、どこに行ったんだろう?」
真姫「さぁね?」
希「で?これからどうするの?」
真姫「とりあえず、今日は一旦休みましょう」
希「え?」
真姫「もう、そろそろ暗くなってくるし、探索には不向きだし」
希「そうやね、もういい時間やね」
真姫「旅行帰りで疲れもたまってるだろうし、今日はゆっくり休んで、明日は探索をしましょう」
希「ってことは...真姫ちゃんの家でお泊り?」
真姫「まぁ、そういうことになるわね」 希「〜♪」
真姫「なんかご機嫌ね」
希「そう?」
真姫「呑気というか、図太いというか」
希「ん?どういう意味?」
真姫「こんな意味不明な状況なのよ?もう少し不安がるかなって思ってたから」
希「あー...まぁ、不安じゃないって言ったら嘘になるかもね」
真姫「じゃあ、強がってるってこと?」
希「ううん、違うよ」 希「真姫ちゃんがいるから」
真姫「私?」
希「たしかにこんな状況で一人だったら不安かもしれないけど、うちには真姫ちゃんがいるから」
真姫「なによ、それ」
希「もちろんうちだって、守られっぱなしは嫌だから、頑張るよ!」
真姫「そう」
希「だから怖くないよ!」
真姫「...わかったわ」 真姫「外部との連絡は取れないのに、電気とか電波は普通に来てるのね」
希「TVと見れるし、ネットには繋がるもんね」
真姫「でも、今の状況を外部には伝えようとすると回線が止まるのよね」
希「本当に不思議だね」
真姫「そうね...とりあえず、夕飯はどうする?」
希「あ...」
真姫「まさか、帰ってきての最初の夕飯がカップ麺だなんて」
希「旅行の余りが残っててよかった」
真姫「明日はきちんとしたものを作った方がよさそうね」 真姫「え?今日も一緒に寝るの?」
希「....ダメ?」
真姫「........」
真姫(...そうよね、希だって不安よね...)
真姫「わかったわ」
希「!やった!」
真姫「変なことはしないでね」
希「しないよ!」 希「zzzzzz」
真姫「..........」
真姫(それにしても一体、何が起きているのかしら?)
真姫(それに花陽や凛は無事なのかしら?)
真姫(そしてこの街の全体で感じるがこの嫌な気配...)
希「んー.....」
真姫「...希は守らないとね」
希「zzzzz」
真姫「........」 バリン!!
真姫「!?」
希「え、な、なに?」
真姫「今の音は...下から?硝子が割れる音?」
バタバタ!!
希「!?」
真姫「誰かが家に侵入してきたわね...希、静かに」
希「う、うん!」
真姫「とりあえず、ベッドの下に隠れましょう」 希「.........」
真姫「.........」
ガチャン
「............」
ペタペタ
真姫(誰かが入ってきたわね、一体、誰なのかしら?)
希(....どうか、バレませんように)
「.............」
真姫(泥棒じゃないわよね?....一体、何者なのかしら?) 「..........」
真姫「..........」ドキドキ
「まだ....あたたかい....」ボソッ
希「っ.........」ゾクッ
ペタペタ
「..........」
真姫(ちゃんと姿も見えるし....多分、人間よね?)
「にが...さない.....」
ペタペタ 真姫「........」
希「.........」
真姫(とりあえず、出て行ったわね...一体なんなのかしら?)
真姫『希』
希『!な、なに真姫ちゃん...』ブルブル
真姫『大丈夫よ、私がついてるわ』
希『真姫ちゃん....』
真姫『様子を見て、隙があればここから出るわよ』
希『う、うん....』 ゴトゴト!!
真姫『どうやら、下の階を調べているみたいね』
希『どうやって逃げ出すの?』
真姫『音で釣ってみましょう』
希『音?』
真姫『違う部屋に目覚まし時計をセットしておくわ、上手くいけば...さっきのやつを出し抜けるかもしれないわ』
希『成程....』
真姫『もし、さっきのやつが釣れたら家から出るわよ』
希『うん!....』 真姫「.........」
希『上手くいって.....』
ジリジリジリ!!!
「!!」
バタバタ!!
真姫『どうやら、上手くいったみたいね』
希『今のうちに』
真姫『そうね、出るわよ』 真姫「..........」キョロキョロ
希「どう?」
真姫「とりあえずは追ってきてはいないわね」
希「そう.....ふぅ....」
真姫「大丈夫?」
希「うん、大丈夫だよ」
真姫「とりあえず...そうね、公園にでも避難しましょう」
希「そうやね」 希「公園の遊具の中に隠れるなんていつぶりだろ?」
真姫「さてと....これからどうしましょうか?」
希「さっきのあれはなんだったんだろう?」
真姫「多分、人だったはず、さっきのは」
希「幽霊とかじゃないよね?だって昼間は人なんて全然いなかったんだよ?街に」
真姫「あれは人よ、嫌な感じはしたけど」
希「そっか...人か....」
真姫「全く、窓を割って無断で人の家に入るとかやめてほしいわ」 希「っ......」ブル
真姫「希?」
希「あ、なんでもないよ?」
真姫「...!...そうよね、寒いわよね?こんな時期で寝間着で飛び出してきちゃったんだから、ごめんなさい」
希「大丈夫だよ?気にしないで?」
真姫「馬鹿、強がらないの」
希「別に強がってないよ」
真姫「ほら」スッ
希「へ?」
真姫「私も寒いから手だけだけど繋いであげるわ」
希「真姫ちゃん...」
真姫「.........」 「..........」ジッー
真姫「!?」
希「み、見つかった!?」
凛「.........」
真姫「り、凛?」
希「凛ちゃん?無事だったの?」
凛「.........」グイッ
真姫「え」
凛「..........」グッ
真姫「きゃああ!!」
希「真姫ちゃん!」 真姫「な、なにすんのよ!凛!」
凛「..........」ググッ
真姫「は、離して!!痛い!!痛いわ!!」
凛「..........」
希「凛ちゃん、離すんよ...っぐ、力が強くて離れない!」
凛「...........」ジッー
希「!!」ゾクッ
凛「...........」ブン!
希「きゃあ!」ズサッ
真姫「希!!」 真姫「凛!悪ふざけにも程があるわよ!」
凛「.........」
真姫「この....どうしたっていうのよ!!凛!!」
希「よくもやってくれたね...これはお仕置きやね....」
希「わしわしMAX!!」
凛「!!」
真姫「力が緩んだ!...この!!」ドン!!
凛「..........」
希「...真姫ちゃん!手の跡が!」
真姫「!...全く、どんな馬鹿力で握ってるのよ!」
凛「........」 真姫「あきらかに凛の様子がおかしいわ!」
希「そうやね、まるで別人みたい」
真姫「一体、なにがなんやら....」
希「来るよ!真姫ちゃん」
凛「........」
真姫「凛!目を覚ましなさい!!」
凛「........」
真姫「凛!!」 希「.....!!真姫ちゃん!」
真姫「なによ、希、今忙しいだけど」
希「周りを見て」
真姫「周り?......!!!」
「「............。」」
真姫「もしかして....私達、囲まれてる?」
希「そうみたいやね、公園の周りを囲まれてる」
真姫「どこにこんな人数の人達がいたのよ!昼間はいなかったじゃない!」
希「これは中々...絶体絶命ってところかな?」
真姫「っぐ...」
希「....危ない!!真姫ちゃん!」
凛「........」ドン!!
真姫「!?きゃあ!!」 ドサッ!!ガラララ!!
真姫「痛たた...うわっ...ゴミ箱にぶつかってゴミまで被っちゃってるじゃない!!」
凛「......」
真姫「もう!!このパジャマ!気に入ってたのよ!!」スッ
凛「!!」
真姫「もう!!許さないわよ!!」
凛「........」ジリジリ
真姫「...ん?」
希「なんか様子がおかしい?」 真姫「一体どういうことなのかしら?」
凛「..........」ジリジリ
希「凛ちゃんが少しずつ後退していってる?」
真姫「よくわかんないけど、チャンスみたいね!」
パー....
希「あ、お日様が上がってきた、もう夜明けやったんやね」
凛「!!!!」
真姫「もう、容赦しないわよ!!」
凛「!!!」クルッ!
希「!...ん?あれって.....」
凛「.......」ダッ
希「あ、逃げていく...?」
真姫「こら!!!待ちなさいよ!!」 希「待って!真姫ちゃん!」
真姫「止めないでよ!希!凛が変なのよ!」
希「周りを見て」
真姫「周り?....あれ?皆、いなくなってる?」
希「うん、日が昇ってきた途端に皆、いなくなったんよ」
真姫「...まさか、太陽になにかあるのかしら?」
希「もしかしたら日が苦手なのかも...」
真姫「...成程ね、通りで昼間は誰もいない訳だわ」
希「まるで吸血鬼みたいやね」
真姫「...案外そうだったりしてね」 真姫「...ってことは昼間のうちは安全ってことよね」
希「!...そ、そうやね」
真姫「じゃあ、一旦うちに戻ってみましょうか、着替えたいし...」
希「う、うん....」プルプル
真姫「あとシャワーとか洗濯も...もうゴミで汚れちゃったし...」
希「っ.....」プルプル
真姫「さっきからどうしたのよ、希?」
希「あははは!!真姫ちゃん、頭の上に生ごみが乗ってるよ!!」
真姫「え?あ....」
希「あはは!さっきまでかっこよかったのに台無しや!」
真姫「こっちは真剣だったのよ!!笑わないでよ!!」
希「あはは!!」
真姫「もう.....」 真姫「ふぅ....さっぱりしたわ」
希「冷えた体も温まってよかった....風邪をひかないでよかったね」
真姫「そうね...けど、一緒に入る意味はあったのかしら?」
希「いや、その...ほら!いつ、なにが起こるかわからないし!」
真姫「...まぁ、緊急な状況だから目をつぶりましょう」
希「そうそう」
真姫「さてと...夜が来る前に対策を練りましょう」
希「そうやね」 真姫「凛は...一体、どうしちゃったのかしら?本当に吸血鬼にでもなったのかしら?」
希「あのね、真姫ちゃん一つ、気になることがあったんよ」
真姫「気になること?」
希「凛ちゃんが逃げる時にチラっと見えたんだけどね、角が見えたんよ」
真姫「角?」
希「チラっと見えただけだから、見間違いの可能性もあるんやけど」
真姫「鬼....まさか....」
希「なにか思い当たることがあるの?真姫ちゃん?」
真姫「希...今日は何月何日?」
希「え?」 希「今日は...えっと...2月6日だけど」
真姫「じゃあ、3日前は?」
希「一昨日?....あ、節分?」
真姫「そう、私達が街を離れた2月3日の朝、もしかしたらその日のタイミングでなにかがあったのかもしれないわ」
希「そっか、だから凛ちゃん角が生えてたんかな?」
真姫「もしかしたら、街の人達が皆、鬼になってるかもしれないわ、なんかの呪いなのかしら?」
希「うーん.....」
真姫「そうすれば、あのタイミングで凛が怯んだも納得ができるわ」
希「え?どういうこと?」
真姫「あの時、私が被っていたのはなに?」 希「え、えっと生ごみだよね?」
真姫「そうね、正確には?」
希「魚...あー!もしかして!」
真姫「そういうことよ、鰯の頭ってことよ」
希「成程、成程」
真姫「おそらくね、もしかしたらそれが効くなら対処法は自ずとわかってくるわ」
希「たしか柊の葉っぱとかも効果があったよね」
真姫「そうね、でも、もっと強力なやつがあるでしょ?」
希「....そっか!それが効くならあれならもっと効果がありそうだね!」
真姫「そうよ、あれよ」 真姫「問題はあれがどこにあるかよ...たしか、うちにはなかったわね」
希「うーん...お店で買う?」
真姫「店がそもそも開いてないじゃない」
希「たしかにどこのお店も閉まってるね」
真姫「こんなにコンビニが閉まってるなんて初めて見たわよ」
希「どうする?...夜までになんとかしないと」
真姫「うーん.....」
「誰かー!!誰かいないの!?」
真姫「!!声がする?」 絵里「誰かー!!ふざけるはやめてよ!!誰かいないの?」
真姫「...あれは絢瀬先輩」
希「エリチ!」
絵里「!....希!!西木野さん!!」
真姫「どうしてここに?」
絵里「あんな変な電話をされたら心配にもなって急いで帰ってくるわよ!」
真姫「成程」
絵里「もう!心配したんだから!」
希「パララパッパパー...エリチが仲間になった!」
真姫「ふざけてるんじゃないの、希」 絵里「全く、一体どういう状況なの?街には誰もいないし、店は全部閉まってるし」
真姫「鬼がきたのよ」
絵里「鬼?」
真姫「どうやら私達が離れていた節分の間になにかが起きたみたい」
希「街の皆は鬼みたいになってるんよ」
絵里「!そ、そんなこと言って!また、私を驚かそうとしてるんじゃないでしょうね?」
真姫「しないですよ」
希「うんうん、現にうちらは襲われたし」
絵里「襲われた?」
真姫「えぇ、どうやらこの街の住人は夜になると鬼になるみたいなの」 絵里「そんな...鬼?」
真姫「嫌でも後で会うことになるわ、今夜も襲ってくるはずだろうし」
絵里「え!じゃ、じゃあ!早く逃げないと!」
希「出られないんよ...この街は今、入ることができても出ることはできないんよ」
絵里「そんな...嘘でしょ?...」
真姫「だから戦うしかないわ、絢瀬先輩が来てくれて助かりました」
絵里「戦うって...どうやって?」
真姫「手がないことはないです、今、それを探しているんです」
絵里「何を探しているの?」
真姫「豆です」 絵里「豆?...まさか、豆まきでもするつもりなの?」
真姫「その通りです」
絵里「豆なんて撒いても意味があるの?」
希「あるよ、エリチ」
希「ほら、豆をまく時って『鬼は外、福はうち』って言うやん?」
絵里「言うけど、それでその...鬼が退治できるの?」
希「元々、節分っていうのは、季節の分かれ目のことで、実は1年に4回もあるんよ」
絵里「4回もあるの?」
希「たしか立春、立夏、立秋、立冬の4つとその前日辺りを指すものなんよ」
絵里「へー...」 希「季節の変わり目っていうのは邪気が入りやすいって昔から言われていて、その時期に邪気を追い払う儀式や行事が行われていたんよ」
希「その儀式や行事が時代と共に変わっていって、その一つが豆まきなんよ」
絵里「詳しいわね、希」
希「伊達に巫女さんのバイトはしてないよ?」
真姫「それで大豆を探しているんだけど...なくてね、ちょっと困ってるのよ」
絵里「大豆か...うちにはないわね...」
真姫「そうですか...」
絵里「他の豆ならあるけど」
希「他の豆?そら豆とか」
絵里「いや、落花生...知り合いの子にもらって」
真姫「落花生か.....」
希「ナイス!エリチ!!!」
真姫「え?」 真姫「お邪魔しまーす...」
絵里「どうぞ」
希「そういえば妹さんはどうしたん?」
絵里「今はロシアに帰ってるわ、ちょっと用事があってね」
真姫「そうですか...でも、まさか落花生にもそんな効果があったなんて」
希「東北とか北海道の方では大豆の代わりに撒いているらしいから」
絵里「それは知らなかったわ」
真姫「まぁ、たしかにこっちのが片づけるも楽そうだしね」
希「そういうこと、さて...エリチ、落花生を炒ってもらっていい?」
絵里「え?落花生を」
希「うん、お願い」 絵里「えっと...とりあえず適当に炒ったけど、これって意味があるの?」
希「あるよ、生の豆だと拾い忘れたりしてその豆から芽が出ると縁起が悪いって言われてるんよ」
真姫「悪い芽を摘むってことね」
希「あと炒ると射るの語呂合わせとも言われてるけどね」
絵里「成程ね」
希「他にも魔の目、魔の目に豆をぶつけて魔を滅するっていうのもあるんよ」
真姫「さすがにこの分野には詳しいわね」
希「褒めてくれてもいいんだよ?」
絵里「調子に乗りそうだからやめておくわ」
希「なんで!?」 絵里「さてと...こんなものかしら?」
希「いっぱいやね」
真姫「まぁ、相手はたくさんいるんだし、これでも足りないくらいね」
絵里「たくさんか...でもなんでこんなことに...」
希「それにはうちにもわからないよ」
真姫「とにかく鬼退治をしないとだめそうね」
絵里「本当にこの街は不思議なことがよく起こるわね」
希「エリチ!」
絵里「!なに?希?」
希「スピリチュアルやね」ドヤッ
絵里「やかましいわ」 真姫「さて、これからだけど....」
グー....
希「.......」
真姫「っ......」
絵里「い、今のって...西木野さん?」
真姫「うぅ....」
希「仕方ないよ、うちら昨日の夜から大したものを食べてないんだから」
真姫「......」
絵里「これは先に腹ごしらえが必要そうね」 真姫「ご馳走様でした」
希「美味しかったぁ」
絵里「口に合ってよかったわ」
真姫「絢瀬先輩、料理が上手なんですね」
絵里「そうかしら?大したものは作ってないわよ」
真姫「さすがロシアのクォーターですね、こんな時にロシア料理を食べれるなんて思いませんでした」
絵里「だから大したものじゃないって」
真姫「〜♪」
希「....うちも料理上手くなったほうが...いいのかな?」 真姫「お腹も満たされたし、準備の続きをしないと」
絵里「西木野さん、少しは休んだら?夜からずっと起きてるんでしょ?」
真姫「これくらいは慣れてるわ」
絵里「そう...でも、相方はお眠みたいよ?」
希「すー.....zzzzzz」コクコク
真姫「.....旅行から帰ってきたばっかでこの状況だものね...希にも無理をさせすぎたみたいね」
絵里「とりあえずベッドに運んでおくわね」
真姫「すいません」
絵里「いいのよ、西木野さんも無理をしすぎないでね?」 ■ このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています