絵里「真姫、相談があるの」
■ このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています
真姫「あら、珍しいわね、エリーから相談を持ち掛けてくるなんて」
絵里「えぇ、こんなこと、真姫にしか頼めないことなのよ」
絵里「もう本当に胸が苦しくて、どうしようもないくらい……」
真姫「………」
絵里の表情は暗い。暗い中に、真姫に話すことで得られるかもしれない希望を期待している。
そんな顔だった 真姫(エリーのこんな表情、初めて見たわ)
真姫「ま、いいわよ。丁度暇だしね」
素直に絵里の力になりたいと言えばいくらか絵里も安心するのだろうが、真姫は性格上、それができない。
心の中は優しい少女、絵里がどのような問題を抱えているかはわからないけど、力になりたいと思っていた。
絵里「ありがとう、真姫」
真姫「で、どうしたのよ。だいぶ思い詰めているみたいだけど」
絵里「えぇ、実は……」 絵里「希の、ペットになりたいのよ……」
真姫「ん……?」
真姫の耳が遠いわけではない。
「理解」するのに時間がかかったため、ワンテンポ遅れてしまったのだ。
真姫「ごめん、エリー、もう一度いってもらっていいかしら……?」
絵里は深呼吸をする、自分の悩みを伝えるため、理解してもらうため。
絵里「だから―――、希のペットになりたいのよ!」 真姫「………」
絶句。
真姫はその言葉通り、何も言うことができなかった。
絵里「希のペットになって、生徒会の仕事も、μ’sのダンス指導も、何もかも忘れて、楽に暮らしたいチカ!」
真姫「お、おう……」
チカ、とはかしこくない語尾の使い方だなぁと、真姫は思った。
そのことでようやく、真姫の頭に冷静さが戻った。 絵里「ごはんはもちろん希が出してくれて、あーんってしてくれて」
絵里「それで、学校以外はずっと私と一緒にいてくれるの」
絵里「そして、寝る時も、希のベッドで丸くなりながら……キャーーー///」
真姫「………」
真姫(だめだ、自分の中の殻に閉じこもっている)
真姫は、ひとりジタバタする絵里を横目に、「こういう風な3年生にはなりたくないな」と、心から思った。 真姫「……まぁ、言いたいことはわかったわ」
「多分……」と、真姫は心の中で付け加える。
絵里「でしょう!?もう、絶対希のペットとして転生したら幸せに過ごすことができるわ!」
絵里「はっ、まさか真姫、あなたも希のペット枠を狙って……駄目よ!希のペットは私だけよ!」
真姫「狙ってないわよ!!」 真姫「で……具体的に相談ってなんなのよ」
真姫「まさか、そんな空想のノロケを聞かせるためにわざわざ呼び止めたわけじゃないでしょうね」
絵里「違うわ。真姫、あなたにやってもらいたいことがあるのよ」
どうせロクなことではない。その、やってもらいたいことを聞いてはいけない気すらした。
しかし、ある種の脅威本位と、万が一真剣な悩みだった場合、聞かないのは失礼だと思い、真姫はうなずいた。
絵里「あのね、真姫」
絵里「私がかわいい動物になることのできる薬を作ってほしいのよ」 真姫「……は?」
この金髪は、頭がトチ狂ってしまったのだろうか。
真姫(それとも、ロシアの女はみんなこうなのかしら)
真姫の中に芽生えた、はじめての差別意識と、偏見だった。
絵里「そういうことだから、お願いね、真姫」
真姫「いやいやいやいや!」
真姫「無理に決まってるでしょ!?そんな非科学的なこと!」
絵里「真姫!あなたにしか頼めないのよ!」
絵里「あなたはいろんなSSでいろんな危ない発明をしてるじゃない!」
真姫「何年前の話よ!?」 真姫「無理よ!!無理無理!まったく、そんなことにこちゃんでもわかることよ!」
真姫「もう、くだらない。希に直接頼んで赤ちゃんプレイでもしてればいいじゃない!」
真姫は絵里に背を向け、作曲にとりかかるためにピアノへと戻る。
絵里はそんな不可能なことを持ち掛けるため、わざわざ真姫がひとりのときに音楽室を訪ねたのだ。
絵里「真姫、そんなこと言わずに、ね?」
真姫「無理なものは無理!私は科学者でもなんでもないのよ!」
科学者でも無理である。 絵里「……そう」
絵里「ごめんなさいね、真姫、無理なことを頼んで」
絵里「失礼するわ……」トボトボ
真姫「………」
絵里は音楽室を後にした。
真姫「――ったく、これでようやく作曲に取り掛かれるわ」 真姫(絵里は本気であんな理解不能なことを考えて悩んでいるのかしら)
作曲をしながら、真姫は思う。
その中の「悩んでいる」という言葉がリピートする。
ピアノを弾きながら、絵里の「叶うことのない悩み」がずっと頭の中によぎっていた。
真姫「………」
真姫「本当に、エリーのあんな顔、初めてみた」
相談を持ち掛ける前の、あの沈んだ顔。
相談を持ち掛けたときの、一筋の光が宿ったような顔。
相談をしているとき、希のことを語る、嬉しそうな顔。
その顔が、自分が相談を突っぱねたせいで、絶望へと変わってしまった―――
真姫はそう思っていた。
真姫「なによ……無理なものは無理なのよ」 真姫「………」
絵里『ごめんなさいね、真姫、無理なことを頼んで……』
絵里『失礼するわね』トボトボ
そのときの絵里の背中は、とても小さくて、儚くて―――
真姫「……はぁ」
真姫「あぁ!!もう!!!」
真姫は乱暴に作曲のノートを掴み、通学鞄に突っ込むと、そのまま音楽室を後にした。 次の日―――下校時間。
希「じゃーね、エリチ。また明日♪」
絵里「えぇ、また明日ね、希」
絵里と希は、別々の道を歩みはじめる
絵里(はぁ、今日も希はかわいかったわ)
絵里(希のペットになることができたら、希の愛情をすべて私がいただくことができるのに)
絵里(はぁ、希に精一杯甘えたい……今日もかわいかったわ、希……)
絵里の頭の中には希のことでいっぱいだ。
そして、ロクに前を見ずに、住宅街の曲がり角を曲がってしまった――― ドンッ!!
絵里「痛っ!!!」
真姫「きゃっ!!!」
絵里「ご、ごめんなさい。考えごとをしていて……」
絵里「って、真姫じゃない!」
真姫「イタタタタ……」
真姫「え、絵里、ちょうどよかった……」フラフラ
絵里「どうしたのよ真姫、フラフラじゃない」
そういって手を差し伸べる絵里、真姫はその手に、弱々しく縋った。
絵里「今日、学校も休んでたけど、一体どうしたの、真姫?」
優しく、絵里が顔を覗き込む。
真姫「………」
絵里の顔をじっと見る真姫の目を見て、絵里は気づく。
絵里(真姫、すごいクマ……) 真姫「……わよ」
絵里「え……?」
絵里は聞き取ることができなかった。その代わり、真姫が差し出した、ビンに入った赤い液体状のものが目に入る。
絵里「これは……」
真姫「できたわよ……」
真姫「飲むと動物になることができる薬、できたわよ……」クラクラ
絵里「―――っ!!?」 絵里「ほんとっ!!?」
真姫「えぇ……本当よ、これが、その薬……」
真姫は徹夜+学校を一日通わず自宅で研究をすることで、摩訶不思議な薬を完成させたのである。
絵里「真姫!!あなた、とってもハラショーよ!!」
真姫(とってもハラショー……?)
真姫「この薬を飲むと、一生猫として生きることになるわ」
真姫が発明した薬が、赤く輝く。まるで、怪しさと希望をひとつの夢に詰めたような気がして、絵里は息を飲む。
絵里「そんなすごい薬を……!真姫、今からこの薬を飲むわ!!」
真姫「まちなさい……この薬を飲んだら一生猫のままよ……」
真姫「もし、猫でいることに飽きたら、こっちの青い薬をあげるから、私の元にきなさい」
真姫「この青い薬を飲むと、赤い薬の効果を切らすことができるから……」
真姫の体力はすでに0に近い。
絵里は、心底感謝した。親や祖母、亜里沙にもここまで感謝をしたことはない。 絵里「わかったわ。ありがとう、真姫」
真姫「えぇ……どういたしまして……」フラフラ
真姫「早速、希の家に行って、その薬を飲みなさい」
真姫「希ならきっと、あなたを優しく受け入れてくれるわよ……」
いつものツンデレ真姫ちゃんはそこにはいなかった。
疲労が限界に達し、いつも通りの返答ができないのだ。
絵里「そうね、でも……」
絵里「まずはあなたを自宅まで送らなきゃ、真姫」
絵里「本当にありがとう、私のために」
真姫「……ふ、ふんっ!」
真姫は力ない状態ではあるが、ようやくいつもの感じの素振りを見せてくれた。 しばらくして、フラフラな真姫を豪邸まで送り届け、絵里はまっすぐに希の家へ向かっていた。
絵里「これを飲めば、希のペットになれる、猫になることができる!」
絵里「希の猫になって、ずっと一緒にいて」ハァハァ
絵里「暇があれば希に甘えて、ごはんを食べさせてもらって」ハァハァ
絵里「お風呂も一緒に入って、一緒の布団に入って」ハァハァ
絵里「希の胸のなか、温かいでしょうね……ハァハァ、駄目よ絵里、冷静に、冷静に……」ドバドバ
虎太郎「にこに〜、あのお姉ちゃん鼻血出して気持ち悪い〜」
にこ「見ちゃだめよ、虎太郎(他人のフリ他人のフリ)」 希の住むアパートまでたどりつく……
絵里「さぁ、いまからこの薬を飲むわよ!」
赤く妖美にきらめく怪しい薬―――
真姫の発明を信じ、絵里はその薬を一気に飲みほす―――
絵里「………」
絵里「まずい……」
一瞬、嫌な味が舌を支配し、のどを犯した―――
その瞬間―――! 絵里「!!?」
絵里(何、この感覚!!?)
体感したことのない感覚―――
それはまるで、今、絵里の足元に転がっている赤い液体の入っていた空ビンにすっぽり入ってしまうような―――
ピカソの絵画に脳を支配されたかのような―――
言葉で表すことのできないそんな感覚―――
絵里(どうなってるの……!私、どうなるのっ!!)
言いようのない感覚は、しばらく続いた。
それがやむ頃、絵里は、自分の視界が明らかに低いものになっていることに気づいた 絵里「………」
絵里「にゃぁ」
絵里は「小さくなってる!」と言おうとした、しかし、言葉が猫語で支配されていた。
絵里(猫に、猫になることができた!)
絵里(やった!!やった!!!!)
絵里「にゃおぉおおおおおん!!」
猫の雄たけび―――というべきだろうか、絵里は、感動を鳴き声で表し、その鳴き声は高らかにこだました。
絵里(やった、やった!!!早速、希に拾われるわよ!!!)
絵里は有頂天だった。 視点は変わり―――
希は自宅でパソコンをいじりながら、インターネットの世界を満喫していた。
希「ふんふん〜♪」
にゃおおおおおおん!!!にゃおおおおおおん!!!
希「?」
希は猫の鳴き声に気づく、聞こえてくる音量から、すぐ近くにいる。
希「猫ちゃんでもいるのかな?」
希は、カーテンを開ける。
開けた先、アパートの庭に、一匹の黄色い猫がいた―――
希「猫やん!!!」 あたりは薄暗かったが、街頭ではっきりとわかる。
そこには確かに、黄色い猫がいた。
希「茶トラの猫かな?」
希は玄関の扉を開け、猫のいた街灯前まで足を進める。
絵里「にゃーー!!!!にゃーーーー!!!」
希「いた、あの子やね」 希「こんなところに猫ちゃんが、かわいいなぁ」
絵里「にゃーーー!!!」
絵里(希!!!希!!!)
絵里(猫)は、希の姿を確認すると、まっすぐと希の元へ駆けつけた。
希「ははっ、人慣れしてるやん♪」
絵里「にゃ!!!にゃ!!!」
絵里は希に近づき、足元でしっぽを立て、かわいらしい鳴き声を発しながら、希の足元をウロチョロした。
希「ふふっ、君、かわいいね♪」
絵里「にゃーーん!にゃーーーん!」スリスリ
希が猫の背を両手でもちあげると、絵里はこれでもかというくらいスリスリした。
希「んー!!超かわいい!!」ギューーー
絵里「にゃあぁあああ///」ペロペロ
絵里は希の顔をぺろぺろしながら、必死にしがみつこうとする。 希「ふふっ、君、かわいいからうちにご招待したるよ、一緒に行こうね♪」
絵里「にゃーー!!!」
希の部屋
希「ふぅ、ただいま」
希は猫を床に置くと、部屋へと足を運んだ。
猫はしっぽをピンと立てながら希のふくらはぎを追う。
希「確か猫用の餌が……あった!」
希「さ、かわいいかわいい猫ちゃん♪ごはんあげるから、ついておいで!」
絵里「にゃーー!!!」
絵里(あら、あのごはん、明らかにキャットフードだけど、猫になったからか、心なしかすごくおいしそうな気がするわ!)
絵里は希の元へ付いていく。希は一室の扉を開けた――― 絵里(ここは……浴槽?)
絵里(わかったわ!ごはんの前にお風呂にいれてくれるのね!私は野良猫だから、汚いと思われているのね)
絵里(ふふっ、希ったら、本当に優しいんだから♪)
希「しかし、本当にこの子、かわいいなぁ」
希「茶トラの猫には珍しい、まるでアクアマリンみたいな鮮やかなライトブルーの瞳、黄色寄りの茶トラ(茶トラはオレンジ色の毛をした猫)まるでエリチみたいやね♪」
希「よし、君の名前はエリチや!」
絵里「にゃ!!!にゃ!!!」
絵里(希!!!そうよ、私はあなたのエリチよ!!想いが通じたのね!!)
希がその名前にたどり着いたのは偶然ではない。
猫の容姿から真っ先に思いつくほど、希の心の中にも絵里はいたのだ。
希「さて、エリチ、ちょっとだけ浴槽の中に入っててな」
希はそういうと、空の浴槽の中に、エリチを招待した。 希「浴槽に猫の餌を置いて、さ、お食べ、エリチ♪」
絵里「にゃ!!!にゃー!!!」
絵里は希の与えたごはん(キャットフード)を嬉しそうに頬張る。
絵里(おいしい!!味覚も猫になっちゃったみたいね♪)
絵里(希がくれた、初のごはんね///できれば、希の膝の上で食べたかったのだけれど……)
絵里(このあと、希とお風呂に入れるのだから、ぜいたく言ってはいけないわよね///)
絵里(あぁ……全裸の希にはやく甘えたい……)
希「そうだ!エリチ、写メを撮ってあげる♪」
希「あとでみんなに見せてあげないとね」 パシャっ
希「ふふっ、かわいく撮れたね、エリチ♪」
絵里「にゃーー!にゃーー!!」
絵里(希、もっと食べたいわ、このキャットフード、最高においしいの!)
希「ふふっ、そうや、キャットフードもいいけど、マタタビもあるよ♪」スッ
絵里(!!?)
絵里(なに、この匂い!最高に興奮する!!)
希の手には茶色いマタタビの玩具が……
絵里はその玩具に飛びつくように、希の手にあるそれを掴んだ。
絵里「にゃー!!!にゃーーー!!!」
絵里はおもちゃを口に入れて噛んだり、小さな手でこねまわしたりして、マタタビ入りの玩具で遊んでいる。
希「ふふっ、さ、いまのうちに……」 希「いまのうちに、かわいいかわいいエリチをみんなに見せてあげないとね」
希はスマホを開き、とあるサイトを開く―――
そのサイトの名は、「5ちゃんねる」。
希が先ほどネットサーフィンをしていたのはPCを使ってだが、エリチの写真はスマホに保存されているので、今回はスマホからインターネットを伝い、5ちゃんねるへアクセスした。
希「さて、この写真をうpして……」
希は、5ちゃんねるのある板にアクセスし、エリチの写真をうpする――― 希「さて、みんないるかな?」
希は5ちゃんねる内のとある板の、とあるスレを覗いた。
希「なんだ、過疎かな?」
希は直近の書き込みが少ないことから、希は板にいる人は少ないのだと判断した。
希「でも、うちがこのエリチを見せたら、きっとみんな注目するで♪」
希「なにえ、エリチはこんなにかわいいんだから」
希は、とある板のとあるスレを覗いき、先ほど取ったエリチの画像とともに、レスをした。 35 スピリチュアルヴァンガー2018/02/10(土) 23:38:15.87ID:supirityuaru
今からこの子、「解体」します。
ハ ハ
(=゚ヮ゚)
~(,,u,,u 36黒ムツさん2018/02/10(土) 23:41:45.58ID:hpCGIgax
スピリチュアルヴァンガーキターーーーーー
37黒ムツさん2018/02/10(土) 23:41:59.58ID:agiBHjiJJJ
いいぞ
いいぞ
38黒ムツさん2018/02/10(土) 23:41:45.58ID:56JHyvgrF
gatoは死滅すべき
いいぞスピリチュアルヴァンガー
虹の橋画像期待 希「反応は上々ってとこやね」
希はそういうと、机の引き出しに眠っていた園芸用の切れ味のよいハサミと、ペンチを取り出す―――
希「『解体』は久しぶりやな」
希はハサミとペンチ、撮影用のスマホを手に、浴槽へ戻った――― 希が先ほど開いていた板は、キチガイの集まりで有名な「生き物苦手板」
その中のスレに「猫の面白い虐待方法を語ろう」という最低最悪なスレがあった。
希はそのスレの住民であった―――
希「エリチ〜〜」
絵里「にゃ?」
マタタビで疲れるまで遊んで、疲れてのんびり座っていた絵里が希の声に反応する。
絵里(希!!希!!このおもちゃ最高よ!なんだか、いい匂いで興奮するの!!)
絵里(希、だっこ!だっこ!)
絵里「にゃーー!!!にゃー!!!」
希「………」
希「ふふっ、エリチ、今日はとことん「遊ぼうね」」
希は不敵な笑みを魅せたーーー 場所は変わり―――西木野家
真姫「絵里、いまごろちゃんと希のペットとして飼われているかしら」
真姫「ふふっ、頑張ったかいがあったわ」
真姫はホットココアを飲みながら、夕食、入浴、最低限の勉強を終わらせ、就寝にはいるところだ。
真姫「昨日は寝てないもの、今日はぐっすり寝ることができるわね」
真姫は導かれるように自身のベッドへと向かう。
すると、ベッドの近くにあるパソコンが目に入る。
真姫「そうだ、昨日は絵里のために薬を作ってたからチェックすることができなかったから、今日はチェックしてから寝ましょう」 真姫は、デスクとは別の、個人のノートPCを取り出す。
真姫はあらかじめブックマークしていた、「生き物苦手板」のページをアクセスする。
真姫「ふふっ、最初は嫌悪していたけど、慣れてしまえば楽しいものよ」
自分が発明した薬で、飲んだ対象が「猫」になるようにしてしまったのは、自分の中にある小さな加虐心があったのかもしれない。
真姫「私は実際猫を虐待したことはないけれど、弱いものをいじめるのってなんだかんだ楽しいのよね」
真姫「だから、ついついいつもチェックしてしまうのよね」
真姫は最低なことをいいながら、生き物苦手板を流し見する。
その板の中で、異様に伸びているスレがあることを確認した。
真姫「虐スレか、あそこの虐待は単調であまり好きではないのよね」
そうは言うものの、なんだかんだ気になるからスレへ入る――― 真姫「あら、スピリチュアルヴァンガー、今日も妄想を履き散らしているのかしら」
ちなみにスピリチュアルヴァンガーとは生き物苦手板で神と崇められている存在で、様々な虐待文をはじめ、海外の虐待動画を発掘するプロとして、一定数の信者もいる。
真姫「!!?」
真姫「なによ!!こんな面白そうなことしてたの!スピリチュアルヴァンガー!!!」
真姫「gato(猫のことらしい)の解体なんてすばらしいわ!!これは睡眠を諦めてでも見る価値があるわ!!」
真姫がスレを見たとき、すでにレス数は400まで進んでいて、ところどころ、スピリチュアルヴァンガーがうpした画像があった。 真姫「何々、もう結構進んでるみたいね……ふふっ、このgatoの左後ろ足としっぽ、切られてるじゃないwwww」
真姫「血もドバドバ出てて、本当に絶望に直面したときの表情……猫でこんな顔できるの、珍しいわよ、ふふっ」
真姫「血で汚れて、どんな猫かよくわからないわね、どんな猫だったのかしら」
真姫は、スレを逆スクロールし、もともとはどのような猫だったのかを調べる。
スピリチュアルヴァンガーは情景描写にもたけているため、こういう「証拠画像」や、「どのような猫なのか」ということは欠かさず記載することを、真姫は知っていた。
真姫「ふふっ、なかなか綺麗なgatoじゃない、本当に野良猫?」 PC越しでもわかる、猫の可憐さ―――
一番最初にうpされていた画像の猫はとてもきれいな黄色をしている。
おそらく茶トラなんだろうが、こんなに黄色みのかかった毛色を、真姫は知らない。
おまけに、茶トラの猫には珍しいとされている、透き通るようなブルー系の瞳―――
真姫「日本猫じゃなさそうね、捨てられた血統つきかしら?」
真姫「アパートの近くで鳴いていた猫を拉致したって言ってたわね」
真姫「それにしても、綺麗ね。この猫、瞳なんか、まるでエリー……」
ここまで頭のなかによぎり、真姫の頭にある考えがよぎった――― 真姫(茶トラの猫は、確か大半はヘーゼル(グリーン寄りの茶色)かカッパー(黄色)がほとんどとされている―――)
真姫(でも、この猫は青―――白い毛をもつ猫じゃないと青い瞳が遺伝で現れるケースは「ほぼない」とされているのに)
真姫(そんな選ばれし猫が日本に―――?しかも、野良猫か捨て猫?)
真姫(おまけに、この綺麗な毛並みに、茶トラにしては黄色すぎる毛色―――)
真姫に、嫌な汗が一筋流れた―――
真姫「まさかっ!!!!!!」
真姫は寝ることを完全に放棄して、希の家へ向かった――― 場所は変わり―――希の家
絵里「ハァハァハァハァh」
絵里の周りは「血のプール」ができていた。
左後ろ足を切断され、しっぽも切断され―――
この世のすべての痛みを自分が味わっているのではないかという感覚を、絵里はあじわっていた。
つまり、瀕死の状態。
希「んー?エリチぃ??元気ないでぇ???んー???」
希は歪んだ笑みを絵里に向け、そのままシャッターを押す―――
パシャリ
この音を聴くたび、絵里は「死」に近づいていることがはっきりとわかった。 絵里「ハァハァハァハァ」
絵里(希……やめて……痛いの、本当に痛いの……)
絵里(なに?希、猫が嫌いだったの……?)
絵里(私は猫じゃない、絵里よ、絵里)
絵里(私―――絵里よ―――?)
絵里「………」
絵里は呼吸以外の行動は捨てた。捨てざるを得なかった。
鳴く体力も残っていない。左後ろ足がないから、動き回ることもできない。
痛みが、絵里の体力を奪う――― 希「さ、そろそろ、首を切断しようかなぁ???」
まるで悪魔のような笑み―――
希は、園芸用の大ハサミを絵里の首に近づける―――
絵里(私―――どうなっちゃうの?)
絵里(殺されるの―――?大好きな希に?)
絵里(――――――)
希「じゃぁね、エリチ♪おもしろかったよ♪」
希「さよな―――」
ピンポーーン!!ピンポーーーん!!! 希「誰や?こんな楽しい時間に……」
絵里「………」
チャイムの音が大きく響く。
いま、出るわけにはいかない。なぜなら、希自身も血だらけなのだから―――
ピンポーン!!!ピンポーン!!!
希!!!私よ!!!真姫よ!!!!
希「真姫ちゃん?」
希は今日、真姫が学校を欠席していたことを思い出す。
希「もしかして、真姫ちゃんなにかあったんか?」
希はボロ雑巾のようになったエリチを見る。
希「gatoなんかより、友達や!!」
希は持っていたハサミを絵里に投げつけ、真姫の元へ行く。
その際、ハサミの先が絵里のお腹の肉を裂き、またひとつ、傷と、血のプールの体積が増えた――― 希は玄関を開ける。
希「真姫ちゃん、どうし「邪魔するわよ!!!!」
真姫はすごい血相と、すごい勢いで希の部屋に入る。
希「あっ!!真姫ちゃん!!!入っちゃだめ!!!」
真姫「―――っ!!!血なまぐさいっ!!!」
真姫の嫌な予感は的中していた。
まだ、みたわけではないが、その先―――風呂場の扉を開いた先の惨状―――
容易に想像できる。
なぜなら、生臭さとは別に、希も血だらけで、床には所々血がついているのだから―――
真姫「絵里っ!!!!!」バンッ
真姫は、もしかしたら絵里が生きているかもしれないという可能性に賭け、扉を開ける。 扉の中は、血の匂いと、「死」の味で充満していた―――
真姫「絵里っ!!!!エリー!!!」
真姫はそんなものおかまいなしで、浴槽で血のプールで溺れている絵里を抱きしめた。
足は切断され、しっぽは引きちぎられ、腹は裂かれ―――
見るも無残な、虐待跡―――
自分は、こんな残酷なものを見て楽しんでいたのだろうか―――
真姫は、友人の無残な姿を見て初めて思った。
真姫「エリー!!!しっかりして!!エリー!!!」
希「ま、真姫ちゃん……」
真姫「希っ!!!この猫はね、エリーなのよ!!!!」ポロポロ 希「……え?」
希「何をいうてるん?真姫ちゃん……?」
希「確かにこの猫の名前はエリチやけど、うちが知ってるエリチやないよ」
希「こいつは、汚らしいうちの玩具やで」
真姫は、唇を噛みしめる。
大好きな人から受ける虐待は、どんなに辛かっただろう―――
大好きな人が、自分を傷つけて笑う現実を、受け止めることができたのだろうか―――
真姫は、できないだろう。そう思いながら、希をにらみつける。
そして、持っていた青く神秘的な色をした薬の入った瓶のふたを空ける――― 真姫「みてなさい、希」
そういうと、真姫は絵里の口元に、青い薬を流した―――
希は、ただ茫然と猫を眺めていた。
真姫は、変化する絵里を見て、涙を流すことしかできなかった。 希「うそ……やろ?」
真姫「………」
絵里「………」
希「エリチっ!!!!!!エリチィイイイイイイ!!!!!」
希も、絵里の元へ駆ける。そして、血みどろの絵里を、浴槽から抱きかかえる。
絵里には左足がない。お尻の部分も、少し削られ、腹部からは内臓がはみ出していた。
まさに、地獄絵図。バイオハザードを実体験しているようだ。
真姫「あははは、あはははは、私のせいよ……エリー……」ポロポロ
真姫「うぅ!!!!おえぇええええええええええええ」オロロロロロロロ
惨状に耐えられず、真姫が嘔吐する。
濃い血の匂いと入り混じって、すごい臭いだ。
希「エリチ、ごめんな!!!!うち、知らんかってん!!!ごめんなエリチ!!!死なないで!!死なんといて!!!エリチぃ!!!!!」
絵里「………」
絵里は、虫の息だった。
その、虫のような残り少ない生の力を使って、口を開いた―――
絵里「……の、ぞ……み……」 絵里「うらんでやる」
最期に絵里は言った。
はっきりとした口調で―――
そして、力尽きた―――
BAD ENG いつもは速攻走ってくる希アンチがわかない→いつもの希アンチもカボス 1が見えなくてレス番飛びまくってるからなんだと思ったらカボスかよ いつもののぞキチにこキチえりまきスレか
どうせにこアンチ希アンチ湧いてんだろな〜
って覗いたらバッドエンドだった ■ このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています