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千歌「千歌は…普通ですらないんだ……」
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0001名無しで叶える物語(あゆ)
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2018/02/03(土) 13:30:24.95ID:1XLzcCXL
千歌(……何にも夢中になれない)

千歌(……何にも全力になれない)

千歌(……何をしても楽しくない)

千歌(……何をすれば良いのかわからない)

千歌(こんな普通以下の千歌は…)

千歌(この先、生きてても輝くことなく死んでいくんだ…)

千歌(だったらもうここで終わらせよう…)

千歌(この海に飛び込んで…)



………………………………
0034名無しで叶える物語(あゆ)
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2018/02/03(土) 13:52:30.33ID:1XLzcCXL
〜〜〜

千歌「火の音…落ち着く…」

梨子「木の燃えるパチパチって音が可愛いね」

曜「ねぇねぇ!この本なんて燃やしたら良い音鳴りそうじゃない?」

梨子「うわぁ!楽しみ!早速入れてみてよ!」

曜「ほーい」ポイ

ボボボ

パチ…パチ…

…ジリ

梨子「………!」

千歌「ほぉ………」

曜「おぉ………」

梨子「………うぅっ」ポロッ

千歌「…どうしたの?」

曜「…泣いてるの?」

梨子「ごめんね、悲しい訳じゃないの……でも、さっきの音…なんだか……とても儚かったから」グスッ

千歌「本には書かれている事以外にも1冊1冊歴史がある……」

曜「それが朽ちる音だね………」

梨子「これもまた命の音なのかな…」


花丸「ちょっと何やってるずら!学校の本を燃やしたらダメずらよ!」


曜「次はこの聖書燃やしてみようか」

千歌「分厚い……」

梨子「どんな音が聴こえてくるかな?」

花丸「あわわわわ……」
0035名無しで叶える物語(あゆ)
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2018/02/03(土) 13:53:12.88ID:1XLzcCXL
〜〜〜

音を求める探求者に変わっていったんだ…

〜〜〜


ダイヤ「まったく!」

千歌「………」

ダイヤ「貴方達は何がしたいんですか!」

千歌「何って……?」

梨子「……う〜ん…知的好奇心の探求かな?」

千歌「うん、それです」

ダイヤ「…窓ガラス割ったり、グラウンドの土を掘り返したり、学校の本を燃やす行為が?」

千歌「はい」

ダイヤ「意味がわかりませんわ……」

梨子「音が聴きたいんです!私達は…」

ダイヤ「音?」

ガシャーン!!!

ダイヤ「な、何ですか!」

曜「おぉ………」

梨子「曜ちゃん!何したの?」

曜「綺麗な壺があったから…つい」

梨子「凄いよ!今日一番の素敵な音だった!」ゾクゾク

千歌「体中が震える…」ブルブル

曜「だよね!だよね!」ハァハァ

ダイヤ「………」
0036名無しで叶える物語(あゆ)
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2018/02/03(土) 13:53:57.86ID:1XLzcCXL
〜〜〜〜〜


千歌「まさか停学になるなんて………」

曜「どうするのこれから?」

梨子「自宅謹慎って言われたけど」

千歌「やっと夢中になれる事に出会えたんだ…家になんかにいられないよ…」

梨子「だよね」

曜「しょうがないなぁ、手伝うよ」

千歌「本当?」

曜「うん」

梨子「私も手伝うわ」

千歌「えへへ…ありがとう…」

〜〜〜

曜「よーし!いくぞー!」

曜は工事現場から勝手に持ってきたドリルを使い、おもむろに道路を削り出す。

ガガガガガガガガッ!

ギギギギギギギギッ!


梨子「凄い…」

千歌「規則性のある綺麗な音だ…」

曜「これさぁ!道路の黒っぽい所だと!この音だけど」ガガガガ!

曜「白っぽい所だと!この音だよ!」ギギギギギギッ!!

梨子「そっちの方が軽い音なのね」

千歌「同じ道路でも全然違うんだ…」

曜「よし!今度は電柱やってみよう!」

梨子「どんな音がするのかな?」

千歌「楽しみだね!」

ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴッ!

ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴッ!

ゴゴゴゴゴゴゴゴッ!……ドッシャーン!!
0037名無しで叶える物語(あゆ)
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2018/02/03(土) 13:54:37.97ID:1XLzcCXL
〜〜〜


ダイヤ「はい、もしもし」

ダイヤ「はい、はい……」

ダイヤ「そうですが………」

ダイヤ「…えぇ?」

ダイヤ「うちの生徒が公共物を破壊している?」


〜〜〜


ダイヤ「………自宅謹慎と言いましたよね」

千歌「………」

ダイヤ「いったい何が貴方達をそこまで駆り立てるんですか…」

ガシャーン!!

ダイヤ「………」

梨子「曜ちゃん!」

曜「やっぱこの音だよね!」

梨子「本当に最高よ…この音」ゾクゾク

曜「ね?ね?」ハァ…ハァ…

ダイヤ「………」
0038名無しで叶える物語(あゆ)
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2018/02/03(土) 13:56:07.64ID:1XLzcCXL
〜公民館〜


千歌「まさか薬物検査されるなんてね」

曜「侵害だよ」

梨子「感性が多感になっただけなのにね」

曜「しかし、ここで待てって言われたけど何なんだろ」

梨子「音がそんなに聴きたいなら聴かせてやるってダイヤさんが言ってたけど…」

千歌「あっ…ダイヤさんだ…」

曜「なんか運んでるよ」

梨子「あれは、お琴ね」

曜「おとこ?」

梨子「演奏するみたい…」



ダイヤ「………………」

トゥララララララララ〜♪

千歌「!」

曜「これは!」

梨子「………なんて繊細な」ゾクゾク

ラン♪

タラン♪

梨子「弦から奏でられる音色が鼓膜を震わせるわ…」

曜「体中の血管があの弦になったみたいに震えてる」ガクガクガクガク

千歌「頭のなかにイメージが…浮かんでくるよ…」ガクガク

梨子「平安時代にタイムスリップしたみたい…」

曜「私達、源氏なのかな…」

タラン♪
0039名無しで叶える物語(あゆ)
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2018/02/03(土) 13:56:49.48ID:1XLzcCXL
ラララララ♪

千歌「白い靄がかかってる…死後の世界みたい…」

ラララララタラタラララン♪

梨子「うっ……!」

曜「あぁぁぁ!」

梨子「………みをつくし
恋ふるしるしにここまでも…
めぐりあひけるえにはふかしな…」

曜「………数ならで
なにはのこともかひなきに
などみをつくし思ひそめけん…」

タラタラララン♪

千歌「………ぁぁ」

千歌(……この感覚………海中の時に似てる)

千歌(懐かしくて………温かくって)

千歌(………)


………………………


千歌「………?」

梨子「………もう終わっちゃったの?」

曜「そんなぁ………これじゃ生殺しだよぉ…」

ダイヤ「………」スッ

梨子「………あれ?ダイヤさん…奥にある大きな太鼓の所に行ったわ」

曜「まさか…あれを…」

千歌「…!」
0041名無しで叶える物語(あゆ)
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2018/02/03(土) 13:58:09.60ID:1XLzcCXL
ダイヤ「はぁっ!」

ダン!ダン!ダン!
ダダダダダン!
ドドン!

千歌「音の衝撃が…!」

梨子「これが生で聴く打楽器…!」

曜「………すごっ!」


ダイヤ「はい!」

ドドン!ドドン!

千歌「空気が………建物が震えてる!」

梨子「まるでこの公民館全体が楽器みたい…」

曜「それどころか…私、自身が…」

千歌「………!」
0042名無しで叶える物語(あゆ)
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2018/02/03(土) 13:58:43.87ID:1XLzcCXL
梨子「あっ……!」ブルブル

曜「楽器になっちゃう…楽器になっちゃうよう!」ガタガタガタガタ

ダイヤ「とおぉっ!」

ダダダダドドン!

千歌「音の衝撃が………」

梨子「私達の体まで震わせて」ブルルルルルル

曜「音色が私達の体でも奏でられてる!」ブルルルルルル

千歌「骨が震えてるのが感じられる…」ブルルルルルル

ダイヤ「ていやっ!」

ダダダダダン!ダン!ダン!ドドン!

梨子「そんなっ…中でも外でも…音が響いて………」ビクッビクッ

曜「意識が………途切れる………!」ブルブル

千歌「……あっ」ガクガク

千歌(これは……)

千歌(……生命の……鼓動だ……)

千歌(……海中で聴いた)

千歌(……命の……音……!)


ダイヤ「これが音を!」

ダン!ダダダダ…ドドン!
ドドン!ダダダダ!

ダイヤ「楽しむということですわ!」

ダダン!
0043名無しで叶える物語(あゆ)
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2018/02/03(土) 13:59:38.11ID:1XLzcCXL
〜数時間後〜

千歌(気がついたら……自分の部屋にいた……)

千歌(誰が運んでくれたんだろ……)

千歌(…………)

千歌(あれが音楽…か…)

千歌(今までもたくさん触れてきたのに…)

千歌(なんで今更…)

千歌(こんなにも新鮮に感じて)

千歌(こんなにも心を震わせるの?)

────────────

梨子『なんだか私達、今ここで生まれてきたような気がしない?』

────────────

千歌(そうか……)

千歌(…あの時……生まれ変わったから)
0044名無しで叶える物語(あゆ)
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2018/02/03(土) 14:00:12.55ID:1XLzcCXL
〜〜〜

梨子(…………)

梨子(海の音を聴いてから変わってしまったみたい)

梨子(諦めた筈なのに、表現したいと思ってる)

梨子(ピアノで…あの海の音を…あの打楽器のような衝撃を…)

梨子(でも無理よね…)

梨子(もうこの手じゃ…)

梨子(左手……これ以上…広がらないだもん………)

梨子(…………)

梨子(………ふふ)
0045名無しで叶える物語(あゆ)
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2018/02/03(土) 14:00:45.59ID:1XLzcCXL
〜〜〜


曜(よいしょ……)

プワァーーーー!

曜(船の汽笛こんな音なんだ…)

曜(小さい頃から聴いてた筈なのに)

曜(大好きな音だった筈なのに)

プワァーーーー!

曜(今聴くと細かい音までよく聴こえて)

曜(もっと好きになっちゃった…)

曜(もう一回……)

プワァーーーー!

曜(……ふふふ)

『曜!何時だと思ってるんだ!』
0046名無しで叶える物語(家)
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2018/02/03(土) 14:01:10.47ID:G1PVuT8D
太鼓を全力で叩くダイヤさんは草
0047名無しで叶える物語(あゆ)
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2018/02/03(土) 14:01:22.57ID:1XLzcCXL
〜翌日〜


梨子「音楽をやりたい?」

千歌「うん…」

曜「また、急だねぇ…まぁ気持ちはわかるけど」

千歌「本当?」

曜「…じゃあさ、そういう部活に入る?」

千歌「部活かぁ……」

梨子「吹奏楽部とかあるの?この学校」

曜「どうだったかなぁ、でも最近音楽系の新しい部活が設立されたらしいけど……」

梨子「新しい部活?」

曜「え〜と……確か…ゴシックメタル部?……とか言ったっけ…」
0048名無しで叶える物語(庭)
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2018/02/03(土) 14:02:01.71ID:puw4IWcj
楽器になっちゃうとか言う表現
0049名無しで叶える物語(あゆ)
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2018/02/03(土) 14:02:40.98ID:1XLzcCXL
〜体育館〜

善子「今日も私達のミサに集まってくれてありがとう!」

『うぉー!』


千歌「凄い歓声……」

曜「先月、始めたばっかりらしいけど」

梨子「大人気ね」


善子「まずはいかれたメンバーを紹介するわ!ドラムのずら丸!」

花丸「花丸ずら!」シャンチャンバァ〜ン

善子「ギター!ルビィ!」

ルビィ「ピギャアァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァッ!」


梨子「す、凄いシャウト…」

曜「頭が割れそう………」

千歌「……うぅ」


ダイヤ「ルビィったら……なんて…はしたない……」ワナワナ


善子「そしてヴォーカルはこの私…」

『善子ー!善子ー!』

善子「ヨハネよ!!」


梨子「凄い…設立して1ヶ月しか経ってないのに…もうテンプレが出来上がってるの…?」

曜「天ぷら?」

梨子「始まるみたいよ…」
0051名無しで叶える物語(あゆ)
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2018/02/03(土) 14:03:35.75ID:1XLzcCXL
〜Daydream Warrior〜

善子「気配が消えた?私の呼吸が…
荒く激しく 辿るてがかり」

ルビィ「探しながらも 見つけたくない
見つけたらすぐ 攻撃しなきゃ!」

善子「どうしてあなたが敵なのか」マイク スッ

『きっと誰にもわからない!』


梨子「マイクパフォーマンスも完璧ね…」

千歌「観客も歌うんだ…」

曜「すごい、一体感を感じるね……」


善子「こんなに惹かれた訳さえも」マイク スッ

『本当のことはわからない!』

花丸「悪い夢なんだ」

バンッ!


梨子「黒い羽が!」

曜「たくさん舞って…」

千歌「別世界みたい…」
0052名無しで叶える物語(あゆ)
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2018/02/03(土) 14:04:21.64ID:1XLzcCXL
善子「光と闇のDaydream !」

『Daydreamer!』

善子「黒いとびらの向こう…待ち受けるのは…」

『運命に』

善子「抱かれた私の Lost love」

善子、花丸、ルビィ「あの日知った優しさだけ 忘れないと!
額伝う 汗をぬぐい…
自らの手で終わりにしよう!」


善子「ルビィ!」

ルビィ「ピギィッ!ピギィッ!!」ガンッ!ガンッ!


梨子「あっ!ツインテールの子がギターを床に叩きつけて破壊してる!」

曜「あれも演奏の一部なの?」

千歌「凄い…気迫…」


ダイヤ「ルビィ……なんて野蛮な……」アワワワッ


善子「花丸!」

花丸「ずら〜!」ゴクゴク…ブオォ!


梨子「あの子は、何かを口に含んで火を吹いたわ!」

曜「!!吐いた火が空に舞う羽に引火して!」

梨子「空中で次々に燃え広がってる!」アワワ

曜「まるで地獄みたいだ……」ガクガク

千歌「……こ、これが………バンド!」

梨子「音だけじゃない……視覚的にも楽しませようとしてるのね……」

曜「この光景……本当に現実なの……?」


ダイヤ「……悪夢ですわ」クラッ
0053名無しで叶える物語(あゆ)
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2018/02/03(土) 14:05:04.52ID:1XLzcCXL
〜〜〜


曜「体育館全焼だって」

梨子「あっという間だったもんね」

曜「そのせいでゴシックメタル部は無期限の活動休止みたい」

梨子「あらま」

千歌「………」

曜「やりたかった?バンド」

千歌「……ううん、千歌には向いてないかな…ああいうのは…」

梨子「そう思う」

曜「他に音楽活動っていってもなぁ」

梨子「…………」

千歌「梨子ちゃんは何かやってなかったの?」

梨子「私?私は…………」

梨子「ピアノ…やってたよ……」

千歌「ピアノを?」

曜「聴きたい!」

梨子「でも、もうやめたんだ…」

千歌「どうして?」

梨子「いろいろあってね」

曜「……?」

曜(……左手が震えてる?)

梨子「………で、でも二人に教える事くらいなら出来るよ?」
0054名無しで叶える物語(あゆ)
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2018/02/03(土) 14:05:40.95ID:1XLzcCXL
〜音楽室〜

梨子「これがドレミ」

千歌「うん」ポロロン♪

梨子「この3つだけでも曲が弾けるんだよ」

千歌「そうなの?」

梨子「ドレミレド ドレミレドレ〜ってやってごらん」

千歌「うん」ポロロンロロン ポロロロロローン♪

曜「チャルメラだね」

千歌「すごい、弾けた…」

梨子「ふふ、次はチューリップ弾いてみようか……」


…………………………


梨子「もうこんな時間だ」

千歌「本当だ…」

梨子「楽しかった?」

千歌「うん……」

曜「梨子ちゃんは教え方が上手いね」

梨子「子供の頃の……先生の真似よ」

曜「良い先生だったんだね」

梨子「えぇ、とっても…」

曜「ふふ…」クス

梨子「ところで曜ちゃんは弾かないの?」

曜「……私?…私は、いいかなぁ……」

梨子「そう?」

千歌「……?」

曜「そんなことよりそろそろ帰ろうよ、終バスの時間だよ〜!」バッ!

梨子「あっ!待ってよ曜ちゃん!!」

千歌「……」

曜「ほら、千歌ちゃんも急いで!」

千歌「……あっ…うん!」
0055名無しで叶える物語(あゆ)
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2018/02/03(土) 14:06:16.29ID:1XLzcCXL
〜〜〜


梨子(あれから数日)

梨子(千歌ちゃんの演奏は上手いわけじゃないけど)

梨子(音を奏でる楽しさを聴いてる人にも感じさせてくれる)

梨子(そんな素敵な演奏)

梨子(私もあんな風に、また弾きたいなぁ…)

梨子(……なんてね)


〜〜〜


ガラッ

曜「あれ?千歌ちゃんは?」

梨子「用事があるとかで後で来るって」

曜「そっか」

梨子「曜ちゃんも弾いてみない?」

曜「えぇ?どうしよ…」

梨子「興味ない…?」

曜「…………実は前からちょっと弾いてみたかったの」

梨子「ふふ、だと思った」

曜「……でも、千歌ちゃんが来るまでの間だけね」

梨子「?」
0056名無しで叶える物語(あゆ)
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2018/02/03(土) 14:06:56.09ID:1XLzcCXL
〜〜〜

曜「〜〜♪」

ララン ラン ララララン♪
ラララララララン ララン ララン ララン♪

曜「以上、月の光でした〜」

梨子「………」

曜「あれ?」

梨子「………す、凄いよ…曜ちゃん」

曜「え?」

梨子「楽譜を見ただけで……完璧過ぎる…天才だよ…」

曜「そんな言い過ぎだって…」

梨子「本格的にピアノ始めた方が良いって!」

曜「いや、そういう興味はないし…」

梨子「なんだったら私の先生を紹介して…」

曜「もう、いいってば!」


────
──────
────────


千歌「………………」

〜〜〜

曜ちゃんはいつもこうだ…

なんでも器用にこなせて…

ズルいなぁ…
0057名無しで叶える物語(あゆ)
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2018/02/03(土) 14:07:47.07ID:1XLzcCXL
〜砂浜〜

千歌「………」

千歌「………はぁ」

千歌「…………」


ダイヤ「……あら、千歌さん」

千歌「………」

ダイヤ「…どうしたんです?こんなところで?」

千歌「………別に」

ダイヤ「また前みたいな顔つきに戻ってますよ?」

千歌「………関係ないでしょ」

ダイヤ「音を探して暴れ回るのも迷惑ですが、また死にたがりに戻られるのも迷惑ですわ」

千歌「……貴方には……ダイヤさんにはわからないよ」

ダイヤ「なにがです?」

千歌「………ダイヤさんも何でも完璧にこなせる人だもん、そんな人に千歌の気持ちはわからないよ」

ダイヤ「………そうですわね」

千歌「否定しないんだ」

ダイヤ「自分を低く評価するよりましです」

ダイヤ「自分の可能性を潰すのはいつだって自分なのですから」

千歌「………出来る人の意見だね………」

ダイヤ「そうでしょうか?」


梨子『千歌ちゃーん!』

曜『おーい!』


ダイヤ「…あら、お友達が来ましたよ」

千歌「………」
0058名無しで叶える物語(あゆ)
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2018/02/03(土) 14:08:49.68ID:1XLzcCXL
梨子「どうしたのこんなところで…」

曜「あっダイヤさん」

ダイヤ「どうも」

千歌「…………」

梨子「千歌ちゃん?」

曜「?」

千歌「………皆にはわかんないよ」

梨子「…どうしたの?急に……」

曜「千歌ちゃん……?」

千歌「出来ない人の気持ちなんてわかんないよ!」

千歌「頑張っても上手に出来ない人の気持ちなんて…」

千歌「後から追い抜かれる気持ちなんて……」

千歌「私だけ出来ない時の気持ちなんて……」

千歌「わからないでしょ!」

千歌「皆には出来るのに私には出来ないなんて……」

千歌「こんなの……」

千歌「まるで障害者みたいじゃん!」

梨子「……っ!」ビクッ

曜「…梨子ちゃん?」

梨子「な、なんでもない……」

ダイヤ「呆れましたわ…千歌さん……貴方ね…!」

千歌「完璧超人が説教しないでよ!」

曜「千歌ちゃん…」

千歌「曜ちゃんもだよ!」

曜「……?」

千歌「なんでも出来る完璧超人!」

千歌「……曜ちゃんのピアノ聴いたよ…」

曜「……!」
0059名無しで叶える物語(あゆ)
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2018/02/03(土) 14:09:32.46ID:1XLzcCXL
千歌「やっぱり凄いや……曜ちゃんは……」

曜「そんなこと……」

千歌「謙遜しないでよ!わかってた癖に!」

千歌「最初にピアノ教えてもらったとき曜ちゃん断ったよね!」

千歌「あれって、自分は私より出来るって思ったからでしょ!」

曜「…………」

千歌「曜ちゃんは昔からそう!そうやっていつも千歌を下に見て!見下してて!」


千歌「………ムカつくんだよ!!」


曜「!!」

曜「…………」

曜「……本気で…言ってるの?」

梨子「…千歌ちゃん!曜ちゃんがそんな風に思ってる訳ないでしょ!」

ダイヤ「千歌さん、お友達に何て事を言うのです」

千歌「うるさい!!!!!!」

千歌「皆…うるさい……!」

千歌「…………千歌は…」

千歌「……千歌は……」


ブルルル…


千歌「…………」


ブルルルルルル…


千歌「…………?」


ブルルルルルルッ!


千歌「……ヘリ…コプター?」
0060名無しで叶える物語(あゆ)
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2018/02/03(土) 14:10:07.01ID:1XLzcCXL
〜上空〜

ブルルルルルルッ!

鞠莉「oh!あんな所に沼津の小市民共がいまーす!ギリギリまでヘリで近付いてビビらせてあげましょう!」


〜砂浜〜

梨子「……あれ…こっちに近付いてくるよ………」

曜「墜落しそうな勢いだね…」

千歌「そんなことより…この音…」

曜「……うん…まるで…地上の生き物を威圧するような…エンジン音…」

梨子「凄く…怖い…原始的な…恐怖…まるでDNAに組み込まれまれてるみたい…」ガクガク

千歌「プロペラが風を斬る音も…」

曜「ギロチン台に拘束されて死を待つような感覚」ゾワッ

千歌「も…もっと…近くで聴きたい!」ハァ…ハァ…

曜「近付こう!」

梨子「うん!」

千歌、梨子、曜「おーい!あはは!あはは!」ダッダッダッ



ダイヤ「…………えぇ」ドン引き
0061名無しで叶える物語(庭)
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2018/02/03(土) 14:10:58.47ID:YvakN3f7
ちかりこ入水自殺の同人誌思い出したけど全然違ったわ
ほな
0062名無しで叶える物語(あゆ)
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2018/02/03(土) 14:11:14.65ID:1XLzcCXL
〜上空〜

ブルルルルルルッ!

鞠莉「!!」

鞠莉「沼津の小市民共が狂ったように、こちらに走り寄ってきてまーす!」

鞠莉「NO……このままだと………」

鞠莉「ぶつ…かる…!」アタフタ

ブルルルルルル…

ドオォォォォン!


………………


ガシャン!


鞠莉「…大惨事でーす」ゴホッゴホッ

梨子「凄い音だったね…」

千歌「でも、あっけない最後だったね」

曜「あんなに威圧感のあった存在も地に墜ちた瞬間、鉄の塊になるんだもんね」

鞠莉「……けほっ……なんなんですか貴方達は……」

梨子「それはこっちの台詞だと思うけど……」

鞠莉「……あら?貴方は…桜内梨子さん?」

梨子「……そ、そうですけど…?」

鞠莉「こんなところで偶然出会えて丁度よかったわ!」

梨子「?」

鞠莉「私は小原鞠莉」

梨子「……はぁ」

曜「……大富豪の娘さんだよ」ヒソッ

梨子「えっ!」

鞠莉「小原グループ主催の音楽祭が開催されるので、そこにあなたにもエントリーして頂きたく探していたんです」

梨子「音楽祭ですか……?」
0063名無しで叶える物語(あゆ)
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2018/02/03(土) 14:11:50.54ID:1XLzcCXL
鞠莉「yes!貴方、ピアノがお上手なんですってね」

梨子「私は……」

鞠莉「是非、弾いてもらいたいんです」

梨子「……ごめんなさい……もうピアノはやめたんです」

鞠莉「oh!それは勿体ない……」

梨子「すみません……」

鞠莉「ですが、才能ある者はその力を使う義務があるんですよ?」

梨子「…………」

曜「……義務?」

千歌「…………」

鞠莉「どうか考え直してくれませんか?」

梨子「……出来ないんです」

鞠莉「Watts?」

梨子「左手の……」スッ

鞠莉「?」

梨子「指が……これ以上広がらないんです…怪我をして……」

千歌「えっ…」

曜「……」

鞠莉「…oh………ごめんなさい……そうでしたか……」

梨子「こちらこそ…期待に応えられずに…」

千歌「…………」


ダイヤ「ちょっと鞠莉さん!どういうことですか!この有り様は…」

鞠莉「oh!ダイヤ!ひさしぶり〜!」


千歌「…………」
0064名無しで叶える物語(あゆ)
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2018/02/03(土) 14:12:37.58ID:1XLzcCXL
〜夜〜


千歌(…………梨子ちゃん)

────────────

千歌『出来ない人の気持ちなんてわかんないよ!』

千歌『頑張っても上手に出来ない人の気持ちなんて…』

千歌『後から追い抜かれる気持ちなんて……』

千歌『私だけ出来ない時の気持ちなんて……』

千歌『わからないでしょ!』

千歌『皆には出来るのに私には出来ないなんて……』

千歌『こんなの……』

千歌『まるで障害者みたいじゃん!』

────────────


千歌(千歌……最低な事言っちゃった……)

────────────

千歌『曜ちゃんは昔からそう!そうやっていつも千歌を下に見て!見下してて!ムカつくんだよ!』

────────────

千歌(曜ちゃんにも……酷いこと……)
0065名無しで叶える物語(あゆ)
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2018/02/03(土) 14:13:11.50ID:1XLzcCXL
〜〜〜


曜(…………)

曜(……出来る人か)

曜(出来る人には義務があるの?)

曜(出来るから?出来ない人がいるから?)

曜(わかんないよ…)

曜(……千歌ちゃん…私ってそんなに凄い人なの?)

曜(……どうすればいいの…)

曜(…………)
0066名無しで叶える物語(あゆ)
垢版 |
2018/02/03(土) 14:14:02.11ID:1XLzcCXL
〜数日後〜


〜校門〜


千歌「…………」ムスー

鞠莉「ハーイ」

千歌「…………」ムッスー

鞠莉「あの時の子ねー」

千歌「…………」チラッ

果南「おっ千歌じゃん、おはよー」

千歌「…………」フンッ

鞠莉「千歌っていうの?じゃあ千歌っちって呼ぼうかしら?」

千歌「…………」

鞠莉「今日はお一人で通学?」

千歌「…………」

果南「最近、授業サボってるらしいね」

鞠莉「ワーオ!不良さんで〜すね!」

千歌「…………」

果南「まぁ…ほどほどにしなよ?二年生なんだし」

千歌「…………」


千歌「……ふん!」
0068名無しで叶える物語(あゆ)
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2018/02/03(土) 14:14:36.61ID:1XLzcCXL
〜〜〜


梨子(私達はあれから、3人で集まることもなくなった……)

梨子(千歌ちゃん……学校には来てるらしいけど)

梨子(クラスには顔を出さないの……)

梨子(なんでこんなことになっちゃったんだろ……)

梨子(私が……ピアノなんて教えたからかな……)

梨子(……曜ちゃんの方は)

梨子(……あれから更にピアノの練習をしてて)

梨子(正直、プロのレベルに達していると思う)

梨子(でも、最近の曜ちゃん……)

梨子(なんだか人が変わってきてるみたい……)
0069名無しで叶える物語(あゆ)
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2018/02/03(土) 14:15:14.63ID:1XLzcCXL
〜放課後〜


梨子「……曜ちゃん、凄く上手になったね……」

曜「そう?」タラン♪

梨子「世界に通用すると思う……」

曜「言い過ぎだって」

梨子「コンサートでも出てみない?私、コネはあるから出れる所探してあげるよ」

曜「えぇ……」

梨子「…興味ない?」

曜「……実は…ちょっとある」

梨子「だと思った」

曜「自分の力がどんなものなのか、私の演奏で皆がどんな顔をしてくれるのか、凄く気になるの……」

梨子「……曜ちゃん」

曜「試したいのかな……確かめたいのかな……自分の力を…」

梨子「力…」

曜「凄く……うずうずしてるの……」

梨子「…………」

曜「急に、こんな気持ちになるなんて……変かな?」

梨子「そんなことないよ!」

曜「そうかな……」

梨子「うん……」

梨子「よし!じゃあ探しておくね!」

曜「本当?」

梨子「もちろん」

曜「……ありがとう」


鞠莉『その必要はありませーん!』ガラッ


曜「へっ?」

梨子「……ま…鞠莉さん?」
0070名無しで叶える物語(あゆ)
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2018/02/03(土) 14:15:53.91ID:1XLzcCXL
〜屋上〜

千歌「………」

千歌「………はぁ」

千歌「…………」


ダイヤ「……千歌さん、こんなところにいたんですね」

千歌「…………」

ダイヤ「サボりはいけませんよ」

千歌「今は放課後だよ」

ダイヤ「朝からここにいたんでしょう?」

千歌「……関係ないでしょ」

ダイヤ「私は生徒会長ですよ?生徒に勝手なことをされると一番困りますわ」

千歌「自分の事ばっか……」

ダイヤ「貴方もそうでしょう?」

千歌「誰も千歌の事なんて……」

ダイヤ「……心配して欲しいんですか?」

千歌「…………別に」

ダイヤ「……千歌さん大丈夫です?何か悲しいことがありました?元気を出してください」ナデナデ

千歌「やめてよ気持ち悪い」パシッ

ダイヤ「めんどくさい人ですわ」

千歌「…………」

ダイヤ「そんなことより……何の用か知りませんが鞠莉さんが呼んでるんです、一緒に来てください」

千歌「……?」
0071名無しで叶える物語(あゆ)
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2018/02/03(土) 14:16:30.05ID:1XLzcCXL
〜理事長室〜


梨子「なんなんですか?こんな所に連れてきて……」

曜「あっ……」

千歌「……」

梨子「…千歌ちゃん」

千歌「……」フイッ

善子「話って何なのよ!」

花丸「マルは図書委員の仕事で忙しいずら」

ルビィ「ピィギギギギギギッ!!」抗議のピィギ

ダイヤ「ルビィ!はしたないから、それはやめなさいと言ったでしょう!」

ルビィ「チッ!」

果南「騒がしいなぁ」

鞠莉「静粛に!」

………………

鞠莉「皆さんに集まってもらったのは音楽祭についてです」

善子「音楽祭?」

鞠莉「yes!この沼津市をPRするために音楽祭を開催する事になりました!!」パンパカパーン



……シーーン
0072名無しで叶える物語(あゆ)
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2018/02/03(土) 14:17:13.19ID:1XLzcCXL
鞠莉「………え〜、ごほん」

鞠莉「…ジャンルを問わず…沼津の小市民共があらゆる音楽で場を沸かせ競いあう」

鞠莉「ミュージックバトルロワイヤルを開催するんです!!」

鞠莉「そして、なんと!その様子は全世界にネット配信されます!凄いでしょう?」

ダイヤ「話が見えませんわね、それと私達を集めた事と何か関係が?」

鞠莉「おおありです!貴方達、浦の星女学院の生徒にも是非出場して貰いたいの!」

ダイヤ「は?」

曜「誰でも出れるんですか?」

鞠莉「細かい選別はありますが沼津市民なら誰でもチャンスはありまーす」

鞠莉「しかも、我小原グループ主催の祭!私が裏を回せば簡単に出れるでしょう!」

鞠莉「ただ1つの意気込みさえアピールしてくれれば皆さんを音楽祭にエントリーしますよ!!」

曜「意気込み?」

鞠莉「この廃校になる浦の星女学院を救おうという熱い意気込みでーす!!」



………………
0073名無しで叶える物語(あゆ)
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2018/02/03(土) 14:17:50.16ID:1XLzcCXL
梨子「…………廃校に?」

曜「……なるの?」

鞠莉「イエース!」

ダイヤ「この浦の星女学院が?」

果南「廃校に?」

鞠莉「イエース!」


曜「………………」


ダイヤ「………………」


鞠莉「……?」


鞠莉「……あっ!廃校といってもまだ決定じゃなくて、この音楽祭の結果次第では…」

曜「廃校なんてどうでもいい!」

鞠莉「……え?」

曜「どうでもいいけど!音楽祭には出たい出たい出たい!」

梨子「全世界に曜ちゃんの実力を誇示するチャンスだもんね!」

鞠莉「……?」

曜「でも、この学校の為じゃないと出場出来ないなんて……」

梨子「そういう事にして参加したら?」

曜「私…嘘はつけないよう……」

鞠莉「あれ?思ってた反応と違う……」
0074名無しで叶える物語(あゆ)
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2018/02/03(土) 14:18:26.64ID:1XLzcCXL
善子「ちょっと!廃校ってどういうことよ!」バンッ!

鞠莉「ッ!」ビクッ

善子「私達1年なのよ?廃校するなんて知ってたらこんな学校受けなかったわよ!どうしてくれるの!」

ルビィ「そうだよ!」

花丸「ずら!」

鞠莉「oh……それは……」アワワワッ

ダイヤ「鞠莉さん!廃校だなんて聞いてないですよ!」バンッ!

鞠莉「ひっ…!」ビクッ

果南「鞠莉は昔からそういう所あるよ…問題を先伸ばしにして手遅れになってから相談しにきたりさ」

鞠莉「いや、あの……」

ダイヤ「これはどういうことなんです!」グイッ

鞠莉「あわわわわ…」

千歌「…………」スッ

鞠莉「ちょ、ちょっと千歌っち……どこに……?」

千歌「馴れ馴れしく呼ばないでよ!」

鞠莉「!!」

千歌「……千歌には関係ない、音楽祭も……廃校も……」

鞠莉「ちょ、ちょっと待って……」

ダイヤ「鞠莉さん!逃げないでください!」

善子「どうするのよ!私達!」

鞠莉「…え〜と、あの〜」
0075名無しで叶える物語(あゆ)
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2018/02/03(土) 14:19:26.75ID:1XLzcCXL
〜〜〜

千歌「…………」

千歌(廃校なんてどうだっていい)

千歌(音楽祭もだ…)

千歌(千歌には……関係ないし)

〜〜〜

千歌「…………」

梨子「待ってよ!千歌ちゃん」テッテッテ

千歌「…………」

梨子「どうして避けるの!」

千歌「……ほっといてよ」

曜「まーた、やさぐれ千歌ちゃんに戻ってるよ」

梨子「急に教室にも顔を出さなくなったし、どうしたのよ……千歌ちゃん」

千歌「関係ないでしょ!」ギロッ

梨子「…………」

曜「なに?今度は不良キャラ?全然怖くないんだけど」

千歌「……」ギロッ

曜「ふん!かかってきなよ!私の事、昔っからムカついてたんでしょ?」

梨子「曜ちゃん…?」

曜「それとも殴る事すら出来ないのかな?」

千歌「…っ!」

梨子「やめて!千歌ちゃん」

曜「こいよ!」 👀
Rock54: Caution(BBR-MD5:0be15ced7fbdb9fdb4d0ce1929c1b82f)
0077名無しで叶える物語(あゆ)
垢版 |
2018/02/03(土) 14:20:21.33ID:1XLzcCXL
千歌「………このっ!」ダッ

曜「かかってこい!!」

千歌「やぁっ!」ドゴッ!

曜「───っ!」クラッ

梨子「曜ちゃん!」

曜「……ふっ」フラッ

千歌「はぁ……はぁ……」

曜「…全然痛くないね!……そんなへなちょこパンチじゃ!」

千歌「…………」

曜「もう一発きなよ!」

千歌「……っ!」

梨子「やめて!!千歌ちゃん!」

千歌「……はぁっ!」バキッ!

曜「っ……がっ!効かないな…」フラッフラッ

梨子「もうやめてよ!!!」

曜「響かないよ!全然……」

千歌「…………」

曜「もう終わりなの?」

千歌「このっ!」

梨子「もうやめてっ!!!!」


鞠莉「んー?何の騒ぎでーす?」


梨子「ま、鞠莉さん?」

鞠莉「理事長室から逃げてきました、それよりこれは……」

梨子「二人を止めてください!」

鞠莉「oh!殴りあいですか、良いですね青春でーす」

梨子「はい?」

鞠莉「やれぇ!殺しあえぇ!!」

梨子「!!」
0078名無しで叶える物語(あゆ)
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2018/02/03(土) 14:21:20.06ID:1XLzcCXL
千歌「このっ!」ゲシッ!

曜「うっ………」フラッ

千歌「やぁっ!」バキッ!

曜「…くっ!」フラッ

廊下には人が人を殴る生々しい音が響き渡る……

梨子「やめてよ…!!」

梨子(こんな音……聴きたくない……!)

千歌「てやぁっ!」ドカッ

曜「うっ……」ヨロッ

一方的に殴られていた曜は、ついに倒れ込んでしまった。

梨子「曜ちゃん!!」

鞠莉「oh!ストップ!」

鞠莉が慌てた様子で曜に近付いていく。

梨子「ま、鞠莉さん?」

倒れた曜を抱えて無理矢理立ち上がらせる。

鞠莉「OK!さぁもう一発ぶちかましてやりなさい!」

梨子「な、何やってるんですか!!」
0079名無しで叶える物語(あゆ)
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2018/02/03(土) 14:21:59.92ID:1XLzcCXL
千歌「…………」

曜「…………ごほっ……やれよ……バカ千歌!」

千歌「………………」

千歌「う、うおぉぉぉぉぉっ!」スッ

梨子「ダメ!!!」ダッ

千歌が曜に目掛けて繰り出した全力の右ストレート。

それは二人の間に、割って入ってきた梨子に直撃した。

千歌「!!」

梨子「っ!!」

曜「………梨子ちゃん!」

千歌のパンチを食らった梨子は壁に頭から突っ込む形で吹っ飛んでいく。

バコンッ!と音をたてた後、彼女は壁に頭だけ埋まった状態になっていた。

鞠莉「………!」

千歌「あっ……あっ……」ワナワナ…

曜「…り、梨子ちゃん!!!」



鞠莉「ワーオ…」ドン引き
0080名無しで叶える物語(あゆ)
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2018/02/03(土) 14:22:47.57ID:1XLzcCXL
〜数日後〜


〜砂浜〜


千歌「………」

千歌「…………」

千歌「……………」


ダイヤ「千歌さん……」

千歌「…………また、ダイヤさんか」

ダイヤ「不満でしょうか?」

千歌「……もしかして私のストーカーなの?」

ダイヤ「学校に来ない生徒を指導するのも、私の仕事のうちです」

千歌「ふーん」

ダイヤ「……どうかしたんですか?」

千歌「……関係ないでしょ」

ダイヤ「…喧嘩したんですって?」

千歌「向こうが悪いんだよ…挑発してきたから…」

ダイヤ「梨子さんも?」

千歌「……勝手に飛び出してきたから…自業自得だよ……」

ダイヤ「最低ですわね」

千歌「ふん……いつも千歌ばっかり悪者だ…」

ダイヤ「それこそ自業自得です」

千歌「…………」

ダイヤ「…………」
0081名無しで叶える物語(あゆ)
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2018/02/03(土) 14:23:36.27ID:1XLzcCXL
千歌「……本当は」

ダイヤ「……?」

千歌「こんなんじゃダメだってわかってるのに……」

ダイヤ「…………」

千歌「千歌は最低な子だ……」

ダイヤ「…………」

千歌「なんで…あんなこと……」

ダイヤ「謝れば許してくれますわ二人とも」

千歌「どうかな……」

ダイヤ「大丈夫ですよ…それに二人とも貴方の事を心配してましたよ?」

千歌「会ったの?」

ダイヤ「えぇ…たいした怪我でもなく普通に学校へ通っていますわ」

千歌「…………」

ダイヤ「安心しました?」

千歌「……うん」

ダイヤ「………早く仲直りしなさい」

千歌「許してくれるかな」

ダイヤ「貴方が元気におはようと挨拶するだけで、十分元に戻れますよ」

千歌「……そうかな」

ダイヤ「えぇ…友達なんですから」

千歌「…でも、もし仲直り出来ても……また千歌が何か言っちゃいそうで」

ダイヤ「言ったって受け入れてくれますよ、貴方が逃げなければ」

千歌「………二人といると劣等感が凄いんだ」

ダイヤ「劣等感?」
0082名無しで叶える物語(あゆ)
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2018/02/03(土) 14:24:26.37ID:1XLzcCXL
千歌「梨子ちゃんは優しくて千歌の事をいつも心配してくれるけど」

千歌「それが対等な関係とは思えなくて」

千歌「下に見られてる気がして…」

ダイヤ「彼女はそんな風に思う人には見えませんが」

千歌「うん、だからそんな風に見ちゃう千歌が凄く小さい人間みたいに思えて」

ダイヤ「…………」

千歌「曜ちゃんはね、昔から何でも出来て子供の頃は憧れだったんだよ」

千歌「最初は追い付きたいって思ってたけど、いつの間にか諦めちゃった」

千歌「自分は曜ちゃんと違って普通なんだって」

千歌「だから出来なくても仕方ないっていろんな事を諦めてたら」

千歌「いつの間にか普通以下になっちゃって」

千歌「それから曜ちゃんには、凄い劣等感を感じるようになっちゃった…」

千歌「それで高校一年の時は冷たくしちゃってたんだ」

ダイヤ「でもまた仲良く出来たじゃないですか」

千歌「うん………曜ちゃんのせいじゃないって自分のせいなんだって気付けたから」

千歌「でも、自分のせいだって思ったら凄く苦しくって」

千歌「それであんな事があったから…抑えきれないで…また酷いこと言っちゃった」

ダイヤ「……ピアノですか」

千歌「うん…最初は楽しかったけど」

千歌「自分で演奏してくうちに下手くそだなって思えてきて」

千歌「もっと上手くなりたいって思っても、なかなか思い通りにならなくて」

千歌「そんな時に曜ちゃんの演奏を偶然聴いちゃって……」

千歌「千歌なんかよりも上手で……」
0083名無しで叶える物語(あゆ)
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2018/02/03(土) 14:25:09.85ID:1XLzcCXL
ダイヤ「……別に下手でも、良いじゃないですか…貴方は貴方の演奏をすれば」

千歌「……そんなの許せないよ」

ダイヤ「……完璧主義なんですね」

千歌「……?」

ダイヤ「自分を他人と比べて、そして自分に完璧を求めすぎる」

千歌「……だって完璧じゃなきゃ意味ないじゃん」

ダイヤ「そうでしょうか?」

千歌「ちゃんとしなきゃ、上手に出来なくちゃ……何の意味もないじゃん」

ダイヤ「上手に出来ないなら……」

千歌「?」

ダイヤ「貴方はテニスやバレー等のスポーツは一生やらないんですか?」

千歌「それは……」

ダイヤ「他の事だってそうです……上手に出来ないなら、それをやることに何の意味もないと……そう感じるんですか?」

千歌「……」

ダイヤ「一番大事なのは貴方がやりたいかどうかでしょう?」

千歌「……ふん、そんなの出来る人の意見だ…」

ダイヤ「……はぁ」

千歌「…………」

ダイヤ「貴方は他人のために生きてるんですか?」

千歌「………どういうこと?」

ダイヤ「やりたくないならやめていいんです」

ダイヤ「やっていて辛いならやる必要ありません」

ダイヤ「一番大事なのは自分がやりたいか、やっていて楽しいか、ただそれだけなんですから」

ダイヤ「他人はどうしてるか他人がどう思うかを考えるのも大切ですが」

ダイヤ「自分が好きな事をする上では、そんなもの何の関係もありませんわ」

ダイヤ「貴方は…貴方がしたいことをするべきです」

千歌「……お説教はやめてよ」

ダイヤ「お説教のつもりはなかったのですが…」

千歌「……ふん」
0084名無しで叶える物語(あゆ)
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2018/02/03(土) 14:26:38.41ID:1XLzcCXL
ダイヤ「…………」

千歌「…………ねぇ」

ダイヤ「はい?」

千歌「……また太鼓……聴かせてよ」

ダイヤ「……今度の音楽祭で披露しますわ」

千歌「…出るの?」

ダイヤ「はい」

千歌「……学校のため?」

ダイヤ「それも少しはあります……でも一番あるのは、私があの学校に無くなって欲しくないからです」

千歌「…………」

ダイヤ「………自分のために演奏しますわ」

千歌「………そう」

ダイヤ「……えぇ」

千歌「…………」

千歌(……ちぇ)

ダイヤ「…?」

千歌「………………」
0085名無しで叶える物語(あゆ)
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2018/02/03(土) 14:27:11.64ID:1XLzcCXL
ダイヤ「…あぁ」

千歌「?」

ダイヤ「今、聴きたいのですね?」

千歌「……べ、別に……そうじゃないし」

ダイヤ「今日は都合が悪いんです、申し訳ありません」

千歌「……そんなこと言ってない」

ダイヤ「そうですか?」

千歌「ふん……」

ダイヤ「……明日、練習でよければ聴きます?」

千歌「……本当?」

ダイヤ「えぇ……ただし1つ条件を」

千歌「……なに?」

ダイヤ「私の仕事を手伝う…」

千歌「…………」

ダイヤ「どうでしょう?」
0086名無しで叶える物語(あゆ)
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2018/02/03(土) 14:27:51.20ID:1XLzcCXL
〜翌日〜


ダイヤ「来ましたね」

千歌「別に…暇だからね…」

ダイヤ「今から問題のあるグループの所へ行きます」

千歌「不良?」

ダイヤ「いえ、そうではないのですが……少々厄介な人達ですわ」

千歌「……」

ダイヤ「もう、朝の練習を始めてるでしょうし、早速向かいますよ」
0087名無しで叶える物語(あゆ)
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2018/02/03(土) 14:28:59.89ID:1XLzcCXL
〜〜〜

千歌(あぁ…この子達か……)

善子「そのくらい良いじゃない!」

ダイヤ「そんなもの認められません!」

善子「なんでよ!」

ダイヤ「ただでさえ、この前体育館を全焼させたのに、この火薬量は今度こそ洒落になりませんわ!」

千歌(最初から洒落になってないよ…)

善子「パフォーマンスよ!音楽祭を盛り上げるためのね!」

ダイヤ「実際に観に来られる方の中には外国の方もいます!何かあれば国際問題に……」ワナワナ

善子「考えすぎよ」

千歌(この子達、何するつもりなんだろう)

ルビィ「うぜぇー」

ダイヤ「!!…ルビィ!今、何と言いました…?」

ルビィ「うぜぇって言ってんだよシスコンおばさん」

千歌「…ぷっ!」
0088名無しで叶える物語(あゆ)
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2018/02/03(土) 14:29:34.41ID:1XLzcCXL
ダイヤ「ルビィ!」

ルビィ「なんだよ!」バンッ!

ダイヤ「!」ビクッ

ルビィ「いつも私の邪魔ばかりしやがって、おとなしく私の言う通りにしてろカス!」中指シュッ

ダイヤ「…なっ!」

ルビィ「私がやりたいって言ってんだから黙って協力してろよ!」

ダイヤ「なんて事を言うのです…」

ルビィ「お前は私の御機嫌伺いだけしてれば良いんだよ!」

ダイヤ「……ル、ルビィ」

ルビィ「それが姉であるお前の運命だ!」

ダイヤ「…………」ボーゼン

千歌(随分、はっきり言う子だな…)

花丸「待つずら!やめるずらよ!」

ダイヤ「……は、花丸さん?」

ルビィ「マル……!」

花丸「……ダイヤさん!ルビィちゃんの話をちゃんと聞いてあげてほしいずら!」

ダイヤ「……はぁ!?私が?さっきから聞いてるでしょ!これ以上何を聞けって言うんです!」

花丸「ルビィちゃんから逃げないであげてください!」

ダイヤ「貴方は何を言ってるんですか?」

ルビィ「言いたいことはまだまだあるぞ!」

ダイヤ「なっ!」

千歌(ちょっと可哀想になってきた……)
0090名無しで叶える物語(あゆ)
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2018/02/03(土) 14:30:15.69ID:1XLzcCXL
〜〜〜

ダイヤ「…………」フラッフラッ

千歌「ダイヤさん、フラフラ歩いてると危ないよ……」

ダイヤ「ほっといてください」

千歌「…………」

ダイヤ「はぁ……」

〜〜〜

鞠莉「oh!可愛い秘書さんをお連れですね、ダイヤ」

果南「ダイヤの家来になっちゃったの?千歌?」ニヤァ

千歌「ふん!」

ダイヤ「千歌さん、ハンコを」

千歌「……えーと…はい」スッ

果南「ふふふ」ニヤニヤ

千歌「……」ムスー

〜〜〜

ダイヤ「そろそろ授業が始まります」

千歌「…………」

ダイヤ「…自分の教室に
顔を出したくないなら、別にここにいても構いませんが…いつまでも、こういう訳にはいきませんよ?」

千歌「……ふん、先生みたい」

ダイヤ「先生だったら問答無用で教室に引きずってますわ」

千歌「…………」

ダイヤ「では私は行きますので」

千歌「仕事……やっとこうか?」

ダイヤ「授業を疎かにしてまで、やらないといけない仕事は学校にはありませんわ」

千歌「…………」

ダイヤ「それでは」ガラッ

千歌「…………」
0091名無しで叶える物語(あゆ)
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2018/02/03(土) 14:31:10.29ID:1XLzcCXL
〜〜〜

千歌「うわぁ凄い書類の量……」

千歌「こんなのいつも一人でやってるの?」

千歌「まぁ……たいして手伝ってないし、今日もいつもと変わんないか」

千歌「あの人、こんなことを毎日……」

千歌「本当に自分のためにやってるの?」

千歌「……きっと出来る自分に酔ってるんだよ」

千歌「ナルシストっぽい顔してるしね……」

千歌「…………ふわぁ〜」

千歌「……ねむ……ちょっと寝ちゃお……」


〜〜〜


最近、楽しくない……

なんでかな?

一人だから?

二人と喧嘩したから?

三人でいられなくなったから?

つまんないなぁ一人は……

寂しいなぁ一人は……

寂しいと……

冷たいな……
0092名無しで叶える物語(あゆ)
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2018/02/03(土) 14:31:56.15ID:1XLzcCXL
〜〜〜


千歌「…………ん」

千歌「…ありゃ」

千歌「お昼まで寝ちゃった……」

千歌「でも……まだ眠いや……」

ダイヤ「……」ガラッ

千歌「……あっ」

ダイヤ「居眠りですか?」

千歌「……家で寝てるよりましでしょ」

ダイヤ「……物は言いようですわね」

千歌「……」グルルー

ダイヤ「ふふ、お腹が空いたんじゃありません?」

千歌「そりゃお昼だからね」

ダイヤ「一緒に食べましょう」

千歌「…うん」

ダイヤ「素直でよろしい」

千歌「……いつもここで食べてるの?」

ダイヤ「そういうわけではありませんが」

千歌「寂しいね」

ダイヤ「……」イラッ

千歌「冗談だよ、本当は私のためだよね?」

ダイヤ「別にそういうわけでもありませんわ」

千歌「ふーん、どうだか…」
0093名無しで叶える物語(あゆ)
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2018/02/03(土) 14:32:32.36ID:1XLzcCXL
〜〜〜

ダイヤ「食べますよ」

千歌「うん……」

千歌(誰かと一緒にご飯食べるなんて久しぶり……)

千歌(ちょっとだけ楽しいかな……)

千歌(…………)

千歌(この人、千歌なんかに構ってどうしたいんだろ……)

千歌(これも生徒会長の仕事のうち?)

千歌(それとも……千歌のため?)

〜〜〜

ダイヤ「習字が得意なんですか?」

千歌「まぁね…」

ダイヤ「他に得意な事は?」

千歌「卓球とか…?逆上がりも得意…かな」

ダイヤ「たくさんあるじゃないですか」

千歌「こんなの特技でもなんでもないよ…」

ダイヤ「そんなことありません、立派な特技ですわ」

千歌「…………ふん」

ダイヤ「今度、一筆お願いしても?」

千歌「……あんまり、期待しないでよ」

ダイヤ「期待はしますわ、私のために書いてもらうんですから」

千歌「……ふん!」
0094名無しで叶える物語(あゆ)
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2018/02/03(土) 14:33:27.53ID:1XLzcCXL
〜〜〜

ダイヤ「さて、これから清掃活動に行きますよ」

千歌「清掃?掃除の時間にやればいいじゃん」

ダイヤ「その前に校舎を見て回って、掃除後にも確認しに行くんです。怠ったりしていないか確認するために」

千歌(小姑みたい)

ダイヤ「では、行きますよ」
0095名無しで叶える物語(カボス)
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2018/02/03(土) 14:34:01.24ID:I/f4603C
先に言っとくけど面白かったぞ
0096名無しで叶える物語(あゆ)
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2018/02/03(土) 14:34:07.00ID:1XLzcCXL
〜〜〜


千歌「窓ガラス、ピカピカだね、新品みたい」

ダイヤ「誰かさんが叩き割ってくれましたからね」

千歌「割ったのは千歌じゃないもん」

ダイヤ「……」

千歌「備品も所々綺麗になってる」

ダイヤ「貴方達が壊しまくったからですわ」

千歌「ふーん、覚えてないや」

ダイヤ「…………」

千歌「あっ、この廊下のこの部分汚れてるよ」

ダイヤ「どこですか?」

千歌「これこれ」

ダイヤ「あぁ、それは……落ちない汚れですわ」

千歌「本当?」

ダイヤ「えぇ」

千歌「消しゴムで擦ったら消えるかもよ」

ダイヤ「無理だと思いますが」

千歌「じゃあ試してみる?」

ダイヤ「はい?」
0097名無しで叶える物語(あゆ)
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2018/02/03(土) 14:34:42.20ID:1XLzcCXL
〜〜〜

廊下の黒い汚れがついてる箇所に消しゴムを擦り付ける。

千歌「よいしょ…よいしょ」ゴシゴシ

ダイヤ「…………」

千歌「う〜ん」ゴシゴシ

ダイヤ「…………」

千歌「……おっ!」ゴシゴシ

ダイヤ「…………」

千歌「へへーん」ゴシゴシ

ダイヤ「…………」

千歌「ダイヤさん!」

ダイヤ「はい」

千歌「ほら見てよ!」

ダイヤ「……まぁ」

さっきまであった汚れ……

それは全く落ちず、それどころか横に広がって大きくなっていた。

千歌「えへへ」

ダイヤ「…………」
0098名無しで叶える物語(あゆ)
垢版 |
2018/02/03(土) 14:36:03.04ID:1XLzcCXL
〜〜〜

ダイヤ「見回りを続けますよ」

千歌「はーい」

ダイヤ「今度は外です、壁やフェンスなどに異常がないか確認してください」

千歌「はいはい」

ダイヤ「…………」

千歌「……ん?ここのフェンスちょっと穴空いてるね」

ダイヤ「あら、本当ですね……後で針金で補強しておきましょう」

千歌「……」

ダイヤ「どうしました?」

千歌「この穴……頑張ればくぐれるサイズ」

ダイヤ「私には無理ですわ」

千歌「まさか……この学校に侵入者が……」

ダイヤ「大丈夫ですよ、不審者がいればすぐ見つかります」

千歌「そうかな」

ダイヤ「行きますよ」

千歌「…………」


ガサ……


千歌「?」


近くの茂みが揺れる。


千歌「風かな?」


ガサ…ガサ…


千歌「いや……」


千歌「なにかいる?」

ガサガサガサガサ…

千歌「もしかして……」

千歌「侵入者が……」
0099名無しで叶える物語(あゆ)
垢版 |
2018/02/03(土) 14:36:56.10ID:1XLzcCXL
ダイヤ「どうしました?千歌さん」

千歌「あっ……あそこに……」

ダイヤ「?」

激しく揺れ動く茂み……

千歌「ひぃっ!」

ダイヤ「大丈夫です、こちらに」

そう言われてダイヤの後ろに隠れた。

それと同時に茂みから勢いよく何かが飛び出してくる。


ダイヤ「……あれは!」

千歌「!!」


『キュー』


千歌「…………」

千歌「……なんだアライグマか」

千歌「脅かさないでよね……」


ダイヤ「いえ、アライグマも大分危険ですよ?」

千歌「はぁ〜びっくりした」

ダイヤ「とにかく自治体に連絡しましょう」

千歌「私達で捕まえちゃおうよ」

ダイヤ「やめてください、危険です」

千歌「心配しすぎだよ、あんなのに…」スッ


『ギュッーー!!!!』


千歌「ひぃっ!」ギュッ

ダイヤ「もう!挑発するからですよ!」

千歌「ごめんなさい!」
0100名無しで叶える物語(あゆ)
垢版 |
2018/02/03(土) 14:37:29.83ID:1XLzcCXL
ダイヤ「とにかく、ゆっくりと刺激しないように逃げますよ」

千歌「わ、わかった」


ソローリ……ソローリ……


千歌「…………」

ダイヤ「…………」

千歌(ゆっくり……ゆっくり……)

千歌(…………)

千歌(…あっ)

千歌(私、ずっとダイヤさんの背中にくっついてた……)

千歌(恥ずかしいなぁ……)

千歌(でも…ダイヤさんの背中)

千歌(くっついてると……凄く……落ち着く……)

千歌(……温かい)
0101名無しで叶える物語(あゆ)
垢版 |
2018/02/03(土) 14:38:02.37ID:1XLzcCXL
〜〜〜


ダイヤ「あの後、アライグマはちゃんと回収されたみたいですね」

千歌「用務員のおじさんが素手で蛇掴むみたいに捕まえたんだって」

ダイヤ「流石ですわ」

千歌「それで、この後はどうするの?」

ダイヤ「もう見回りは終わりですね。この後、私は溜まった書類を片付けます」

千歌「千歌もその手伝い?」

ダイヤ「いえ、千歌さんは善子さんの所に行って危険な事をしないよう見張ってください」

千歌「えぇ〜」

ダイヤ「分担作業です」

千歌「……妹さんに会いたくないから千歌に行かせるんでしょう?」

ダイヤ「…………」

千歌「いいよ、ダイヤさんのために行ってあげる」ニヤニヤ

ダイヤ「早く行きなさい」

千歌「えへへ」

ダイヤ「ちゃんと監視してくださいよ、一緒になって変な事件を起こさないように」

千歌「う〜ん、頑張るけど……」

ダイヤ「信用してますわ」

千歌「…………うん」
0102名無しで叶える物語(あゆ)
垢版 |
2018/02/03(土) 14:38:42.25ID:1XLzcCXL
〜〜〜

善子「別に危険な事なんてしようと思ってないのよ?」

千歌「はぁ…」

善子「ただちょっと会場の一部を爆破して、そこから溢れる天界の光を演出したいの」

千歌(十分危険だよ…)

善子「大体、うるさ過ぎるのよあんた達は、そうやって心配ばかりするから事故が起きるんだわ」

千歌「?」

善子「集団意識よ!皆がそう思うから現実になるの!事故は起きるものじゃなく皆の意識が起こすものなんだわ!」

千歌「う〜ん?」

善子「あんたもそう思うでしょ?」

千歌(さっきからなんでタメ口なんだろう…?)

千歌(…下に見られてる?)

千歌(一応、先輩なんだけどなぁ……)


ルビィ「きひひ!うちのバカ姉貴はどうした?」ダラー

千歌(うわっ……口の周り真っ赤じゃん……何食べてたのこの子)

ルビィ「ビビって来れねぇか!あーはっはっはー!」

千歌「…………あはは」

千歌(早く帰りたい……)

千歌「……ん?」

花丸「…………」

千歌(この子はまともそうだね……なんでこんな連中と絡んでるんだろ……)
0103名無しで叶える物語(あゆ)
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2018/02/03(土) 14:39:26.54ID:1XLzcCXL
善子「そうだ!ずら丸!あんたはやりたいことないの?」

花丸「ずら?」

善子「演出よ、この前みたいに炎の海を作り出したいとかさ」

ルビィ「あれマルの意見なんだよね!最高だったよ!」

千歌「!!」

善子「そもそもなんで急に、火とか炎とかに夢中になっちゃったわけ?」

花丸「それは……」

ルビィ「それ、私も気になるわ!」

花丸「マルね……前に聖書を燃やしてる先輩達を見たずらよ…」

善子「聖書を?」

ルビィ「燃やす?」

千歌(……先輩?)

────────────


花丸『ちょっと何やってるずら!学校の本を燃やしたらダメずらよ!』

曜『次はこの聖書燃やしてみようか』

千歌『分厚い……』

梨子『どんな音が聴こえてくるかな?』

花丸『あわわわわ……』


────────────

千歌(……この子!あの時の田舎娘!)
0104名無しで叶える物語(あゆ)
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2018/02/03(土) 14:40:01.30ID:1XLzcCXL
花丸「その先輩達が聖書に火をつけると、とっても冒涜的な火柱を立てたずら……」

花丸「それがとてつもなく美しくて……」

花丸「マル、もう一回あれが見てみたいずらよ」

善子「ふーん、じゃあ聖書燃やしてみる?」

花丸「マルも何回か再現しようとして燃やしてみたんだけど、どうもやり方が違うみたいで…」

善子「やり方?」

花丸「あの時の先輩達みたいなやり方をしないと、美しい火柱は起こせないと思うずら」

ルビィ「じゃあそのイカれた先輩を捕まえて再現させてみようよ!」

千歌「!」

花丸「でも名前も知らないずら…」

善子「顔くらい覚えてるでしょ」

花丸「その行為に注目してたから、あんまり顔は見てないずら…でもおぼろ気には覚えてるずら…」

千歌「…………」ダラダラ

花丸「……ずら?」

千歌「…………」ダラダラ

花丸「……あれ?この人……」

千歌「…………」ダラダラ
0105名無しで叶える物語(あゆ)
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2018/02/03(土) 14:40:42.15ID:1XLzcCXL
〜〜〜

ルビィ「まさかこいつがその先輩だったとはな!」

千歌「い、いやぁ……」

花丸「あれからマルも色々調べて探してたずら、会えて光栄ずら!」

善子「そんなに凄い人なの?」

花丸「今日までこの人の正体には辿り着けなかったけど、噂はたくさん聞いたずらよ!」

ルビィ「噂って?」

花丸「学校の聖書を燃やした他にも、殺人ガスを校舎にバラまこうとしたり、校舎中のガラス叩き割りまわったりしたって」

善子「ひぇぇ……」

花丸「あと通学路の電柱をへし折ったのもこの人ずら!」

ルビィ「マジかよ!最高にイカれてんじゃんこいつ!」

千歌「ま、窓ガラスと電柱は曜ちゃんがやったことで……」

ルビィ「よし!こいつもうちらのメンバーに加えよう!」

千歌「えぇ!」

善子「ちょっと待ってよ!そんな危険な人を入れて大丈夫なの?」

ルビィ「ビビってんじゃねぇよ!堕天使様がよ!」バンッ!

善子「ひぃっ!ごめんなさい!」

花丸「千歌さん!マル、早くあの炎を見たいずら〜」

千歌「え〜と……」

ルビィ「勿体つけないでやってみせてくれよ!火の元はたくさんあるんだ!派手にやろうぜ!」

千歌(……とんでもないことになっちゃったよ)
0106名無しで叶える物語(あゆ)
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2018/02/03(土) 14:41:18.25ID:1XLzcCXL
〜〜〜

善子「ほら、聖書と火薬はここにあるわよ」

千歌「………う、うん」

花丸「他にも何か必要ずら?」

千歌「……いや、あの……」

ルビィ「ん?」

千歌「……ほ、本当にやるの?」

ルビィ「当たり前だろうが!」

花丸「早く見たいずら!」

千歌「でも……危ないし」

ルビィ「はぁ?今更危険もクソもないだろうが!毒ガスまいて無差別に殺そうとしてた奴がよ!!」バンッ!

千歌「いや……あれは自分が死ぬために…」

花丸「もう我慢できないずら!早く!早く!」ハァハァハァ!

ルビィ「マルのためにも早いとこ頼むわ!」

千歌「あのですね……」

ルビィ「はよしろや!!」バンッ!

千歌「はい!」


千歌(……燃やし方なんて、そんなの適当に燃やしただけだけど)

千歌(…普通に燃やせば満足してくれるかな?)

千歌(……期待に答えられなかったらどうなるんだろ)

千歌(……それにどっちにしたってダイヤさんに怒られちゃうよ)

千歌(…………どうしよう)

千歌(………………)

千歌(ひとまずここは自分の身のために……)

千歌(…再現するしかない)

千歌(……あの日は結構風が強い日だったっけ)

千歌(……多分、風のせいで火柱が上がったんだと思うけど……)

千歌(……とりあえず)

千歌「じゃあ、ちょっと準備するね?」
0107名無しで叶える物語(あゆ)
垢版 |
2018/02/03(土) 14:41:58.76ID:1XLzcCXL
〜〜〜

千歌「こうしてっと」プスプス

千歌(あの日と全く同じように出来た)

千歌(焚き火を作って、ある程度火が大きくなったら)

千歌(そこに聖書を投げ込めば良いだけ)

千歌(火薬もあるけど必要ないよね)

千歌(そもそも燃える物じゃなくて爆発物だし)

千歌(聖書もこの前と似た厚さの物を持ってきたし)

千歌(神聖な物だから、もしかしてヒマワリの油が染み込んでたかもっていう……)

千歌(そういう可能性も加味して油も塗っておいた)

千歌(たぶん、上手くいってくれるはず……)

千歌「よし、じゃあ……やるよ…」

花丸「ずら!」ハァハァハァハァハァ

ルビィ「楽しみだな!」

善子「大丈夫なの……?」

千歌「えいっ!」ポイッ
0108名無しで叶える物語(あゆ)
垢版 |
2018/02/03(土) 14:42:39.35ID:1XLzcCXL
〜〜〜

ボオオオオオオオオオオオオッ!

ルビィ「すっげえ火柱……」

善子「まるで炎の竜巻みたい…」

花丸「吸い込まれそうずら」

千歌「あぁ……」

ボオオオオオオオオオオオオッ!

千歌「………嘘…あんな高くまで…」ボーゼン

花丸「渦の中に苦しんでる人の姿が見えるずら…」

善子「凄い恨めしそうに…」

ルビィ「私達を引きずり込もうと手を伸ばしてる奴もいるな」

千歌(…この子達には何が見えてるの?)

ルビィ「おい!天高く上がった火柱から火の雨が!」

花丸「この世の終わりみたいな光景ずら〜」

善子「あぁ!プロメテウスよ!」

千歌(まずい、被害が大きくなる!何とかしないと…)ダッ

千歌「熱っ!」ジュッ

千歌(ダメだ……火の雨が邪魔して近付けない……)

千歌(どうしよう……)

千歌(…………あぁ)

千歌(……最悪だ…)

千歌(…………火薬に引火しそう…)

ルビィ「ヒャッハーーー!」

花丸「美しいずら…こんなもの見せられたら……もうマルは美しいものしか愛せないずらよ…」

善子「プロメテウス!こんな事のために人間に!その力を!」

千歌「あぁぁぁっ……」ブルブル
0110名無しで叶える物語(あゆ)
垢版 |
2018/02/03(土) 14:43:13.24ID:1XLzcCXL
〜〜〜

果南「千歌一人に任せて本当に平気?」

ダイヤ「私は身内でしたから舐められましたが、千歌さんは2年生で先輩なんですし、ルビィ達に舐められる事もないでしょ」

果南「どうかな〜」

鞠莉「ミイラ取りがミイラに!ってパターンもあり得るわよ?」

ダイヤ「はい?」

鞠莉「そそのかされて危険な事に協力したりとか……」

ダイヤ「大丈夫ですわ」

果南「でも千歌には前科もあるしな〜」

ダイヤ「信用してます」

鞠莉「でもでも!あり得ない話ではないわよ?」

ダイヤ「……もし、そうなった時は…」

ドカーーーーーーン!

鞠莉「Watts!?」

果南「何の音!?」

ダイヤ「…………」
0111名無しで叶える物語(あゆ)
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2018/02/03(土) 14:44:23.80ID:1XLzcCXL
〜〜〜〜〜


ダイヤ「何をやっていたんですか!」

千歌「……ごめんなさい」

ダイヤ「まさか貴方が率先してこんな事故を起こすなんて!」

千歌「…………」

ルビィ「うるせぇなぁ!皆、無事だったんだから良いだろ!」

ダイヤ「貴方は黙ってなさい!」

ルビィ「はぁ?誰に向かって口きいてんだよ!!」ガシッ

ダイヤ「離しなさい」

ルビィ「嫌だね!このままぶん殴ってやる!」

ダイヤ「……」

ルビィ「謝ったら許してやるぞ!ほら、地面に手をついてあや──」

パシンッ!

ルビィ「……っ!」

ダイヤ「…………」

千歌「!!」

千歌(……あぁ……ダイヤさんがルビィちゃんを殴っちゃった……)

ルビィ「…………っ」

千歌(こんなの…殺し合いになっちゃうよ……)
0112名無しで叶える物語(あゆ)
垢版 |
2018/02/03(土) 14:45:00.21ID:1XLzcCXL
ルビィ「…………」

ダイヤ「…………」

ルビィ「………………うっ」

千歌(…………?)

ルビィ「うっ……ううっ」ポロ

千歌(……な、泣いてる?)

ルビィ「うぇ……うっうっ」ポロポロ

ダイヤ「………」

ルビィ「うぅっ……お姉ちゃん…うっ…ごめんなさい……」グスッ

ダイヤ「…………」

善子「…………うっ」

花丸「…………ううっ」

千歌「?」

善子「うぅっ……うっうぅっ」ポロポロ

花丸「ずらぁ……うぅっ」ポロポロ

千歌「なんで二人まで……」

善子「ルビィが……泣いてるのみたら……悲しくって……うっうっ」

花丸「ずらぁ〜……うぅっ」

千歌「そんな幼稚園児みたいな……」


………………………………
0113名無しで叶える物語(あゆ)
垢版 |
2018/02/03(土) 14:45:34.07ID:1XLzcCXL
ダイヤ「それでは貴方には、今回の責任をとって始末書を書いてもらいます!」

千歌「はい……」

ダイヤ「まったく、懲りませんわね貴方も」

千歌「今回のは不可抗力っていうか……」

ダイヤ「身から出た錆でしょう、そこに付け込まれたんですから」

千歌「……はい」

ダイヤ「こういう事になるんですから、もう2度と変な事はしないように」

千歌「……はい」

ダイヤ「…………」

千歌「ごめんなさい……」

ダイヤ「もういいですわ」

千歌「でも、信用してくれたのに……」

ダイヤ「…………」

千歌(嫌われちゃったかな……)

ダイヤ「?」

千歌「…………」

ダイヤ「……はぁ」

千歌「?」

ダイヤ「別に嫌いになどなってませんよ?」

千歌「…えっ?」

ダイヤ「だからそんな顔しないでください」

千歌「…うん」

ダイヤ「まったく」

千歌(……?)

千歌(……なんで、千歌の気持ちわかったんだろ?)

千歌(なんでもお見通しなのかな?)

千歌(不思議な人……)
0114名無しで叶える物語(あゆ)
垢版 |
2018/02/03(土) 14:46:11.19ID:1XLzcCXL
〜音楽室〜


曜「〜♪」タラララン♪

梨子「……」パチパチパチ

曜「どんどん上手くなってる……自分でも感じるよ……」

梨子「…そうね」

曜「ネットでさ…いろんなピアニストの演奏を聴いたんだけど……どれもこれもたいしたことないなって」

梨子「…………」

曜「私の方が凄いなって思っちゃって」

梨子「…………」

曜「こんな風に思うのって、最低かな?」

梨子「…自分に自信を持つのは大切な事だよ」

曜「えへへ、ありがと」

梨子「…………」

曜「ねぇ?」

梨子「なに?」

曜「梨子ちゃんと私……」

梨子「…………」

曜「どっちが上手いかな?」

梨子「…………」
0115名無しで叶える物語(あゆ)
垢版 |
2018/02/03(土) 14:46:53.67ID:1XLzcCXL
〜〜〜

梨子(千歌ちゃんと口論してから……)

梨子(千歌ちゃんと喧嘩してから……)

梨子(曜ちゃんはピアノの世界にどっぷりと……のめり込んだ……)

梨子(毎日、ずっと練習して……)

梨子(凄いスピードで成長してる……)

梨子(たぶん、今の曜ちゃんは怪我する前の私よりも……)

梨子(曜ちゃんが何を思ってピアノに熱中してるのか……)

梨子(私にはわからないけど……)

梨子(ピアノに夢中になってくれたのは嬉しかった……)

梨子(でも……最近の……)

梨子(曜ちゃんの……演奏は、どこか機械的で…)

梨子(なんだか少し怖いの…)
0116名無しで叶える物語(あゆ)
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2018/02/03(土) 14:47:27.97ID:1XLzcCXL
〜生徒会室〜


千歌「はぁー疲れたー」

ダイヤ「お疲れ様ですわ」

千歌「いつもこんなことしてるの?」

ダイヤ「貴方達が問題さえ起こさなければ、暇な日もありますよ」

千歌「…ごめんなさい」

ダイヤ「素直ですわね」

千歌「その方が良いでしょ?」

ダイヤ「急に媚びないでくださいよ」

千歌「えへへ」

ダイヤ「それより最後の見回りに行きますよ」

千歌「はーい」
0117名無しで叶える物語(あゆ)
垢版 |
2018/02/03(土) 14:48:02.88ID:1XLzcCXL
〜〜〜

ダイヤ「掃除もちゃんと行われてますね」

千歌「学校の備品も異常なし」

ダイヤ「消耗品も補充されてます」

千歌「フェンスも補強したし」

ダイヤ「トラブルも起きてないみたいですね」

千歌「じゃあ……問題なし?」

ダイヤ「そうですね」

千歌「ということは……」

ダイヤ「これで今日の作業はおしまいです」

千歌「おわったー!」

ダイヤ「お疲れさまですわ」

千歌「うん…」

千歌「…………」

千歌「……?」

千歌(やっと…終わったのに)

千歌(なんか……寂しいなぁ……)

千歌(なんでだろう?)

千歌(……もうちょっと、やっていたかったのかな……)

千歌(これが終わったら……また一人……)

千歌(胸が……なんだか冷たく感じる……)

千歌「…………」

ダイヤ「さて、それじゃあ行きましょうか」

千歌「……?」

ダイヤ「早く帰る支度をしなさい、行きますよ」

千歌「へっ?どこに?」

ダイヤ「どこって約束したじゃありませんか」
0118名無しで叶える物語(あゆ)
垢版 |
2018/02/03(土) 14:48:51.25ID:1XLzcCXL
〜公民館〜


千歌(そうだ約束してたんだ)

千歌(一番の目的だったのに……)

千歌(なんで忘れちゃってたんだろ?)

千歌(それにしても……)

千歌(この太鼓)


千歌「近くで見ると凄い迫力……!」

ダイヤ「当然ですわ、世界を震わせる楽器なのですから」

千歌「この距離で……正面で……聴かせてくれるの?」

ダイヤ「練習ですから好きな所で聴いてください、ただ危ないですから私には近付かないように」

千歌「はーい」

ダイヤ「…………」

千歌「……」ドキドキ

ダイヤ「はぁ!」

ドドン!!

千歌「!!」

千歌(凄い……音の波動で後ろに倒れちゃいそう)
0119名無しで叶える物語(あゆ)
垢版 |
2018/02/03(土) 14:49:25.12ID:1XLzcCXL
ダイヤ「いやっ!」

ドンドンドンドンドンドン!

千歌(身体中がピリピリする)

千歌(この前と比べ物にならないくらい身体が震えてる)ガクガク

ダイヤ「てやっ!」

ドドン!ドンドンドンドン!

ドドン!!ドンドンドンドン!!

千歌(……凄い)

千歌(これ以上この距離で聴いたら気絶しちゃいそう……)

千歌(……ちょっと横に移動して)

ダイヤ「とぉっ!」

ドドン!ドドン!ドドン!

ドンドンドンドン!

千歌(……あっ)

千歌(…横から見るとダイヤさん、まるで踊ってるみたい…)

千歌(……バチを持ってる手が残像のように何本にも見えて)

千歌(まるで阿修羅みたいだ…)

ダイヤ「ていやっ!」

ドンドンドンドンドンドン!

ドドン!ドドン!ドドン!

千歌(凄い汗…)

千歌(でも…)

千歌(凄く綺麗…)
0120名無しで叶える物語(あゆ)
垢版 |
2018/02/03(土) 14:50:10.46ID:1XLzcCXL
〜〜〜

ダイヤ「ふぅ…」

千歌「お疲れ様、これタオル」

ダイヤ「ありがとうございます」

千歌「凄く綺麗だったよ」

ダイヤ「音色がですか?」

千歌「ダイヤさんが」

ダイヤ「なっ!や、やめてください!」

千歌「ふふふ」

ダイヤ「……//」

千歌「……命の音」

ダイヤ「…?」

千歌「…それがまた聴こえたよ」

ダイヤ「なんですか、それ」

千歌「海の中で聴いたんだ、生命の鼓動を…」

千歌「それが、聴こえるまで千歌は人生に退屈しちゃって」

千歌「何をしても子供の頃みたいに楽しくないし」

千歌「何をしようにも上手に出来ないし…」

千歌「何を始めるにも、もう遅いのかなって」

ダイヤ「まだ高校生のお子様が何を言ってるですか」

千歌「でも、この年で何かを始めるって凄く大変だよ」

千歌「出来ない自分と向き合わないといけないし」

千歌「周りからバカにされたりもする…」

千歌「だから楽しくなくなる」
0121名無しで叶える物語(あゆ)
垢版 |
2018/02/03(土) 14:50:55.84ID:1XLzcCXL
ダイヤ「…千歌さん、前にも言ったでしょ」

千歌「……」

ダイヤ「自分がやりたい事を、自分が楽しい事を」

千歌「わかんないだもん!やりたい事も…楽しい事だって…」

千歌「最初は楽しくても、どんどん飽きてきて」

千歌「周りと比べて、上手に出来てなかったら…やっぱり凄く無意味な事をしてるみたいで」

ダイヤ「この世に無意味な事なんてありませんわ」

千歌「でも、結果が出なかったら…」

ダイヤ「結果も大事です、でも1番大切なのは貴方がそれをして…」 

ダイヤ「どう感じ、どう変化していくかですわ」

千歌「変化?」

ダイヤ「いろんな経験をしてごらんなさい」

千歌「……経験って」

ダイヤ「とにかく行動する事です。この世にはやってみたら意外と……という事がたくさんありますわ」

千歌「やるまでが大変なんだよ……千歌は…勇気がないから……」

ダイヤ「誰でも初めては怖いです」

千歌「ダイヤさんも?」

ダイヤ「えぇ」

千歌「……うそだ」

ダイヤ「本当ですよ」

千歌「…………」
0122名無しで叶える物語(あゆ)
垢版 |
2018/02/03(土) 14:51:29.86ID:1XLzcCXL
ダイヤ「千歌さん」

千歌「……なに?」

ダイヤ「……怖いなら……苦しいなら……辛いなら……」

ダイヤ「逃げ出したって良いですよ?」

ダイヤ「自分がそれを許せるなら……」

千歌「…………」

千歌「そんなの……」

千歌「……許せないよ」

千歌「だから、こんなに……悩んでるんじゃん……」

千歌「こんなんじゃダメだって……自分が一番わかってて」

千歌「だから…それを一番許せないのは自分で……」

千歌「でも、どうして良いかわからないんだ……」

千歌「わかったとしても……それをする勇気は千歌には……」

ダイヤ「…貴方は、命の音を聴いて……何かが変われると感じたんですよね…」

千歌「……うん」

ダイヤ「だから、あんな奇行を……行動を繰り返してきた?」
0123名無しで叶える物語(あゆ)
垢版 |
2018/02/03(土) 14:52:02.55ID:1XLzcCXL
千歌「……そう」

千歌「……ざわざわしてたの」

千歌「生まれ変わったみたいで……」

千歌「視野が変わったみたいに、今までの光景が新鮮に思えて」

千歌「何か変わりそうで……」

千歌「いろんな音を聴いたら、変われそうな気がして……」

ダイヤ「ふふ、あったじゃないですか?始める勇気…」

千歌「あの頃はちょっとどうかしてたんだよ……」

千歌「今、思うと変だよね……あんな事して」

ダイヤ「本当ですわ」

千歌「ごめんなさい」

ダイヤ「でも、その前の死にたがりさんと比べたらましですわ」

千歌「……」

ダイヤ「どうせ千歌なんて……」声マネ

千歌「……もう!思い出させないでよ!」
0124名無しで叶える物語(あゆ)
垢版 |
2018/02/03(土) 14:52:35.57ID:1XLzcCXL
〜音楽室〜


タラララン♪タッタッタン♪
 
曜(私は……完璧超人……)

曜(昔っから…千歌ちゃんを苦しめた…完璧超人……)

曜(……だったら…どうすればいいの?)

曜(……千歌ちゃんの可能性を奪った罪はどう償えばいいの?)

曜(…………簡単だ)

曜(……出来ることをやればいい)

曜(……千歌ちゃんの代わりに…私が……全部!)

曜(……そして今は弾けなくなった、梨子ちゃんの代わりに…)

曜(…私を認めてくれた……梨子ちゃんの代わりに)

曜(……だから…梨子ちゃんを)

曜(他の人達を…)

曜(私は越えるっ!)

曜(…それが私の……)

曜(出来ることで……)

曜(やるべき義務だ……!)
0125名無しで叶える物語(あゆ)
垢版 |
2018/02/03(土) 14:53:11.41ID:1XLzcCXL
コンコン…… 


曜「?」

果南「やぁ!遅くまで精が出るね〜」ガチャ

曜「……果南ちゃんか」

果南「もう皆、帰っちゃったよ」

曜「そう」

果南「曜も早く帰らないと」

曜「帰るよ……もうちょっとしたらね」

果南「そう?」

曜「……」

果南「楽しい?」

曜「?」

果南「ピアノ」

曜「…………楽しいとか楽しくないとかじゃないよ」

果南「ん?」

曜「これをやるのが……今の私の…………」

果南「…曜?」

曜「義務なの…」ギリッ

果南「…………」



果南(…曜、どうしちゃったんだろ?)
0126名無しで叶える物語(わたあめ)
垢版 |
2018/02/03(土) 14:53:22.68ID:OR+URyrE
スクールアイドルの存在しなかった世界線かな
前にどっかのスレで話題に出た80年代ドラマ風ラブライブぽい
0127名無しで叶える物語(あゆ)
垢版 |
2018/02/03(土) 14:53:46.52ID:1XLzcCXL
〜公民館〜


ダイヤ「千歌さんも太鼓、叩いてみます?」

千歌「えっ……いいの?」

ダイヤ「もちろん」

千歌「……上手に出来るかな」

ダイヤ「別に上手にやる必要はありませんよ」

千歌「でも……」

ダイヤ「ここには私しかいませんし、他人の評価を気にする必要もありません」

千歌「……ダイヤさんは下手とか思ったりしない?」

ダイヤ「下手でも上手でも、貴方が楽しんでくれれば、それだけで嬉しいですわ」

千歌「なにそれ」

ダイヤ「貴方の笑顔が見たいというだけです」

千歌「…ふーん//」

〜〜〜

千歌「てい!」

ポン!ポポン!

千歌「えいや!」

ポポン!ポンポンポン!

千歌「そいや!」

ポポンポン!ポンポン!ポポン!
0128名無しで叶える物語(あゆ)
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2018/02/03(土) 14:54:29.29ID:1XLzcCXL
〜〜〜

千歌「ぜぇ……ぜぇ……」

ダイヤ「お疲れですわね」

千歌「凄く体力を使うね……」

ダイヤ「そうですね、でも闇雲に叩きすぎですわ」

千歌「そうなの?」

ダイヤ「力任せに叩けば良いという訳ではありませんからね」

千歌「難しいなぁ…」

ダイヤ「…楽しかったですか?」

千歌「うん……とっても楽しかった」

ダイヤ「それは良かったです」

千歌「…………」

ダイヤ「…………」

千歌「……なんでダイヤさんは…」

ダイヤ「?」

千歌「千歌に…こんなに優しくしてくれるの?」

ダイヤ「さぁ……なんででしょうね」

千歌「私の事、好きだったり?」

ダイヤ「危なっかしくて、ほっとけないからですわ」

千歌「ちぇ…」

ダイヤ「……手のかかる不良生徒ですからね」

千歌「むぅ………じゃあ…もし、千歌が良い子になっちゃったら、もう構ってくれないの?」

ダイヤ「はい?」

千歌「もしそうなら、ずっと悪い子でいたいなぁ」

ダイヤ「まったく、困った人ですわね」
0129名無しで叶える物語(あゆ)
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2018/02/03(土) 14:55:08.56ID:1XLzcCXL
千歌「明日も明後日も……」

ダイヤ「?」

千歌「…………」モジモジ

ダイヤ「なんですか?」

千歌「……ダ、ダイヤさんといたいなぁ」

ダイヤ「…急にどうしたんですか」

千歌「だって…今日は……凄く楽しかったから…」

ダイヤ「………」

千歌「…………迷惑かな…?」

ダイヤ「………貴方が私と一緒にいたいなら」

千歌「え?」

ダイヤ「ずっと側にいてくれて構いませんわ」

千歌「……本当?」

ダイヤ「今日1日、私も貴方と一緒にいて楽しかったですし」

千歌「…………」

ダイヤ「千歌さん?」

千歌「……えへへ……嬉しいのに……」

千歌「涙が出てきちゃった……」グスッ

千歌「…恥ずかしいから……ちょっと向こう行っててよ……」

ダイヤ「…まったく、自分勝手ですわね」
0130名無しで叶える物語(あゆ)
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2018/02/03(土) 14:55:54.90ID:1XLzcCXL
〜浜辺〜


梨子「はぁ……はぁ……」テッテッテ!


梨子(なんで……なんでこんなことに!!)


梨子(これ以上……走ったら……)ゼェ…ゼェ…


梨子(し、死んじゃう……)


『わん!!!』


梨子「いやっー!」


梨子(でも、走るのをやめても……)


梨子(死んじゃうよ!)


『わん!わん!』


梨子「だ、誰かーー!」ハァ…ハァ…


梨子(足がもう、おぼつかない……!)ヨロ…ヨロ…


梨子「助けてっー!」ゼェ…ゼェ…


『わん!わん!』


梨子「きゃっ!」バタン


疲労と足元の悪さから、ついに転んでしまう。

それは彼女にとって死を意味していた……

梨子「あっ……あぁ」

地面に倒れた無防備な彼女へ、襲いかかるように犬は駆け寄ってくる。

『わん!わん!わん!』

梨子「……ひぃっ!」ガタガタ…
0131名無しで叶える物語(あゆ)
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2018/02/03(土) 14:56:30.74ID:1XLzcCXL
数秒後には、この犬に首もとを噛まれる……!

そんな自分の姿が容易に想像出来た。

梨子「うぅ……」

『わん!!!』バッ

梨子(いやっ!……曜ちゃん……助けてっ…!)


もうダメだと思い、目を強く閉じる。

しかし、どれだけ経ってもあの獣の牙が、自分の喉を引き裂く事はなかった。

梨子(……?)

恐る恐る目を開けるとそこには……


鞠莉「ハーイ!何やってるんですか?」


梨子「…………えっ?」

『ハッ!ハッ!』

犬は梨子に覆い被さる前に、鞠莉に首輪を掴まれ仁王立ちのような体勢で止まっていた。


梨子「……た、助かったぁ」ホッ


鞠莉「大袈裟ねー!たぶん、この子は遊んで欲しかっただけよ?」


梨子「はぁ……はぁ……」
0132名無しで叶える物語(あゆ)
垢版 |
2018/02/03(土) 14:57:08.21ID:1XLzcCXL
〜〜〜


さっきの犬は後から走ってきた飼い主に引き渡された。

梨子「リードつけないで散歩させるなんてどうかしてるよ……」

鞠莉「まぁこの辺ではそういう風習はないかもね」

梨子(風習とかいう問題なの?)

鞠莉「ところでこんな所で奇遇ね」

梨子「あっ……はい」

鞠莉「もしかして私に会いに来てくれたとか?」

梨子「えっと、あの…」

鞠莉「なんて冗談よ!あははは!」

梨子「いえ……実はそうなんです」

鞠莉「えっ?」
0133名無しで叶える物語(あゆ)
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2018/02/03(土) 14:57:42.37ID:1XLzcCXL
〜〜〜


鞠莉「会いに来てくれるなんて嬉しいなぁー!」

鞠莉「何して遊びましょう?テレビゲーム?ボードゲーム?カードゲーム?」

鞠莉「それとも外で遊びましょうか!!」

梨子「いえ、あの……」

鞠莉「おっと!sorry?女の子同士ですもん!まずはお喋りの方が良いよね!」

鞠莉「女子会を開きましょう!紅茶とcoffeeどちらがお好み?」

梨子「えーと」

鞠莉「両方準備しましょう!ケーキとクッキーも出すわ!とっても美味しいのよ」

梨子「そうじゃなくて……お話が……」
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