千歌(……何にも夢中になれない)
千歌(……何にも全力になれない)
千歌(……何をしても楽しくない)
千歌(……何をすれば良いのかわからない)
千歌(こんな普通以下の千歌は…)
千歌(この先、生きてても輝くことなく死んでいくんだ…)
千歌(だったらもうここで終わらせよう…)
千歌(この海に飛び込んで…)
………………………………
〜ある日の鞠莉宅〜
鞠莉「良いですか?まずミュージカルの歴史から説明しますよ?」
曜「もう聞いたよ……」
鞠莉「貴方達が覚えないから何度も何度も説明してるのよ!」
曜「あーうるさいうるさい」
千歌「あはは……」
梨子「そろそろ劇でやるお話でも考えてみようか」
千歌「お話?」
曜「おっいいね〜」
鞠莉「貴方達にはまだ早いです!まず基礎を!」
曜「わかった…わかったから」
千歌「あはは……」
梨子「どんな物語にしたい?」
千歌「えっ?」
梨子「千歌ちゃんが考えてきてよ」
千歌「千歌が……?」
梨子「うん!」
〜ある日の生徒会室〜
ダイヤ「…………」モグモグ
千歌「…………」モグモグ
ダイヤ「最近、調子はどうですか」
千歌「う〜ん…楽しい…かな毎日」
千歌「ある日は海に行って、またある日は買い物に行って……」
千歌「そんな日常が続いてて…とっても楽しいよ」
ダイヤ「それは良かったです」
千歌「…………」モグモグ
ダイヤ「…………」モグモグ
千歌「こうやって二人でお昼食べるのもね……」
ダイヤ「私も楽しいですよ」
千歌「……//」モグモグ
ダイヤ「ふふ…」クスクス
千歌「……ダイヤさんはさ」
ダイヤ「はい?」
千歌「太鼓の奏者になるの?」
ダイヤ「さぁ……どうでしょう」
千歌「プロになりたくない?」
ダイヤ「なって欲しいんですか?」
千歌「う〜ん……せっかくやってるなら…目指さないのは…」
ダイヤ「?」
千歌「ちょっと…勿体ないかなって……」
ダイヤ「……別に好きなことは、あくまで好きなことですわ」
千歌「好きな事を仕事にするのが幸せなんじゃないの?」
ダイヤ「そう思う人もいるでしょうけど」
千歌「?」
ダイヤ「人間はどんなに恵まれてても、次第に現状へ不満を抱くものですわ」
千歌「そうかな」
ダイヤ「私は普通に仕事をして音楽は趣味で楽しみたいですね」
千歌「そう……」
ダイヤ「……それに」
千歌「?」
ダイヤ「その方が、貴方が聴きたい時いつでも聴かせてあげられますしね」
千歌「なっ//」
ダイヤ「ふふ」
千歌「……ふん//」
ダイヤ「千歌さんはどうするんです?」
千歌「え?」
ダイヤ「最終的にはミュージカルの劇団に入りたいとか?」
千歌「わかんない」
千歌「ミュージカルは今はやりたい事だけど…ずっとやりたい事なのかな?」
千歌「3人でやりたいからしてるだけだし」
千歌「でも、もしスカウトなんてされたら受けちゃうかも…?」
千歌「なんて、真面目にやってる人に失礼か……」
ダイヤ「良いんじゃないですか?チャンスが来たなら掴んでみても」
千歌「う〜ん」
ダイヤ「来るかどうかはわかりませんが」
千歌「えへへ……そうだね」
千歌「はぁ……」
千歌「……あーあー!夢があったらなー」
千歌「人生に目的があったら…」
千歌「どう進めば良いのかわかるのに」
ダイヤ「夢くらい、これからでも見つかりますよ」
千歌「…そうかな」
ダイヤ「そうですよ、探してごらんなさい?」
千歌「うん……」
千歌(……夢を探す…か)
〜〜〜〜〜〜〜〜
千歌(いろいろやりたいこと…考えてみたけど……)
千歌(やっぱり夢って見つからないなぁ)
千歌(これからも、このまま目的もなく…)
千歌(ふらふらと生き続けて…)
千歌(このまま…何も見つからないまま…何も出来ないまま…)
千歌(卒業して……大人になって……おばさんになって……お婆ちゃんになって……)
千歌(ずるずる、無駄に年だけとって死んでいくのかな……)
千歌(………………)
千歌(やめよ……不安になってきちゃった)
千歌(………………)
千歌(……劇のお話でも考えよ)
千歌(気分転換に明るいお話でも……)
千歌(う〜ん、最初は人生に悩んでる主人公が……)
千歌(素敵な友達に出会って……素敵な先輩に出会って)
千歌(成長していくんだ)
千歌(そして、いろいろありながらも……)
千歌(最後は自分の夢を見つける……)
千歌(そんなお話とか?)
千歌(…………)
千歌(良いね…!楽しそう…!)
〜〜〜〜〜〜〜〜
梨子「ミュージカルのお話もう考えてきたの?」
千歌「うん」
曜「速筆だね」
梨子「それ持って来てる?」
千歌「これに書いてきたけど…」ピラッ
梨子「読んで良い?」
千歌「……目の前で読まれるのは恥ずかしいから後で読んで……」
曜「どれどれー」ペラッ
千歌「ちょっと!」
曜「ほほーう」ジー
千歌「………恥ずかしいなぁ…もう」
曜「…………」ジー
千歌「…………」
曜「…………」パタン
千歌「…?」
曜「これやろう!」
千歌「決めるの早いよ…」
曜「私がやりたいの!梨子ちゃんも読んでみて」
梨子「うん」ジー
千歌「……うぅ」
梨子「………あら」ジー
千歌「……うぅぅ!」
梨子「…まぁ!」ジー
千歌「……うぅぅぅ!!」
梨子「なんてこと!」ジー
千歌「いちいちリアクションしないで!」
梨子「良いわね!このお話!」
曜「でしょ?」
梨子「決まり!これをやりましょう!」
千歌「えぇ〜!」
梨子「この主人公、なんだか千歌ちゃんみたいで好きになっちゃった」
千歌「なっ!」
曜「もしかして自分がモデル?」
千歌「違うよ!!」
梨子「あと、この部分好きだなぁ」
曜「どこ?」
梨子「やってみたら、意外とって部分」
曜「あー私も好き」
千歌「読み上げないで!」
曜「ここの部分も好き」
梨子「どこ?」
曜「めげない!って決めた主人公がそれでも泣いちゃいそうになる所…」
梨子「あー!そこも可愛いよね」
千歌「もう!目の前でやめてよ!」
曜「よーし!」
千歌「?」
曜「早速、来週やっちゃおうよ!」
梨子「早く披露したいもんね!」
千歌「ちゃっと早すぎない?」
曜「いいのいいの」
梨子「急いで準備しよう!」
千歌「えぇ……」
〜〜〜〜〜〜〜〜
鞠莉「今週の土曜に公演ですって?」
千歌「……うん」
鞠莉「認められないわよ!そんなの!」
千歌「……やっぱり?」
鞠莉「まだミュージカルとは何かもわかってない貴方達に!公演だなんて!」
千歌「……うん」
鞠莉「まったく他の二人はどうしたんですか?」
千歌「準備しに行きました……」
鞠莉「勝手なことを……!」
千歌「……はは」
鞠莉「そもそも、どういうお話をするつもりなの!?」
千歌「……えーと」
鞠莉「……貴方の後ろに隠してるのは台本?」
千歌「これは……」
鞠莉「見せなさい!」バシッ
千歌「あっ……」
鞠莉「…………」ジー
千歌「うぅ……」
鞠莉「…………」ジー
千歌「うぅぅ……?」
鞠莉「…………」ジー
千歌「うぅぅぅぅ……?」
鞠莉「…………」パタン
千歌「?」
鞠莉「……まぁ、実践経験も大事ですね」
千歌「えっ?」
鞠莉「やってごらんなさい」
千歌「い、いいの?」
鞠莉「えぇ、その代わり現状で一番良いものを作り上げるのよ?」
千歌「……うん、わかった」
鞠莉「…頑張ってね?」
千歌「……ありがとう」
鞠莉「ところで……」
千歌「なに?」
鞠莉「この主人公を支えてくれた先輩って……」ニヤニヤ
千歌「モデルはいないよ!」
鞠莉「本当かしら?」ニヤニヤ
千歌「…いないもん!」フンッ
〜〜〜〜〜〜〜〜
果南「ミュージカル?」
千歌「今週の土曜にやるの……」
果南「また急だね」
千歌「良かったら来て……これチケット」
果南「ん、ありがとう。観に行くよ」
千歌「忙しかったら無理に来なくてもいいよ……」
果南「なに?来て欲しくないの?」
千歌「そういう訳じゃないけど……」
果南「絶対観に行くね?」
千歌「……うん、ありがとう」
果南「千歌がどんな話書いたか気になるし」
千歌「えっ?なんで知って……」
果南「だってチケットに脚本、千歌って書いてあるし」
千歌「あっ!本当だ……」
果南「ふふーん」ニヤァ
千歌「…………」
果南「楽しみだなぁ」ニヤニヤ
千歌「もう!観終わった後、絶対からかいに来ないでよ!」
果南「どうしよっかな〜ん」ニヤニヤ
〜〜〜〜〜〜〜〜
善子「ミュージカル?」
花丸「ずら?」
千歌「うん」
ルビィ「ルビィ達も観に行っていいんですか?」
千歌「いいよ、誘うためにチケットも持ってきたんだし」ピラッ
ルビィ「うわぁ!ミュージカルなんて生で観たことないから、凄く楽しみです!」ピョンピョン
善子「先輩の晴れ舞台…観ない道理がないわ!」
千歌「はは、ありがとう」
花丸「お話は千歌さんが考えたずら?」
千歌「……うん、そうだよ」
花丸「凄いずら!千歌さんがどんなお話を作ったのか凄く気になります!」
千歌「はは、あんまり期待しないで……」
花丸「ひょっとして千歌さん刺激的な武勇伝がお話に……!」
千歌「いや……そんなのないよ」
花丸「マル、千歌さんのバイオレンスなお話楽しみにしてますね!」
千歌「そんな要素ないって……」
千歌(……ちょっとだけあるかも)
〜〜〜〜〜〜〜〜
ダイヤ「おはようございます」
千歌「おはよう…」モジモジ
ダイヤ「?」
千歌「…………」モジモジ
ダイヤ「…………」
千歌「…………」モジモジ
ダイヤ「?」
千歌「…………ねぇ」
ダイヤ「はい?」
千歌「これ……」ピラッ
ダイヤ「なんですか?」
千歌「……と、特等席」
ダイヤ「……ミュージカルの?」
千歌「…………」コクッ
ダイヤ「約束覚えてたんですね」
千歌「……当たり前でしょ」
ダイヤ「ふふ、ぜひ見に行きます」
千歌「………ありがとう」
ダイヤ「楽しみですわ」
千歌「……そう」
ダイヤ「脚本…高海千歌…」
千歌「……うん」
ダイヤ「きっと素敵なお話でしょうね」
千歌「どうかな……」
ダイヤ「ふふふ」クスッ
千歌「……///」
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
果南「いよいよ始まるね」
鞠莉「血の滲むような練習をさせてきました!期待してくださーい!」
ダイヤ「楽しみですわ……」
ルビィ「こういう舞台の時もポップコーンが定番なの?」
花丸「いや基本、飲食は禁止ずらよ」
善子「そうなの?でも入り口で売ってたし買ってきちゃったわよ」
花丸「なら……ここはいいのかな?」
果南「鞠莉…あのポップコーンは?」
ダイヤ「小原印の…ポップコーン?」
鞠莉「ふふーん」
ダイヤ「まったく商魂逞しいんだから……」
千歌『えー…大変長らくお待たせしました……』
果南「おっ千歌だ」
千歌『間もなく開演します』
鞠莉「さぁ見せてやりなさい!」
千歌『上映中は照明を全て落とさせてもらいます』
ダイヤ「千歌さん……本当に良い顔になりましたね」
千歌『非常口の照明も落とさせてもらいますので…』
善子「このポップコーン……火があんまり通ってないわね」
花丸「マル、ライター持ってるよ」
ルビィ「えっ!」
千歌『くれぐれも!!問題を起こさないように!!』
善子「なんだか私達を見て言ってない?」
花丸「気のせいずらよ」
ルビィ「花丸ちゃん……ライターしまって……」アタフタ
千歌『…ごほん!何かありましたスタッフの指示に従ってください』
千歌『それでは……』
千歌『えーと……』チラッ
ダイヤ「?」
千歌『………えー』
ダイヤ「ふふ」ニコッ
千歌『…うっ//』
千歌『……えーと!お、お、お集まりして…!いただきまして!』
千歌『誠にありがとうございます!』
千歌『……大変長らくお待たせしました……』
千歌『ただいまより…開演します…!』
千歌『タイトル』
千歌『………………』
千歌『…ユメ語るより…ユメ歌おう』
千歌『……始まりです!』
おしまい
0252名無しで叶える物語(茸)2018/02/03(土) 16:09:08.05ID:vkFQGbuL
乙!
できたらこの後のちかダイ読みたかったり
0253名無しで叶える物語(やわらか銀行)2018/02/03(土) 16:10:12.25ID:7ZDwYABJ
おつ👏👏👏
0255名無しで叶える物語(もんじゃ)2018/02/03(土) 16:12:05.39ID:r8wxZX78
今までの集大成って感じ
すごく面白かった乙!
0257名無しで叶える物語(庭)2018/02/03(土) 16:13:08.22ID:puw4IWcj
|c||^.- ^|| 素晴らしいダイちかでしたわ!
0259名無しで叶える物語(茸)2018/02/03(土) 16:14:39.42ID:9rwdIRhx
|c||^.- ^||母娘みたいな関係から夫婦の関係にしてもよろしいのですわよ?
0262名無しで叶える物語(もこりん)2018/02/03(土) 16:43:24.91ID:RqqTzwk5
千歌ダイ、でもそれに至るまでが自然で流れるような展開に一気に読んでしまった
すごく楽しかったです
200レス以上とか長すぎだろ
5レスぐらいにまとめろよ
0268名無しで叶える物語(たこやき)2018/02/03(土) 20:39:19.15ID:3XrONzM2
おねいちゃんすこすこ
アイドルやってない別の世界線ええな
2年主体なのにちかダイも濃くて読み応えあったよ
えっなにこれしょうもないと思ってたら最後まで読んじゃった……
面白かったです ありがとう
0273名無しで叶える物語(庭)2018/02/03(土) 22:55:51.39ID:QhvomSK5
>>265
お前のゴミみたいな人生も長すぎ
短くしたら? いっつも導入が破天荒な感じでえぇ…ってなるんだけど気がつくと最後まで読んで謎の感動をする不思議
0278名無しで叶える物語(プーアル茶)2018/02/04(日) 02:21:26.02ID:jaUavQcc
モロッコからの留学生って三つ目のチビの男じゃない?
正直話がフラフラしてて何も考えずに書いてるだろって思ってたけどなんか楽しいのが伝わってきて一気に読んでしまったわ
ヨハンよ!の下りワロタ
乙乙!なんかすごい引き込まれて全部読んでしまった
あゆお前本職やろ
ぶっ飛んでて何事かと思ってたけど、なぜか引き込まれるし読んでしまう不思議な文章やった
乙
くっそおもろ!
ユメユメのタイトルで鳥肌!
すごく出来が良い!
めっちゃ良かった!乙!