花陽「新商品のラーメンおむすび?」
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凛「うん!ローソンの新商品で宣伝されてるおにぎり、買ってきたから一緒に食べよ!かよちん!」
練習の終わり。夕陽の沈む屋上で、凛がひとつのおにぎりを花陽に差し出し、嬉しそうに言う。
花陽「へぇ、知らなかったよ。凛ちゃん!おいしそうだね!」
凛「うん!凛もラーメン大好きだし、かよちんはおにぎり大好きだから、なんだかかよちんと凛を一緒ににぎったようなおにぎりだなって思って……」
凛「だから、これはかよちんと食べようって思って2人ぶん買ったんだよ!かよちんのぶんと凛のぶんにゃ!」
花陽「えへへ、凛ちゃん、ありがとう!ひとつ、いただくね」 花陽はそのおにぎりの袋を開ける。
従来ののりで巻かれているおにぎりではない、いわゆる「おかず系のおにぎり」のそれは、袋から出た瞬間、ニンニクの聞いたとんこつのような香ばしい匂いを出した。
花陽「すっごくいい匂い。おにぎりとラーメンって合うんだ」
凛「きっと、凛とかよちんみたいに相性ピッタリなんだにゃ!」
花陽「えへへ……凛ちゃん、これからもずっと友達でいようね♪」
凛「うん!」
花陽「もう開けちゃったけど、せっかくだから部室でみんなと食べよう、みんなにも教えてあげたいな」
花陽「ラーメンおむすびって新商品があるってことと、おにぎりとラーメンみたいに私たちも仲良しってこと」
凛「もう、かよちんは本当にかわいいにゃー!」
凛は、花陽の喜ぶその顔が心から大好きだった。
花陽が笑顔を見せるポイントを凛は知り尽くしている。今回はその中のひとつである「お米を食べる」という花陽の笑顔を選んだ。
おにぎりを手に持つ花陽はとても楽しそうで、部室でおにぎりを食べることを心待ちにしている様子だ。
その花陽の楽しそうな姿をみて、凛も心弾むのである。
凛(かよちんは、やっぱり大好きなお米を食べるときが、一番うれしそうな笑顔をしてる―――)
凛(それが、本当に嬉しい)
花陽「部室へ行こう!凛ちゃん!」
凛「うん!」 その頃、部室
穂乃果「んー!今日も練習疲れた!」
海未「おつかれさま。今日もはりきってましたね。穂乃果」
絵里「ふふっ、指導してるこっちも、みんなの上達がはっきりとわかったわ」
希「にこっちもちゃんとステップ合うようになったもんね」
にこ「何よ、前まではみんなとバラバラに踊ってたみたいに言わないでよね」
真姫「にこちゃん、歌の音程もちょっとはずれてるしね」
にこ「ぬぅわんですって!!」
ことり「あ、あはは……」
真姫「あら?そういえば花陽と凛は?」
絵里「あぁ、花陽と凛ならふたりで屋上に残ったわよ」
真姫「屋上に?自主練習でもしているのかしら?」 真姫は今日の練習を思い出す。
自主練習をするならそれはそれでいいが、凛はともかく、練習中の花陽を見ていると、とてもそんな体力が残っているようには思えなかった。
真姫(多分、自主練じゃないわね)
絵里「自主練習なら、私も付き合えばよかったわ。花陽にステップのコツをもう一度教えてあげたかったのよ」
ことり「うん。花陽ちゃん、調子悪かったよね」
希「うんうん。にこっちよりもさらにワンテンポダンス遅れてたし、結構息切れしてたよね」
アイドルを目指す練習は簡単なものではない。ある程度の体力は必要だし、ついてこれない者も当然いる。
μ’sの場合、ダンスの習熟度に関しては花陽がやや遅れていた。 海未「もう少し、練習を優しくするべきでしょうか……」
にこ「うーん。ひとりのために全員を下げるって、あんまり好きじゃないのよね……」
部室で着替えながら、今日の練習の反省をすることは多かったが、今日は話が弾む。
全員、そういうつもりではないのだが「陰口」というのは本人がいない前ではどこまでも話が進んでしまうのだ。
真姫「花陽はちょっと調子が悪いだけよ。それより、凛はすごいわよ。あの体力」
海未「凛の場合もうちょっとみんなとペースを合わせるべきです」
絵里「ひとりだけ早いものね」
穂乃果「ていうか花陽ちゃんってさ……」
その頃、廊下
片手で手を繋ぎ、片手でラーメンおにぎりを持ち部室へ移動する凛と花陽―――
花陽「ついたね。よし、さっそくこのおにぎり、一緒に食べようね、凛ちゃん!」
凛「うん!」
そういうと、2人はつないでいる手を一旦自由にし、花陽が部室の扉を開けた。 部室
穂乃果「ていうか花陽ちゃんってさ、デブだよねwwwwwww」
花陽(え……?)
扉を開けた花陽は絶句した――― 海未「穂乃果、本人がいないときにそんなことを言うものじゃありません!」
穂乃果「えーwwwだって海未ちゃん思わないの?www」
穂乃果「花陽ちゃんが動けないのって絶対あの体形のせいだよwwwぶっちゃけ穂乃果たちのなかでダントツで太ってるじゃんwww」
真姫「ちょっと穂乃果、花陽が聞いたら傷つくようなこと言わないでよね」
穂乃果「いやいやwwあれは本当に動けなくても仕方ないってwww」
絵里「やめなさい、穂乃果。確かにほんのちょっと、そう思ったことはあるけれど」
花陽(え……)
花陽(みんな、何を言っているの……)
花陽は扉を少し開けたところで固まっている。
部室で、自分の悪口が言われている―――
大切な仲間たちが自分の悪口を言っている―――
凛「どうしたの?かよちん。固まっちゃって」
凛が心配そうに声をかける。
花陽には何がなんだかわからないままだが、穂乃果の口は容赦なく開かれる――― 穂乃果「だいたい、お米の食べ過ぎなんだよ花陽ちゃんはwwお米って食べたらめっちゃ太るのにwww」
穂乃果「これじゃかよちんじゃなくてデブちんじゃんwwwww」
真姫「穂乃果!!いい加減にしてよ!怒るわよ!!」
ことり「―――ぁ」
ことりが声を殺し、部室で少しだけ開かれた扉の方を見る。
それに続き、みんなが扉に注目した―――
そこには、茫然と立ち尽くすことりと、後ろで「何を言っているの……」という不安そうな感情を醸し出したような顔をして穂乃果を見ている凛がいた。
真姫「花陽っ!!?」
希「い、いつからそこに……」
穂乃果「あー、聞いちゃった?花陽ちゃん?www」 穂乃果のその無邪気な声を聞いた瞬間、花陽は言葉にならない思いを、目に浮かべた―――
そしてそれは、ポロポロと零れ落ちる―――
真姫「花陽!違うの、これは、違うのよ!」
花陽「うぅっ……!!」ダッ
花陽はそのまま部室に入らず、廊下へ駆け出して行った。
凛「かよちんっ!!!!!」
凛は慌てて花陽を追いかける。
もはやおにぎりどころではない。2人とも、手に持っていたおにぎりを落として行った。
にこ「花陽……」
絵里「花陽……」
穂乃果「あっちゃー、聞かれちゃったかぁwwwダメじゃんことりちゃん、もっと早くに気づいてよ〜」
ことり「え……?」 真姫「穂乃果、あなた―――っ!!」
パァンっ!!!!!
真姫は堪忍袋の緒が切れ、穂乃果にビンタする
穂乃果「痛っ……」
穂乃果「なにすんのよっ!!」
叩かれたと同時に、穂乃果は真姫の胸倉を掴む。真姫もそれに応じる。
真姫「あんた、花陽の気持ち、考えたことあるの!?ダンスについていけなくなったことも、自分が少し太いことも、花陽はずっと気にしていたのよ!!」
嘘ではない。真姫と花陽は同級生。みんなが知らないことも、自然と知ることができる。
真姫も凛と劣らず、花陽の大切な友達なのだ。
穂乃果「痛いなぁ……」
声のトーンがさっきとは明らかに違う。穂乃果は真姫をにらみつけた。
希「ま、真姫ちゃんも落ち着いて……」
穂乃果「ねぇ真姫ちゃん、なんのつもり?」
真姫「花陽に謝りなさい」
穂乃果「私、上級生なんだけど」
海未「穂乃果も、落ち着いてください!」
真姫と穂乃果は互いの胸倉を掴み、にらみ合ったままである。 ことり「ふたりとも、いったん落ち着こう?ね?」
ことりが2人をなだめ、ようやく真姫の手が穂乃果の胸倉を放した。
真姫「あなたがそんな人だったとは思わなかったわ」
穂乃果「本当のこと言ってなにが悪いの?みんなだって笑ったじゃん、穂乃果がデブちんって言ったとき」
絵里「わ、笑ってなんか……」
真姫「この際笑ったか笑ってないかなんかどうでもいいわ……ただ……」
真姫「あなたの言葉と、みんなの笑いで、もし、あの子がμ’sを辞めるって決断したのなら―――」
真姫「私と凛も辞めるから―――」
真姫はそう言って、穂乃果を押しのけ、部室を出た。
μ’s、事実上の「仲間割れ」である――― その頃―――
校庭の片隅―――
凛と、泣きじゃくる花陽はそこにいた―――
花陽「ひぐっ、ぐすっ、ぐすっ……!」
声にならない悔しさ―――
頭の中がさっきの穂乃果が言った言葉で支配される。
「デブだよねwwwwww」
「デブちんじゃんwwwww」
花陽「う、うわぁああああ!!!!!」
思いだすたび、声を押し殺すことに失敗し、声を上げてしまう。
凛はそんな花陽を抱きしめ、なだめていた。
凛「かよちん、かよちん……きにしちゃ、だめだよ……」ギュッ
凛もまた、泣いていた―――
凛にとっては「かよちんの辛い」は「自身の辛い」なのだ――― 花陽「ひぐっ……うぅうううううう!!」ポロポロ
凛には抱きしめることしかできなかった。
それほど、花陽が受けた傷は深い。
凛「かよちん、かよちんっ!!」ポロポロ
凛「一緒に、一緒に帰ろう……」
練習着のまま、凛は花陽を支え、帰り路へ着こうとする。
そうしないと、みんなが来てしまう。
今の花陽にみんなを合わせたくない―――
という気持ちが凛にはあったのだ。 こんな糞みたいなものを書くために貴重な時間をかけたということに涙を禁じえない こいつ毎回こんな内容だし穂乃果アンチの真姫推しとかだろ
ほんまきっしょいな 帰り道―――
凛も、花陽も話さない。
凛が花陽にかけたい言葉はたくさんある。しかし、花陽がそれを涙で拒絶した―――
花陽は泣きながら、なんで自分が「デブ」なのか、ずっと自問自答していた。
花陽「ご、ごめんね……凛ちゃん……」ポロポロ
顔と目を真っ赤にしながら、ようやく花陽から凛へ贈られた言葉―――
花陽「私がデブだから……みんなに迷惑かけて……」ポロポロ
凛「っ!!?」
凛は、もちろんそんなことは思っていない―――
花陽のことが大好きな凛にとっては、花陽はいてくれるだけで―――
そう思っていた凛だからこそ、言葉が追い付けない。
ただ、泣くことしかできなかった――― 翌日―――
花陽は学校を休んだ―――
真姫「花陽……」
凛「真姫ちゃん、おはよう」
凛の顔には元気がない。
普段あるはずのものがない、というのは調子を狂わせるものだ。
真姫ははやくも、憂鬱な気持ちになりつつあった。
真姫(凛の様子だと、花陽は学校へ来ないみたいね……)
凛「真姫ちゃん、なんであんなこと、部室で話してたの……」
真姫「……ごめんなさい」
真姫「人のせいにすることはしたくないんだけど、本当に、穂乃果が勝手に言い始めたことなの……」
真姫が言ったことは嘘ではない。100%本当のこと、本当のことしか言っていない――― 凛「……今日、練習お休みなんだってね」
真姫「……えぇ。今日の朝、にこちゃんからラインが来たわ」
にこの判断は正しい。あんな空気なのだ。いつも通り、練習をしようということが無理だ。
凛「昨日、かよちん……凛に、こういったんだ……」
凛「私がデブで、みんなに迷惑かけて、ごめんって……」ポロポロ
真姫「―――っ!!そんなことっ!!!」
そんなことない!!
って言おうとしたのだが、涙が追い越してしまう。 ■ このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています