果南「Shall we dance?」 鞠莉「I would love to…」
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使用人「お嬢様!鞠莉お嬢様〜!!」
鞠莉ママ「鞠莉!こら〜!早く戻って来なさい!」
鞠莉「ふ〜んだ!果南とダイヤが待ってるんだもん、い〜かない!」
鞠莉ママ「鞠莉!!」
鞠莉「ダメだっていうならママと勘当だからね!勘当!」
鞠莉ママ「まぁ…!なんて言葉を…」
果南「鞠莉ー!!」
鞠莉「果南…!!」タッタッタッ
鞠莉ママ「鞠莉!!あっ、…こら!」
鞠莉ママ「行っちゃった……」
鞠莉パパ「何事だ」
鞠莉ママ「貴方…。また鞠莉が逃げ出したのよ」
鞠莉パパ「またか…。上の階に部屋を移動させなきゃならんか…?」
鞠莉ママ「近頃友達に連れ回されるようになってからずっとよ。大丈夫かしら…」
鞠莉パパ「ふふ…転校先でちゃんと馴染めるか心配だったが…杞憂に終わったか」
鞠莉ママ「また呑気なことを…」
鞠莉パパ「あの鞠莉に…友達ができたんだ」
鞠莉ママ「人見知りなあの娘がね…。何があるかわからないものだわ」
鞠莉パパ「ここへ来て良かったのかもな。あの娘にとっては」
鞠莉ママ「…」 ------
先生『みんな注目。今日は転校先がいますよ、ほら、自己紹介して』
鞠莉『お…おはら…まりです。パ…お父さんはアメリカ人で…お母さんは日本人のハーフです。よろしくお願いします…』
オォ……
生徒『ねっ、ハーフだって。珍しいよね』
果南『凄い…金髪だよ、ダイヤ、金髪』
ダイヤ『ハーフなのですから当たり前ですわっ』
先生『小原さんは日本生まれで日本語もしっかりと喋れるわ。皆んな、仲良くしてあげてね』
先生『そうね…。あそこの席に座ってもらえるかしら』
鞠莉『はい…』ススッ
ダイヤ『……』
果南『よろしく、鞠莉』
鞠莉『…!!』 果南『…?』
ダイヤ『果南さん…!いきなり呼び捨ては失礼ですわよ!』
果南『え…、あ、そう?…かな?ご、ごめんね、小原さん』
鞠莉『…』フルフル
果南『…?』
鞠莉『名前…なんて言うの?』
果南『私…?…は、松浦果南。果南でいいよ』
鞠莉『カナン…。じゃぁ私も鞠莉でいい』
果南『ほんと?!よろしく、鞠莉。それでこの人はダイヤ。私の親友なの』
ダイヤ『ピギャッ…!…コホン 黒澤ダイヤですわ。よろしくお願いします』
鞠莉『うん…!』 ----
果南『ね、鞠莉。鞠莉の家ってどこにあるの?』
鞠莉『家は…淡島っていうところに』
果南『嘘?!ほんと?私も家は淡島なんだぁ〜』
果南『ホテルオハラっていうでっかいホテルがあるでしょ?そのすぐそば。あんまり目立たないけどね』
鞠莉『…え?ホテルオハラは私の家でもあるよ』
果南『ふふっ…鞠莉ったら、面白いこと言うんだね』
鞠莉『…っ!ほんとよ!ほんと!』
果南『へぇ〜そうなんだ』
鞠莉『む〜…』
果南『なんだか…私たち仲良くなれそうだね』
鞠莉『…そう?』 ダイヤ『次、移動教室ですわよ〜』
鞠莉『あ、ありがとう…えーと…』
ダイヤ『黒澤ダイヤ、ですわ』
鞠莉『ありがとう、黒澤ダイヤ』
ダイヤ『…ダイヤで良いですわよ』
鞠莉『じゃあダイヤ!』
ダイヤ『はい』
鞠莉『果南!』
果南『はーい』
鞠莉『日本語の名前…覚えるの難しいって思ってたんだけど、もしかしたら大丈夫かも』
果南『自分も日本語のクセに〜』
鞠莉『それは仕方ないのよ!』
ダイヤ『ふふ…』
果南『ダイヤダイヤ』ボソッ
ダイヤ『…なんですの?』
果南『今日さ…』コソッ
ダイヤ『…?!』
鞠莉『あれ?行かないの?二人とも』
果南『い、今行くから、先行ってて』
鞠莉『…?』
ダイヤ『果南さん…!』 -------
-小原邸-
ドーン
果南『で…でかい…』
果南(鞠莉の話…本当だったんだ…)
ダイヤ『か、果南さん!ふほーしんにゅーですわよ!これは!』
果南『とか言いながらダイヤも一緒に来ちゃってるじゃん』
ダイヤ『ですが…!』
果南『大丈夫大丈夫。私たちまだまだちっこいんだから、見つからないって』
ダイヤ『か…果南さん…後ろ…』
使用人『あの…どちら様で?』
果南『あちゃ…』
ダイヤ『言ったそばから…』
果南『ダイヤ!逃げるよ!』ガシッ
ダイヤ『えっ、ちょっ、待ってくださ…わぁぁっ!』
使用人『待ちなさ〜い!!』 -----
果南『ふぅ…。なんか怖そうな人だったね』
ダイヤ『当たり前ですわ!私たちはんざいしゃなんですわよ!』
果南『もう…うるさいなぁ、ダイヤは。鞠莉に会いたいくせに』
ダイヤ『……』
果南『私ね、自己紹介の時にビビッときたんだ』
果南『なんだか仲良くなれそう!って』
ダイヤ『果南さんがそう言うならそうなんでしょう』
果南『入学式の時にダイヤにも感じたんだよ』
ダイヤ『ありがたいことですわ』
果南『ダイヤったら真面目だから友達少ないもんね〜』
ダイヤ『そ…そんなことは…あるかもしれないですわ』 果南『でも…鞠莉とは仲良くなれそうじゃない?』
果南『あの子も…なんかダイヤと同じにおいがするんだよね』
ダイヤ『におい…?』
果南『におい!』
ダイヤ『は、はぁ…』
果南『あ!ほら、ねぇねぇ見て見て。これ、すっごい高そうじゃない?!』
ダイヤ『果南さん!勝手に触ってはいけませんわ!』
果南『もー…心配性なんだから…』
ダイヤ『み…見つかったら怒られますわ!』
果南『大丈夫だっ…』
鞠莉『…?』ヒョコッ
果南『あっ……』
ダイヤ『ピギャッ…!』
鞠莉『貴女は…?』
鞠莉『えーと…か…かな?』
果南『…は…はぐ…』
鞠莉『…?』
果南『ハグ…しよ?』 鞠莉『ハグ…?』
果南『うん、私たちは友達とハグをして…その…仲良くなるんだ!』
ダイヤ『嘘つき…』
鞠莉『…!」ダキッ
鞠莉『ハグハグハグぅ〜!それなら私もぎゃーする!』ギュッ
果南『鞠莉…変わったにおいだね。お金持ちのにおい…?』
鞠莉『果南はなんか海のにおいがするー』
ダイヤ『果南さんの家はだいびんぐをやってますから』
鞠莉『えーと…ダイヤ!そう、ダイヤ!ダイヤもおいで!こっち!』
ダイヤ『え…私は…』
鞠莉『来ないなら私からいくっ!』ギュッ
ダイヤ『あわわっ…ま、鞠莉さん?!』
果南『あ〜、ダイヤ照れてる』フフッ
ダイヤ『ぶっぶーですわぁあ!!』 使用人『ほ、ほらあそこに…』
鞠莉パパ『おや…』
使用人『誰でしょうか…,あの子達…』
鞠莉パパ『…さぁね。わからないけど…』
鞠莉パパ『楽しそうだ。鞠莉のあんな顔…私たちにも見せないのに』
使用人『放っておいて良いんですか?』
鞠莉パパ『まぁ…少しくらいは許してあげよう。勝手に抜け出すのは良くないけどね』
------
「お嬢様〜!!」
果南「探してるね」
鞠莉「探してる」
ダイヤ「戻らなくて大丈夫ですの?」
鞠莉「果南とダイヤと一緒にいる方が楽しいもん!」
果南「ふふっ…鞠莉ったら…」
鞠莉「勘当勘当!」
ダイヤ「鞠莉さん、いけませんわ。そんなお言葉」
鞠莉「ダイヤが教えてくれたんだよ?勘当」
ダイヤ「そ…そうですが…」
鞠莉「綺麗…」
果南「何座だろう…あれ…」
鞠莉「私は双子座」
果南「そう言うことじゃないの」ゴソゴソ ダイヤ「星座早見盤…?」
果南「うん。学校で貰ったでしょ。私ね、星を見るのが好きだから…持ち歩いてるんだ」
果南「これを…こうして…」
果南「ほら、これで大丈夫」
鞠莉「わぁ…」
ダイヤ「あれが…大三角形で…あれが…」
鞠莉「ねぇ、ペンある?」
ダイヤ「どうぞ」スッ
果南「鞠莉…?」
鞠莉「これ!私たちだけの星座早見盤ってことにしようよ!名前書いて!」キュッキュッ
果南「それいい!私も書く〜!」
ダイヤ「わ、私も!」
ガサガサ
鞠莉「…!」
鞠莉ママ「鞠莉…こんなところにいたのね」
鞠莉「ママ…」
果南「あ…ご、ごめんなさい」
鞠莉ママ「全く…何時だと思っているの?」
鞠莉「ごめんなさい…」
ダイヤ「……」
鞠莉ママ「早く帰るわよ。…貴女たちも鞠莉に危ないことをしてないでしょうね」 鞠莉「してないよ!これは私が勝手にやったことだもん!二人は関係ない!」
果南「鞠莉…」
鞠莉ママ「鞠莉…遊び相手くらいは選びなさいよ」
鞠莉「嫌!また遊ぶの!ね!果南!」
鞠莉「明日も、その次の日も遊ぶもん!」
鞠莉ママ「明日は舞踏会でしょう。遊べません」
鞠莉「いーや!!舞踏会なんてつまらないし!果南たちと遊ぶの!」
果南「……」
鞠莉ママ「いい加減にしなさい!ほら、行くわよ!」
鞠莉「いーや!!嫌!嫌ったら嫌!」
果南「鞠莉…」
ダイヤ「……」 -----
使用人「まぁ…鞠莉お嬢様…似合っていますわよ」
鞠莉「…」ムスッ
使用人「…ハハ」
鞠莉「面白くなーい」
使用人「ま、まぁそう言わずに…」
鞠莉「果南…ダイヤ…,」
鞠莉ママ「他のお客さんもきてるから、良い子にしているのよ」
鞠莉「…」
使用人「お嬢様…!」
鞠莉「はいはーい…」
鞠莉ママ「返事は一回!」
鞠莉「はい…」
鞠莉ママ「じゃあ、お客様に挨拶してくるから、待っててね」
鞠莉「はーい…」
バタン
鞠莉「つまんないなぁ…」
鞠莉「舞踏会より外に行きたかったのに…」 「まーり」
「まり!」
鞠莉「…」
「おーい」
「まり!」
鞠莉「誰…?」
鞠莉「外…?」バッ
果南「おーい」ピカピカ
鞠莉「ライト……光って……果南!」
果南「まーり!おいでー!」ピカピカ
------
鞠莉「果南…,会いたかったー!」
果南「私も。昨日の鞠莉見ちゃったらきちゃうよね」
鞠莉「うふふ…。って、何処に行くの?」
果南「こっちこっち」ブルブル
鞠莉「果南…?震えてない?」
果南「…だって、暗いし、お化けでそうだったから……」
鞠莉「クスッ…果南も可愛いところあるのね!」
果南「いじるのだめだって」
鞠莉「ふふっ。そういえばピカピカ光ってたけど……あれなに?」
果南「あれはね、もーるす信号って言って、光で言葉を伝えるの」
果南「さっきのは鞠莉、大好きって送ってたんだよ」
鞠莉「もー、果南はダイタン!」 ダイヤ「遅かったですわね…」
鞠莉「ダイヤ…!」
ダイヤ「あそこから外に出られますから、早く」
果南「鞠莉…外に出て一番最初に何したい?」
鞠莉「ハグ!」
果南「うん!」ハグッ -----
ダイヤ「…っていつまでハグしているんですの?」
鞠莉「だって果南あったかいんだもーん」
果南「鞠莉の良いにおいする〜」
ダイヤ「お二人ともラブラブですわね」
果南「あれ?ダイヤやきもち?」
鞠莉「ダイヤも入れてあげるからほらほら」
ダイヤ「やかましいですわ!」
果南「それにしても鞠莉…その服よく似合ってるね」
鞠莉「そう…?」
ダイヤ「鞠莉さんはドレスが似合いますわね」
鞠莉「別に…,こ、これは舞踏会用だから…」
果南「ごめんね、勝手に連れ出しちゃって」
鞠莉「ううん。私こそ勝手に抜け出すつもりだったから」
〜〜♪♪
果南「あっ…」
鞠莉「始まったんだ…」 ダイヤ「ほんとに戻らなくて良いのですか?」
鞠莉「うん…」
果南「じゃあさ、鞠莉。私たちで踊ろうよ」
鞠莉「え…?」
果南「鞠莉お嬢様、鞠莉お嬢様、私と一緒にダンスを踊ってくれませんか?」スッ
ダイヤ「王子様ですわ!果南さん!」
鞠莉「どこで習ったの?ソレ」
果南「舞踏会って言うから昨日調べの。間違ってる?」
鞠莉「ううん。大正解」ギュッ
果南「しゃ、しゃるうぃーだんす?」
鞠莉「Shall we dance?」
ダイヤ「凄いですわ…」
果南「流石…上手だね」
鞠莉「発音はパパから教わってるの」
鞠莉パパ「呼んだか」
鞠莉「ぱ…パパ!」
鞠莉パパ「全く…ママはカンカンだぞ。また勝手に消えたって」 鞠莉「だってつまらないんだもん!」
鞠莉パパ「わかったわかった…」チラッ
果南「……」
ダイヤ「……」
鞠莉パパ「こんにちは」
果南「こ、こんにちは」
鞠莉パパ「キミたちが…鞠莉の友達だね?」
ダイヤ「そうですわ」
鞠莉パパ「そうか…」
果南「あ、あの…「ありがとう」
果南「え…?」
鞠莉パパ「ここへ転校する前は大丈夫だろうかと心配していたが、キミたちがいてくれるなら大丈夫だろう」
鞠莉パパ「鞠莉に笑顔を与えてくれたこと、感謝するよ」
果南「は、はぁ…」
鞠莉「ね、二人とも良い友達でしょ」
鞠莉パパ「あぁ…。舞踏会が終わるまで、家で遊んでいればいい。終わったら車で送ってあげるよ」
果南「良いんですか?」
鞠莉パパ「あぁ…」
ダイヤ「お世話になりますわ」 鞠莉「ふふっ…パパ、まあまあかっこいいでしょ!」
ダイヤ「はい…外国の方ですよね?」
鞠莉「うん♪」
果南「じゃあ…鞠莉外国に行くの?」
鞠莉「へ?」
果南「お父さんが外国人ってことは…鞠莉もいつか転校して…外国に行っちゃうの?」
鞠莉「大丈夫だって」
果南「ほんと?」
ダイヤ「うふふっ、それなら…」カキカキ
『ずっと一緒』
鞠莉「この感じ…なんて読むの?」
ダイヤ「いっしょ、ですわ」
果南「へぇ〜…」
ダイヤ「うふ、これで三人とも…、ずっと一緒ですわー!」ギュッ
鞠莉「わっ!ダイヤ、痛いよ〜」
ウフフ -----
ダイヤ「わぁ…。外もですけど…中はもっと凄いですね…」
果南「わぁ〜…。私!ここに住むー!!」
ダイヤ「無理ですわよ」
果南「広いね〜。全部広い」
鞠莉「ふふ…凄いでしょ」
鞠莉パパ「ウチが経営してるホテルチェーンだ。他の地域にも色々あるから転校ばかりだったんだよ、鞠莉は」
果南「そうなんだ…」
鞠莉「でも、もうこれからはずっと一緒。切っても切れない腐れ縁だから!」
ダイヤ「そうですわね…」
鞠莉「私ね、もう楽しみなの。中学生になって3人と一緒に遊ぶのが!」
果南「鞠莉…」
鞠莉「見える世界も絶対違うよ!ちょっとだけ…大人になるんだよ?」
ダイヤ「鞠莉さんも…中学校は私たちと同じで?」
鞠莉「もっちろん!ね、パパ!」
鞠莉パパ「……」
鞠莉「パパ…?」
鞠莉パパ「鞠莉…残念だが中学は一緒になれない。また転校になりそうなんだ」 果南「え…」
鞠莉「嘘!前言ったじゃない!中学校は近くの方だって!」
鞠莉パパ「近々アメリカの方に戻らなければいけなくてな。お前も一緒に連れて行きたいんだが…」
果南「そんな…」
鞠莉「嫌!絶対嫌!二人とずっと一緒にいるって決めたんだもん!神さまだって聞いてくれてる!」
ダイヤ「鞠莉さん…」
鞠莉「嫌だもん…二人と…,一緒に…,」ポロポロ
鞠莉パパ「…鞠莉…」
鞠莉「だって…せっかくできた友達なのに…!これから3人で大人になるまでいるんだもん!」
果南「私だってそうしたいけど…鞠莉…」
鞠莉「果南!ダイヤ!一緒に来て!!」ダダダダッ
果南「え?!ちょっ、ちょっと!どこ行くの?!」
鞠莉「お祈り!!もう一回やるの!!」
使用人「あっ…!お嬢様!」
鞠莉パパ「…鞠莉」 ------
「お嬢様〜!!!」
「鞠莉お嬢様〜!!!」
果南「…何回め?こう言うの?」
鞠莉「わからない」
「お嬢様〜!!!!」
ダイヤ「どうするんですの?!大事になっていますわよ?!」
果南「…諦める?」
鞠莉「嫌!」
鞠莉「流れ星にお祈りできなかったら…きっとダメになっちゃう!」
-----
タッタッタッタッ
果南「まだ…だね」
ダイヤ「もっと星がよく見える場所は…」
果南「わからない…」
鞠莉「…!」
鞠莉「あっち!」タッタッ
ダイヤ「方向は?」
鞠莉「……」
果南「この上行ってみよう!」タッタッタッタッ
鞠莉「……」
鞠莉「あ……」
果南「曇ってるね…」 ダイヤ「そんな…」
果南「…まだわかんないよ」ゴソゴソ
鞠莉「うん…」
スッ
鞠莉(お願い……)
ポタッ
鞠莉「あっ…」
ポツポツポツ
ザー
果南「雨…」
ダイヤ「そんな…これじゃお祈りできませんわ…!これじゃ…」
鞠莉「…たのに…せっかく…きたのに…」
果南「…」
ダイヤ「…鞠莉さん」
鞠莉「うっ…ひっぐ…ううっ…」
果南「泣かないで」
キュキュキュ
果南「ほら…」
鞠莉「わぁ…」 果南「これで大丈夫!」
ダイヤ「果南さん…!」
果南「さ、お祈りしよう。私たちだけの星に向かって」
鞠莉「うん…」
「せーの!」
これからずっと…3人一緒にいられますように-----。
-----
鞠莉「これで…大丈夫なのかな」
鞠莉「もうこれで…離れ離れにならなくてもいい?」
ダイヤ「えぇ…きっと」
果南「私たちも、鞠莉と一緒に中学校通えたらなって、思ってるんだよ」
鞠莉「…きっと…大丈夫。お祈りしたから」
ダイヤ「はい…」
果南「じゃあさ、もう一回お星さまにお祈りしようよ。次は光ってるやつ」
鞠莉「え…?」
果南「私、知ってるんだ、この島にお星さまがすぐ近くで見れる場所」
鞠莉「…?」 -----
淡島トンネル
鞠莉「わぁ…!綺麗!!」
果南「ね?近くで見れるでしょ?」
ダイヤ「こんなところがあったなんて…よく知ってましたわね」
果南「うん。なんだかここ…落ち着くんだ。星が好きだからかな。静かで…時間の流れが遅いみたい…」
果南「これぐらい近くでしっかりお祈りすれば…私たちの想いもきっと届くよ」
鞠莉「果南…。ありがとう」
果南「なーに」
ダイヤ「ここなら雨も関係ありませんからね」
鞠莉「しっかりお祈りしておこう…」
鞠莉「だって、ずっと、ずーと3人でいたいもん!」 鞠莉「パパがなんて言ったって、わたしは2人と一緒の中学に行く!」
果南「いいの?本当に」
鞠莉「いいの!…私、パパを説得してくる」
ダイヤ「い、今からですの?!」
鞠莉「明日…同じ時間にここに来てよ。絶対叶えてみせるから」
鞠莉「だってあれだけお祈りしたもん!だだたら大丈夫だよ」
果南「鞠莉……」
ダイヤ「まだ雨降っていますわよ?」
鞠莉「関係ないもん、そんなの」
果南「わかった。…待ってるね、鞠莉」
鞠莉「うん…!」 ------
使用人「申し訳ありません…。お嬢様はまだ…」
鞠莉パパ「そうか…」
使用人「思い当たる場所はほとんど探したまずなんですが…」
鞠莉パパ(鞠莉……)
「パパー!!」
使用人「えっ…?」
鞠莉「パパ…いる?」ビシャビシャ
鞠莉パパ「鞠莉…!どうしたんだ!そんなに濡れて!」
鞠莉パパ「とりあえず水を拭きなさい。風邪をひいてしまう」
鞠莉「違うの!」
鞠莉パパ「ん…?」
鞠莉「違うんだって!」
鞠莉「パパ…私はアメリカには行かない。果南とダイヤと一緒の中学校に行きたい!」
鞠莉「2人と一緒に…楽しいこといっぱいやりたい!!」
鞠莉「だから…だから…」 使用人「お嬢様…」
鞠莉パパ「そうか……」
鞠莉パパ「それなら…仕方ない…」
鞠莉「…?」
鞠莉パパ「アメリカ行きは先送りだな…」
-------
-翌日- 淡島トンネル
果南「…鞠莉、来ないね」
ダイヤ「ダメだったんでしょうか」
果南「もぅ…そんなこと言わないの」
ダイヤ「ごめんなさい」
果南「またお祈りする…?ずっと一緒に、って」
ダイヤ「大丈夫ですわ。昨日たっぷりお祈りしましたから」
「果南、ダイヤ」
鞠莉「へっぷち!」
果南「鞠莉!来た!」
鞠莉「ごめんね…遅くなって…」
ダイヤ「それで…どうなったんですの?!」 ---
鞠莉パパ『好きにしろ…』
鞠莉『え…?』
鞠莉パパ『もうお前も中学手前の女だ。好きなようにすればいいさ。お前と友人への気持ちには負けたよ…』
鞠莉パパ『転校の件は先送りにしておくよ…。楽しんでこい』
鞠莉『ほんと…?じゃあまた2人と遊んでいいの?』ポロポロ
鞠莉パパ『あぁ…』
パパ…… 。
------
鞠莉「私ね、中学生になったら…みんなでまた星を見たり、ショッピングに行ったり、ご飯食べたり、とっても楽しみのなの」
鞠莉「だからね、また付き合ってね、果南、ダイヤ」ポロポロ
果南「当たり前だよ、ちょっと大人になった私を見せつけてあげるんだから」
ダイヤ「どこでもどこまでも…付いていきますわ」
ポツポツポツ
鞠莉「あ…雨…」
果南「まったくダイヤは雨女なんだから」
ダイヤ「わっ…私ではなく鞠莉さんです!」 ギュッ
ずっと一緒だなんて、おかしなことを言っていると思う。
だってこの時間にずっとなんてないんだって。それくらいは小学生でも気付く。
毎日が楽しくて、毎日があったかいこの世界の日々は……
早いようで遅く、酸っぱいようで甘い--。
閉じ篭っていた私の卵の殻は---
きっと私一人では破れなかった。
それはきっと…この2人がいたから---。 -------
鞠莉「じゃあ、行ってくるね」
使用人「お嬢様…本当に徒歩で行かれるのですか?」
鞠莉「えぇ、もちろん。一応もう中学生だし」
使用人「淡島からは船に乗る必要がありますが…」
鞠莉「もちろん乗るわよ」
使用人「小原家のクルーザーでは行かれないのですか…?」
鞠莉「気持ちはありがたいけど…友達が待ってるの」
鞠莉「近くだし一緒に登校するの!」
使用人「そうですか…」
鞠莉「じゃ、そろそろ行くわね」
使用人「行ってらっしゃいませ」
使用人(お嬢様…大きくなられて)
鞠莉ママ「全く…鞠莉ったらまた好き勝手に」
鞠莉パパ「ふふっ…誰に似たんだろうな」
鞠莉ママ「なんですって…?!」カチーン
鞠莉パパ「別にお前だ、なんて言ってないだろう」
鞠莉ママ「〜!///」
鞠莉パパ「…鞠莉」
鞠莉パパ(しっかり勉強して色々なことを学びなさい…) -----
ドゥルルルルル
果南「普段高級な船ばっかり乗ってると酔うんじゃない?」
鞠莉「平気平気♪そういうのは鍛えてあるから」
果南「そっか…それにしても…」ジー
鞠莉「なに?ジロジロ見て…」
果南「鞠莉…小学校高学年からさらにグラマーになったよね」
鞠莉「訴えるわよ?」
果南「成長する時は一気に成長するんだね〜」
鞠莉「そういうのはセクハラ!果南だって十分あるじゃない」
果南「ん〜…そうなのかな…。一つ下に幼馴染が2人ほどいるんだけど…二人とも成長早くてよくわからない…」
鞠莉「そんなに?」
果南「一人はもう私くらいあるんじゃないかな…」 鞠莉「Wow…」
果南「ダイヤに行ったら怒られそうだけど」
鞠莉「それは言ったらダメよ。あの家系は小さいんだから」ププ
果南「ちょっと…。ほら、着いたよ」
鞠莉「よっと」トンッ
鞠莉「どれだけ成長しても身軽デ〜ス」
果南「やめなよ汚い…」
鞠莉「そういえばこの間ダイヤの妹に会ったの。今、小学5年生なんだって」
果南「へぇ〜…」
果南(千歌と曜の一個下…)
鞠莉「ちっちゃくて可愛かったのよ〜!流石黒澤家ね!」
ダイヤ「どういうことですの…?」
鞠莉「げっ…!ダイヤ!お、オハ〜…」 ダイヤ「貴女が大きすぎるんですの!身長も!胸も!」
果南「確かに…いくら身長伸びても一向に鞠莉には及ばないね」
鞠莉「ダイヤに抜かされることはないわよ」
ダイヤ「今に見てなさい…高校入学する頃には追い抜いていますから」
鞠莉「楽しみにしておくわ♪」
果南「さぁ、そろそろ行くよ。入学初日に遅刻なんて…嫌だしね?」
ダイヤ「当たり前ですわ!これから私たちが3年間過ごすことになる神聖な区域ですから…!」
鞠莉「うん…。ねぇ、2人とも」
ダイヤ・果南「…?」 鞠莉「また、一緒だね」
ダイヤ「えぇ。まさかご自分で選択なさったのに私たちではご不満ですか?」フフッ
果南「ふふっ…」
鞠莉「いーえ!さいっこうよ!!2人とも大好き!」ハグッ
果南「鞠莉、痛いって」
ダイヤ「力も一段と強くなりましたわね」
鞠莉「ん〜〜!」ギュー
果南「……」ニコッ
ダイヤ「…」フフッ -----
先生『ご入学おめでとうございます。今日からみなさんはこの学校の--
果南「……」..。zZZ
ダイヤ「果南さん!起きてください!入学早々居眠りはいけませんわ!」
果南「…ん…あぁ…だって長いんだもん…」
ダイヤ「もう中学生なのですわよ…。それくらいの忍耐力は…」
先生『この中学校3年間、みなさんが色々なことを学び、そして成長できることを祈っております』
果南「……」
先生『改めて、みなさん、ご入学おめでとう』
パチパチパチパチ
先生『それじゃあそれぞれの教室に帰ってホームルームを行なってください。もちろん、自分のクラスの確認もね』 ------
ダイヤ「…と、言っても一クラスしかありませんが…」
果南「まぁ…人少ないからね。ここら辺」
鞠莉「小学校もそんなもんじゃない…」
先生「よし、じゃあ各々てきとうに自己紹介でもやるか。お前から」
生徒「はい…」ガタッ
生徒「えと…名前は--」
先生「次、小原」
鞠莉「あっ…はい」ガタッ
鞠莉「えーと…小原鞠莉です。見てわかる通りアメリカ人と日本人のハーフだけど…日本語でオッケーよ」
果南「鞠莉が…真面目…」
鞠莉「松浦果南さんと黒澤ダイヤさんは私の大の親友です。みんな仲良くしてね☆」
ダイヤ「な…///鞠莉さん…」
先生「ふふ…アツアツだな」
ワハハハハハ -----
ダイヤ「全く…鞠莉さんのせいで初日からクラスの晒し者ですわ…!」
果南「良いじゃん、皆んな良い人そうだし、仲良くなれそうじゃない?」
ダイヤ「だからと言って…!」
果南「ダイヤなんて学級委員に選ばれちゃって」
鞠莉「満場一致ね♪」
ダイヤ「ま、まぁ…それについては仕方ありません…」オホン
鞠莉「あ、ダイヤ嬉しいんだ。素直じゃないんだから」
ダイヤ「やかましいですわ!そもそも私の名前を出したのは貴女でしょう?」
果南「まっ、私もダイヤが良いと思うよ。学年が上がったら生徒会長とかやれば良いじゃん?」
ダイヤ「…」
鞠莉「推薦者になってあげるわよ?」
ダイヤ「…考えておきますわ」
鞠莉「そんなことより、せっかく中学生になったんだし、沼津まで行こうよ」
ダイヤ「沼津…?遠くありませんか?」
鞠莉「私たちもう中学生よ! バスに乗って行けば大丈夫!」
果南「バス…?鞠莉なんてヘリ飛ばせばすぐでしょ〜」
鞠莉「ノンノン♪果南とダイヤと…一緒に行くことに意味があるの!」 鞠莉「それに何でもかんでも頼るなんて娘として失格です!」
果南「ふふ…なにそれ。でも、ちょっと面白そうだね」
ダイヤ「えぇ…。そういえば…一緒にお買い物なんて、やったことありませんでしたから」
果南「たまには良いかもね。ずっと山や海だったし、気分転換にはちょうど良いかも」
鞠莉「決まりね!じゃあ一度家に帰って、バス停に集合ね!」
------
鞠莉ママ「あれ…?鞠莉は?」
鞠莉パパ「あぁ…鞠莉なら友達と遊びに行ったようだよ」
鞠莉ママ「それなら車を出したのに…。どうしてあの娘はいつも何も言わずに出て行くのかしら」
鞠莉パパ「そういう時期だからじゃないか…。私たちにもそのような時期があっただろう…?」
鞠莉ママ「そうかしら…」
鞠莉パパ「良い意味で諦めがついたよ…。アイツには何を言っても無駄だ」
鞠莉ママ「自由奔放なんだから…」
鞠莉パパ「アグレッシブなところは学生の頃のお前そっくりだな」
鞠莉ママ「無駄に頭が良いところは貴方そっくりよ、無駄に」
鞠莉パパ「そりゃ、私の娘だからな」
鞠莉ママ「私の娘よ!」
鞠莉パパ「ふふ…」 ------
ダイヤ「うぅ…///」
鞠莉「ダイヤ〜、似合うわね、それ」
果南「いっつも地味な服ばっかりだったから。綺麗な顔してるのに勿体ないよ」
ダイヤ「は、恥ずかしいですわ…///」
鞠莉「これ、いただくわ。そのまま着させてあげて」
店員「か、かしこまりました…」
ダイヤ「鞠莉さん!!」
鞠莉「んふふ〜。いいじゃない、いつも仲良くしてもらってるお礼よ♪」
ダイヤ「そういうことではなく…」
果南「ダイヤ、こういう時は素直に受け取っておくんだよ」
ダイヤ「果南さん…貴女まで…」グヌヌ
鞠莉「〜♪」
鞠莉(なんだか青春って感じね♪)
果南「ね、次は水族館に行こうよ。シーラカンスの剥製、みてみたかったんだ」
鞠莉「オーケ〜!ほら、ダイヤ行くわよ!」
ダイヤ「ま、待ってください〜…」
ダイヤ(お二人の無尽蔵なエネルギーは何処から来ているんですの…?) -----
果南「わぁ…凄い、みてみて!」
ダイヤ「…?なんですの?これ。魚ではありませんよね…?」ヒョコ
果南「マダガスカルオオゴキブリだよ」
ダイヤ「ピギャァァァァァァァ!!!!!」
店員「あの…すみません、お客様。他のお客様もおられますので…」
ダイヤ「…す、すみません。取り乱してしまいました…」
果南「ほら、みて、ダイヤ。カッコ良くない?!マダガスカルオオゴキブリ」
ダイヤ「いちいちフルネームで言わなくて結構です。ゴキブリなんですわよ?それ。正気ですか?」
果南「う〜ん…わかんないかなぁ…」
鞠莉「一回にはタスマニアンキングクラブがいたわよ。美味しそうよね〜」
ダイヤ「だからなんでいちいちフルネームなんですか…」
果南「……」
マダガスカルオオゴキブリ「シューシュー」 果南「わっ!!ほら、ダイヤ!!よく聞いて!マダガスカルオオゴキブリが鳴いてる!!」
ダイヤ「やめてください!」
鞠莉「ふふ…でもなんだか綺麗ね」
果南「マダガスカルオオゴキブリが?」
鞠莉「違うわよ…。この空間」
鞠莉「平日だから人も少ないし…。何より人口のプラネタリウムみたい」
果南「凄いね。彩色が」
ダイヤ「シーラカンスの剥製がオーラを放っていますわ…」
鞠莉「ふふ…。私、こんなに楽しかったの久々かもしれない」
果南「そう?」
鞠莉「こういう所は…いっつもパパとママに連れて行ってもらってたから。もちろんそれも楽しいんだけどね?」
鞠莉「友達と行くと…こんなに景気が変わるのね…」 ダイヤ「……」
果南「当たり前だよ。友達だもん。何倍も楽しくなる」
果南「何たって二人がいるからね」
ダイヤ「不思議なものですわね…。過ごしている時間は…いつもと変わらないのに」
ダイヤ「貴女たちといると…時間が経つのが早い気がします」
果南「気がする、じゃなくて早いんだよ、きっと…」
鞠莉「……」クスッ
店員「あの…お客様、そろそろ閉館時間ですが…」
果南「えっ?!嘘?!」
ダイヤ「も、もうこんな時間…!終バス間に合いませんわ!」
鞠莉「あちゃ……」
果南「早いってこういう意味?」
ダイヤ「貴女が言ったんでしょう…」
果南「今日は野宿だよ…3人とも」
鞠莉「あちゃ……」 -----
鞠莉ママ「いい加減にしなさいよ!」
鞠莉「…ごめんなさい」
果南「すみませんでした…」
ダイヤ「申し訳ありませんでした」
鞠莉ママ「何の連絡も無しに…帰りは遅いし、挙げ句の果て歩いて帰ろうとするなんて…」
鞠莉ママ「私たちも心配したのよ?!」
鞠莉「ごめんなさい…ママ。時間…気が付かなくて」
鞠莉ママ「そればっかり!仲が良いのは構わないけれど…こういうことが続くのであれば関係は考えさせてもらうわよ」
果南「私がわがまま言って2人を帰らせてあげなかったんです。本当にごめんなさい」
ダイヤ「果南さん…?!」
鞠莉ママ「貴女…!」 鞠莉パパ「まぁまぁ」
鞠莉ママ「…!」
鞠莉パパ「鞠莉、楽しかったか…?」
鞠莉「……えぇ」
鞠莉「とっても楽しかった」
鞠莉パパ「そうか…なら良かった」
鞠莉ママ「貴方…」
鞠莉パパ「でも、帰りが遅くなりすぎるのはいけないよ。私たちも心配してしまう。まだ君たちは中学生なんだから」
鞠莉パパ「わかったか?」
鞠莉「うん…」
果南「はい…」
ダイヤ「はい」
鞠莉パパ「今日はもう遅いから泊まっていきなさい。明日送ってあげよう」
果南「あ、ありがとうございます」 ------
ザバー
鞠莉「ふぅ〜…いいお湯♪」
ダイヤ「良いんですの?大浴場までお借りして…」
鞠莉「パパが良いって言うんだから良いのよ」
果南「鞠莉…。それより…ごめんね。鞠莉が怒られちゃって…」
鞠莉「まぁ…覚悟はしてたわ。こっちこそごめんね」
果南「鞠莉は悪くないよ…。日頃から連れ回してた私たちのせい」
ダイヤ「そうですわ…。鞠莉さん、改めて申し訳ありませんでした」
鞠莉「……」ザバッ
鞠莉「えいっ!」モニュ
果南「ひゃあっ!ちょ、鞠莉?!」
鞠莉「う〜ん…やっぱり私よりあるんじゃない?」ムニムニ
果南「ちょ、鞠莉!訴えるよ!」 鞠莉「ふふ…私のマネ?」
果南「鞠莉ってば!」
鞠莉「わかったわかった…ダイヤにやるから」
ダイヤ「ふぇ…?!」
鞠莉「えい!」ガシッ
鞠莉「うりゃうりゃうりゃ♪」モミモミ
ダイヤ「こ、こら!」
鞠莉「やっぱりないわね」
ダイヤ「やかましい!」
鞠莉「…一体何でそんなに深く悩んでるの?」
果南「悩むよ!当たり前でしょ…」
鞠莉「バーカ」
ダイヤ「はい…?」
鞠莉「誤って欲しくなんかないよ…」
鞠莉「だって、楽しかったから。とっても充実してたし、…」 鞠莉「まぁ、帰りが遅くなっちゃったのはダメだけどね」
果南「鞠莉……」
鞠莉「私ね。こんなに時間が早く感じたこと…初めてだった」
鞠莉「あぁ、やっぱり友達といる時間ってこんなにも早いんだなって、そう感じれた」
鞠莉「だから…ありがとう、二人とも。だって楽しかったでしょ?」
果南「…うん」
ダイヤ「……」
鞠莉「果南とダイヤは…私の時間を奪ってるのよ」
ダイヤ「…!」
鞠莉「これからも、もっと、もっともっと奪って」
鞠莉「私が二人に新しい景色を見せるから…!二人も私に新しい世界を見せてよ!」 果南「うん…!」
ダイヤ「たまに良いこと言うんですよね、鞠莉さん」
鞠莉「たまに、とは心外デ〜ス!」
ダイヤ「でもまぁ…そこが鞠莉さんらしいと言うか…」モニュ
ダイヤ「ん…?」
鞠莉「うんうん。ここはやっぱりダイヤらしいね♪」ムニムニ
ダイヤ「お、お、…」
「おだまらっしゃーーーいい!!!」
時間なんて概念を忘れるほど、楽しい時間はあっという間だ。
まるでその時だけ別空間にあるみたいに…時の流れも、感覚も、何もかもが違って見える。
これが大人になっていくってことなのかな…。 だからこそ、あっという間。
体育祭でわかった、果南の高所恐怖症。
文化祭でダイヤがお琴で大活躍したこと。
そしてお化け屋敷で果南が腰を抜かしてしまったこと。
3人でお祭りに行ったこと。
3人で星を見たこと。
3人で聖夜を過ごしたこと。
3人で旅行に行ったこと。
3年間なんてすぐに終わるって、入学前に聞いたことがあったけど、本当だった。
最初は耳を疑った。3年なんて気が遠くなるほど、堅苦しい時間を過ごさないといけないのかって。
でもそれは…色んなことによって変わる。
これからも…ずっと一緒にいられるのかな--。
いられるといいな--。
いたいな--。 --------
鞠莉パパ「……」
鞠莉「……」
鞠莉パパ「…そうだ、鞠莉」
鞠莉「…?」
鞠莉パパ「お前、進路はどうするんだ?」
鞠莉「進路…?」
鞠莉パパ「あぁ…お前もそろそろそう言うことを考えている時期じゃないかと思ってな」
鞠莉パパ「実はお前に海外留学の話がきているんだ」
鞠莉「…そうなの」
鞠莉パパ「向こうで卒業できれば…お前の実力なら難関大学の推薦も貰えるかもしれない」
鞠莉パパ「悪くない話だが…,どうだ?」 鞠莉「…考えさせて」
鞠莉パパ「あぁ…。別にすぐ決めなれければいけないわけではない」
鞠莉パパ「ただ…パパとしては…」
鞠莉「…?」
鞠莉パパ「仕事の都合で近々アメリカに戻ることになった。数年後になるだろうが…。その時にお前も連れて行けるなら連れて行きたい」
鞠莉パパ「まぁ、あまり気負いすぎず考えておけ」
鞠莉「うん…」 ----
キーンコーンカーンコーン
先生「では、これで終わります。礼」
「ありがとうございました」
先生「みんな、気をつけて帰ってね」
鞠莉「……」
果南「ふわぁ〜…」
先生「小原さん、ちょっときてくれる?」
鞠莉「はい…」
-----
先生「ご両親から聞いたよ。海外留学の話がでてるんだって?」
鞠莉「は、はい。まぁ、…そうね」
先生「素晴らしいわ。流石小原さんね」
先生「もし海外に行くのに抵抗があれば沼津の進学校でも…小原さんの成績なら十分だと思うわよ」 先生「この前のテストもトップだったし、無理せずこの調子で頑張ってね」
鞠莉「ありがとうございます…」
鞠莉「はぁ…」
鞠莉(進路か…)
鞠莉(ずーと楽しい毎日が続けば良いと思っていたけど…)
勉強が面倒臭いと言うわけでは…。いや、それもあるかもしれないが、一番は何処に行きたいか、定まらないことだ。
鞠莉(進学校に通っても…その先はよくわからないし、かといって留学は……) ダイヤ「おや…?」
ダイヤ「鞠莉さん、どうしたんですの?帰らないのですか?」
鞠莉「ダイヤ…,」
鞠莉「ダイヤこそ帰らないの?」
ダイヤ「これから進路の面談があるんです。その暇つぶしですわよ」
鞠莉「面談…」
鞠莉「ダイヤは…高校何処行くか決まったの?」
ダイヤ「…?どうしたのですか…急に」 一旦寝ます。深夜ですが見てくれてる人がちょくちょく居て嬉しいです。また朝にでも投稿したいと思いますので、もし良かったらお付き合いください。多分長くなります 犬の放し飼いはダメ!
放し飼いの犬が子供を追い駆けてけがをさせたり、犬自身が交通事故に遭ったりすることがあります。鎖などでつないで飼いましょう。
また、犬の首輪には必ず鑑札を付けてください。もしも飼い犬が迷子になっても、装着されている鑑札から確実に飼い主の元に戻すことができます。
猫は室内飼育に
室内飼育をすることで、交通事故や感染症の予防ができます。また、近所迷惑の予防もできます。
ふんの後始末をしっかりと
散歩中の犬のふんや飼育している猫のふんは、放置せずに必ず処理しましょう。処理後のビニール袋の投棄も絶対にやめましょう。
犬の登録と狂犬病予防注射
生後91日以上の飼い犬は、市町村での登録と狂犬病予防注射が法律で義務付けられています。登録は生涯に1回、狂犬病予防注射は毎年1回です。
https://i.imgur.com/fw4QU9e.jpg アニメ本編丁寧に拾ってて良い
実質バッドエンドなのが辛い ------
ダイヤ「なるほど…そのようなことが」
鞠莉「別に嫌って言うわけじゃないんだけどね」
ダイヤ「まぁでも…たしかに鞠莉さんの実力なら何処へでも受かりそうですわね」
鞠莉「それを言ったらダイヤだって」
ダイヤ「学年トップがそんなこと言っても嫌味にしか聞こえませんわよ」
鞠莉「万年2位のダイヤもね☆」
ダイヤ「貴女と言う人は…」
鞠莉「…目の前の目標にただ向かって行ってただけだから…先のこと考えるのは苦手なのよ」
ダイヤ「そうでしょうね…」
鞠莉「将来やりたいことのイメージはつかないし…」
ダイヤ「……」
鞠莉「ダイヤは…もう決まってるの?」
ダイヤ「私ですか…?私は…-- -------
ガチャ
鞠莉「ただいま、遅くなったわね」
鞠莉ママ「あら、おかえり」
鞠莉「……」ドサッ
鞠莉ママ「そういえば、鞠莉。学校から電話があったわよ。沼津の進学校の推薦も可能だって」
鞠莉ママ「日頃から頑張ってる証拠かしら…」
鞠莉「別に…普通にやってるだけよ」
鞠莉ママ「クラスで言ったら怒られそうね」
鞠莉ママ「その賢さ、自分の好きなところへ応用できると良いわね」
鞠莉「………」 ------
鞠莉『浦の星女学院…?』
ダイヤ『えぇ…あの丘の上にある、浦の星女学院ですわ』
ダイヤ『偏差値もそこまで悪くないんですよ。ピンキリでしょうけど』
鞠莉『でも…ダイヤならもっと上…それこそ沼津の方の進学校だって…』
ダイヤ『先生方にもそうは言われました。…けれど高校くらい好きなところで頑張ってみても良いでしょう?』
鞠莉『それはそうだけど…』
ダイヤ『浦の星女学院は…歴史ある良いところです。創立したのもだいぶ前ですが…』
鞠莉『知ってるわ。一応地元の高校だし、調べたことはあるのよ』
ダイヤ『私の母も…浦の星だったんですよ』 ダイヤ『ですが、年々入学者も減って…今や全校生徒の数は他の学校と比べてかなり見劣りします』
ダイヤ『良い学校なんですけどね…』
鞠莉『……』
ダイヤ『母が…いつも言うんです。あの丘の上の校舎を見て。貴女たちはあの頃の私たちにそっくりだって』
ダイヤ『ここ…内浦は人もいませんし、決して賑やかだとは言えません』
ダイヤ『ですけど…私は好きなんですよ。ココが』
ダイヤ『あったかい…この内浦が…』
鞠莉『それで…浦の星を?』
ダイヤ『えぇ…』
ダイヤ『この土地が…皆さんが好きで、ココの温もりが大好きなんです』
ダイヤ『私は親友二人との出会いの地でもあるココ、内浦に恋をしているのかもしれませんね』クスッ -----
鞠莉「---!!」ガタッ
鞠莉ママ「どうしたの?」
鞠莉「ちょっと用事を思い出したの」ダダッ
鞠莉ママ「鞠莉!ちょっと、鞠莉!」
使用人「鞠莉お嬢様…」
鞠莉パパ「あれこれ考えるより先に行動…と言うのは昔から変わってないな」
鞠莉ママ「貴方…帰ってきてたの」
鞠莉パパ「鞠莉もそろそろ自分で答えを見つける時かな」 ------
鞠莉「はぁ…はぁ…」タッタッタッタッ
鞠莉(忘れてた……一番大事なこと……)
毎日が楽しすぎて。
毎日が当たり前になっていたから。
この場所への感謝を忘れていた。
鞠莉(この場所が…果南とダイヤと出会わせてくれて…あの日々をくれた)
鞠莉「悩む必要なんてなかったのかしら」
鞠莉「はぁ…はぁ…」
鞠莉(流石にこの距離はキツイわね…)
鞠莉「えっと…こっち…」タッタッタッタッ
果南について行こうとしてたら…いつの間にか体力がついていた。
鞠莉(変なところで役に立つわね…)
プシュー
鞠莉(バス…!) 鞠莉「あの、運転手さん。このバスって浦の星女学院ってところ寄りますか?」
運転手「えぇ、一応」
鞠莉「乗るわ」
プシュー
------
ブロロロ
鞠莉(私一人…)
鞠莉「平日だからかしら…」
運転手「いいえ、いつもだいたいこんな感じですよ。利用するのは…浦の星に通う生徒が少し…と、地元の人たちが」
鞠莉「そう…」
殺風景な車内だけど…また違って見える。
窓から見える景色は、私の思い出の土地なんだって思うと。
運転手「貴女…浦の星の生徒ではないわね?制服…中学生?」
鞠莉「はい」 鞠莉「浦の星に行こうかなって思ってるの…。だから一度見ておきたいなって」
運転手「そう…。なんだか嬉しいわね」
鞠莉「…え?」
運転手「私…バスの運転手になって今年で20年以上経つけど…毎年利用者が減ってるのが…ちょっと寂しいのよ」
運転手「でもたまに…貴女みたいな人が乗ってくれるとね、ここ好きな人ってまだいるんだって、よかったってね。ちょっぴり安心じゃないけど、そんな感じがするの」
鞠莉「……」
運転手「生まれも育ちもこの内浦だけど…ずっとこの地域を支えていきたい、ずっとこの景色を見ていたいってことで、バスの運転手やってきたけだ」
運転手「やりがい、感じれるわよね…」
鞠莉「運転手さん…」
運転手「貴女も、ココが好きなんでしょう?」 鞠莉「はい…大好きです!」
運転手「うん…。良かった。ほら、もう直ぐつくよ」
運転手「しっかり見てきてね。浦の星女学院、景色も…においも、校風も」
鞠莉「はい…」ガサゴソ
運転手「あぁ…お金はいいわよ」
鞠莉「えっ…でも」
運転手「今日はじめての利用者が…貴女みたいな人で良かった」
運転手「おはなし、聴いてくれたお礼よ。ほら、行きなさい」
鞠莉「わかりました…。ありがとうございます」
運転手「えぇ」ニコッ
プシュー
運転手「廃校……か」
運転手「寂しいわね…」 --------
鞠莉「はぁ…はぁ…」
鞠莉(バス停って…。坂は登ってくれないのね)
鞠莉(ダイヤは…こんな急な坂、毎日登れるのかしら)
鞠莉(すぐへばっちゃいそうだけど…)
鞠莉「ふぅ……」
オーライオーライ!
ソッチイタヨー!
カキーン!
鞠莉「…」
鞠莉「ここが…浦の星女学院…」
ダイヤにも…運転手さんにも言われたから…そう感じるだけ…?
何処か懐かしい…いや、私が今まで感じたここの良さが詰まっているような…。
決して綺麗とは言えない寂れた校舎も。
山の上から麓まで鳴り響く生徒の声も。
そして…このにおいも…。
ダイヤ…。 鞠莉「貴女が言ってたのはこういうこと?」
鞠莉「ずっと私たちの近くにあったのに…どうして気付かなかったのかしら…」
鞠莉(まだ全然…私はこの土地のことを知らない。好きで、好きで、大好きでたまらないけど…まだまだ知らないことが転がってる…)
鞠莉「……」
「あれ?中学生?珍しい」
鞠莉「…!」
「あぁ…こんにちは」
鞠莉「こんにちは」
「中3?」
鞠莉「はい」
「おっ、ってことはココ受けるってことか!」
鞠莉「…友人が浦の星と言ってたので、ちょっと見て見たいなって」
「そっか…」 鞠莉「この土地は…私の思い出の場所だから…この学校が良いかなって」
「うんうん」
「やっぱりこの学校に来るヤツはそうでなくっちゃ」
鞠莉「…?」
「ここが大好きで……拘りがあるヤツばっかだよ、ココにいるのは」
「私も…この土地が大好きでココに入学したんだ。もう結構前のことだけどね」
鞠莉「……」
「この学校はさ、愛されてるよ。確かに皆んな沼津の方にでてっちゃって、人は少なくなってきてるけど、皆んなの想いは変わらない」
「この学校にいると…そう感じれるんだ」
鞠莉「そうなんですか…」
「うん…。この学校はイイぞ〜。ウチは姉貴がいるけど、姉貴も浦の星でさ」
「だったら私もここにしようって」
「まぁ来年からは沼津の方に行くんだけどね」 鞠莉「え…?!」
「就職…決まったから」
鞠莉「3年生だったんですね…」
「あぁ…。見えない?」
鞠莉「ううん。見えますよ……。3年生に」
「ありがと」
「でも残念だな。来年アンタが入ってきても会えないじゃん」
鞠莉「そうですね…」
「嬉しいな…」
鞠莉「?」
「いや…この学校さ、年々生徒数が減ってるから廃校になるかもって言われてるんだ」
「まぁ…まだ先のことだろうけど、ちょっとでもそんな噂が立つの…まぁ、寂しいなって」
鞠莉「嘘でしょ……」
「本当か嘘かはまだわからん!でも、私らには関係ないよ」 「好きって気持ちは、個人の問題でしょ?」
鞠莉「当たり前よ!…私も…ここが大好きだから…」
「おう」
「おーい!!まだー?!もう行くよ?」
「美渡ー!!遅いー!」
「おー、わりーわりー!今行くー!」
「じゃあな、中学生。まぁ、こんなちっこい土地だからまた会えるでしょ」
「ありがと」
鞠莉「こちらこそ…ありがとうございました」ペコ
「よっし!まだまだ暴れたりねーからもっと打つぞ!」
「おー!!」
ココにしよう…。
この内浦のにおいが、温もりが、全てが詰まったこの学校にしよう。
それで…教えてあげたい。
この学校はみんなに愛されてるんだって…。
鞠莉「……」グッ ------
鞠莉「ただいま」
鞠莉パパ「お…」
鞠莉「パパは…私が海外留学しないって言ったら怒る…?」
鞠莉パパ「いいや…」
鞠莉「じゃあ沼津の学校の推薦を受けないって言ったら…?」
鞠莉パパ「別に怒りはしないよ」
鞠莉「そう……」
鞠莉ママ「鞠莉…」
鞠莉パパ「どこに行ってたんだ…?」
鞠莉「…浦の星女学院」
鞠莉「パパ…私、受けたい。浦の星女学院を」
鞠莉「あんなに皆んなに愛されて、この土地を見守ってきた浦の星女学院に行きたい…!!」
鞠莉パパ「そうか…」
鞠莉パパ「昔、お前に行ったな。アメリカ行きの話」
鞠莉パパ「そろそろだとは思っていたが、ついでにお前も一緒にアメリカに連れて行こうと思っていたが……」
鞠莉パパ「それはどうやら不可能のようだ…」フフッ 鞠莉パパ「自分で決めたんだ。頑張れよ」
鞠莉「パパ…!ありがとう!」
鞠莉パパ「なぁに、お礼ならママに言いなさい。パパはアメリカに行くけど、ママはお前のために日本に残ってくれるんだと」
鞠莉「え…?」
鞠莉ママ「貴女一人だけ日本に残すなんて…危なっかしくて許しません」
鞠莉ママ「私がついておきます」
鞠莉「ママも…」
鞠莉ママ「貴女の考えることなんてお見通しなのよ。ほら、果南ちゃんたちに伝えに行くんでしょ?」
鞠莉「うん!」
鞠莉ママ「ほんと…あの二人のことが大好きね」
鞠莉ママ「浦の星…入学希望者が減っている上、貴女の実力なら受かるだろうけど、気を緩めちゃダメよ」
鞠莉「わかってる。頑張るわ」
鞠莉ママ「えぇ」 また夕方にでも一気に投稿します。
見てくれてる人いたらありがとう -----
-淡島トンネル-
鞠莉「……」ソワソワ
鞠莉(やっぱり…ここよね)
果南「あっ、いたいた」
ダイヤ「全く…なんですの、急に」
鞠莉「うーん…なんとなく…ココかなって」
果南「どういうこと?」
鞠莉「果南は…もう進路決まってる…?」
果南「進路…?なんとなくは…。ハッキリとは決まってないんだけど」
ダイヤ「まぁ…貴女はそうでしょうね」
果南「ナニ?その言い方」
ダイヤ「その口ぶりからするに…どうやら決まったようですわね、鞠莉さん」
鞠莉「うん…」
鞠莉「私、浦の星女学院にする」
果南「えっ…?鞠莉ならもっと上行けるんじゃ……」
鞠莉「うん…。でもね、自分であの学校を見に行って、思ったの」
鞠莉「あぁ…私ココが大好きなんだなって」
鞠莉「二人と出会えたココが…大好きなんだって」
鞠莉「私はあの丘の上から見える景色を見たい…」
鞠莉「でしょう?ダイヤ」 ダイヤ「えぇ…」
ダイヤ「私も…この土地で培ったものを活かして生活したいですから」
ダイヤ「私たちにしかわからないこともきっとあります」
ダイヤ「確かに他の人から見ればただの田舎でしょうけど…」
ダイヤ「私たち3人が…歩んだ足跡はここにありますからね」
果南「2人とも…」
鞠莉「バスの運転手さんや…浦の星の生徒の人も言ってたわ」
鞠莉「皆んな…学校が大好きなんだって」
鞠莉「自分たちの想いが詰まっているんだもの。当然よね」
果南「そっか…」
果南「それなら私も……浦の星にしようかな」
ダイヤ「えっ…?」 果南「ココが好きって気持ちは、二人には負けないよ」
果南「私…たまに思うんだ。もし、都会に…こことは全く違うところに生まれてたら…どうなってたんだろうって」
果南「全然想像できない…違う未来があったのかなって」
果南「だからこそ、ダイヤと鞠莉に出会えたことは奇跡だと思ってるよ」
果南「私の中の扉を…殻を破ってくれたから」
鞠莉「それなら私もよ。一人でいた部屋の中から出してくれたのは二人だもの」
ダイヤ「それなら私もですわ…。結局3人とも、持ちつ持たれつ…ですわね」
果南「うん。だから、私も浦の星にする。人数が少なくても、その中で私は…この土地と、二人と一緒に」
鞠莉「なぁんだ…また結局いつもの3人なのね」
ダイヤ「腐れ縁ってやつですわ」
果南「だねっ」 鞠莉「よーし、3人とも、高校生活もノリノリでいくわよ!」
ダイヤ・果南「おー!!」
果南「そうとなったら、しっかり対策しないとね!」
ダイヤ「私と鞠莉さんは推薦枠をいただけそうなので、大丈夫そうですわ」
果南「推薦…?なにそれ、私もそれが良いな!」
鞠莉「あ……」
果南「…?」
鞠莉「果南…評定合計どれくらいあるの…?」
果南「評定合計…?確か…22とかじゃなかったっけ」
ダイヤ「……」
ダイヤ「推薦を受けるには最低でも35は要りますわよ…」
果南「さ…35?!嘘でしょ?!」
果南「ちなみに二人は…」 ダイヤ「私は43ですわ」
鞠莉「私は45よ」
ダイヤ「45?!マックスではないですか…」
鞠莉「ダイヤと違って体育ができるからね☆」
果南「私も体育は5だよ。得意科目も体育」
鞠莉「他は?」
果南「あ、でも英語は3で…あとは2だね」
ダイヤ「合格できるんですの…?」
果南「人数少ないから…ハハ…。数学さえなんとかなれば……」
ダイヤ「そういえばこの前のテスト…」
果南「に、2点だった」テヘペロ
ダイヤ「すぐに勉強ですわ〜!!!!」
果南「嫌だぁぁっ!!!」ダダダダッ
ダイヤ「待ちなさい!そもそもなんで2点なんですか!」ダダダダッ
果南「だって記号問題テキトーにやったら合ってたんだもん!」
ダイヤ「そういうことではありません!!」
鞠莉「……」
鞠莉「良いムードだったのに…」
鞠莉「ふふっ…」
鞠莉「3人で……いけるといいなぁ…」
果南「もーう!勉強嫌〜!」
鞠莉「……」
鞠莉(ちょっと不安だわ…) -----
先生「松浦…正気か?」
果南「無理かもしれないのはわかっています。でも…」
先生「まぁ…確かに浦の星は定員割れもあり得るだろうが…。それでも若干厳しいぞ」
果南「でも…行きたいんです」
先生「ってもなぁ…。私たちも全力は尽くすが…最後はお前の頑張り次第だ。あと、まず数学をどうにかしろ」
果南「はい…」
ガラガラ ------
鞠莉「どうだった?」
果南「ちょっと厳しいかもって」
ダイヤ「でしょうね…」
果南「助けて…二人とも…」
鞠莉「明日果南の家に泊まりにいくわね。特訓よ」
果南「うん……」
ダイヤ「……」
-----
果南「はぁ…」
千歌「あ!果南ちゃん!やっときた!」
曜「遅かったね」
果南「なんだ、来てたんだ」
千歌「はい、これ。みかんの差し入れ!志満ねぇから」
果南「志満さんから…。ありがとう」
千歌「果南ちゃん受験で忙しいだろうからこれでも食べて元気出してって」
曜「果南ちゃんはどこ受けるの?」
果南「私…?浦の星女学院だけど…」
千歌「え?!」
果南「私じゃちょっぴりキツイんだけどね…。友達も行くし…」 果南「何より、私はココが大好きだから、それなら浦の星だなって」
千歌「じゃあ私も浦の星にする!」
曜「千歌ちゃん?!」
千歌「ウチ、志満ねぇも美渡ねぇも浦の星なんだ」
千歌「私もココ大好き!」
曜「ふふっ…」
曜「じゃあ…私も浦の星にしようかな」
千歌「ほんと?!でも曜ちゃん遠いんじゃ…」
曜「へーきへーき!千歌ちゃんと一緒の高校に行くよ〜」
千歌「わーい!一緒だ!」
果南「ふふっ…二人の先輩になれると良いな」
千歌「なれるよ!果南ちゃんなら大丈夫!」
曜「ヨーソロー!」
果南「うん。ありがと…」 ----
ダイヤ「ふぅ…」
ダイヤ(面接の対策は万全ですわね…)
「お姉ちゃん…入るよ」
ダイヤ「どうぞ」
ルビィ「ごめんね、忙しい時に」
ダイヤ「いいえ、今終わったところですから」
ルビィ「今日…これ、発売してたから。お姉ちゃんにあげる」
ダイヤ「まぁ…!今月号はエリーチカが特集されていますわね!!」ダンッ
ダイヤ「あぁ…エリーチカ…。私も高校に入ったらエリーチカのようになりたいですわ…!」
ルビィ「ふふ…お姉ちゃん。絵理さん大好きだね」
ダイヤ「もちろんですわ!!花陽さんもね」
ルビィ「うん…!!」
ルビィ「そういえばね、お姉ちゃん。今日学校で友達ができたの」
ダイヤ「まぁ…!良かったですわね!どんな人なんですか?」
ルビィ「う〜ん…いつも静かなんだけど…良い子なんだなぁ。本が好きでね--
ダイヤママ「……」ソロッ
ダイヤママ「仲の良い姉妹ですこと…」フフッ -----
鞠莉「…受かった…」
ダイヤ「私も受かりましたわ」
先生「おめでとう。…まぁ推薦入試だし、二人なら大丈夫だと思っていたけど」
先生「春から新しい生活が待ってるわよ。今からでも準備しておくように」
鞠莉・ダイヤ「はい!」
鞠莉「ふぅ…ヒヤヒヤしたわ」
ダイヤ「貴女は保証付きみたいなものでしょう…」
鞠莉「それを言ったらダイヤも」
ダイヤ「埒があきませんわ…」
鞠莉「公立に行く人は…まだ期間があるのよね」
ダイヤ「えぇ…。沼津の辺りまで出られる方も少なくありませんから」
ダイヤ「ここに残る人の方が少ないですわね…」
鞠莉「そう…」
鞠莉「そういえばダイヤ、卒業式の答辞、任されたんでしょ?」
ダイヤ「えぇ、まぁもう合格は貰っていますし、そちらの方に尽力できます」 鞠莉「期待してるわ」
ダイヤ「…そこまでのものではありません」
鞠莉「ふふ…」
ダイヤ「それより…果南さんは?」
鞠莉「職員室。わからないところ、先生に教えてもらうんだって」
ダイヤ「果南さん…最近よく頑張っていますわよね。この前のテストも上の方でしたし」
鞠莉「昔っから、一度決めたらやり込むタイプだったじゃない。多少無茶をしてでもね…」
ダイヤ「それが果南さんの良いところなんですよ」
-----
先生「この式に代入して…そうだ」
果南「あっ、なるほど」カキカキ
先生「松浦…最近よく頑張ってるな。この調子で行けばもしかすると受かるぞ」
果南「本当ですか…?!」
先生「あぁ…気を緩めないようにな」
果南「浦の星…行きたいので」
先生「随分思い入れが強いな。言い方が悪いかもしれないが…浦の星だぞ?」 先生「年々生徒数も減っているし……「良いんです」
果南「それでも良いんです。好きなんですよ、私」
果南「だから地元にいながら色々やりたいなぁって」
先生「そうか。何はともあれお前が頑張れるならいい。頑張れよ」
果南「はい」
果南「失礼しました」
ガラガラ
果南「…!」
鞠莉「ハロー♪果南。調子はどう?」
ダイヤ「…貴女…」
果南「なーに?茶化しにきたの?」 ------
鞠莉「なんだか…こうやって3人で出かけるのも久しぶりね」
果南「もう…私もうすぐ受験なんだよ」
鞠莉「今の果南なら大丈夫だって。それに、気分転換も必要でしょ?」
果南「それは…そうだけど」
ダイヤ「まあまあ無礼講ということで」
果南「むー…」
鞠莉「ねぇ、淡島神社行こうよ」
果南「えぇ…?」
ダイヤ「あそこ…坂が…」
鞠莉「良いじゃない!果南の合格祈願を祈りに行きましょ!」
果南「やめてよ〜…余計怖くなるし」
鞠莉「ほら、行くわよ!」
ダイヤ「ふふ…果南さん、諦めましょう」
果南「ハグぅ〜〜…」 ------
ダイヤ「はひっ…はひっ…待ってくださいまひ…」
果南「もう…遅いよ。なんか勉強ばっかりで最近体動かしてなかったから気持ちいいね」
鞠莉「でしょ?そうだろうと思って」
ダイヤ「はぁ…はぁ…」
果南「ダイヤーもうすぐだから」
鞠莉「頑張ってー!」
果南「鞠莉は…何をお祈りするの?」
鞠莉「私はもちろん、果南が合格できますようにって」
果南「それはいいよ。私が自分で祈るし」
鞠莉「いいじゃない、2人で祈っても」
果南「鞠莉は鞠莉のお願いをしなよ」
鞠莉「ふ〜ん…」
鞠莉「そうねぇ…じゃあ…3人ずっと一緒にいられますように?」
果南「またー?」
鞠莉「じゃぁ…」
果南「何?」
鞠莉「内緒☆」
果南「はぁ…?」
ダイヤ「追いつきましたわ…。行きましょう…」 -----
パンッ
ダイヤ「合掌!」
果南「……」
鞠莉「……」
果南「浦の星に合格できますように…!」
鞠莉「…果南が健康で要られますように!」
果南「ちょっと鞠莉!」
鞠莉「?」
果南「ふざけないでよ」
鞠莉「ふざけてないよ。ちっとも」
鞠莉「健康じゃなきゃ受験も受けれないでさょう?」
果南「……」
鞠莉「果南、絶対受かって、一緒に学校通おうね」
果南「わかってるって」
ダイヤ「ふふ…。果南さん、これを」スッ
果南「……?」
ダイヤ「私と鞠莉さんで買った合格祈願のお守りですわ。持ち物にでもつけておいてください」 果南「悪いね、何から何まで」
果南「さて…ラストスパート、走り切るよ」
果南「二人は私に追い抜かれないように勉強でもしてて」
鞠莉「言うわね」
ダイヤ「もちろん、日々精進ですわ!」
果南「……」グッ
受験までもう少し。
果南だってめちゃめちゃバカなわけじゃない。きっと大丈夫、絶対大丈夫。
私ね、もう一つ、願ったことがあるの---。
3人一緒にいられますようにって。
何回も何回も願っているけど、これだけは外せない。祈っておかないと気が済まないから。
果南と缶詰で一緒に勉強したり。
気分転換のランニングでダイヤがヘトヘトになったり。
大きくなっても、時の進みが早いのはかわはない。
あっという間に---。 ----
鞠莉「行ってきまーす」
鞠莉ママ「あら、今日は休みじゃなかった?」
鞠莉「何言ってるの、ママ。合格発表の日なんだから」
鞠莉ママ「あぁ…そう言うことね」
鞠莉ママ「受かってるといいわね、果南ちゃん」
鞠莉「大丈夫よ、果南だもの」
鞠莉ママ「ホント、どっちが彼氏でどっちが彼女なのかしら」
鞠莉「何言ってるの、私たち女よ」
鞠莉ママ「冗談よ…ふふ」 鞠莉ママ「送らなくていいの?」
鞠莉「うん。ダイヤと一緒に行くから」
鞠莉ママ「わぁ…浮気女だわ!」
鞠莉「行ってきます。」
バタン
鞠莉ママ「辛辣ね…」
鞠莉ママ(もうすぐ鞠莉も高校生か…) ---
鞠莉『嫌!果南たちと遊ぶの!!』
鞠莉『ママとなんて勘当!!果南とダイヤが待ってるもん!』
---
鞠莉ママ「大きくなっちゃって…」
----
プシュー
鞠莉「危なかったわね…」
ダイヤ「もう…遅いですわよ」
鞠莉「ごめんごめん。道草食っちゃって」
ダイヤ「どうやら果南さんはもう着いてるようですわよ。そわそわして家に居られないって」
鞠莉「果南、こういうのは苦手そうだもんね」
ダイヤ「受かっていれば良いのですが…」
鞠莉「大丈夫だって」 ダイヤ「もうここまできたのですね…私たちは」
鞠莉「どうしたの?いきなり」
ダイヤ「いえ…成長するということのあまり実感はなかったのですが、最近よく感じましてね」
ダイヤ「時期が時期ですから」
鞠莉「そうね。小学生の頃はただ遊んでればいいだなんて思ってたけど」
鞠莉「今は…そうじゃないみたい。やりたいこと見つけて、やることやって、学生って感じがしない?」
ダイヤ「ふふ…そうですわね」
鞠莉「答辞、楽しみにしてるから」
ダイヤ「やめてください…緊張しますから」
鞠莉「もう明後日でしょ?文章は考えてあるんだろうし。ね、ちょっと見せてよ」 ダイヤ「ダメです。当日のお楽しみということで」
鞠莉「ケチ〜」
プシュー
ダイヤ「着きましたわよ。ほら、立ちなさい」
鞠莉「はいはい」
ダイヤ「坂をわざわざ登らなければならないのが難点ではあります…って」
ダイヤ「果南さん!」
果南「……」
鞠莉「果南〜!早すぎるよ。いつ着いたの?」
果南「……」
鞠莉「果南?お〜い、Ms.カナン?」
ダイヤ「果南さん…?まさか……」
果南「……オチタ……」 ダイヤ「えっ?!」
果南「オチタ………」
鞠莉・ダイヤ「ぇぇええええ〜!!?!?」
ダイヤ「どどど、どういうことですの?」
果南「だって…番号が…番号が無かったんだもん…」
鞠莉「ホント?!よぉ〜くみた?」
果南「10回見たよ……」
果南「キツイ…これは流石にキツイよ……」
果南「私の…3年間が……」
鞠莉「何番?!もう一回見に行きましょう!何かの間違いよ!」
ダイヤ「ほら、果南さん!諦めたらそこで試合終了ですわよ!」
鞠莉「私なんてこの日を待ち望んでて何も食べれなかったのよ!」
ガバッ
果南「…嘘だ。全然体重に変わりがないもん」
鞠莉「ちょっと…!果南!降ろして!」
果南「もういいよ…このまま行くし」
ダイヤ「…重症ですわ…」 ------
ガヤガヤ
果南「はぁ…」
「よし!受かってる!」
「やった!」
果南(聞きたくない…)
鞠莉「確かにここにはないわね…」
ダイヤ「えぇ……」
鞠莉「まさか本当に落ちたの…?」
ダイヤ「そんな……」
ダイヤ「おや…?」
果南「?」
ダイヤ「果南さん、番号は何番ですか?」
果南「25番だよ」 ダイヤ「その番号なら特待生ではないですよね?」
果南「うん…?」
ダイヤ「貴女…ずっと特待生のところ見てたんですの。あるわけありませんわ」
ダイヤ「貴女の番号があるであろうところはこっち!!特待生は関係ありません!」
果南「ダイヤ…何言ってるの…。どのみち結果はおなじ……」
果南「あ、あった」
ダイヤ「それ見たことか!」
果南「……」
果南(恥ずかしすぎるでしょ…私)
タッタッタッタッ
ハグッ
果南「うわっ!何?!」
鞠莉「良かった……本当に良かった…」ギュッ 果南「え、ちょ、鞠莉?!ここ笑うところじゃないの?」
鞠莉「怖かったのよ!果南と一緒に登校できなくなるなんて思いたくない!」
鞠莉「良かった……。おめでとう、おめでとう、果南…」
ダイヤ「どうやら一番心配していたのは鞠莉さんのようですわね」
果南「あはは…ありがと、鞠莉。ずっと手伝ってくれてたもんね」
果南「お陰様でなんとか行けたよ」
鞠莉「うん…!」
果南「これで…高校も3人一緒だね」
ダイヤ「そうですわね」
果南「なんかさ、こんなにも達成感ってあるものなんだね」
果南「一生懸命頑張って、それでこの結果」
果南「物足りない人もいるだろうけど、私としてはありがたいくらい十分だよ」
果南「また、よろしくね」
ダイヤ「えぇ」 果南「あ、そうだ!先生に報告しに行かなきゃ!せったくだから二人とも付いてきてよ!」
ダイヤ「もうすぐバスの時間ですわよ!急いで!」
鞠莉「シャイニー!!」
果南「なにそれ?」
鞠莉「ふふ…叫んで見ただけよ!ほら、行きましょ!」
先生「松浦、おめでとう」
果南「先生…!来てたんですか」
先生「あぁ、とりあえず一通り回っているんだ」
先生「特待生にはなれなかったが、十分だ。よく頑張った」
果南「はい…!ありがとうございました!先生のおかげです」
先生「何言ってる。お前が頑張った結果だ。私は何もしてない」
先生「これで卒業式に胸張って出席できるな!」
鞠莉「良かった〜…果南が落ちたらどんな顔して会えば良いのかと思ってたから」
ダイヤ「実際顔死んでましたもんね」
果南「その話はやめて!!」 ワイワイ ガヤガヤ
志満「美渡ちゃん、まだー?」
美渡「あの子たち…受かったぽいな。果南も…」
志満「…?」
美渡「あ、あぁごめん、志満ねぇ。行こうか」
志満「珍しいわね。休みの日に学校に行きたいだなんて」
美渡「もう卒業するし、最後くらいちょっと見ておきたいじゃん」
美渡(それに…良いモンもみれたし…)
美渡(浦の星で過ごす3年……充実してるといいな…)
美渡「じゃあな、浦の星。また来るよ」
美渡「頼むからそれまではもってくれよー。廃校になって取り壊されたら会いにこれねーじゃん」 志満「ふふ…。浦の星も、変わってないわね」
美渡「やっぱり?」
志満「廃止になっちゃった部活はあるけど…においはずっと変わらない」
美渡「犬並みの嗅覚…?」
志満「美渡ちゃんはずっとここにいたからわからないと思うけど…あるのよ、そういうの」
美渡「……」
志満「きっとここにいる人たちの色んなものが詰まってるんだろうな…」
美渡「…私にもわかるようになんのかな」
志満「えぇ」
美渡「嬉しいような寂しいような」
美渡「においなんて日常の一部くらいにここにいたいんだけど…」
志満「その望みは新入生の子たちに託しましょう」
美渡「…そうだな」
志満「それじゃあ、行こっか」
美渡「…うん」
美渡「元気でな……」 -------
生徒『---先輩たちのご健康とご活躍をお祈りして在校生代表の送辞と致します』
パチパチパチパチ
果南「あの子、良いこと言うね」
鞠莉「流石は生徒会長デース」
果南「校長の長い話より全然いいよ」
鞠莉「それは言ったらアウトよ」
先生『それでは、卒業生より答辞』
果南「おっ、きたきた」
先生『3年1組、黒澤ダイヤ』
果南「まぁ1組しかないんだけどね」
鞠莉「ブッ…!」
鞠莉「黙って聞きなさい」
果南「はーい」 ダイヤ『…』スッ
パチパチパチパチ
ダイヤ『春の暖かな日差しが校舎全体を取り込むよに感じられ、校庭の木々の芽もふくらむ季節となりました。この良き日に--』
果南「めっちゃ真面目じゃん」プルプル
鞠莉「…ダイヤだから」プルプル
ダイヤ『お忙しい中、ご来場してくださった来賓の方々、保護者の皆様には卒業生一同、心より御礼申し上げます』
ダイヤ『3年の春…少し緊張した顔で教室に入ったのを覚えています-- ダイヤ『人も少なく、側からみれば廃れたものと言われても言い返せないかもしれません。
ですが…私はこの学校が…ここが大好きです。
皆さんとの思い出が、においが、全てが詰まったこの学校は、世界中どこを探しても見つかることはありません。
皆さんがこの学校で培った想いと足跡が、きっとこれからの力になります。
きっとこれからの励みになります。
だから、皆さん胸を張ってください。
この学校で、この土地で過ごしたことは、私たちだけの宝物ですから…。
最後になりましたが、私たちのためにこんなに素晴らしい卒業式を開いてくださったこと、本当にありがとうございました。
心から感謝して、答辞といたします。
3年1組 黒澤ダイヤ--。』 パチパチパチパチ
果南「なになに、泣かせるじゃん、ダイヤ」
鞠莉「あら、果南泣いてるの?」
果南「いいじゃん、ちょっとくらい」ズビビッ
果南「鞠莉は泣かないんだね」
鞠莉「当たり前よ。どこに泣く要素があるの」
鞠莉「これは終わりでもなんでもないわ。始まりなの。この卒業は私たちのスタートラインでもあるんだからね」
果南「うん…そうだね」
果南(涙目のくせに…) ----
ワイワイ
果南「あっ、ダイヤ!お疲れ様、良かったよ」
ダイヤ「ありがとうございます。最後の辺は自分語りになってしまいましたが…」
鞠莉「いいのよ、皆んなきっと同じ気持ち」
鞠莉「果南なんて泣いてたのよ?」
果南「ちょっと鞠莉!」
ダイヤ「あら…確かに、果南さん、沢山苦労しましたもんね」
果南「そういうことじゃないんだけど…」
鞠莉「まぁいいじゃない!ほら、3人で写真撮りましょう!写真!」
果南「おっ、いいねぇ〜」
ダイヤ「ちょ、ちょっと待ってください」
果南「ほら、ダイヤこっち!」ガシッ 鞠莉「ダイヤ!表情硬いよ!笑って!」
ダイヤ「そう言われても…!」
鞠莉「ほらほら」ホッペプニプニ
ダイヤ「こら!」
カシャ
鞠莉「あははは!!ダイヤ、なにこの顔!」
果南「傑作だね」クスクス
ダイヤ「……」ムムム 小学生から中学生なんて、あんまり変わらない感じがしたけど、高校生になるって感覚は…正直まだわからない。
でも…ダイヤも言った通り、私たちの培ったモノが、私たちに力をくれる。
この土地が好きだって気持ちが私たちに力をくれる。
振り返ってみるとあっという間の…短い時間だった。
友達といるとすぐに時間が経つってことなのかしら。
私の前でも、後ろでもない
私の隣にはいつも二人がいてくれて。
季節は巡る。私たちをおいて、規則正しく。 そしてまた春が来る。新しい春が始まる頃には私の新しい高校生活が始まる。
それは私にとって長いようで短くて、短いようで長い…。
でも…それが必ずしも良いことだけとは限らない。
もう大人の一歩手前だもの。
未熟で…夢見がちで、単純な私たちだから…。 中学までの鞠莉の話を勝手に妄想して書きました。人も少ない中ここまで見てくれた人には感謝しかありません。また朝にでも高校時代の話を書こうと思いますのでよかったら。 めちゃいいSSでした。
次の作品も楽しみにしてます! >>126
まあ山あり谷ありで現実的でいいんじゃない? こういう本編の補完的なSSめっちゃ好き
雰囲気もよかった、乙! ----
果南「んーー…」ノビー
果南「うん、今日もいい天気」
果南パパ「お前…遅刻しないのか?」
果南「大丈夫だって、近いんだし」
果南パパ「ほぉ…。お前、そういえば朝早くにどっか言ってなかったか?」
果南「ん…?あぁ、ちょっと近くを走ってきたんだよ、体力つけないといけないし」
果南パパ「体力……?」
果南「うん。ちょっとね、最近始めたんだ。面白いやつ」
果南パパ「なんじゃそら」
果南「スクールアイドル…って、知らない?」
果南パパ「すく…アイドル?」 果南「スクールアイドル!ほら、テレビでμ'sとか特集されてたでしょ?」
果南パパ「あぁ〜…そういえばそんなものもあったな」
果南「ちょっと私も始めてみてね。まぁ、友達がやろうって言うからなんだけど」
果南パパ「ほぉ…お前がアイドルか…カッカッカ!!」
果南パパ「グループ名はなんて言うんだ?μ'sか?」
果南「そんなに笑う?! まだ決まってないの!こだわりが強いからね、リーダーが」
果南パパ「そうかそうか…、楽しそうで何より」
果南「ふふっ」 果南パパ「高校生活には慣れたか」
果南「うーん、ちょっとだけ。まだ始まったばっかりだよ?」
果南パパ「それもそうだな…。っと、お前、それより遅刻しないのか…?」
果南「やばっ…!!もうバス行っちゃってる!」ダダダダッ
果南パパ「仕方ないの…くるま「行ってきまーす!!」
果南パパ「送らんでええんか?!」
果南「走っていく!!」
バタン
果南パパ「やれやれ…騒がしいやつ…」 すみません。相方が悪かったですが、高校編に続きます -----
数日前--
理事長『新入生の皆さん、ご入学おめでとう。今年は去年よりも人数が多くて嬉しいよ』
理事長『退職間近の私にとって…最高のプレゼントだ。皆んな、ありがとう』
理事長『この学校は…廃校になるんじゃないか、など世間では噂をされているが、否定はできない。地元の財閥の資金援助に頼っているのも事実…』
理事長『だか私は約束しよう。卒業式に君たちにこの学校で良かったと感じてもらうことを』
鞠莉『…少ないわね、確かに』
ダイヤ『全校生徒集まってもこれだけだなんて…」 』
果南『まぁ…わかってたことでしょ。私は全然構わないよ』
鞠莉『そうね…』 ------
先生『理事長先生の言った通り、この学校は統廃合を強いられる状況になる可能性がある』
先生『だが、君たちの進路への力添えは必ず保証する。皆、各々頑張るように』
鞠莉『統廃合は…まだ決定ではないんですよね?』
先生『あぁ…あくまで予想だ』
ダイヤ『入学希望者が増えれば統廃合の選択肢は無くなりますか?』ズイッ
果南『人風が増えれば統廃合する必要はないよね』ズイッズイッ
先生『な、なんだ、なんだ、お前たち』 ----
ダイヤ『スクールアイドル…ですわ!!」
鞠莉『すくぅ〜るあいどる?』
果南『鞠莉、知らないの?!』
ダイヤ『そんな…!』
ダイヤ『スクールアイドルというのはですね…。普通のアイドルとは違い、学校単位でグループが排出されるアイドルプロジェクトで…もちろん大会もありますわよ。そして、その文化に拍車をかけたのがμ'sとA-RISE。そして-(省略)』
鞠莉『へぇ……』
果南『興味なさそう…』
鞠莉『それを私たちがやるってこと?』
鞠莉『その…すくーるあいどる…?』 ダイヤ『そうですわ!学校を廃校の危機から救うにはそれしかありません!』
果南『うんうん。鞠莉スタイル良いし、一緒にやったら絶対注目浴びるって!』
鞠莉『sorry…そういうの…興味ないの』
果南『…』フフッ
ガバッ
果南『ハグっ!』
鞠莉『…!…なにっ、するの!』
果南『うんっていうまでハグする!』
鞠莉『離してよー!』
ダイヤ『ふふっ…』
鞠莉『ちょっ!もう、やめて、果南!』 果南『ダ〜メ♪』
ダイヤ『ちょっと!私も仲間に入れてくださいまし!』
果南『もう高校生なんだしさっ、3人で一緒に頑張ってみようよ!絶対楽しいから!』
鞠莉『……』
鞠莉『もう…わかったわよ』
ダイヤ『本当ですか!』
鞠莉『わかったからもう離してっ』
果南『ふふっ…。鞠莉ならそう言ってくれると思ってたよ』
鞠莉『果南が無理やりそう言わせたんでしょ?』 -----
ダイヤ『スクールアイドルとして注目を浴びれば、この学校を廃校から救うことができるかもしれません』
先生『な、なるほど……そういうことか…』
果南『だからさ、先生、部室とか用意してほしいんだ。救いたいから、この学校を』
先生『いや…だがな…。ちょっと待て……』
生徒A『へぇ…良いじゃん!面白そう!』
生徒A『私たちもこの学校が統廃合だなんて、入って早々嫌だしさ、応援するよ』
生徒B『私も。スクールアイドルってことはライブもやるんだよね?サインもらっとこっかな』
生徒C『いいじゃんいいじゃん!』
ワイワイガヤガヤ
鞠莉『皆んな……』 果南『ね?先生、だから、お願い』
先生『…理事長に言っては見るが…どうなるかは分からんぞ』
ダイヤ『ありがとうございます!』
先生『あ、あぁ…』
-----
-放課後-
果南「よっこいしょ」ドサッ
果南「汚っ…。いくらなんでもこんなところだなんてね…」
ダイヤ「貰るだけマシですわ。まだ正式に部として成り立っていないのに部室をいただいたんですもの、感謝です」
鞠莉「〜♪」
果南「鞠莉、楽しそうだね」 鞠莉「スクールアイドル自体はまだよく分からないけど、2人がいるなら良いかなって思えてきたのよ」
ダイヤ「またまた…」
果南「まぁ、掃除すれば使えない場所じゃないしね。ホワイトボードもあるし」
ダイヤ「かなり強引でしたがね…」
-----
理事長『成る程…』
果南『理事長も…退職なさった後自分の学校が廃校になるのは嫌じゃないですか?』
ダイヤ『お願いします!』
理事長『わかった…』
鞠莉『ほんと?』
理事長『だがお粗末なものしか用意できないけど。とりあえずそれで頑張ってもらおうかな』 -----
果南「あのおばさん、結構優しいんだね」
ダイヤ「理事長ですわよ」
果南「あっ…」
鞠莉「でも…具体的には何をするの?スクールアイドルって…」
ダイヤ「えぇ、来月にある地域交流会、体育館でのライブ枠を貰うことができましたわ」
ダイヤ「そこで私たちが内浦のスクールアイドルとしてパフォーマンスをするのです!」
ダイヤ「学校の名前を売るチャンスですわ!」
果南「それに向けて練習するってことだね」
ダイヤ「えぇ。だから…」
バンッ
鞠莉「…?」
ダイヤ「目指せラブライブ!浦の星スクールアイドルプロジェクトですわ!!」 果南「…なにそれ」
鞠莉「ダイヤ……盛り上がるのは良いけど…曲は何にするの?」
ダイヤ「……」
ダイヤ「…鞠莉さん、曲作れません?」
鞠莉「なんで私になるのよ!」
ダイヤ「振り付け……衣装……曲……」
ダイヤ「こうなったら分けましょう…。一人で全ては背負いきれません」
鞠莉「じゃあ…私が作曲で…ダイヤが…衣装?」
果南「それなら私は振り付けの方を担当するよ。そういうの得意だしね」
ダイヤ「…決まりですわ!」
果南「無計画な自信はやめてね」
ダイヤ「…!」グサ
鞠莉「スクールアイドルって……どんな曲を作ればいいの?」
ダイヤ「そうですわね…」 鞠莉「なんでもいいの?」
ダイヤ「なんでも…というわけでは…?」
鞠莉「じゃあ、なんでもないほうがいいの?」
ダイヤ「なんでもないわけでも…」
鞠莉「じゃあなんでも?」
ダイヤ「何を言ってるんですか!」
鞠莉「だから…なんでもって言ってるでしょ」
果南「そういうダイヤは何かないの?」
ダイヤ「…そうですわねえ…。オーケストラのダンスパーティとかどうでしょう」
果南「……」
鞠莉「……」
ダイヤ「アメリカンジョークですわ」
果南「船上でのパーティ…面白そうだけど」
鞠莉「そのイベントは体育館でしょ」
ダイヤ「…一応船上ステージっぽく…」 鞠莉「えぇ…」
果南「船上に似せるならダイヤの案も入れてあげようよ」
ダイヤ「オーケストラの……ドレスとかどうでしょう」
鞠莉「際どいわよ!ワルツとか?」
果南「あ!それいいね!」
鞠莉「でも…踊れるの?」
ダイヤ「本でしか見たことありませんわね……」
鞠莉「ワルツといえば…小学生の頃、果南が王子様になりきってたのを思い出すわ」
果南「なにそれ…?」
鞠莉「ほら、舞踏会の時に抜け出して…」
果南「わー!!!やめてやめて!!」
鞠莉「Shall we dance?」
果南「うわぁぁぁぁ!!」
ダンス「では、決定ですわね」 果南「なんでそうなるのさ!」
鞠莉「ワルツでいいじゃない」
果南「ドレスも着ようよ〜」
ダイヤ「オーケストラっぽさも欲しいですわ!」
果南・鞠莉・ダイヤ「む〜!!!」
ダカラワルツヲ!!!!
ワタシノカンガエモ…!!
ドレスニシマスワヨ!!!
理事長「何やら楽しそうだ…」フフッ
理事長「失礼するよ」ガラガラ
果南「…!」
ダイヤ「あ、…」
鞠莉「……」
理事長「お取り込み中申し訳ないね」
ダイヤ「す、す、す、すみません理事長!」 果南「こ、これは…その…」
理事長「いや、いいよ。楽しそうじゃない」
理事長「ところで…どうかな、順調?」
鞠莉「ま、まぁ…」
果南「順調だったり…順調でなかったり…」
ダイヤ「か、考えてはいるんですが…」
理事長「そうか…」
理事長「いやね…せっかく浦の星のスクールアイドルってことだから、学校としても広報活動を行おうと思ってね」
鞠莉「ほ、本当?!」
ダイヤ「私たち…まだ無名ですわよ?」
理事長「ふふ…。学校の皆んなが力になりたいと言ってくれたんだよ。生徒の総意には理事長として従いたい」 果南「皆んな…」
理事長「ここら辺の人も注目してるさ。是非、やろうと思ってね」
果南「……」ウルッ
鞠莉「……」ペコ
「よろしくお願いします!!!」
理事長「うん…。そう言うと思った」
理事長「じゃあ、これからも頑張りなさい。3人で一緒に。お互いの意見を尊重してね」
ダイヤ「はい…!」
理事長「こちらは広報活動の準備を進めるとしよう……あ、」
果南「?」
理事長「君たち、そういえばグループ名はなんて言うんだ?」 鞠莉「グループ名…」
理事長「宣伝をしようにもそれがないと意味ないからね」ハハ
ダイヤ「ま、まだ決まっておりません…」
理事長「…?! なんだって?!」
理事長「急かすつもりはないが宣伝の為にもできるだけ早く教えてほしい。もちろん、じっくり考えてね」
鞠莉「わかりました…すみません」
理事長「いいさ。じゃぁ、お邪魔したね」
「ありがとうございました」
ガラガラ
ダイヤ「困りましたわね……」 鞠莉「グループ名…忘れてたね」
果南「ダイヤの好きなアイドルグループ名前じゃダメなの?」
ダイヤ「何を言っているのですか!μ'sは神聖なる領域ですわよ!!」
果南「じゃあ…浦の星トリオ?」
ダイヤ「そのまんまじゃないですか…」
鞠莉「内浦シスターズ」
ダイヤ「……」
果南「お魚の楽園」
ダイヤ「なんでアトラクションみたいになってるんですの…」
鞠莉「ウォーターエンジェル!」
ダイヤ「うう〜ん…」
鞠莉「ダイヤも何か出しなさいよ!」
ダイヤ「そうですわね…」 ダイヤ「3人なので…スリーウォーター…」
果南「……」
鞠莉「……」
果南「ん〜…今日もいい天気、運動日和だね!」
鞠莉「海にでも行きましょう!」
ダイヤ「い、今のはなし!なしですわ!!
*約2年後、同じ悲劇がおきます。
鞠莉「でもまぁ…ウォーター…ね」
鞠莉「確かに土地からして水に関連付けるのは悪くないかもしれないわ」
ダイヤ「ですわ!そうですわよね!」
果南「ダイヤのは話にならないけどね」
ダイヤ「…っ!」グサッ
果南「う〜ん…じゃあさ、海、行ってみない?」 ダイヤ「海?」
果南「鞠莉の言う通り、ずっと海の近くで暮らしてきたから、水って言葉は良いなって」
果南「なんか…自然を味方につけてる感じがしない?」
ダイヤ「まぁ、…そう言われてみれば…」
鞠莉「そうね、行ってみましょう。こんな狭所にいても難しくなるだけよ」
ダイヤ「そうですわね…。気分転換の意味も兼ねて、行きましょうか」
果南「もちろん水着持ってね!」
ダイヤ「泳ぐのですか…?」 ----
果南「ん〜〜!!」ザバー
果南「やっぱり最高!!海は気持ちいいね!」
鞠莉「相変わらず上手いわね」
果南「ま、日課だからね」
果南「ダイヤもほら!おいでよ!」
ダイヤ「い、いえ、私は……」
鞠莉「何言ってんの!ほらほら!」ドンッ
ダイヤ「うわっ!」
ドボーン
ダイヤ「ぁばっ…あばば!」
ダイヤ「か、果南さん!」ジャバジャバ
果南「もう…しょうがないなぁ…」ザバッ
ダイヤ「ふぅ……」
鞠莉「ダイヤ…泳げなかったの?」
ダイヤ「貴女が急に押すからですわ!」
鞠莉「ソーリー♪」
果南「ほら、でも気持ちいいでしょ」
果南「こんなに綺麗な海は日本でも限られてるよ」
ダイヤ「そうですわね。色も透き通っていますし…」 果南「やっぱり水って言葉はいるよ。なんたってここのスクールアイドルなんだからね」
鞠莉「じゃぁ…スリーウォーター?」
ダイヤ「だからそれはやめてください!」
*約2年後、同じ悲劇が起きます。
鞠莉「じゃあ…aqua?」
果南「aqua…水…ってそのまんまだね」
ダイヤ「良いのではないですか?」
鞠莉「3人いるから…スリーアクア?」
ダイヤ「だからそれは…!」
*約2年後、同じ悲劇が起きます。
鞠莉「じゃあ、そうね…。ours」
ダイヤ「私たちの…?」 鞠莉「そう」
ダイヤ「なるほど…。地元大好きな私たちには良いかもしれませんね」
ダイヤ「この海も山も、皆んな私たちを支えてくれるようで」
ダイヤ「果南さんが言ってたことと被りますわね」
果南「ふふっ…。あと3人とも、雨女っぽいしね。全員水に関係あるじゃん」
鞠莉「……」
ダイヤ「…はい?」
果南「ごめん。なんでもない」
果南「じゃあaqua oursでいいの?」
鞠莉「いやダサすぎるでしょ…」 ダイヤ「では二つを合わせてAqours、でどうでしょう?」
鞠莉「はい?」
果南「いや…アクア、だと何も合わさってないじゃん」
ダイヤ「違います!文字の話ですわ!」カリカリ
『Aqours』
鞠莉「oh〜!なるほどね!ちょっと洒落てていいじゃない!」
果南「当て字っぽくてかっこいいね」
鞠莉「Aqours〜!サンシャイン!!」
ダイヤ「なんですの?それ」 鞠莉「海と太陽…って良くない?」
果南「いいね、採用」
ダイヤ「では!グループ名は…Aqoursで!!」
果南「アクアス?」
鞠莉「アクオス?」
ダイヤ「アクアです、ア・ク・ア!!!」
果南「ふふっ…」
鞠莉「せーの…!」
「私たち、浦の星女学院スクールアイドル、Aqoursでーす!!!」 -----
ダイヤ「ただいま、今帰りましたわ」ガラガラ
ルビィ「おかえり!お姉ちゃん!決まった?」
ダイヤ「えぇ、決まりましたわよ。ちゃんと」
ルビィ「ほんと?!ルビィ、絶対観に行くね!」
ダイヤ「是非。貴女の作った衣装も使用しますわ」
ルビィ「ルビィね…。お姉ちゃんのライブ観に行くの夢だったんだぁ…」
ダイヤ「ふふ…。嬉しいことですわ。楽しんでもらえるように頑張ります」
ルビィ「うん…!お姉ちゃんのイメージカラーって何?」
ダイヤ「イメージカラー…一応赤ということに」
ルビィ「じゃあルビィ、ずっと赤のライトつけてる!」
ダイヤ「は、恥ずかしいですわよ…それは…//」 ルビィ「良いもん。ルビィはお姉ちゃんの1番のファンだから」
ダイヤ「ありがとうございます…」
ダイヤ(随分と言うようになってしまって…ふふ…)
ダイヤ「よーし!それなら私がお姉ちゃんとしてルビィに魅せてあげますわ!」
ルビィ「しゅごい!お姉ちゃん!!」
ダイヤママ「ね?仲良し仲良し♪」
ダイヤパパ「ふふ……」 ------
-イベント当日-
果南「ふ〜…ちょっと緊張するね」
鞠莉「珍しいわね、果南が緊張だなんて」
果南「私だって緊張くらいするよ」
ダイヤ「皆さん来てくれてると良いのですが」
鞠莉「きっと大丈夫よ。学校のみんなと一緒に宣伝しまくったんだから」
果南「良い曲もできたしね」
ダイヤ「この衣装……どうでしょう?」
鞠莉「ちょっと恥ずかしいけど……バッチリよ♪」
ダイヤ「ふふっ…」
果南「じゃあ…あれ、やろっか」 鞠莉「うん…」
ダイヤ「はい…」
果南「あれだけ練習したんだもん、大丈夫だよ」
果南「でもやっぱり一番は…めいいっぱい楽しもう!楽しんで楽しんで、走り切ろう!」
果南「Aqours--!!」
果南・鞠莉・ダイヤ「サンシャイン-!!!」
-----
〜♪♪
ワァァァァァァァァァ!!!!
ルビィ「お姉ちゃーーーん!!」 鞠莉「したいこと言ってみてよね please
騒ぎたい気分だからさ」
果南・ダイヤ「とんでもなんでも叶えちゃう」
ダイヤ「いきなりすぎるでしょ、NO!」
果南「わかんないけど面白そう」
ダイヤ・果南「教えて教えてどんなこと♪」
鞠莉「だからなんでもって言ってるでしょ!」
ダイヤ「なんでもって… オーケストラで踊るダンスパーティーとか? ふふ まさかね…」
果南「あ!そういえば船の上で
パーティってやってみたかったんだ!」
観客「会話…?いや、曲?」
コレハアタラシイ…
ルビィ「……」フリフリ 鞠莉「体育館を満員…とまではいかないけど、十分すぎる人数だわ…」
果南「うん…!」ダッ
ダイヤ「…?!」
果南「私たち、浦の星女学院スクールアイドル-」
「Aqoursです!!」
果南「この浦の星女学院は…廃校になるかも、という噂が立っています」
果南「私たちAqoursは…少しでも廃校を止めるお手伝いができたらなって、そう思って今、ここに立っています!」
果南「みなさん、今日はありがとうございました。どうか、私たちもこれから頑張りますので、応援よろしくお願いします!」
鞠莉「果南……」
ダイヤ「果南さん…」
果南「……」
ォォオオオオォォオ!!!!
パチパチパチパチ
果南「…!」ウルッ
鞠莉「…フフッ」
ルビィ「お姉ちゃーん!!」フリフリ
ダイヤ「…! あら…」
果南「せーの、」
「ありがとうございました!!」
パチパチパチパチパチパチパチパチ -----
翌日--。
-部室-
果南「ふぅ…昨日はお疲れ様」
鞠莉「ほら、見てみて。ネットでも凄い反響よ!」
ダイヤ「あの理事長も下世話なんですから…」
----
理事長『キミたちの勇姿をみんなに見てもらおう!きっと良い反応がもらえるはずよ!』
理事長『この学校をしってもらうチャンスでもあるんだ!』
『は、はぁ…』 ----
果南「でも…良かったね。人沢山来てくれて」
ダイヤ「えぇ…。ありがたいことですわ。本当に」
鞠莉「次は絶対満員にするわよ!」
果南「頑張らなきゃね。ウチ、生徒数は少ないのに体育館は無駄に大きいから」
ダイヤ「それは言ってはいけないことですわ…」
理事長「こんにちは」ガラガラ
果南「わっ、理事長」
理事長「昨日はお疲れ様。とっても良かったよ、ありがとう」
鞠莉「こちらこそ、いろいろと」
理事長「いやいや…。ところで君たち、何処で練習していたんだい?」
ダイヤ「練習…?一応まぁ、浜辺や山を使って…」
果南「体育館は他の部活が使ってるからね」 理事長「そうか…。それは申し訳ないことをした」
鞠莉「いえ、別に…」
理事長「暑いけど…ウチの屋上が空いてるんだ。良かったら、そこ使ってみてね」
果南「屋上?!良いんですか…?」
理事長「あぁ…ちょっと部室から遠いけど、良かったらね」
ダイヤ「ありがとうございます…!!」
理事長「あぁ…じゃあ」
ガラガラ -----
-理事長室-
理事長「…ふぅ」ギシッ
理事長「……」カチカチ
理事長「まったく…定年間際のばぁさんが、高校生に影響を受けるなんてね…」
理事長「いくつになってもわからないもんだ…」
理事長「…うっ」ガタッ
理事長「ゴホッ…ゴホッ」
理事長「…はぁ…はぁ…」
理事長「そろそろ交代かねぇ…」
ピロリン
理事長「…?」
カチカチ
理事長「…!!」
理事長「おぉ…これは…」
理事長「ホント…何が起こるかわからないもんだ…」 ----
果南「良い景色!!私、ココ大好き!」
鞠莉「屋上って…こんなにも良い景色だったのね…」
ダイヤ「えぇ…」
鞠莉「ねぇ、果南。覚えてる?」
果南「?」
鞠莉「この学校受ける前に…ここから見る景色が見たいって言ってたの」
果南「うん…覚えてるよ」
ダイヤ「どんな気分ですか?」
果南「つくづく頑張って良かったなって思うよう」
果南「私…今まででこんなに楽しい時間…なかったかも!」
鞠莉「じゃあ昔は面白くなかったの〜?」
果南「そういうことじゃないんだって」
ダイヤ「フフッ…」 理事長「き、キミたち!」ゼェゼェ
ダイヤ「え?!理事長…!」
理事長「何度も何度もすまないね…。ちょっと急な用事があって…」
果南「…?」
理事長「こ、こんなメールが…」
鞠莉「…?」スッ
---?! ----
ダイヤ「と、と、東京のイベントに…」
鞠莉「ラブライブ出場?!?」
果南「……」カチーン ドサッ
鞠莉「果南が…!!果南!!」ユサユサ
鞠莉「…死んでる」
ダイヤ「それやりたいだけでしょう」
理事長「いえね…まさかこんなとこになるとは…。先日の動画がどうやら好評だったらしくて」
理事長「松浦さんの運動神経、小原さんの歌唱力、黒澤さんの優美華麗さ、色々褒められてたよ…」
理事長「才能を秘めたグループだと」
果南「でも…そんな急には…」
理事長「キミたちの夢は…なんだ?」
ダイヤ「…この学校を廃校の危機から救うことです」
鞠莉「そうね…。それなら…ラブライブに出場することは大きな糧になる」 鞠莉「優勝とまではいかなくても…せめて決勝にでも…」
果南「でも…東京のイベントもあるんでしょ?」
ダイヤ「理事長…期間は?」
理事長「東京のイベントは、夏に、ラブライブはその一ヶ月後だね」
ダイヤ「それなら…二つとも両立できますわ」
理事長「今回のラブライブは…会場投票というものとネット投票っていうものがあるらしいんだが…」
ダイヤ「なるほど。ということはネットでの知名度も投票率に影響しますわね」
ダイヤ「皆さん、ここは東京のイベントで最高のパフォーマンスをぶつけて、ラブライブを有利にしましょう」
果南「目指すは決勝……ってこと?」
ダイヤ「えぇ」
果南「…本当に大丈夫なの?」
鞠莉「やれるだけやってみようよ。決勝も突破して…優勝だって」 果南「……」
理事長「…?」
ダイヤ「それなら今から練習ですわ!!」
ダイヤ「果南さん!インパクトのある振り付けを!!」
果南「……うん」
鞠莉「果南、あのノート、見せてよ」
果南「ノート…って、ふぇぇ?!ダメダメ!」
鞠莉「何恥ずかしがってんのよ〜♪」
果南「私…字汚いから」
鞠莉「ふ〜ん…」 -----
理事長「一人……気がすすまない感じ?」
果南「…はい」
理事長「二人はノリノリで部室に行っちゃったけど」
果南「私だって嬉しいですよ。そんな大きな舞台に…」
果南「でも…その分怖いんです」
理事長「緊張…ってわけでもなさそうだが」
果南「いくら良い評価を貰えたって、私たちはまだ素人。無理すれば何が起こるかわからないし…」
果南「私はともかく、あの二人に何かあったら…」
理事長「優しいんだな…」
果南「言い出しっぺですから……それくらいの責任は」
果南「鞠莉やダイヤに無理させられないし…」
理事長「小原さんか…」 -----
理事長『おや…?』
先生『小原さん、ご両親からお話は聞いてる?』
鞠莉『えぇ…』
先生『私からすると…これはかなりのチャンスだと思うわ。まだ1年生なのに…海外留学だなんて』
先生『貴女の英語力なら海外でも通用するでしょうし、悪い話ではないと思うけど』
鞠莉『でも…私はせっかくこの学校に入ったので…。ここに…いたいです』
先生『そう…。気が変わったらまた言ってね。まだ期間はあるのだし』
鞠莉『ありがとうございます…』
----
理事長「小原さんは…きっと二人のことが大好きなんだろうね」
果南「…?」 理事長「松浦さん、貴女のその優しさはとても尊敬する、だが、時に仇となる時もあるかもしれんな」
理事長「優しさとは…それほど扱いにくいものだ…」
果南「どういうことですか?」
理事長「ふふっ…。二人に話してみたらどうだろう、さっきのことを。きっと答えをくれるはずだ」
果南「でも…」
理事長「さ、行っておいで」トンッ
果南「はい…!」タッタッタッタッ
理事長「……」
理事長「若い…」 ----
果南「…」ガラガラ
鞠莉「あら、遅かったわね、果南」
ダイヤ「今、ラブライブについて討論していたところですわ。東京のイベントでドカンと当てるためには、私たちの能力を活かしたパフォーマンスをしなければなりません!」
ダイヤ「生徒数が少ないなどのハンデはありますがそれを凌駕する「二人とも」
ダイヤ「…?」
果南「本当に…やるの?」
鞠莉「何言ってるの?ここでやらなきゃ意味がないでしょう」
鞠莉「果南だって…ここに書いてあるじゃない」スッ
果南「そのノート……!!」
果南「返して!!」バシッ
鞠莉「なによ…」
果南「ダメ…これは…ただの私の落書きだから」 ダイヤ「良いではないですか。私、もうその振り付けに見合った衣装をイメージしてしまいましたわ」
鞠莉「私も曲のイメージできてるんだけどなぁ〜」
果南「本気で言ってるの…?ダイヤは私たちの走り込みについてくるのもやっとじゃん」
果南「鞠莉だって…怪我するかもしれないんだよ」
果南「それに私たちはまだ前も後ろもわからない素人…なのに急にこんな負担…無理だよ」
鞠莉「なによ、果南らしくないわね」
鞠莉「そんな理由で諦めるのが貴女?」
果南「…! 諦めるとかそういうんじゃない!私は怖いの!!私だけならまだしも、二人が怪我をするのが!」
果南「私らしいとか……らしくないとかそういう話じゃない…」 ダイヤ「果南さんは心配性ですわね」
鞠莉「果南がスクールアイドルやろうって言ったんだよ」
果南「そうだよ…だから…」
鞠莉「ありがと…」ガバッ
果南「…!」
鞠莉「果南が誘ってくれなかったら…きっと私はこんな世界知らなかった。ありがとう、果南」
ダイヤ「私の気持ちにいち早く気づいてくれたのは果南さんです。ありがとうございます」
鞠莉「ね、だから、やろう。学校を救うんでしょ?」
鞠莉「私たちのこと気遣ってくれてありがとね」 ダイヤ「そのフォーメーション…やってみる価値はありますわ」
果南「…わかったよ、二人とも」
鞠莉・ダイヤ「…!」
果南「でも…一番危険なこれをやるのは私」
果南「私も…やったことないけどちゃんと練習するから」
鞠莉「うん」
ダイヤ「あら?もしかして私たちの心配をするフリをして自分だけ目立とうなんて思ってませんわよね?」ズイッ
鞠莉「そうねぇ、もちろん私たちの見せ場もあるんでしょ?」ズイッ
果南「あぁ…もう!わかった!わかったから!ちゃんとあるから!」
鞠莉「ふふっ…ふふふっ…」
ダイヤ「うふふ…」
果南「今日の二人…妙に息ぴったりだね…」 ----
鞠莉「…ゴクリ」
ダイヤ「……」
果南「それじゃぁ行くよ」
鞠莉「うん」
ダダダダッ
バッ
果南「ふっ…!」
トンッ
ズザッ
果南「うわっ…ととっ」
ドサッ
果南「いってて…」
鞠莉「果南!!大丈夫?!」
ダイヤ「果南さん!」 果南「大丈夫だよ…大袈裟だなぁ。ちょっと擦りむいただけだって」
鞠莉「でも…もうちょっとだったね」
ダイヤ「流石果南さん。既にコツを…」
果南「いや…実は今の、初めてなんだ」
果南「やっぱりもうちょっと練習が必要だね」
鞠莉「初めて…?ホント?」
ダイヤ「もうほぼ行けそうな感じでしたが…」
果南「まだだよ…全然。いつ怪我するかわからないんだから、ちゃんとできるようになっておかないとね」
鞠莉「……」
鞠莉(凄いわ…)
果南「ふっ…!」トンッ 果南「うわっ…!」
ドサッ
果南「いっつつ…」
鞠莉「果南…」
ダイヤ「……」
ダイヤ「さ、鞠莉さん、私たちも練習ですわ」
鞠莉「でも…!」
ダイヤ「果南さんならきっと大丈夫です。あの人がそう言ったんですから」
ダイヤ「私たちも…果南さんが作ってくれた見せ場とやらを練習しなければ」
ダイヤ「足手まといにはなりませんわよ!」
鞠莉「そうね、そうよね、ダイヤ!」
鞠莉「その前に…ダイヤは腕立て伏せできるようならなくちゃ」
ダイヤ「えっっっ…」
ダイヤ「何のことですか…?」
鞠莉「ほら、ダイヤ、今やってみなさい」 ダイヤ「いえ、今は…?アレですわ、アレ」
鞠莉「いいからやってみなさい!」
ダイヤ「はい…」
スッ
ダイヤ「ふんっ…ふんっ…」プルプルプルプル
ダイヤ「いぃ〜ち……」
鞠莉「全然上がってないわよ。1じゃないわよ!0よ!!」
ダイヤ「に…にぃい〜い」プルプル
鞠莉「……」
ダイヤ「わっ…」ベタッ
ダイヤ「ゼェゼェゼェゼェ…」
鞠莉「体力と筋力のなさはAqours随一ね…」
ダイヤ「そういう鞠莉さんはどうなのですか!やってみなさい!」ハァハァ
鞠莉「オーケー♪よっと」スッ
鞠莉「ほらほらダイヤ、これくらいできないと」ユサユサ ダイヤ「……………」
ユサユサ
ダイヤ「汚らわしい!!!」
鞠莉「…?」
ダイヤ(なぜあんな重たいものがありながら…)
ダイヤ(そういえば果南さんも…なぜあんなに飛べるのですか…)
ダイヤ「ま、鞠莉さん…またバストが大きくなっていませんか?」
鞠莉「バスト…?そうかしら?」
鞠莉「確か84だった気がするけど」
ダイヤ「ぁぁぁっ!!」←78
鞠莉「大丈夫よ、果南だって82って言ってたし」
ダイヤ「は…82?!嘘ですわ!あれが82の大きさですか!!」
鞠莉「さぁ…?」
ダイヤ「どうみてももっとあるでしょう」 鞠莉「逆にダイヤ、もっとないんじゃない?」
ダイヤ「あります!ちゃんとありますわ!!」
鞠莉「ふふっ…」
「うわっと!!」ドサッ
鞠莉「!…果南!」
果南「いったぁ〜、ちょっと盛大にいっちゃったね」
ダイヤ「お怪我はありませんか?」
果南「ちょっと足挫いちゃったくらいだよ」
果南「まぁ、平気平気」
ダイヤ「……」
鞠莉「ねぇ、二人とも、今日はもう帰らない?」
果南「えっ?」
ダイヤ「……」
ダイヤ「そうですわね。そろそろ疲れてきましたし」
果南「そうだね。じゃあ私はもうちょっとやるから、二人は…「何言ってるの」
鞠莉「果南も一緒に帰るわよ」
果南「いや…でも!」
鞠莉「いいの、ほら、帰るよ」
果南「まだできてないんだけど…」
ダイヤ「足の痛みが引いてからまたやりましょう。ほら、立てますか?」 果南「立てるけど…」
鞠莉「無理しちゃダメよ、果南」
果南「……」
鞠莉「迎え、呼んだから。問答ムヨーよ!」
果南「うん……」
ダイヤ「……」
----
ザザーン…
果南「……」
果南「あんまり時間もないのに…」
果南(私がしっかりしないと…) ----
先生『今回のテスト…小原と黒澤、同率トップだ』
鞠莉『ちぇ〜勝ったと思ったのに…』
ダイヤ『ふぅ…危なかったですわ』
果南『二人とも凄いね〜』
--
鞠莉『〜〜♪♪』
生徒『小原さんって綺麗な声してるよね〜』
生徒『ビブラートやばいよ!!スクールアイドルでも人気でそうだね!』
ダイヤ『流石鞠莉さんですわ!』
果南『だね!!』 --
ダイヤ『では、貴女にこのお仕事を任せてもよろしいでしょうか』
生徒『わかりました!』
ダイヤ『果南さんは、こっちを頼んでもよろしいですか?』
果南『うん、いいよ』
生徒『黒澤さんってカッコいいよね。流石名家っていうか…』
果南『そうだね。統率力は見習わないと…』
生徒『Aqoursのリーダーもやっぱり黒澤さんなの?』
果南『えっ……あっ…う、うん、そういうことになってる…と思うよ』
生徒『やっぱり〜』 ----
果南「……」
果南(そういえば…昔っからあの二人には何か特別な力みたいなものがあったかも)
果南(あの二人だけじゃない…みんな色々なものを持ってる)
果南「千歌も……」
果南(あの娘も、何か不思議な力を持ってるんだよね)
果南「よし…!」
バッ
果南「ふっ…!」
ズザッ
果南「いっ…」
果南「まだまだ…!!」グッ
ドサッ
「まだ…!」
ズザァッ
果南「はぁ…はぁ…」 果南「もうちょっとの…はず…」
果南「もう一回…」ズキッ
果南「痛っ!」
果南「…!」
果南(さっきの衝撃で擦りむいちゃってたのか…)
果南「……」ダッ
ダイヤ「おやめなさい」
果南「…ダイヤ!」
ダイヤ「もう夜ですわよ。何をやっているのですか」
果南「なんで…」
ダイヤ「もしかして……と思ってきてみたら、案の定ですわね」
ダイヤ「これ以上は…危険ですわよ」 果南「わかってる…。でもやらなきゃ、私は……」
果南「二人にも…みんなにも恩返ししなきゃ」
ダイヤ「果南さん…」
ドサッ
果南「あー…もう!」
ダイヤ(果南さんの本来の実力なら……できてもおかしくないはずですが…)
ダイヤ「感情的になり過ぎですわ。果南さん」
ダイヤ「何か…ありましたの?」
果南「何もないよ」
ダイヤ「嘘おっしゃい」
果南「何もないって!!」
ダイヤ「……」
果南「ごめん…」
ダイヤ「果南さん…」
ダイヤ「重たいですか」 果南「え…?」
ダイヤ「今貴女が背負っているものは、そんなに重たいのですか」
果南「……」
ダイヤ「私たちAqoursは…3人なのですよ」
果南「だって…これは私がやらなきゃ…」
果南「二人に背負ってもらうわけにもいかない」
ダイヤ「そういうことではありませんの」
ダイヤ「ただ一つ……私たちは好きでスクールアイドルをやっているのです」
ダイヤ「貴女と一緒に何かをするのが楽しいからやっているのです」
ダイヤ「少将の危険なら跳ね除けてみせますよ」
果南「……」
果南「やっぱり…ダイヤは凄いね」
ダイヤ「…?」
果南「そういう気遣いがちゃんとできるって、尊敬できるよ」
ダイヤ「何を言っているんですの。貴女、リーダーでしょう?しっかりしなさい」
果南「リーダーはダイヤでしょ」 ダイヤ「はい?」
果南「私はね、統率力なら、ダイヤが一番だと思うんだ」
果南「言い出しっぺなのにさ…私、何にもできてないし」
果南「だからせめて、これだけはやらせて」
ダイヤ「…ハァ」
ダイヤ「そういうことでしたのね」
果南「え…?」
ダイヤ「Aqoursのリーダーは貴女でしょう、果南さん」
ダイヤ「どうせ二人に頼りっきりなのにーってことでしょう?貴女のことだから」
果南「……」
ダイヤ「果南さん、貴女、もう少し自分の力を認めてあげてもよろしいんですわよ」
果南「何を……」
ダイヤ「私も…鞠莉さんも、周りに頼りきりだって、そう思っていましたわ」 ダイヤ「ですが、自分に力があるって、そう気付かせてくれたのは貴女です」
ダイヤ「なんたって私たちは3人とも面倒くさいですからね」フフッ
ダイヤ「ちょっとのことで悩んで、一人で抱えて、それでも3人で立ち向かってきたではありませんか」
ダイヤ「それは貴女も同じです、果南さん」
果南「ダイヤ…」
ダイヤ「さぁ、練習しましょう、私が治療してあげますから」
果南「うん……!」
ダイヤ「明日、鞠莉さんを驚かせてやりましょう」
果南「わかってるよ」
--私が単純なのか、友達に恵まれたのか。
わかんないけど、友達って存在は…時に重荷になったり、時に支えになる。
面倒くさい私だけど…ちょっぴりくらいは甘えてもいいかな。 果南「…いくよ」
ダイヤ「…」コクン
果南「ほっ!」バッ
ズザッ
トンッ
果南「……」ピタッ
果南「できた…!!」
ダイヤ「…!!」
果南「できた!できたよ!ダイヤ!!」
ダイヤ「やりましたわね!!果南さん!やっぱり貴女ならやってくれると信じていましたわ!!」ウルウル
果南「やったよ!!ありがとう!!ダイヤ!!」
ダイヤ「果南さん!果南さーん!!」
果南「ハグっ!!」ガバッ
ダイヤ「おめでとうございます!」ガバッ
果南「うん…。ありがとう…!」 ダイヤ「私たちも直ぐに頑張りますから…追いつきますからね」
ダイヤ「楽しみに待っていてください」
果南「ふふっ…。私も、今の感覚を忘れないようにしなきゃね」
ダイヤ「はい…!!」ブーブーブー
果南「…? ダイヤ、携帯鳴ってるよ」
ダイヤ「おや…?鞠莉さんから…」
果南「…あれ?私の方には来てないけど…」
ダイヤ「……」
ダイヤ「もしもし…」
ダイヤ「はい…はい…。えっ?」
ダイヤ「そ、それは本当ですの?!」
果南「ちょっと…ダイヤ?何があったの?」
ダイヤ「わかりました。失礼します…」
ダイヤ「果南さん、急ぎますわよ」
果南「なになになに?!」
ダイヤ「鞠莉さんが救急車で運ばれたようです…」 果南「…えっ…」
ダイヤ「命に別状はないそうですが…。詳しくは教えてもらえませんでした」
果南「何処の病院?早く行こう…」
ダイヤ「今車を呼びましたので…」
果南「早く行こうよ!!鞠莉は?!」
ダイヤ「落ち着きなさい!貴女が取り乱してどうするんですか」
ダイヤ「鞠莉さんのことですからきっとピンピンしていますわ。安心してください」
果南「でも…!!」 ----
看護師「小原さんですか…?あぁ、こちらに…」
果南「意外とすんなりいけたね」
ダイヤ「黒澤家の力ですわ」
ガラガラ
看護師「小原さん、お客さんよ」
鞠莉「あら、ダイヤ…って果南も?!」
果南「なに、私がいたらダメだった?」
ダイヤ「急に連絡が入るんですもの…ビックリしましたわ」
鞠莉「大丈夫大丈夫♪この通りピンピンしてマース!」
果南「もう……心配したんだからね」
鞠莉「ごめんごめん。ちょっと転んじゃって」
看護師「転んだくらいじゃこんなにならないでしょう。数ヶ月は絶対安静だからね」
鞠莉「……はい」
果南「数ヶ月…?!」
ダイヤ「鞠莉さん…一体…」 鞠莉「だから転んだんだって」
ダイヤ「東京のイベントは棄権しましょう。鞠莉さん、何をされたんですか」
鞠莉「待って!!棄権はしないわ!!ほら、動けるし…」ズキッ
鞠莉「うっ…」グラァ
果南「ダメだよ」ガシッ
果南「私に無理するなって言ったの誰?」
鞠莉「でも…」
鞠莉「でるの!!絶対!!」
果南「…鞠莉…」
ダイヤ「…その足で…ですか?」
鞠莉「ガチガチに固めれば…動けないことはないんでしょう?」
看護師「…否定はしないわ」
鞠莉「ほら、いけるじゃない。そもそも数ヶ月っていうのは一般人の基準よ。私ならもっと早く治る」
看護師「そんな無茶な……」
鞠莉「そもそもバク転くらいで…棄権だなんてみっともなさすぎるしね」
ダイヤ「バク転…?」
果南「バク転……まさか…鞠莉!!」
鞠莉「あちゃ……」
鞠莉「…てへぺろ♪」 果南「なんで…鞠莉は…。私がやるところでしょ?」
果南「なんで…」
鞠莉「果南だけ活躍しようだなんてちょっと嫌じゃない。私も成功させて驚かせてあげようと思ったのよ」
果南「馬鹿…!!」
鞠莉「……」
果南「約束したじゃん…。3人で…」
果南「怪我…して欲しくなかったのに!!」
鞠莉「大丈夫だって、イベントにはでるから」
果南「そういうことじゃ……!!」
果南「……ごめん。今日は帰るね」
果南「果物置いてるから食べて」
鞠莉「……」
ガラガラ
ダイヤ「果南さ…」
果南「私…そんなに信用なかったかな」
鞠莉「違うの…!!これは…果南!!」
ダダダダッ
鞠莉「……」 ダイヤ「さて、正直に話しなさい」
鞠莉「……」
ダイヤ「まだシラを切るつもりですの?」
鞠莉「…私の勝手よ」
鞠莉「あのままだと…果南がボロボロになっちゃうじゃない」
鞠莉「やめろっていって止める相手じゃないでしょ…」
鞠莉「だから…せめて私ができるようになれば果南が傷つかなくて済むって思って…」
ダイヤ「……」
鞠莉「うっ……ううっ…」ポロポロ
鞠莉「そんなつもりじゃなかったのよ…。私は果南に……」ポロポロ
ダイヤ「鞠莉さん…」
鞠莉「イベントには…でる。絶対でるの」
鞠莉「もうイベントまで時間がないわ…。絶対でるのよ…!!」
ダイヤ「………」
看護師「…どうしてもと言うなら痛み止めを飲んでテーピングをするしかないわね」
鞠莉「…!」
看護師「でも…看護師としては棄権をお勧めするわ。とても許可できるものじゃないもの」 看護師「でも…貴女たちのことについてとやかく言う権利はないから…力になれるだけなってあげる」
ダイヤ「お手数おかけして申し訳ありません…」
看護師「いいわよ…」フフッ
----
-松浦家-
果南「………」
果南「はぁ…」ドサッ
果南(やっとできたと思ったら……)
果南「失格だよ…私…」
果南パパ「果南」
果南「…何」
果南パパ「これ、東京までの旅費だ」
果南「いらないよ。自分で出すし」
果南パパ「ええよ。お前いっつも手伝ってくれてるだろう」
果南パパ「素直にもらっとけ」
果南「……」 果南パパ「なんかあったか」
果南「別に……」
果南パパ「そうか…」
果南パパ「それよりもうすぐイベントだろう。練習は…」
果南「父さんには関係ないでしょ」
果南パパ(思春期か…?)
果南パパ「そうだな。父さんは部外者だ」
果南パパ「ただ…無理はするなよ」
果南「うん…」
果南パパ「果南、今日の夜、何が食べたい?」
果南「…サザエ」
果南パパ「……」
果南パパ「わかった。採ってきてやる。だから元気出せ」
果南「……」
果南「うん……」 -----
結局--東京のイベントにはでることになった。
期間も短く3人で考える時間もなかったのが要因だったりする--。
痛み止めとテーピングでどうにかなる問題じゃない。
それぐらい過度な動きをする振り付けを作ったんだ。
果南「……ダイヤ」
ダイヤ「…?」
果南「話があるの」
ダイヤ「……」
--
ダイヤ「正気ですの…?」
果南「当たり前だよ」
ダイヤ「……」
ダイヤ(頭で考えるより先に体が動く---
果南さん、正直私は、貴女にそのようなイメージを抱いていました。
ですが…一番繊細で、いつも周りのことを考えていたのは貴女でしたのね…)
ダイヤ「でも…本当に良いんですの?」
果南「いいって言ってるでしょ。私の優先順位は…そうだから」
ダイヤ「………」 -----
『次は……静岡県のスクールアイドル…Aqours!!!』
『昨今勢力を伸ばしてきた新手チームの実力は…いかに!!』
ワァァァァァァァァアァァァァァァァァ!!!!
鞠莉「ふぅ…」ギュッ
ダイヤ「……」
鞠莉「いっつつ…」グイッ
果南「……」
鞠莉「よし…!果南、行くわよ!」
果南「……」
鞠莉「果南…?」
バンッ
ワァァァァァァァァアァァァァァァァァ!!!!
『ミュージック……スタァァトオオォ!!』
〜♪♪ ダイヤ(歌い出しは私から…果南さん…すみません…)
ダイヤ「限界まで…やっちゃえ最後まで!」
鞠莉「どうなる?DOKI DOKI WAVE」
果南「……」
ザワザワ
〜♪♪
鞠莉「か、…果南…?」
ダイヤ「…ッ」
果南「……」
果南(あれ…私…)
果南(あぁ…そうか。歌わないんだっけ)
果南(それにしても……なにも聞こえない。なにも感じない…)
果南(なにやってるんだろう……私) 鞠莉「…果南!!」
果南「…!」
果南(鞠莉……)
〜♪♪〜。
ダイヤ「音が……」
『申し訳ございません。ライブを一旦中止させていただきます』
ザワザワ
エ?ナニナニ?
キンチョウ?
鞠莉「果南!大丈夫?!果南!」ウルウル
鞠莉「果南ったら!」ポロポロ
果南「…はっ…」
果南「あっ…鞠莉…」
鞠莉「果南……よかった……」ダキッ
ダイヤ(………)プルプル
ダイヤ(見てられませんわ…)サッ
鞠莉「大丈夫…。私がついてるから、果南」 鞠莉「貴女は一人じゃないから…。大丈夫、大丈夫よ、果南」ギュッ
果南「…鞠莉」
----
果南『…東京のイベント、私は歌わない』
ダイヤ『ど、どういうことですの?!』
果南『ごめん、ダイヤ。私は…鞠莉をあれ以上傷つけられない。いくら治療をしてるからって言っても…』
果南『あの振りなら…大怪我するよ』
ダイヤ『果南さん…』
果南『だから、棄権するの。歩けなくなった鞠莉は見たくない…!』
ダイヤ『ですが…』
果南『ごめんね…ダイヤ。巻き込んじゃって…』
ダイヤ『……』
果南『鞠莉……』 ----
果南「うっ…ううっ…」ポロポロ
鞠莉「果南!…大丈夫だから」ギュッ
果南「ごめ゛…ん…鞠莉…ごめん」ポロポロ
鞠莉「だから大丈夫だって。たった一回の失敗でしょ」
果南「そういうことじゃないの…」ポロポロ
鞠莉「大丈夫だから…」ギュウッ
ダイヤ「鞠莉さ……」
ダイヤ「……」
果南「ごめん…ごめん」ツー
果南(歌えなかったのもある…かもしれないけど…)
果南(鞠莉…こんなに心配してくれて…。私は……わざと……)
果南(顔……見れないや……)
ダイヤ「……」 -----
理事長「そうか……」
ダイヤ「申し訳ありませんでした」
理事長「いやいいさ…。よくやってくれたよ」
理事長「これからも…続けるのか?」
ダイヤ「…わかりません」
理事長「そうか…」
ダイヤ「それでは、失礼します…」
バタン
ダイヤ「……」
果南「ダイヤ…」
ダイヤ「果南さん…居たのですか」
果南「ごめんね」
ダイヤ「ここではなんですし…。教室にでも行きましょう」
ダイヤ「今ここで謝られても気分が悪くなるだけですわ」
果南「……」 ---
果南「もうみんな帰っちゃってるね…」
ダイヤ「えぇ…」
果南「…」
ダイヤ「これから…どうするんですの?」
果南「…私は……」
ダイヤ「……」
果南「私は……スクールアイドル、やめたほうがいいと思う」
ダイヤ「なっ…!!」
ダイヤ「正気ですか……?せっかく軌道に乗り始めたというのに…」
果南「軌道…?何言ってるの。今がやめどきだよ」
果南「もうこれ以上……誰かが傷付くのは見たくない」
ダイヤ「果南………!!…さん!!」ピキ
ダイヤ「いくら私でも…怒りますわよ」
果南「……」
果南「いいよ、かかっておいで」
ダイヤ「…は…?」
果南「嘘だって。ごめん」 ダイヤ「……」
果南「ダイヤ……聞いてないの?鞠莉のこと」
ダイヤ「はい…?」
果南「先生たちも…タチが悪いよね」
---
果南(はぁ…課題遅れちゃうなんて……)
果南『古文の先生……遅れたら面倒くさいんだよね…」
『本当に断るの?!』
果南『…!』ピタッ
果南『鞠莉…?』チラッ 先生『向こうで卒業できれば大学の推薦だって受けれるかもしれないのよ…?』
先生『ご両親も是非って…』
鞠莉『いいんです。私、スクールアイドルを始めたんです』
鞠莉『学校を救うために…』
果南『……』
先生『でも貴女…中学の時……』
果南『えっ……?』
鞠莉『いいんです。私には…ここがありますから。それに…』 先生『何?』
鞠莉(外国に行っても…あの二人のような友達には会えないだろうから……)
鞠莉『やっぱり……なんでもありません』
先生『そう……』
鞠莉『失礼しました』ガラガラ
果南『鞠莉…』
鞠莉『果南……聞いてたの』
果南『留学…ずっと断ってたの?』
鞠莉『うん』
果南『……』
鞠莉『何よ、シケた顔して。私は…ここに来て良かったと思ってるよ』
鞠莉『もちろん今回も言語道断デース♪』
果南『そう…』
果南『鞠莉…一緒に帰らない?』
鞠莉『…?』 --
ブロロロ
鞠莉『この船……いつものじゃないわね』
果南『うん…。これ、ウチのなんだ』
鞠莉『あら…良いの?乗っちゃって』
果南『大丈夫だよ。父さん運転上手だし』
鞠莉『夕陽…綺麗ね」
果南『ふふ…。海の絶景スポットだよ、ここは』
鞠莉『もしかして…これ見せるため?』
果南『へへ…バレちゃったか…』
鞠莉『もう…』
果南『あのさ、鞠莉』
鞠莉『…?』
果南『離れ離れになってもさ…』
果南『私は…鞠莉のこと、忘れないから-- -----
ダイヤ「そんなことが……」
果南「だからさ…今が…」
ダイヤ「……」
果南「考えてみたら…不思議だよね。お金持ちのお嬢様が、私たちと遊ぶなんて」
果南「普通じゃないよ」
果南「今までそれが普通だって思ってたけど…鞠莉には、もっと別の未来があったんじゃないかって」
果南「それを奪ってるのは私たちなのかもしれないって…」
ダイヤ「……」
ダイヤ(否定はできません…)
果南「私は…鞠莉を連れ出して、三人で新しい世界が見れたと思ってた」
果南「でも鞠莉にとっては…本当は縛ってたんじゃないかな」 果南「もう高校生…私はまだしも…鞠莉に遊んでられる時間はあるのかな…」
ダイヤ「…果南さん…」
果南「ねぇ、ダイヤ…」
ダイヤ「はい」
果南「無理を承知で……手伝ってほしい」
ダイヤ「…」
果南「スクールアイドルはやめて…鞠莉を…」
ダイヤ「貴女にできるんですの…?」
果南「……」
ダイヤ「鞠莉さんのこと…大好きなんでしょう」
果南「……」
ダイヤ「貴女が…本当に鞠莉さんと縁を切れるんですの?!」
果南「……」ポロポロ
果南「私だって……切りたくない…切りたくないよお…」ポロポロ
果南「ずっと…三人一緒だって…そう言ったのに…」ポロポロ
果南「いやだ…嫌だよ……鞠莉…」ボロボロ 果南「うっ…うっ…」
ダイヤ「全く…貴女がそんなんじゃ私も踏み切れないではありませんか…」ツー
---
『三人一緒に居られますように……!!』
『よろしくね、鞠莉』
『ハグ…しよ?』
『私…高校は浦の星にする…』
『果南とダイヤと出会えたこの土地が…大好きだから--』
----
果南「……」ズズッ
果南「…ごめん、ダイヤ。ごめん」 ダイヤ「謝ってばっかりですの」
果南「それくらいのことを…しようとしてるから」
ダイヤ「私の問題でもありますから…ついて行きます…」
果南「うん……」
ですが--。
果南さん、いつか貴女を裏切ることになるかもしれません。
いつか…いつか…その日が…。 -----
-部室-
鞠莉「え…?」
キュッ
果南「私…スクールアイドル…辞めようと思う」
鞠莉「なんで…?」
鞠莉「まだ引きずってるの…?東京で歌えなかったくらいで……」
果南「鞠莉、留学の話が来てるんでしょ。…行くべきだよ」
鞠莉「どうして…?冗談はやめて?」
鞠莉「前にも言ったでしょ…?その話は断ったって…」
鞠莉「ダイヤも…何か言って」
ダイヤ「……」
ダイヤ(鞠莉さん…ごめんなさい…)
果南「ダイヤも同じ意見…もう続けても意味がない…」
鞠莉「そんな…」 ダッ
鞠莉「果南…!ダイヤ…!」
バッ
果南「……」
果南(やめて…やめてよ、鞠莉…)
--ごめん。
ダイヤ(……)プルプル
果南「……終わりにしよう」
鞠莉「……!」
鞠莉「待って……」
ダイヤ「……」
鞠莉「そんな……」 ----
鞠莉「どうして…っ!」
鞠莉「果南……」
----
鞠莉『一度失敗したくらいで気にしないの。大丈夫だから』
果南『……』
----
鞠莉「……」グッ
鞠莉(まだ…まだなのに…。まだ始まったばかりなのに…!)
鞠莉(まだ…!!一緒に……!!)ダッ
-----
果南「……これで良かったんだよね」
ダイヤ「…答えられません…」
「果南…!!ダイヤ…!!」
果南「…鞠莉!」
鞠莉「待って!!」
果南(やっぱり…こうなるよね…)
鞠莉「なんで…?なんで…急に……。東京での失敗なら……大丈夫よ!それくらいでやめる果南じゃないでしょ?!」 果南「だから…もう嫌なんだって!!」
ダイヤ「……」
鞠莉「ラブライブはどうするのよ?!」
果南「棄権するに決まってるでしょ?!鞠莉は…早く留学に行くべきなんだって!」
鞠莉「どうして…どうして…そんなこと言うの…?」
果南「どうもこうも…何もない!やめるって言ったらやめるの!!」
果南「もう鞠莉の顔も見たくない…!!早く…早く留学に行って!!」ツー
ダイヤ「果南さん!!!」
ダイヤ「あ……」
鞠莉「何よ……。何なのよ、急に…」
鞠莉「なんでそんなに……悲しそうなの…」
果南「…」 鞠莉「………」クルッ
ダイヤ「何処へ…」
鞠莉「……アメリカよ」
ダイヤ「…!」
鞠莉「アメリカに…アメリカに行けば良いんでしょう…!!!」ポロポロ
鞠莉「ちょうどパパが帰国するの…。ちょうど良かったわ…!!」ポロポロ
鞠莉「私は……二人のこと…絶対忘れないから…」ポロポロ
果南「………」
ごめん、ごめん、ごめん。 ----
鞠莉「ただいま」
鞠莉パパ「お帰り」
鞠莉「さっき連絡した通りよ」
鞠莉パパ「そうか……」
鞠莉パパ「本当に…良いのか?」
鞠莉「パパが勧めたんでしょ?」
鞠莉パパ「それは…そうだが…」
鞠莉「いいの」
鞠莉「それが…全員が望んでる未来だから」
鞠莉パパ「鞠莉……」
鞠莉パパ「浦の星は…良いのか? あれだけこだわっていたじゃないか…」
鞠莉「良いの!!!」バンッ
鞠莉パパ「鞠莉……」
鞠莉パパ「来週には出発するから…手続きと支度をしておけよ…」
鞠莉「うん」
鞠莉パパ「ドタキャンしても…いいからな」 鞠莉「大丈夫よ、しないから」
バタン
鞠莉ママ「…私はここに残るわ」
鞠莉パパ「お前…」
鞠莉ママ「いつ鞠莉が帰ってきてもいいようにね」
鞠莉ママ「それに…浦の星への援助もしないと」
鞠莉ママ「どうせあの娘のことよ…。すぐ帰りたいって喚くんだから」
鞠莉パパ「あぁ……。ありがとう」
-----
理事長「なにっ?!…本当か?」
鞠莉「はい…。来週には…」
理事長「でも…スクールアイドルは…」
鞠莉「やめます…」
理事長「そうか…」
理事長(東京のイベント…?いや、それでへこたれる娘たちじゃないはずだ…) 鞠莉「理事長…申し訳ありません」
鞠莉「あれだけ…手助けしてくださったのに…」
鞠莉「本当に……なんと申し上げれば良いか…」
理事長「いいよ」
理事長「キミたちの決めた道の手助けをする。それが理事長だろう?」
理事長「どうせもう定年さ」
鞠莉「………では」
理事長「ああ」
理事長「小原さん」
鞠莉「…?」ピタッ
理事長「しっかり頑張りなさいや」
鞠莉「…!」ウルッ
鞠莉「はい……」
-----
-そして-
果南「……」
スミマセーン
果南「…?」
果南(早朝に…) ----
ダイヤ「貴女…何やっているんですの?」
果南「何、寝てたんだけど」
ダイヤ「今日は何の日かわかっていますか」
果南「…知らないよ」
ダイヤ「鞠莉さんが…アメリカに行かれる日ですよ」
果南「そう…」
ダイヤ「せめてお見送りに行きましょう」
果南「嫌だよ、私、鞠莉の顔見たくないんだ。ダイヤだけで行って」
ダイヤ「……」
ダイヤ「一緒に行きましょう」
ダイヤ「後で絶対に後悔しますわよ」
果南「早く行って!!」
ダイヤ「……」
果南「それ以上言ったらいくらダイヤでも…」 ダイヤ(…こんな果南さん…見たことありませんわ…)
ダイヤ「何も鞠莉さんと仲違いしたわけではありません」
ダイヤ「正直私だって気が進みません…!!耐えられません…!!ですが…!それが鞠莉さんのためなら…忍んでいるしか…!!」
ダイヤ「最後に…伝えることがあるでしょう!!」
果南「…!」
バチン
--!
果南「…あっ……」
ダイヤ「……」ヒリヒリ
ダイヤ「……」ジッ
果南「……ぁ…」 -何も言わなかった。 ダイヤは、口を開くこともなかった。
不意に…手を出してしまった私に。怒鳴る訳でもなく。説教をする訳でもなく。
ただその目は、見たこともないくらいに、怒っていた。
もちろん、手を出したことへの怒りじゃないことは、わかってる--。
ダイヤ「……」
ダイヤ「わかりました」
ダイヤ「行く気が無いのならそれで構いません」
ダイヤ「鞠莉さんの件とはまた別の話です」
ダイヤ「鞠莉さんが居なくなれば……貴女と二人きりになります故、あまり喧嘩はしたくなかったんですがね…」 ダイヤ「……」ダッ
バシンッ
果南「…!」ヒリヒリ
ダイヤ「…これでおあいこです」
ダイヤ「では、私は鞠莉さんのところへ行ってきますので」
ダイヤ「何時間でも寝ておきなさい」
ダッ
果南「…ダイヤっ…」
-----
鞠莉ママ「…鞠莉。いつでも帰ってきなさい」
鞠莉「ママ…ありがとう。ごめんね、私のワガママで」
鞠莉ママ「ううん。これは私のワガママよ」
鞠莉「……」
使用人「小原様、準備ができました」
鞠莉ママ「行ってらっしゃい…」
鞠莉「…行ってきます」 鞠莉パパ「おーい、鞠莉。…友達が来ているぞ」
鞠莉「え…?!」
--果南!
ダイヤ「--ではなくて申し訳ありませんね。私ですわ」
鞠莉「ダイヤ…!!」ウルッ
鞠莉「うっ…ううっ…うっ…!」ポロポロ
ダイヤ「鞠莉さん……」
鞠莉パパ「……」
鞠莉パパ「出発を少し遅らせよう」
使用人「…かしこまりました」
鞠莉パパ「それと…私たちは席を外すよ」
-----
鞠莉「来てくれたのね…」
ダイヤ「当たり前ですわ。親友ですから」
ダイヤ「貴女がどこに居ても…変わりませんわ」
鞠莉「ありがと…」 鞠莉「ねぇ、ダイヤ。なんで果南はあんなになってるの…」
鞠莉「私…何かした…?」
ダイヤ「………」
ダイヤ「詳しくは…知りません」
ダイヤ「ですが…これだけは肝に銘じておいてください」
ダイヤ「果南さんは…一度も貴女のことを嫌いになったことはありません」
ダイヤ「いつも貴女のことばかり考えている人ですから」
ダイヤ「かくいう私も負けないくらいのバカですがね」ニコッ
鞠莉「ダイヤ……」
鞠莉「三人……ずっと一緒でいたかった……」
ダイヤ(鞠莉さん…)
ダイヤ「また会えますわ…」
ダイヤ「この空は繋がっていますから。きっと…」
鞠莉「えぇ…」
ダイヤ(果南さん…やはり私は……)
鞠莉「ダイヤ…お願いがあるの」
ダイヤ「…?」 鞠莉「もし…もしね、私がまた帰ってこれたら、その時は変わらず接してほしい」
鞠莉「お願いというか…ワガママね」
ダイヤ「…お安い御用ですわ」
ダイヤ「貴女が帰ってきたら、お小言でも言ってやりますわ」
ダイヤ「一体なんで戻ってきたのか…なんてね」
鞠莉「ふふっ…。ダイヤはそれくらいがちょうどいいよ」
ダイヤ「…そうですか」
鞠莉「あれ?怒らないの?」
ダイヤ「そんな気力残っていません」
鞠莉「そう…」
鞠莉「ダイヤ…大丈夫?なんかほっぺた、腫れてきてるよ?」
ダイヤ「えっ…?」
ダイヤ(果南さん…全力で叩きましたわね…?)
鞠莉「じゃあ、もう行くわね」
ダイヤ「えっ…」
鞠莉「ダイヤ、来てくれて本当にありがとう」
鞠莉「最後に話せて嬉しかった」
ダイヤ「えぇ、こちらこそ」
ダイヤ「鞠莉さん…お身体に気をつけて」
鞠莉「うん…!」 -----
鞠莉パパ「終わったか…?」
鞠莉「うん…。良かった…」
鞠莉「クラスのみんなには行ってないし、ダイヤが来てくれるなんてね…」
鞠莉パパ「そうか…。良かったな」
鞠莉パパ「ほら、乗れ」
鞠莉「うん……」
ブロロロ
---
果南「……」
果南(痛い…)
果南(ダイヤ…こんなに力あったんだ…)
ダイヤ「果南さん!!!」ガラガラ 果南「うわっ…!なに?」
ダイヤ「今すぐ外に出なさい!!ライトを持って!!」
果南「は…?でも…ダイヤ「早くしなさい!!!」
ダイヤ「これでもまだ部屋にこもっているというのなら私は貴女とは絶交です!!」
果南「……」
果南「わかったって…」
ダイヤ「ほら早く!!」
果南「わかったわかった…」
-----
ブロロロ
ダイヤ「……間に合いましたわ」
果南「ここでどうしろって…」
ダイヤ「そのライトを使いなさい」
果南「……」ピカ
ダイヤ「…」
果南「……」バッ
果南(鞠莉…鞠莉がいる!!鞠莉…!!) -----
ブロロロ
鞠莉「…?」
操縦士「なにやら下で光ってますね」
操縦士「見えます?」
鞠莉「……果南!!」
鞠莉「ぐっ…うっ…」ツー
鞠莉「果南……」
チカチカ
鞠莉「…?」
----
果南「…」カチカチ
ダイヤ「…?なにをやってるんですの?」
果南「海上ではね…こうやって信号を送るんだ。…鞠莉に一個だけ教えたことがあるの」
---
果南『もーるす信号って言って…光で言葉を伝えるんだ』
果南『さっきの意味はね-- ---
『ま・り・だ・い・す・き』
鞠莉「果南…!!」
鞠莉「うっ…ううっ…うううっ…」ボロボロ
鞠莉「かなぁん……」ポロポロ
ピカピカ
『ご・め・ん』
鞠莉「え…?」
『あ・り・が・と・う』
鞠莉「……」
『や・く・そ・く』
鞠莉「どういうこと…?」
『ば・い・ば・い』 ----
ダイヤ「なにを……伝えてるんですの?」
果南「伝わらないよ……。こんなのわからないから」
果南「私が…叫んでるだけ…」
果南「……」
ブロロロ
果南(行っちゃう…)
---
鞠莉「あっ…果南…」
鞠莉(もう見えなく……)
---
果南・鞠莉「行かないで!!!!!」
----
果南「まって…!まって…!まって鞠莉!!行かないで!!お願い!!!お願い!!」ポロポロ
ダイヤ「果南さん…」
果南「鞠莉…ごめん。ごめん、ごめん!!お願いだから…行かないで……もっと…もっ…」 ----
鞠莉「………」
鞠莉「もうみえなくなったわ…」
操縦士「そうですか…」
鞠莉「……最後ね…ばいばいって行ってくれてた気がするの」
鞠莉「きっと…ね……」
操縦士「良い…友人ですね…」
鞠莉「…最高の友人よ…」
----
果南「鞠莉…鞠莉…!!!」ボロボロ
ダイヤ「果南さん…」ツー
果南「どこに行ったの…?さっきまでは……さっきまで見えてたじゃん!!さっきまで!!すぐ上にいたのに!!」
果南「目が悪くなっちゃったのかなぁ……」
ダイヤ「……」
果南「…なんかね…私、今…前が見えないんだ。さっき海に入ってきたからかな…。ゴーグルしてたんだけど…おかしいなぁ」
果南「おかしいなぁ…おかしいなぁ…」ポロポロ ダイヤ「果南さん…」ダキッ
果南「…ごめんね、ダイヤ…。こんなに腫れちゃって…」
ダイヤ「それはおあいこだと言ったでしょう…」
果南「……」グッ
ダイヤ「果南さん…私…2年になったら生徒会長に立候補しますわ…」
果南「…」
ダイヤ「スクールアイドルは……ダメでしたが、まだ他にこの学校を救う方法はあるはずです」
ダイヤ「それに…鞠莉さんがいつ帰ってきても良いようにしておかなければいけませんしね」ニコッ
果南「うん……」
果南「だよね……」 ------
ルビィ「ふんふんふ〜ん…」
ダイヤ「……」ガラガラ
ルビィ「あっ、お姉ちゃん…新しいスクール……」
ダイヤ「…それ、しまって…」
ダイヤ「見たくない…」
ルビィ「えっ……」
ルビィ「お姉ちゃん…?」
ダイヤ「………」
ダイヤ(…耐えられませんわ)
ダイヤ「………」
ダイヤ「その本に載っているスクールアイドルなら…私はメンテルフォーというグループに注目していますわね…」
ルビィ「お姉ちゃん……」 -----
果南「うぐっ…うっ…」ポロポロ
果南パパ「果南…」
果南「……」
果南パパ「サザエ、採ってきたから食べよう」
果南パパ「今日はお前のために採れたての魚もたくさんあるぞ」
果南パパ「ほら、好きだろ。食って元気だせ」
果南「いらない…」
果南パパ「果南」
果南「いらない」
果南パパ「いいから」
果南「いらない…」グゥ
果南パパ「ほら」
果南「……」
果南「なんで…なんでお腹が鳴るの…」
果南「こんなに悲しいのに…!こんなに…!!呑気だよ…!私のお腹はっ!!」 果南パパ「果南……」
果南パパ「ほら、食べろ。好きなもん食って、風呂入って寝たら少しは楽になる」
果南パパ「風呂も沸かしてやるから。久しぶりに一緒に入るか?」
果南「やだよ…」
果南パパ「冗談だ」
果南「ねぇ…父さん」
果南パパ「ん?」
果南「これ食べたら……海に連れてってよ」
果南パパ「……」
果南パパ「わかった。淡島でも一周するか」
果南「…うん…」 ----
高校1年の夏……。私たちの約束は途絶えた。
ずっと一緒にいられますように。
お祈りなんて…砂上の楼閣。
効果がありそうで本当はただの言葉でしかならない。
学校では……スクールアイドルをやめた私たちに皆んな気を遣ってくれた。
みんなが気を遣って、スクールアイドルをやりたいって言ってくれたけど……ダイヤはそれを断った。
ダイヤは……泣きながら……訴えかけるみたいに…そうやって断った。 あんなに楽しそうにしていた私たちが…こんなになるなんて誰も思っていなかった。
私たちも思っていなかった。
私たちが過ごしてきた足跡は……数十年目にして…消えた…-
いつかまた会えると信じて、いつかまた一緒になれると、心の隅では信じていて、
多分三人とも…縁を切りきれてはいない。
そして一人だけ……夢を諦めていなかったのは---。 ----
数年後-アメリカ-
〜♪♪
ブロロロ
鞠莉「……」
鞠莉(もう運転にも慣れてきたころね…)
鞠莉「日本でいうと……私は高校3年生ってところかしら…」
鞠莉「懐かしいわね……」
ココでの生活も…悪くない。だいぶ慣れてきたし。数年前は泣き喚いていたけれど…。
鞠莉「……」
少し成長して……今では18…かしら。
ピロリン
鞠莉「…?」
鞠莉「パパ…?」
『すぐに戻れるか』
鞠莉「どうしたのかしら…」 -----
ウィーン
鞠莉「パパ〜」
鞠莉パパ「おっ…来たか…」
鞠莉「何?パパ…急に…」
鞠莉パパ「ママから連絡があってな…」
鞠莉「なんて?」
鞠莉パパ「浦の星女学院…覚えているか」
鞠莉「…当たり前よ」
鞠莉パパ「その浦の星女学院でスクールアイドルを始めるだのなんだの」
鞠莉パパ「本当に始まったのかはわからないが…廃校を救うためにグループが作られようてしているらしい」
鞠莉「……!」
鞠莉(もしかして…果南…ダイヤ……!)
鞠莉パパ「ママが行ってるぞ、いつまで遊んでるんだ、早く帰ってこい、ってな」
鞠莉「パパ…!!」 鞠莉パパ「浦の星女学院の理事長が先日定年退職された」
鞠莉パパ「そこで新しい理事長枠にお前を派遣しようと思うんだが」
鞠莉「私を…?!」
鞠莉パパ「あぁ。小原家の浦の星への援助は莫大な数に及ぶ。権限は持っているさ」
鞠莉パパ「それに…廃校を救いたいんだろう」
鞠莉「もちろん…!」
鞠莉パパ「だが、覚悟はしておけ。廃校を救うことは…正直無理だ」
鞠莉パパ「理事長として…色々な重荷があるぞ」
鞠莉「…構わないわ。私は…ずっとこの時を待っていたの。今すぐにでも学校を辞めて日本に戻る」
--まってて、果南、ダイヤ。 鞠莉「必ず…廃校を救ってみせる」
鞠莉パパ「こちらの会議次第ではどうなるかわからないからな。もしお前が本気なら追って連絡もする」
鞠莉パパ「できるだけ力になろう。お前が全力を尽くせるように」
鞠莉「パパ、ありがとう」
鞠莉パパ「…良かった」
鞠莉「…?」
鞠莉パパ「やっと笑ったな」
鞠莉「何言ってるの…?」
鞠莉パパ「ふふっ…。そんなに幸せそうに笑うお前見るのは何年振りだ」
鞠莉「何よ……それ」
鞠莉パパ「よぉし、私もがんばるぞ」
鞠莉パパ「可愛い一人娘の笑顔の価値なんて、底知れないからな」フフッ
鞠莉「パパ……」
鞠莉パパ「向こうに着いたらママが迎えに来てくれるはずだ」
鞠莉「えぇ…。あと…果南とダイヤはどこにいるかわかる?」 鞠莉パパ「二人とも変わってないぞ。ただ…」
鞠莉「ただ…?」
鞠莉パパ「果南ちゃんの方は2年の最後の方から休学しているらしいが…」
鞠莉「そう……」
鞠莉パパ「鞠莉、存分に暴れてこい」
鞠莉パパ「お前のその想いを、最上級生として、理事長として」
鞠莉「うん…」
鞠莉パパ「飛行機は手配しておこう。転校の手続きもな…」
鞠莉パパ「健康には気を配って、ママがいるから大丈夫だとは思うが、気をつけて行ってくるんだぞ」
鞠莉パパ「ま、たまに気が向いたら戻ってこい」
鞠莉「うん…!わかった!!」
二人とも--待ってて。
数年前のあの日以来、私の目に光が宿ることなかった。
でも今、また…またチャンスが来たんだ。 まず果南のところへ行って…。
それよりも新しいスクールアイドルグループ…?
あとダイヤのところにも…。
浦の星は変わってないのかしら。
鞠莉(今から楽しみだわ…)ゾクッ
鞠莉「待ってなさい、浦の星」
私が行くからには--守ってあげるから--。
-----
果南「よっと…」ガコン
果南パパ「すまんな…果南」
果南「いいよ、別に。それより早く治してよ」
果南パパ「いや…学校…行きたかっただろ?」
果南「……」
果南「まあ…ね」
果南「…!」 ダイヤ「お忙しい中すみません」
果南「ダイヤ……」
ダイヤ「お久しぶりです。貴女…急に学校を休んだと思ったら…」
果南「ごめんごめん。もうちょっと休学続くからさ」
ダイヤ「始業式にも出られないで…全く。生徒会長として見過ごせませんわね」
果南「どう?新入生は」
ダイヤ「………」
果南「どうしたの?」
ダイヤ「いえ……」
ダイヤ「今年は私の妹も入学してきましてね……。少々心配ですの」
果南「……」
果南「本当は?」
ダイヤ「…」
ダイヤ「スクールアイドル部の申請がありました」
果南「えっ……!」
果南「どうしたの…?」
ダイヤ「もちろん…断りましたわ」
果南「そう……」 ダイヤ「私の私情です…。気持ちの整理もつきませんし…」
ダイヤ「生徒の要望を私情で処理する…生徒会長として失格です…」
果南「要望は…1年生?」
ダイヤ「いえ…2年生の……高海さんと…渡辺さんという方ですわ。まぁどのみち規定の5人に満たないので…」
果南「そうなんだ」フフッ
ダイヤ「…?」
果南「その二人なら、多分無理だよ。何が何でもスクールアイドル部を作る」
ダイヤ「……」
果南「どうしたの?」
ダイヤ「それともう一つ……」
果南「……」
果南「……!!」 -----
ブロロロ
千歌「はぁ…失敗したなぁ…」
千歌「でもどうしてスクールアイドル部はダメ、なんて言うんだろ〜…」
曜「…」
曜「…キライ、みたい…」
曜「クラスの子が…前に作りたいって言いに行った時も…断られたって…」
千歌「えっ…!曜ちゃん知ってたの?!」
曜「ごめん…!」
千歌「先に言ってよ〜」
曜「だって…千歌ちゃん夢中だったし…言い出しにくくて…」
曜「とにかく…生徒会長の家…網元で結構古風な家らしくて」
曜「ああいうチャラチャラしてものは…嫌ってるんじゃないかって噂もあるし……」
千歌「チャラチャラじゃないのにな……」 ----
果南(千歌……)
果南「…遅かったね。今日は入学式だけでしょ」
曜「うん。それが色々と」
千歌「はい…!回覧板とお母さんから!」
果南「…どーせまたみかんでしょー」
千歌「文句ならお母さんに言ってよ」
果南「ふふっ…」
---
果南「よっと…」
曜「それで…果南ちゃんは新学期から学校これそう…?」
果南「うーん…まだ家の手伝いもちょっとあってね。父さんの骨折も、もうちょっとかかりそうだし」
千歌「そっかぁ…果南ちゃんも誘いたかったなぁ…」
果南「誘う?」
千歌「私ね…!スクールアイドルやるんだ!」
果南「…!!」 ---
ダイヤ『高海さんと……』
---
果南「ふーん…まぁ、でも私は千歌たちと違って3年生だしね…」
果南(それに…ごめんね。もう…終わったんだ。私の…ソレは)
果南(諦めもついてる…はずだから)
千歌「知ってる?凄いんだよ〜!」
果南「はい!お返し!」ズイッ
千歌「また干物〜」
果南「文句から母さんに言ってよ」
果南「ま、そう言うわけで、もうちょっと休学続くから、学校でなんかあったら教えて」
千歌「う、…うん」
ブロロロロロ
千歌「ん…?」
曜「なんだろ…?」
果南「……」
果南「…小原家でしょ…」 ----
ダイヤ『それともう一つ…』
ダイヤ『鞠莉さんが…日本に帰ってくるそうです…』
果南『えっ…?!』
ダイヤ『恐らく廃校の話が本格的になって『ホント?!?』
ダイヤ『……?』
果南『ホント?!鞠莉!鞠莉が帰ってくるの!!』ピョンピョン
果南『あ…ゲフンゲフン』
ダイヤ『ふふっ…。やっぱり大好きなんじゃないですか』
果南『ち、違うよ。鞠莉が帰ってきたからって何も変わらない。スクールアイドルもやらない』
ダイヤ『頑固なんですから……』
果南『ダイヤもでしょ』
果南『鞠莉……』
----
果南「……」
千歌「果南…ちゃん?」 果南「…」
果南「あっ…ごめんね。じゃあ、気をつけて」
千歌「うん…」
果南「千歌」
千歌「へ?」
果南「スクールアイドル…頑張ってね」
千歌「うん…」
-----
ドゥルルルルル
曜「果南ちゃん、大変そうだったね」
千歌「うん…」
千歌「何かあったのかな…」
曜「え?」
千歌「さっきの果南ちゃん、なんか寂しそうな感じだったから…」
曜「そうなんだ…。千歌ちゃん、よくわかるね」
千歌「そんな感じがしただけだよ。果南ちゃんとは付き合い長いし…」
曜「………」 -----
ブーブーブー
『小原鞠莉』
ブーブーブー
果南「……」
ピッ
果南「…なに」
鞠莉『かな〜ん♪久しぶり☆』
果南「なに…?そのテンション。アメリカンなんとかってやつ?」
鞠莉『違うよ。果南にまた会えるって思ったらワクワクしてきちゃって』
果南「どうして帰ってきたの…!」
鞠莉『それは…浦の星にスクールアイドル部ができたって聞いたからよ』
果南「今の生徒会長は…ダイヤなんだよ。そう簡単に行くと思う?」
鞠莉『だから来たんじゃない。私が手助けしてあげるのよ』
果南『鞠莉がきたって…なにができるの?』
鞠莉『できるよ。だって私、浦の星の理事長だもの♪』
果南『…!』
----
ダイヤ「まったく…」
ダイヤ(まさか…二年生相手に私がムキになってしまうとは…) ダイヤ「事もあろうにμ'sのことをユーズなど…!!許されませんわぁ!」
ダイヤ「その上あんな簡単なことにも答えられないとは…!」
生徒A「あ!生徒会長だ!」
生徒B「生徒会長!!」
ダイヤ「あら、こんにちは」
生徒B「生徒会長、μ'sのファンだったんですね!」
生徒A「生徒会長…μ'sの中で誰が好きなんですか?!」
ダイヤ「私はもちろんエリーチカ!!あのスクールアイドル界随一のダンスパフォーマンス力はA-RISEにも劣りませんわぁ!!さらに--(省略)
生徒B「す、凄い……」
ダイヤ「あ………」
生徒A「なんか…生徒会長って思ってたより面白いね」
生徒B「ね」
ダイヤ「………」
ダイヤ(なんたる失態…!!)
生徒A「もしかして素直じゃないだけかも……」ヒソヒソ
生徒B「だよね」ヒソヒソ
ダイヤ「聞こえていますわよ」ギロッ
生徒A「す、すみませ〜ん…」 ----
果南「へぇ〜、そんなことあったんだ。いいじゃん、ダイヤらしくて」
ダイヤ『よくありません!恥ですわよ、恥!』
果南「でも…それが恥だっていうならμ'sに失礼じゃない?」
ダイヤ『そ、それも…そうですわね』
果南「じゃあ、私、ダイビングの予約入ってるから、切るね」
ダイヤ『そうなんですか?』
果南「うん…!今日は張り切るよ」
ダイヤ『お忙しいところ失礼しました』
果南「大丈夫だよ、じゃ」
ピッ
果南「なんか…楽しそうだね」
果南(学校……行ってみようかな…)
----
果南「音ノ木坂から来た…転校生?!」
千歌「そうなんだよ!あのμ'sの!」
梨子「そんなに…有名なの…?」
果南「へぇ…知らないんだ」
果南(まぁ…私もダイヤの受け売りだけど)
千歌「あ、梨子ちゃん!この人は松浦果南ちゃん!私の幼馴染!」
梨子「よろしくお願いします」ペコ
果南「こちらこそ、よろしく」 果南「海中では…外の音は聞こえないからね。創造力を働かせて…耳をすます」
果南「まぁ…感覚の話だから……やってみたらどう?」
果南「聞けるかもよ…海の音」
----
ザバァン
千歌「聞こえた?!」
梨子「うん…!」
千歌「…私も聞こえた気がする!」
曜「本当……?!私も!」
アハハハハ
果南「………」
----
鞠莉『だから…この箇所はステップを…!』
果南『違うよ。ステップじゃなくてターン。鞠莉は動きは柔らかいのにもったいないよ』
ダイヤ『動きに無駄が多いですね』
鞠莉『ダイヤは意外とカタイクセに』
ダイヤ『柔軟はやっています!』
果南『ホント?!じゃあ今やってみようよ!』
ダイヤ『えっ…ちょっ…イタイタイタイ!』
鞠莉『ふふっ…』
アハハハハ ----
果南「3人みてると……ね」
千歌「何か言った?」
果南「ううん。なにもないよ」
千歌「……?」
果南(鞠莉…今何してるんだろ…)
果南(なんとかするって言っても…)
----
果南「…うん、うん。わかった」
ピッ
--
ダイヤ『今日新理事長が来られるそうです』
ダイヤ『貴女のよく知った人ですよ。すぐ貴女のもとにも来るでしょう』
果南『ダイヤは…どうするの?』
ダイヤ『私は…,』
ダイヤ『鞠莉さんに言われた通りにお迎えするだけですわ…』
果南『そっか…』
----
-理事長室-
千歌「し…新理事長?!」
鞠莉「イェース!でも…あまり気にせず、気軽にマリーって呼んで欲しいの!」
曜「でも…」
鞠莉「紅茶、飲みたい?」
千歌「あの…新理事長…」
鞠莉「マリーだよ!」ズイッ 鞠莉(この子たちが…ねぇ)
鞠莉(…ふぅん)
千歌「その…制服は…?」
鞠莉「どこか変化な?ちゃんと三年生のものを用意したはずなんだけど…」
千歌「理事長ですよね…」
鞠莉「しかーし!この学校の生徒兼理事長、カレー牛丼みたいなものね!」
梨子「例えがよくわからない…」
鞠莉「わからないのっ?」
ダイヤ「わからないに決まってます…!!」
鞠莉(ダイヤ……!!)
鞠莉(ダイヤ…変わってない…。この雰囲気…)
鞠莉「……」ウルッ
鞠莉「oh〜!!ダイヤ!久しぶり〜♪」
鞠莉「随分大きくなって♪」
ダイヤ「触らないでくれます?」
鞠莉「胸は相変わらずねぇ…」ムニムニ
鞠莉(ん…?高1の時よりマシかな…?)
ダイヤ「やかましい!!」
ダイヤ「…ですわ」
鞠莉「It’s joke♪」 ダイヤ「まったく…一年の時に居なくなったと思ったら…こんな時に戻って来るなんて一体どういうつもりですの…?」
鞠莉「…!」
---
鞠莉『もし…もしね、私がまた帰ってこれたら、その時は変わらず接してほしい』
鞠莉『お願いというか…ワガママね』
ダイヤ『…お安い御用ですわ』
ダイヤ『貴女が帰ってきたら、お小言でも言ってやりますわ』
ダイヤ『一体なんで戻ってきたのか…なんてね』
鞠莉『ふふっ…。ダイヤはそれくらいがちょうどいいよ』
---
鞠莉(ダイヤ…!)ウルウル
鞠莉「シャイニー!!!」バッ
ダイヤ「人の話を聞かない癖は相変わらずのようですわね」
鞠莉「It’s joke♪」
ダイヤ「とにかく…高校三年生が理事長だなんて、冗談にも程がありますわ」
鞠莉「そっちはjokeじゃないからね」バッ
鞠莉「私のhome、小原家のこの学校への寄付は相当な額なの」
鞠莉(パパ…)
ダイヤ「…そんなっ!なんでっ…」 ダイヤ(ではあの話は…本当だったんですね…!)
鞠莉「実は……この浦の星にスクールアイドルが誕生したという噂を聞いてね」
ダイヤ「まさか…」
鞠莉「そう♪ダイヤに邪魔されちゃう可哀想なので、応援しに来たのです!」
千歌「ほんとですか…?!」
鞠莉「イェ〜ス!このマリーが来たからには心配アリマセン。デビューライブはアキバドゥームを用意したわ♪」
梨子「そ、そんな…イキナリ…」
千歌「き、奇跡だよ!!」
鞠莉「It’s joke♪」
千歌「ジョークのためたわざわざそんなもの用意しないでください」
鞠莉「実際には……」
----
コンコンッ
鞠莉「…?」
『生徒会長の黒澤ダイヤです』
鞠莉「入って」
ガチャ
ダイヤ「失礼します」
鞠莉「別にそんなにかしこまらなくていいのに」 ダイヤ「一応理事長ですから」
鞠莉「ふ〜ん…相変わらず石頭ね」
ダイヤ「…おかえりなさい」
鞠莉「…もぅ、せっかく忘れようとしてたのに」
鞠莉「ダイヤ……ありがとね」
ダイヤ?」
鞠莉「さっき…。私の願い…覚えてくれたんだ」
ダイヤ「別に、ただの本心ですわ。こんな時に戻って来て、何をするつもりなのか、と」
鞠莉「ふふっ…」
ダイヤ「理事長の意向なら…従うしかありませんわね」
鞠莉「まぁ…満員にできたらだけど」
ダイヤ「どういうことですの…?」
鞠莉「この学校の体育館を満員にできなければ解散、もしできれば、部として承認するということになったのよ」
ダイヤ「…!正気ですか?!鞠莉さんも…この学校の生徒数は把握しておられるでしょう!」
ダイヤ「満員にできるはずがありませんわ!」 鞠莉「それならダイヤの望んだ通り解散…じゃない?なんでそんなにムキになるの?」
鞠莉「やっぱり諦めきれてないんじゃないの」
ダイヤ「……」
鞠莉「見たでしょ、3人」
鞠莉「私もまだまだ子供だからね。あんな子たち見てると……もしかしたら私たちのできなかったことを成し遂げてくれるんじゃないかって思っちゃった」
鞠莉「私たちの1stライブも…この体育館だったよね」
ダイヤ「えぇ…。生徒総動員で広報をしてくださって…」
鞠莉「理事長には…感謝しか…」
ダイヤ「あの人…今は東京におられますの。いつかお礼に出向こうと思っていますわ」
鞠莉「そうね…」
鞠莉「体育館は満員にできなかったけど……とっても楽しかった。三人で考えて、練習して、頑張ったから…」
鞠莉「それでも…あの3人なら満員にしてくれるんじゃないかな」
鞠莉「きっと……」
鞠莉「私たちがこの学校に残した想いを受け取ってくれたらいいなってね」
ダイヤ「……」ダッ
鞠莉「何処へ行くの?」 ダイヤ「先輩として…あの3人に伝えにいくのですわ」
ダイヤ「私たちの残した想いとやらを」フフッ
鞠莉「そう…。ありがと」
ダイヤ「……」コクン
ダイヤ「失礼しました」
バタン
鞠莉「…ダイヤったら…」
鞠莉「……」パサッ
鞠莉「スクールアイドル部申請書、ねぇ…」
プルルル プルルル
鞠莉「もしもし……」
鞠莉「はい…はい、申し訳ございません…。もう少し、もう少し待っていただけないでしょうか?」
鞠莉「はい…。もう少しで入学希望者は…」
鞠莉「はい…。すみません。ありがとうございます…。はい…」
鞠莉「今、対策を取っているところですので……」
鞠莉「お願いします!!もう少し!もう少し時間をください…!」
鞠莉「はい…はい、失礼します…」
カチャ
鞠莉「はぁ……」 ---
果南『理事長、私たちはこの学校を救いたいんです…!許可してください!」
ダイヤ『理事長も…この学校を救いたいんでしょう…?』
---
鞠莉「高海千歌、渡辺曜、桜内梨子…」
鞠莉「偶然か、必然か…こんなこともあるのね…」
鞠莉「さて……」
鞠莉(頼んだわよ、ダイヤ…)
-----
ダイヤ「……!」
ナニガイイカナァ
ゼンゼンオモイツカナイヨー
ダイヤ(…本当にここにいるとは…)
ダイヤ(東郷海水浴場……私たちと同じ場所…)
ダイヤ「神様のいたずらですか…」
梨子「…じゃあ、スリーマーメイド…とか?」
千歌・曜「いっち、にー、さん、し!」
梨子「待って、今のなし〜!!」 ダイヤ「……」ブルッ
ダイヤ(嫌な意味で懐かしいですわ…)
曜「制服少女隊!」
千歌「え〜…」
千歌「やっぱりスリーマーメイド?」
梨子「……」ギロッ
--1時間後--
ダイヤ「まだ…まだ決まりませんの…」イライラ
ダイヤ「我慢になりません…」
ダイヤ(バレないように……)スッ
カリカリ
『Aqours』
ダイヤ「……ふふっ」
---
ダイヤ『アクアです!ア・ク・ア!』
果南『ふふっ…』
鞠莉『せーの…!』
『私たち、浦の星女学院スクールアイドル、Aqoursでーす!!!』 ---
ダイヤ(鞠莉さん…こういうことでしょう…)
千歌「なにこれ…」
梨子「あきゅあ…?」
曜「もしかして…アクア?」
ダイヤ「ふふっ…」
----
-黒澤家-
ルビィ「あ、お姉ちゃん」
ダイヤ「おや、帰っていたんですの」
ルビィ「うん…。あの…」
ダイヤ「…?」
ルビィ「スクールアイドル…千歌さんたちの…お姉ちゃん、オーケーしたの?」
ダイヤ「私ではありません。理事長が許可をだしたのですわ」
ルビィ「そう…」
ダイヤ「どうかしましたか?」
ルビィ「あの…!ライブ……行くの?」
ダイヤ「……生徒会長として…義務みたいなものですわ」
ダイヤ「当日は雨っぽいですから……貴女も気をつけて」
ルビィ「うん……」
ダイヤ(それにしても…) ---
『私たち…浦の星女学院スクールアイドル…Aqoursです!』
『あ、でもちょっと待って!まだ学校からら正式な承認をもらってないから…』
『あ、じゃぁ…浦の星女学院非公認アイドル…Aqoursです!』
---
ダイヤ「あのお粗末な広報はなんですの…!」
----
果南「……」
「--果南」
果南「…!!」
鞠莉「…久しぶり」
果南「鞠莉…!」
鞠莉「変わらないね…」
鞠莉「ここに帰ってきてからも…待ってたのに。果南がライトで呼び出してくるの」
果南「…そう」
果南「じゃあ私、仕事あるから」
鞠莉「辛辣ね〜。少しくらい話そうよ」
果南「帰ってよ。話すことなんてない」
鞠莉「……」
鞠莉「千歌っち…やってくれるかな」
鞠莉「もちろん来るんでしょ?ライブ」
果南「さぁね」
鞠莉「グループ名は…Aqours」 果南「…!」
果南「なんの真似?」
鞠莉「私は知らないわよ。何もしてないし」
果南「じゃあなんで…」
鞠莉「さぁ…。奇跡かしら」
果南「千歌たちから聞いたよ。体育館を満員だなんて」
果南「あの頃の私たちですら無理だったのに…できるはずない」
果南「承認するつもりなんて本当はないんじゃないの」
鞠莉「……半分ね」
果南「え…?」
鞠莉「だって…あれだけ楽しかったんだもの…」
鞠莉「私は捨てきれてないよ」
果南「じゃあ鞠莉も入れてもらえば」
鞠莉「果南とダイヤが一緒に入ってくれるならいいわよ」
果南「だから…「私は!!」
鞠莉「スクールアイドルをやることが一番大切なんじゃない…」
鞠莉「果南とダイヤと一緒に…」
鞠莉「一緒に過ごすことに……意味があるの」 果南「鞠莉……」
鞠莉「それに…あの子たちならもしかしたらやってくれるかもしれないでしょ」
鞠莉「私たちが成し遂げれなかったことも……」
鞠莉(そして…私たち3人の絆も…)
鞠莉「……」
鞠莉「また会いましょ。果南」
果南「……」
----
ザァァァ
ダイヤ「…ふぅ」ドンッ
鞠莉「ダイヤ…」
ダイヤ「鞠莉さん…早いですわね」
鞠莉「当たり前よ。この日を…どれだけ待ち望んだか」
ダイヤ「相変わらずですね」
鞠莉「ダイヤもね…なに?その発電機」
ダイヤ「これは…なんでもないですわ」
鞠莉「緊急事態に備えて…?」
ダイヤ「……」 鞠莉「ダイヤも結局気になってるんじゃない♪」
ダイヤ「そ、そういう訳ではありませんわ」
ダイヤ「ただこの雨の中…もしブレーカーが落ちたら危ないでしょう」
鞠莉「ふふっ…そうね」
ダイヤ「ほら、貴女は彼女らの元に行ってあげなさい」
鞠莉「ダイヤは行かなくていいの?」
ダイヤ「私が行ってできることはありません」
ダイヤ「貴女が適任ですよ」
鞠莉「そ。果南は来てるの?」
ダイヤ「来る…とは言っていたのですが…。もしかしたらこっそり聴きに来るかもしれませんよ」
ダイヤ「μ's幻の1stライブの時の東條希さんのように…!!」
鞠莉「そうね…」フフッ
ダイヤ「…満員にできるんでしょうか」
鞠莉「結局気にしてるんじゃない」
鞠莉「きっと大丈夫。やってくれるわよ」
ダイヤ「……」
鞠莉「駅前で宣伝もしたんでしょ♪」
ダイヤ「えぇ… ---
-その頃-
善子「うわっ…濡れたっ…!」
善子(……こんなに早く来てしまった…)
ゴロゴロ
善子「悪天候すぎね…」
善子「これも私の力かしら…」
善子「地獄門デスゲート、展開…!」ビシッ
善子「……」
---
梨子『うわっ!ちょ、ちょっと!』
善子『…!!!』
善子(その制服……浦の星じゃない!)
梨子『あ、あの…お願いします…!』ズイッ
善子(やばいやばい…バレ…てない?)
善子『……』
梨子『……』ジー
善子(はぁ〜…綺麗な人ね)
善子『…』バシッ
タッタッタッタッ
梨子「や…やった…」 --
善子(あの人が踊るのね…)
ルビィ「あ、あの!」
善子「…!!」バッ
花丸「…ずら?」
善子「な、なによ…」
ルビィ「貴女も…ライブ観に来たの?」
善子「そ、そうよ…」
ルビィ「へぇ〜!スクールアイドル好きなんだ!」
善子「ち、違うわよ!たまたま通りかかっただけ…」
ルビィ「そうなんだぁ。でも、きっと今日で好きになれるよ」
花丸「……」ジー
善子(ずらまる…?!)
花丸「善子ちゃ…うひゃっ!」バッ
善子「しーー…!!黙りなさい!!」
花丸「ごへんごへんって…」
花丸「はにゃひて」
善子「……」バッ
ルビィ「?」 ---
梨子「やっぱり慣れないわ…。本当にこんなに短くて大丈夫なの…?」
千歌「大丈夫だって。μ'sのライブの最初の衣装だって……これだよ!」
梨子「はぁ…やっぱりやめておけばよかったかも…。スクールアイドル」
曜「大丈夫!ステージ出ちゃえば忘れるよ!」
千歌「そろそろだね…」
曜「確か、こうやって…手を重ねて」
千歌「手…繋ごっか」
千歌「こうやって互いに手を繋いで……。ね?あったかくて好き……」
ゴロゴロ
千歌「雨……だね」
曜「みんな…来てくれるかな?」
千歌「じゃあ、終わりにする?」
「うっふふふ…」
千歌「…さぁ、行こう!今、全力で輝こう!」
「Aqours!サンシャイン!!」 ----
パチパチパチパチ
千歌「あっ………」
ダイヤ「………」
ダイヤ(やはり……)
鞠莉「……」
鞠莉「千歌っち……」
花丸「間に合った…ずら?」
ルビィ「うん、でも……」
善子(え?!こ、これだけ?!嘘でしょ?) 果南「……」
果南(やっぱり…無理なんじゃない…)
千歌「私たちは…!!」
千歌「せーの!!」
「スクールアイドル、Aqoursです!!」
鞠莉「………」
梨子「私たちは…その輝きと…」
曜「諦めない気持ちと」
千歌「信じる力に憧れ、スクールアイドルを始めました!」
千歌「目標は…スクールアイドル、μ'sです!!」
ダイヤ「なんですって…?」
ダイヤ(大きく出ましたね…)
鞠莉(この状況の中で…)
鞠莉「強いのね…。私たちよりずっと…」
果南「千歌……」
千歌「聴いてください!!」 『キラリ!
ときめきが生まれたんだと
気がついたワケは
目のまえのキミだってことさ』
〜♪♪
花丸「わぁぁ…」
ルビィ「すごい…!!すごいや!花丸ちゃん!」
花丸「うん…!綺麗だね!」
ダイヤ「まったく…」
ダイヤ(気持ちは本物ですのね…)
善子「……あの人」
善子(私にチラシ渡してくれた人だ…)
善子「綺麗……」 〜♪
鞠莉(…? あれ?)
鞠莉「なんだ…」
鞠莉(やっぱり来てたのね)
果南「……」
果南(なんで…あんなに楽しそうに踊れるの…?)
『やってみたい
動きだした心は
まだ迷いをかかえて揺れているよ
それでもスタートしたのは
運命かな
気持ちがつながりそうなんだ』
果南(もう…お客さんはいないんだよ…?千歌……)
果南「強いね……」 『知らないことばかり なにもかもが
どうしたらいいの?
それでも期待で足が軽いよ
ジャンプだ!
温度差なんていつか消しちゃえってね
元気だよ 元気をだしていくよ』
ガコン
「…!!!」
ゴロゴロ
ダイヤ「……」
ダイヤ(仕方ありませんわね…)
ダイヤ「備えあれば憂いなし、ですわ」ダッ
むつ「ち、千歌…」 梨子「ど、どうすれば…」
曜「一体…どうしたら…」
鞠莉「………」
鞠莉(どうするの…。千歌っち)
鞠莉(もう…歌えないのよ)
鞠莉(貴女たちは…どうするの…?)
千歌「気持ちが…繋がりそうなんだ〜…♪」
鞠莉「……!!」
曜(千歌ちゃん…!)
曜「知らないことばかり、何もかもが…♪」
花丸「……」
ルビィ「発電機…」
花丸「…ずら?」
ルビィ「体育館には発電機があるって、入学式の時に言ってた!」
花丸「……」コクン
梨子「それでも…期待で…足が軽いよ……♪」
ダイヤ「……」
千歌「ぉんどさな…んて、いつか…けしちゃ…え…てね」
千歌「げんきだよ…げんきをだして…ぃくょ……」
鞠莉(千歌っち…!!千歌っち…!!) 鞠莉(高海千歌…!!)
--
ダイヤ「これだけ有れば足りるでしょう……」
ダイヤ(問題は…持ち運べるかどうか…。音響、照明機材の近くに手配しておくべきでした…)
ダイヤ「まったく…世話がやけますわ」ガシッ
ダイヤ「ふぅ……」
果南「ダイヤ」
ダイヤ「か、果南さん…!」
---
バンッ
千歌「へ…?」
美渡「バカチカ〜!!」
美渡「アンタ、開始時間間違えたでしょ!!」
千歌「…美渡ねぇ…」
ワァァァァァァァァアァァァァァァァァ!!!!
むつ「うおっ…すげぇ…」 ダイヤ「……」
ドゥルルルルル
--
ダイヤ『果南さん…!』
果南「貸して。一緒に運ぶよ』
ダイヤ『ですが…貴女…』
果南『なに?可愛い幼馴染が頑張ってるのに私だけ見てるだけなんて、できると思う?』ガシッ
ダイヤ(一気に二つも…)
ダイヤ『いえ…貴女は昔からそういう人でしたわ』
果南『ふーん…』
--
ルビィ「お姉ちゃん…ありがと」
花丸「すごい人ずら〜…」
ワァァァァァァ
千歌「……」
千歌「ホントだ…私…」
「バカチカだ……」
美渡「ふふっ……」
美渡「あれ?」 鞠莉「…ありがとう、千歌っち…」
美渡「なぁ〜んだ…」
美渡(お前もか…。後輩)
『キラリ! ときめきが生まれたんだと
気がついたときに
いたんだよ
目のまえに
キミがいた
キラリ! あつくなる自分見つけたよ
このひかりは
きれいだよね
もっとキラリ
まぶしい希望
ダイスキがあれば
ダイジョウブさ』
ワァァァァァァァァアァァァァァァァァ!!!!!!!! 花丸「ふふ…」
ルビィ「わぁぁ…!!」
善子「……」
善子(スクール…アイドル…)
鞠莉「うん……」
鞠莉(果南…ダイヤ…どこでみてるの?)
鞠莉(Aqoursが…Aqoursが誕生したわよ!)
果南「……」
曜「彼女たちは言いました!」
梨子「スクールアイドルは…これからも広がっていく!」
梨子「どこまでだっていける!」
梨子「どんな夢だって叶えられると…!」
ダイヤ「……!」カツカツカツ
ダイヤ「これは今までの…スクールアイドルの努力と、町の人たちの善意があってのものですわ!…勘違いしないように!」
ダイヤ(そう…あの時も…)
千歌「わかっています!」
ダイヤ「…!」 千歌「でも…でも、ただ見てるだけじゃ、始まらないって…今しかない…瞬間だから!!」
ダイヤ「……」
鞠莉(そうよ…。ダイヤ。今しかないの…)
鞠莉(だから戻って来たんじゃない…!)
果南「……」バサァ
果南(帰ろう…)
果南「お疲れ、千歌…」
千歌「だから…!」
「輝きたい!」
パチパチパチパチパチパチパチパチ
千歌「…えへへ…」
鞠莉「あれ…?」
鞠莉(晴れたわよ…。千歌っち、曜、梨子)
ダイヤ(……)
ダイヤ「せいぜい頑張りなさい。好きにすればいいですわ」ボソッ
ダイヤ(それに…条件はクリアしましたからね…)
千歌「せーの!!」
「「ありがとうございました…!!!」」 最終話までには終わりたいと思っているので一気に流しました。もし見てくれてる人がいたら長いのに感謝です。本当にありがとうございます 感動したわ
どうして年末は良SSが増えるのか
乙! ------
1週間後…
鞠莉「良かったね…。やっと希望が叶って」
ダイヤ「何の話ですの…?」
鞠莉「オーケーしてあげたの?スクールアイドル」
ダイヤ「別に…私に拘束する権利はありませんから」
鞠莉「ま、そーよね」
鞠莉「ダイヤ……ごめんね」
ダイヤ「だから謝るのは無しって言ったでしょう」
鞠莉「ルビィにも…苦しい思いをさせちゃったわね」
ダイヤ「私の知らない間に…あんなに強くなって…花丸さんという良い友達を持って……」
鞠莉「ごめん…」
ダイヤ「別に貴女を恨んだことは一度もありません…。貴女との日々は…輝いていましたから」
ダイヤ「ただ…姉として…ルビィの成長を見守れなかったことが悔しい……!姉としてルビィの支えになれなかったことが…悔しい!」ポロポロ
ダイヤ「ただ…それだけですわ」ポロポロ 鞠莉「ダイヤ…!」
鞠莉(珍しいわね…ダイヤが泣くなんて…)
鞠莉(それだけ……)
鞠莉「ダイヤ……」ハグッ
ダイヤ「鞠莉さん…」
ダイヤ(このにおい…鞠莉さんですわ…)
鞠莉「ごめんね。私たちのせいで…。ダイヤにたくさん背負わせちゃったわね…」
ダイヤ「は、離してください…。気にしていませんから」
ダイヤ「私はただ…今は嬉しいだけです…」
ダイヤ「いつか、いつか…私たち3人も……」
鞠莉「そうね…」
鞠莉「あの頑固オヤジをどうにかしないと」
ダイヤ「…行ったんですのね」
鞠莉「えぇ」 ----
果南『ありがとうございました〜。またよろしくお願いします』
果南『ふぅ……!』
鞠莉『やっぱりここは果南の方が安心できるなぁ〜』スリスリ
果南『って…鞠莉…!!』
鞠莉『かなぁ〜ん、シャイニー!うふふふ』ダキッ
果南『鞠莉……』
果南『どうしたの、いきなり』
鞠莉『スカウトにきたの』
果南『スカウト?』
鞠莉『休学が終わったら、スクールアイドル始めるのよ!浦の星で』
果南『……本気?』
鞠莉『でなければ…戻ってこないよ』
果南『……』グッ
果南『だから…戻ってこないでほしかった…』 果南『絶対に……やらない!』
果南『もう…思い出させないで…』ダッ
鞠莉『……』
鞠莉『相変わらず頑固オヤジだね…』
---
ダイヤ「果南さんは果南さんの考えがあるのです…」
鞠莉「そうなの…?」
ダイヤ「えぇ…きっと」
ダイヤ「きっとそうですわよ……」 ----
『り、りとるでーもん4号…黒澤…る、ルビィです!!一番小さい悪魔……可愛がってね!』
鞠莉「oh〜!!プリティーボンバーヘッド!!!」
ダイヤ「プリティー…?こういうものはハレンチというのですわぁ!!!!」
善子「……」
---
千歌「はぁ…」
善子「私のせいよ……ごめんなさい」
千歌「ううん。そんなことないよ」
鞠莉「貴女が新しいメンバー?」
善子「理事長…!別にメンバーということでは…」
鞠莉「ダイヤも素直じゃないんだから……」
千歌「…?」 鞠莉「千歌っち、ライブ、良かったわよ。頑張ってね」
千歌「はい…!」
鞠莉「津島…善子?」
善子「よっヨハネ!」
鞠莉「oh…ヨハネも、個性は大切にするのよ。バ〜イ♪」
鞠莉「まぁ、後悔しない程度に頑張りなさい!、じゃあね」バーイ
善子「…悪い人じゃないのね」
千歌「うん…。良い人っていうか…正直な人だよね」
梨子「まっすぐ…?」
曜「うんうん!凄い真っ直ぐ!」
ルビィ「流石理事長!」
花丸「ずら!」
千歌「前の理事長も…すっごい真っ直ぐな人だったんだ」
千歌「面影あるなぁ〜…」 ----
『よ、ヨハネ様のりとるでーもん4号…く、くろさわ…ルビィです!一番小さい悪魔……可愛がってね!』
ダイヤ「…////」
ダイヤ「可愛でちゅわねぇ〜…」
ダイヤ「可愛がってあげまちゅわ♡」
鞠莉「ダイヤ、入るわよ」
ダイヤ「\$☆♪○*°%!!!!!!!」
ダァァン
鞠莉「…?ダイヤ……パソコン壊れるわよ」
ダイヤ「えぇ」
鞠莉「どうしたの?」
ダイヤ「えぇ」
鞠莉「いや…」
ダイヤ「えぇ」
鞠莉「ダイヤ?」
ダイヤ「えぇ」
鞠莉「ダイヤったら!!」
ダイヤ「あっ…はい。」 鞠莉「あの子たち…シュンとしてたわよ」
鞠莉「言い過ぎなんじゃない?」
ダイヤ「いえ……」
ダイヤ「別に私も…強く言うつもりは…」
鞠莉「期待してるのね」
ダイヤ「ち、違いますわ!ただ…上を目指すならもっと本気で…!」
鞠莉「はいはい…わかったわ」
ダイヤ「では、私も仕事がありますので…」
鞠莉「うん、頑張ってね」
ダイヤ「貴女も…、多忙すぎて過労死しない程度に」
鞠莉「しないわよ。これだけ元気だもの」
ダイヤ「それもそうですわね…」フフッ
バタン
鞠莉「……」
プルルルプルルル
鞠莉「また……」 鞠莉「はい、もしもし……パパ??」
鞠莉「え……」
鞠莉「そんな…!!もう少し!」
鞠莉「まだ決まりじゃないって言っても……」
鞠莉「うん、わかった…」
ガチャ
鞠莉「……」
鞠莉「絶対……諦めないんだから…」ギリッ
----
千歌「は、は、は、廃校?!?」
ルビィ「うん…沼津の学校と合併して…浦の星女学院はなくなるかもって…」
梨子「そんな…!!」
曜「いつ…?!」
ルビィ「それは…まだ…」
花丸「……せっかく入学したのに…」
善子「いいじゃない。私みたいに流行に敏感な人もいるだろうし!」
花丸「よかったずらね〜。中学の時の友達に会えるずら」
善子「統廃合絶対反対〜!!!!」
花丸「黒歴史ずら」
ルビィ「ふふっ…」
ルビィ「……」
ルビィ「お姉ちゃん…」 ----
ダイヤ『鞠莉さん…?!あのメールはなんですの?!』
鞠莉『何って…書いてある通りデース…』
鞠莉『沼津の高校と合体して…浦の星女学院は廃校になる…』
鞠莉『わかっていたことでしょう…?』
ダイヤ『そんな…!』
鞠莉『ただ…まだ決定ではないの…。まだもう少し待って欲しいって、私が強く言ってるからね』
ダイヤ『鞠莉さんが…?』
鞠莉『何のために…私が理事長になったと思ってるの…』
鞠莉『この学校は無くさない……』
鞠莉『私にとって………何処よりも…大事な場所なの…』
ダイヤ『方法はあるんですの?入学者はこの2年……どんどん減っているんですのよ』
鞠莉『だからスクールアイドルが必要なの』 ダイヤ『鞠莉さん…』
鞠莉『あの時も言ったでしょ…私は諦めないと。…今でも決して、終わったとは思っていない』スッ
ダイヤ『私は…私のやり方で廃校を阻止しますわ…』
バタン
鞠莉『まったく…ダイヤは大好きなのね……。果南が…』
----
-生徒会室-
ダイヤ「…ふむ…」
ダイヤ「そもそも受験人数が減っているのですね…」
ダイヤ「スクールアイドル……」
ダイヤ「方法としては……間違えってはいませんが……」
ダイヤ(果南さん……) コンコンッ
ダイヤ「はい…?」
ルビィ「お姉ちゃん…」
ダイヤ「どうしたんですの…?」
ルビィ「実は…今日もちょっと遅くなるかもって」
ダイヤ「今日も?」
ルビィ「うん。千歌ちゃんが入学希望者集めるためにPV作るんだって」
ダイヤ「……」
ダイヤ「わかりましたわ…」
ルビィ「…!」
ダイヤ「わかりました。お父様とお母様に言っておきますわ」
ルビィ「ほんと?!いいの?!」
ダイヤ「ただし…日が暮れるまでには戻って来なさい」 ルビィ「うん!じゃあ…行ってくる!」
ダイヤ「どう?」
ダイヤ「スクールアイドルは…」
ルビィ「…大変だけど、楽しいよ」
ダイヤ「そう…」
ルビィ「他の生徒会の人は?」
ダイヤ「みんな他の部と兼部なので忙しいのです」
ルビィ「そっか…」
ルビィ「お姉ちゃ「早く行きなさい」
ルビィ「……
ダイヤ「遅くなりますわよ」
ルビィ「……」
タッタッ ----
ガチャ
鞠莉「……」
鞠莉「来るなら来ると先に言ってよ。勝手に入ってくると家の者が激おこぷんぷん丸だよ」
果南「…廃校になるの?」
鞠莉「ならないわ…。でも…それには力が必要なの」
鞠莉「だからもう一度、果南の力が欲しい」
果南「……」
果南「…本気?」
鞠莉「私は果南の…ストーカーだから…」
果南「……」
果南「本当にそのために…戻ってきたの?」
鞠莉「何度も言ってるでしょ」
果南「………」
果南「鞠莉には…もっとやることがあるんじゃないの」
鞠莉「これが私のやるべきことよ」
果南「……そう」
鞠莉「………」 -----
『以上…がんばルビィ!…こと、黒澤ルビィがお伝えしました!』
千歌「どうでしょうか…?」
鞠莉「……クー」
鞠莉「わっ…!」
千歌「ぇぇ…」
千歌「もう!本気なのに!ちゃんと見てください!」
鞠莉「本気で?」
千歌「はい!」
鞠莉「それでこのてぃたらぁくですか…?」
千歌「てぃたらぁく…?」
曜「それは…流石に酷いんじゃ…」
梨子「そうです!これだけ作るのにどれだけ大変だったか…ドンッ
鞠莉「努力の量と結果は比例しません!!」
鞠莉(そう…比例しないの。決して。いくら頑張っても報われない時だってあるの。漫画じゃないもの…)
鞠莉「大切なのはこのtownやschoolの魅力をちゃんと理解しているかデース!!」 ルビィ「それってつまり…」
花丸「私たちが理解してないってことですか?」
善子「じゃあ理事長は…魅力がわかってるってこと?」
鞠莉「少なくとも…貴女たちよりはね」
鞠莉「聞きたいですか…?」
千歌「……」
千歌「いえ、結構です」
鞠莉「そう…」
鞠莉(そうよ…)
鞠莉「それでは、引き続き頑張って」
バタン
鞠莉(ちょっと言い過ぎちゃったかしら…)
鞠莉(でも大丈夫よね、千歌っちたちなら…)
鞠莉「それに…私は痛いほどココの魅力を理解している…」
鞠莉(だって…そのためにココを受けて……帰ってきたんだもの…) -----
千歌「やるしか…ないよね」
千歌「忘れ物……忘れ物…」
千歌「……あ…」
千歌(ダイヤさん……)
ダイヤ「……」
シャラン
シャラン
シャラン
千歌「凄い……」
--綺麗。
その美貌と、その魅せ方。
静かなはずの体育館なのに…音が聞こえるみたい…。
パチパチパチパチ
ダイヤ「…!」 千歌「凄いです!…生徒会長!私、感動しました!」
ダイヤ「な、なんですの?」
千歌「ダイヤさんがスクールアイドルが嫌いなのは…わかってます。でも…私たちも学校続いて欲しいって、無くなってほしくないと思ってるんです!」
千歌「……一緒にやりませんか?!スクールアイドル!」
ルビィ「……お姉ちゃん…」
ダイヤ「残念ですけど……」
ダイヤ「ただ…貴女たちのその気持ちは、嬉しく思いますわ…」
ダイヤ(それはまるで…あの時の私たちと同じ……) 曜「生徒会長って…前は…スクールアイドルが…」
ルビィ「はい…。ルビィよりも大好きでした」
千歌「…!!」
ルビィ「今は…言わないで…!!」
千歌「ルビィちゃん…」
ルビィ「ごめんなさい…」
----
ダイヤ「……」
ダイヤ(どうしてこうも…垣間見るのでふかね…)
ダイヤ(あの頃の…輝きを…)
鞠莉「ダイヤ」
ダイヤ「…!」
鞠莉「逃げていても……何も変わりはしないよ?」
鞠莉「進むしかない…。そう思わない?」
ダイヤ「逃げているわけではありませんわ…」
ダイヤ「あの時だって……」 ダイヤ(果南さんは…貴女のことを一生懸命に考えていた…。でも…貴女も…果南さんのことを考えて…)
ダイヤ(逃げているわけではない…そう…逃げているわけでは…)
鞠莉「ダイヤ……」
----
梨子「…ふわぁ〜あ…」
千歌「おーい!梨子ちゃん!」
曜「おっはヨーソロー!」
梨子「おはよう」
千歌「梨子ちゃんの分もあるよ」
梨子「毎年…海開きってこんな感じなの?」
曜「うん、どうして?」
梨子「この町って…こんなにたくさんひとがいたんだ…」
曜「うん!町中の人が来てるよ!もちろん、学校のみんなも!」
梨子「そうなんだ…」
梨子「……これなんじゃないかな」
梨子「この町や…学校のいいところって…」 ----
ダイヤ「おはようございます」
果南「おはよ、ダイヤ」
鞠莉「おはよう、二人とも」
果南「鞠莉…」
鞠莉「ほら、一緒に作業しましょ。中学以来じゃない」
果南「そうだね…」
「あのー!!」
果南「…?」
ダイヤ「千歌さん…」
「私たち…浦の星女学院でスクールアイドルをやってるAqoursです!
私たちは…学校を残すために、ここに生徒をたくさん残すために!協力してほしいことがあります!」
鞠莉「千歌っち……」
果南「まったく…変わってないね」
鞠莉「果南、ダイヤ…私たちも…」
果南「ごめん。鞠莉…それは…」
果南「……」
鞠莉「わかったわよ」
果南「すんなり納得するんだね」
鞠莉「今日くらいは…喧嘩したくないでしょ」
果南「別にいつも喧嘩ってわけじゃ…」
ダイヤ「……」クスッ
千歌「みんなの気持ちを……一つにするために!!」 気持ちだけほかになにもない
違うんだよこっちきて 心の目で見たら
誰の胸にも願いがある
大切なこの場所で感じてみよう
波が映した星の輝き
遠いあこがれの色
いつか叶うことを信じれば
明日への道が多分
分かるんだ
それは階段?
それとも扉?
夢のかたちは
色々あるんだろう
そして繋がれ
みんな繋がれ
夜空を照らしにいこう 消えない 消えない
消えないのは
今まで自分を
育てた景色
消さない 消さない
消さないように
ここから始まろう
次は飛び出そう
それは階段なのか?
それとも扉か?
確かめたい夢に出会えて
良かったねって呟いたよ
「私ね…心の中でずっと叫んでた。ここには何もないって…。
でも違ったんだ。
追いかけてみせるよ。
ずっと、ずっと。 この場所から始めよう!
できるんだ…!! --
果南「綺麗だね…。スカイランタン」
ダイヤ「えぇ…」
鞠莉「……」
鞠莉(3人揃って……見れるなんてね)
----
-数日後-
鞠莉「何回見てもいいわね…」
鞠莉(流石千歌っちたちね…)
ピロリン
鞠莉「ん…?」
鞠莉「……」
カチカチ
鞠莉「……!!!」ガタッ
鞠莉「きた……」
鞠莉(ついにきた……)
鞠莉「Aqoursに…このメールが…」
鞠莉(私たちが…越えられなかった…)
コンコンッ
鞠莉「どうぞ」 バタン
千歌「り、り、り、理事長!!」
鞠莉「落ち着きなさい。要件は分かっているわ」
鞠莉(この光景……。私たちの時と……)
千歌「私たち…まだ始めたばかりなのに…よ、呼ばれていいんですかね?!」
鞠莉「ごく稀にあることよ」
鞠莉(そう…ごく稀にね…)
曜「それで…これは…」
梨子「参加には学校長の許可もいるって…」
鞠莉「…いいわよ」
「えっ…」
鞠莉「全員が合意の上、参加するということなら、理事長として許可を出すわ」
鞠莉「各自明日までに確認しておくように。決まったら言ってちょうだい」
「はい!!」
バタン
鞠莉「……」
鞠莉「あの子たちなら…」 ---
ワァァァァァァァァアァァァァァァァァ!!!!
果南『……』
鞠莉『果南…!!果南!!』
鞠莉『果南ったら!!!』
---
鞠莉「……」
-----
-黒澤家-
ダイヤ「東京の…スクールアイドルイベント…」
ルビィ「うん…」
ルビィ「あ、ちゃんとしたイベントで…去年入賞したアイドルグループもでるらしくて…」
ダイヤ(えぇ…。知ってますわよ。だから…怖いのです…)
ダイヤ「東京の…」
ダイヤ(私たちの…最後のステージ…)
ルビィ「やっぱり…ダメ?」
ダイヤ「鞠莉さんはなんて言ってるの…?」
ルビィ「みんなが良ければ理事長として許可をだすって」
ダイヤ「……」
ルビィ「お姉ちゃん…!お姉ちゃんはやっぱり嫌なの?…ルビィがスクールアイドルやること…」
ダイヤ「ルビィ…」
ダイヤ「ルビィは自分の意志で…スクールアイドルを始めることを決めたのですわよね?」
ルビィ「うん」
ダイヤ「だったら…誰がどう思うとしても関係ありません」
ルビィ「でも……」
ダイヤ「ごめんなさい…混乱させてしまっていますわね」
ダイヤ「私は…ただ…」
ルビィ「ただ…?」
ダイヤ「いえ、何でもありません。…もう遅いから寝なさい」
ルビィ「……」 ----
鞠莉「……」
鞠莉「来ると思った…」
ダイヤ「どういうつもりですの…?」
ダイヤ「あの子たちを今……東京に活かせることがどういうことか…分かっているのでしょう?」
鞠莉「ならば止めればいいじゃない」
鞠莉「ダイヤが本気で止めれば……諦めるかもしれないよ?」
鞠莉「ダイヤも期待してるんじゃないの?」
鞠莉「私たちが乗り越えられなかった壁を…乗り越えてくれるんじゃないかって」
ダイヤ「もし越えられなかったらどうなるか…十分知っているでしょう…?」
ダイヤ「取り返しのつかないことにな?かもしれませんのよ…!」
鞠莉「だからといって…避けるわけにはいかないの。本気でスクールアイドルをやむて、学校を救おうと言うのなら」
ダイヤ「…!」
ダンッ
鞠莉「……」
ダイヤ「変わっていませんわね…。あの頃と」
鞠莉「当たり前よ…」 ダイヤ「忘れたわけではありませんわよね」
ダイヤ「あの悲劇を…」
鞠莉「あれは悲劇なんかじゃないわ。私たちに必要なハードルだったの」
鞠莉「乗り越えることはできなかったかもしれないけど…」
ダイヤ「………」
ダイヤ「果南さんの…果南さんの気持ちを…」
鞠莉「…?」
ダイヤ「何でもありませんわ」
ダイヤ「今はただ…あの子たちの顔を見るのが怖くてたまりません」
ダイヤ「もし…やめるといったら?」
ダイヤ「もし、あの子たちがやめるといったら、認めるのですか?」
ダイヤ「私たちの時は…理事長が気遣ってくれましたが…」
鞠莉「やめないよ」
鞠莉「あの子たちはやめない」
ダイヤ「…ですが…」
鞠莉「あの子たちは絶対に…」
鞠莉「何があってもやめない」
ダイヤ「……」 ダイヤ「私、果南さんの詞が好きなんですの。また続き、書いてくださいね」
果南「…やめてよ」
ダイヤ「ふふっ…」
果南「………」
-----
鞠莉「……」
ブーブーブー
ダイヤ『もしもし…』
鞠莉「千歌っちたちは…そろそろ帰って来るのかしら?」
ダイヤ『えぇ…。おそらく』
鞠莉「ダイヤ…。迎えに行ってあげて」
ダイヤ『えっ?』
鞠莉「お願い…」
鞠莉「私たちも…帰ってきた後、理事長がいてくれなきゃもっと酷いことになってたでしょ」
ダイヤ『貴女が行った方が…』
鞠莉「ううん。ダイヤ…ダイヤが行って」
鞠莉「お願い……」
ダイヤ『はぁ…。わかりましたわ』
ダイヤ『貴女のお願いをきくのも…何度目ですかね』
鞠莉「ありがとう…」
ダイヤ『…こちらこそ』
鞠莉「ちかっちたちを任せたわよ」
ダイヤ『えぇ』
ピッ ----
「じゃ、じゃあもしかしてラブライブ決勝とかも狙えるってこと?」
「そうだよね!東京のイベント呼ばれるくらいだし!」
千歌「はは…そうだ…よね、そうだね…」
梨子「……」
曜「……
ルビィ「………」
ダイヤ「お帰りなさい」
ルビィ「…お姉ちゃん!」
ダイヤ「……」ニコッ
ルビィ「うっ…ううっ…」ウルッ
ガバッ
ルビィ「うわぁあっ…うっ…ううっ…」ポロポロ
ダイヤ「よく頑張ったわね…」ナデナデ
花丸(ルビィちゃん…)
善子「……」
千歌「…ぁ……」 ----
鞠莉「……」
鞠莉「…?」
ピカピカ
鞠莉(果南…)
----
鞠莉「いつ以来かなぁ…こうやって呼び出されるの」
果南「ダイヤから聞いた…。千歌たちのこと…」
果南(千歌……)
鞠莉「そう…」
果南「どうするつもり?」
---
ダイヤ「得票…0ですか」
梨子「はい…」
ダイヤ「やっぱりそういうことになってしまったのですね…。今のスクールアイドルの中では…」
ダイヤ「先に言っておきますが…貴女たちは決してダメだったわけではありません。スクールアイドルとして十分練習を積み、見てくれる人を楽しませるのに足りるだけのパフォーマンスもしている…」
ダイヤ「でも…それだけではダメなのです。もう…それだけでは…」
曜「どういうことです…?」
ダイヤ「7236…なんの数字かわかりますか?」 善子「ヨハネのリト「違うずら」
善子「ツッコミはやー!!」
ダイヤ「…去年最終的にラブライブにエントリーしたスクールアイドルの数ですわ」
ダイヤ「第一回の10倍以上…」
千歌「そんなに…」
ダイヤ「スクールアイドルは確かに……以前から人気がありました」
ダイヤ「しかし…ラブライブの開催によって、その人気は爆発的なものになった」
ダイヤ「A-RISEとμ'sによって、その人気は揺るぎないものとなり、アキバドームで決勝が行われるまでになった…」
ダイヤ「そして…レベルの向上を生んだのですわ」
梨子「じゃあ…」
ダイヤ「そう…。貴女たちが誰にも支持されなかったのも…私たちが歌えなかったのも…仕方のないことなのです」
ダイヤ(そう…仕方のない……)
千歌「えっ…?」
善子「どういうこと?」
ダイヤ「2年前…既に浦の星には統合になるかも…という噂がありましてね?」 --
鞠莉『すくぅ〜あいどる?』
ダイヤ『そうですわ!学校を廃校の危機から救うにはそれしかありません!』
果南『うんうん。鞠莉スタイル良いし、一緒にやったら絶対注目浴びるって!』
鞠莉『sorry…そういうの…興味ないの』
果南『…』フフッ
ガバッ
果南『ハグっ!』
鞠莉『…!…なにっ、するの!』
果南『うんっていうまでハグする!』
鞠莉『離してよー!』
ダイヤ『ふふっ…』
鞠莉『ちょっ!もう、やめて、果南!』
果南『ダ〜メ♪』
ダイヤ『ちょっと!私も仲間に入れてくださいまし!』 ---
ザバァン
鞠莉「その何が悪かったの?町の人も学校の人も…スクールアイドルだと応援してくれたじゃない」
果南「ライブも上手くいったしね…」
果南(G線状のシンデレラ……)
果南「でも……」
----
果南『東京…?』
ダイヤ『そうですの!私たちが呼ばれたんですの!』
ダイヤ『これで有名になれば…ラブライブが一気に近づきますわ!!』
果南『じゃあ…東京のイベントも…ラブライブも…どっちも参加するってこと?』
ダイヤ『それしかありませんわ…!!』
----
ダイヤ「でも…歌えなかったのですわ」
ダイヤ「他のグループのパフォーマンスの凄さと、巨大な会場の空気に圧倒され……何も歌えなかった…」
ダイヤ(3人の気持ちも…バラバラだった…)
ダイヤ「貴女たちは歌えただけマシですわ…」
ダイヤ(それに…皆んな同じ方向を向いている…)
ダイヤ(そこが…強みでもあります) 曜「じゃあ…反対してたのは…」
ダイヤ「いつかこうなると思っていたから…」
--
ダイヤ『これは今までの、スクールアイドルの成果と、町の人々の善意があってのものですわ!』
勘違いしないように--!
---
果南「外の人たちにも見てもらうとか……ラブライブに優勝して学校を救ううとか…そんなのは絶対に無理なんだよ!」
鞠莉「だから諦めろって言うの…?」
果南「…私は、そうすべきだと思う」
果南(もう……みたくない。あんな…)
果南「……!」
鞠莉「……」バッ
--ハグしよ、果南。
果南(鞠莉……)
果南(お願い…もう諦めてよ…)
果南(もうボロボロなんでしょ…。もう…耐えきれないんでしょ…?)
果南(……)
鞠莉「………」
果南「やめないと……」 果南「誰かが…傷つく前に」
鞠莉「私は諦めない……」
鞠莉「必ず取り戻すの…!!あの時を…!!」ポロポロ
鞠莉「果南とダイヤと失ったあの時を…!!」
---
果南『あれだけ練習したんだもん、大丈夫だよ』
果南『でもやっぱり一番は…めいいっぱい楽しもう!楽しんで楽しんで、走り切ろう!』
果南「Aqours--!!」
『サンシャイン-!!!』
---
鞠莉「私にとって…宝物だったあの時を…!!」ポロポロ -----
ほどなくして迎える……再起の時。
今のAqoursは間違いなく強い。
東京のイベントで失敗…いや、全力は出せていたはず。それが認められなかっただけ。
それでも…千歌っちたちは立ち上がった。
全員で話して、全員同じ想いで。
私たちの乗り越えられなかった壁を……。
鞠莉「果南…ダイヤ……」 ---
鞠莉『え…?』
キュッ
果南『私…スクールアイドル…辞めようと思う』
鞠莉『なんで…?』
鞠莉『まだ引きずってるの…?東京で歌えなかったくらいで……』
果南『鞠莉、留学の話が来てるんでしょ。…行くべきだよ』
鞠莉『どうして…?冗談はやめて?』
鞠莉『前にも言ったでしょ…?その話は断ったって…』
鞠莉『ダイヤも…何か言って』
ダイヤ『……』
果南『ダイヤも同じ意見…もう続けても意味がない…』
鞠莉『そんな…』
ダッ
鞠莉『果南…!ダイヤ…!』
バッ
果南『……』
果南『終わりにしよう……』 ---
果南「ん〜…」ノビー
果南「行こっか…」
果南ママ「…果南、復学届、出したのね」
果南「母さん…起きてたんだ」
果南ママ「父さんの骨折ももう大丈夫そうだし、私もいるから気にしないでね」
果南「うん、ありがと」
果南「じゃ、行ってくるね」
果南ママ「朝のランニングは欠かさないのね」
果南「まぁ…日課だから。これが朝を迎えるルーティーンみたいなもんだよ」
果南ママ「そう。気をつけてね」
果南「うん」
---
千歌「逃げたわけじゃない…」
ルビィ「はい……」 ---
ダイヤ『逃げてる訳じゃありませんわ』
ダイヤ『だから…果南さんのことを逃げたなんて言わないで』
鞠莉『……』
---
曜「どういうことだろうね」
善子「まず逃げてるとかそういう方向に行くのが謎よ」
梨子「うん…それにしても…」
梨子「そろそろ限界かも…」
千歌「実は…私も…はぁはぁ…」
曜「もうかなり走ってるよね、果南ちゃん」
花丸「マル…もうダメずら…」
千歌「でもなんだか…気持ち良さそう」
曜「ホント…昔から凄かったもんね…」
----
千歌「はぁ…はぁ…」
曜「ふー……」
花丸「……」ドサッ
花丸「マルはもうもたないずら…」
善子「みっともないわねぇ…」
千歌「…!」
千歌「わあ……」 果南「……」
バッ
--楽しそうだ。果南ちゃん!
ダイヤさんの踊りも凄いけど、果南ちゃんもまた違う良さがある…!
やっぱり3年生は--
千歌「綺麗…」
パチパチパチ
千歌「…あ」
鞠莉「復学届、提出したのね」
果南「まぁね」
鞠莉「やっと逃げるのを諦めた?」
果南「勘違いしないで。学校を休んでいたのは父さんの怪我が元で…それに、復学してもスクールアイドルはやらない」
鞠莉「私の知っている果南は…どんな失敗をしても…笑顔で次に向かって走り出していた。成功するまで諦めなかった…!」
果南「卒業まで…あと1年もないんだよ」
鞠莉「それだけあれば充分…。それに、今は後輩もいる」
果南「だったら…千歌たちのに任せればいい」
果南(お願い、鞠莉…。スクールアイドルは好き…。好きだけど、私の…鞠莉への想いは変わらない) 鞠莉「果南…」
果南「……どうして戻ってきたの…?」
果南「私は…戻ってきてほしくなかった…」
果南(……)グッ
鞠莉「果南…!!」
鞠莉「相変わらず果南は頑固「もうやめて」
果南「もう…貴女の顔、見たくないの…」
果南(だから…アメリカに戻って…)
果南(鞠莉は…鞠莉のやるべきことをやれば良いのに…)
果南(また…私が……)
----
生徒「あっ、果南!学校来たんだ!」
生徒「久しぶり〜」
果南「久しぶり。今日からはちゃんと行くよ」
生徒「か、果南…」
果南「…?」
鞠莉「おはよう」
果南「なんの真似…」
鞠莉「この衣装…覚えてない?」バッ
果南「…覚えてないよ」
鞠莉「果南……」
果南「………」 ポイッ
鞠莉「果南……!!」
ダイヤ「なっ…」
鞠莉「果南!良い加減にしなさい!」ガバッ
果南「ちょっと鞠莉!」
果南「離して!鞠莉!離せって言ってるの!」
鞠莉「良いと言うまで離さない!強情も大概にしなさい!一度失敗したくらいでいつまでもネガティブに〜!」
果南「うるさい!いつまでもはどっち?!もう2年前の話だよ!だいたい今更スクールアイドルだなんて…」
果南「私たち…もう3年生なんだよ?!」
ダイヤ「二人ともおやめなさい!みんなみてますわよ」
鞠莉「ダイヤもそう思うでしょ!」
ダイヤ「やめなさい!いくら願っても果南さんがもう一度スクールアイドルをやることはありません!」
鞠莉「どうして?!あの時の失敗は、そんなに引きずること?!千歌っちたちだって再スタートを切ろうとしてるのに、なんで?!」
果南「千歌とは違うの!鞠莉には他にもやるべきことがたくさんあるでしょ!」
千歌「……」
千歌「…」カツン
果南「千歌……」
千歌「良い加減に〜〜〜……」 花丸(これはっ…)ミミフサギッ
千歌「しろ〜〜〜〜!!!!!!!!!」
ゴォオン
花丸「……」ドヤァ
千歌「もう…!なんかよくわからない話をいつまでもずーと、ずーと、ずーと…隠してないでちゃんと話しなさい!!」
果南「千歌には関係ないでしょ!」
千歌「あるよ!」
千歌「果南ちゃんも、鞠莉さんも、ダイヤさんも、三人揃って放課後、部室に来てください」
ダイヤ「いや…ですが…「良いですね!?」
「は、はい……」
曜「千歌ちゃん凄い…」
ルビィ「3年生に向かって……」
千歌「あっ……」 ----
果南「なんでわざわざ行かなきゃいけないの」
ダイヤ「……」
ダイヤ「行きましょう……。仕方ありませんわ」
鞠莉「あら、二人が来るなんて」
果南「ダイヤが行こうってうるさくってさ」
ダイヤ「それが義理というかですね…」
鞠莉「へえ〜」
ダイヤ(それに……)
--そろそろ話す時かもしれませんね。
果南さん--。
約2年前…私は…貴女には言いませんでしたが、願っていましたわよ。
いつか貴女を裏切ることを--。
---
果南「だから…東京のイベントで歌えなくって」
千歌「その話は…ダイヤさんから聞いた」
果南(ダイヤ…)ギロッ
ダイヤ(…千歌さん、いらないことを…)プイッ
千歌「けど…それで諦める果南ちゃんじゃないでしょ?」
鞠莉「そうそう!千歌っちの言う通りよ!」 鞠莉「だから何度も言ってるのに…」
千歌「…何か事情があるんだよね」
千歌「ね…?」
果南「そんなものないよ。ただ、私が歌えなかっただけ」
千歌「くぅ〜!!イライラする〜!」
鞠莉「そのきもち、よ〜くわかるよ〜。ホント腹立つよねコイツ!」
果南「勝手に鞠莉がイライラしてるだけでしょ?」
ルビィ「でも…この前弁天島で踊っていたような…」
果南「……///」
鞠莉「oh!赤くなってる…」
果南「うるさい…!」
鞠莉「やっぱり未練あるんでしょ〜?」
ダイヤ「……」
ダイヤ(こんなやりとりも…何年振りですか…)
果南「うるさい!未練なんてない…。とにかく私は…もう嫌になったの…!」
果南「スクールアイドルは…絶対にやらない!」
鞠莉「まったく……」
ダイヤ(果南さん…)
梨子「ダイヤさん…」
ダイヤ「…?」
梨子「何か知ってますよね?」
ダイヤ「えぇ…?!?私は…なにも…」
梨子「じゃあどうして…さっき果南さんの肩を持ったんですか…?」
ダイヤ「……」
ダイヤ(万事…休す!!) ダダダダッ
千歌「善子ちゃん!」
善子「…ギラン」
善子(堕天使、始動)
善子(でも…)
善子「ヨハネだってば〜!!」
【堕天龍鳳凰縛!!!】
ダイヤ「ぎゃぁぁぁぁぁぁぁ!!!」
ルビィ「お姉ちゃん…」
花丸「流石姉妹ずら〜」
ダイヤ「わかりました!わかりましたから離しなさい!!首が折れます!」
----
「「「わざと…?!」」
ダイヤ「えぇ……」
ダイヤ「そう…東京のイベントで果南さんは歌えなかったんじゃない。わざと歌わなかったんですわ」
ダイヤ(すみません…果南さん)
鞠莉「どうして…?」
善子「まさか…やみのまじゅっうわっ!!」
花丸「空気読むずら」ボソッ
ダイヤ「…貴女のためですわ」
鞠莉「え…?」
ダイヤ「あの日…鞠莉さんは怪我をしていたでしょう」 鞠莉「そんな…私は……そんなことしてほしいなんて一言も…!」
ダイヤ「あのまま進めていたら…どうなっていたと思っているのですか。事故になっても…おかしくなかった」
鞠莉「でも…」
ルビィ「だから…逃げたわけじゃないって…」
曜「でも、そのあとは?」
千歌「そうだよ。怪我が治ったあとも…」
鞠莉「そうよ。花火大会に向けて……新しい曲つくって、ダンスも衣装も完璧にして…なのに…」
鞠莉(それに…ラブライブだって…三人で頑張ろうって決めたじゃない…)
ダイヤ「心配していたのですわ。貴女…留学や転校の話があるたびに、全部断っていたでしょう」
鞠莉「そんなの当たり前でしょ?!?」
ダイヤ「果南さんは…思っていたのですわ。このままでは自分たちのせいで…鞠莉さんから未来の色んな可能性を奪ってしまうんじゃないかって」
ダイヤ「それに…貴女の怪我や身体も…」
ダイヤ「そんな時…」 ---
『本当に断るの?!』
先生『向こうで卒業できれば外国の推薦だって受けれるかもしれないのよ…?』
先生『ご両親も是非って…』
鞠莉『いいんです。私、スクールアイドルを始めたんです』
鞠莉『学校を救うために…』
果南『……』
---
鞠莉「まさか…それで…!?」
鞠莉(あの…バカ!!)ダダダダッ
ダイヤ「どこへ行くんですの!」
鞠莉「…ぶん殴る…。そんなこと、一言も相談せずに!!!」
ダイヤ「おやめなさい…」
ダイヤ「果南さんはずっと貴女のことをみてきたのですよ」
ダイヤ「貴女の立場も…貴女の気持ちも…」
鞠莉「…!」 ----
果南『よろしく、鞠莉』
鞠莉『…!!』
果南『…?』
ダイヤ『果南さん…!いきなり呼び捨ては失礼ですわよ!』
果南『え…、あ、そう?…かな?ご、ごめんね、小原さん』
鞠莉『…』フルフル
果南『…?』
鞠莉『名前…なんて言うの?』
果南『私…?…は、松浦果南。果南でいいよ』
『おーい』
『まり!』
鞠莉『誰…?』
鞠莉『外…?』バッ
果南『おーい』ピカピカ
鞠莉『ライト……光って……果南!』
果南『まーり!おいでー!』ピカピカ
---
ダイヤ「そして…貴女の将来も……」
-誰よりも考えている。 鞠莉「……」
ザァァァ
-そんなのわからないよ…。どうして言ってくれなかったの…?!
-ちゃんと伝えていましたわよ。貴女が気付かなかっただけ。
鞠莉(バカ…バカ…バカ!!)
鞠莉(果南のバカ……!!)
ガッ
鞠莉「あっ!!」
ドチャッ
鞠莉「果南……」
鞠莉(ごめん…)
鞠莉「ばか……」
鞠莉(私の…バカ…)
鞠莉「ちゃんと……」
---
ブロロロ
鞠莉『この船……いつものじゃないわね』
果南『うん…。これ、ウチのなんだ』
鞠莉『あら…良いの?乗っちゃって』
果南『大丈夫だよ。父さん運転上手だし』
鞠莉『夕陽…綺麗ね」
果南『ふふ…。海の絶景スポットだよ、ここは』
鞠莉『もしかして…これ見せるため?』
果南『へへ…バレちゃったか…』
鞠莉『もう…』
果南『あのさ、鞠莉』
鞠莉『…?』
果南『離れ離れになってもさ…』
果南『私は…鞠莉のこと、忘れないから-- ---
鞠莉「果南……」
--伝えなきゃ。
足だって動く。あの時と違って。
動いて。動いて。動け。
何もできない…何も言えなかった私を…-!
慟哭が喉を引き裂く。
私の足は…浦の星へ--
----
ダイヤ「はい、はい…はい」
ダイヤ「それでは…」
ピッ
ダイヤ(果南さん…。行ってください…)
ダイヤ「雨も酷いですし、黒澤家が責任を持って送ります」
千歌「鞠莉さん…大丈夫かな」
ダイヤ「……えぇ」
ダイヤ「いつか話そうと思っていました」
ダイヤ(貴女たちならもしかしたら…私たちの未来を変えてくれるかもと…) ダイヤ「ありがとうございます…」
千歌「……」
----
鞠莉「……」ポタポタ
『いつ ば つ た
え き ない おもぃ で』
鞠莉「この歌詞……」
鞠莉「ばか……」
----
ブーブーブー
ダイヤ「はい?」
果南『ついたよ』
ダイヤ「わかりました。では」
果南『ちょっと待ってよ。どういうこと?』
ダイヤ「知りません。はやく行きなさい」
果南『えぇ…?』
ダイヤ「果南さん……」
ダイヤ「もう、終わりです」
ダイヤ「もう、一人で背負うのは終わりです」
果南『どういうこと…?』
ダイヤ「切りますわ」
果南『ちょっとダイヤ!……』 ----
果南「なに…?」
鞠莉「いい加減話をつけようと思って…」
鞠莉「どうして言ってくれなかったの…?思ってることちゃんと話して…」
鞠莉「果南が私のことを想うように…私も果南のこと考えているんだから」
鞠莉「将来なんか今はどーだっていいの…」
鞠莉「留学?…まったく興味なかった…。当たり前じゃない…」
鞠莉「だって…果南が歌えなかったんだよ?」
鞠莉「放っておけるはずない!!!」ツー
果南「……」
果南(でも…)
--!!
パァァン!
果南「……っ」ヒリヒリ
--あ。
バシンッ
果南『…!』ヒリヒリ
ダイヤ『…これでおあいこです』
ダイヤ『では、私は鞠莉さんのところへ行ってきますので』
ダイヤ『何時間でも寝ておきなさい』 ---
鞠莉「私が…私が果南を想う気持ちを…甘くみないで!!」
果南(…鞠莉……!)
果南「だったら…だったら素直にそう言ってよ!!リベンジとか…負けられないとかじゃなく…」
果南「ちゃんと言ってよ…!」
鞠莉「だよね……」
果南「…!」
鞠莉「だから…」スッ
果南「……」グッ
--
ダイヤ『み…見つかったら怒られますわ!』
果南『大丈夫だっ…』
鞠莉『…?』ヒョコッ
果南『あっ……』
ダイヤ『ピギャッ…!』
鞠莉『貴女は…?』
鞠莉『えーと…か…かな?』
果南『…は…はぐ…』
鞠莉『…?』 --
果南『ハグ……しよ?」
鞠莉「…うっ…ううっ…」
鞠莉「うわぁぁぁ…!」ダキッ
果南「ふふっ…」ポロポロ
果南「これでおあいこだよ、鞠莉」ツー
鞠莉「バカ!バカバカバカバカ!!」
果南「寂しかったよ、鞠莉…」
果南「ごめん…ずっと…ずっと…」
鞠莉「私だって……アメリカになんか行きたくなかった!!ずっと…ずっとここで!!」
鞠莉「果南とダイヤに…会いたかった!」
果南「ごめん…。でも、鞠莉が傷付くのはみたくなかったの…」
鞠莉「私の…夢は…果南とダイヤと…一緒にスクールアイドルをやること」
果南「…いいの?」
鞠莉「いいよ」
果南「ありがとう…鞠莉。待っててくれて」
鞠莉「おかえり…果南」
果南「ただいま」 ダイヤ「……」
ダイヤ「やれやれ…」
ダイヤ「さて、私は仕事に戻りますかね…」
ダイヤ「2人の入部の手続きをしなければなりませんしね…」
----
ガシャン
ダイヤ「今日は…お赤飯でも炊きましょうかね」フフッ
千歌「ふふっ…」
千歌「ダイヤさんって、本当に二人のことが好きなんですね」
ダイヤ「それより…これから二人を頼みましたわよ。ああ見えて二人とも繊細ですから」
ダイヤ(というか繊細すぎます…)
千歌「じゃあ、ダイヤさんもいてくれないと」
ダイヤ(千歌さん…。スクールアイドル…!!)
ダイヤ「私は生徒会長ですわよ…。とてもそんな暇は…」
千歌「それなら大丈夫です。鞠莉さんと果南ちゃんと…6人もいるので!!」
ダイヤ「えぇ……」
ダイヤ「…ルビィ」
ルビィ「親愛なるお姉ちゃん…ようこそ!Aqoursへ!」
ダイヤ「その衣装……」
ルビィ「うん!縫い直したよ!お姉ちゃん用に!」 鞠莉「ダイヤならサイズ調整はいらないわよ。今も昔も変わらないから」
ダイヤ「鞠莉さん…?!果南さんも…!」
果南「そうだね。あの時と変わらない」
果南「ダイヤ……ありがと」
ダイヤ「別に私は何もしていませんわ」
鞠莉「もう!素直じゃないんだから!」ダキッ
ダイヤ「離しなさい!」
鞠莉「ん〜この和のにおい…いつまでも慣れないわぁ〜クサっ!」
ダイヤ「あ〜な〜た〜〜!!」
ワハハハハハ
隣の人のことを想っているようで
結局、根っこでは自分のことを守ろうとして、正当化していた。
そんな未熟な私たち。
夢見がちで、どんなこともできると想っていた。 そんな気がした。
お互いぶつかることを避けていた。
逃げていた。
言葉だけじゃ伝わらないことだってたくさんあるのに。私たちはその言葉すら足りなかった。
でも…笑って進もう。
怖くない。皆んなと一緒なら。
3人と--一緒なら…! いつもそばにいても
伝えきれない思いで
こころ迷子になる
ナミダ
忘れてしまおう
歌ってみよう
いっしょにね
言葉だけじゃ足りない
そう言葉すら足りない
故にすれ違って
離れて
しまったことが
悲しかったの
ずっと
気になってた
わかってほしいと願う
キモチがとまらなくて
きっと傷つけたね
それでも
あきらめきれない
自分のワガママ
今は隠さないから
力をあわせて
夢の海を泳いで行こうよ
きょうの海を…! どんな未来かは 誰もまだ知らない
でも楽しくなるはずだよ
みんなとなら 乗りこえられる
これからなんだね お互い頑張ろうよ
どんな未来かは 誰もまだ知らない
でも楽しくしたい
ホントに
みんなとなら無理したくなる
成長したいな
まだまだ未熟DREAMER
やっとひとつになれそうな僕たちだから
本音ぶつけあうとこからはじめよう
その時見える光があるはずさ---。
果南「Aqours…か」
千歌「…?」
曜「どうしたの?」
果南「私たちのグループも…Aqoursって名前だったんだよ」
「えっ…?」
梨子「そんな偶然…」
鞠莉「…ふふっ」
--ダイヤったら。 👀
Rock54: Caution(BBR-MD5:0be15ced7fbdb9fdb4d0ce1929c1b82f) 果南「私もそう思ったんだけどさ」
果南「千歌たちも、私と鞠莉も、多分まんまとのせられたんだよ」
--
ダイヤ『まだ…まだ決まりませんの…』イライラ
ダイヤ『我慢になりません…』
ダイヤ(バレないように……)スッ
カリカリ
『Aqours』
ダイヤ『……ふふっ』
---
果南「誰かさんに♪」 ---
ありがとう。千歌っち。
そこからは順風満帆…?
三人の時のAqoursと…9人のAqours。この二つは絶対に違うものだけど、結局行き着く先は同じなんだって思う。
私たちが残した想いを拾ってくれた『Aqours』
そして…届けてくれた『Aqours』
その後も…千歌や曜、梨子たちでも何かいざこざしっぽいけど、あの子たちなら大丈夫。
私たちより全然マシよね…♪
でも--
鞠莉「次の大会で…はい、はい。必ず」
廃校という悪魔はそんなものをよそにジリジリと近づいてくる。
もう3年生--。時間は…限られてる。
卒業したら---。 --
入学希望者は…少しずつ増えてる。
ラブライブ決勝に近づいている私たちを以ってしても、覆せない現実の味は苦い。
『想いよひとつになれ』
『MIRAI TICKET』
私たち9人が作って…私たち9人の想いが詰まった曲。
それでも…ダメだった。
ダイヤの言う通りレベルの向上が当たり前の世界には、通用しない。
でも…諦めない。入学説明会も、ラブライブももう一度、チャンスがある。
そのラストチャンスを掴んで…。
----
鞠莉『たしかに…全国大会へ進めなかったことは残念でしたけど』
ダイヤ『でも、0を1にすることはできた』
ダイヤ『ここにいるみなさんの力ですわ』
曜「そして…いまでは…!」
梨子「1が10になった」
果南「確かに!」
ダイヤ『それだけではありませんわよ』
鞠莉『本日…発表になりました』
鞠莉「次のラブライブが!」
果南「ラブライブ?!」
ルビィ「ほんと?!」
ダイヤ「えぇ」
鞠莉『同じように…決勝はアキバドゥーム!』 千歌「…!!」
鞠莉『great!』
ダイヤ『大遅刻ですわよ』
千歌「次のラブライブ…」
梨子「千歌ちゃん!」
曜「どうする?」
果南「聞くまでもないと思うけど」
花丸「善子ちゃんも待ってたずら!」
ルビィ「うゆ…!!」
善子「ヨハネ!」
千歌「でよう…ラブライブ!そして…1を10にして、10を100にして!学校を救って…そしたら!」
『そしたら!!』
千歌「そうしたら…私たちだけの輝きが見つかると思う…!きっと…!」
-輝ける…!!-- ---
ブーブーブー
鞠莉「はい、もしもし…パパ」
鞠莉「うん、うん…えっ…?!」
鞠莉「でも…パパは待つって…!」
鞠莉「もう少し……もう少しでいいの。お願い…」
鞠莉「でも…」
鞠莉「あれ……」ズキッ
果南「……」
--かなん??
これは--
花丸----善子--。
入学説明会も…なくなったのに…。
なんで…あるの…? ダイヤ…かわいいわね。
ダイヤちゃんだなんて…ダイヤちゃん-
善子と…梨子?
千歌……ありがとう。
私たちができなかったことを…。
ありがとう。
果南…届いたよ。私たちの想いが。
カタチになったよ………。
私たちの--。
98…98…98…!!
あと一歩…。
パパ……
なんで…届かないの…?
浦の星を残すには……。
ルビィ……も成長して……
良かったね
、ダイヤ……
あれ?
浦の星は…なくなっちゃうの?
98…98…
なんで?? なくなるの?
あれだけ頑張ったのに。
あれだけ…何年も…何回も…。
待ってくれるて…。言って………。
『ずっと一緒だよ』
ずっと……。でも……。
『ずっと一緒にいられますように…』
-----
鞠莉「……!!」ガバッ
鞠莉「はぁ…はぁ…はぁ……」
鞠莉「……夢……」
鞠莉(どこまで…?)
鞠莉「走馬灯……」
鞠莉(子どもの時から……今の今まで…)
鞠莉「なんでこんな時に…蘇るの…」
鞠莉ママ「鞠莉……」
鞠莉「ママ…」
鞠莉ママ「うなされてたわよ…」
鞠莉「どれくらい?」 鞠莉ママ「さぁ…。たまにだったから…。幸せそうな顔をしている時もあったけどね」
鞠莉「そう……」
鞠莉ママ「そういえば…進路、決めたんだって?」
鞠莉「えぇ…」
鞠莉「パパが薦めるイタリアの大学に行く」
鞠莉「私の大好きな浦の星は…もうないから」
鞠莉ママ「そ。またパパから連絡があると思うわ」
鞠莉「…止めないの?」
鞠莉ママ「貴女のわがままなんて、もう慣れました」
鞠莉「ご、ごめんなさい…」
鞠莉ママ「戻ってくるの…?」
鞠莉「わからない…」
鞠莉ママ「そう…」
鞠莉ママ「いいじゃない。やることやって、全力尽くしたらまた次のステージ、でしょ?」
鞠莉「うん…」
鞠莉ママ「…果南ちゃんやダイヤちゃんともお別れ…?」
鞠莉「あの二人は…どうするのかわからないけど、流石にイタリアはないでしょ?」 鞠莉ママ「まぁね…。一人で大丈夫なの?」
鞠莉「心配ゴムヨーデス!もう18だよ…」
鞠莉ママ「はいはい。あ、これ、お年玉ね。少ないけど」
鞠莉「いらないよ、もう」
鞠莉ママ「あら」
鞠莉「ママ…」
鞠莉「今までありがとね」
鞠莉ママ「なに?死ぬの?」
鞠莉「……」
鞠莉ママ「決勝、頑張ってね」
鞠莉ママ「こっそりパパと観に行くかも♪」
鞠莉「来なくていいって!!」 ---
鞠莉「……」
--
「お嬢様〜!!!」
「鞠莉お嬢様〜!!!」
果南『…何回め?こう言うの?』
鞠莉『わからない』
『お嬢様〜!!!!』
ダイヤ『どうするんですの?!大事になっていますわよ?!』
果南『…諦める?』
鞠莉『嫌!』
鞠莉『流れ星にお祈りできなかったら…きっとダメになっちゃう!』
----
鞠莉(ずっと…)
鞠莉「ずっと一緒にいられますように…」ツー
----
千歌「みんな…!!もう少しだよ!」
果南「千歌、ほら、早く早く」
千歌「果南ちゃん…早すぎるよ…」
花丸「マルに3周は無理ずら〜…」
ダイヤ「はぁ…はぁ…はぁ…」
梨子「こんな感じでラブライブ決勝だなんて…いけるのかな?」
聖良「いけると思います」
千歌「ほんと…?」
聖良「ステージって…不思議とメンバーの気持ちが見てくれてる人に伝わるものですよ」
ワイワイ
鞠莉「みんな」
ダイヤ「お話は終わりましたの?」 ----
ダイヤ「理事?!」
鞠莉「of course♪ 統合先の学校の理事に就任して欲しいって」
鞠莉「ほら、浦の星から生徒も沢山行くことになるし、私がいた方が安心するだろうって」
理亞「理事…?」
ルビィ「鞠莉ちゃん、浦の星の理事長さんでもあるんだ」
理亞「まじ…?」
千歌「じゃあ、春からも鞠莉ちゃん学校に?!Aqoursも続けられる!」
曜「いや、それ留年したみたいだし…」
鞠莉「大丈夫、断ったから」
「ええっ…?」
鞠莉「理事になはならないよ」
鞠莉「私ね、この学校を卒業したら、パパが薦めるイタリアの大学に行くの。だから…あと3ヶ月!」
鞠莉「この学校に入られるのも」
鞠莉(この学校と過ごせるのも…)
千歌「……」 ---
-淡島トンネル-
鞠莉「ここのトンネル…ヒサシブリデスネ〜!」
果南「落ち着くからね」
鞠莉「……なに?」
鞠莉「まさか…イタリア行くななんて言うんじゃないよね?」
果南「1年前だったら…言ってたかもね」
鞠莉「じゃあ…なんの相談もなしに決めたから、怒ってる?」
ダイヤ「それも違いますわ」
果南「話しとこうと思って」
ダイヤ「実は私も…東京の大学に推薦が決まりましたの」
果南「私も海外でダイビングのインストラクターの資格、ちゃんと取りたいしさ」
鞠莉「じゃあ…」
果南「卒業したら…3人離れ離れ」
ダイヤ「ここには誰も残らず、簡単には会えないことになりますわね」
果南「一応言っておこうと思ってね」
果南「お互い相談もしないで、勝手に決めてたなんてね」
ダイヤ「あんなに喧嘩したのに…相変わらずですわね。お互い」
果南「だね」 鞠莉(小学校に…中学校…)
鞠莉(あの時は…3人一緒に決めたのに…)
鞠莉(もう…大人だもんね)
--ちょっぴり寂しいけど。
果南「ハグ、しよ?」
鞠莉「……」クスッ
ダイヤ「……」フフッ
ダキッ
ずっと…ここだった。
3人一緒にいようって、3人一緒の中学に行こうって。
3人で浦の星を受けようって。
そう決めた場所はいつもここだった。
でも、今は違う。
それぞれ自分で悩んで、自分で決めて。
道はバラバラだけど…気持ちは同じだから。
バイバイ、私たち。
--
果南「そういえば鞠莉、よく抜け出してたっけ」
鞠莉「それなら貴女たちも同罪デース」
ダイヤ「鞠莉さんが黙って出てくるからですわ
鞠莉「だって、言ったら絶対ノーって言われるもん」 ダイヤ「おかげで…あれからすごく厳しくなりましたもの」
果南「抜け出せないように…鞠莉の部屋が2階になって」
ダイヤ「次は3階ですわよね」
果南「それでもダメだって4階になって」
鞠莉「最後は最上階♪」
ダイヤ「今考えると…親御さんのご苦労がわかりますわ…
鞠莉「だって…二人と遊んじゃダメなんて言うんだもん」
鞠莉(今は…ママもオーケーだけどね)
果南「終いには勘当だっけ」
鞠莉「果南とダイヤと遊んじゃダメなら、パパもママも勘当します!」
ダイヤ「小学生の子どもが親に勘当を言い渡すなんて聞いたことありませんわ」
鞠莉「それ教えてくれたのダイヤだよ?」
ダイヤ「そうでしたっけ?」
果南「子どもだったよね…」
鞠莉「でも…楽しかった…。エブリデイ…何か新しいことがおきていた」
鞠莉「一度しか言わないから、よく聞いて」
鞠莉「私は…果南とダイヤに出会って…色んなことを教わったよ」
鞠莉「世界が広いこと。友達といると時間が経つのも忘れるほど楽しいこと。喧嘩の仕方に仲直りの仕方」
鞠莉「二人が外に連れ出してくれなかったら、私はまだ…一つも知らないままだった」
鞠莉「ずっとあの部屋から出てこられなかった…」
鞠莉「あの日から…3人いればなんでもできるって!今の気持ちがあれば大丈夫だって、そう思えた!」
鞠莉「thank you…♪」 ポツポツポツ
ダイヤ「雨…ですわね」
果南「また…?まったくダイヤは…」
ダイヤ「待って、私? 雨女は鞠莉さんでしょ?」
鞠莉「Why?!果南だよ!」
果南「訴えるよ」
ダイヤ「…もしかしたら…神様が願いを叶えさせたくないのかもしれませんね」
果南「3人がずっと一緒にいられますように?」
鞠莉「そんな心の狭い神様は勘当デース♪」
アハハハハ
果南「これで終わりでいいの?」
鞠莉「へ?」
果南「このまま…あの時と同じで、お祈りできないままでいいの…」
果南「私はやだなぁ…」
鞠莉「でも……」
果南「3人いればなんだってできるって思ってたんでしょ?だったらやってみなきゃ」
果南「それに、今はもう3人じゃない」
果南「探しに行こうよ。私たちだけの星を」
鞠莉「私たちだけの…星…」 昔、果南が言ってた。
いつか私の運転する車の乗りたいって。
それも…まさかこんな感じで叶うとはね。
私たち3人…いや、9人の星は…何処にあるんだろう。
この満点の星空には…数えきれないほどの星がある。それくらい終わりがなくて、大きいもの。
きっと一番光ってる星が…私たちの探している星なのだろう。
だってこんなにも輝いているんだもの。
こんなにも繋がっているんだもの。
信じればきっとみえる…。
きっと…!!
私たちの想いのカケラは空を飛んで、遥か宇宙へと旅立っていく。
そのカケラが向かう先には…どんな未来が待っているのだろう。
それは一人一人違って、もちろん形も違う。
でもきっと行き着くとこは同じなんだ。
待ち構えているもの、待ってくれているものは違うけれど。
だから、待ってるよ。 また…また会えることを。
ううん。きっと会える。
だって…繋がってるから。
糸やヒモ、鎖なんてない。
でも繋がってるの。
この空が、世界が、宇宙が繋がってる限り---。
キラッ
鞠莉(流れ星…)
果南「……」
ダイヤ「……」
『また…会えますように』 ---
コンコンッ
鞠莉「はぁい♪」
むつ「失礼します」
むつ「理事長、これを…」パサッ
鞠莉「これは…?」
むつ「今の私たちの気持ちです」
鞠莉「…!」
むつ「相談したら、みんなもやりたいって」
いつき「卒業式は真面目にやったほうがいいと思うので」
よしみ「でも…最後は卒業生も近所の人もみんなでドッカーン!っと盛り上がりたいって!」
鞠莉「……」
「三学期は…受験とか色々あるのはわかっています…でも…最後だし…」
鞠莉「しょ〜にん!!」
----
「鞠莉ちゃ〜ん!」
「アーチ、設置完了しました!」
鞠莉「ご苦労!じゃあ、それぞれ自分の部署に戻って作業進めて」
ダイヤ「全体的にかなり遅れていますわ。このままだと夜まで間に合いませんわよ」
「わっかりました〜!!」
鞠莉「レッツゴー♪」 ダイヤ「楽しそうですわね」
鞠莉「千歌っちたちも嬉しいんだよ。学校のみんながこの機会を作ってくれたことが」
ダイヤ「わかりましたわ。この学校でやりたかったことをみんな思いっきりこのお祭りで発散させる。でしたわよね?」
鞠莉「イェス」
ダイヤ「そういうことなら…私も生徒会長という立場を忘れて、思いっきりやらせてもらいますわ!」
ルビィ「お姉ちゃん!準備はバッチリだよ!」
ダイヤ「いけませんか?」
鞠莉「ふふっ…」
『承認』
ダイヤ「こら!ってこれ油性ですの?!」
鞠莉「承認おばさんダイヤ♪♪」
ダイヤ「貴女という人は〜〜!!」
鞠莉「ふふっ…。ねぇ、ダイヤ」
ダイヤ「はい?」
鞠莉「良かったね」
ダイヤ「……」
鞠莉「学校は救えなかったけど…こんなにあったかい温もりを感じることができた」
鞠莉「スクールアイドル、やってて良かったって思う!」
ダイヤ「そうですわね」
ダイヤ「続けて良かったと思っています」
ダイヤ「皆さんの想いは…救うことができたなら…」
ドゴォォン!
ダイヤ「おや…?」
鞠莉「あら?トラブル?」 ---
ダイヤ「器物破損、被害甚大、アーチの修復だけでも10人がかりで4時間のロス!」
千歌「だって〜…」
梨子「そもそもしいたけちゃんがなんで学校にいたの…」
千歌「なんか…美渡ねぇ散歩してたら…リードを離しちゃったらしくて…」
ダイヤ「言い訳は結構です!とにかくこの遅れをどうするか…閉校祭は明日なんですのよ?!」
千歌「頑張ります…」
ダイヤ「それで済む話ですの…?もう下校時間までわずかしかありませんわ」
花丸「そろそろ終バスの時間ずら…」
千歌「準備…間に合うかな」
梨子「だよね…」
鞠莉「オーケー。そういうことであれば、小原家が責任を持って送るわ。全員☆」
花丸「ほんとずら…?!」
梨子「でも…全員って…」
鞠莉「準備で学校に残る生徒全員。もちろん、ちゃんと家には連絡するようにね」
千歌「ほんと…?!ありがとう!みんなに伝えてくる!」
タッタッタッタッ
ダイヤ「本気ですの?」
鞠莉「最後なんだもん。許してよ」
ダイヤ「誰も許さないなんて言ってませんわ。最初からそのつもりでしたから」
鞠莉「ふふっ」 ダイヤ「それにしても…こんなに準備に熱を入れるなんて」
ダイヤ「この学校の温もりを改めて感じますわね」
鞠莉「そうね。…コーヒー淹れるけど飲む?」
ダイヤ「えぇ…。ですが作業は…」
鞠莉「いいじゃない。午前中一番働いたんだから。休憩休憩♪」
ダイヤ「えぇ…」
鞠莉「寂しい…?」
ダイヤ「寂しくありませんの?」
鞠莉「……ううん」
鞠莉「私ね、この学校を受ける前に…在校生の人と話したの」
鞠莉「この学校のにおいは…変わらないんだって」
鞠莉「この学校は…みんなに愛されてるんだって」
鞠莉「その通りだった。みんな…学校が大好きで…」
鞠莉「変わらないのよね…。いつも」
ダイヤ「はい…。そういう人たちばっかりですからね…ここは」
鞠莉「でも…終わっちゃうのね」
ダイヤ「諸行無常…」
鞠莉「…なにそれ?」
ダイヤ「平家物語の冒頭に出てくるでしょう…」
ダイヤ「祇園精舎の鐘の声…諸行無常の響きあり。物事は常に移り変わります」 ダイヤ「この…幸せな時間も移り変わって、また違う時間に生まれ変わる」
ダイヤ「美しいと思いませんか?」
鞠莉「……アメリカにいるとね、たまに忘れちゃうの」
鞠莉「そういう…儚さが持つ美しさを。日本人独特でしょ…?そういうの」
鞠莉「でも、ここに戻ってきてわかった。限りがあるから、その中でもがいて、苦しんで、立ち上がる」
鞠莉「終わりがあるからそこに向かって走りだす」
鞠莉「寂しいけど…かっこ良くない?」
ダイヤ「ふふ…」
鞠莉「…あれは曜…」
ダイヤ「曜さん…」
鞠莉(曜…千歌っち…)
鞠莉「後輩見てると昔の私たちを思い出すわね」
ダイヤ「どういうことですの?」
鞠莉「……」
鞠莉「なんでもない♪」 ---
曜「スクールアイドルやりませんかー!貴女も!貴女も!貴女も!」
千歌「はい!スクールアイドルやります!」
曜「ふふっ…」
曜「なんか…静かだね、学校はあんなに賑やかなのに」
千歌「うん、なんか良いよね、そういうの。外は普通なのに…学校の中は…みんなの夢で明日へ向けてワクワクしてて」
千歌「時が過ぎるのも忘れていて…」
千歌「好きだなぁ…そういうの」
千歌「ずっとこのままだったら良いのにね」
千歌「明日も…明後日もずーと!」
梨子「…あっ」
梨子「千歌ちゃ……」
梨子「あれ……」
千歌「そしたら……」
梨子「曜ちゃん……」
梨子(良かったね…)
千歌「そしたら……」
曜「……」
曜(言おう……!)
曜「私ね、千歌ちゃんに憧れてたんだ」
梨子「曜ちゃん…!!」
--良かった。
曜「千歌ちゃんが見てるものが見たいんだって。ずっと同じ景色を見てたいんだって」
曜「このまま…みんなでおばあちゃんになるまでやろっか!」
千歌「うん…!」 ウフフアハハ……
梨子「私も入れて!」
曜「梨子ちゃん!」
梨子「私も!おばあちゃんになるまで…しわしわになるまで!」
梨子「一緒に…時間の波に乗りたい!」
千歌「うん…!!」
----
-当日-
鞠莉「みんなー!!理事長のシャイ煮プレミアムだよー!!」
「おっ、美味しそうだな。いくらすんの?」
鞠莉「はい…って……」
美渡「よっす」
鞠莉「美渡さん…!」
美渡「はい、焼きみかん。美味いぞ」スッ
鞠莉「ありがとうございます」
美渡「…バザーの出品手伝った時以来?」
鞠莉「そうですね」
美渡「ま、実際会ったのは…千歌たちが体育館でライブした時だけどね」
美渡「まさか理事長になってるなんて」
鞠莉「学校を救いたかったですから…」
鞠莉「ごめんなさい」 美渡「いいよ、アンタらは十分頑張ったさ。ありがとう」
美渡「私は…アンタが入学してくれて良かったと思ってるよ」
美渡「結局私も地元大好きのばーさんだからさ!」ニコッ
鞠莉「美渡さん…」
美渡「この学校がなくなっても…きっとここにはまたくると思う」
美渡「さっきさ、色々回ったんだけど、昔私が傷つけた壁、まだあったんだよ」
美渡「懐かしいなぁってね」
美渡「鞠莉ちゃんも、なんかしてみたら?一生残らない傷でもつけとけ!」
美渡「じゃ、また後でな」
鞠莉「はい…!」
---
ドウダ!サプライズ!!!!
ワァァァァァァ!
千歌「……」
『浦女 ありがとう』
鞠莉「ふふっ…」
あんなことまで…。つくづくウチの生徒は…。
鞠莉「みんな…ここが大好きよね…」 ---
果南「鞠莉〜」
ダイヤ「ふぅ…」
鞠莉「果南、ダイヤ。仕事はいいの?」
果南「ちょっとだけ休憩もらったからね、一緒に回ろう?」
ダイヤ「私も…一旦休憩ですわ。あの人……一体何者ですの…」
果南「?」
ダイヤ「ラブライブクイズ…私のエリーチカ問題に文句をつけてきた輩がいましてね」ギリギリ
---
ダイヤ「では、問題。かの有名なスクールアイドルグループμ'sのメンバーで、クールでカッコいいあのメンバーは?!」
ルビィ(それお姉ちゃんの好み…)
ピンポーン
「…矢澤にこ!」
ダイヤ「ぶっぶーですわ!」
ピンポーン
「じゃあ…園田海未!」
ダイヤ「ぶっぶっぶー!」
ダイヤ「正解は絢瀬絵里!」
「はぁ…?!絢瀬絵里?!あり得ないでしょ!」
ダイヤ「なんですって…?」ピキ
「絢瀬絵里とか…あんなんクールでもなんでもないでしょ?!」
「実態はアホでポンコツでちょっと抜けてるくらいのやつよ!!」
ダイヤ「はぁ?」
ダイヤ「エリーチカにそのようなことを…」
ダイヤ「表へでなさい…!!」 ---
ダイヤ「見つけ次第一騎討ちを申し込もうと思っているのですが…!」
鞠莉「ワォ!ダイヤベリ〜は〜ど♪」
果南「……?」
「おや……」
「久しぶり…」
鞠莉「……!!」
果南「理事長…!」
理事長「元気そうだな…」
理事長「聞いたよ、決勝だって?」
ダイヤ「…理事長」
理事長「また始めたんだな」
果南「はい…!色々ありましたけど…」
理事長「ふふっ…聞かないでおくよ。だいたいわかるしな」
理事長「どうだ…突っ走れたか?」
ダイヤ「はい……」
鞠莉「はい…!これからも…ずっと!」
理事長「そうか…よかった」
理事長「きて良かったよ」
鞠莉「きてくれてありがとうございました」
理事長「ありがとよ、浦の星女学院の理事長さん…」
鞠莉「こちらこそ…」
「ありがとうございました!!」
理事長「決勝、頑張りな!」 ----
楽しい時間というのは、いつもあっという間で、
そこにいる誰もがこの時間がずっと続けばいいのにって思ってるのに、
でも…やっぱり終わりは来て
時が戻らないこと、もう一度同じ時間を繰り返せないことが、とても寂しく思えるけど
同時にやっぱりどうなるかわからない明日の方が、ちょっぴり楽しみでもあって、
あぁ…これが、時が進んでいくってことなんだなぁって、実感できるずら
そして気付く
きっと…二度と同じ時はないから、この時が楽しいって、思えるかな
今こうしている時がたった一度きりだってわかっているから、全力になれる
いつか終わりが来ることを皆んなが知っているから、終わりが来てもまた…明日が来ることを知っているから… ボォオオ
鞠莉「……」
果南「鞠莉お嬢様、鞠莉お嬢様、私と一緒にダンスを踊ってくれませんか?」
鞠莉「……果南」
果南「Shall we dance?」
ダイヤ「ひゅーひゅー」
花丸「ひゅーひゅー」
花丸(アッツイずら)
--
果南『鞠莉お嬢様、鞠莉お嬢様、私と一緒にダンスを踊ってくれませんか?』スッ
ダイヤ『王子様ですわ!果南さん!』
鞠莉『どこで習ったの?ソレ』
果南『舞踏会って言うから昨日調べの。間違ってる?』
鞠莉『ううん。大正解』ギュッ
果南『しゃ、しゃるうぃーだんす?』
鞠莉『Shall we dance?』
ダイヤ『凄いですわ…』
果南『流石…上手だね』
鞠莉『発音はパパから教わってるの』 --
鞠莉「…果南ったら」
果南「今度は上手に言えたでしょ?」
鞠莉「うん…」
鞠莉「I would love to…」
---
未来へ向かって…歩き出さなければいけないから
皆んな、笑うのだろう--!!
ワァァァァァァ
--
鞠莉「これで…浦の星女学院閉校祭を終わります。今日集まった人を見て、私は改めてわかりました。この学校がどれだけ愛されていたか…」
鞠莉「どれだけこの町にとって、みんなにとって…大切なものだったか…」
鞠莉「だから…この…閉校祭は…私にとって、何よりも幸せで…」
98--。
98--。
98--。
届かなかった。
あれだけ…頑張っても。 鞠莉「私にとって…何よりも…あたたかくて…」
ごめんなさい--。
届かなくて。
力及ばず--。
私たちをがもっと早く……。
鞠莉「……」ツー
果南「鞠莉…」
98---。
あと2人--。
鞠莉「ごめんなさい……」
もう少し、もう少し。
この学校が……。
守れなかった。
足りなかった。
鞠莉「もう少し……頑張れれば………もう少し……」ツー
ダイヤ「……」 むつ「……」
「Aqours!」
「Aqours!Aqours!Aqours!Aqours!」
千歌「…!」
『Aqours!Aqours!Aqours!Aqours!Aqours!Aqours!Aqours!Aqours!』
ダイヤ「……」トンッ
鞠莉「…!」
ダイヤ「ほら…見なさい」
ダイヤ「貴女は…学校を守れなかったんじゃありませんわ…」
ダイヤ「この気持ちを守ったのは、貴女ですわよ、鞠莉さん」
鞠莉「…!」
パチパチパチパチ
鞠莉「みんなー!!ありがとう!」
鞠莉「じゃあラストにみんなで思いっきり歌おう!さいっこうに明るく!さいっこうに楽しく!…
さいっこうに声を出して!!」 --
勇気を だしてみて
本当はこわいよ
僕だって 最初から
できたワケ じゃないよ
いっぱい つまずいた
悔しい 想いが
強さをくれたんだ
あきらめなきゃ いいんだ
信じて みたいと
君の目が 濡れて
迷う気持ちも
涙も
バイバイ
さあ出発だ! 何度だって 追いかけようよ
負けないで
失敗なんて 誰でもあるよ
夢は 消えない
夢は 消えない
何度だって 追いかけようよ
負けないで
だって 今日は
今日で だって
目覚めたら
違う朝だよ
『やり残したことなど ない
そう言いたいね
いつの日にか
そこまでは まだ遠いよ
だから僕らは 』
「がんばって挑戦だよね」
---。 👀
Rock54: Caution(BBR-MD5:0be15ced7fbdb9fdb4d0ce1929c1b82f) ---
曜「…素敵な閉校祭だったね…」
千歌「うん…だから、全力で、できることは全部やって挑まなきゃね!」
梨子「そうだね…。この時のために、すっごく練習したんだもん」
ダイヤ「確かに…。毎日朝も早くから、夜も遅く、暗くなっても…」
ルビィ「がんばルビィしたから!」
果南「それでも!
みんな一度もサボらなかった…!」
鞠莉「弱音は言ったけどね☆」
花丸「特に朝は眠かったずら。ね、善子ちゃん!」
善子「ヨハネ!流石我がリトルデーモン、褒めてつかわす!」
千歌「…ありがとう」
--行ってきます。
憧れの舞台に。
私たち浦の星の名を残しに。
行ってきます。 ---
東京に来たら…やっぱり神田明神!
あのμ'sが練習していたと言われる聖地ですわ!
ここはしっかりお祈りを!!
スクールアイドルはみんな…ここでお祈りするんだよね。
えぇ…!!
それに…スクールアイドルに限らず…
『Aqoursが優勝しますように
11月
浦の星女学院生徒』
--ね? ---
鞠莉「マァァリィシャイニングトルネイドゥゥゥゥ!!!!」ゴォォ
果南「ふんっ!!」ドゴォォン
ダイヤ「よそ見は禁物ですわ!!」ブンッ
果南「ふふっ…懐かしいね」
---
果南『わーい!畳だー!』
ダイヤ『果南さん、はしゃいではいけませんわよ』
鞠莉『日本っぽくていいわね。まさかダイヤの家にお泊まりなんて、よく許してくれたね』
ダイヤ『まぁ…広いですし、少しくらいは…ぶっ!!』
果南『ほらほら、枕投げしようよ、私、強いからさ』
ダイヤ『はぁ?…』
鞠莉『それ!!』
ダイヤ『……』バシッ
ダイヤ『なんで私ばかり狙うのです!!』
鞠莉『あれ…?ダイヤが弱いからかな?』
ダイヤ『いいでしょう……ここは私のホーム。誰が一番か、思い知らせてあげますわ!!』
ダイヤママ『コラァァ!!!!』
---
千歌「…本番前なのにこんなことしてるって…いいと思わない?!」
千歌「いつもの私たちっぽくて…」
曜「うん…」ボンッ
曜「ぶはっ…!」
果南「ほら、まだまだやるよ」
梨子「……」 ---
鞠莉「あれ?千歌っちたちは?」
果南「外に行ったよ」
ダイヤ「ルビィたちも少し席を外すと」
鞠莉「そ」
果南「いよいよだね…」
ダイヤ「そうですわね」
果南「ふふっ…ふふふっ…」
鞠莉「どうしたの?」
果南「おかしくってさ」
ダイヤ「?」
果南「3人で、学校を救おうって始めたAqoursがこんなことになるなんてね…」
鞠莉「長い道のりだったけど」
ダイヤ「えぇ…」
ダイヤ「本当に…気が遠くなるくらいですわ」
ダイヤ「3人が出会って…一緒に過ごして…喧嘩して…また仲直りして」 鞠莉「これからも…そうなっていくのよ」
果南「そうだね…。それにしても……」
果南「Aqoursは大きくなったなぁ……」
ダイヤ「それはどっちの【Aqours】ですか?」
果南「どうだろうね。でも、どっちのAqoursも、今は一つになって、たしかに違うものだけど…行き着く先は同じ」
果南「私たちの…輝きだから」
果南「千歌の言葉を借りるなら、ね!」
鞠莉「うん…!」
ダイヤ「そうだ…。あれ、やりましょうよ!」
鞠莉「私たち3人で?」
ダイヤ「元々はそうでしょう!」
果南「もちろん!」
ダイヤ「では果南さん、お願いします」
果南「えっ?私…?」
鞠莉「果南じゃなきゃ誰がやるの、リーダー」
ダイヤ「早くしてください、リーダーさん」
果南「……うん」
果南「Aqours--!!」
「サンシャイン--!!」 -----
むつ「うわっ…!ひろっ!」
よしみ「これがアキバドーム…声援聞こえるかなぁ」
むつ「むっ…!聞こえるよ!そのくらい大きな声でみんなで応援するの!」
美渡「そうだよ!」
美渡「浦の星だけじゃない!」
志満「内浦の人、みんな来てるんだから!ね!」
「えっ…?!」 --
-内浦一行 一号者-
千歌ママ「はーい、みなさーん、宇宙一の応援の準備はバッチリですか!?」
ォォオオオオォォオ!!!!
梨子ママ「娘がこんな舞台に立つなんてね。しっかり見届けなくちゃ」
花丸ママ「ライトの色はこれでいいのかしら?」
曜ママ「チアガールのコスプレも持って来たのよ!」
善子ママ「それ…目立ちません?」
果南ママ「まさか…くるとはね」
鞠莉ママ「当たり前よ。貴女の方こそ」
果南ママ「家族総出よ、もちろん」
ダイヤママ「さて…二人の応援の準備は…」
ワァァァァァァ
ダイヤママ「…?」
ダイヤママ(二号車がヤケに騒がしいわね…) ----
-内浦一行 二号車-
千歌パパ「みんなぁぁぁ!!!ママたちの綺麗な声をかき消すくらいワシらの野太い声を響かせるぞぉ!!!」
ウォォォォォ!!!!!!!!!
果南パパ「むさい車両じゃ…。嫌いじゃないがな」
鞠莉パパ「なんだ…骨折はもう大丈夫なのか?」
果南パパ「とっくのとうに完治したぞ」
曜パパ「……」
曜パパ「曜……待ってろ」
曜パパ「パパがずっとお前の名前を叫び続けてやるからな」
果南パパ「曲中は黙っとれよ」
ダイヤパパ「なにっ…?!極度に光るライトは持ち込み禁止だと…?!せっかく赤とピンクの大閃光を持って来たのに…」
花丸パパ「黒澤さん…眩しすぎて見えませんよ。私の貸しますから。ていうか来る前に注意書き読みなさい…」
善子パパ「娘は白か…。ふっ…純白の色の中に潜む闇の力…!!エロイムエッサイム!」
梨子パパ「やめなさい、はずかしい…」
善子パパ「良いではないか、こんな日は」
梨子パパ「まぁそれもそうですかね…」 千歌パパ「よし!みんな!行くぞ!」
千歌パパ「かんかん!!」
一同「みかん!!」
千歌パパ「かんかん!!」
一同「みかん!!」
千歌パパ「かーんかーん!」
一同「み・か・ん!!」
千歌パパ「よぉし!バッチリだぁ!!」
ダイヤパパ「次!次!ダイヤッホー!!」
ダイヤッホー
ミンナモイッショニ
ガンバルビィ
ワァァァァァァァァアァァァァァァァァ!!!!
運転手(うるせぇ……) --
聖良「あら、理亞はちゃんとルビィさんなのね」
理亞「べっ…別に…//」
聖良「私たちの想いを託したAqoursに、思いっきりの声援を送ろう」
理亞「当たり前よ!」
理亞(ルビィ…絶対優勝しなさいよ)
理亞「負けたら承知しないんだから!」 ---
カツン
理事長「……」
理事長「想像以上にでかいな…」
理事長「赤と…ライトグリーン…?あとはヴァイオレット…」
理事長「とりあえずこれだけは用意したが…足りるだろうか…」
「なに?アンタ3本しかないの?」
理事長「あぁ…。こういうの疎くてね」
「そう。私のあげるから、9本振りなさいよ」
理事長「わかった。…ところでキミ、今日は一人かい?小学生がこんなところで…」
「もう大人ですけど」ギロッ
理事長「……そ、それは悪かった。…えーと…キミは誰を推してるのかな…?」ハハ
「さぁ…正直誰でもいいけど…黒澤ダイヤって人とか…?」
理事長「おぉ!実は私もなんだ。黒澤ダイヤと松浦果南、小原鞠莉、応援してるよ」
「へぇ、疎いわりにはまあまぁわかるじゃない」 理事長「あぁ…」
「おーい!はよして!こっちこっち!」
「じゃあ私、友人たちときてるから、じゃ」
理事長「うむ、ありがとう」
理事長「長かったな…」
理事長(黒澤さん…松浦さん…小原さん…おめでとう)
理事長(色々あったが、キミたちに出会えてよかったよ…。学校を心から愛してくれるキミたちに…)
理事長(頑張りな。この老体引っ張ってみにきたんだから。良いもん見せてくれよ…!) ----
どのくらい走ったのかな…。
どこまで来たのかな…。
どこまで続くのかな…。
わからないけど、あの時と今思っていること…全てがあって、ここに辿り着けたと思う。
雲の上だって空を飛んでるみたいだって…!
思いっきり楽しもう!
はじけよう!
そして…優勝しよう!!
私たちの輝きと証を見つけに!! 千歌「さぁ、行くよ!!」
千歌「1!」
曜「2!」
梨子「3!」
花丸「4!」
ルビィ「5!」
善子「6!」
ダイヤ「7!」
果南「8!」
ダイヤ「9!」
千歌「0から1へ!…1から、その先へ!」
「Aqours!!!」
「サンシャイン!! --
- Water Blue new world-
今は今で昨日と違うよ
明日への途中じゃなく 今は今だね
この瞬間のことが 重なっては消えてく
心に刻むんだ WATER BLUE
ォォオオオオォォオォオオオオオォォォォ!!!!!!!!! --
聖良「あれ…?」
理亞「こんにちは」
千歌ママ「こんにちは♪」ズラッ
ママ一同「ワァァァァァァ!!!」
パパ一同「ウボァァァァァァ!!!!!!!!!」
聖良「……」 --
-UDX前-
「みてみて!ラブライブ決勝!」
「わぁ…Aqoursだ!!」
「かなんチャーン!」
「黒澤姉妹!!」
「ちかっちー!!」
「曜ちゃん梨子ちゃん!!」
「マリーマリー!!!」
「ヨハネ!ヨハネ!ヨハネ!」
「ずらー!!花丸ちゃん可愛い!!」
「すごいね…」
「私…こんな風になりたい…」
「スクールアイドルって…面白そう…!」 --
悔やみたくなかった気持ちの先に
広がった世界を 泳いできたのさ
(諦めない!)言うだけでは叶わない
(動け!)動けば変わるんだと知ったよ
ずっとここにいたいと思ってるけど
きっと旅立ってくってわかってるんだよ
だから この時を楽しくしたい
最高の ときめきを 胸に焼き付けたいから MY NEW WORLD 新しい場所 探す時がきたよ
次の輝きへと 海を渡ろう
夢が見たい想いは いつでも僕たちを
繋いでくれるから 笑っていこう
今を重ね そして 未来へ向かおう!
ワァァァァァァァァアァァァァァァァァ!!!! 残せたかな。伝わったかな。
この会場…いや、みてくれている人全員に。
この一瞬も…時の流れには逆らえずにすぐ流れていく。
どんなに楽しい時でも、どんなに辛い時でも、明日は来る。
この世界はそうやって、ずっと過ごしてきたんだ。
私たちはその中の一粒だけなのかな…?
いや、違う。 新しい場所を探して。
新しい輝きをもとめて。
そうしているうちに、特別な一粒になる。
それは…星のかけらのようで、それは感染る。
届け、私たちの想い。
届け…!私たちの輝き!!
- I'll leave I'll be here- これでこのss自体は終了です。もし最後まで見てくれた人がいたら本当にありがとうございます。感謝しかでてきません。本日の最終回楽しみにしてます。 ■ このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています