黒澤ルビィガチギレ?暴走?事件?
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- 調査報告書 -
×月×日
沼津の山中で登山者が野生の獣に襲われる事件が発生
被害者の証言により、獣は赤い髪をした動物のようであったと事と
四肢を持つ動物、猿のようでもあったと報告された
地元の自警団による捜索隊が編成され、事件現場周辺を捜索
しかし犯行を行ったとされる赤い獣は発見されなかった
捜索隊の活動三日目の日、地元の権力者である黒澤家から使者がやってきた
警察関係者と話はつけているとだけ伝え、捜索隊の解散、以降の調査を黒澤家が一任すると申し出た
沼津に住む者なら誰でも知っている。黒澤家には逆らってはいけないという風習
自分に守るべき家族があるのなら、まず守るのは家族ではなく黒澤の命令
しかし今回の事件を調査、組織に報告する義務が私にはある
同時に黒澤家へのコンタクトを取る絶好の機会なのだ
私は個人的に調査を続ける事を決めた――
黒澤家が介入するという事は直接今回の事件が黒澤家の関与を物語っている
そう考えた私は黒澤家の家庭環境から調べる事にした
調査開始と同時に内浦の町にいる高校生たちが話すある噂も耳にした
「ルビィちゃんが怒っちゃった」
ルビィというのはまさに調査中の黒澤家の次女で、山で目撃された獣と似たような容姿であるらしい
私は調査対象を黒澤ルビィに絞り、地元の高校生からいくつかの話を聞いた
黒澤ルビィについての証言 その1
千歌「この前ルビィちゃんを飴で釣ろうとしたんだけど、チカ自身が警戒されはじめちゃってて」
千歌「だから物陰から飴を糸でくくって、離れた場所から一本釣りしようとしたの」
千歌「色々あってルビィちゃんは用水路に落ちちゃったんだけど、怒ってるかなぁ…」
黒澤ルビィについての証言 その2
曜「ステージ衣装だと言って色々着せ替えて遊んでたら噛みついてきたんだ」
曜「だから気づかれないように目の保養をさせてもらおうと、ルビィちゃんの衣装だけ後ろはシースルーにしたんだ」
曜「さすがに野生のカンっていうのかな、風通しがいつもと違うってバレちゃった。怒ってるかなぁ…」
黒澤ルビィについての証言 その3
果南「ついこの前、ルビィがダイヤに隠れて秘密特訓したいっていうから朝のジョギングに連れて行ったんだ」
果南「20キロ進んだあたりでルビィがいないことに気づいてね、どうやら淡島あたりで落っことしてきたみたい」
果南「急いで探しに戻ったんだけど、なんかやけに噛みつかれたよー。怒ってたのかなぁ…」
黒澤ルビィについての証言 その4
鞠莉「シャイ煮Ex(イグゼクス)の実……味見をしてもらったんだけど、なんだかお口に合わなかったみたいね」
善子「口直しにこの私、堕天使ヨハネの新たなる魔装、堕天使の涙々紀粒を食らわ……あげたんだけど」
鞠莉「あれ食べられたもんじゃないわよー」
善子「なによっ、シャイ煮Exよりマシよ! だいたいモウカの星とかしもつかれとか意味わかんないわ!」
鞠莉「oh-!堕天使の涙々起粒の怪しい香辛料よりマシデース!」
善子「なんですってー!」バッ
鞠莉「おー、やるきー!?」ババッ
ギャー ギャー
黒澤ルビィについての証言 その5
梨子「この前、ルビィちゃんに絵のモデルをお願いしたんだけど…」
梨子「1分じっとしていることができないルビィちゃんをなんとか大人しくさせようと思って…その…」
梨子「筆と絵具で……ちょっと……攻めすぎちゃったみたいで……怒ってるかなぁ…」
梨子「でも、いい顔してたわ……フフ」
黒澤ルビィについての証言 その6
花丸「人は人……獣は獣……所詮この垣根は越えること敵わず」
花丸「すべてのものはあるべき姿、あるべき場所に回帰する運命……」
コホン…
花丸「祇園精舎の鐘の声 諸行無常の響きあり
沙羅双樹の花の色 盛者必衰の理をあらわす
おごれる人も久しからず ただ春の世の夢のごとし
たけき者も遂には滅びぬ 偏に風の前の塵に同じ……」
花丸「黒澤よ………いつまでも己が天下を疑う事を知らぬ愚者に下されるのは、天啓の裁きと知れ…」
黒澤ルビィについての証言 その7
理亞「函館と黒澤家の地下にトンネルが開通してからよく遊びに来てるんだけど…」
理亞「なんかね、そのトンネル工事の最中に……でたらしいわ……」
理亞「真紅に揺らめく赤髪をなびかせ疾走する謎の狂獣……のような女の子」
理亞「後で聞いてみたらルビィが探検気分で遊んでたみたいだけど、工事中は危ないって事で怒られたらしいわ」
理亞「…………可愛いわよね」
黒澤ルビィについての証言 その8
聖良「さぁ……私は理亞を通じてしか交流がないので、まだそれほど語れる事はありませんが…」
聖良「理亞の話では彼女はとても姉思いの優しい子だという事です」
聖良「優しいと言えば私の妹も先日私のために歌を歌ってくれたり、店番もよくやってくれるようになったんです」
聖良「ホントにどこにだしても恥ずかしくないいい妹です。今度は私と動物園に行きたいって言ってくれて…」
聖良「ちなみに遊園地に行ったときは生憎の雨模様で、満足に楽しめなかったのを悔やんでいました」
聖良「私はそれでも楽しかったと伝えても、あの子は今度はもっと姉様と楽しむんだと、動物園に行く計画をしてくれたんです」
聖良「私個人としては水族館とかも楽しいと思うのですけど、あの子の願いならと喜んで動物園計画を了承しました」
聖良「動物園といえば、最近この辺りに出没する謎の獣はかなり狂暴だそうですね。ストレスでしょうか?」
黒澤ルビィについての証言 その9
ダイヤ「あなたですか? 最近ここいらで学生たちになにやら聞き込みをしているという方は…」
ダイヤ「わたくしはあちらに見える学校の生徒会長です」
ダイヤ「それで、一体何を嗅ぎま……調べているのですか?」
ダイヤ「そうですか、この間の事件を……それで、何か聞きたい事があるのですか?」
ダイヤ「え、黒澤ルビィが今回の犯人ではないか、ですって?」
ダイヤ「また随分とおもしろい事を言うのですね。なにを根拠に?」
ダイヤ「ルビィがここ最近、過度のストレスを感じていて、それが原因で暴れていると?」
ダイヤ「そのストレスというのは原因がハッキリしているのですか?」
ダイヤ「なるほど…こちらの方々がそうおっしゃるのですね……わかりました、ふふ…」
ダイヤ「とにかく、あまり不用意に学生達を刺激しないよう、お願いいたしますわ」
ダイヤ「あ、わたくしですか? わたくしは、黒澤ルビィの姉の、黒澤ダイヤと申します」ニコッ
-調査結果
今回目撃された獣の正体については結局のところ正確な事はわからなかった
ただしかなりの確率で黒澤ルビィではないかと私は考える
黒澤家の介入以降、獣の目撃情報はパッタリと途絶え、調査している素振りも見せていない事も引っかかる
一体赤髪の獣とはなんだったのだろうか?
それが黒澤ルビィだとして、普通の高校生であるはずの少女にどんな秘密があるというのだろうか?
これを書いている段階ではわからないが、不思議ともうじきすべてがわかりそうな予感もある
私は地元の十千万旅館に宿泊していたところを謎の集団に襲われ、ここに拉致監禁されている
幸いにも手にしていた荷物はそのまま。しかし逆に、荷物なんてどうでもよくなる状況がおこる事を意味しているのかもしれない
一体ここはどこなのだろうか…? どこかの地下、牢獄のような場所。ジメジメした空気が肌寒い
時折聞こえてくるなにかの呻き声のようなものが風によるものなのかどうかもわからない
もしかすると私はここで終わってしまうのだろうか…
するとこれはやはり、触れてはいけないという黒澤家に関係があるのだろうか?
遠くから誰かの足音が響く。何かを引きづっているような音も聞こえる
この調査報告書、ならびに調査結果が誰かの目に留まる事を願う
ガシャン… キィ……
コツ コツ コツ…
ズルズル… ズルズル……
「さぁ、今日はこれを……好き嫌いはいけませんよ?」
ガキン… ギギギ…
『ピギャァァァァァァ!!!』
ジャラ… ズルズル…
ガブッ! グシャッ
ジュル…
ブチブチッ ビチャ… ゴブッ
バキ… ゴキ… グジュ…
この世には知らなくていい事
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