花丸「これで、マルの話はおしまい―――」ダッダッダッ
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善子「ずら丸。行くわよ」
花丸「え?善子ちゃん...?なんで、ここにいるの?」
善子「はぁ?ほんっとずら丸はダメねぇ...」
善子は右手を差し出した
善子「...早く行くわよ?」
少し頬を赤らめながら善子は言った
あぁ....そうだった....そういえば、今日は.....
善子に押されながら私は家を出た――― 花丸「ここが浦の星女学院ずらかぁ...!」
生徒会長の入学スピーチなど上の空だった
中学の時とは全く違う雰囲気にただただ驚くしか無かった
ルビィ「花丸ちゃん?あそこで喋ってるのがルビィのお姉ちゃんだよ?」
花丸「・・・えっ?!あんなに堂々と喋れるずらか?!」
ダイヤ「この学校の良さは自然との一体感を用いた....」
中学の時と変わらない凜とした雰囲気を放っていた
花丸「ダイヤさん....すごいずらぁ」
生徒会長としてのダイヤはいつもより輝いて見えた
ルビィ「この入学式もね?お姉ちゃんの意見なんだよ?」
「出席番号順じゃなくて、仲がいい人と隣になって座らせることにしてリラックスさせれるんだって!」
いつもそうだった
ルビィはダイヤの話をする時はキラキラしていた
花丸「マルも姉妹が居たらな〜・・・」
ルビィ「え?」
花丸「いや、なんでもないずら!」
起立の号令が掛かり、生徒全員が一斉に立った 〜新クラス〜
クラスは想像通りざわついていた
ただ、話すのが苦手な私にとってはこの時間は早く終わってほしいものだった
「え?国木田さん....だよね?」
花丸「えっ?...そ、そうずら・・・」
「ずら?」
花丸「はっ!い、いや!なんでもないよ?!で、ど、どうしたの?」
「あ、いや。全然気にすること無いんだけどね?仲良くなろうと思って!」
名前も知らない相手に話しかけ、仲良くしようとすることが出来ることに、私は感心した
「そこでね?TRICKっていうアプリがあるんだけど?やってる?」
花丸「トリック....?」
彼女の話を聞くと、どこでも連絡が取れてお互いの個人情報や何から何まで知ることが出来るらしい
しかし、私は何のことを言っているのか全く分からなかった
花丸「ご、ごめんマルはそういうの.....」
「あ、そっか....いいよ全然!ありがとうね!!これから、よろしく!」
彼女はまた、他の人に同じことを聞いていた ルビィ「大変だったね....」
ドタバタした入学式は終わり、ルビィと一緒に学校を周ることにした
ルビィはすでに、TRICKでクラスの友達とも繋がったらしい
ルビィ「ルビィ、ほんとにドキドキしたよ....けど、いい子がたくさん居たから安心した!」
ルビィは嬉しいのかスキップをしながら歩いた
花丸(マル....また引っ込んじゃうのかな.....)
ルビィが自分から少しずつ離れていく錯覚に陥った ブーブーブー
ルビィ「?」スッ
ルビィはスマートフォンを取り出した
花丸「み、未来ずらぁ....!」
スマートフォンを見たことがない花丸にとって、そこには未来が詰まっていた
画面にTRICKと表示される
[ルビィちゃん?よろしく!今日連絡した....だよ?]
ルビィ「あ、クラスのみんなだ!」
ルビィは器用に画面を触り文字を打ち込んだ
ルビィ「ありがとう、これからよろしく...っと!」
「これで、よし!花丸ちゃん....?」
周りには誰も居なかった
花丸(マル....これからやっていけるのかな?)
唯一の友人も上手くクラスと溶け込み、自分だけ仲間はずれにされている気持ちになった
疎外感と、ルビィを置いてきた申し訳無さを胸に帰り道を辿った 〜国木田家〜
花丸「ただいまずらぁ...」
言葉遣いを気にせず、くつろげる家はやはり最高だと感じた
「学校はどうだったのー?」
奥から声が聞こえた
花丸「・・・楽しかったずら」
「そう、それはよかった!」
母を傷つけたくない思いで言葉が出てしまった
花丸(実は、そんなこと無いのにね.....)
花丸は自分の部屋に入り、大の字で天井を見上げた
花丸「マル....このままでいいのかな・・・」
色んな思いがこみ上げ、バッグを放り投げた
本棚にバッグが当たった
スッ....ボスッ...
花丸「痛っ....!!くぅっ〜これは効いたずらぁ.....」
一冊の本が足に直撃した
花丸「・・・この本.....?」
【嘘と真実】
花丸「そういえばこれ.....」
(幼稚園の時、善子ちゃんが私にくれた....)
(あれ?善子ちゃんそういえば学校に...?)
何かの運命だと感じ、本を開いた
今まで本は必ず読んでいたが、この本だけは読んでいなかった
花丸(せっかくの機会だしこれを読んで善子ちゃんと仲良くなれたら.....)
花丸は読み進めていった 花丸「やっぱり、善子ちゃん。根っからの厨二病ずらね....)
恐らく表紙に吊られて買ってもらった本なのだろうと考えた
ただ、内容はしっかりしているものだった
悪魔と天使がイラストとして登場し、どっちが正しいかどうかを選択するというクイズ形式の本だった
花丸(絶対に善子ちゃん。この本読んでないずらね.....)
クイズ形式とは言え、とても難しい漢字が使われていて幼稚園児が読めるようなものではなかった
最後のQ&Aのページになった
Q 【あなたは、友達を身代わりになってでも助けることができますか?】
花丸「・・・」
ページを捲り答えを確認する
「花丸〜?ご飯よ?」
花丸「あ!分かったずら!!すぐ行くずら〜」
花丸はそっと本を閉じ、匂いのする方へと足を向けた 「花丸....実はプレゼントがあるの!」
花丸は母親からラッピングされた箱を開けた
花丸「これ・・・」
目の前にはルビィやクラスメートが触っていた【スマートフォン】が丁寧に包まれていた
「花丸も、もう高校生でしょう?だから、もう買ったほうが良いのかな〜と思って買っちゃいました.......」
母親が喜々として話していたが、私はそれどころではなかった
明日からの学校生活。
友人関係。
未来への扉。
一度に色々な感情が湧き出し、頭が真っ白になった
その日の料理は豪華だったらしい 自分の部屋に戻り説明書を机に広げ、集中した
早く皆と打ち解けたい...
その気持ちが先行し机の上の物を全て下に降ろした
花丸(これで...これでやっとみんなと....!!)
説明書を読むのに、そう時間はかからなかった
花丸はアプリ【TRICK】をインストールした 小鳥のさえずりが聞こえる
ここまで、学校が楽しみだった朝はあっただろうか
いつもより早く家を出て、学校に向けて出発した
花丸(とうとう、オラの高校生活が開幕ずら!!)
ブーブーブー
花丸「?」
【TRICK】: 国木田花丸様へ
TRICKにご登録頂き、誠にありがとうございます!
引き続き、本アプリをご利用ください!!
花丸「通知...ずらか?」
通知の一つ一つにも携帯を持てたという実感が湧き、笑みが溢れた 〜教室〜
花丸「ごめんね、ルビィちゃん。昨日先に帰っちゃって....」
ルビィ「良かったぁ...ルビィ、花丸ちゃんのこと怒らしちゃったのかと思って....」
花丸「ううん!そんなことないずら!!悪いのは私で....」
ルビィ「いや、こっちこそ....って、えっ?花丸ちゃん携帯持ってるの?!」
花丸「あ、これはそうそう.....」
携帯の経緯を全て説明した
ルビィ「入学祝いなんだね!良かったぁ、ルビィといつでも連絡とれるね!!」
花丸「うん!!」 話は、やはりTRICKの話題となった
ただの、チャット機能だけでなく通話や動画配信からカメラ撮影まで何から何までこのアプリだけで出来るという
ルビィ「でね?すごいのがこれでね!!」
ルビィは花丸にカメラを向けた
カシャッ....!
花丸(・・・?)
何か、違和感を感じた
ルビィ「ほら!見てみてこれ!!」
画面には自分の顔が写っていた
花丸「・・・えっ?!」
顔だけでなく誕生月が表示されていた
ルビィ「これね?撮影したら顔から誕生月が分かったり、色々出来るんだって!すごいよね!!」
花丸「み、未来がここにあるずら....」 教室のみんなともTRICKを通じて仲が良くなっていった
日に日に....少しずつ...少しずつ....
細い糸が絡み合い太い糸になっていくように友達との輪が広がっていった
私は、スクールアイドル部に入部することになっていた 名前はAqours
ここの土地にぴったりな名前だった
今まで地味だった私は人前に出るのが苦手ではなくなり、普通のこととなっていった
千歌「花丸ちゃんは最初図書室に居る時女神だと思ったよ〜」
曜「ほんっと可愛かったんだから!!」
花丸「や、やめるずら・・・///」
彼女たちの前では実家の様に何も気にせず、素で接することが出来た
そんなAqoursが私は大好きだった
善子「花丸?次の練習行くわよ?」
ルビィ「がんばルビィ!」
親友たちも居たから私は頑張ることが出来た
夢のような毎日...... 〜〜〜〜〜〜〜
「お前がここにいる理由が分かるか?」
「いつまで、シラ切ってんだよ....おい!!!」バンッ
「ざけてんじゃねーぞ、ゴラァ!!」
「やめろ!!やめとけ、おい!!」
(・・・)
私は、ここを出たら一つ本を書こうと思う
〜〜〜〜〜〜〜 「あり得ない、あり得ないだぁっ?!」
「証拠がここに全部出揃ってんだよ!!」
「おいっ!!?」
(・・・)
「クソがっ!!舐めんじゃねえぞ!!?」
ドラム缶を蹴り倒した
その汚い響きは部屋中に轟いた
もう、自分の足で立つことすらまともに出来なかった
『血の味がする.....』
口に血の味が広がる 〜〜〜〜〜〜〜〜
曜「TRICKに新機能?」
梨子「そうなの、今までは個人だけだったけど今度からグループで会話することが出来るらしいの」
千歌「へぇ〜、ってどういうこと?」
梨子「えっと、じゃあ説明するわよ?」
梨子は画面を見せながら説明し始めた
TRICK新機能!
個人同士のトークだったTRICK!
今回のアップデートにより、グループで登録が可能!!
自分たちのグループをTRICKで人気ランキング上位に引っ張ろう!!
誰でも人気になれるチャンス!!
梨子「つまり、私達でAqoursっていうグループを作って一人ひとりの情報を打ち、色々な宣伝活動をしていけば!」
梨子は人差し指を立てた
梨子「Aqoursが一気に人気ランキング上位に入ってみんなの目にも止まるっていうことよ!!」
曜「なるほど....つまり、TRICKにAqoursで9人で登録して人気になればライブに来る人も増える!」
ダイヤ「素晴らしいですわ!」
鞠莉「千歌っち!すぐに登録しまショウ!!」
千歌「ほい、来た!!」
千歌は一人ひとりの情報をTRICKに登録した 果南「あ、みんなコレ見て!」
果南の携帯に目線が集まった
果南「これで見事1位に入れば、TRICKから特別賞を貰えるって!!」
善子「特別賞!?どんなのよっ?!」
鞠莉「Oh~、善子はセッカチで〜す!!」
果南「なんか...よく分かんないけど、情報を渡す?なにこれ?」
ダイヤ「どういうことですの?」
ダイヤが確認した
ダイヤ「つまり....1位になればTRICKの会社から賞金...ですわね」
千歌「よしっ!頑張ろう!!!」
9人は拳を突き上げた
曜「よしっ!じゃあ、練習しに行こう!」
ダイヤ「・・・?」
ダイヤは部室を確認した
ダイヤ「何も....ないですわね」バタンッ....
ブーブーブー....
TRICK:TRICK最初で最後の大イベント!
これで貴方も、何百万人の人を手にする.....
※尚、苦情は受け付けません。取り消しすることも出来ませんのでご了承ください。 〜黒澤家〜
カタカタカタカタッ....
【TRICK 意味】
ダイヤ「.....」
カチカチッ
trickの意味・使い方 - 英和辞典 Weblive辞書
TRICK: 相手を騙そうとする 策略 ごまかし ぺてん 企み
ダイヤ「・・・ふぅ」
パタンッ
ダイヤはパソコンを閉じた ■ このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています